JP4187230B2 - 間柱タイプの制振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は間柱タイプの制振装置に関し、特に鉄骨構造物において入力された振動エネルギを履歴エネルギとして吸収する間柱タイプの制振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、地震に対抗すべき構造物の設計手法として、一般に耐震構造に基づく設計が行われている。一方、最近では、構造物の振動応答を制御して地震による構造物の揺れを積極的に低減し、地震に対する恐怖を低減するとともに、構造物に付設された給水設備などの重要な機能を維持しようという試みがなされている。この種の構造は、制振構造と呼ばれている。制振構造では、地震による振動に限定されることなく、風による振動、交通による振動、機械の稼動による振動などの他の振動も外乱として処理される。
【0003】
制振構造は、免震構造、エネルギ吸収機構、質量効果機構、および自動制御機構に分類される。さらに、エネルギ吸収機構は、履歴減衰機構、摩擦減衰機構、および粘性減衰機構に分類される。
なお、鉄骨構造物に用いられる履歴減衰部材の具体例として、アンボンドブレース、極低降伏点鋼鋼板壁、極低降伏点鋼間柱などが知られている。
【0004】
上述した各種の履歴減衰部材のうち、典型的な間柱タイプの履歴減衰部材(制振装置)は、上階の梁部材と下階の梁部材との間に取り付けられたH形断面を有する間柱であって、そのフランジ部分は一般の建築用鋼材から形成され、そのウェブ部分は一般の建築用鋼材よりもかなり低い降伏点を有する鋼材、すなわち極低降伏点鋼から形成されている。また、従来の間柱タイプの制振装置は、その両端が対応する梁部材または梁部材から延びたブラケットに対して剛接合されている。制振装置としての間柱には、地震などによる水平力を受けて、曲げモーメント、せん断力および軸力が発生する。
【0005】
この場合、上述したように、制振装置のウェブ部分に極低降伏点鋼が使用されているので、ウェブ部分のせん断降伏がフランジ部分の曲げ降伏に先行する。したがって、ウェブ部分の塑性変形により、入力された振動エネルギが履歴エネルギとして消費(吸収)される。その結果、構造物の揺れを良好に抑えつつ、振動エネルギを早期に減衰させ、柱あるいは大梁などの主架構を健全なまま残すことができる。
なお、本明細書において、一般の建築用鋼材よりもかなり低い降伏点を有する鋼材を「極低降伏点鋼」と総称する。すなわち、本明細書において、「極低降伏点鋼」は、いわゆる「極軟鋼」や「低降伏点鋼」などを含む広い概念を包括している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の間柱タイプの制振装置において、負担せん断力を、ひいては制振効率を向上させるには、曲げ剛性を大きく確保しなければならない。また、曲げ剛性を大きく確保するには、たとえばH形断面を有する間柱の成(見付け巾)を大きくする必要がある。一方、建物の平面的用途上の制約から各階プランが共通になる場合が多く、制振装置としての間柱は、各層に亘って鉛直方向に沿って連なるように配置されるのが通常である。
【0007】
このように、曲げ剛性が高く且つ両端が剛接合された間柱が連層で配置される場合、これらの間柱は最下層から最上層までキャンチレバー状に延びることになり、各間柱に発生する曲げモーメントはキャンチレバーとしての全体曲げモーメントの影響を受けることになる。したがって、特に比較的下層に配置された間柱では、非常に大きな曲げモーメントを負担することになる。その結果、比較的下層に配置された間柱では、せん断変形よりも曲げ変形が支配的になり、制振効率が低下してしまうという不都合があった。また、発生する大きな曲げモーメントに対してフランジ部分を弾性設計することが現実的に困難になるという不都合があった。
【0008】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、負担する曲げモーメントの大きさを良好に抑えつつ大きなせん断力を負担することのできる、制振効率の高い間柱タイプの制振装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1発明では、対向する一対の梁部材の間に取り付けられた間柱の形態を有する制振装置であって、
前記間柱の少なくとも一部は、構造物に入力された振動エネルギを履歴エネルギとして吸収するための履歴減衰部材から構成され、
前記間柱の一方の端部と前記一対の梁部材のうちの一方の梁部材とは、前記一対の梁部材を含む平面内の曲げモーメントを伝達するように接合され、
前記間柱の他方の端部と前記一対の梁部材のうちの他方の梁部材とは、前記平面内の曲げモーメントを実質的に伝達しないように接合され
前記間柱の他方の端部は、水平方向に沿って間隔を隔てた一対の支圧面を有し、
前記他方の梁部材は、前記一対の支圧面の各々に当接するように形成された一対の支圧面を有し、
前記間柱の一対の支圧面と前記他方の梁部材の一対の支圧面との当接により、前記平面内の曲げモーメントを実質的に伝達することなく、前記平面内のせん断力を伝達することを特徴とする制振装置を提供する。
【0010】
第1発明の好ましい態様によれば、前記間柱の他方の端部は、前記他方の梁部材に向かって突出した一対のプレート部材または1つのプレート部材を有し、前記他方の梁部材は、前記間柱の他方の端部に向かって突出した1つのプレート部材または一対のプレート部材を有し、 前記一対のプレート部材は、その互いに対向する一対の端面が前記1つのプレート部材の一対の端面と当接するように取り付けられている。この場合、前記一対のプレート部材または1つのプレート部材と前記他方の梁部材との間、および前記1つのプレート部材または一対のプレート部材と前記制振装置の他方の端部との間には、所定の間隔が確保されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の第2発明では、対向する一対の梁部材の間に取り付けられた間柱の形態を有する制振装置であって、
前記間柱は、前記一対の梁部材のうちの一方の梁部材に対して一方の端部が剛接合された第1間柱と、前記一対の梁部材のうちの他方の梁部材に対して一方の端部が剛接合された第2間柱とを有し、
前記第1間柱の他方の端部と前記第2間柱の他方の端部とは、前記一対の梁部材を含む平面内の曲げモーメントを実質的に伝達しないように接合され
前記第1間柱および前記第2間柱の少なくとも一部は、構造物に入力された振動エネルギを履歴エネルギとして吸収するための履歴減衰部材から構成され、
前記第1間柱の他方の端部は、水平方向に沿って間隔を隔てた一対の支圧面を有し、
前記第2間柱の他方の端部は、前記一対の支圧面の各々に当接するように形成された一対の支圧面を有し、
前記第1間柱の一対の支圧面と前記第2間柱の一対の支圧面との当接により、前記平面内の曲げモーメントを実質的に伝達することなく、前記平面内のせん断力を伝達することを特徴とする制振装置を提供する。
【0012】
第2発明の好ましい態様によれば、前記第1間柱の他方の端部は、前記第2間柱の他方の端部に向かって突出した一対のプレート部材または1つのプレート部材を有し、前記第2間柱の他方の端部は、前記第1間柱の他方の端部に向かって突出した1つのプレート部材または一対のプレート部材を有し、前記一対のプレート部材は、その互いに対向する一対の端面が前記1つのプレート部材の一対の端面と当接するように取り付けられている。この場合、前記一対のプレート部材または1つのプレート部材と前記第2間柱の他方の端部との間、および前記1つのプレート部材または一対のプレート部材と前記第1間柱の他方の端部との間には、所定の間隔が確保されていることが好ましい。
【0013】
また、第1発明および第2発明の好ましい態様によれば、前記履歴減衰部材は、曲げ降伏に先行してせん断降伏が早期に起こるように設計されている。この場合、 前記履歴減衰部材を構成する部分のうち、主として曲げモーメントを負担する部分は一般の建築用鋼材から形成され、主としてせん断力を負担する部分は一般の建築用鋼材よりも実質的に降伏点の低い鋼材から形成されていることが好ましい。さらにこの場合、前記履歴減衰部材は、1つのウェブ部分と一対のフランジ部分とを備えた全体的にH形の断面を有し、前記ウェブ部分は、前記平面に沿って配置され、且つ前記降伏点の低い鋼材から形成されていることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の第1発明では、制振装置を構成する間柱の一端と一方の梁部材とが剛接合され、その他端と他方の梁部材とがピン接合されている。換言すると、第1発明では、間柱の柱頭または柱脚がピン接合されている。ただし、本明細書において、「ピン接合」とは、一対の梁部材を含む平面内の曲げモーメントを実質的に伝達することなく、この平面内における水平せん断力を伝達するように構成された接合を意味している。
【0015】
一方、第2発明では、制振装置を構成する間柱が一方の梁部材に剛接合された第1間柱と他方の梁部材に剛接合された第2間柱とから構成され、第1間柱と第2間柱とがピン接合されている。
なお、第1発明および第2発明において、制振装置を構成する間柱の少なくとも一部が、構造物に入力された振動エネルギを履歴エネルギとして吸収するための履歴減衰部材から構成されている。すなわち、第2発明では、第1間柱および第2間柱の少なくとも一部が、履歴減衰部材から構成されている。
【0016】
図1は、従来の両端剛接合間柱タイプの制振装置が負担する曲げモーメントを模式的に示す図である。また、図2は、第1発明にしたがう柱頭ピン接合間柱タイプの制振装置が負担する曲げモーメントを模式的に示す図である。さらに、図3は、第1発明にしたがう柱脚ピン接合間柱タイプの制振装置が負担する曲げモーメントを模式的に示す図である。また、図4は、第2発明にしたがう中間ピン接合間柱タイプの制振装置が負担する曲げモーメントを模式的に示す図である。なお、図1〜図4では、各層の間柱が負担するせん断力が例示的に一定となるように設定している。
【0017】
図1に示すように、従来の間柱タイプの制振装置では間柱の柱頭および柱脚がともに剛接合されているので、各間柱に発生する曲げモーメントはキャンチレバーとしての全体曲げモーメントの影響を受け、下層に配置された間柱では非常に大きな曲げモーメントを負担することがわかる。
これに対して、図2および図3に示すように、第1発明にしたがう制振装置では、間柱の柱頭または柱脚がピン接合されているので、各間柱に発生する曲げモーメントはほぼ同じとなり、下層に配置された間柱では図1に示す従来技術よりもかなり小さい曲げモーメントしか負担しないことがわかる。
【0018】
また、図4に示すように、第2発明にしたがう制振装置では、間柱の中間部がピン接合されているので、各間柱に発生する曲げモーメントは第1発明の場合よりもさらに小さく(たとえば半分)なることがわかる。
以上のように、本発明の制振装置では、負担する曲げモーメントの大きさを良好に抑えつつ、大きなせん断力を負担することができる。その結果、本発明の制振装置が組み込まれた構造物では、たとえば地震により入力された振動エネルギを高い制振効率で履歴エネルギとして吸収し、構造物の揺れを良好に抑えつつ、振動エネルギを早期に減衰させ、柱あるいは大梁などの主架構を健全なまま残すことができる。
【0019】
本発明の実施例を、添付図面に基づいて説明する。
図5は、本発明の第1実施例にかかる複数の制振装置が組み込まれた構造物全体をモデル化して示す図である。また、図6は、第1実施例にかかる制振装置が組み込まれた1つの典型的な柱梁架構部を拡大して示す図である。さらに、図7は、第1実施例にかかる制振装置の構成を概略的に示す拡大図である。なお、第1実施例では、柱頭ピン接合間柱タイプの制振装置に本発明を適用している。
【0020】
第1実施例の制振装置を構成する間柱1は、図5および図6に示すように、複数の柱部材2と複数の梁部材3とから構成された鉄骨ラーメン構造物において、鉛直方向に沿った一連の柱梁架構部に組みこまれている。すなわち、各制振装置は、図6を参照すると、上階の梁部材3aと下階の梁部材3bとの間に取り付けられた間柱の形態をしている。なお、間柱1が取り合う各梁部材は、一対の斜め補強部材4aおよび4bと支柱部材5とによって補強されているが、これら一対の斜め補強部材4および支柱部材5によって補強された梁部材全体(3〜5)が1つの梁部材を構成しているものと考えることができる。
【0021】
また、制振装置を構成する間柱1の柱頭は上階の梁部材3a(厳密には梁部材3aの支柱部材5)に対してピン接合され、その柱脚は下階の梁部材3bに対して剛接合されている。すなわち、ウェブ部分はボルトとプレートとを用いて、フランジ部分は現場溶接により(あるいはボルトとプレートとを用いて)、剛接合されている。
さらに、図7を参照すると、間柱1は、一対のフランジ部分11aおよび11bと1つのウェブ部分12とから構成され、全体的にH形の断面を有する。そして、フランジ部分11aおよび11bは一般の建築用鋼材から形成され、ウェブ部分12は一般の建築用鋼材よりもかなり低い降伏点を有する鋼材、すなわち極低降伏点鋼から形成されている。
【0022】
また、ウェブ部分12は、図7の紙面の表側において鉛直方向に沿って間隔を隔てて配置された複数の補剛部材12aと、紙面の裏側において水平方向に沿って間隔を隔てて配置された複数の補剛部材12bとによって補剛されている。したがって、たとえば地震に際して間柱1に面内曲げモーメントと面内水平せん断力とが作用すると、ウェブ部分12のせん断降伏がフランジ部分11の曲げ降伏に先行するが、ウェブ部分12は実質的にせん断座屈することなく安定的な塑性変形により、入力された振動エネルギを履歴エネルギとして消費(吸収)する。
【0023】
このように、第1実施例では、制振装置を構成する間柱1の全体が履歴減衰部材として構成され、その柱頭が梁部材に対してピン接合されている。なお、上述したように、本発明におけるピン接合とは、面内曲げモーメントを実質的に伝達することなく、せん断力を伝達するような接合である。本発明で要求されるピン接合の性能の特徴は、次のとおりである。
▲1▼ 伝達すべきせん断力が非常に大きい(たとえば数百トン)。
▲2▼ 伝達すべきせん断力の方向が面内水平方向の1つ(ただし向きは双方)だけである。すなわち、他の2つの主軸方向(面内鉛直方向および面外水平方向)に沿って伝達すべきせん断力がない。
▲3▼ ピンとしての所要の面内回転角が非常に小さい(たとえば0.005ラジアン以下)。
【0024】
上述の特徴に鑑みて、本実施例では、メタルタッチを利用したピン接合を提案している。図8は、第1実施例におけるピン接合の構成を概略的に説明する図であって、(a)はピン接合部分(図6のA部分)の拡大図であり、(b)はその斜視図である。
図8に示すように、上階の梁部材3aの支柱部材5には、制振装置を構成する間柱1へ向かって突出したプレート部材21が、工場溶接によって取り付けられている。一方、間柱1の柱頭には梁部材3aへ向かって突出した一対のプレート部材22および23が、現場溶接によって取り付けられている。図8(b)に明瞭に示すように、各プレート部材21〜23は、水平方向に延びるように配置され、その厚さ方向と鉛直方向とが一致している。
【0025】
この場合、梁部材3a側に取り付けられたプレート部材21の一方の端面(支圧面)21aと間柱1側に取り付けられた一方のプレート部材22の一方の端面22aとがメタルタッチ(当接)するようにプレート部材22の現場溶接が行われる。また、梁部材3a側に取り付けられたプレート部材21の他方の端面21bと間柱1側に取り付けられた他方のプレート部材23の一方の端面23aとがメタルタッチするようにプレート部材23の現場溶接が行われる。一対のプレート部材22および23の溶接は下向きとなるので、現場溶接の管理は比較的容易である。なお、梁部材3a側に取り付けられたプレート部材21と間柱1との間、および間柱1側に取り付けられた一対のプレート部材22および23と梁部材3aとの間には、所定の間隔(クリアランス)が確保されている。こうして、本実施例のピン接合では、メタルタッチの形成と所定のクリアランスの確保とにより、面内曲げモーメントを実質的に伝達することなく、面内水平方向のせん断力だけを伝達することができる。
【0026】
以上のように、第1実施例では、制振装置を構成する間柱の柱頭が対向する梁部材に対してピン接合されているので、負担する曲げモーメントの大きさを良好に抑えつつ、大きなせん断力を負担することができる。その結果、本実施例の制振装置が組み込まれた構造物では、たとえば地震により入力された振動エネルギを高い制振効率で履歴エネルギとして吸収し、構造物の揺れを良好に抑えつつ、振動エネルギを早期に減衰させ、柱あるいは大梁などの主架構を健全なまま残すことができる。
【0027】
図9は、本発明の第2実施例にかかる複数の制振装置が組み込まれた構造物全体をモデル化して示す図である。図10は、第2実施例におけるピン接合の構成を概略的に説明する図であって、(a)はピン接合部分の拡大図であり、(b)はその斜視図である。
第2実施例は、第1実施例と類似している。しかしながら、第1実施例では間柱の柱頭がピン接合されているの対し、第2実施例では間柱の柱脚がピン接合されている点が基本的に相違している。そこで、第2実施例では、第1実施例と基本的に同様の構成を有するピン接合を採用しているが、柱脚ピン接合に応じて所要の修正を加えている。
【0028】
図10に示すように、下階の梁部材には、制振装置を構成する間柱1へ向かって突出したプレート部材31が、現場溶接によって取り付けられている。一方、間柱1の柱脚には梁部材へ向かって突出した一対のプレート部材32および33が、工場溶接によって取り付けられている。この場合、プレート部材31の一方の端面31aとプレート部材32の一方の端面32aとがメタルタッチし、且つプレート部材31の他方の端面31bとプレート部材33の一方の端面33aとがメタルタッチするように、プレート部材31の現場溶接が行われる。プレート部材31の溶接は下向きとなるので、現場溶接の管理は比較的容易である。
【0029】
なお、プレート部材31と間柱1との間、および一対のプレート部材32および33と梁部材との間には、第1実施例と同様に、所定のクリアランスが確保されている。こうして、第2実施例のピン接合においても、面内曲げモーメントを実質的に伝達することなく、面内水平方向のせん断力だけを伝達することができる。その結果、第2実施例の場合も、第1実施例と同様に、負担する曲げモーメントの大きさを良好に抑えつつ、大きなせん断力を負担することができる。
【0030】
上述の第1実施例および第2実施例以外にも、様々な変形例が本発明の範囲内において可能である。以下、図11〜図21を参照して、本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する。なお、図11〜図21において、斜線部は履歴減衰部材を表している(図5および図9においても同様)。また、図11〜図21において、丸印はピン接合を表している(図2〜図4、図5および図9においても同様)。
図11では、制振装置を構成する間柱1の全体が履歴減衰部材から構成され、その柱頭がピン接合されている。第1実施例に対応するタイプである。
【0031】
図12では、制振装置を構成する間柱1の全体が履歴減衰部材から構成され、その柱脚がピン接合されている。第2実施例に対応するタイプである。
図13では、制振装置を構成する間柱1が第1間柱1aと第2間柱1bとから構成され、第1間柱1aと第2間柱1bとがピン接合されている。また、第1間柱1aの全体および第2間柱1bの全体がともに履歴減衰部材から構成されている。
【0032】
図14では、制振装置を構成する間柱1の一部(上方部分)だけが履歴減衰部材から構成され、その柱頭がピン接合されている。この場合、図15に示すように、下階の梁部材に対して一対の斜め補強部材4aおよび4bを付設することもできる。
図16では、制振装置を構成する間柱1の一部(下方部分)だけが履歴減衰部材から構成され、その柱脚がピン接合されている。この場合、図17に示すように、上階の梁部材に対して一対の斜め補強部材4aおよび4bを付設することもできる。
【0033】
図18では、制振装置を構成する間柱1が上方の第1間柱1aと下方の第2間柱1bとから構成され、第1間柱1aと第2間柱1bとがピン接合されている。そして、下方の第2間柱1bの全体だけが履歴減衰部材から構成されている。
図19では、制振装置を構成する間柱1が上方の第1間柱1aと下方の第2間柱1bとから構成され、第1間柱1aと第2間柱1bとがピン接合されている。そして、上方の第1間柱1aの全体だけが履歴減衰部材から構成されている。
【0034】
図20では、制振装置を構成する間柱1が上方の第1間柱1aと下方の第2間柱1bとから構成され、第1間柱1aと第2間柱1bとがピン接合されている。そして、下方の第2間柱1bの一部(上方部分)だけが履歴減衰部材から構成されている。
図21では、制振装置を構成する間柱1が上方の第1間柱1aと下方の第2間柱1bとから構成され、第1間柱1aと第2間柱1bとがピン接合されている。そして、上方の第1間柱1aの一部(下方部分)だけが履歴減衰部材から構成されている。
【0035】
なお、上述の各実施例では、鉄骨ラーメン構造物に本発明の制振装置を適用しているが、鉄骨以外の適当な構造物やラーメン構造以外の他の適当な構造に対しても本発明を適用することができる。
また、上述の各実施例では、せん断降伏先行型の制振装置に本発明を適用しているが、たとえば曲げ降伏先行型の制振装置に対しても本発明を適用することができる。
さらに、上述の各実施例および各変形例に限定されることなく、本発明の範囲内においてさらに様々な変形例が可能であることはいうまでもない。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の制振装置では、負担する曲げモーメントの大きさを良好に抑えつつ、大きなせん断力を負担することができる。その結果、本発明の制振装置が組み込まれた構造物では、たとえば地震により入力された振動エネルギを高い制振効率で履歴エネルギとして吸収し、構造物の揺れを良好に抑えつつ、振動エネルギを早期に減衰させ、柱あるいは大梁などの主架構を健全なまま残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の両端剛接合間柱タイプの制振装置が負担する曲げモーメントを模式的に示す図である。
【図2】第1発明にしたがう柱頭ピン接合間柱タイプの制振装置が負担する曲げモーメントを模式的に示す図である。
【図3】第1発明にしたがう柱脚ピン接合間柱タイプの制振装置が負担する曲げモーメントを模式的に示す図である。
【図4】第2発明にしたがう中間ピン接合間柱タイプの制振装置が負担する曲げモーメントを模式的に示す図である。
【図5】本発明の第1実施例にかかる複数の制振装置が組み込まれた構造物全体をモデル化して示す図である。
【図6】第1実施例にかかる制振装置が組み込まれた1つの典型的な柱梁架構部を拡大して示す図である。
【図7】第1実施例にかかる制振装置の構成を概略的に示す拡大図である。
【図8】第1実施例におけるピン接合の構成を概略的に説明する図であって、(a)はピン接合部分(図6のA部分)の拡大図であり、(b)はその斜視図である。
【図9】本発明の第2実施例にかかる複数の制振装置が組み込まれた構造物全体をモデル化して示す図である。
【図10】第2実施例におけるピン接合の構成を概略的に説明する図であって、(a)はピン接合部分の拡大図であり、(b)はその斜視図である。
【図11】本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する図である。
【図12】本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する図である。
【図13】本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する図である。
【図14】本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する図である。
【図15】本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する図である。
【図16】本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する図である。
【図17】本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する図である。
【図18】本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する図である。
【図19】本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する図である。
【図20】本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する図である。
【図21】本発明の基本的なバリエーションについて、網羅的に説明する図である。
【符号の説明】
1 間柱(制振装置)
2 柱部材
3 梁部材
4 斜め補強部材
5 支柱部材
11 フランジ部分
12 ウェブ部分
21〜23 プレート部材
31〜33 プレート部材

Claims (9)

  1. 対向する一対の梁部材の間に取り付けられた間柱の形態を有する制振装置であって、
    前記間柱の少なくとも一部は、構造物に入力された振動エネルギを履歴エネルギとして吸収するための履歴減衰部材から構成され、
    前記間柱の一方の端部と前記一対の梁部材のうちの一方の梁部材とは、前記一対の梁部材を含む平面内の曲げモーメントを伝達するように接合され、
    前記間柱の他方の端部と前記一対の梁部材のうちの他方の梁部材とは、前記平面内の曲げモーメントを実質的に伝達しないように接合され
    前記間柱の他方の端部は、水平方向に沿って間隔を隔てた一対の支圧面を有し、
    前記他方の梁部材は、前記一対の支圧面の各々に当接するように形成された一対の支圧面を有し、
    前記間柱の一対の支圧面と前記他方の梁部材の一対の支圧面との当接により、前記平面内の曲げモーメントを実質的に伝達することなく、前記平面内のせん断力を伝達することを特徴とする制振装置。
  2. 前記間柱の他方の端部は、前記他方の梁部材に向かって突出した一対のプレート部材または1つのプレート部材を有し、
    前記他方の梁部材は、前記間柱の他方の端部に向かって突出した1つのプレート部材または一対のプレート部材を有し、
    前記一対のプレート部材は、その互いに対向する一対の端面が前記1つのプレート部材の一対の端面と当接するように取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  3. 前記一対のプレート部材または1つのプレート部材と前記他方の梁部材との間、および前記1つのプレート部材または一対のプレート部材と前記制振装置の他方の端部との間には、所定の間隔が確保されていることを特徴とする請求項2に記載の制振装置。
  4. 対向する一対の梁部材の間に取り付けられた間柱の形態を有する制振装置であって、
    前記間柱は、前記一対の梁部材のうちの一方の梁部材に対して一方の端部が剛接合された第1間柱と、前記一対の梁部材のうちの他方の梁部材に対して一方の端部が剛接合された第2間柱とを有し、
    前記第1間柱の他方の端部と前記第2間柱の他方の端部とは、前記一対の梁部材を含む平面内の曲げモーメントを実質的に伝達しないように接合され、
    前記第1間柱および前記第2間柱の少なくとも一部は、構造物に入力された振動エネルギを履歴エネルギとして吸収するための履歴減衰部材から構成され、
    前記第1間柱の他方の端部は、水平方向に沿って間隔を隔てた一対の支圧面を有し、
    前記第2間柱の他方の端部は、前記一対の支圧面の各々に当接するように形成された一対の支圧面を有し、
    前記第1間柱の一対の支圧面と前記第2間柱の一対の支圧面との当接により、前記平面内の曲げモーメントを実質的に伝達することなく、前記平面内のせん断力を伝達することを特徴とする制振装置。
  5. 前記第1間柱の他方の端部は、前記第2間柱の他方の端部に向かって突出した一対のプレート部材または1つのプレート部材を有し、
    前記第2間柱の他方の端部は、前記第1間柱の他方の端部に向かって突出した1つのプレート部材または一対のプレート部材を有し、
    前記一対のプレート部材は、その互いに対向する一対の端面が前記1つのプレート部材の一対の端面と当接するように取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の制振装置。
  6. 前記一対のプレート部材または1つのプレート部材と前記第2間柱の他方の端部との間、および前記1つのプレート部材または一対のプレート部材と前記第1 間柱の他方の端部との間には、所定の間隔が確保されていることを特徴とする請求項5に記載の制振装置。
  7. 前記履歴減衰部材は、曲げ降伏に先行してせん断降伏が早期に起こるように設計されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の制振装置。
  8. 前記履歴減衰部材を構成する部分のうち、主として曲げモーメントを負担する部分は一般の建築用鋼材から形成され、主としてせん断力を負担する部分は一般の建築用鋼材よりも実質的に降伏点の低い鋼材から形成されていることを特徴とする請求項7に記載の制振装置。
  9. 前記履歴減衰部材は、1つのウェブ部分と一対のフランジ部分とを備えた全体的にH形の断面を有し、
    前記ウェブ部分は、前記平面に沿って配置され、且つ前記降伏点の低い鋼材から形成されていることを特徴とする請求項8に記載の制振装置。
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