JPH1122238A - 制振ブレースシステム - Google Patents
制振ブレースシステムInfo
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- JPH1122238A JPH1122238A JP18228597A JP18228597A JPH1122238A JP H1122238 A JPH1122238 A JP H1122238A JP 18228597 A JP18228597 A JP 18228597A JP 18228597 A JP18228597 A JP 18228597A JP H1122238 A JPH1122238 A JP H1122238A
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- elasto
- plastic
- viscous
- brace
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 弾塑性ダンパーと粘性ダンパーの配置を工夫
することにより、ブレースと建物架構との間に入力され
る相対的な加振力を、弾塑性ダンパーの曲げ変形を伴う
ことなく直接粘性ダンパーに入力して、比較的小さい振
動の減衰効果を高めると共に、弾塑性ダンパーと粘性ダ
ンパーとを配置する上下スペースを小さくして、階高を
低く抑制することができる制振ブレースシステムを提供
する。 【解決手段】 斜方ブレース18a,18bの先端部1
8cと下梁部材16aとの間に、弾塑性ダンパー20と
粘性ダンパー22,22とを直列配置する。弾塑性ダン
パー20の作用線L1 を、上記一対の斜方ブレース18
a,18bの仮想交点Cから下梁部材16aに平行に延
びる応力作用線L2 上に配置する一方、一対の粘性ダン
パー22,22を弾塑性ダンパー20の両端部に振り分
けて接続し、粘性ダンパー22,22の作用線L3 と応
力作用線L2 とを一致させる。
することにより、ブレースと建物架構との間に入力され
る相対的な加振力を、弾塑性ダンパーの曲げ変形を伴う
ことなく直接粘性ダンパーに入力して、比較的小さい振
動の減衰効果を高めると共に、弾塑性ダンパーと粘性ダ
ンパーとを配置する上下スペースを小さくして、階高を
低く抑制することができる制振ブレースシステムを提供
する。 【解決手段】 斜方ブレース18a,18bの先端部1
8cと下梁部材16aとの間に、弾塑性ダンパー20と
粘性ダンパー22,22とを直列配置する。弾塑性ダン
パー20の作用線L1 を、上記一対の斜方ブレース18
a,18bの仮想交点Cから下梁部材16aに平行に延
びる応力作用線L2 上に配置する一方、一対の粘性ダン
パー22,22を弾塑性ダンパー20の両端部に振り分
けて接続し、粘性ダンパー22,22の作用線L3 と応
力作用線L2 とを一致させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の斜方ブレー
スの交点側を、直列配置される弾塑性ダンパーと粘性ダ
ンパーの両者を介して建物架構に連結するようにした制
振ブレースシステムに関する。
スの交点側を、直列配置される弾塑性ダンパーと粘性ダ
ンパーの両者を介して建物架構に連結するようにした制
振ブレースシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、建物架構を補強する場合にブレ
ースが用いられる。該ブレースとしては実開平2−4
5246号公報(Int.Cl.E04H 9/02)や特開平6−2
6236号公報(Int.Cl.E04H 9/02)が一例として挙げ
られ、一対の斜方ブレースを組み合わせることにより、
K型やY型等のブレース構造として構成される。この種
のブレースでは建物に入力される振動を効果的に減衰す
るために、一対の斜方ブレースの交点側と建物架構との
間にオイルダンパー等の粘性ダンパーを設けたり(特
開平6−26236号公報)、また、粘性ダンパーと摩
擦ダンパーとを設けたものがあり(実開平2−452
46号公報)、これら粘性ダンパーおよび摩擦ダンパー
で振動エネルギーを吸収するようになっている。
ースが用いられる。該ブレースとしては実開平2−4
5246号公報(Int.Cl.E04H 9/02)や特開平6−2
6236号公報(Int.Cl.E04H 9/02)が一例として挙げ
られ、一対の斜方ブレースを組み合わせることにより、
K型やY型等のブレース構造として構成される。この種
のブレースでは建物に入力される振動を効果的に減衰す
るために、一対の斜方ブレースの交点側と建物架構との
間にオイルダンパー等の粘性ダンパーを設けたり(特
開平6−26236号公報)、また、粘性ダンパーと摩
擦ダンパーとを設けたものがあり(実開平2−452
46号公報)、これら粘性ダンパーおよび摩擦ダンパー
で振動エネルギーを吸収するようになっている。
【0003】ところで、大地震では過大振動が建物に入
力されるため、この過大振動を効果的に吸収するために
上記粘性ダンパーに代えて弾塑性ダンパーを設けた複合
制振装置が実開平4−111870号公報(Int.Cl.E
04H 9/02)に開示されている。弾塑性ダンパーは塑性化
する鋼材等が用いられ、これが降伏する時に振動エネル
ギーを効果的に吸収できるようになっており、上記粘性
ダンパーのみを設けたもの、更には摩擦ダンパーを付加
したものとは構造的にも振動吸収効果においても異なっ
ている。
力されるため、この過大振動を効果的に吸収するために
上記粘性ダンパーに代えて弾塑性ダンパーを設けた複合
制振装置が実開平4−111870号公報(Int.Cl.E
04H 9/02)に開示されている。弾塑性ダンパーは塑性化
する鋼材等が用いられ、これが降伏する時に振動エネル
ギーを効果的に吸収できるようになっており、上記粘性
ダンパーのみを設けたもの、更には摩擦ダンパーを付加
したものとは構造的にも振動吸収効果においても異なっ
ている。
【0004】しかし、かかる実開平4−111870
号公報に開示された弾塑性ダンパーは粘性ダンパーと並
列に配置されるため、微少振動が該弾塑性ダンパーを介
して伝達されることとなり、粘性ダンパーによる微少振
動の吸収機能が十分に発揮されなくなる。つまり、粘性
ダンパーは粘性流体が移動するときの粘性抵抗によって
小さな振動を減衰できる一方、弾塑性ダンパーは鋼材の
塑性化によって大きな振動を減衰できるものであり、こ
れらが並列に配置されることによりそれぞれが同時に機
能してしまう。
号公報に開示された弾塑性ダンパーは粘性ダンパーと並
列に配置されるため、微少振動が該弾塑性ダンパーを介
して伝達されることとなり、粘性ダンパーによる微少振
動の吸収機能が十分に発揮されなくなる。つまり、粘性
ダンパーは粘性流体が移動するときの粘性抵抗によって
小さな振動を減衰できる一方、弾塑性ダンパーは鋼材の
塑性化によって大きな振動を減衰できるものであり、こ
れらが並列に配置されることによりそれぞれが同時に機
能してしまう。
【0005】そこで、上記弾塑性ダンパーと上記粘性ダ
ンパーとを直列配置することにより、これら弾塑性ダン
パーと粘性ダンパーとの両者の機能を独立させて発揮さ
せることができるようにして、小さな振動に対しては粘
性ダンパーが機能し、過大振動に対しては弾塑性ダンパ
ーが効果的に機能するようにした制振構造が、特願平8
−142716号として本出願人によって提案されてい
る。これは図5に示すように相対向する柱1,1と、こ
れの上下端部間に架設される上,下梁2,2aとで区画
される空間S内で、上梁2から下梁2aに向かってV字
状に配置される一対の斜方ブレース3a,3aの交差部
分に弾塑性ダンパー4を取付け、そして、該弾塑性ダン
パー4の下端部から水平方向に粘性ダンパー5が取付け
られる。
ンパーとを直列配置することにより、これら弾塑性ダン
パーと粘性ダンパーとの両者の機能を独立させて発揮さ
せることができるようにして、小さな振動に対しては粘
性ダンパーが機能し、過大振動に対しては弾塑性ダンパ
ーが効果的に機能するようにした制振構造が、特願平8
−142716号として本出願人によって提案されてい
る。これは図5に示すように相対向する柱1,1と、こ
れの上下端部間に架設される上,下梁2,2aとで区画
される空間S内で、上梁2から下梁2aに向かってV字
状に配置される一対の斜方ブレース3a,3aの交差部
分に弾塑性ダンパー4を取付け、そして、該弾塑性ダン
パー4の下端部から水平方向に粘性ダンパー5が取付け
られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来のブレースシステムにおいて、水平加振力に対する
ブレース3の応力作用線L2 は、一対の斜方ブレース3
a,3aの交点C(または仮想交点)から上記下梁2a
にほぼ平行であるが、上記粘性ダンパー5は該交点Cよ
りも下方に取付けられるため、該粘性ダンパー5の作用
線L3 と上記応力作用線L2 とは上下に距離hだけ離隔
されることになる。このため、水平加振力が入力された
際に、上記交点Cと粘性ダンパー5の取付け点との間の
距離hをスパンとするモーメントが発生し、このモーメ
ントが弾塑性ダンパー4に曲げ力として作用することに
なる。従って、粘性ダンパー5に微振動を効率よく入力
するためには、上記弾塑性ダンパー4の剛性を相当に大
きくして弾塑性ダンパー4自体の曲げ変形を極力抑制す
る必要があり、延いては、弾塑性ダンパー4による塑性
変形の降伏点を最適値に設定するための調整が著しく困
難になってしまうという問題がある。
従来のブレースシステムにおいて、水平加振力に対する
ブレース3の応力作用線L2 は、一対の斜方ブレース3
a,3aの交点C(または仮想交点)から上記下梁2a
にほぼ平行であるが、上記粘性ダンパー5は該交点Cよ
りも下方に取付けられるため、該粘性ダンパー5の作用
線L3 と上記応力作用線L2 とは上下に距離hだけ離隔
されることになる。このため、水平加振力が入力された
際に、上記交点Cと粘性ダンパー5の取付け点との間の
距離hをスパンとするモーメントが発生し、このモーメ
ントが弾塑性ダンパー4に曲げ力として作用することに
なる。従って、粘性ダンパー5に微振動を効率よく入力
するためには、上記弾塑性ダンパー4の剛性を相当に大
きくして弾塑性ダンパー4自体の曲げ変形を極力抑制す
る必要があり、延いては、弾塑性ダンパー4による塑性
変形の降伏点を最適値に設定するための調整が著しく困
難になってしまうという問題がある。
【0007】また、上記弾塑性ダンパー4の曲げ剛性を
増大することなく、上記モーメントに対する剛性を増大
するためには、図示したように弾塑性ダンパー4位置に
支柱6を設けて上梁2に支持させる構造が採られる。こ
のように支柱6が設けられた場合には、該支柱6が柱
1,1と上,下梁2,2aとで区画される空間Sの中央
部に配置されるため、該空間S部分に窓とか出入り口等
の開口部を設けることが著しく困難になってしまう。
増大することなく、上記モーメントに対する剛性を増大
するためには、図示したように弾塑性ダンパー4位置に
支柱6を設けて上梁2に支持させる構造が採られる。こ
のように支柱6が設けられた場合には、該支柱6が柱
1,1と上,下梁2,2aとで区画される空間Sの中央
部に配置されるため、該空間S部分に窓とか出入り口等
の開口部を設けることが著しく困難になってしまう。
【0008】更に、上記ブレース3の応力作用線L2 と
上記粘性ダンパー5の作用線L3 との間に上下距離hが
存在することにより、必然的にブレース3の交点Cは上
方位置に設定され、つまりはブレースシステム全体を配
置するための上下スペースが大きくなってしまう。この
ため、斜方ブレース3a,3aの傾斜角を通常用いられ
る30゜〜45゜の範囲に収めようとした場合に、どう
しても階高が高くなってしまうため、階高を低くしたい
階層にはかかるブレースシステムを適用することができ
なくなってしまうという課題があった。
上記粘性ダンパー5の作用線L3 との間に上下距離hが
存在することにより、必然的にブレース3の交点Cは上
方位置に設定され、つまりはブレースシステム全体を配
置するための上下スペースが大きくなってしまう。この
ため、斜方ブレース3a,3aの傾斜角を通常用いられ
る30゜〜45゜の範囲に収めようとした場合に、どう
しても階高が高くなってしまうため、階高を低くしたい
階層にはかかるブレースシステムを適用することができ
なくなってしまうという課題があった。
【0009】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て、弾塑性ダンパーと粘性ダンパーの配置を工夫するこ
とにより、ブレースと建物架構との間に作用する相対的
な加振力を、弾塑性ダンパーの曲げ変形を伴うことなく
直接粘性ダンパーに入力することを可能にして比較的小
さい振動の減衰効果を高めると共に、弾塑性ダンパーと
粘性ダンパーとを配置する上下スペースを小さくして、
階高を低く抑制することができる制振ブレースシステム
を提供することを目的とする。
て、弾塑性ダンパーと粘性ダンパーの配置を工夫するこ
とにより、ブレースと建物架構との間に作用する相対的
な加振力を、弾塑性ダンパーの曲げ変形を伴うことなく
直接粘性ダンパーに入力することを可能にして比較的小
さい振動の減衰効果を高めると共に、弾塑性ダンパーと
粘性ダンパーとを配置する上下スペースを小さくして、
階高を低く抑制することができる制振ブレースシステム
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の請求項1に示す制振ブレースシステムは、
相対向する柱部材と、これら柱部材の上下端部を連結す
る上,下梁部材とで区画される空間内で、これら上,下
梁部材の一方から他方に向かってV字状に配置される一
対の斜方ブレースを備え、これら斜方ブレースまたはそ
の延長線が交差する側の先端部に弾塑性ダンパーと粘性
ダンパーとを直列配置したブレースシステムにおいて、
上記弾塑性ダンパーを、これの作用線が上記一対の斜方
ブレースの交点または仮想交点を経過して上記他方の梁
部材と平行に延びる該斜方ブレースの応力作用線上に配
置されるように当該斜方ブレースの先端部に取り付ける
と共に、上記粘性ダンパーを、これの作用線が上記斜方
ブレースの応力作用線と一致するように上記弾塑性ダン
パーに連結することにより構成する。
めに本発明の請求項1に示す制振ブレースシステムは、
相対向する柱部材と、これら柱部材の上下端部を連結す
る上,下梁部材とで区画される空間内で、これら上,下
梁部材の一方から他方に向かってV字状に配置される一
対の斜方ブレースを備え、これら斜方ブレースまたはそ
の延長線が交差する側の先端部に弾塑性ダンパーと粘性
ダンパーとを直列配置したブレースシステムにおいて、
上記弾塑性ダンパーを、これの作用線が上記一対の斜方
ブレースの交点または仮想交点を経過して上記他方の梁
部材と平行に延びる該斜方ブレースの応力作用線上に配
置されるように当該斜方ブレースの先端部に取り付ける
と共に、上記粘性ダンパーを、これの作用線が上記斜方
ブレースの応力作用線と一致するように上記弾塑性ダン
パーに連結することにより構成する。
【0011】また、本発明の請求項2に示す制振ブレー
スシステムにあっては、上記弾塑性ダンパーを、端部に
上記粘性ダンパーが連結される連結部材と、該連結部材
の両側に取付けられる弾塑性部材と、該弾塑性部材の外
側に設けられて上記斜方ブレースが取付けられる取付け
部材と、を備えて構成する。
スシステムにあっては、上記弾塑性ダンパーを、端部に
上記粘性ダンパーが連結される連結部材と、該連結部材
の両側に取付けられる弾塑性部材と、該弾塑性部材の外
側に設けられて上記斜方ブレースが取付けられる取付け
部材と、を備えて構成する。
【0012】更に、本発明の請求項3に示す制振ブレー
スシステムにあっては、上記粘性ダンパーを一対設け、
これら一対の粘性ダンパーを該弾塑性ダンパーの作用線
方向の両端部に、それぞれの作用線を一致させて連結す
ることにより構成する。
スシステムにあっては、上記粘性ダンパーを一対設け、
これら一対の粘性ダンパーを該弾塑性ダンパーの作用線
方向の両端部に、それぞれの作用線を一致させて連結す
ることにより構成する。
【0013】以上の構成により本発明の制振ブレースシ
ステムの作用を述べると、請求項1では斜方ブレースが
交差する側の先端部に弾塑性ダンパーと粘性ダンパーと
が直列配置されるようになっており、このように弾塑性
ダンパーと粘性ダンパーとを直列配置したことにより、
両ダンパーの特長を活かして微少振動から大振動までを
効果的に吸収して制振することができる。つまり、粘性
ダンパーは、粘性流体を強制的に移動させるときの抵抗
で微少振動から大振動までの振動エネルギーを吸収する
ことができる一方、弾塑性ダンパーは、大振動の入力に
より降伏されるときに効率よく振動エネルギーを吸収す
ることができる。このとき、上記弾塑性ダンパーを、こ
れの作用線が上記一対の斜方ブレースの交点または仮想
交点を経過して上記他方の梁部材と平行に延びる該斜方
ブレースの応力作用線上に配置されるように斜方ブレー
スの先端部に取り付けると共に、上記粘性ダンパーを、
これの作用線が上記斜方ブレースの応力作用線と一致す
るように上記弾塑性ダンパーに連結したので、ブレース
と建物架構との間に発生する相対変位力が弾塑性ダンパ
ーから粘性ダンパーにシリーズで伝達される際に、該弾
塑性ダンパーに曲げ力をほとんど発生させることなく粘
性ダンパーに伝達させることができる。従って、上記弾
塑性ダンパーが降伏されない程度の比較的小さい振動の
入力時には、該弾塑性ダンパーの変形を伴うことなく粘
性ダンパーに変位力を効率よく伝達することができ、延
いては、微少振動を含めた比較的小さい振動の吸収能力
を著しく高めることができる。また、上述したように斜
方ブレースの応力作用線上に弾塑性ダンパーの作用線を
配置すると共に、当該応力作用線と粘性ダンパーの作用
線とを一致させたので、これら弾塑性ダンパーと粘性ダ
ンパーとが梁部材とほぼ平行に一直線上に配置されるこ
とになる。このため、これら弾塑性ダンパーおよび粘性
ダンパーを配置するのに要する上下スペースを小さくす
ることができ、階層の階高を低く押さえることができ
る。
ステムの作用を述べると、請求項1では斜方ブレースが
交差する側の先端部に弾塑性ダンパーと粘性ダンパーと
が直列配置されるようになっており、このように弾塑性
ダンパーと粘性ダンパーとを直列配置したことにより、
両ダンパーの特長を活かして微少振動から大振動までを
効果的に吸収して制振することができる。つまり、粘性
ダンパーは、粘性流体を強制的に移動させるときの抵抗
で微少振動から大振動までの振動エネルギーを吸収する
ことができる一方、弾塑性ダンパーは、大振動の入力に
より降伏されるときに効率よく振動エネルギーを吸収す
ることができる。このとき、上記弾塑性ダンパーを、こ
れの作用線が上記一対の斜方ブレースの交点または仮想
交点を経過して上記他方の梁部材と平行に延びる該斜方
ブレースの応力作用線上に配置されるように斜方ブレー
スの先端部に取り付けると共に、上記粘性ダンパーを、
これの作用線が上記斜方ブレースの応力作用線と一致す
るように上記弾塑性ダンパーに連結したので、ブレース
と建物架構との間に発生する相対変位力が弾塑性ダンパ
ーから粘性ダンパーにシリーズで伝達される際に、該弾
塑性ダンパーに曲げ力をほとんど発生させることなく粘
性ダンパーに伝達させることができる。従って、上記弾
塑性ダンパーが降伏されない程度の比較的小さい振動の
入力時には、該弾塑性ダンパーの変形を伴うことなく粘
性ダンパーに変位力を効率よく伝達することができ、延
いては、微少振動を含めた比較的小さい振動の吸収能力
を著しく高めることができる。また、上述したように斜
方ブレースの応力作用線上に弾塑性ダンパーの作用線を
配置すると共に、当該応力作用線と粘性ダンパーの作用
線とを一致させたので、これら弾塑性ダンパーと粘性ダ
ンパーとが梁部材とほぼ平行に一直線上に配置されるこ
とになる。このため、これら弾塑性ダンパーおよび粘性
ダンパーを配置するのに要する上下スペースを小さくす
ることができ、階層の階高を低く押さえることができ
る。
【0014】また、請求項2では、上記弾塑性ダンパー
を、端部に上記粘性ダンパーが連結される連結部材と、
該連結部材の両側に取付けられる弾塑性部材と、該弾塑
性部材の外側に設けられて上記斜方ブレースが取付けら
れる取付け部材と、を備えて構成したので、ブレースと
建物架構との間に相対変位が生ずると、これに伴って上
記連結部材と上記取付け部材とが相対移動し、これによ
ってこれら両者間の弾塑性部材に剪断力が作用して、該
弾塑性部材が剪断降伏されることにより大振動が吸収さ
れる。従って、上記弾塑性部材が剪断降伏されるまで
は、ブレースと建物架構との間の相対変位力をそのまま
粘性ダンパーに伝達することができる。また、上記弾塑
性部材を連結部材の両側に取り付けたので、該弾塑性部
材が上下方向に突出することがなく上下スペースを小さ
くできる。
を、端部に上記粘性ダンパーが連結される連結部材と、
該連結部材の両側に取付けられる弾塑性部材と、該弾塑
性部材の外側に設けられて上記斜方ブレースが取付けら
れる取付け部材と、を備えて構成したので、ブレースと
建物架構との間に相対変位が生ずると、これに伴って上
記連結部材と上記取付け部材とが相対移動し、これによ
ってこれら両者間の弾塑性部材に剪断力が作用して、該
弾塑性部材が剪断降伏されることにより大振動が吸収さ
れる。従って、上記弾塑性部材が剪断降伏されるまで
は、ブレースと建物架構との間の相対変位力をそのまま
粘性ダンパーに伝達することができる。また、上記弾塑
性部材を連結部材の両側に取り付けたので、該弾塑性部
材が上下方向に突出することがなく上下スペースを小さ
くできる。
【0015】更に、請求項3では、上記粘性ダンパーを
一対設け、これら一対の粘性ダンパーを該弾塑性ダンパ
ーの作用線方向の両端部に、それぞれの作用線を一致さ
せて連結したので、該弾塑性ダンパーは両端部が粘性ダ
ンパーで支持されることになり、該弾塑性ダンパーの支
持性能を高めることができる。
一対設け、これら一対の粘性ダンパーを該弾塑性ダンパ
ーの作用線方向の両端部に、それぞれの作用線を一致さ
せて連結したので、該弾塑性ダンパーは両端部が粘性ダ
ンパーで支持されることになり、該弾塑性ダンパーの支
持性能を高めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照して詳細に説明する。図1から図4は本発明に
かかる制振ブレースシステムの一実施形態を示し、図1
は当該制振ブレースシステムの正面図、図2はその要部
の平面図、図3は作動状態を示す平面図、図4は建物架
構に水平荷重が作用した時の変形状態を説明するための
概略図である。
面を参照して詳細に説明する。図1から図4は本発明に
かかる制振ブレースシステムの一実施形態を示し、図1
は当該制振ブレースシステムの正面図、図2はその要部
の平面図、図3は作動状態を示す平面図、図4は建物架
構に水平荷重が作用した時の変形状態を説明するための
概略図である。
【0017】即ち、本実施形態の制振ブレースシステム
10の基本構成は、図1,図2に示すように建物架構1
2の補強用に用いられるもので、相対向する柱部材1
4,14aと、これら柱部材14,14aの上下端部を
連結する上,下梁部材16,16a(下梁部材としては
建物基礎であってもよい)とで区画される空間S内に、
これら上,下梁部材16,16aの一方から他方に向か
ってV字状に配置される一対の斜方ブレース18a,1
8bを備え、これら斜方ブレース18a,18bが交差
する側の先端部18cと、該先端部18cが指向する下
梁部材16aとの間に弾塑性ダンパー20と粘性ダンパ
ー22とを直列配置する。上記弾塑性ダンパー20は、
これの作用線L1 が上記一対の斜方ブレース18a,1
8bの仮想交点C(先端部18cを直接交差させた場合
には、斜方ブレース18a,18bの交点となる。)を
経過して上記下梁部材16aとほぼ平行に延びるブレー
ス18の応力作用線L2 上に配置されるように、斜方ブ
レース18a,18bの先端部18cに取り付ける。一
方、上記粘性ダンパー22は、これの作用線L3 が上記
ブレース18の応力作用線L2 と一致するように上記弾
塑性ダンパー20と上記下梁部材16aとの間に取り付
ける。また、本実施形態では上記粘性ダンパー22を一
対設け、これら粘性ダンパー22,22を上記弾塑性ダ
ンパー20の両端部に振り分けて連結するようになって
いる。このとき、これら粘性ダンパー22,22のそれ
ぞれの作用線L3 ,L3 は、上記ブレース18の応力作
用線L2と一致する。
10の基本構成は、図1,図2に示すように建物架構1
2の補強用に用いられるもので、相対向する柱部材1
4,14aと、これら柱部材14,14aの上下端部を
連結する上,下梁部材16,16a(下梁部材としては
建物基礎であってもよい)とで区画される空間S内に、
これら上,下梁部材16,16aの一方から他方に向か
ってV字状に配置される一対の斜方ブレース18a,1
8bを備え、これら斜方ブレース18a,18bが交差
する側の先端部18cと、該先端部18cが指向する下
梁部材16aとの間に弾塑性ダンパー20と粘性ダンパ
ー22とを直列配置する。上記弾塑性ダンパー20は、
これの作用線L1 が上記一対の斜方ブレース18a,1
8bの仮想交点C(先端部18cを直接交差させた場合
には、斜方ブレース18a,18bの交点となる。)を
経過して上記下梁部材16aとほぼ平行に延びるブレー
ス18の応力作用線L2 上に配置されるように、斜方ブ
レース18a,18bの先端部18cに取り付ける。一
方、上記粘性ダンパー22は、これの作用線L3 が上記
ブレース18の応力作用線L2 と一致するように上記弾
塑性ダンパー20と上記下梁部材16aとの間に取り付
ける。また、本実施形態では上記粘性ダンパー22を一
対設け、これら粘性ダンパー22,22を上記弾塑性ダ
ンパー20の両端部に振り分けて連結するようになって
いる。このとき、これら粘性ダンパー22,22のそれ
ぞれの作用線L3 ,L3 は、上記ブレース18の応力作
用線L2と一致する。
【0018】上記建物架構12は、柱部材14,14a
および上,下梁部材16,16aによってラーメン構造
の門型フレームとして構成され、上記一対の斜方フレー
ム18a,18bは、その上端部が柱部材14,14a
と上梁部材16との角部にブラケット24を介して結合
される。そして、斜方ブレース18a,18bの下端部
は上記仮想交点Cを指向して、上記空間Sの中心部方向
に所定角度αをもって傾斜され、上記弾塑性ダンパー2
0の取付け部材20c,20cに結合される。このよう
に結合された斜方ブレース18a,18bによりY型の
ブレース18が構成される。
および上,下梁部材16,16aによってラーメン構造
の門型フレームとして構成され、上記一対の斜方フレー
ム18a,18bは、その上端部が柱部材14,14a
と上梁部材16との角部にブラケット24を介して結合
される。そして、斜方ブレース18a,18bの下端部
は上記仮想交点Cを指向して、上記空間Sの中心部方向
に所定角度αをもって傾斜され、上記弾塑性ダンパー2
0の取付け部材20c,20cに結合される。このよう
に結合された斜方ブレース18a,18bによりY型の
ブレース18が構成される。
【0019】上記弾塑性ダンパー20は、両端部に上記
粘性ダンパー22,22が取付けられる連結部材20a
と、該連結部材20aの両側に水平方向に取付けられる
鋼板、鉛板等の弾塑性材料で形成される板状の弾塑性部
材20b,20bと、該弾塑性部材20b,20bの外
方側縁から起立されて上記斜方ブレース18a,18b
が取付けられる剛体状の取付け板20c,20cとを備
えることにより構成する。上記連結部材20aは所定厚
みをもった帯状の鋼材で形成され、両端部には上記粘性
ダンパー22,22を取り付けるための取付けフランジ
20d,20dが設けられる。また、上記弾塑性部材2
0bは断面がH型となるように、粘性ダンパー22,2
2の配置方向両端部にフランジ20e,20eが形成さ
れ、該フランジ20e,20eの強度を含めて上記弾塑
性部材20b,20bの降伏強度が決定される。
粘性ダンパー22,22が取付けられる連結部材20a
と、該連結部材20aの両側に水平方向に取付けられる
鋼板、鉛板等の弾塑性材料で形成される板状の弾塑性部
材20b,20bと、該弾塑性部材20b,20bの外
方側縁から起立されて上記斜方ブレース18a,18b
が取付けられる剛体状の取付け板20c,20cとを備
えることにより構成する。上記連結部材20aは所定厚
みをもった帯状の鋼材で形成され、両端部には上記粘性
ダンパー22,22を取り付けるための取付けフランジ
20d,20dが設けられる。また、上記弾塑性部材2
0bは断面がH型となるように、粘性ダンパー22,2
2の配置方向両端部にフランジ20e,20eが形成さ
れ、該フランジ20e,20eの強度を含めて上記弾塑
性部材20b,20bの降伏強度が決定される。
【0020】上記粘性ダンパー22,22はオイルダン
パとして構成され、オイルが封入されたシリンダ筒22
aと、該シリンダ筒22aから出没するピストンロッド
22bとを備える。ピストンロッド22bの先端部に設
けられた取付けブラケット22cは、継手26を介して
上記弾塑性ダンパー20の取付けフランジ20d,20
dに回動可能にピン結合される。一方、上記シリンダ筒
22aのボトム部分に設けられた取付けブラケット22
dは、下梁部材16aの両端角部に固設されたブラケッ
ト28,28に回動可能にピン結合される。
パとして構成され、オイルが封入されたシリンダ筒22
aと、該シリンダ筒22aから出没するピストンロッド
22bとを備える。ピストンロッド22bの先端部に設
けられた取付けブラケット22cは、継手26を介して
上記弾塑性ダンパー20の取付けフランジ20d,20
dに回動可能にピン結合される。一方、上記シリンダ筒
22aのボトム部分に設けられた取付けブラケット22
dは、下梁部材16aの両端角部に固設されたブラケッ
ト28,28に回動可能にピン結合される。
【0021】ここで、前記弾塑性ダンパー20にあって
は、外力が入力されると、連結部材20aと取付け板2
0c,20cとの間で図中左右方向の相対移動変位が発
生し、この相対移動によって上記弾塑性部材20b,2
0bに剪断力が作用するようになっている。そして、大
地震等により上記ブレース18と下梁部材16aとの間
の相対変位が大きくなると、上記弾塑性部材20bに作
用する剪断力も大きくなり、終には図3に示すように該
弾塑性部材20bが剪断降伏し、この剪断降伏する際に
上記相対変位力、つまり振動エネルギーが吸収されるこ
とになる。図3では取付け板20c,20cに対して連
結部材20aが図中右方に相対移動した場合を示した
が、これの逆の方向に相対移動して弾塑性部材20bが
剪断降伏する場合もある。
は、外力が入力されると、連結部材20aと取付け板2
0c,20cとの間で図中左右方向の相対移動変位が発
生し、この相対移動によって上記弾塑性部材20b,2
0bに剪断力が作用するようになっている。そして、大
地震等により上記ブレース18と下梁部材16aとの間
の相対変位が大きくなると、上記弾塑性部材20bに作
用する剪断力も大きくなり、終には図3に示すように該
弾塑性部材20bが剪断降伏し、この剪断降伏する際に
上記相対変位力、つまり振動エネルギーが吸収されるこ
とになる。図3では取付け板20c,20cに対して連
結部材20aが図中右方に相対移動した場合を示した
が、これの逆の方向に相対移動して弾塑性部材20bが
剪断降伏する場合もある。
【0022】従って、上記弾塑性ダンパー20は降伏す
る時の塑性変形で振動を減衰するようになっており、こ
のときの降伏耐力が大きいことから大きな振動に対して
減衰力を発生する。一方、前記粘性ダンパー22は粘性
流体の移動で振動減衰するので小さな振動から減衰力を
発生するが、この粘性ダンパー22には高い減衰係数を
付与して大きな振動領域まで減衰効果が発揮されるよう
に設定される。
る時の塑性変形で振動を減衰するようになっており、こ
のときの降伏耐力が大きいことから大きな振動に対して
減衰力を発生する。一方、前記粘性ダンパー22は粘性
流体の移動で振動減衰するので小さな振動から減衰力を
発生するが、この粘性ダンパー22には高い減衰係数を
付与して大きな振動領域まで減衰効果が発揮されるよう
に設定される。
【0023】以上の構成により本実施形態にあっては、
柱部材14,14aおよび上,下梁部材16,16aで
構成される建築架構12に地震による外力が入力される
と、建物架構12は図4に示すように例えば水平方向の
荷重Fに対して変形される。即ち、ラーメン構造を構成
する建物架構12では空間Sの四隅の角部の剛結状態を
保持しつつ、柱部材14,14aおよび上,下梁部材1
6,16aがたわみ変形される。そして、この建物架構
12の変形に伴ってブレース18に変形が発生し、この
変形に伴って制振ブレースシステム10を構成する弾塑
性ダンパー20および粘性ダンパー22,22に変位力
が入力される。
柱部材14,14aおよび上,下梁部材16,16aで
構成される建築架構12に地震による外力が入力される
と、建物架構12は図4に示すように例えば水平方向の
荷重Fに対して変形される。即ち、ラーメン構造を構成
する建物架構12では空間Sの四隅の角部の剛結状態を
保持しつつ、柱部材14,14aおよび上,下梁部材1
6,16aがたわみ変形される。そして、この建物架構
12の変形に伴ってブレース18に変形が発生し、この
変形に伴って制振ブレースシステム10を構成する弾塑
性ダンパー20および粘性ダンパー22,22に変位力
が入力される。
【0024】このとき、弾塑性ダンパー20と粘性ダン
パー22,22とは直列に配置されているので、建物架
構12に入力された振動力は、これら弾塑性ダンパー2
0と粘性ダンパー22,22の双方に作用し、これら両
者の相関関係をもって振動を減衰することができる。つ
まり、建物架構12に小さな振動が入力された場合に
は、粘性ダンパー22,22が作用して振動が減衰され
る一方、大きな振動が入力された場合には、弾塑性ダン
パー20の弾塑性部材20b,20bの降伏と相俟って
粘性ダンパー22,22が同時に作用して振動が減衰さ
れることになる。このため、建物架構12に入力される
振動の大小にかかわらず弾塑性ダンパー20および粘性
ダンパー22,22の特長を十分に活用して効果的に振
動減衰することができる。また、大振動の入力時に降伏
される弾塑性部材20b,20bを板状に形成したので
降伏点の設計が容易になり、延いては制振ブレースシス
テム10の設計を、実験を繰り返すことなく簡単な計算
によって行うことができる。
パー22,22とは直列に配置されているので、建物架
構12に入力された振動力は、これら弾塑性ダンパー2
0と粘性ダンパー22,22の双方に作用し、これら両
者の相関関係をもって振動を減衰することができる。つ
まり、建物架構12に小さな振動が入力された場合に
は、粘性ダンパー22,22が作用して振動が減衰され
る一方、大きな振動が入力された場合には、弾塑性ダン
パー20の弾塑性部材20b,20bの降伏と相俟って
粘性ダンパー22,22が同時に作用して振動が減衰さ
れることになる。このため、建物架構12に入力される
振動の大小にかかわらず弾塑性ダンパー20および粘性
ダンパー22,22の特長を十分に活用して効果的に振
動減衰することができる。また、大振動の入力時に降伏
される弾塑性部材20b,20bを板状に形成したので
降伏点の設計が容易になり、延いては制振ブレースシス
テム10の設計を、実験を繰り返すことなく簡単な計算
によって行うことができる。
【0025】ところで、本実施形態では建物架構12と
ブレース18との間に相対変位力が発生した場合、この
相対変位力は上記一対の斜方ブレース18a,18bの
仮想交点Cから下梁部材16aとほぼ平行に延びる応力
作用線L2 上に作用するが、本実施形態では上記弾塑性
ダンパー20の作用線L1 を上記応力作用線L2 上に配
置する一方、該弾塑性ダンパー20の両端部に接続され
る一対の粘性ダンパ22,22の作用線L3 を該応力作
用線L2 と一致させたので、ブレース18と建物架構1
2との間に発生する相対変位力は、弾塑性ダンパー20
に曲げ変形荷重として作用することがほとんどなく、該
弾塑性ダンパー20両端部の粘性ダンパー22,22に
伝達される。
ブレース18との間に相対変位力が発生した場合、この
相対変位力は上記一対の斜方ブレース18a,18bの
仮想交点Cから下梁部材16aとほぼ平行に延びる応力
作用線L2 上に作用するが、本実施形態では上記弾塑性
ダンパー20の作用線L1 を上記応力作用線L2 上に配
置する一方、該弾塑性ダンパー20の両端部に接続され
る一対の粘性ダンパ22,22の作用線L3 を該応力作
用線L2 と一致させたので、ブレース18と建物架構1
2との間に発生する相対変位力は、弾塑性ダンパー20
に曲げ変形荷重として作用することがほとんどなく、該
弾塑性ダンパー20両端部の粘性ダンパー22,22に
伝達される。
【0026】従って、上記弾塑性ダンパー20が降伏点
に至らない程度の比較的小さい振動の入力時には、該弾
塑性ダンパー20の変形を伴うことなく粘性ダンパー2
2,22に変位力を効率よく伝達することができ、延い
ては、比較的小さい振動の吸収能力を著しく高めること
ができる。また、上記弾塑性ダンパー20に曲げ応力が
ほとんど作用しないことから、該弾塑性ダンパー20を
支持するための支柱等を余分に設ける必要が無くなるた
め、柱部材14,14aおよび上,下梁部材16,16
aで囲まれる空間S内に開口部w(図1参照)が設置し
易くなる。
に至らない程度の比較的小さい振動の入力時には、該弾
塑性ダンパー20の変形を伴うことなく粘性ダンパー2
2,22に変位力を効率よく伝達することができ、延い
ては、比較的小さい振動の吸収能力を著しく高めること
ができる。また、上記弾塑性ダンパー20に曲げ応力が
ほとんど作用しないことから、該弾塑性ダンパー20を
支持するための支柱等を余分に設ける必要が無くなるた
め、柱部材14,14aおよび上,下梁部材16,16
aで囲まれる空間S内に開口部w(図1参照)が設置し
易くなる。
【0027】また、上記粘性ダンパー22,22は上記
弾塑性ダンパー20の両端部に対応して一対設けられ、
これら一対の粘性ダンパー22,22を該弾塑性ダンパ
ー20の両端部に振り分けて接続したので、弾塑性ダン
パー20は両端部が粘性ダンパー20,20を介して下
梁部材16aに支持されることになり、該弾塑性ダンパ
ー20の支持性能を高めることができる。従って、上述
したように上記弾塑性ダンパー20に曲げ変形力がほと
んど入力されないことと相俟って、該弾塑性ダンパー2
0の支持性能が高められることにより、該弾塑性ダンパ
ー20の強度を過剰に大きくする必要がない。このた
め、弾塑性ダンパー20は本来の目的である剪断降伏さ
せるに必要な強度のみを考慮すればよく、延いては、弾
塑性ダンパー20の弾塑性部材20bの材質とか板厚等
の設計を容易にすることができる。
弾塑性ダンパー20の両端部に対応して一対設けられ、
これら一対の粘性ダンパー22,22を該弾塑性ダンパ
ー20の両端部に振り分けて接続したので、弾塑性ダン
パー20は両端部が粘性ダンパー20,20を介して下
梁部材16aに支持されることになり、該弾塑性ダンパ
ー20の支持性能を高めることができる。従って、上述
したように上記弾塑性ダンパー20に曲げ変形力がほと
んど入力されないことと相俟って、該弾塑性ダンパー2
0の支持性能が高められることにより、該弾塑性ダンパ
ー20の強度を過剰に大きくする必要がない。このた
め、弾塑性ダンパー20は本来の目的である剪断降伏さ
せるに必要な強度のみを考慮すればよく、延いては、弾
塑性ダンパー20の弾塑性部材20bの材質とか板厚等
の設計を容易にすることができる。
【0028】更に、上述したように応力作用線L2 上に
弾塑性ダンパー20の作用線L1 を配置すると共に、該
応力作用線L2 と粘性ダンパー22,22の作用線L3
とを一致させたので、これら弾塑性ダンパー20と粘性
ダンパー22,22とが下梁部材16aとほぼ平行に一
直線上に配置されることになる。このため、これら弾塑
性ダンパー20および粘性ダンパー22,22を配置す
るのに要する上下スペースを低くすることができ、階層
の階高を低く押さえることができる。また、上記弾塑性
ダンパー20の弾塑性部材20bを連結部材20aの水
平方向両側に取り付けたので、該弾塑性部材20bが上
下方向に突出するのを防止でき、このことからも上下ス
ペースを小さくできる。
弾塑性ダンパー20の作用線L1 を配置すると共に、該
応力作用線L2 と粘性ダンパー22,22の作用線L3
とを一致させたので、これら弾塑性ダンパー20と粘性
ダンパー22,22とが下梁部材16aとほぼ平行に一
直線上に配置されることになる。このため、これら弾塑
性ダンパー20および粘性ダンパー22,22を配置す
るのに要する上下スペースを低くすることができ、階層
の階高を低く押さえることができる。また、上記弾塑性
ダンパー20の弾塑性部材20bを連結部材20aの水
平方向両側に取り付けたので、該弾塑性部材20bが上
下方向に突出するのを防止でき、このことからも上下ス
ペースを小さくできる。
【0029】本実施形態にあっては一対の斜方ブレース
18a,18bのV字状となったそれぞれの固定側一端
(図中上端部)を、上梁部材16の両端角部にブラケッ
ト24を介して取付けた場合を示したが、このように角
部に限ることなく上梁部材16の角部近傍の両端部に固
定してもよい。また、ブレース18を上下逆に配置し
て、斜方ブレース18a,18bの固定側一端を下梁部
材16aの両端角部または両端部に固定することもでき
る。この場合、斜方ブレース18a,18bの交差部は
上方に配置されて、弾塑性ダンパー20および粘性ダン
パー22,22は上梁部材16側に設けられることにな
る。
18a,18bのV字状となったそれぞれの固定側一端
(図中上端部)を、上梁部材16の両端角部にブラケッ
ト24を介して取付けた場合を示したが、このように角
部に限ることなく上梁部材16の角部近傍の両端部に固
定してもよい。また、ブレース18を上下逆に配置し
て、斜方ブレース18a,18bの固定側一端を下梁部
材16aの両端角部または両端部に固定することもでき
る。この場合、斜方ブレース18a,18bの交差部は
上方に配置されて、弾塑性ダンパー20および粘性ダン
パー22,22は上梁部材16側に設けられることにな
る。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
示す制振ブレースシステムにあっては、弾塑性ダンパー
と粘性ダンパーとを直列配置したことにより、両ダンパ
ーの特長を活かして微少振動から大振動までを効果的に
吸収して建物を制振できることは勿論のこと、上記弾塑
性ダンパーを、これの作用線が上記一対の斜方ブレース
の交点または仮想交点を経過して上記他方の梁部材と平
行に延びる斜方ブレースの応力作用線上に配置されるよ
うに上記斜方ブレースの先端部に取り付けると共に、上
記粘性ダンパーを、これの作用線が上記斜方ブレースの
応力作用線と一致するように上記弾塑性ダンパーに連結
したので、ブレースと建物架構との間に発生する相対変
位力を、該弾塑性ダンパーに曲げ力を発生させることな
く粘性ダンパーに伝達させることができる。従って、上
記弾塑性ダンパーが降伏点に至らない程度の小さい振動
の入力時には、該弾塑性ダンパーの変形を伴うことなく
粘性ダンパーに変位力を効率よく伝達することができ、
延いては、微少振動の吸収能力を著しく高めることがで
きる。また、このように応力作用線上に弾塑性ダンパー
を配置すると共に、該応力作用線と粘性ダンパーの作用
線とを一致させたので、これら弾塑性ダンパーと粘性ダ
ンパーとを梁部材とほぼ平行に一直線上に配置すること
ができるため、これら弾塑性ダンパーおよび粘性ダンパ
ーを配置するのに要する上下スペースを小さくすること
ができ、階層の階高を低く押さえることができる。更に
は、弾塑性ダンパーに曲げ応力が作用しないことから、
該弾塑性ダンパーを支持するための余分な支柱等を設け
る必要がないため、柱部材および上,下梁部材で囲まれ
る空間に開口部を設置し易くなる。
示す制振ブレースシステムにあっては、弾塑性ダンパー
と粘性ダンパーとを直列配置したことにより、両ダンパ
ーの特長を活かして微少振動から大振動までを効果的に
吸収して建物を制振できることは勿論のこと、上記弾塑
性ダンパーを、これの作用線が上記一対の斜方ブレース
の交点または仮想交点を経過して上記他方の梁部材と平
行に延びる斜方ブレースの応力作用線上に配置されるよ
うに上記斜方ブレースの先端部に取り付けると共に、上
記粘性ダンパーを、これの作用線が上記斜方ブレースの
応力作用線と一致するように上記弾塑性ダンパーに連結
したので、ブレースと建物架構との間に発生する相対変
位力を、該弾塑性ダンパーに曲げ力を発生させることな
く粘性ダンパーに伝達させることができる。従って、上
記弾塑性ダンパーが降伏点に至らない程度の小さい振動
の入力時には、該弾塑性ダンパーの変形を伴うことなく
粘性ダンパーに変位力を効率よく伝達することができ、
延いては、微少振動の吸収能力を著しく高めることがで
きる。また、このように応力作用線上に弾塑性ダンパー
を配置すると共に、該応力作用線と粘性ダンパーの作用
線とを一致させたので、これら弾塑性ダンパーと粘性ダ
ンパーとを梁部材とほぼ平行に一直線上に配置すること
ができるため、これら弾塑性ダンパーおよび粘性ダンパ
ーを配置するのに要する上下スペースを小さくすること
ができ、階層の階高を低く押さえることができる。更に
は、弾塑性ダンパーに曲げ応力が作用しないことから、
該弾塑性ダンパーを支持するための余分な支柱等を設け
る必要がないため、柱部材および上,下梁部材で囲まれ
る空間に開口部を設置し易くなる。
【0031】また、本発明の請求項2に示す制振ブレー
スシステムにあっては、上記弾塑性ダンパーを、端部に
上記粘性ダンパーが連結される連結部材と、該連結部材
の両側に取付けられる弾塑性部材と、該弾塑性部材の外
側に設けられて上記斜方ブレースが取付けられる取付け
部材と、を備えて構成したので、ブレースと建物架構と
の間に相対変位が生ずると、これに伴って上記連結部材
と上記取付け部材とが相対移動し、これによってこれら
両者間の弾塑性部材に剪断力が作用して、該弾塑性部材
が剪断降伏されることにより大振動を吸収することがで
きる。また、上記弾塑性部材を連結部材の両側に取り付
けたので、該弾塑性部材が上下方向に突出することがな
く上下スペースを小さくできる。
スシステムにあっては、上記弾塑性ダンパーを、端部に
上記粘性ダンパーが連結される連結部材と、該連結部材
の両側に取付けられる弾塑性部材と、該弾塑性部材の外
側に設けられて上記斜方ブレースが取付けられる取付け
部材と、を備えて構成したので、ブレースと建物架構と
の間に相対変位が生ずると、これに伴って上記連結部材
と上記取付け部材とが相対移動し、これによってこれら
両者間の弾塑性部材に剪断力が作用して、該弾塑性部材
が剪断降伏されることにより大振動を吸収することがで
きる。また、上記弾塑性部材を連結部材の両側に取り付
けたので、該弾塑性部材が上下方向に突出することがな
く上下スペースを小さくできる。
【0032】更に、本発明の請求項3に示す制振ブレー
スシステムにあっては、上記粘性ダンパーを上記弾塑性
ダンパーの両端部に対応して一対設け、これら一対の粘
性ダンパーを該弾塑性ダンパーの両端部に振り分けて連
結したので、該弾塑性ダンパーは両端部が粘性ダンパー
で支持されることになり、該弾塑性ダンパーの支持性能
を高めることができるという各種優れた効果を奏する。
スシステムにあっては、上記粘性ダンパーを上記弾塑性
ダンパーの両端部に対応して一対設け、これら一対の粘
性ダンパーを該弾塑性ダンパーの両端部に振り分けて連
結したので、該弾塑性ダンパーは両端部が粘性ダンパー
で支持されることになり、該弾塑性ダンパーの支持性能
を高めることができるという各種優れた効果を奏する。
【図1】本発明にかかる制振ブレースシステムの一実施
形態を示す正面図である。
形態を示す正面図である。
【図2】図1の制振ブレースシステムの要部を示す平面
図である。
図である。
【図3】図1の制振ブレースシステムの作動状態の平面
図である。
図である。
【図4】本発明が適用される建物架構に水平荷重が作用
した時の変形状態を説明する概略図である。
した時の変形状態を説明する概略図である。
【図5】従来のブレースシステムを示す正面図である。
10 制振ブレースシステム 12 建物架構 14,14a 柱部材 16 上梁部材 16a 下梁部材 18 ブレース 18a,18b 斜方ブレース 20 弾塑性ダンパー 20a 連結部材 20b 弾塑性部材 20c 取付け板 22 粘性ダンパー L1 弾塑性ダンパーの作用線 L2 斜方ブレースの応力作用線 L3 粘性ダンパーの作用線 C 仮想交点 S 空間
Claims (3)
- 【請求項1】 相対向する柱部材と、これら柱部材の上
下端部を連結する上,下梁部材とで区画される空間内
で、これら上,下梁部材の一方から他方に向かってV字
状に配置される一対の斜方ブレースを備え、これら斜方
ブレースまたはその延長線が交差する側の先端部に弾塑
性ダンパーと粘性ダンパーとを直列配置したブレースシ
ステムにおいて、 上記弾塑性ダンパーを、これの作用線が上記一対の斜方
ブレースの交点または仮想交点を経過して上記他方の梁
部材と平行に延びる該斜方ブレースの応力作用線上に配
置されるように当該斜方ブレースの先端部に取り付ける
と共に、上記粘性ダンパーを、これの作用線が上記斜方
ブレースの応力作用線と一致するように上記弾塑性ダン
パーに連結したことを特徴とする制振ブレースシステ
ム。 - 【請求項2】 上記弾塑性ダンパーは、端部に上記粘性
ダンパーが連結される連結部材と、該連結部材の両側に
取付けられる弾塑性部材と、該弾塑性部材の外側に設け
られて上記斜方ブレースが取付けられる取付け部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の制振ブレー
スシステム。 - 【請求項3】 上記粘性ダンパーを一対設け、これら一
対の粘性ダンパーを該弾塑性ダンパーの作用線方向の両
端部に、それぞれの作用線を一致させて連結したことを
特徴とする請求項1または2に記載の制振ブレースシス
テム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18228597A JPH1122238A (ja) | 1997-07-08 | 1997-07-08 | 制振ブレースシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18228597A JPH1122238A (ja) | 1997-07-08 | 1997-07-08 | 制振ブレースシステム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1122238A true JPH1122238A (ja) | 1999-01-26 |
Family
ID=16115612
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18228597A Pending JPH1122238A (ja) | 1997-07-08 | 1997-07-08 | 制振ブレースシステム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1122238A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007211503A (ja) * | 2006-02-10 | 2007-08-23 | Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd | 建物の制震装置並びに建築構造物 |
-
1997
- 1997-07-08 JP JP18228597A patent/JPH1122238A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007211503A (ja) * | 2006-02-10 | 2007-08-23 | Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd | 建物の制震装置並びに建築構造物 |
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