JPH10183113A - 蛍光体とその製造方法 - Google Patents

蛍光体とその製造方法

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JPH10183113A
JPH10183113A JP34299596A JP34299596A JPH10183113A JP H10183113 A JPH10183113 A JP H10183113A JP 34299596 A JP34299596 A JP 34299596A JP 34299596 A JP34299596 A JP 34299596A JP H10183113 A JPH10183113 A JP H10183113A
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Toshifumi Kondo
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一定の形状で一定の粒径の単分散蛍光体粒子
とその製造方法を提供することを目的としている。 【解決手段】 両性金属化合物の高濃度水和ゲルから析
出・成長させ粒子化させた両性金属酸化物の、平均粒径
0.3〜30[μm]の単分散多孔質粒子を原料とし、
これに熱時反応性の陽性金属化合物と熱時反応性の希土
類金属化合物とを混合し前記単分散多孔質粒子の融点以
下の温度で焼成することにより、母材の一部を形成する
陽性金属酸化物と付活イオンを形成する希土類金属酸化
物とが原子・分子オーダーでドープされて合成された、
前記単分散多孔質粒子に近似の粒子形状の複合金属酸化
物の単分散蛍光体粒子よりなる蛍光体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、おもに蛍光ランプ
に用いる新規な粒子形状の蛍光体とその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、蛍光ランプは蛍光体層を内側に形
成したガラス管内に水銀とアルゴンガスとが封入され、
放電によって水銀蒸気から発生する紫外線が有効に蛍光
体層によって可視光に変換され、光源として利用され
る。
【0003】一般照明用の白色光放射蛍光体層を有する
蛍光ランプでは、ランプ効率や演色性の改善等のため
に、赤、緑、青にそれぞれ発光ピークをもつ3種類の蛍
光体を混合した、いわゆる3波長型の蛍光体によって白
色光放射蛍光体層をガラスバルブ内壁に形成した蛍光ラ
ンプが近年一般的であり、特に前記3種類の蛍光体とし
て希土類元素を付活イオンとして含有した金属化合物
(おもに金属シリケート、金属アルミネートなどの複合
金属酸化物や、金属リン酸塩、金属ホウ酸塩、金属タン
グステン酸塩など)からなる蛍光粉体を管壁に固着して
蛍光体層を形成した明るくて省エネルギーの蛍光ランプ
が多く用いられている。
【0004】かかる3波長型の蛍光体層を形成する希土
類蛍光粉体には、Eu付活酸化イットリウム、CeMn
付活ホウ酸ガドリニウムマグネシウムなどの赤色蛍光粉
体や、Tb付活アルミン酸セリウムマグネシウム、Ce
Tb付活燐酸ランタン、CeTb付活ケイ酸イットリウ
ム、CeTb付活ホウ酸ガドリニウムマグネシウム、M
n付活ケイ酸亜鉛などの緑色蛍光粉体や、Eu付活アル
ミン酸バリウムマグネシウム、Eu付活ハロリン酸バリ
ウムカルシウムマグネシウムなどの青色蛍光粉体などが
混合して用いられている。
【0005】また蛍光体は、プラズマディスプレー管
や、紫外線でなく電子線で励起して発光させるブラウン
管や蛍光表示管にも用いられており、蛍光体の用途によ
って材料組成や粒子の構造が異なっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の蛍光体
の粒子は、数[μm]径の粒子が好適とされていたが、
いずれの製造方法も蛍光体を焼成合成すると、生成した
蛍光体粒子は比較的広い粒度分布を有し、粒径が一定で
ばらつきのない単分散の蛍光体粒子が得られず、蛍光特
性が大きく向上しないという問題点があった。
【0007】また、塗布によって蛍光層を形成する場合
にも、蛍光体のサスペンション中で粒度の大きい粒子が
沈降し易く塗布するにしたがってサスペンションの組成
が変化を起こし蛍光体層の特性に変化が起こるという問
題点があった。
【0008】そこで、本発明は一定の形状で一定の粒径
の単分散蛍光体粒子を提供することを第1の目的として
いる。
【0009】第2の目的は上記単分散蛍光体粒子の製造
方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明は両性金属化合物の高濃度水和ゲルか
ら析出・成長させ粒子化させた両性金属酸化物の、平均
粒径0.3〜30[μm]の単分散多孔質粒子中に、母
材の一部を形成する陽性金属酸化物と付活イオンを形成
する希土類金属酸化物とが原子・分子オーダーでドープ
されて合成された、前記単分散多孔質粒子に近似の粒子
形状の複合金属酸化物の単分散蛍光体粒子よりなる蛍光
体で構成される。
【0011】これにより、上記の単分散多孔質粒子を用
いることにより、一定の形状で一定の粒径の単分散蛍光
体粒子が得られる。
【0012】また、第2の目的を達成するために、本発
明は両性金属化合物の高濃度水和ゲルに形態制御ゲル添
加剤を加えて両性金属酸化物を析出・成長させて粒子化
させた微粒子分散ゾルを形成させ平均粒径0.3〜30
[μm]の単分散多孔質粒子の生成工程と、前記単分散
多孔質粒子と熱時反応性の陽性金属化合物と熱時反応性
の希土類金属化合物とを混合する混合工程と、この混合
物を前記単分散多孔質粒子の融点以下の温度で焼成する
焼成工程とを有し、前記単分散多孔質粒子の形状に近似
の複合金属酸化物の単分散蛍光体粒子を合成してなる蛍
光体の製造方法より構成される。
【0013】これにより、一定の形状で一定の粒径の単
分散蛍光体粒子が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)本発明の請求項1に記載の発明は、両
性金属化合物の高濃度水和ゲルから析出・成長させ粒子
化させた両性金属酸化物の、平均粒径0.3〜30[μ
m]の単分散多孔質粒子中に、母材の一部を形成する陽
性金属酸化物と付活イオンを形成する希土類金属酸化物
とが原子・分子オーダーでドープされて合成された、前
記単分散多孔質粒子に近似の粒子形状の複合金属酸化物
の単分散蛍光体粒子よりなる蛍光体としたものである。
【0015】本発明によれば、両性金属化合物の高濃度
水和ゲルから両性金属酸化物の微粒子ゾルが生成され単
分散多孔質粒子が作られ、これを基に近似の粒子形状の
複合金属酸化物の単分散蛍光体粒子が得られる。
【0016】上記両性金属化合物とは、両性金属元素の
水酸化物や塩をいい、これの水和ゲルから両性金属酸化
物が析出・成長して粒子化する。
【0017】ここで単分散とは、粒径分布の標準偏差を
平均粒径で割った変動係数が0.1以下であるものをい
う。日本結晶学会誌第34巻第244頁(1992年)
に、この単分散の定義と単分散粒子の作り方の一例が紹
介されている。また、最近この方法を用いた各種の材料
よりなる単分散粒子の合成例が、工業材料第44巻11
月号第110頁(1996年)に開示されている。
【0018】また、単分散多孔質粒子は、多結晶の粒子
あるいは非晶質の粒子より構成され、その粒子形状は、
球形、立方体、板状体、多面体など各種の定まった幾何
学形状を有するという特徴がある。本発明に用いる単分
散多孔質粒子は平均粒径0.3〜30[μm]が好まし
く、中でも数[μm]径の粒子が一般に最も蛍光輝度が
高く好ましい。
【0019】本発明に用いる両性金属には、Zn、C
d、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、
As、Sb、Bi等があるが、本発明では中でもB、A
l、Si、Ge、Asの水酸化物や塩を両性金属化合物
としてよく用いる。
【0020】母材の一部を形成する陽性金属酸化物に
は、一般金属元素の金属酸化物がこれに属するが、おも
にアルカリ土類金属元素を中心とした金属酸化物を用い
る。
【0021】付活イオンを形成する希土類金属酸化物に
は、ランタニド、Yなどの希土類金属酸化物を用いる。
【0022】図1は本発明に用いる単分散多孔質粒子の
一例を示す図であり、図2はその中の一個の粒子の拡大
模式図であり、図3は蛍光体粒子一個の拡大模式図であ
る。単分散多孔質粒子1は単結晶セグメント2が集合し
た多結晶粒子であり、これに熱時反応性金属化合物を加
えて焼成し、蛍光体粒子3が合成される。
【0023】(実施の形態2)本発明の請求項2に記載
の発明は、複合金属酸化物が、希土類金属イオンで付活
された、金属アルミン酸塩、金属ケイ酸塩、金属ホウ酸
塩のうちのいずれかよりなる請求項1に記載の蛍光体と
したものであり、優れた蛍光体粒子を形成するという作
用を有する。
【0024】この複合金属酸化物は、両性金属として
B、Al、Siのいずれかを用いて、希土類金属イオン
で付活された、金属アルミン酸塩、金属ケイ酸塩、金属
ホウ酸塩のいずれかよりなる蛍光体を形成する。この金
属には、アルカリ土類金属が適しており、付活金属イオ
ンにはおもに希土類金属イオンを用いる。
【0025】この具体的な化合物としては、3波長型の
希土類蛍光体として応用できる、CeMn付活ホウ酸ガ
ドリニウムマグネシウム、Tb付活アルミン酸セリウム
マグネシウム、CeTb付活ケイ酸イットリウム、Ce
Tb付活ホウ酸ガドリニウムマグネシウム、Mn付活ケ
イ酸亜鉛、Eu付活アルミン酸バリウムマグネシウムな
どがある。
【0026】(実施の形態3)本発明の請求項3に記載
の発明は、両性金属化合物の高濃度水和ゲルに形態制御
ゲル添加剤を加えて両性金属酸化物を析出・成長させて
粒子化させた微粒子分散ゾルを形成させ、平均粒径0.
3〜30[μm]の単分散多孔質粒子の生成工程と、前
記単分散多孔質粒子と熱時反応性の陽性金属化合物と熱
時反応性の希土類金属化合物とを混合する混合工程と、
この混合物を前記単分散多孔質粒子の融点以下の温度で
焼成する焼成工程とを有し、前記単分散多孔質粒子の形
状に近似の複合金属酸化物の単分散蛍光体粒子を合成し
てなる蛍光体の製造方法としたものである。
【0027】高濃度水和ゲルは水素結合ネットワークを
形成しているが、これに形態制御ゲル添加剤を作用させ
て両性金属酸化物を析出・成長させて粒子化させた単分
散多孔質粒子ゾルを生成させ、この単分散多孔質粒子を
基にしてこれに近似の粒子形状の複合金属酸化物の単分
散蛍光体粒子を合成する。
【0028】本発明の方法において、上記高濃度水和ゲ
ルは詳しく表現すると「アクアゲル」であり、これから
両性金属酸化物を析出・成長させて粒子化させた微粒子
「エアロゾル」を得る方法である。一方、一般にゾル−
ゲル法と呼ばれる方法は、詳しく表現すると一般に金属
アルコキシドの「ソルバトゾル」から(加水)分解反応
を経由して「金属酸化物ゲル」を得る方法であり、本発
明とは異なっている。
【0029】上記高濃度水和ゲルは、両性金属元素の水
酸化物や塩を含有する水溶液あるいは水性サスペンショ
ンからなるが、上記の高濃度水和ゲルにはまた、水のほ
かにアセトアミド、ホルムアミド、エチレンジアミン、
アルコール、グリコール、フェノール類などのアミド基
やアミノ基や水酸基などを有する水素結合性溶媒や緩衝
溶媒などを一緒に加えて良質の水和ゲルを形成すること
ができる。
【0030】形態制御ゲル添加剤は、両性金属酸化物の
核生成、析出、成長の形態を制御する。このゲル添加剤
が制御する「形態」とは、粒子のサイズ分布、形状、単
結晶粒子径、結晶構造、空隙、化学組成、多結晶の晶相
などのことをいう。
【0031】両性金属化合物の高濃度水和ゲル中の水素
結合ネットワークが形態制御ゲル添加剤によって分断さ
れ、その中に両性金属酸化物の核が生成し、次第に析出
・成長してゾル化し粒径の揃った微粒子分散ゾルを形成
する。この微粒子形成過程はエピタキシャル成長の様式
をとる。この過程では、安定核から結晶が大きく成長し
不安定核からの粒子はむしろ次第に溶解して、その結果
単分散の粒子群を形成する。またこの過程では、形態制
御ゲル添加剤の浸透性によって粒子内の単結晶性に差が
生じ、浸透性の高いゲル添加剤を用いることによって粒
子の内部が多孔質になり、多結晶構造あるいは非晶質の
単分散多孔質粒子を形成する。
【0032】生成した単分散多孔質粒子中の不純物は、
水洗あるいは焼成によって除く。形態制御ゲル添加剤と
しては、焼成時に熱分解気化して除くことの可能な熱分
解気化性電解質が最も適しており、その例として硝酸ア
ンモニウム、硫酸アンモニウム、カルボン酸アンモニウ
ム、炭酸アンモニウム、アンモニアなどがある。単分散
多孔質粒子中には粒子生成過程で形態制御ゲル添加剤が
取り込まれる場合が多いが、上記の熱分解気化性電解質
は粒子の焼成過程で気化して除かれるため、好適であ
る。
【0033】この単分散多孔質粒子の形成は、核形成と
拡散成長の2過程よりなり拡散成長過程が律速となって
単分散粒子が成長する。即ち、適した種類の形態制御ゲ
ル添加剤の濃度、即ち電解質濃度を上げることにより、
このような形成過程が好適に進む。安定核が大きな粒子
に成長し、一方不安定核の微粒子は成長途中で逆に成長
速度が低下し溶解して小さくなって消滅していくという
過程をたどり大きな単分散粒子が得られる。
【0034】上記の陽性金属化合物と希土類金属化合物
の”熱時反応性”とは、化合物が焼成温度で分解性や流
動性や反応性を有することをいい、この焼成時の作用に
よって単分散多孔質粒子がうまく蛍光体粒子に合成され
る。
【0035】図4は、本発明の蛍光体の製造工程の流れ
を示す。 (実施の形態4)本発明の請求項4に記載の発明は、陽
性金属化合物が、硝酸、炭酸、カルボン酸より選ばれた
少なくとも一種とのアルカリ土類金属塩である請求項3
に記載の蛍光体の製造方法としたものであり、化合物が
焼成温度で分解性や流動性や反応性を有し、複合金属酸
化物を形成し易いという作用を有する。
【0036】この際に単分散多孔質粒子の粒子形状が崩
壊しない条件で、フラックス作用のある化合物を添加す
ることも可能である。
【0037】熱時反応性の陽性金属化合物としては、硝
酸や炭酸やカルボン酸等のアルカリ土類金属塩が適して
いるが、0.1[μm]以下の超微粒子であれば、粒径
が小さいほど粒子表面の熱活性が高く反応性に富むため
金属酸化物でも用いることができる。
【0038】カルボン酸としては、マレイン酸、コハク
酸、シュウ酸、クエン酸、オキシカルボン酸、アセチル
酢酸、アミノ酸などがあるが、一般にはシュウ酸を用い
ることが多い。
【0039】焼成工程は、上記原料を充分に混合した
後、還元または酸化雰囲気で1000〜1600[℃]
の温度範囲で焼成することによって本発明の蛍光体を合
成することができる。
【0040】(実施の形態5)本発明の請求項5に記載
の発明は、希土類金属化合物が硝酸、炭酸、カルボン
酸、ジケトネートより選ばれた少なくとも一種との希土
類金属塩である請求項3に記載の蛍光体の製造方法とし
たものであり、化合物が焼成温度で分解性や流動性や反
応性を有し、複合金属酸化物を形成し易いという作用を
有する。
【0041】熱時反応性の希土類金属化合物としては、
硝酸や炭酸やカルボン酸等の希土類金属塩が適している
が、上記のアルカリ金属酸化物と同様に、0.1[μ
m]以下の超微粒子であれば、粒子表面の熱活性が高く
反応性に富むため金属酸化物でも用いることができる。
【0042】カルボン酸としては、上記と同様にマレイ
ン酸、コハク酸、シュウ酸、クエン酸、オキシカルボン
酸、アセチル酢酸、アミノ酸などがあるが、一般にはシ
ュウ酸を用いることが多い。
【0043】ジケトネート類としては、金属アセチルア
セトネート、金属アルカンジオネートなどを用いること
ができる。
【0044】焼成工程は、上記原料を充分に混合した
後、上記と同様還元または酸化雰囲気で1000〜16
00[℃]の温度範囲で焼成することによって本発明の
蛍光体を合成することができる。融点の低い両性金属酸
化物の単分散多孔質粒子を用いる場合には、その融点を
越さない温度で一次焼成をして複合金属酸化物を合成
し、次いでより高温度の二次焼成で結晶構造を発達させ
ればよい。
【0045】(実施の形態6)本発明の請求項6に記載
の発明は、形態制御ゲル添加剤が界面活性能を有する有
機電解質を含む水溶性溶液である請求項3に記載の蛍光
体の製造方法としたものであり、ゲル中の水素結合網に
対して界面活性能を有する有機電解質を含む水溶性溶液
は浸透性と有機分子構造成分による界面活性作用を有す
るためゾル化をうまく促進させるという作用を有する。
【0046】この有機電解質とは、イオン性高分子、界
面活性剤などであるが、分子構造中にゲルに対する部分
親和性(例えばアルキレンオキシド基やアルコキシ基な
ど)を有する構造の分子が好適である。この有機電解質
は脂肪族分子である方が焼成時にきれいに分解し易い。
【0047】この有機電解質の例としては、有機スルフ
ォン酸、カルボン酸などの金属塩や、有機第4級アンモ
ニウム塩などがある。
【0048】(実施の形態7)本発明の請求項7に記載
の発明は、形態制御ゲル添加剤が水素結合性官能基を有
する有機化合物の水溶性溶液よりなる請求項3に記載の
蛍光体の製造方法としたものであり、ゲル中の水素結合
網に対して水素結合性官能基を有する有機化合物は親和
性、浸透性と有機分子構造成分による界面活性作用を有
するためゾル化をうまく促進させるという作用を有す
る。
【0049】水素結合性官能基を有する有機化合物とし
て、強い水素結合作用のあるものには水酸基含有化合物
(フェノール、アルコール)、カルボン酸、アミド、ア
ミン、アミノ酸などやその重合体がある。また、弱い水
素結合作用のある分子としては、ケトン、エステル、エ
ーテルなどの酸素含有化合物や、イミン、イミド、など
の窒素含有化合物がある。この有機化合物としては、脂
肪族化合物であるほうが焼成時に黒鉛化し難くきれいに
分解し易い。
【0050】
【実施例】次に、本発明の具体例を説明する。
【0051】(実施例1)両性金属化合物の高濃度水和
ゲルである塩基性硝酸アルミニウムの水和ゲルに形態制
御ゲル添加剤として界面活性剤含有のアンモニア水を加
えた後、乾燥させて酸化アルミニウムを析出・成長させ
て粒子化させる。この微粒子分散ゾルから平均粒径数
[μm]の多孔性非晶質アルミナ粒子の単分散多孔質粒
子を得る。これを約1200[℃]で熱処理する。
【0052】次いで、この単分散多孔質粒子と、熱時反
応性の陽性金属化合物であるMgCO3とBaCO3、お
よび熱時反応性の希土類金属化合物であるシュウ酸Eu
とを、焼成した生成物がBa2.85Mg5Al3256:E
0.15の化学量論比になるように調合し、よく混合す
る。
【0053】この混合物をアルミナの融点より低い15
00[℃]で水蒸気と水素を含有した窒素ガス(還元ガ
ス)を流しながら8時間焼成し、単分散多孔性非晶質ア
ルミナ粒子の形状に近似の複合金属酸化物:Ba2.85
5Al3256:Eu0.15よりなる単分散蛍光体粒子を
得る。
【0054】この単分散蛍光体の蛍光特性は、発光波長
450[nm]に明るい青色発光を示す。
【0055】続いてこの蛍光体と界面活性剤とポリエチ
レンオキシド水溶液とで水性サスペンションを調製し、
蛍光ランプのガラスバルブ内壁に塗工し、約700
[℃]で熱処理して有機成分を分解気化させると蛍光層
が形成できる。
【0056】(実施例2)高濃度水和ゲルとして、エチ
レンジアミンとアンモニア水の混合溶液中に水酸化ケイ
素を溶解させた水和ゲルを用意する。これに形態制御ゲ
ル添加剤として界面活性剤含有の硝酸アンモニウム水溶
液を加えた後、乾燥させて二酸化ケイ素を析出・成長さ
せて、微粒子分散ゾルを形成させると、平均粒径数[μ
m]の多孔性多結晶シリカの単分散多孔質粒子が得られ
る。これを約1000[℃]で熱処理する。
【0057】次いで、この単分散多孔質粒子と、平均粒
径0.06[μm]のCe23と平均粒径0.05[μ
m]のTb23と平均粒径0.08[μm]のY23
を、生成物がY1.7SiO5:Ce0.15,Tb0.15の化学
量論比になるように調合し、よく混合する。
【0058】この混合物をシリカの融点より低い120
0[℃]で水蒸気と水素を含有した窒素ガス(還元ガ
ス)を流しながら3時間焼成し、単分散多孔性シリカ粒
子の形状に近似の複合金属酸化物:Y1.7SiO5:Ce
0.15,Tb0.15よりなる単分散蛍光体粒子を得る。
【0059】この単分散蛍光体の蛍光特性は、発光波長
543[nm]の明るい緑発光を示す。
【0060】続いてこの蛍光体と界面活性剤とポリエチ
レンオキシド水溶液とで水性サスペンションを調製し、
蛍光ランプのガラスバルブ内壁に塗工・熱処理して有機
成分を分解気化させると、蛍光層が形成できる。
【0061】(実施例3)実施例2と同様にして、二酸
化ケイ素を析出・成長させて微粒子分散ゾルを形成さ
せ、平均粒径数[μm]の多孔性多結晶シリカの単分散
多孔質粒子を生成させる。これを1000[℃]で熱処
理し、次いで、この単分散多孔質粒子と、MnCO3
平均粒径0.08[μm]のZnOとを、生成物がZn
1.5SiO4:Mn0.1の化学量論比になるように調合
し、よく混合する。
【0062】この混合物をシリカの融点より低い120
0[℃]で水蒸気と水素を含有した窒素ガス(還元ガ
ス)を流しながら3時間焼成し、単分散多孔性シリカ粒
子の形状に近似の複合金属酸化物:Zn1.5SiO4:M
0.1よりなる単分散蛍光体粒子を得る。
【0063】この単分散蛍光体の蛍光特性は、発光波長
525[nm]の明るい緑発光を示す。
【0064】続いて実施例2と同様にこの蛍光体と界面
活性剤とポリエチレンオキシド水溶液とで水性サスペン
ションを調製し、蛍光ランプのガラスバルブ内壁に塗工
・熱処理して有機成分を分解気化させ蛍光層を形成す
る。
【0065】(実施例4)両性金属化合物の高濃度水和
ゲルとして、ホウ酸の水和ゲルを用意した。
【0066】これに形態制御ゲル添加剤として、有機電
解質含有のアンモニア水を加えて三酸化ホウ素とホウ酸
アンモニウムの混合粒子を析出・成長させて、微粒子分
散ゾルを形成させ、これを400[℃]で熱処理し平均
粒径数[μm]の多孔性多結晶三酸化ホウ素の単分散多
孔質粒子を生成させる。
【0067】次いで、この単分散多孔質粒子と、シュウ
酸Ceとシュウ酸GdとMgCO3とMnCO3とを、焼
成生成物がGd0.8MgB510:Ce0.2,Mn0.1の化
学量論比になるように調合し、よく混合する。
【0068】この混合物を三酸化ホウ素の融点より低い
420[℃]で一次焼成して化合物を生成させ、次いで
1000[℃]で水蒸気と水素を含有した窒素ガス(還
元ガス)を流しながら3時間二次焼成すると、単分散多
孔性シリカ粒子の形状に近似の複合金属酸化物:Y1.7
SiO5:Ce0.15,Tb0.15よりなる単分散蛍光体粒
子を得る。
【0069】この単分散蛍光体の蛍光特性は、発光波長
543[nm]の明るい赤の発光を示す。
【0070】続いてこの蛍光体と界面活性剤とポリエチ
レンオキシド水溶液とで水性サスペンションを調製し、
蛍光ランプのガラスバルブ内壁に塗工・熱処理して有機
成分を分解気化させ蛍光層を形成する。
【0071】
【発明の効果】以上のように本発明は、一定の形状で一
定の粒径の優れた単分散蛍光体粒子が得られるという特
徴を持ち、本発明によれば、塗布によって蛍光層を形成
する場合にも、蛍光体のサスペンション中に粒度の大き
い粒子がなく、塗布するにしたがってサスペンションの
組成が変化を起こさず、蛍光特性の安定した蛍光層を形
成する優れた高輝度の蛍光体が得られるという有利な効
果が得られる。
【0072】このように本発明は工業的価値の大なるも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる単分散多孔質粒子の一例を示す
【図2】同じく単分散多孔質粒子一個の拡大模式図
【図3】蛍光体粒子一個の拡大模式図
【図4】本発明の蛍光体の製造工程を示す図
【符号の説明】
1 単分散多孔質粒子 2 単結晶セグメント 3 蛍光体粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 亨 大阪府高槻市幸町1番1号 松下電子工業 株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両性金属化合物の高濃度水和ゲルから析
    出・成長させ粒子化させた両性金属酸化物の、平均粒径
    0.3〜30[μm]の単分散多孔質粒子中に、母材の
    一部を形成する陽性金属酸化物と付活イオンを形成する
    希土類金属酸化物とが原子・分子オーダーでドープされ
    て合成された、前記単分散多孔質粒子に近似の粒子形状
    の複合金属酸化物の単分散蛍光体粒子よりなることを特
    徴とする蛍光体。
  2. 【請求項2】 前記複合金属酸化物が、希土類金属イオ
    ンで付活された、金属アルミン酸塩、金属ケイ酸塩、金
    属ホウ酸塩のうちのいずれかよりなることを特徴とする
    請求項1に記載の蛍光体。
  3. 【請求項3】 前記両性金属化合物の高濃度水和ゲルに
    形態制御ゲル添加剤を加えて前記両性金属酸化物を析出
    ・成長させて粒子化させた微粒子分散ゾルを形成させる
    平均粒径0.3〜30[μm]の単分散多孔質粒子の生
    成工程と、前記単分散多孔質粒子と熱時反応性の陽性金
    属化合物と熱時反応性の希土類金属化合物とを混合する
    混合工程と、この混合物を前記単分散多孔質粒子の融点
    以下の温度で焼成する焼成工程とを有し、前記単分散多
    孔質粒子の形状に近似の複合金属酸化物の単分散蛍光体
    粒子を合成してなることを特徴とする蛍光体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記陽性金属化合物が、硝酸、炭酸、カ
    ルボン酸より選ばれた少なくとも一種とのアルカリ土類
    金属塩であることを特徴とする請求項3に記載の蛍光体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記希土類金属化合物が、硝酸、炭酸、
    カルボン酸、ジケトネートより選ばれた少なくとも一種
    との希土類金属塩であることを特徴とする請求項3に記
    載の蛍光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記形態制御ゲル添加剤が、界面活性能
    を有する有機電解質を含む水溶性溶液であることを特徴
    とする請求項3に記載の蛍光体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記形態制御ゲル添加剤が、水素結合性
    官能基を有する有機化合物の水溶性溶液よりなることを
    特徴とする請求項3に記載の蛍光体の製造方法。
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