JP3515728B2 - 三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体の製造方法 - Google Patents

三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光ランプなどの
発光装置(発光デバイス)用蛍光体として好適な三価希
土類イオン含有アルミネート蛍光体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、蛍光ランプなど発光デバイス
用の三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体として
は、CeMgAl1119:Tb3+、Ce(III)MgA
1119、Ce(III)MgAl1119:Mn2+、Ce
MgAl1119:Tb3+,Mn2+などのアルミン酸塩蛍
光体や、Y3Al512:Tb3+、Y3Al512:Ce3+
の化学式で表される化合物を主体とする蛍光体が知られ
ている。
【0003】これら三価希土類イオン含有アルミネート
蛍光体の製造方法としては、反応促進剤(別名:フラッ
クス;例えばフッ化アルミニウムなどのハロゲン化物や
ほう酸などのホウ化物)を加えた蛍光体原料を電気炉な
どを用いて加熱する方法(例えば蛍光体ハンドブック2
27頁、特開昭49−77893号公報)、反応促進剤
を加えない蛍光体原料を加熱する方法(例えば特開平9
−151372号公報、特開平10−88127号公
報)、実質的に破砕面を有しない、粒子状のα−アルミ
ナ粉末を含む蛍光体原料を加熱する方法(例えば特開平
10−53760号公報、特開平10−273656号
公報)、蛍光体の原料となり得る原料化合物を混合した
水溶液を、氷点下に冷却した溶液中に液滴として滴下し
て蛍光体原料溶液の氷結体を作製し、さらにこの氷結体
を真空乾燥して得た粒子状の蛍光体原料を加熱する方法
(例えば特開平9−291275号公報)、アルミニウ
ム化合物と金属硝酸塩とを含むコロイド溶液をスプレー
熱分解して得た、粒子状の蛍光体原料を加熱する方法
(例えば、Proceedings of 3rd International Confere
nce on the Science and Technology of Display Phosp
hors、p.257(1997))、有機塩基の共存下で希土類イオン
と蓚酸イオンとを反応させ、沈殿した希土類蓚酸塩を濾
別水洗後、水蒸気未飽和の空気中においたり、真空乾燥
あるいは凍結真空乾燥によって得た、球形の粒子形状と
粒の揃った粒度分布を持つ、粒子状の希土類化合物(中
心粒径:1〜6μm程度)を含む蛍光体原料を加熱する
方法(例えば特開平10−88127号公報)などが知
られている。
【0004】なお、上記粒子状のα−アルミナ粉末を含
む蛍光体原料を加熱する方法によれば、均一粒径で球形
または球に近い擬球形のα−アルミナ粉末を用いること
によって、均一粒径で球形または擬球形の三価希土類イ
オン含有アルミネート蛍光体が製造できる。また、上記
蛍光体原料溶液の氷結体を真空乾燥したり、コロイド溶
液をスプレー熱分解したりして得ることのできる、粒子
状の蛍光体原料を加熱する方法によれば、均一粒径で球
形の蛍光体原料を用いることによって、均一粒径で球形
または擬球形の三価希土類イオン含有アルミネート蛍光
体が製造できることが知られている。
【0005】反応促進剤を加えない蛍光体原料を加熱す
る製造方法では、蛍光体原料に用いるα−アルミナの粒
子形状と合成後の三価希土類イオン含有アルミネート蛍
光体の粒子形状とがほぼ一致することが知られている
(特開平9−151372号公報)。また、粒径が従来
よりも均一で球状のα−アルミナ粉末を蛍光体原料の一
部に含ませて用いることによって、粒径が均一で球状の
三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体を合成できる
ことも報告されている。
【0006】また、破砕面を有しないα−アルミナ粉末
を含む蛍光体原料を加熱する製造方法によれば、α−ア
ルミナ粉末の粒子形状と実質的に同じ粒子形状の三価希
土類イオン含有アルミネート蛍光体が得られるだけでな
く、製品歩留まりを高く保つことができることも知られ
ている(例えば、特開平10−53760号公報、特開
平10−273656号公報)。
【0007】また、上記粒子状の蛍光体原料(蛍光体原
料溶液の氷結体を真空乾燥して得たり、コロイド溶液を
スプレー熱分解して得たりした粒子状の蛍光体原料な
ど)を加熱する方法にあっては、上記粒子状の蛍光体原
料の形状と実質的に同じ形状の三価希土類イオン含有ア
ルミネート蛍光体を製造できることが開示されている
(例えば特開平9−291275号公報)。
【0008】特開平9−151372号、特開平10−
53760号、特開平10−273656号、および特
開平9−291275号の各公報に記載されているよう
な粒径が均一で球状のアルミネート蛍光体は、その比表
面積が粒径が不均一である従来の蛍光体の約半分となる
(第270回蛍光体同学会講演予稿1〜8頁、1998
年2月17日)。このような均一粒径のアルミネート蛍
光体を用いると、蛍光体の耐熱劣化特性が改善され、蛍
光ランプの全光束が向上する。さらに、蛍光ランプ点灯
中に蛍光体が受けるイオン衝撃が軽減されて、ランプ点
灯中の発光色の時間変化が抑制できる。これらの効果は
本発明者らによっても報告されている(電気学会研究会
資料、光応用・視覚研究会、LAV−98−10、19
〜25頁、1998年11月25日)。
【0009】こうした有利な効果から、均一粒径のアル
ミネート蛍光体(好ましくは球状の蛍光体)は、特に小
型細管型蛍光ランプ用の蛍光体として重視されている。
【0010】粒径が均一で球状のアルミネート蛍光体
は、蛍光膜の透過輝度を高めたり、反射膜と組み合わせ
て用いることにより蛍光膜の反射輝度を高める効果(Pr
oceedings of the 4th Int. Display Workshops Novemb
er 19-21 1997, Nagoya, pp.621-624)を発揮できるこ
とも、本発明者らによって確認されている。
【0011】こうした有効な効果から、均一粒径のアル
ミネート蛍光体(好ましくは球状の蛍光体)は、発光デ
バイス(蛍光ランプ、プラズマディスプレイ、CRT
(Cathod Ray-Tube)、FED(Field Emission Displa
y)など)の発光強度を高めることのできる蛍光体とし
ても有望視されている。
【0012】以下、簡単に、従来から知られている三価
希土類イオン含有アルミネート蛍光体の製造方法を概説
する。
【0013】三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体
は、基本的に、蛍光体原料を加熱し、蛍光体原料同士を
反応させて製造される。蛍光体原料は、蛍光体構成元素
を含む複数の化合物原料をボールミルなどの混合機で混
合して調製される。また、蛍光体原料は、原料を混合し
た水溶液を氷点下に冷却した溶液中に滴下して蛍光体原
料溶液の氷結体を作製した後、この氷結体を真空乾燥し
たり、コロイド溶液をスプレー熱分解して得たりして調
製することもできる。また、蛍光体構成元素を含む複数
の硝酸塩を水に溶かした後、水酸化アンモニウムを添加
して得られる沈殿物を蒸発乾固させて調製することもで
きる。
【0014】蛍光体原料には、通常、反応促進剤とし
て、フッ化アルミニウムなどのハロゲン化物やホウ酸な
どのホウ素化合物が適宜添加される。しかし、反応促進
剤を添加しなくとも三価希土類イオン含有アルミネート
蛍光体を合成することは可能である。
【0015】蛍光体原料の加熱(焼成)は、大気中ある
いは還元雰囲気中(例えば窒素と水素との混合ガス雰囲
気中)で行われる。焼成回数は数回にわたって繰り返し
行われることもある(例えば、蛍光体ハンドブック、オ
ーム社、207頁から240頁)。また、大気中で加熱
した後、還元雰囲気中で焼成されることもある。この場
合、通常、大気中では800〜1500℃の低い温度で
焼成がなされ(仮焼成)、仮焼成の後、還元雰囲気中で
大気中よりも高い1200〜1800℃の温度で焼成が
なされる(本焼成)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
特開平9−151372号、特開平10−53760
号、特開平10−273656号、および特開平9−2
91275号の各公報やProceedings of 3rd Internati
onal Conference on the Science and Technologyof Di
splay Phosphors,p.257(1997)には、発光デバイスを高
性能化する蛍光体(均一粒径であって好ましくは球状の
蛍光体)を提供できる製造方法が記載されている。
【0017】しかしながら、このような製造方法では、
三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体については、
蛍光体原料の一部であるα−アルミナ粉末、あるいはア
ルミニウムを含有する粒子状の蛍光体原料に由来する望
ましい粒子形状と高い発光性能とを両立する蛍光体が得
られないという問題があった。
【0018】以下、この点を詳しく説明する。上記各公
報に記載されているように、蛍光体原料をそのまま、も
しくは1500℃以下の大気中で仮焼成した後、還元雰
囲気中で仮焼成温度よりも高い1200〜1800℃の
温度で数時間焼成し、蛍光体原料同士を反応させること
により、三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体を製
造する場合には、還元雰囲気中の焼成温度を高くすれば
するほど高い輝度が得られる。しかし、焼成温度を高く
すると、粒子形状が不定形になりやすく、α−アルミナ
粉末などの粒子形状を保持することができない。このた
め、蛍光体の粒子形状を好ましい形態に保持したまま、
高輝度化を図ることが困難であった。
【0019】この点をさらに具体的に説明するために、
特開平10−273656号公報に記載されているよう
な方法により製造されたCeMgAl1119:Tb3+
価希土類イオン含有アルミネート蛍光体の焼成温度と輝
度との関係を図5に示す。図5には、反応促進剤を用い
る方法により製造されたCeMgAl1119:Tb3+
色蛍光体(以下、「市販蛍光体」ともいう)の輝度を1
00とする相対輝度が示されている。
【0020】図5に示したように、反応促進剤を用いて
製造された蛍光体にほぼ匹敵する輝度を有する三価希土
類イオン含有アルミネート蛍光体を、反応促進剤を用い
ずに製造しようとすると、焼成温度を1700℃以上と
する必要がある。しかし、このような高温で焼成したC
eMgAl1119:Tb3+緑色蛍光体の粒子形状は、均
一粒径で球状のα−アルミナ粉末を蛍光体原料の一部と
して用いたとしても、蛍光体の粒子形状は不均一で不定
形となる。
【0021】すなわち、図6(a)に示すような均一粒
径で球状のα−アルミナ粉末(例えば、商品名:アドバ
ンストアルミナ、住友化学工業(株))をアルミニウム
供給源として用い、しかも反応促進剤を添加せずに製造
したとしても、製造されたCeMgAl1119:Tb3+
三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体は、α−アル
ミナ粉末の形状を反映せず、不定形となる(図6
(c))。
【0022】図6(d)に示したように、焼成温度を1
600℃とすると、α−アルミナ粉末の形状を反映した
CeMgAl1119:Tb3+緑色蛍光体を得ることがで
きる。しかし、この温度では、図5に示したように、輝
度レベルが市販蛍光体の80%未満となる。
【0023】このような問題は、BaMgAl1017
Eu2+の化学式で表されるような二価希土類イオン含有
アルミネート蛍光体を製造する場合には生じないことが
報告されている(本発明者らによる第270回蛍光体同
学会講演予稿1〜8頁)。上記問題は、三価希土類イオ
ン含有アルミネート蛍光体に特有の現象である。
【0024】また、前記蛍光体原料溶液の氷結体を真空
乾燥したり、コロイド溶液をスプレー熱分解したりして
得た蛍光体原料を加熱する方法においても、上に説明し
たような、高温で焼成したCeMgAl1119:Tb3+
緑色蛍光体の粒子形状が不均一で不定形となる問題は生
じる。
【0025】本発明は、このような事情に鑑み、蛍光体
原料に由来する粒子形状や粒径を有し、かつ高い発光性
能も備えた三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体の
製造方法を提供することを目的とする
【0026】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体
の製造方法は、α−アルミナ粉末を含む蛍光体原料を酸
化雰囲気において1500℃以上1900℃以下の所定
温度で加熱して中間蛍光体を製造する工程と、前記中間
蛍光体を還元雰囲気において前記所定温度以下である1
400℃以上1800℃以下の温度で加熱する工程とを
含むことを特徴とする。
【0027】上記製造方法によれば、蛍光体原料に含ま
れる粒状体に由来する粒子形状や粒径を有し、かつ発光
性能も改善された三価希土類イオン含有アルミネート蛍
光体を製造することができる。所定温度は、後述するよ
うに、好ましくは1500℃以上1900℃以下の範囲
から選択される。
【0028】なお、本明細書では、三価の希土類イオン
(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、L
u)とアルミニウムと酸素とを含む蛍光体を三価希土類
イオン含有アルミネート蛍光体と定義する。この蛍光体
には、例えば、CeAl1218N:Tb3+などの酸窒化
物蛍光体も含まれる。さらに、本発明は、希土類イオン
が三価のイオンとして含まれている上記蛍光体ほどでは
ないが、SrAl24:Eu2+,Dy3+、CaAl
24:Eu2+,Nd3+のように、二価ユーロピウム付活
蛍光体に三価希土類イオンが共付活剤として添加された
蛍光体に対しても有効である。ここでは、三価希土類イ
オン含有アルミネート蛍光体として、三価希土類イオン
を共付活剤として含有する蛍光体も含むものとする。
【0029】本発明の製造方法では、蛍光体原料すべて
が粒状体として供給される必要はないが、少なくとも、
アルミニウムを含有する粒状体が、蛍光体原料の一部と
して使用される。この粒状体は、例えば、粒子状のアル
ミニウム含有化合物として、希土類など他の元素を供給
する別の原料とともに供給してもよい。また、上記粒状
体として、予め、蛍光体原料溶液の氷結体を真空乾燥し
たり、コロイド溶液をスプレー熱分解することにより調
製した粒子状の蛍光体原料を用いてもよい。この場合に
は、粒子状の蛍光体原料に、希土類元素などの元素も含
有させておくとよい。
【0030】本発明の製造方法では、蛍光体原料が反応
促進剤を含まないことが好ましい。ここで、反応促進剤
としては、具体的には、各種ハロゲン化物および各種ホ
ウ素化合物を挙げることができる。
【0031】本発明の製造方法では、上記粒子状のアル
ミニウム含有化合物がα−アルミナ粉末であることが好
ましく、α−アルミナ粉末が実質的に破砕面を有しない
ことがさらに好ましい。ここで、破砕面を有しない、と
は、粉砕などの工程を経ることにより外部からの応力が
加わり、破砕して生じた面が存在しないことをいい、好
ましくは、粉末を構成する各粒子(例えば多面体)の表
面が結晶成長面であることをいう。
【0032】本発明の製造方法では、三価希土類イオン
含有アルミネート蛍光体が、(Ce 1-xx)(Mg1-y
Mny)Al1119により表示される化合物(ただし、
Lは、Sc、Yおよびランタノイドに属する元素から選
ばれる少なくとも1種の元素、xおよびyは、それぞれ
0≦x<1および0≦y<1を満足する数値)を主体と
することが好ましい。ランタノイドとしては、具体的に
は、La、Pr、Gd、Eu、DyおよびTbが好まし
く、特にTbが好ましい。
【0033】本発明の製造方法では、中間蛍光体が、蛍
光体原料に含まれる粒状体と実質的に同一の粒子形状を
有する粒子からなることが好ましい。ここで、粒子形状
が同一とは、形状が同一であればよく、いわゆる相似も
含む。
【0034】本発明の製造方法では、中間蛍光体が、蛍
光体原料に含まれる粒状体のメジアン粒径以上であって
前記メジアン粒径の2倍未満のメジアン粒径を有する粒
子群であることが好ましい。ここで、メジアン粒径(中
央粒径)とは、所定の粒度分布を有する粒子群について
粒度分布に従ってカウントする粒子の累積数が全体の5
0%となった時点での粒径をいう。
【0035】本発明の製造方法では、具体的には、中間
蛍光体が、0.4μm以上20μm以下、特に1μm以
上10μm以下のメジアン粒径を有する粒子群からなる
ことが好ましい。
【0036】本発明の製造方法では、中間蛍光体が、
0.4以上1.0以下、特に0.6以上1.0以下の粒
径集中度を有する粒子群であることが好ましい。
【0037】ここで、粒径集中度とは、n個の粒子の各
粒径をd(n)、前記粒子の蛍光体のメジアン粒径をA
としたときに、xA≦d(n)≦A/xを満たすxの最
大値により定められる。本明細書では、粒径集中度は、
走査型電子顕微鏡による各粒子の観察結果から定めるも
のとする。測定対象とする粒子は、粒子群から任意に選
択した50個程度の粒子とすることが適当である。な
お、後述する粒子球状度も、走査型電子顕微鏡による各
粒子の観察結果から定めるものとする。
【0038】本発明の製造方法では、中間蛍光体が、
0.5以上1.0以下、特に0.7以上1.0以下の粒
子球状度を有する粒子を主体とすることが好ましい。
【0039】ここで、粒子球状度とは、粒子の表面上の
点aから前記点aとは異なる前記表面上の点bとを結ぶ
線分の長さの最大値をx、前記線分の垂直2等分線が前
記表面と交わる点を点cおよび点dとして前記点cと前
記点dとを結ぶ線分の長さの最小値をyとしたときに、
y/xにより定められる。
【0040】本発明の製造方法では、最終的に得られる
蛍光体を、中間蛍光体と同様、蛍光体原料に含まれる粒
状体と実質的に同一の形状を有する粒子とすることが好
ましく、蛍光体原料に含まれる粒状体のメジアン粒径以
上であって前記メジアン粒径の2倍未満のメジアン粒径
を有する粒子群とすることが好ましい。また、最終的に
得られる蛍光体のメジアン粒径を、0.4μm以上20
μm以下、特に1μm以上10μm以下とすることが好
ましい。さらに、最終的に得られる蛍光体を、0.4以
上1.0以下、特に0.6以上1.0以下の粒径集中度
を有する粒子群とすることが好ましい。また、最終的に
得られる蛍光体を、0.5以上1.0以下、特に0.7
以上1.0以下の粒子球状度を有する粒子を主体とする
ことが好ましい。
【0041】本発明により得られる蛍光体の形状は、粒
子球状度を引用して上記で説明したように、球状、擬球
状(略球状)であることが好ましいが、これに制限され
るものではなく、板状、正八面体状、柱状などであって
もよい。
【0042】本発明の一つの側面は、アルミニウムを含
有する粒状体を含む蛍光体原料を酸化雰囲気において加
熱して中間蛍光体を製造する工程と、前記中間蛍光体を
還元雰囲気において加熱する工程とを含み、前記粒状体
と実質的に同一の中間蛍光体(好ましくは三価希土類イ
オン含有アルミネート中間蛍光体)を製造し、さらにこ
の中間蛍光体と実質的に同一の形状および/または粒径
の三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体を製造する
方法である。
【0043】また、本発明の別の側面は、上記蛍光体原
料を酸化雰囲気中1500℃以上1900℃以下で加熱
し、さらに還元雰囲気中1400℃以上1800℃以下
で加熱する三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体の
製造方法である。反応促進剤を用いることなく、蛍光体
原料により形状や粒径を制御する点も、本発明の一形態
における特徴の一つである。
【0044】このように、本発明によれば、アルミニウ
ムを含有する粒状体の形状(粒径)を反映した形状(粒
径)を有する蛍光体を得ることができる。その一方、酸
化雰囲気において予め加熱しているため、アルミニウム
を含有する粒状体の形状が反映されない程度に高い還元
雰囲気下での加熱を不要としている。すなわち、酸化雰
囲気下での加熱が、蛍光体の輝度特性など高温焼成によ
り得られる特性を補償する。こうして、本発明によれ
ば、例えば粒径が略均一で球状ないし擬球状であって、
高輝度の三価希土類イオン含有アルミネートアルミネー
ト蛍光体を得ることができる。この蛍光体は、上記のよ
うに、耐熱劣化特性が改善され、点灯中の発光色の時間
変化が抑制されたものとなる。
【0045】本発明では、好ましくは1500℃以上1
900℃以下の酸化雰囲気下で加熱が行われる。還元雰
囲気下での加熱は、酸化雰囲気下での加熱ほど高くする
必要はない。還元雰囲気下での加熱温度は、好ましくは
1400℃以上1800℃以下である。酸化雰囲気中の
加熱により、微量ながらも蛍光体には4価のイオンが存
在する。しかし、この希土類元素は、還元雰囲気下での
加熱により3価に還元されて蛍光体の発色に寄与するこ
とになる。
【0046】実用上望まれる特性、製造工程上適用でき
る実用的な加熱温度その他を考慮して、本発明の一形態
では、上記のように、酸化雰囲気下での加熱温度を、還
元雰囲気下での加熱温度以上としている。
【0047】本発明においても、還元雰囲気下での加熱
工程では、酸化雰囲気下での加熱工程ほどには粒状体の
形状(粒径)が正確に反映されない傾向がある。しか
し、例えば球状の粒状体から擬球状の蛍光体の形状が得
られれば、本発明の目的は達成できる。特に重要な蛍光
体の形状は、蛍光体や発光デバイスの特性を向上させる
球状ないし擬球状である。
【0048】本発明の製造方法において、中間蛍光体
が、凝集した粒子の状態で得られた場合には、中間蛍光
体を加熱する工程の前に、凝集した前記中間蛍光体を解
砕する工程を実施することが好ましい。解砕処理を実施
すると、粒子が分離するから、上記のような粒径集中
度、粒子球状度についても明確に判定できる。
【0049】本発明の製造方法では、中間蛍光体が、三
価希土類イオン含有アルミネート化合物であることが好
ましく、特に、実質的に単一結晶相の三価希土類イオン
含有アルミネート化合物であることが好ましい。
【0050】また、本発明の製造方法では、従来の仮焼
成と本焼成との関係とは異なり、還元雰囲気中の加熱温
度が、酸化雰囲気中の加熱温度以下、好ましくは酸化雰
囲気中の加熱温度未満となるように選択される。
【0051】また、本発明の製造方法では、酸化雰囲気
および/または還元雰囲気における加熱を、2回以上に
分けて行うことが好ましい。
【0052】上記に説明したように、本発明によれば、
上記記載のいずれかの製造方法、好ましくは反応促進剤
を含まない蛍光体原料から得た、粒子状の三価希土類イ
オン含有アルミネート蛍光体であって、球形または擬球
形の形状を有する三価希土類イオン含有アルミネート蛍
光体を提供できる。この蛍光体は、蛍光体原料に含まれ
るアルミニウムを含有する粒状体と実質的に同一の形状
であることが好ましい。また、中間蛍光体について上記
で例示した範囲のメジアン粒径、粒径集中度、粒子球状
度を有することが好ましい。
【0053】また、本発明によれば、(Ce1-xx
(Mg1-yMny)Al1119(ただし、Lは、Sc、Y
およびランタノイドに属する元素から選ばれる少なくと
も1種の元素、xおよびyは、それぞれ0≦x<1およ
び0≦y<1を満足する数値)により表示される化合物
を主体とし、波長253.7nmの紫外線照射により得
られるフォトルミネッセンスにおける波長542nmの
発光強度に対する波長380nmの発光強度の比率が
0.020以下であり、粒径集中度が0.4以上である
三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体を提供でき
る。Lは、少なくともTbを含むことが好ましい。xお
よびyは、好ましくは0≦x≦0.5、0≦y≦0.5
を満足する数値が好ましい。
【0054】上記蛍光体は、粒子球状度が、0.5以上
1.0以下であることが好ましい。
【0055】本発明により得られる上記化合物は、(C
1-x-zTbzL’x)(Mg1-yMn y)Al1119(た
だし、L’はTbを除く上記L、xおよびyは上記と同
様、zは0≦z≦0.5、好ましくは0.25≦z≦
0.5を満足する数値)であることが好ましい。
【0056】上記化合物の具体例としては、(Ce
1-x-zTbzL’x)MgAl1119が挙げられる。また
上記化合物の別の具体例としては、(Ce1-zTbz)M
gAl1119が挙げられる。
【0057】なお、L’はSc、LaおよびGdから選
ばれる少なくとも1種の元素であることが特に好まし
い。
【0058】また、本発明によれば、上記記載の三価希
土類イオン含有アルミネート蛍光体を用い、特性が改善
された蛍光ランプなどの発光デバイスを提供できる。
【0059】
【発明の実施の形態】以下、本発明の製造方法の好まし
い形態について説明する。図1は、本発明の好ましい一
形態に適用されるフローチャートである。
【0060】まず、蛍光体原料製造工程では、所定の元
素割合となるように原料化合物が混合され、蛍光体原料
が調製される。
【0061】使用される原料化合物としては、セリウム
化合物(酸化セリウム、炭酸セリウム、硝酸セリウム、
蓚酸セリウムなど)、テルビウム化合物(酸化テルビウ
ム、炭酸テルビウム、硝酸テルビウム、蓚酸テルビウム
など)、イットリウム化合物(酸化イットリウム、炭酸
イットリウム、硝酸イットリウム、蓚酸イットリウムな
ど)、マグネシウム化合物(酸化マグネシウム、炭酸マ
グネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウ
ム、蓚酸マグネシウムなど)、マンガン化合物(炭酸マ
ンガン、金属マンガンなど)、アルミニウム化合物(酸
化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウ
ムなど)、セリウム、テルビウムおよびイットリウム以
外の希土類化合物(酸化スカンジウム、酸化ランタン、
酸化プラセオジム、酸化ガドリニウムなどの酸化物や、
硝酸塩、蓚酸塩など)や、例えば、これらの混合物や複
合物(硝酸イットリウムテルビウムや、蓚酸セリウムテ
ルビウムなど)が挙げられる。原料化合物は、有機化合
物であっても構わない。
【0062】原料とする粒子状のアルミニウム化合物
は、中間蛍光体の好ましい粒子形状、粒径などに配慮し
ながら、適宜選択されるが、具体的にはアルミナ粉末が
好ましい。このようなアルミナ粉末としては、例えば、
球状のアルミナ微粉(例えば昭和電工株式会社製、商品
名:アルミナビーズ)や、板状のアルミナ粉末(YKK
製、板状アルミナ粉体)を挙げることができる。さら
に、上記アルミナ粉末としては、α−アルミナ粉末(住
友化学工業株式会社製、商品名:アドバンストアルミ
ナ)が好ましい(「アドバンストアルミナ」について
は、「住友化学」毛利正英他、1996−II、4〜14
頁参照)。
【0063】なお、上記アドバンストアルミナは、In s
itu Chemical Vapor Depositionと呼ばれる、原料と反
応場とがほぼ一致する局所的な気相反応により生成され
たα−アルミナ粉末であって、以下の特徴を有する。
【0064】単結晶のα−アルミナ粉末である。凝
集のない、単分散に近い状態の粉末である。粒子径が
精密に制御された粉末である。粒子は多面体形であっ
て、その表面は破砕面ではなく、結晶成長面である。
超高圧透過型電子顕微鏡による粒子内部の構造評価の限
りにおいて、欠陥が観察されない粉末である。シャー
プな粒度分布を有し、微粒子が少ない粉末である。
【0065】アルミニウム化合物としては、α−アルミ
ナ粉末が好ましい。α−アルミナは、アルミナの変態で
は最も安定で加熱されても転移しにくいからである。
【0066】これらの原料化合物は、所定の元素割合と
なるように、ボールミルや自動乳鉢などの混合機を用い
て混合され、蛍光体原料となる。蛍光体原料は、原料化
合物を混合した水溶液を氷点下に冷却した溶液中に液滴
として滴下して得た蛍光体原料溶液の氷結体を真空乾燥
しても調製することができるし、アルミニウム化合物と
金属硝酸塩とを含むコロイド溶液をスプレー熱分解して
も調整することができる。また、蛍光体構成元素を含む
複数の硝酸塩を水に溶かし、この溶液に水酸化アンモニ
ウムを添加して沈殿物を得た後に、この沈殿物を蒸発乾
固させ、さらにアルミナ粉末を加えて混合しても調製す
ることができる。
【0067】中間蛍光体製造工程では、酸化雰囲気中で
蛍光体原料が焼成され、中間蛍光体が形成される。蛍光
体原料の焼成温度は、1500℃以上1900℃以下が
好ましい。この焼成温度は、1600℃以上1700℃
以下がさらに好ましく、最も好ましくは1650℃以上
1750℃以下である。酸化雰囲気中での焼成温度が低
すぎると、十分な発光性能を得ることが困難となる。一
方、酸化雰囲気中の焼成温度が高すぎると、蛍光体原料
に由来する粒子形状を有する蛍光体が得ることが困難と
なったり、粒子同士が凝集して蛍光体原料に由来する粒
径(粒子サイズ)を得ることが困難となる。
【0068】また、上記工程において1600℃以上で
焼成すると、単一結晶相を有する三価希土類イオン含有
アルミネート化合物である中間蛍光体を得ることができ
る。ただし、1900℃を超える温度で焼成すると、中
間蛍光体が融解するおそれがある。ここで、単一結晶相
とは、実質的に単一の相から構成されていればよく、9
0%以上が単一結晶である結晶体も含まれるものとす
る。
【0069】なお、酸化雰囲気中の加熱工程は、大気中
で実施することが簡便で好ましい。
【0070】酸化雰囲気における加熱工程は、還元雰囲
気における加熱の前に、粒状体の形状やサイズに由来し
た形状やサイズを有し、好ましくは単結晶または単結晶
に近い良好な結晶性を有する中間蛍光体を得るために行
われる。これに対し、従来から行われてきた低温での加
熱工程(仮焼成)は、単に、蛍光体原料を反応性が高い
状態へと活性化するために行われる。
【0071】解砕工程は、凝集した中間蛍光体を解砕し
て個々の粒子へと分離する工程である。具体的には、種
々の解砕手段(自動乳鉢、クロスロータリーミキサー、
ボールミルなど)を用いて、中間蛍光体を解砕すれば足
りる。
【0072】三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体
製造工程では、中間蛍光体が還元雰囲気中で加熱され
る。具体的には、解砕されて分離された中間蛍光体が、
蛍光体製造装置(雰囲気電気炉やガス炉など)を用い
て、還元雰囲気中で加熱される。中間蛍光体の加熱温度
は、酸化雰囲気中の加熱温度以下とすることが好まし
く、具体的には、1400℃以上1800℃以下とする
ことが好ましい。
【0073】還元雰囲気中の加熱温度が低すぎると、高
い発光性能を示す三価希土類イオン含有アルミネート蛍
光体が得ることが困難となる。その一方、還元雰囲気中
の加熱温度が高すぎると、蛍光体原料に由来した粒子形
状の蛍光体を得ることが困難となる。このような観点か
ら、還元雰囲気中での加熱温度は、1500℃以上17
00℃未満がさらに好ましい。
【0074】なお、還元雰囲気中の加熱工程は、窒素と
水素との混合ガス中で実施することが簡便で好ましい。
【0075】こうして、蛍光体原料により形状や粒径を
制御しながらも高い輝度を有する蛍光体を得ることがで
きる。
【0076】後処理工程では、解砕工程、ふるいわけ工
程、分級工程、洗浄工程、乾燥工程などの後処理に係わ
る各工程が、適宜組み合わされて実施される。
【0077】以下、各工程における原料の変化などをさ
らに詳細に説明する。中間蛍光体製造工程において、蛍
光体原料を酸化雰囲気中(例えば大気中)で焼成する
と、蛍光体原料の間で化学反応が生じ、発光性能に劣る
ものの、蛍光体原料に由来する粒子形状と粒子サイズと
を有する中間蛍光体を得ることができる。さらに、中間
蛍光体は、加熱条件の最適化によって、実質的に単一結
晶相の三価希土類イオン含有アルミネート化合物とする
こともできる。
【0078】中間蛍光体が、発光性能には劣るものの、
蛍光体原料に由来した粒子形状と粒子サイズとを備えて
いるのは、三価よりも大きな価数の希土類イオン(例え
ば四価テルビウムイオンや四価セリウムイオン)が混在
しているためであると考えられる。
【0079】すなわち、三価希土類イオン含有アルミネ
ート蛍光体の発光は、三価の希土類イオン(三価セリウ
ムイオン、三価テルビウムイオンなど)に起因する。し
かし、酸化雰囲気中で蛍光体原料を加熱した中間蛍光体
には、三価のイオンに加えて、微量ながらも四価の希土
類イオン(四価のテルビウムイオンや四価セリウムイオ
ンなど)が混在する。三価希土類イオン含有アルミネー
ト蛍光体中に、三価よりも大きな価数の希土類イオンが
混在すると、蛍光体の発光強度が低下する。三価希土類
イオン含有アルミネート蛍光体の発光は、三価希土類イ
オンの電子エネルギー遷移に基づいているからである。
【0080】その一方、三価希土類イオン含有アルミネ
ート蛍光体の結晶は、希土類イオンがすべて三価である
ときに、原子配列が十分に整って良好な結晶性を示すよ
うになる。元来、三価希土類イオン含有蛍光体の結晶構
造は蛍光体原料を構成する各化合物のいずれの結晶構造
とも異なっている。しかし、微量ながらも四価の希土類
イオンが混在すると、これらのイオンは蛍光体の原子配
列を乱すように作用する。このため、三価希土類イオン
含有蛍光体は、この蛍光体が有する本来の結晶構造とは
異なる構造ではなく、むしろ蛍光体原料の粒子形状を反
映しやすくなる。
【0081】以上の理由によって、酸化雰囲気中で三価
希土類イオン含有アルミネート蛍光体の蛍光体原料を反
応させると、発光性能には劣るものの、蛍光体原料に由
来する粒子形状と粒子サイズとを備えた中間蛍光体を得
ることができる。
【0082】本発明者が確認したところでは、酸化雰囲
気下で焼成して得た中間蛍光体の輝度は、波長254
(253.7)nmの紫外線照射によるフォトルミネッ
センスにより評価すると、還元雰囲気下で焼成した場合
の70〜95%にとどまる。しかし、酸化雰囲気中で加
熱せずに、単に還元雰囲気下で蛍光体原料を加熱する
と、1200〜1400℃で原料に含まれる粒状体の形
状が崩れ始め、1600℃では粒状体の形状が全く反映
されなくなる。
【0083】解砕工程において、凝集した中間蛍光体を
解砕すると、蛍光体原料に由来する形状およびサイズを
備えた粒子が分離した状態で得られる。
【0084】三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体
製造工程において、中間蛍光体は還元雰囲気中で加熱さ
れ、粒子形状および粒子サイズをほぼ保持したまま、そ
の発光性能が向上する。形状およびサイズが保持される
ため、中間蛍光体と蛍光体とにおいて、メジアン粒径、
粒径集中度、粒子球状度などの特性は、実質的に同一と
なる。
【0085】一方、発光性能は、中間蛍光体に含まれて
いる三価よりも大きな価数の希土類イオン(四価テルビ
ウムイオン、四価セリウムイオンなど)が還元されて三
価の希土類イオンになるために改善される。しかし、所
定の温度域(例えば酸化雰囲気中での加熱温度よりも低
い温度域)で加熱しているために、中間蛍光体の内部に
おける原子の移動が抑制される。従って、蛍光体原料に
由来する中間蛍光体の粒子形状は保持される。
【0086】このように、三価希土類イオン含有アルミ
ネート蛍光体の蛍光体原料を酸化雰囲気中で加熱して中
間蛍光体を得た後、還元雰囲気中で、酸化雰囲気中の加
熱温度以下の温度で加熱すると、蛍光体原料に由来した
粒子形状と粒子サイズとを備え、かつ発光性能にも優れ
た三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体を製造でき
る。
【0087】また、球形または球に近い擬球形の蛍光体
原料(球形粒子状のアルミナや、前記蛍光体原料溶液の
氷結体を真空乾燥したり、コロイド溶液をスプレー熱分
解したりなどして得た、球形粒子状の蛍光体原料など)
を用いることによって、蛍光体原料の形状が蛍光体の粒
子形状に反映され、先に説明したような蛍光膜の透過輝
度や反射輝度を高める効果のある、球形または擬球形の
粒子形状を有する三価希土類イオン含有アルミネート蛍
光体を得ることができる。
【0088】以上の実施形態では、蛍光体原料製造工
程、中間蛍光体製造工程、解砕工程、三価希土類イオン
含有アルミネート蛍光体製造工程、後処理工程を順に組
み合わせた工程を説明したが、本発明の三価希土類イオ
ン含有アルミネート蛍光体の製造方法における工程の組
合せは、上記に限られない。
【0089】以下、上記蛍光体の発光輝度についてさら
に詳しく説明する。ここでは、三価希土類元素としてC
3+に加えてTb3+を含み、緑色に発光する三価希土類
イオン含有アルミネート蛍光体について説明する。
【0090】この蛍光体に紫外線(例えば波長253.
7nm)を照射すると、この紫外線のエネルギーはCe
3+に吸収され、Ce3+が吸収したエネルギーをTb3+
吸収してTb3+が緑色に発光する(ピーク波長542n
m付近;緑色)。Tb3+にエネルギーが遷移しない場合
には、Ce3+が発光する(ピーク波長350nm付近;
紫青色)。
【0091】蛍光体の結晶性が十分でない場合は、蛍光
体中の欠陥により、Ce3+からTb 3+へのエネルギーの
遷移が阻害される。このエネルギー遷移の阻害の程度
は、Tb3+による発光強度に対するCe3+による発光強
度の比率を測定することにより、評価できる。
【0092】図7に、結晶性が良好な蛍光体(実線)お
よび欠陥が多い蛍光体(破線)について、波長253.
7nmの紫外線照射により得られるフォトルミネッセン
スの分光スペクトルを例示する。
【0093】本発明を適用すれば、下記実施例に示すよ
うに、原料に含まれる粒状体により形状などを制御しな
がら、結晶性が良好で上記エネルギー遷移の阻害が抑制
された蛍光体を得ることができる。
【0094】以下、本発明を適用できる蛍光ランプの好
ましい形態について図面を参照しながら説明する。
【0095】図8、図9、図10に、それぞれ環形蛍光
ランプ、電球形蛍光ランプ、ツイン形蛍光ランプを示
す。環形蛍光ランプ60では、蛍光ランプ61が両端部
が当接するようにガラス管がリング状に曲げ加工されて
いる。電球形蛍光ランプ70では、曲げ加工された蛍光
ランプ71を、光拡散物質72が塗布されたグローブ7
3が覆っており、電球と同じ型の口金74が取り付けら
れている。ツイン形蛍光ランプ80では、並列した2本
の蛍光ランプ81,82が先端付近で導通するように加
工されている。
【0096】本発明により提供される蛍光体は、上記蛍
光ランプに限らず、各種の発光デバイス(プラズマディ
スプレイ、CRT(Cathod Ray-Tube)、FED(Field
Emission Display)など)に適用が可能である。粒径
が均一で擬球形の蛍光体は、かさ密度が高い。したがっ
て、本発明による蛍光体を用いると、蛍光膜の密度を高
くすることができる。蛍光膜の密度が向上すると、発光
デバイスの光束を高くすることが可能となる。また、上
記のように、均一粒径で擬球状の蛍光体を用いると、蛍
光体の耐熱劣化特性が改善される。
【0097】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、以下の実施例により限定されるも
のではない。
【0098】本実施例では、Ce0.6Tb0.4MgAl11
19の化学式で表される緑色発光三価希土類イオン含有
アルミネート蛍光体(以下「CeMgAl1119:Tb
3+蛍光体」という)を製造した。
【0099】なお、Ce3+からTb3+へのエネルギーの
遷移を考慮すると、(Ce+Tb)原子数に対するTb
原子数の比率は、0.25以上0.5以下が好ましい。
【0100】CeMgAl1119:Tb3+蛍光体の原料
は、酸化セリウム(純度99.9%)、酸化テルビウム
(純度99.9%)、塩基性炭酸マグネシウム(純度9
9.99%)、アルミナ(酸化アルミニウム:純度9
9.999%)とした。なお、反応促進剤は用いなかっ
た。
【0101】酸化アルミニウムとしては、住友化学工業
株式会社製「アドバンストアルミナ」を用いた。このα
−アルミナ粉末を電子顕微鏡で観察したところ、破砕面
は観察されず、上記で説明した粒子球状度が0.7〜
0.9程度の凝球状の粒子から構成されていた。また、
粒度分布を測定したところ、メジアン粒径が約5μm、
上記で説明した粒径集中度が0.41程度の均一粒径を
有していた。なお、粒度分布は、レーザーマイクロンサ
イザーを用いて測定した。
【0102】まず、蛍光体原料製造工程として、酸化セ
リウム5.16g、酸化テルビウム3.74g、塩基性
炭酸マグネシウム4.80g、酸化アルミニウム28.
05gを、自動乳鉢を用いて1時間混合してCeMgA
1119:Tb3+蛍光体原料を得た。
【0103】次に、中間蛍光体製造工程として、CeM
gAl1119:Tb3+蛍光体原料をアルミナボートに仕
込み、箱形電気炉内に配置して大気中で2時間焼成して
CeMgAl1119:Tb3+中間蛍光体を得た。この一
次焼成の焼成温度は1650℃とした。
【0104】図2に、CeMgAl1119:Tb3+中間
蛍光体のX線回折パターンを示す。図2により、この中
間蛍光体が単一結晶相のCe0.6Tb0.4MgAl1119
三価希土類イオン含有アルミネート化合物であることが
確認された。
【0105】さらに、解砕工程として、CeMgAl11
19:Tb3+中間蛍光体を、自動乳鉢を用いて10分間
解砕処理した。図3に、原料とした酸化アルミニウム
(図3(a))、解砕処理前のCeMgAl1119:T
3+中間蛍光体(図3(b))、解砕処理後のCeMg
Al1119:Tb3+中間蛍光体(図3(c))をそれぞ
れ電子顕微鏡で観察した結果を示す。
【0106】図3(a)と図3(c)との比較により、
解砕処理後のCeMgAl1119:Tb3+中間蛍光体の
粒子形状が、酸化アルミニウムの粒子形状と実質的に同
一であることがわかる。図3(b)と図3(c)との比
較により、中間蛍光体製造工程後には凝集していたCe
MgAl1119:Tb3+中間蛍光体の各粒子が、解砕処
理によって、個々の粒子へと分離されたことも確認でき
る。
【0107】また、解砕処理後のCeMgAl1119
Tb3+中間蛍光体について、原料としたα−アルミナ粉
末と同様に、粒子球状度および粒度分布を測定したとこ
ろ、粒子球状度は0.5〜0.7、粒径集中度は0.4
0、メジアン粒径は6.6μmであった。
【0108】図4に、原料とした酸化アルミニウム、解
砕処理前のCeMgAl1119:Tb3+中間蛍光体、解
砕処理後のCeMgAl1119:Tb3+中間蛍光体の粒
度分布曲線を示す。
【0109】図4より、解砕処理後のCeMgAl11
19:Tb3+中間蛍光体のメジアン粒径が、酸化アルミニ
ウムのメジアン粒径の1倍以上2倍未満の範囲にあるこ
と、解砕処理によってCeMgAl1119:Tb3+中間
蛍光体のメジアン粒径が約10μmから約6.6μmへ
と低下したことが確認できる。
【0110】さらに、三価希土類イオン含有アルミネー
ト蛍光体製造工程として、上記解砕処理後のCeMgA
1119:Tb3+中間蛍光体をアルミナボートに仕込
み、管状雰囲気炉内に配置して、窒素と水素の混合ガス
からなる還元雰囲気中で2時間焼成した。この二次焼成
の焼成温度は1600℃とした。また、窒素と水素の流
量は各々380cc/minと20cc/minとし
た。なお、本実施例では、上記で説明した後処理工程は
省略した。
【0111】こうして得たCeMgAl1119:Tb3+
蛍光体(以下「実施例蛍光体」という)について、原料
としたα−アルミナ粉末と同様に、粒子球状度および粒
度分布を測定したところ、粒子球状度は0.5〜0.
7、粒径集中度は0.40、メジアン粒径は8.3μm
であった。
【0112】さらに、実施例蛍光体の輝度および色度
を、輝度および色度測定装置を用いて評価した。なお、
輝度と色度の評価には低圧水銀灯を用い、CeMgAl
1119:Tb3+蛍光体に波長254nmの紫外線を照射
して評価した。
【0113】比較のために、従来の製造方法(反応促進
剤未使用)によりCeMgAl11 19:Tb3+蛍光体を
別途製造し、同様に評価した。この蛍光体は、具体的に
は、上記工程において中間蛍光体製造工程と解砕工程と
を省略し、蛍光体原料製造工程で得たCeMgAl11
19:Tb3+蛍光体原料を所定温度の窒素水素混合雰囲気
中で2時間焼成して製造した。用いた原料、装置などは
上記と同様である。以下、焼成温度を1600℃とした
蛍光体を「比較用蛍光体A」、焼成温度を1700℃と
した蛍光体を「比較用蛍光体B」と表示する。
【0114】さらに、市販のCeMgAl1119:Tb
3+蛍光体(以下「市販蛍光体」という)も同様に評価し
た。この蛍光体の製造工程では、フッ化アルミニウムが
反応促進剤として使用されている。各蛍光体の評価の結
果を表1に示す。
【0115】評価の一つとして発光強度比を測定した。
この発光強度比は、波長253.7nmの紫外線照射に
より得られるフォトルミネッセンスにおける波長542
nmの発光強度に対する波長380nmの発光強度の比
率である。
【0116】 (表1) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― CeMgAl11O19:Tb3+蛍光体 相対輝度 色 度 発光強度比 (%) (x,y) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 実施例蛍光体 103 (0.3235,0.5950) 0.016 (中間蛍光体を経由して製造) 比較用蛍光体A 79 (0.3179,0.5862) 0.046 (直接1600℃で加熱) 比較用蛍光体B 90 (0.3204,0.5932) 0.038 (直接1700℃で加熱) 市販蛍光体 100 (0.3209,0.5932) 0.016 (反応促進剤使用) ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0117】表1に示したように、実施例蛍光体の相対
輝度は、2種類の比較用蛍光体のいずれの輝度よりも高
く、市販蛍光体よりもやや高かった。このように、上記
製造方法によれば、少なくとも同一とみなせる範囲の色
度の下では、従来の方法で製造した蛍光体よりも高輝度
であって、反応促進剤を用いて製造された蛍光体よりも
3%高い輝度で発光するCeMgAl1119:Tb3+
光体を製造できる。
【0118】また、発光強度比も、Ce3+による発光が
実質的にない程度(0.020以下)にまで抑制でき
た。
【0119】本実施例において、高い輝度を示すCeM
gAl1119:Tb3+蛍光体が得られたのは、還元雰囲
気中の高温加熱(1600℃)によって四価セリウムイ
オンや四価テルビウムイオンの混在を解消できたためで
あり、さらに1600〜1700℃程度の2度の加熱に
よって、結晶品質に優れるCeMgAl1119:Tb 3+
蛍光体を製造できたためと考えられる。
【0120】上記で一部説明したように、図5は、蛍光
体原料をそのまま還元雰囲気中で焼成して得たCeMg
Al1119:Tb3+蛍光体の焼成温度と相対輝度との関
係を、反応促進剤を用いて製造されたCeMgAl11
19:Tb3+市販蛍光体の輝度を100として示した図で
ある。直接、還元雰囲気中で加熱する方法では、焼成温
度を高くすれば高い輝度が得られるものの、CeMgA
1119:Tb3+市販蛍光体に匹敵する高い輝度を得る
ためには、焼成温度を1700℃以上にまで高くする必
要があり、蛍光体原料の粒子形状を反映した蛍光体を得
ることはできない。
【0121】上記で一部説明したように、図6は、原料
とした酸化アルミニウム(図6(a))、実施例蛍光体
(図6(b))、比較例蛍光体B(図6(c))、比較
例蛍光体A(図6(d))、および市販蛍光体(図6
(e))の電子顕微鏡写真である。図6(a)と図6
(b)との比較より、中間蛍光体を経由して製造した実
施例蛍光体の粒子形状は、原料とした酸化アルミニウム
の粒子形状と実質的に同一の、球に近い擬球形であり、
粒子サイズ分布は、原料とした酸化アルミニウムの粒子
サイズ分布とほぼ同じ、均一な粒径サイズ分布であるこ
とがわかる。また、図6(b)から、本発明にかかる実
施例蛍光体の粒子は、板状の結晶が多数重なり合って、
球に近い擬球形を構成しているという特徴を有すること
もわかる。一方、加熱温度が1600℃である比較用蛍
光体A(図6(d))では、酸化アルミニウムの粒子形
状とほぼ同じ、擬球形の粒子形状が得られているが、焼
成温度が1700℃である比較用蛍光体B(図6
(c))では、酸化アルミニウムの形状が全く反映され
ず、蛍光体粒子は不均一不定形となった。さらに、反応
促進剤を用いて製造した蛍光体(図6(e))では、粒
子サイズが不均一となっている。また、粒子形状も、や
や丸味を帯びた六角板状であった。
【0122】実施例の蛍光体は、薄片状結晶が積層した
外観を呈している(図6(b))。このように、本発明
の一形態では、擬球状であり、かつ層状構造を有する蛍
光体を得ることができる。その一方、反応促進剤を添加
すると滑らかな表面を有する蛍光体となる(図6
(e))。反応促進剤の添加の有無による蛍光体の外観
の相違は、電子顕微鏡を用いた観察により、容易に確認
できる。
【0123】なお、比較用蛍光体Bおよび市販蛍光体に
ついて、上記と同様にして粒子球状度および粒度分布を
測定したところ、比較用蛍光体Bについては、粒子球状
度0.3〜0.8、粒径集中度0.2、メジアン粒径1
1.3μmであり、市販蛍光体については、粒子球状度
0.4〜0.8、粒径集中度0.36、メジアン粒径
8.3μmであった。
【0124】このように、本発明により、粒径や形状が
制御され、しかも、高い発光性能を有する、擬球形の三
価希土類イオン含有アルミネート蛍光体を製造できるよ
うになった。
【0125】なお、実施例では、実質的に破砕面を持た
ない、粒子状のα−アルミナ原料を含む蛍光体原料を用
いた場合を説明したが、本発明の製造方法は、これ以外
の形状を有する粒子状のアルミニウム化合物を含む、蛍
光体原料を用いる製造方法に幅広く適用が可能である。
【0126】さらに、蛍光体の原料となり得る原料化合
物を混合した水溶液を、氷点下に冷却した溶液中に液滴
として滴下して得た、蛍光体原料溶液の氷結体を、真空
乾燥したり、アルミニウム化合物と金属硝酸塩を含むコ
ロイド溶液をスプレー熱分解したりなどして調整した、
粒子状の蛍光体原料を用いる本発明の製造方法の場合で
も、同様の作用と効果が認められる。
【0127】また、本実施例では、CeMgAl
1119:Tb3+蛍光体について説明したが、本発明の製
造方法は、三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体に
幅広く適用が可能である。
【0128】例えば、上記化合物において、Ceまたは
Tbの0〜30%をScなどで置換しても、同様の特徴
を有する緑色蛍光体を製造することができた。この置換
化合物は、例えば、(Ce1-xTbx1-pp(Mg1-y
Mny)Al1119(ただし、Mは、Sc、Y、および
ランタノイドに属するTb以外の元素から選ばれる少な
くとも1種の元素(好ましくは、Sc、Y、Laおよび
Gdから選ばれる少なくとも1種の元素)、x、yおよ
びpは、それぞれ0≦x<1、0≦y<1および0≦p
≦0.3を満足する数値)としても表記できる。
【0129】このようにCeまたはTbの一部を、Sc
など上記元素Mにより置換すると、(1)これらの元素
はイオン半径がCeやTbとは異なるので、蛍光体にお
ける結晶の格子定数が僅かに増減し、これに起因して特
定波長の紫外線(例えば253.7nm)に対するCe
3+あるいはTb3+イオンの励起効率を増減する効果が僅
かに現れたり、(2)三価希土類イオン含有アルミネー
ト蛍光体の融点が僅かに増減し、これに起因して特定の
製造条件で製造した場合の蛍光体の結晶性を変化させる
効果が僅かに現れる。
【0130】この効果を利用すれば、Ce0.6Tb0.4
gAl1119の化学式で表される化合物を主体にしてな
る緑色蛍光体の相対輝度を、CeMgAl1119:Tb
3+緑色蛍光体の輝度を100%として、90〜105%
の範囲内で制御することができる。
【0131】なお、輝度の絶対値は、三価希土類イオン
含有アルミネート蛍光体の製造条件(焼成雰囲気、焼成
温度、焼成時間、焼成回数など)によって異なる数値と
なる。
【0132】さらに、Ce(III)MgAl1119、C
e(III)MgAl1119:Mn2+、CeMgAl11
19:Tb3+,Mn2+などのアルミン酸塩蛍光体や、Y3
Al5 12:Tb3+、Y3Al512:Ce3+の化学式で
表される三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体や、
CeAl1218N:Tb3+などの酸窒化物蛍光体でも、
本発明の方法を適用すると、上記実施例と同様の効果を
得ることができた。
【0133】なお、従来の製造方法を用いて上記三価希
土類イオン含有アルミネート蛍光体を製造した場合に
は、中間生成物として、蛍光体原料に由来した粒子形状
や粒子サイズを保持しにくいCeAlO3やTbAlO3
やYAlO3などの三価希土類イオン含有アルミネート
化合物が生成されやすいことがX線回折による結晶構成
物の評価により確認されている。
【0134】上記実施例では、酸化雰囲気中の焼成回数
および還元雰囲気中の焼成回数を各々1回とした場合を
説明したが、中間蛍光体および三価希土類イオン含有ア
ルミネート蛍光体が、蛍光体原料に由来した粒子形状を
保つ範囲内において、焼成回数を増やせば、それだけ高
い発光性能を得ることができる。ただし、加熱工程を複
数回実施する場合には、特に不純物が混入しないように
配慮する必要がある。
【0135】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、蛍光体原料を予め酸化雰囲気中で加熱して得た中
間蛍光体を、還元雰囲気において、酸化雰囲気中の加熱
温度以下の温度で加熱して蛍光体を得ることとしたた
め、蛍光体原料に由来した粒子形状と粒子サイズとを有
し、発光性能にも優れている三価希土類イオン含有アル
ミネート蛍光体、とりわけ、球状または擬球状の蛍光体
を提供することができる。このように、本発明は、3価
希土類イオン含有アルミネート蛍光体に特有の問題を解
決し、当該発明が属する技術分野において極めて高い利
用価値を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の三価希土類イオン含有アルミネート
蛍光体の製造方法の一形態を示すフローチャートであ
る。
【図2】 本発明の実施例で得た中間蛍光体のX線回折
パターンである。
【図3】 本発明の実施例で用いた(a)酸化アルミニ
ウム、同実施例で得た(b)解砕処理前の中間蛍光体、
および(c)解砕処理後の中間蛍光体についての電子顕
微鏡写真である。
【図4】 本発明の実施例で用いた酸化アルミニウム、
同実施例で得た解砕処理前の中間蛍光体、および解砕処
理後の中間蛍光体の粒度分布を示す図である。
【図5】 従来の製造方法を用いて製造したCeMgA
1119:Tb3+蛍光体の焼成温度と相対輝度との関係
を示す図である。
【図6】 本発明の実施例で用いた(a)酸化アルミニ
ウム、同実施例で得た(b)三価希土類イオン含有アル
ミネート蛍光体、ならびに従来の製造方法で製造した
(c)第1の比較用蛍光体(焼成温度:1700℃)お
よび(d)第2の比較用蛍光体(焼成温度:1600
℃)、ならびに(e)市販蛍光体の電子顕微鏡写真であ
る。
【図7】 本発明の蛍光体の分光スペクトルの例を示す
図である。
【図8】 本発明の発光デバイスの例として、環形蛍光
ランプを示す平面図である。
【図9】 本発明の発光デバイスの例として、電球形蛍
光ランプを示す部分切り欠き図である。
【図10】 本発明の発光デバイスの例として、ツイン
形蛍光ランプを示す平面図である。
【符号の説明】
60 環形蛍光ランプ 61,71,81,82 蛍光ランプ 70 電球形蛍光ランプ 72 光拡散物質 73 グローブ 74 口金 80 ツイン形蛍光ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−240252(JP,A) 特開 平8−277109(JP,A) 特開 昭49−123992(JP,A) 特開 平10−273656(JP,A) 特開 平9−151372(JP,A) 英国特許2259095(GB,B) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 11/00 - 11/89

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒子状のα−アルミナ粉末を含む蛍光体原
    料を酸化雰囲気において1500℃以上1900℃以下
    の所定温度で加熱して中間蛍光体を製造する工程と、前
    記中間蛍光体を還元雰囲気において前記所定温度以下
    ある1400℃以上1800℃以下の温度で加熱する工
    程とを含むことを特徴とする三価希土類イオン含有アル
    ミネート蛍光体の製造方法。
  2. 【請求項2】蛍光体原料が反応促進剤を含まない請求項
    1に記載の三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】α−アルミナ粉末が実質的に破砕面を有し
    ない請求項に記載の三価希土類イオン含有アルミネー
    ト蛍光体の製造方法。
  4. 【請求項4】三価希土類イオン含有アルミネート蛍光体
    が、(Ce1-xx)(Mg1-yMny)Al1119(ただ
    し、Lは、Sc、Yおよびランタノイドに属する元素か
    ら選ばれる少なくとも1種の元素、xおよびyは、それ
    ぞれ0≦x<1および0≦y<1を満足する数値)によ
    り表示される化合物を主体とする請求項1に記載の三価
    希土類イオン含有アルミネート蛍光体の製造方法。
  5. 【請求項5】LがTbを含む請求項に記載の三価希土
    類イオン含有アルミネート蛍光体の製造方法。
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