JPH1018078A - 電気亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents
電気亜鉛系めっき鋼板Info
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- JPH1018078A JPH1018078A JP8170122A JP17012296A JPH1018078A JP H1018078 A JPH1018078 A JP H1018078A JP 8170122 A JP8170122 A JP 8170122A JP 17012296 A JP17012296 A JP 17012296A JP H1018078 A JPH1018078 A JP H1018078A
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Abstract
きままのL値で80以上、クロメート処理処理後のL値
で75以上、更に薄膜クリアー皮膜処理を施した後のL
値でも70以上、といった高レベルの明度の要求を満足
し得る様な電気亜鉛系めっき鋼板を提供すること。 【解決手段】 鋼板の片面もしくは両面に電気亜鉛系め
っき層が形成された電気亜鉛系めっき鋼板において、該
亜鉛系めっき層における各結晶面の配向指数が、下記関
係式を満足する、色調の明るい電気亜鉛系めっき鋼板で
ある。 A=[Ico(00・2)+Ico(00・4)+Ico(10・3)] ≧8.0 B=[Ico(10・0)+Ico(10・1)+Ico(10・2)+Ico(11・0)] ≦
1.0 但し、Ico(hk・l) は (hk・l) 面の配向指数を表わす。
Description
気亜鉛系めっき鋼板に関し、この亜鉛系めっき鋼板は、
自動車や家電製品、OA機器などの外板材や建材等に上
塗り塗装無しで用いられる亜鉛系めっき鋼板として有用
である。
と外観を有しているところから、自動車や家電製品、O
A機器等の外板材、更には建築材料等として広く実用化
されている。
た耐食性を活用して主に塗装下地用として使用されてお
り、その表面は上塗り塗装によって隠蔽されるところか
ら、該めっき層表面の外観特性が特に重視されることは
なかった。ところが近年、ユーザー側での工程簡略化と
コストダウンのため、上塗り塗装工程の省略乃至簡略化
が進み、電気亜鉛系めっき鋼板を塗装無しでそのまま裸
使用するケースが増大してきている。この際には、電気
亜鉛系めっき鋼板の表面にクロメート処理等の各種化成
処理や薄膜タイプの有機系ないし無機系のクリアー皮膜
処理を施し、耐食性を更に高めると共に、加工性や耐指
紋性、潤滑性、溶接性、アース性(導電性)等を付与
し、上塗り塗装無しで用いられる。
外観が実質的にそのまま製品の外観として現われてくる
ので、該めっき鋼板としての外観特性は極めて重要にな
ってくる。そして、該めっき鋼板の外観特性のうち色調
については、当然のことながら明るい方が好まれること
から、特に明るい色調(即ち、明度の高い特性)に対す
るユーザー側の要求は一段と厳しくなっている。
系めっき鋼板を製造する方法が幾つか提案されている。
例えば特公平5−36514号公報には、電気亜鉛系め
っき層における特定結晶面の配向性を規定し、具体的に
は(00・2)面配向指数を0.5以上とし、且つ(1
0・1)面配向指数を1.0以下に抑えることによっ
て、色調の明るいクロメート処理電気亜鉛系めっき鋼板
が得られるとの記載が見られる。
上記と同様に電気亜鉛系めっき層における特定結晶面の
配向性を規定する技術が開示されており、具体的には
(10・3)面配向指数を1.0以上、(10・1)面
配向指数を1.0以下とし、あるいは(11・0)面配
向指数を0.6以上、(10・1)面配向指数を1.0
以下とし、更には、上記何れかの面配向指数を満足しつ
つ(00・2)面配向指数を1.0以下に抑えることに
より、色調の明るいクロメート処理電気亜鉛系めっき鋼
板を得ている。
めっき層における特定結晶面の配向性を規定することに
よりめっき層表面の明度を高める技術であり、該めっき
層表面にクロメート等の化成処理を施し、あるいは更に
有機系のクリアー皮膜を形成した場合でも明度の低下を
可及的に抑え、結果として色調の明るい電気亜鉛系めっ
き鋼板を得るところにその特徴を有している。又これら
の公報によると「色調の明るい」ことの具体的基準は、
「明度(L値)で55以上」と記載されており、この基
準を満たすものは、ユーザーの色調に対する要求を十分
満足するものと評価している。
種々検討を重ねるうち、電気亜鉛系めっき層の色調(明
度)は、確かに前記公報に記載されている様に特定結晶
面の配向性の影響を受けるが、それらの配向性を規定す
ることによって常に安定した明度が得られる訳ではな
く、確実性において必ずしも満足し得るものとは言えな
い。また、近年ユーザーが求める明度のレベルはますま
す厳しくなっており、「明度55以上」といった基準で
はユーザーの要望を満たし得なくなっているのが実状で
ある。具体的には、電気亜鉛系めっきままの状態でL値
80以上、クロメート処理後の状態でもL値が75以
上、薄膜クリアー皮膜を形成した後のL値でも70以
上、といった非常に高レベルの明度が必要となってく
る。
たものであって、その目的は、従来レベルの明度を凌駕
し、電気亜鉛系めっきままの状態でL値80以上、クロ
メート処理後のL値で75以上、薄膜クリアー皮膜処理
を施した後のL値でも70以上、といった高レベルの明
度の要求を満足し得る様な電気亜鉛系めっき鋼板を提供
しようとするものである。
のできた本発明に係る電気亜鉛系めっき鋼板とは、鋼板
の片面もしくは両面に電気亜鉛系めっき層が形成された
電気亜鉛系めっき鋼板において、該亜鉛系めっき層にお
ける各結晶面の配向指数が、下記関係式を満足するとこ
ろにその特徴を有している。 A=[Ico(00・2)+Ico(00・4)+Ico(10・3)] ≧8.0 B=[Ico(10・0)+Ico(10・1)+Ico(10・2)+Ico(11・0)] ≦
1.0 但し、Ico(hk・l) は (hk・l) 面の配向指数を表わす。
という条件のもとで、各結晶面の配向指数を「A/B≧
13.0」とすることによって、一段と明度の高い電気
亜鉛系めっき鋼板を得ることができるので好ましい。
優れた明るさ(明度)の故に、そのままで自動車や家電
製品、OA機器等の外板材や建材などとして有効に活用
することができるが、更に耐食性、加工性、耐指紋性等
の一層の向上を期して、クロメート皮膜処理や有機系も
しくは無機系の薄膜クリアー皮膜処理を施して使用する
ことも有効であり、クロメート皮膜処理を行なう時の好
ましい付着量は、Cr換算で50mg/m2 以下、クリ
アー皮膜処理を行なう時の好ましい付着量は、乾燥重量
で2g/m2 以下にそれぞれ抑えることが望ましい。
ままの状態で表面の明度を、JISZ 8730によっ
て測定されるL値で80以上とすることができ、またク
ロメート処理後の状態での同L値で75以上、更に薄膜
クリアー皮膜処理を施した状態でも、同L値で70以上
の卓越した明度を示すものとなる。
追って本発明を詳細に説明する。本発明者らは、電気亜
鉛系めっき鋼板の一般的な工業的製法として多用されて
いる不溶性電極を用いた硫酸系電気亜鉛系めっき浴を使
用し、浴pH、浴温度、電流密度、浴流速、めっき浴組
成などのめっき処理条件を種々変化させ、得られる電気
亜鉛系めっき鋼板の色調とめっき層の結晶面配向性の関
係を詳細に調査した。
8730に規定されている明度(L値)によって評価
し、まためっき層の結晶面配向性は、X線回折測定によ
って得られる回折ピークから下記の方法で算出した。
晶面(hk・l)の回折ピーク強度値(cps)をI
(hk・l)とする。 次に、標準亜鉛粉末を用いた場合の各結晶面(hk・
l)の標準回折ピーク強度値(cps)をIs (hk・
l)とする(添字のsはstandardを意味している)。
各結晶面の配向指数を、下記式から求めた値Ico(hk
・l)と定義する(添字のcoはcrystal orientation
を意味している)。 Ico(hk・l)=I/Is 但し I=I(hk・l)/{I(00・2)+I(00・4)+I(10・0)+I(10・1)+I(10・
2)+I(10・3)+I(11・0)} Is =Is(hk・l)/{Is(00・2)+Is(00・4)+Is(10・0)+Is(10・
1)+Is(10・2)+Is(10・3)+Is(11・0)} 即ち、電気亜鉛系めっき層の結晶面(hk・l)におけ
る配向指数Ico(hk・l)とは、亜鉛めっき層の結晶
面(hk・l)の相対回折強度Iを、亜鉛粉末における
同一の結晶面(hk・l)の相対強度Is で除して補正
した値を意味する。
いては、ASTM(およびJCPD)にそのデータが記
載されており、それを転記すると下記表1に示す通りで
ある。
θが30〜80度の範囲において、合計7種類のミラー
指数面(結晶面)からの回折強度が得られるので、この
値に基づいて各結晶面の配向指数[Ico(hk・l) ]を算出
することができる。ここで、表1に記載した指数面角度
(deg)とは、亜鉛六方晶の基底面と各ミラー指数面
とのなす角度を意味しており、六方晶の結晶形態の場合
は、 ・格子定数:a,c ・結晶面(ミラー指数面):(h1 K1・l1)と(h2 K2・l2) ・両結晶面のなす角度:φ(deg) とし、 ・X=h1×h2+ k1×k2+1/2( h1×k2+ h2×k1)+3/4(a/c)
2 × (l1×l2) ・Y=h1 2 + k1 2 + ( h1×k1)+3/4(a/c)2 × (l1 2) ・Z=h2 2 + k2 2 + ( h2×k2)+3/4(a/c)2 × (l2 2) とすると、 ・cosφ=X/(Y×Z)1/2 の関係式から、両結晶面のなす角度φ(deg)が算出
され、その値は必ず0〜90°の範囲に入る。
層表面の色調と各結晶面配向指数との相関を調査したと
ころ、個々の結晶面配向指数の大小と色調の明暗の間に
は、必ずしも一義的な相関を見出すことはできなかっ
た。即ち、ある結晶面の配向指数が高い場合には、必ず
色調が非常に明るくなるとか、逆に暗くなるといった様
な明確な相関は認められなかった。
考えるのではなく、前記表1に示した亜鉛六方晶の基底
面をベース(0°とする)とし、該基底面と各結晶面と
のなす角度(以下、指数面角度(deg) という) を求め、
該指数面角度(0〜90°)の範囲の中で、指数面角度
の小さい0〜35.5°の範囲にある(00・2),
(10・3),(00・4)の3つの結晶面からなるグ
ループと、指数面角度の大きい(10・0),(10・
1),(10・2),(11・0)の4つの結晶面から
なるグループの2つのグループに分け、両グループにお
ける配向指数の総和と亜鉛めっき表面の色調の明暗の関
係について調査したところ、以下に示す如くこれまでに
全く認識されておらない新たな知見を得た。
co(hk・l)とすると A=[Ico(00・2)+Ico(00・4)+Ico(10・3)] ≧8.0 B=[Ico(10・0)+Ico(10・1)+Ico(10・2)+Ico(11・0)] ≦
1.0 の両関係式を同時に満足する場合には、色調の非常に明
るい電気亜鉛系めっき鋼板が確実に得られることを見出
したのである。
グラフ化して示したものであり、この図からも明らかで
ある様に、上記A,Bの2つの関係式を同時に満たす電
気亜鉛系めっき鋼板表面の色調は、全てL値で80以上
の非常に優れた明度を示すことが分かる。
向指数を規定するのではなく、(00・2),(10・
3),(00・4),(10・0),(10・1),
(10・2),(11・0)の合計7種類の結晶面のう
ち、指数面角度の小さい(00・2),(10・3),
(00・4)の3つの結晶面を1グループとして扱い、
これら3つの結晶面の配向指数の合計値を8.0以上と
し、且つ、指数面角度の大きい(10・0),(10・
1),(10・2),(11・0)の4つの結晶面を1
グループとして扱い、これら4つの結晶面の配向指数の
合計値を1.0以下に抑えることによって、従来材をは
るかに超える、L値で80以上といった卓越した明度を
有する電気亜鉛系めっき鋼板を確実に得ることに成功し
たものである。
係にあり、例えば指数面角度の小さい(00・2),
(10・3),(00・4)の3つの結晶面配向指数を
考えた場合、それらのうち1つ(たとえば(10・3)面)の
配向指数が高ければ(あるいは低ければ)、残り2つ
(例えば(00・2),(00・4) 面)の配向指数は必然的に高く
なる(あるいは低くなる)といった従属関係にある訳で
はなく、これらのことは、指数面角度の大きい(10・
0),(10・1),(10・2),(11・0)の4
つの結晶面についても同じである。
おける各結晶面を、明度に好影響を及ぼすグループと悪
影響を及ぼすグループの2つに分け、それらグループと
しての配向指数の和を規定するという全く新たな概念を
導入することにより、より確実に優れた明度を示す電気
亜鉛系めっき鋼板を得ることに成功したものである。
式を達成する為の具体的手段は特に制限されず、また各
結晶面の配向指数は様々の因子によって変わってくるた
め、その達成条件を一義的に決めることはできない。例
えば、工業的規模で一般的に採用される酸性浴による電
気亜鉛系めっき方法においては、めっき電流密度、電流
の連続的増減や断続的通電、めっき浴組成としての電導
度、pH、浴中不純物(有機系あるいは無機系)の種類
やその濃度、浴中添加物の種類やその濃度、めっき浴−
素材鋼板間の相対流速など、様々の因子が各結晶面の配
向指数に影響を与えると考えられるので、現場の状況に
応じて、上記配向指数の関係式を達成し得る様にそれら
の条件を夫々単独であるいは複合して制御する方法が採
用される。この場合、現場の状況を加味した予備実験に
よってその条件を予め設定しておけば、十分な再現性を
確保することができる。
を前提として更に検討を加えたところによると、前記式
A,Bで示されるグループの各結晶面配向指数の和に加
えて、それらの比(A/B)が13.0以上であるもの
は、とりわけ優れた明度を示すこと、また、上記2つの
グループの結晶面の中でも(00・2)面の配向指数が
4.0以上であり且つ(10・1)面の配向指数が0.
3以下であるものは、より一層安定して高レベルの明度
を示し、それらの要件を付加することによって、L値で
83以上といった卓越した明度の電気亜鉛系めっき鋼板
が得られることを確認している。
足する電気亜鉛めっき層において、A/Bの比が明度に
及ぼす影響を整理して示したグラフであり、A/B比が
13を境にしてそれ以上になると明度は一段と高くな
り、L値で83以上の卓越した明度を示すこと、また図
3は、同じく式A,Bの要件を満足するめっき層のう
ち、特に(00・2)面と(10・1)面に注目してそ
れらの配向指数が明度に与える影響を整理して示したグ
ラフであり、(00・2)面の配向指数が4.0以上で
あり且つ(10・1)面の配向指数が0.3以下、より
好ましくは0.2以下であるものは、L値で83以上の
卓越した明度を示すことが分かる。
層における前記式Aで示されるグループの結晶面の配向
指数の和を8.0以上、式Bで示されるグループの各結
晶面の配向指数の和を1.0以下とすることによって、
従来レベルを凌駕する高レベルの明度を確保したところ
にその特徴を有するものであり、めっき付着量等には特
に制限がないが、めっき付着量が少な過ぎると、本来の
耐食性が不十分になる嫌いがあるので、好ましくは3g
/m2 以上、より好ましくは10g/m2 以上、更に好
ましくは20g/m2 以上とすることが望ましい。一方
めっき付着量の上限については、付着量の増大に伴う電
力コスト等も総合的に考慮して好ましくは100g/m
2 以下、より好ましくは60g/m2 以下、更に好まし
くは40g/m2 以下に抑えるのが一般的といえる。
その用途に応じて鋼板の片面側のみに形成し、あるいは
両面に形成することが可能である。更には、上記亜鉛系
めっき層の形成に先立って、下地めっき層としてNi,
Ni−Co,Ni−P等のNi系めっき、Zn−Ni,
Zn−Fe,Zn−Cr等のZn系めっき、Fe−P,
Fe−B等のFe系めっき等を施した多層めっき構造と
することも勿論可能である。
めっき層が形成された本発明の電気亜鉛系めっき鋼板
は、その優れた明度の故にそのままで製品化し得る他、
必要によっては更に耐食性、加工性、耐指紋性等の一層
の改善を期してその表面にクロメート等の化成処理皮膜
を形成したり、薄膜の有機系もしくは無機系のクリアー
皮膜を形成することも有効である。
形成すると、以下に説明する様に表面の明度が若干低下
する傾向が見られるが、それでもL値で70以上であ
り、従来の電気亜鉛系めっき鋼板に比べると格段に優れ
た明度が確保される。
と明度の関係を調べた結果を示したグラフであり、クロ
メート付着量の増大につれて明度は僅かに低下する傾向
が伺われ、付着量が多くなり過ぎるとその低下が軽視で
きなくなる。そして、クロメート皮膜形成後の明度でL
値75レベル以上を確保するには、クロメート皮膜の付
着量をCr換算で50mg/m2 以下、より好ましくは
30mg/m2 程度以下に抑えることが望ましく、この
程度の付着量であれば、明度以外の色調の尺度であるb
値が増加し、外観が黄色味を帯びるといった問題も生じ
ない。
は、電気亜鉛系めっき層表面の耐白錆性(耐食性)の向
上にあるが、こうした目的からすればCr換算の付着量
で10〜30mg/m2 程度で十分であるから、明度の
低下を避けるために耐食性を犠牲にするといった懸念も
生じない。
格別の制限はなく、所謂反応型クロメート処理、電解ク
ロメート処理、塗布型クロメート処理等のいずれを採用
してもよく、場合によってはそれらを組合せて実施する
ことも可能である。また、クロメート皮膜の耐食性や耐
疵付き性、耐黒変性などを一層高めるため、シリカ等の
各種酸化物や有機シラン系化合物、更にはリン酸、硝
酸、ふっ化物、珪・ふっ化物などの反応促進剤などを適
量含有させたクロメート処理液を使用することも有効で
ある。
に薄膜クリアー皮膜を形成したときの明度に与える影響
を示したグラフであり、クリアー皮膜の形成によっても
明度の低下が認められる。そしてクリアー皮膜の付着量
が2g/m2 を超えると、本発明における明度の一応の
目標下限値であるL値で70を下回る恐れがでてくるの
で、クリアー皮膜の付着量は乾燥重量で2g/m2 以
下、より好ましくは1g/m2 以下に抑えることが望ま
しい。尚クリアー皮膜を形成する主たる目的は、耐食
性、加工性(潤滑性)、耐指紋性などの一層の向上にあ
り、こうした目的は一般にクリアー皮膜の付着量で0.
1〜2g/m2 程度で十分に達成される。従って、明度
の低下を避けるためにクリアー皮膜本来の目的・性能を
犠牲にするといった懸念も生じることがなく、且つこの
付着量範囲であれば、アース性や溶接性などが損なわれ
る恐れもない。
限はないが、好ましいものを例示すると、エポキシ系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレ
ン性不飽和カルボン酸を重合成分として含むエチレン共
重合体樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ア
クリル系樹脂、フッ素系樹脂等の有機樹脂を主体とし、
必要により耐食性、潤滑性、耐疵付き性、加工性、溶接
性、電着塗装性、塗膜密着性などの一層の向上を期して
シリカなどの各種酸化物粒子や各種リン酸塩などの無機
顔料、ワックス粒子、有機シラン化合物、ナフテン酸塩
等を含有せしめた有機系クリアー皮膜形成剤;あるい
は、珪酸ソーダ、珪酸カリ、珪酸リチウム等の珪酸塩を
主体とし、必要により造膜性、耐食性、潤滑性、耐疵付
き性、加工性、溶接性、電着塗装性、塗膜密着性などの
一層の向上を期してコロイダルシリカなどの各種酸化物
粒子や各種リン酸塩などの無機顔料、ワックス粒子、有
機シラン化合物等を含有せしめた無機系クリアー皮膜形
成剤、等が例示され、これらの中から1種もしくは2種
以上を任意に選択して使用することができる。また本発
明で使用する素地鋼板にも特に制限がなく、通常の軟鋼
板を初め、高強度鋼板や各種の合金鋼板が全てその対象
となる。
するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受
けるものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で
変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらは
全て本発明の技術範囲に包含される。
亜鉛系めっき鋼板を製造した。またその一部について
は、反応型クロメート処理を行なってクロメート皮膜を
形成し、更にはクロメート皮膜の上にクリアー皮膜を形
成した。
測定を下記の条件で行ない、亜鉛めっきの各結晶面の回
折強度から配向指数を算出した。また色差計を用いて、
得られた電気亜鉛めっき鋼板(クロメート処理材および
薄膜有機皮膜処理材を含む)の明度(L値)を測定し、
下記表2に示す基準で色調の明るさをランク分けした。
比;Cu−Kα線) 管電圧 :40kV 管電流 :300mA 測定角 :2θ 30°〜80° 走査速度 :2°/min サンプリング角度:0.02° 発散スリット :1° 散乱スリット :1° 受光スリット :0.15mm 試料面内回転 :100rpm 結果を表3〜6に示す。
る。本発明で規定する式A,Bの値がいずれも要件を満
たす実施例は、いずれもL値が80以上の非常に高い明
度を有しており、また電気亜鉛めっき層の上にクロメー
ト処理や薄膜有機クリアー皮膜処理を施したものでも、
若干の明度の低下は認められるものの、L値で70以上
の高い明度を保っている。
規定値を外れる比較例では、本発明で意図するL値80
以上のレベルの明度が得られていない。また、クロメー
ト皮膜の付着量が多過ぎてCr換算で50mg/m2 を
超えると、クロメート処理後の状態でL値75以上が確
保できなくなる(参考例34,35)ので、本発明で意
図するレベルの明度を確保するには、クロメート皮膜の
Cr換算付着量は50mg/m2 以下に抑えることが望
ましいことが分かる。また、有機クリアー皮膜の付着量
が2.0g/m2 を超える参考例(No.45,46)
では、明度の低下が大きくなるので、クリアー皮膜処理
後の状態でL値70以上を確保するには、クリアー皮膜
の付着量を2.0g/m2 以下に抑えることが望ましい
ことが分かる。
層における2つにグループ分けされる結晶面群の式A,
Bで得られる配向指数の和を示したが、これらめっき層
のうち一部について、各結晶面個々の配向指数を抜粋し
て表7に示しておく。
気亜鉛系めっき層における各結晶面を、明度に好影響を
及ぼす結晶面と明度に悪影響を及ぼす結晶面の2つのグ
ループに分け、前記式A,Bで規定する各グループの配
向指数の和を夫々規定することによって、L値で80以
上といった従来例を凌駕する高レベルの明度を有する電
気亜鉛系めっき鋼板を提供し得ることになった。また、
こうした要件に加えてA/B比を規定し、更には結晶面
のうち特に(00・2)面と(10・1)面の配向指数
を規定することによって、明度をL値で83以上にまで
高めることが可能となる。そしてこの電気亜鉛系めっき
鋼板は、そのままで各種外板材や建材等として実用でき
る他、必要によりクロメート皮膜処理や薄膜クリアー皮
膜処理を施すことによって、明度をそれほど損なうこと
なく、耐食性、潤滑性、耐疵付き性、加工性、溶接性、
電着塗装性、塗膜密着性などを更に改善して実用化する
ことも有効である。
鋼板表面の明度に及ぼす影響を整理して示すグラフであ
る。
ある。
明度に及ぼす影響を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
に薄膜有機クリアー皮膜を形成したときの、該クリアー
皮膜付着量と明度の関係を示すグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】 鋼板の片面もしくは両面に電気亜鉛系め
っき層が形成された電気亜鉛系めっき鋼板において、該
亜鉛系めっき層における各結晶面の配向指数が、下記関
係式を満足することを特徴とする色調の明るい電気亜鉛
系めっき鋼板。 A=[Ico(00・2)+Ico(00・4)+Ico(10・3)] ≧8.0 B=[Ico(10・0)+Ico(10・1)+Ico(10・2)+Ico(11・0)] ≦
1.0 但し、Ico(hk・l) は (hk・l) 面の配向指数を表わす。 - 【請求項2】 各結晶面の配向指数が、下記式の関係を
満足するものである請求項1記載の電気亜鉛系めっき鋼
板。 A/B≧13.0 - 【請求項3】 上記亜鉛系めっき層の表面に、Cr換算
で50mg/m2 以下のクロメート皮膜が形成されてい
る請求項1記載の電気亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項4】 上記クロメート皮膜の上に、乾燥重量で
2g/m2 以下のクリアー皮膜が形成されている請求項
2記載の電気亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項5】 JIS Z 8730によって測定され
る明度(L値)が80以上である請求項1または2記載
の電気亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項6】 JIS Z 8730によって測定され
る明度(L値)が75以上である請求項3に記載の電気
亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項7】 JIS Z 8730によって測定され
る明度(L値)が70以上である請求項4記載の電気亜
鉛系めっき鋼板。
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