JPH1016104A - 抗菌通水性シート - Google Patents

抗菌通水性シート

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JPH1016104A
JPH1016104A JP8167299A JP16729996A JPH1016104A JP H1016104 A JPH1016104 A JP H1016104A JP 8167299 A JP8167299 A JP 8167299A JP 16729996 A JP16729996 A JP 16729996A JP H1016104 A JPH1016104 A JP H1016104A
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JP
Japan
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fiber
water
antibacterial
permeable sheet
hydrophilic
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JP8167299A
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English (en)
Inventor
Yasuyuki Oku
恭行 奥
Takahiko Haraguchi
孝彦 原口
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】抗菌・防カビ性を有し、通水性、曲げ強さ等の
力学的特性、寸法安定性に優れ、かつ加工性の良好な抗
菌通水性シートを提供する。 【解決手段】表面に1つ以上の連続あるいは不連続の溝
を有する親水性異形断面繊維、バインダー繊維、高弾性
繊維、親水性微粉末、および抗菌性繊維を含有し、かつ
親水性微粉末が構成繊維表面に固着する抗菌通水性シー
ト。好ましくは、異形断面繊維が、ポリビニルアルコー
ル系繊維である抗菌通水性シート。さらに、好ましくは
抗菌性繊維が、親水性繊維である抗菌通水性シート。ま
た、好ましくは、親水性微粉末が粒子径100nm以下
のコロイド状シリカを主成分とし、さらに好ましくはコ
ロイド状シリカの粒子径が10nm未満である抗菌通水
性シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌通水性シートに
関する。さらに詳しくは、通水性、力学的特性、加工
性、および寸法安定性に優れ、加湿器用吸水材、結露吸
水材、水蒸散板、調湿板などに活用し得る抗菌通水性シ
ートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、加湿器用吸水材、結露吸水材、調
湿板、濾過材などの分野において、多孔性シート(本発
明では抗菌通水性シート)が広く利用されるようになっ
ている。多孔性シートとしては、従来、ポリオレフィン
などの熱可塑性樹脂の微粒体をシート状に焼結成形した
ものや、該樹脂の有孔フィルムと多孔性基材とを接合し
たものなどが使用されている。しかしながら、上記の熱
可塑性樹脂は一般に疎水性であるため、これらの多孔性
シートは吸水性(本発明では通水性)に劣るものとな
り、吸水材としては有効に機能しないという問題点があ
った。
【0003】従来の多孔性シートのかかる問題点を解決
し、通水性に優れ、かつ曲げ強さなどの力学的特性の良
好な多孔性シートが、特開平1−283129号公報に
開示されている。該公報の多孔性シートは、強化繊維か
らなるシート、例えば、ポリエステル繊維の不織布など
に熱硬化性フェノール樹脂の微粒子の水分散液を含浸
し、乾燥させた後、加圧加熱処理して上記フェノール樹
脂を硬化させてシートを形成し、ついでシリカ系の微粒
子の水分散液を含浸し、乾燥させて得られるものであ
る。
【0004】また、特開平3−81349号公報には難
燃性を、特開平3−86529号公報には表面平滑性を
付与した吸水性および力学的特性の双方に優れる多孔性
シートが開示されているが、その基本的な構成は上記公
報と類似したものである。
【0005】しかしながら、上記の方法によって得られ
る多孔性シートには、2次加工の際にフェノール樹脂の
微粒子が脱落するなどの問題点がある。
【0006】一方、これら多孔性シートは水と接した状
態で使用するので、シートを構成する成分が有機質で構
成され、菌やカビに対する抵抗性がない場合、菌やカビ
が増殖し、臭いが発生したり、菌糸や胞子が多孔性シー
トに蓄積し、吸水性能が低下することが考えられる。
【0007】シートを構成する成分が、菌やカビに対し
抵抗性を有する材料を用いた場合でも、その材料に殺菌
性がない場合、水中に有機質が含まれており、大気中の
浮遊物が水中に混入することで、菌やカビが増殖するこ
とは避けることは出来ない。
【0008】登録実用新案公報第3001285号に
は、親水性多孔質微粉末と抗菌剤とを配合した合成樹脂
エマルジョンを含浸することにより、抗菌剤を基材に付
着させたものが開示されている。前記の公報同様、含
浸、乾燥工程を経ねばならず、工程が煩雑であること、
合成樹脂などを介して抗菌剤を付着させた場合、抗菌剤
が合成樹脂中に埋没し、効果を発揮する抗菌剤が限定さ
れ過度の抗菌剤が添加されているという問題点もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点を解決するものであり、抗菌性、防カビ性、通水
性、曲げ強さ等の力学的特性、寸法安定性に優れ、かつ
加工性の良好な抗菌通水性シートを提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、特定の親水性異
形断面繊維、抗菌性繊維をバインダー繊維で固定し、該
繊維表面に親水性微粉末を固着させることで抗菌通水性
シートが得られることを見い出した。本発明はこれらの
知見をもとに達成されたものである。
【0011】即ち、本発明は、表面に1つ以上の連続あ
るいは不連続の溝を有する親水性異形断面繊維、バイン
ダー繊維、親水性微粉末、および抗菌性繊維を含有し、
かつ親水性微粉末が構成繊維表面に固着してなることを
特徴とする抗菌通水性シートである。
【0012】また、表面に1つ以上の連続あるいは不連
続の溝を有する親水性異形断面繊維、バインダー繊維、
高弾性繊維、親水性微粉末、および抗菌性繊維を含有
し、かつ親水性微粉末が構成繊維表面に固着してなるこ
とを特徴とする抗菌通水性シートである。
【0013】また、好ましくは親水性異形断面繊維がポ
リビニルアルコール系繊維である抗菌通水性シートであ
る。
【0014】また、好ましくは親水性微粉末が粒子径1
00nm以下のコロイド状シリカを主成分とする抗菌通
水性シートである。
【0015】さらに、好ましくはコロイド状シリカの粒
子径が10nm未満である抗菌通水性シートである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明で使用する繊維の役割につき説明を
行う。親水性異形断面繊維(以下、異形断面繊維と略
す)は、表面に形成された溝が通水経路となり水を運
ぶ。バインダー繊維は構成する繊維を接着により結合さ
せ、抗菌通水性シートに強度を付与する。また、抗菌通
水性シートが吸水したとき、繊維が膨潤し、厚みが変化
するのを抑制する。親水性微粉末は、構成繊維表面に固
着しており、繊維表面がさらに水に濡れやすい状態をつ
くると同時に繊維表面、および繊維がつくる通水経路に
水を伝わりやすくする。抗菌性繊維はシートに菌やカビ
が増殖し、臭いが発生したり、シートの通水性が阻害さ
れるのを防ぐものである。
【0017】さらに、本発明で使用する材料について詳
細かつ具体的に説明する。本発明で用いる異形断面繊維
とは、親水性で、表面に少なくとも1つ以上の連続ある
いは不連続の溝を有するものである。溝の形状に特に制
限はなく、断面形状がT型、Y型、U型、星型などのも
のであれば、凹部が溝の役割をはたし得るし、単にスト
リーク状の溝を有するものであってもよい。
【0018】一般に、不織布シートの通水性は、それを
構成する繊維自体の性質はもちろんのこと、繊維の形状
や繊維の集合状態に強く依存する。とりわけ、後二者が
不織布シートの通水性に及ぼす影響は多大である。
【0019】真円や楕円形の断面形状を有する繊維は、
その表面に溝状の通水経路を持たないばかりでなく、該
繊維のみで構成された不織布シートでは、繊維の充填率
が高くなり、シートが緻密になるため、該シート内にお
ける繊維間の通水経路の形成が不十分なものとなり、優
れた通水性を有する不織布シートを得ることは困難であ
る。
【0020】一方、繊維表面に連続あるいは不連続の溝
が存在する場合、これらの溝が通水経路として機能す
る。さらには、該繊維の特殊な断面形状のために、繊維
同士が該シート内で接触あるいは近接した際にも、異形
断面を持たない繊維同士に比べ、接する面積が少ないた
め、繊維間で空隙が残り、該シート内に多数の細孔が形
成され、繊維間の通水経路が確保される。これら経路を
毛細管現象により、後述する繊維と組み合わせること
で、本発明の抗菌通水性シートは優れた通水性が発現す
ると考えられる。
【0021】しかしながら、あまりに偏平な繊維を用い
た場合、加圧工程で、抗菌通水性シートが緻密になるた
め、繊維断面において、長軸径(L)と短軸径(S)の
偏平比(L/S)が3以下であることが好ましい。
【0022】異形断面繊維の種類としては、親水性を有
するものであれば特に限定されるものではなく、ポリビ
ニルアルコール系繊維、再生繊維、アセテート繊維、ポ
リアミド系繊維、エチレンビニルアルコール系繊維な
ど、あるいはコロナ放電処理やプラズマ処理などによる
表面改質、アクリル酸などの親水性化合物のグラフト重
合、多孔質化などによって親水性を付与された繊維など
を単独あるいは複数混合して使用することができる。通
水経路を構成する異形断面繊維自体が親水性を有し、抗
菌通水性シートに優れた通水性を付与することが、本発
明の特徴の一つである。
【0023】上記の繊維の中でも、ポリビニルアルコー
ル系繊維は、ヤング率が大きく、抗菌通水性シートに良
好な力学的特性、例えば曲げ強さなどを付与できる点で
特に好ましい繊維である。また、シートが形成される工
程で、緻密に異形断面繊維として、この様な高ヤング率
の繊維を使用すれば、抗菌通水性シートの力学的特性を
向上させることができる。また、該繊維は菌類やかび類
に対して完全な抵抗性を有しており、吸水板や水蒸散板
などの水周りの用途において、優れた抗菌性、防カビ性
を示すことが期待される。
【0024】異形断面繊維の繊度は、0.1〜15デニ
ール(以下、dと略す。)が好ましい。0.1d未満で
は、抗菌通水性シートが緻密になり、抗菌通水性シート
内における繊維間の通水経路が減少するので好ましくな
い。また、15dを超えて大きいと、空隙は確保される
が、繊維間隔が広くなり、複数の繊維による細孔形成が
抑制され、毛細管現象により水が進行することが阻害さ
れるため通水が低下し、好ましくない。
【0025】親水性微粉末を分散液の状態で付与する工
程で、異形断面繊維はバインダー繊維より、濡れ性が良
く、分散液がより多く、親水性の異形断面繊維表面へ付
与されると考えられることから、親水性微粉末の固着量
も多くなると推定される。そのため、抗菌通水性シート
内の全繊維繊維重量(親水性微粉末を除いた前駆体ウェ
ブ)中で、異形断面繊維の占める割合は、30重量%以
上が好ましく、さらに好ましくは40重量%以上であ
る。30重量%未満では、さきに述べた理由以外に、細
孔形成能が低下し、抗菌通水性シート内における繊維間
の通水経路が減少するので好ましくない。
【0026】次に、バインダー繊維について説明する。
本発明で用いられるバインダー繊維としては、熱溶融性
繊維あるいは熱水溶解性繊維が例示される。熱溶融性繊
維は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドなど
の合成樹脂から選ばれた繊維状のもので、合成樹脂の融
点以上の温度で処理することによって合成樹脂が溶融
し、接着し、強度を発現するものである。熱水溶解性繊
維は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコー
ルなどの合成樹脂から選ばれた繊維状のもので、加熱に
より含水状態のウェブを乾燥させる工程で水温の上昇に
よって溶解し、ウェブが乾燥することで接する繊維と接
着し、強度を発現するものである。
【0027】バインダー繊維の繊度は、0.1〜15d
が好ましい。0.1d未満では、抗菌通水性シートが緻
密になり、通水経路が確保されず、通水性が低下するた
め好ましくない。また、15dを超えて大きいと、抗菌
通水性シート内のバインダー繊維の本数が少なくなり、
接着力の低下を補うべくバインダー繊維の配合量を増や
さねばならず、通水性に寄与する繊維の含有量が低下す
るため、好ましくない。
【0028】バインダー繊維の配合量は、全繊維重量の
15〜50%が好ましく、さらに好ましくは20〜40
%である。15%未満では、接着力が不足し、他の構成
繊維を固定することが困難で、抗菌通水性シートの力学
的特性の低下、毛羽立ちの発生、寸法安定性の低下を招
く。50%を超えると、接着力は大きいが、バインダー
繊維の溶融可塑化によって抗菌通水性シートの通水性が
低下してしまう。また、バインダー繊維が、他の通水性
に寄与する繊維の表面を覆う面積が大きくなり、通水性
が低下してしまう。さらに、接着により抗菌通水性シー
トが緻密になりやすいため好ましくない。
【0029】本発明で使用する親水性微粉末とは、充分
な通水性を有するとともに、次々に水分を伝えることが
できるものが好ましく、保水が大きく、通水により過度
に膨潤するものは好ましくない。膨潤が大きいものは、
粉末自体が膨潤により、抗菌通水性シートの通水経路を
閉塞し、シートの通水性を阻害するため好ましくない。
【0030】具体的には、粒子径が1μm以下で、無水
珪酸または含水珪酸の微粉末、珪酸ナトリウムの希薄水
溶液を酸で中和して得られる水性シリカゲルなどのシリ
カ系微粉末、その他アルミナ系、シリカ・アルミナ系の
微粉末を指し、特にシリカ系微粉末が優れた通水性を付
与することができる。
【0031】特に、粒子径が1〜100nmのコロイド
状のシリカと呼ばれるものは、繊維への固着力も強く、
脱落しにくいため、長期に渡り優れた通水性を示す点か
ら好ましい。また、粒子径が10nm未満のものは、極
少量の添加でも、優れた通水性を示ことからさらに好ま
しい材料である。
【0032】親水性微粉末の固着量は、本発明において
は、繊維自体が通水性を有しており、その配合量は親水
性微粉末を付与する前の前駆体ウェブ重量に対し、0.
001重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.0
1〜10重量%である。
【0033】本発明における抗菌通水性シートは、前駆
体となるウェブを構成する多くの繊維自体が親水性を有
するため、疎水性合成繊維を主体とした前駆体ウェブに
見られるように、繊維の交点に分散液が集まることも少
なく、繊維表面を覆いやすく、親水性微粉末が、抗菌通
水性シート内に均一に分布しているので、少量の添加
で、優れた通水性を示すものと考えられる。
【0034】本発明においては、表面に1つ以上の連続
あるいは不連続の溝を有する親水性異形断面繊維表面を
用いており、抗菌通水性シートの繊維内の通水性に関し
ては、この溝を通ると考えられる。即ち、親水性微粉末
の分散液を含浸したときも、その溝の部分に分散液が多
く集まると考えられ、水の伝わる経路に親水性微粉末が
集り、本発明の抗菌通水性シートは、極少量の親水性微
粉末を固着させるだけで、通水速度が速い抗菌通水性シ
ートとなると推察される。さらには、異形断面繊維の溝
の部分に固着されているため、特に、通水性に寄与しな
い樹脂バインダーを用いなくても、脱落しにくく、長期
に渡り通水性維持されると推察される。
【0035】次に、本発明で用いる抗菌性繊維について
説明を行う。本発明で用いる抗菌性繊維とは菌やカビに
対して、抵抗性を持っているだけでなく、菌やカビを、
死滅あるいは生存・繁殖を抑制することができるもので
ある。それは、抗菌性を示す物質が繊維を構成する樹脂
中に練り込まれているもの、官能基に化学結合している
もの、後加工により固着されているもの等が例示され
る。
【0036】本発明の抗菌通水性シートの用途において
は、同一量の抗菌剤を用いた場合は、抗菌剤を練り込ん
だ繊維より、後加工により繊維表面に固着させたもの
が、有効成分がより遊離しやすいため、効果が大きく、
速効性である点から、好ましい。抗菌剤の種類として
は、金属系、第4級アンモニウム塩系、有機シリコン第
4級アンモニウム塩系、フェニルアミド系、ジグアニド
系、動物系高分子化合物、脂肪酸エステル系、フェノー
ル系、植物系高分子化合物、求電子性化合物等が例示さ
れる。
【0037】金属系のものとして、銀・銅・亜鉛等の単
体金属、金属酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、
金属チオシアン化物、錯体金属、金属担持セラミックス
(ゼオライト、シリカ、ガラス等)等が例示される。第
4級アンモニウム塩系のものとして、ポリオキシアルキ
ルキレントリアルキルアンモニウム塩、塩化ベンザルコ
ニウム等が例示される。有機シリコン第4級アンモニウ
ム塩系として、3−(トリメトキシシリル)−プロピル
オクタデシルジメチルアンモニウムクロリド等が例示さ
れる。フェニルアミド系として、トリクロカルバン
(3,4,4’−トリクロロカルバニリド)等が例示さ
れる。ジグアニド系として、グルコン酸クロルヘキシジ
ン(1,6−(クロロカルバニリド)ヘキサンのグルコ
ン酸塩)等が例示される。動物系高分子化合物として、
キチン・キトサン等が例示される。フェノール系とし
て、パラクロロメタキシレノール等が例示される。植物
系高分子化合物として、ヒノキチオール等の植物系製油
等が例示される。その他、酸化チタン等の求電子性化合
物が例示される。
【0038】本発明の抗菌性繊維は以上の抗菌剤を少な
くとも一種類以上含有するものを使用することができる
が、特に、抗菌性、防カビ性の点で優れているものとし
て、銀等の金属系の物質が表面に添着した繊維が好まし
い材料で、安全性の点から、特に金属系物質としては銀
を用いたものが好ましい。
【0039】金属イオンの抗菌メカニズムとしては、細
胞膜に分布しているエネルギー代謝酵素の−SH基に結
合し酵素機能を失活させること、細胞を構成するタンパ
ク質を変性させ細胞を破壊すること、銀イオンが触媒と
して作用し活性酸素を発生させ、酵素破壊をおこすこと
が示される。
【0040】抗菌性繊維の繊度は、0.1〜15dが好
ましい。0.1d未満では、シートが緻密になり、細孔
形成能が低下し、抗菌通水性シート内における繊維間の
通水経路が減少するので好ましくない。また、15dを
超えて大きいと、空隙は確保されるが、繊維間隔が広く
なり、複数の繊維のよる細孔形成が抑制され、毛細管現
象により水が進行することが阻害されるため通水が低下
し、好ましくない。
【0041】抗菌性繊維の配合量は、抗菌通水性シート
が十分な抗菌、防カビ性を発現する範囲であれば特に制
限はなく、他の構成成分が減少し、通水性が阻害されな
い範囲であればよい。
【0042】また、これらの抗菌性の繊維は、抗菌通水
性シートの性能を維持する目的からも親水性を有するも
のがさらに好ましい。
【0043】親水性を有する抗菌性繊維とは、元来親水
性の繊維に抗菌剤を添加したものを挙げることができ
る。親水性の繊維としては、レーヨン等のセルロース系
繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコ−ル系繊維が
挙げられ、これらの繊維に練り込んだもの、表面に添着
したものが好適である。
【0044】また、本発明においては、高弾性繊維を含
有させることがさらに好ましい。高弾性繊維は、剛性が
大きく、単に抗菌通水性シートに曲げ強さを付与できる
だけでなく、圧縮に対する反発も強いので、抗菌通水性
シート製造時の加熱加圧に対して、バインダー繊維が過
剰に融着することで、抗菌通水性シートが高密度化し、
通水経路を閉塞するのを防ぎ、通水性が低下するのを防
ぐことができる。
【0045】このような、高弾性繊維としては、親水性
を有するものが特に好ましい。親水性の高弾性繊維とは
繊維自体に親水性を有するもの、高弾性繊維に親水化処
理したものが挙げられる。具体的にはガラス、炭素繊維
などの無機繊維、銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊
維、フェノール繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリイミ
ド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、芳香族ポリ
エステル繊維などのエンプラ繊維などである。高弾性繊
維の繊維長、繊度は、本発明で用いる異形断面繊維、バ
インダー繊維と同じ範囲のものを使用することができ
る。
【0046】次に、本発明の抗菌通水性シートの製造方
法について説明する。本発明の抗菌通水性シートの製造
法は、繊維をウェブ化する工程、親水性微粉末を付与す
る工程、バインダー繊維によってシートを固定する工程
よりなる。親水性微粉末を付与する工程は、ウェブ化工
程、シートを固着する工程と同時に行っても良い。
【0047】ウェブ化する工程には特に制限はなく、湿
式抄造法、乾式法などの方法によりウェブ化することが
できる。
【0048】親水性微粉末は粉末のままでは均一に付与
するのが困難であるため、溶媒に分散させ分散液とし付
与する方法が好ましい。分散液の溶媒としては、取扱い
の容易さ、安全性、汎用性、さらに、抗菌通水性シート
自体が親水性であることから、水が最も好ましい。
【0049】分散液は、塗布、含浸、スプレー等の方法
により、得られたウェブに直接付与するか、バインダー
繊維によりシートを固定した後に付与する方法が好まし
い。あるいは、湿式抄造法によりウェブ化する場合は、
繊維の水性スラリー中に混合し、繊維表面に付着させる
ことも可能である。
【0050】ついで、分散液より、溶媒を除去すること
で、ウェブ表面に親水性微粉末を固着させることができ
る。溶媒が水の場合、加熱することで除去が可能であ
り、繊維を固定する工程の前に分散液を付与する場合
は、後述する加熱加圧工程にて除去することが可能であ
る。また、繊維を固定する工程の後に付与する場合は、
別途、乾燥等の方法により除去する。
【0051】次に繊維を固定する方法としては、上記の
方法で形成されたウェブを、目的となる目付けに調整す
るため単層あるいは複数層積層した後、該ウェブ内のバ
インダー繊維の融点より高い温度にて、加熱加圧処理す
る方法が好ましい。加熱温度はバインダー繊維の融点の
10℃以上高い温度が好ましい。加熱加圧処理とは、具
体的には熱プレス、熱カレンダー等を用いた処理が例示
される。
【0052】あるいは、該ウェブをあらかじめシリンダ
ドライヤー、ヤンキードライヤー、エアドライヤー等で
一旦乾燥させた後、単層あるいは複数層積層し、熱カレ
ンダーや熱プレス等で加圧加熱処理しても良い。
【0053】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
実施例中の「部」および「%」は、各々「重量部」およ
び「重量%」であることを意味する。なお、実施例およ
び比較例における、目付け、厚み、吸水時間、曲げ強
さ、加工性、脱落性、寸法安定性は、以下の方法で測定
した。なお、実施例、比較例にて製造した試料は、20
℃、65%の条件にて24時間放置した後、測定に用い
た。
【0054】<目付け>20×20cm角にトリミング
し、5サンプルを計量した平均値より、1m2当たりの
重量を求めた。単位は、g/m2である。
【0055】<厚み>20×20cm角にトリミング
し、1サンプル当たり4点、5サンプルをマイクロメー
ターを用いて測定した平均値を厚みとした。単位は、m
mである。
【0056】<吸水時間>抗菌通水性シートを縦方向お
よび横方向について、幅20mm、長さ150mmに裁
断した後、試験片の一端30mmを20℃の純水に浸漬
し、水が試験片中を水面より40mm上昇するのに要す
る時間を吸水時間(秒)とし、通水性の指標とした。単
位は、秒である。なお、吸水時間が25秒以内であれ
ば、通水性は良好とした。
【0057】<曲げ強さ>曲げ強さは、JIS K−7
203に従い、抗菌通水性シートを、幅25mm、長さ
125mmに裁断し、加圧くさびおよび支持台(オリエ
ンテック社製)を用いて、テンシロン測定機(オリエン
テック社製、HTM−100)で測定した。単位は、k
g/cm2である。なお、曲げ強さが50kg/cm2以上
であれば、力学的特性は良好であるとした。
【0058】<加工性>JIS K−6301の2号型
ダンベル形状の試料の打ち抜き加工を行った。加工性と
して打ち抜きが良好なものを○、打ち抜き時に試料に皺
が入ったり変形するもの、うまく打ち抜けないものを×
とした。
【0059】<脱落性>抗菌通水性シートを10×10
cmにトリミングした後、トリミング面を下にして、該
シートを軽く叩いたとき、粉体、繊維が脱落するか否か
を目視により調べた。脱落性として、脱落がないものを
○、少し脱落があるものを△、脱落が多いものを×とし
た。○のみを良好であるとした。
【0060】<寸法変化>抗菌通水性シートを20℃の
純水に十分に浸漬し、浸漬前後の該シートの厚みを測定
した。単位は、%である。なお、浸漬前後の厚みの変化
率の絶対値が10%以内であれば、寸法安定性は良好で
あるとした。
【0061】<抗菌・防カビ性試験> ・抗菌性試験 AATCC Test Method 90に準拠した
方法にて行った。即ち、肉エキス0.5%、ペプトン
(バレイショ抽出物)1.0%、食塩0.5%、寒天
1.5%、精製水96.3%の構成からなるNA培地を
高圧蒸気滅菌した後、45℃に冷却し、該培地200m
lに対し、Escherichla coli IFO 3301(大腸菌)と
Stapylococcus aureus IFO 12732(黄色ブドウ状球
菌)2種類の菌を24時間培養した試験菌液を1ml接
種し、直径9cmのシャーレに15mlずつ分注し、凝
固させた。ついで、予め滅菌した5×5cm角の試験片
を寒天培地上に貼付した後、37℃、24時間培養し、
阻止ゾーン形成がある場合は○、ない場合は×とした。
【0062】・防カビ性試験 JIS Z−2911のかび抵抗性試験方法、6記載の
繊維製品の試験方法に従い行った。培養試験開始時の試
験片の大きさは5×5cm、カビの種類は第1群の1
(Aspergillus niger van IFO 6341)、および第2
群の1(Penicillium citrinum Thom IFO 6352)を
用い、培養試験は湿式法で2週間培養を行った。試験結
果は、カビ抵抗性の表示として、試験片の接種した部分
に菌糸の発育が認められないものを3、部分的に認めら
れる菌糸の発育部分の面積が試料の全面積の1/3を超
えないものを2、1/3を超えるものを1とした。
【0063】<吸水劣化性>抗菌通水性シートを、幅2
0mm、長さ150mmに裁断した後、試験片の一端3
0mmが常に純水に浸漬した状態で室内に放置した。5
カ月経過後、その外観を観察した。外観に目立った変化
がないものを○、厚みが増したものをD、カビが発生
し、黒ずんでいるものをFとした。さらに風乾した後、
該試験片の一端30mmを20℃の純水に浸漬し、水が
試験片中を水面より40mm上昇するのに要する時間を
測定した。単位は秒である。
【0064】<ウェブの調製> ・前駆体ウェブA 親水性異形断面繊維として、繊度2d、繊維長6mmの
Y型断面を有するビニニロン繊維(クラレ社製、VPY
202)55部、バインダー繊維として、鞘部の融点が
110℃の繊度2d、繊維長5mmの芯鞘型ポリエステ
ルバインダー繊維(ユニチカ社製、メルティー408
0)35部、抗菌性繊維として、アクリル繊維に銀を
1.4%添着した、繊度2d、繊維長3mmの抗菌アクリ
ル繊維(東洋紡績社製、R−63H)部を水中に順次添
加混合し、0.3%濃度の水性スラリーを調製した。つ
いで、該水性スラリーを用いて乾燥重量で約100g/
2のウェブを抄造し、該ウェブを7枚積層し、積層ウ
ェブAとした。さらに、熱プレス装置にて、該積層ウェ
ブAを用いて、厚み2mmのスペーサーを挿入した後、
140℃、面圧15kg/cm2で15分間加圧加熱処理
して、前駆体ウェブAを得た。
【0065】・前駆体ウェブB 親水性異形断面繊維として、繊度2d、繊維長51mm
のY型断面を有するビニロン繊維(クラレ社製、VPY
202)55部、バインダー繊維として、鞘部の融点が
110℃の繊度2d、繊維長51mmの芯鞘型ポリエス
テルバインダー繊維(ユニチカ社製、メルティー408
0)35部、抗菌性繊維として、繊度2d、繊維長51
mmの抗菌アクリル繊維(東洋紡績社製、R−63H)1
0部を混綿、開繊した後、カードにてウェブ化した。つ
いで、クロスラッパーにて積層後、ニードルパンチにて
厚みを抑えた、乾燥重量で約700g/m2の前駆体ウェ
ブBとした。
【0066】・前駆体ウェブC 親水性異形断面繊維として、繊度2d、繊維長6mmの
Y型断面を有するビニロン繊維(クラレ社製、VPY2
02)45部、バインダー繊維として、鞘部の融点が1
10℃の繊度2d、繊維長5mmの芯鞘型ポリエステル
バインダー繊維(ユニチカ社製、メルティー4080)
35部、抗菌性繊維として、アクリル繊維に銀を1.4
%添着した、繊度2d、繊維長3mmの抗菌アクリル繊維
(東洋紡績社製、R−63H)10部、さらに高弾性繊
維として繊維径9μm、繊維長6mmのガラス繊維(旭
ファイバーガラス社製、グラスロン)10重量%を水中
に順次添加混合し、0.3%濃度の水性スラリーを調製
した。ついで、該水性スラリーを用いて乾燥重量で約1
00g/m2のウェブを抄造し、該ウェブを7枚積層し、
積層ウェブCとした。さらに、熱プレス装置にて、該積
層ウェブCを用いて、厚み2mmのスペーサーを挿入し
た後、140℃、140℃、面圧20kg/cm2で15
分間加圧加熱処理して、前駆体ウェブCを得た。
【0067】<親水性微粉末分散液の調製> ・分散液A 親水性微粉末Aとして、粒子径4〜6nmのコロイド状
シリカ(スノーテックスXS、日産化学社製)を希釈し
て親水性微粉末の分散液Aを調製した。なお、希釈濃度
は、前駆体ウェブに付与する量に従い適宜調製した。
【0068】・分散液B 親水性微粉末Bとして、粒子径10〜20nmのコロイ
ド状シリカ(スノーテックスO、日産化学社製)を用い
る以外は上記分散液Aの調製と同じ方法で親水性微粉末
の分散液Bを調製した。
【0069】・分散液C 親水性微粉末Cとして、粒子径70〜100nmのコロ
イド状シリカ(スノーテックスZL、日産化学社製)を
用いる以外は上記分散液Aの調製と同じ方法で親水性微
粉末の分散液Cを調製した。
【0070】実施例1〜5および比較例1〜2 上記による前駆体ウェブAに分散液Aを付与した後、乾
燥し、抗菌通水性シートを得た。親水性微粉末の量は、
前駆体ウェブAの重量に対し、10(実施例1)、1.
0(実施例2)、0.1(実施例3)、0.01(実施
例4)、0.001重量%(実施例5)の水準になるよ
うに分散液Aを付与し、乾燥し、抗菌通水性シートを得
た。なお、分散液Aを付与しないものを比較例1とし、
水のみを付与し、乾燥したものを比較例2とした。
【0071】実施例6〜8 上記による親水性微粉末の分散液Bを用いる以外は実施
例1〜3と同様の方法で行った。
【0072】実施例9〜10 上記による親水性微粉末の分散液Cを用いる以外は実施
例1〜2と同様の方法で行った。
【0073】以上、比較例1〜2および実施例1〜10
で作製した抗菌通水性シートについて、各種物性および
性能評価を行なった結果を下記表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】上記表1の結果より、親水性微粉末は粒子
径の小さいもの程、通水性が良いことが判る。特に、1
0nm未満のものは、極少量の添加でも優れた通水性能
を付与できることが判明した。一方、比較例1および2
の親水性微粉末を付与してない抗菌通水性シートでは、
吸水速度が低い。
【0077】実施例11 上記による前駆体ウェブA調製中の積層ウェブAに、親
水性微粉末の分散液Aを付与した後、熱プレス装置に
て、該積層ウェブAを用いて、厚み2mmのスペーサー
を挿入した後、140℃、面圧20kg/cm2で15分
間加圧加熱処理して、抗菌通水性シートを得た。なお、
親水性微粉末の付着量は0.1重量%であった。
【0078】実施例12 上記による積層ウェブBを用い、加圧時の面圧を20k
g/cm2とする以外は実施例3と同様の方法で抗菌通水
性シートを得た。
【0079】実施例13 上記による前駆体ウェブCの調整中の積層ウェブCを用
い、加圧時の面圧を20kg/cm2とする以外は実施例
3と同様の方法で抗菌通水性シートを得た。
【0080】比較例3 前駆体ウェブAで用いた異形断面繊維の代わりに、繊度
2d、繊維長6mmのレギュラー形状のビニロン繊維を
用いる以外は、実施例2と同じ方法にて抗菌通水性シー
トを得た。
【0081】比較例4 前駆体ウェブAで用いた異型断面繊維として、繊度2
d、繊維長5mmの非親水性のT型断面ポリエステル繊
維を用いる以外は、実施例2と同じ方法にて抗菌通水性
シートを得た。
【0082】比較例5 繊度2d、繊維長51mmで鞘部の融点が130℃の芯
鞘型ポリエステル熱融着繊維50%、繊度4d、繊維長
51mmで鞘部の融点が130℃の芯鞘型ポリエステル
繊維50%をカーディングマシンにてウェブ化し、ウェ
ブDを得た。一方、平均粒子径100μmのフェノール
樹脂(ユニチカ社製、UA−100)を水中にて濃度5
%で分散させ、これをフェノール樹脂の分散液Dとし
た。
【0083】ウェブDに分散液Dを含浸し、フェノール
樹脂の付着量が全ウェブ重量に対し、35%となるよう
にマングルにて分散液Dを絞った後、100℃で20分
乾燥し、未硬化のフェノール樹脂が付着した目付け92
0g/m2のウェブEを得た。ウェブEを熱プレス装置を
用いて、160℃、面圧1.0kg/cm2で、5分間加
圧加熱処理した。さらに、10%濃度に調製した親水性
微粉末の分散液Cを含浸し、100℃で20分乾燥し、
微粉末無水珪酸が添着した通水性シートを得た。この
時、微粉末無水珪酸の添着量は通水性シート重量に対し
1.5%であった。
【0084】比較例6 平均粒子径の100μmフェノール樹脂(ユニチカ社
製、UA−100)100部、平均繊度4d、平均繊維
長5mmのポリエステル繊維をカーディングマシンで混
合し、ウェブ化し、150℃に設定されたカレンダーロ
ールを通し、厚さ10mm、目付け800g/m2のマッ
トを得た。該マットを熱プレス装置を用いて、160
℃、面圧1.0kg/cm2で、5分間加圧加熱処理し
て、フェノール樹脂を硬化させた。さらに、10%濃度
に調製した親水性微粉末の分散液Cを含浸した後、10
0℃で20分乾燥し、微粉末無水珪酸が添着した通水性
シートを得た。この時、微粉末無水珪酸の添着量は通水
性シート重量に対し1.5%であった。
【0085】以上、実施例11〜13および比較例3〜
6の抗菌通水性シートについて、各種物性および性能評
価を行なった結果を下記表2に示す。
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】表2の実施例11より、異なった方法を用
いても、優れた抗菌通水性シートが得られることが判明
した。また、実施例12より、乾式ウェブを使用して
も、優れた抗菌通水性シートが得られることが判る。さ
らに、実施例13より、高弾性繊維を用いたものは、曲
げ強さも大きく、加工性も良好であった。
【0089】一方、比較例3より、異形断面繊維を使用
しないものは、2mm圧のスペーサーを使用したにもか
かわらず厚みが薄く、緻密なシートとなり、通水速度が
劣ったものとなった。また、比較例4では基材の親水性
が不十分であるため、通水性が不十分なシートであっ
た。さらに、比較例5〜6に見られるように、バインダ
ー繊維と親水性の粉体を用いたものは、粉体の脱落が多
く、取扱いの点で問題点がある。即ち、フェノール樹脂
の微粒子を用いたものは、通水性、曲げ強度、寸法安定
性は良好であったが、トリミング後にフェノール樹脂の
脱落が見られた。
【0090】比較例5 親水性異形断面繊維の配合量を65部、抗菌性繊維を用
いないこと以外は、実施例3と同様の方法で通水性シー
トを得た。
【0091】実施例14 親水性異形断面繊維の配合量を45部、抗菌性繊維の配
合量を20部とする以外は、実施例3と同様の方法で抗
菌通水性シートを得た。
【0092】実施例15 親水性異形断面繊維の配合量を35部、抗菌性繊維の配
合量を30部とする以外は、実施例3と同様の方法で抗
菌通水性シートを得た。
【0093】
【表5】
【0094】
【表6】
【0095】比較例7では、途中経過として、3ヶ月ま
では特に問題は見られなかったが、さらに長期渡り実験
を行うと、表面にかびと思われる黒ずみが見られた。
【0096】
【発明の効果】以上の結果から、本発明の抗菌通水性シ
ートは、異形断面繊維、抗菌性繊維をバインダー繊維で
一体化させたものであり、曲げ強さなどの力学的特性や
寸法安定性、加工性に優れるものである。異形断面繊維
によって、吸抗菌通水性シート内に多数の細孔が形成さ
れ、該シート内に多くの通水経路を確保できる上、親水
性微粉末が固着されているため、極めて良好な通水性を
有する抗菌通水性シートを得ることができる。また、抗
菌性繊維により、菌やかびの発生が抑制され、長期に渡
り、優れた通水性を維持することができる。ガラス繊維
などの高弾性繊維により、通水経路の閉塞が抑制でき、
曲げ強度に優れ、たわみの少ない、加工性の優れたシー
トを提供することができる。さらに、熱可塑性樹脂の微
粒体を使用している従来の多孔性シートとは異なり、2
次加工時の樹脂の脱落などの問題は皆無である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
    溝を有する親水性異形断面繊維、バインダー繊維、親水
    性微粉末、および抗菌性繊維を含有し、かつ親水性微粉
    末が構成繊維表面に固着してなることを特徴とする抗菌
    通水性シート。
  2. 【請求項2】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
    溝を有する親水性異形断面繊維、バインダー繊維、高弾
    性繊維、親水性微粉末、および抗菌性繊維を含有し、か
    つ親水性微粉末が構成繊維表面に固着してなることを特
    徴とする抗菌通水性シート。
  3. 【請求項3】 親水性異形断面繊維がポリビニルアルコ
    ール系繊維である請求項1〜2のいずれか1項に記載の
    抗菌通水性シート。
  4. 【請求項4】 親水性微粉末が粒子径100nm以下の
    コロイド状シリカを主成分とする請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載の抗菌通水性シート。
  5. 【請求項5】 コロイド状シリカの粒子径が10nm未
    満である請求項5記載の抗菌通水性シート。
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