JPH09156004A - 通水性シートおよびその製造法 - Google Patents

通水性シートおよびその製造法

Info

Publication number
JPH09156004A
JPH09156004A JP7315451A JP31545195A JPH09156004A JP H09156004 A JPH09156004 A JP H09156004A JP 7315451 A JP7315451 A JP 7315451A JP 31545195 A JP31545195 A JP 31545195A JP H09156004 A JPH09156004 A JP H09156004A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
water
fine powder
fibers
hydrophilic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7315451A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuyuki Oku
恭行 奥
Takahiko Haraguchi
孝彦 原口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Paper Mills Ltd filed Critical Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority to JP7315451A priority Critical patent/JPH09156004A/ja
Publication of JPH09156004A publication Critical patent/JPH09156004A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 通水性、曲げ強さなどの力学的特性、寸法安
定性に優れ、かつ加工性の良好な通水性シートおよびそ
の製造法を提供する。 【解決手段】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
溝を有する親水性異形断面繊維、バインダー繊維、およ
び親水性微粉末を含有し、該親水性微粉末の凝集体が構
成成分の表面に固着されている通水性シート。また、表
面に1つ以上の連続あるいは不連続の溝を有する親水性
異形断面繊維、バインダー繊維、高弾性繊維、および親
水性微粉末を含有し、親水性微粉末の凝集体が構成成分
の表面に固着されている通水性シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通水性シートに関す
る。さらに詳しくは、通水性、力学的特性、加工性、お
よび寸法安定性に優れ、加湿器用吸水材、結露吸水材、
水蒸散板、調湿板などに活用し得る通水性シートおよび
その製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、加湿器用吸水材、結露吸水材、調
湿板、濾過材などの分野において、多孔性シート(本発
明では通水性シート)が広く利用されるようになってい
る。多孔性シートとしては、従来、ポリオレフィンなど
の熱可塑性樹脂の微粒体をシート状に焼結成形したもの
や、該樹脂の有孔フィルムと多孔性基材とを接合したも
のなどが使用されている。しかしながら、上記の熱可塑
性樹脂は一般に疎水性であるため、これらの多孔性シー
トは吸水性に劣るものとなり、吸水材としては有効に機
能しないという問題点があった。
【0003】従来の多孔性シートのかかる問題点を解決
し、吸水性に優れ、かつ曲げ強さなどの力学的特性の良
好な多孔性シートが、特開平1−283129号公報に
開示されている。該公報の多孔性シートは、強化繊維か
らなるシート、例えば、ポリエステル繊維の不織布など
に熱硬化性フェノール樹脂の微粒子の水分散液を含浸
し、乾燥させた後、加圧加熱処理して上記フェノール樹
脂を硬化させてシートを形成し、ついでシリカ系の微粒
子の水分散液を含浸し、乾燥させて得られるものであ
る。
【0004】また、特開平3−81349号公報には難
燃性を、特開平3−86529号公報には表面平滑性を
付与した吸水性および力学的特性の双方に優れる多孔性
シートが開示されているが、その基本的な構成および製
造法は上記公報と類似したものである。
【0005】しかしながら、上記の方法によって得られ
る多孔性シートには、2次加工の際にフェノール樹脂の
微粒子が脱落するなどの問題点がある。
【0006】登録実用新案公報第3001285号に
は、親水性多孔質微粉末を合成樹脂エマルジョンと混合
し、含浸することにより、基材に付着させたものが開示
されている。合成樹脂などを介して、親水性多孔質微粉
末を付着させた場合、それらが合成樹脂中に埋没し、効
果を発揮する親水性微粉末が限定され過剰の親水性微粉
末が添加されているという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点を解決するものであり、通水性、曲げ強さなどの力
学的特性、寸法安定性に優れ、かつ2次加工性の良好な
通水性シートおよびその製造法を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、特定の親水性異
形断面繊維をバインダー繊維で固定し、該繊維表面に親
水性微粉末の凝集体を固着させることで通水性シートが
得られることを見い出した。本発明はこれらの知見をも
とに達成されたものである。
【0009】即ち、本発明は、表面に1つ以上の連続あ
るいは不連続の溝を有する親水性異形断面繊維、バイン
ダー繊維、および親水性微粉末を含有し、該親水性微粉
末の凝集体が構成成分の表面に固着している通水性シー
トである。
【0010】また、表面に1つ以上の連続あるいは不連
続の溝を有する親水性異形断面繊維、バインダー繊維を
含有する繊維懸濁液と、親水性微粉末の凝集体の分散液
を混合し、湿式抄造法にて、親水性微粉末の凝集体を維
持した状態で、ウェブを形成させた後、加熱加圧により
バインダー繊維を溶融させ、該バインダー繊維と接する
繊維と融着させるとともに、構成繊維表面に親水性微粉
末の凝集体を固着させることを特徴とする通水性シート
の製造法である。
【0011】また、表面に1つ以上の連続あるいは不連
続の溝を有する親水性異形断面繊維、バインダー繊維の
少なくともいずれかを含有する繊維懸濁液中に、親水性
微粉末を添加した後、親水性微粉末を凝集させ、湿式抄
造法にて、親水性微粉末の凝集体を維持した状態で、ウ
ェブを形成させた後、加熱加圧によりバインダー繊維を
溶融させ、該バインダー繊維と接する繊維と融着させる
とともに、構成繊維表面に親水性微粉末の凝集体を固着
させることを特徴とする通水性シートの製造法である。
【0012】さらに、好ましくは高弾性繊維を含有する
通水性シートの製造法である。
【0013】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず、本発明で使用する繊維の役割につき説明を行う。親
水性異形断面繊維(以下、異形断面繊維と略す。)は、
表面に形成された溝が通水経路となり水を運ぶ。バイン
ダー繊維は構成する繊維を接着により結合させ、通水性
シートに強度を付与する。また、通水性シートが吸水し
たとき、繊維が膨潤し、厚みが変化するのを抑制する。
親水性微粉末は、構成成分の表面に固着しており、繊維
表面がさらに水に濡れやすい状態をつくると同時に繊維
表面、および繊維がつくる通水経路に水を伝わりやすく
する。
【0014】さらに、本発明で使用する材料について詳
細かつ具体的に説明する。本発明で用いる異形断面繊維
とは、親水性で、表面に少なくとも1つ以上の連続ある
いは不連続の溝を有するものである。溝の形状に特に制
限はなく、断面形状がT型、Y型、U型、星型などのも
のであれば、凹部が溝の役割をはたし得るし、単にスト
リーク状の溝を有するものであってもよい。
【0015】一般に、不織布シートの通水性は、それを
構成する繊維自体の性質はもちろんのこと、繊維の形状
や繊維の集合状態に強く依存する。とりわけ、後二者が
不織布シートの通水性に及ぼす影響は多大である。
【0016】真円や楕円形の断面形状を有する繊維は、
その表面に溝状の通水経路を持たないばかりでなく、該
繊維のみで構成された不織布シートでは、繊維の充填率
が高くなり、シートが緻密になるため、該シート内にお
ける繊維間の通水経路の形成が不十分なものとなり、優
れた吸水性を有する不織布シートを得ることは困難であ
る。
【0017】しかしながら、繊維表面に存在する連続あ
るいは不連続の溝が通水経路として機能する。さらに
は、該繊維の特殊な断面形状のために、繊維同士が該シ
ート内で接触あるいは近接した際にも、異型断面を持た
ない繊維同士に比べ、接する面積が少ないため、繊維間
で空隙が残り、該シート内に多数の細孔が形成され、繊
維間の通水経路が確保される。これら経路を毛細管現象
により、後述する繊維と組み合わせることで、本発明の
通水性シートは優れた吸水性が発現すると考えられる。
【0018】しかしながら、あまりに偏平な繊維を用い
た場合、加圧工程で、通水性シートが緻密になるため、
繊維断面において、長軸径(L)と短軸径(S)の偏平
比(L/S)が3以下であることが好ましい。
【0019】異形断面繊維の種類としては、親水性を有
するものであれば特に限定されるものではなく、ポリビ
ニルアルコール系繊維、再生繊維、アセテート繊維、ポ
リアミド系繊維、エチレンビニルアルコール系繊維な
ど、あるいはコロナ放電処理やプラズマ処理などによる
表面改質、アクリル酸などの親水性化合物のグラフト重
合、多孔質化などによって親水性を付与された繊維など
を単独あるいは複数混合して使用することができる。通
水経路を構成する異形断面繊維自体が親水性を有し、通
水性シートに優れた吸水性を付与することが、本発明の
特徴の一つである。
【0020】本発明の通水性シートは、吸水板や水蒸散
板などの水周りの用途に使用されるので、上記の繊維の
中でも、菌類やカビ類に対して完全な抵抗性を有してい
るものが好ましい。抵抗性が低い繊維では、長期に渡り
使用した場合、菌やかびに繊維が侵され、シートの通水
性能が低下する。また、菌やかびの生育に伴い、臭いが
発生する点からも好ましくない。
【0021】かびに対して完全に抵抗性のある繊維のう
ち、本発明で使用できる繊維としては、ポリビニルアル
コール、ナイロン、アクリルなどの繊維が、好ましく、
レーヨン繊維は、親水性は大きいが、菌やかびに対して
抵抗性が低いため好ましくなく、ポリオレフィン系繊維
などの疎水性が強いものは、通水性シートの通水性が低
下するため好ましくない。
【0022】これらの繊維の中で、ポリビニルアルコー
ル系繊維は、ヤング率が大きく、通水性シートに良好な
力学的特性、例えば、曲げ強さなどを付与できる点で特
に好ましい繊維である。また、シートが形成される工程
で、緻密に異形断面繊維として、この様な高ヤング率の
繊維を使用すれば、通水性シートの力学的特性を向上さ
せることができる。
【0023】異形断面繊維の繊度は、0.1〜15デニ
ール(以下、dと略す。)が好ましい。0.1d未満で
は、通水性シートが緻密になり、通水性シート内におけ
る繊維間の通水経路が減少するので好ましくない。ま
た、15dを超えて大きいと、空隙は確保されるが、繊
維間隔が広くなり、複数の繊維による細孔形成が抑制さ
れ、毛細管現象により水が進行することが阻害されるた
め吸水が低下し、好ましくない。
【0024】異形断面繊維は、その表面に親水性微粉末
を固着させるが、親水性微粉末を分散液の状態で付与す
る工程で、バインダー繊維より、濡れ性が良い親水性の
異形断面繊維へ多く付与されることから、固着量も多く
なる。そのため、通水性シート内での占める割合は、通
水性シート重量の30%以上が好ましく、さらに好まし
くは40重量%以上である。30%未満では、さきに述
べた理由以外に、細孔形成能が低下し、通水性シート内
における繊維間の通水経路が減少するので好ましくな
い。
【0025】次に、バインダー繊維について説明する。
本発明で用いられるバインダー繊維としては、熱溶融性
繊維あるいは熱水溶解性繊維が例示される。熱溶融性繊
維は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドなど
の合成樹脂から選ばれた繊維状のもので、合成樹脂の融
点以上の温度で処理することによって合成樹脂が溶融
し、接着し、強度を発現するものである。熱水溶解性繊
維は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコー
ルなどの合成樹脂から選ばれた繊維状のもので、加熱に
より含水状態のウェブを乾燥させる工程で水温の上昇に
よって溶解し、ウェブが乾燥することで接する繊維と接
着し、強度を発現するものである。
【0026】バインダー繊維の繊度は、0.1〜15d
が好ましい。0.1d未満では、通水性シートが緻密に
なり、通水経路が確保されず、吸水性が低下するため好
ましくない。また、15dを超えて大きいと、通水性シ
ート内のバインダー繊維の本数が少なくなり、接着力の
低下を補うべくバインダー繊維の配合量を増やさねばな
らず、吸水性に寄与する繊維の含有量が低下するため、
好ましくない。
【0027】バインダー繊維の配合量は、通水性シート
重量の15〜50%が好ましく、さらに好ましくは20
〜40%である。15%未満では、接着力が不足し、他
の構成繊維を固定することが困難で、通水性シートの力
学的特性の低下、毛羽立ちの発生、寸法安定性の低下を
招く。50%を超えると、接着力は大きいが、バインダ
ー繊維の溶融可塑化によって通水性シートの吸水性が低
下してしまう。また、バインダー繊維が、他の吸水性に
寄与する繊維の表面を覆う面積が大きくなり、吸水性が
低下してしまう。さらに、接着により通水性シートが緻
密になりやすいため好ましくない。
【0028】本発明で使用する親水性微粉末とは、充分
な通水性を有するとともに、次々に水分を伝えることが
できるものが好ましく、保水が大きく、通水により過度
に膨潤するものは好ましくない。膨潤が大きいものは、
粉末自体が膨潤により、通水性シートの通水経路を閉塞
し、シートの通水性を阻害するため好ましくない。
【0029】具体的には、粒子径が1μm以下で、無水
珪酸または含水珪酸の微粉末、珪酸ナトリウムの希薄水
溶液を酸で中和して得られる水性シリカゲルなどのシリ
カ系微粉末、その他アルミナ系、シリカ・アルミナ系の
微粉末を指し、特にシリカ系微粉末が優れた通水性を付
与することができる。
【0030】特に、粒子径が1〜100nmのコロイド
状のシリカと呼ばれるものは、繊維への固着力も強く、
脱落しにくいため、長期に渡り優れた通水性を示す点か
ら好ましい。また、粒子径が10nm未満のものは、極
少量の添加でも、優れた通水性を示ことからさらに好ま
しい材料である。
【0031】以上に述べた、親水性微粉末は、本発明に
おいては、凝集体の形状で、通水性シートに固着させ
る。凝集体とは、複数の親水性微粉末を、集合させ塊状
としたものである。
【0032】該凝集体の製造法は、凝集剤を用いて凝集
させたものが例示される。本発明に用いられる凝集剤と
しては、カチオン性凝集剤、アニオン性凝集剤の何れを
用いてもよく、両者を併用することも好ましい方法の一
つである。
【0033】このような凝集剤としては、アニオン系、
カチオン系の界面活性剤、逆相ポリマーエマルジョンが
挙げられ、これらを適宜組み合わせて使用することがで
きる。
【0034】凝集体の大きさは、分散液を緩やかに撹拌
したときの大きさを目視により、評価するが、概ね、1
mm以下の塊状となったものが好ましい大きさである。
ただし、塊が接点で接したもの、塊同士が紐状の凝集体
により橋掛けされているものは、塊を一つの凝集体と考
える。凝集体の大きさが、余りに大きいと、通水性シー
ト内での凝集体間の間隔が大ききくなり、シートに通水
性が付与できないため好ましくない。
【0035】親水性微粉末の固着量は、本発明において
は、通水性シートを構成する繊維重量に対し、0.00
1重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.01〜
10重量%である。
【0036】本発明における通水性シートは、疎水性合
成繊維を主体とした前駆体シートに見られるような、繊
維の交点に分散液が集まることも少なく、繊維表面を覆
いやすく、親水性微粉末凝集体が、通水性シート内に均
一に分布している。また、本発明においては、表面に1
つ以上の連続あるいは不連続の溝を有する親水性異形断
面繊維を用いており、繊維自体がある程度の通水性を示
すことから、少量の添加で、優れた通水性を示すシート
が得られると考えられる。さらには、異形断面繊維の溝
の部分に固着されているため、特に、通水性に寄与しな
い樹脂バインダーを用いなくても、脱落しにくく、長期
に渡り通水性が維持されると推察される。
【0037】また、本発明においては、高弾性繊維を含
有させることがさらに好ましい。高弾性繊維は、剛性が
大きく、単に通水性シートに曲げ強さを付与できるだけ
でなく、圧縮に対する反発も強いので、通水性シート製
造時の加熱加圧に対して、バインダー繊維が過剰に融着
することで、通水性シートが高密度化し、通水経路を閉
塞するのを防ぎ、通水性が低下するのを防ぐことができ
る。
【0038】このような、高弾性繊維としては、親水性
を有するものが特に好ましい。親水性の高弾性繊維とは
繊維自体に親水性を有するもの、高弾性繊維に親水化処
理したものが挙げられる。具体的には、ガラス、炭素繊
維などの無機繊維、銅繊維、ステンレス繊維などの金属
繊維、フェノール繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリイ
ミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、芳香族ポ
リエステル繊維などのエンプラ繊維などである。高弾性
繊維の繊維長、繊度は、本発明で用いる異形断面繊維、
バインダー繊維と同じ範囲のものを使用することができ
る。
【0039】次に、本発明の通水性シートの製造法につ
いて説明する。本発明の通水性シートは、湿式抄造法に
よりウェブ化し、該ウェブを加熱加圧処理することより
製造することができる。
【0040】表面に1つ以上の連続あるいは不連続の溝
を有する異形断面繊維、バインダー繊維を水中にて分散
し、繊維懸濁液とする。さらに、親水性微粉末の分散液
に凝集剤を添加し、凝集体の分散液とする。該繊維懸濁
液に、該凝集体の分散液を混合し、均一に分散させた
後、湿式抄造法にて、親水性微粉末の凝集体を維持した
状態で、ウェブを形成させる。該ウェブを単層あるいは
複数層積層し、加熱加圧によりバインダー繊維を溶融さ
せ、該バインダー繊維と接する繊維と融着させるととも
に、構成繊維表面に親水性微粉末の凝集体を固着させる
ことで本発明の通水性シートを製造することができる。
【0041】あるいは、表面に1つ以上の連続あるいは
不連続の溝を有する親水性異形断面繊維、バインダー繊
維の少なくとも1種類を含有する繊維懸濁液中に、親水
性微粉末を添加した後、凝集剤を添加し、親水性微粉末
を凝集させた後、湿式抄造法にて、親水性微粉末の凝集
体を維持した状態で、ウェブを形成させる。該ウェブを
単層あるいは複数層積層し、加熱加圧によりバインダー
繊維を溶融させ、該バインダー繊維と接する繊維と融着
させるとともに、構成繊維表面に親水性微粉末の凝集体
を固着させることでも本発明の通水性シートを製造する
ことができる。
【0042】加熱加圧処理としては、熱プレス、熱カレ
ンダーなどの方法が好ましい方法である。
【0043】
【作用】本発明の通水性シートは、異形断面繊維、バイ
ンダー繊維で固定させ、それらの表面に、親水性微粉末
の凝集体を固着させたものであり、曲げ強さなどの力学
的特性や寸法安定性に優れるものである。また、加工時
に粉体や繊維の脱落も見られない。異形断面繊維によっ
て、通水性シート内に多数の細孔が形成され、該シート
内に多数の通水経路を確保することができ、極めて良好
な吸水性を有する通水性シートを得ることができる。従
って、本発明の通水性シートは、吸水性、力学的特性、
寸法安定性および加工性などに優れ、加湿器用吸水材、
結露吸水材、調湿板、濾過材、水蒸散板などの広範な分
野で活用することができる。
【0044】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
実施例中の「部」および「%」は、各々「重量部」およ
び「重量%」であることを意味する。なお、実施例およ
び比較例における、目付け、厚み、吸水時間、曲げ強
さ、加工性、脱落性、寸法安定性は、以下の方法で測定
した。なお、実施例、比較例にて製造した試料は、20
℃、65RH%の条件にて24時間放置した後、測定に
用いた。
【0045】<目付け>20×20cm角にトリミング
し、5サンプルを計量した平均値より、1m2当たりの
重量を求めた。単位は、g/m2である。
【0046】<厚み>20×20cm角にトリミング
し、1サンプル当たり4点、5サンプルをマイクロメー
ターを用い測定した平均値を厚みとした。単位は、mm
である。
【0047】<吸水時間>通水性シートを縦方向および
横方向について、幅20mm、長さ150mmに裁断し
た後、試験片の一端30mmを20℃の純水に浸漬し、
水が試験片中を水面より40mm上昇するのに要する時
間を吸水時間(秒)とし、吸水性の指標とした。単位
は、秒である。なお、吸水時間が25秒以内であれば、
吸水性は良好とした。
【0048】<曲げ強さ>曲げ強さは、JIS K−7
203に従い、通水性シートを、幅25mm、長さ12
5mmに裁断し、加圧くさびおよび支持台(オリエンテ
ック社製)を用いて、テンシロン測定機(オリエンテッ
ク社製、HTM−100)で測定した。単位は、kg/
cm2である。なお、曲げ強さが50kg/cm2以上で
あれば、力学的特性は良好であるとした。
【0049】<加工性>JIS K−6301の2号型
ダンベル形状の試料の打ち抜き加工を行った。加工性と
して打ち抜きが良好なものを○、打ち抜き時に試料に皺
が入ったり変形するもの、うまく打ち抜けないものを×
とした。
【0050】<脱落性>通水性シートを10×10cm
にトリミングした後、トリミング面を下にして、該シー
トを軽く叩いたとき、粉体、繊維が脱落するか否かを目
視により調べた。脱落性として、脱落がないものを○、
少し脱落があるものを△、脱落が多いものを×とした。
○のみを良好であるとした。
【0051】<寸法変化>通水性シートを20℃の純水
に十分に浸漬し、浸漬前後の該シートの厚みを測定し
た。単位は、%である。なお、浸漬前後の厚みの変化率
の絶対値が10%以内であれば、寸法安定性は良好であ
るとした。
【0052】<繊維懸濁液の調製> 調製例1 親水性異形断面繊維として、繊度2d、繊維長6mmの
Y型断面を有するビニニロン繊維(クラレ社製、VPY
202)65重量%、バインダー繊維として、鞘部の融
点が110℃の繊度2d、繊維長5mmの芯鞘型ポリエ
ステルバインダー繊維(ユニチカ社製、メルティー40
80)35重量%を水中に順次添加混合し、0.3%濃
度の水性スラリーAを調製した。
【0053】調製例2 異形断面繊維として、繊度2d、繊維長6mmのY型断
面を有するビニロン繊維(クラレ社製、VPY202)
を55重量%、バインダー繊維として、鞘部の融点が1
10℃の繊度2d、繊維長5mmの芯鞘型ポリエステル
バインダー繊維(ユニチカ社製、メルティー4080)
を35重量%、さらに高弾性繊維として繊維径9μm、
繊維長6mmのガラス繊維(旭ファイバーガラス社製、
グラスロン)を10重量%を水中に順次添加混合し、
0.3%濃度の水性スラリーBを調製した。
【0054】<親水性微粉末凝集体分散液の調製> 調製例1 親水性微粉末Aとして、粒子径4〜6nmのコロイド状
シリカ(スノーテックスXS、日産化学社製)を希釈し
て、0.5%分散液とした。該分散液を撹拌しつつ、カ
チオン系界面活性剤(花王社製、コータミン60W)
を、コロイド状シリカ重量に対し、10重量%添加し、
凝集体を形成させた後、等量のアニオン系界面活性剤
(花王社製、ペレックスNBL)を添加し、凝集体を安
定化させ、親水性微粉末凝集体分散液Aを調製した。
【0055】調製例2 親水性微粉末Bとして、粒子径10〜20nmのコロイ
ド状シリカ(スノーテックスO、日産化学社製)を用い
る以外は親水性微粉末凝集体分散液調製例1と同じ方法
で親水性微粉末凝集体分散液Bを調製した。
【0056】調製例3 親水性微粉末Cとして、粒子径70〜100nmのコロ
イド状シリカ(スノーテックスZL、日産化学社製)を
用いる以外は親水性微粉末凝集体分散液調製例1と同じ
方法で親水性微粉末凝集体分散液Cを調製した。
【0057】実施例1〜5 水性スラリーAと親水性微粉末凝集体分散液Aを表1の
水準にて混合、均一に撹拌したした後、湿式抄造法に
て、乾燥重量で約100g/m2のウェブを抄造し、該ウ
ェブを7枚積層し、積層ウェブAとした。さらに、熱プ
レス装置にて、該積層ウェブAを用いて、厚み2mmの
スペーサーを挿入した後、140℃、面圧25kg/c
2で15分間加圧加熱処理して、本発明の通水性シー
トを得た。
【0058】比較例1 比較例1として、水性スラリーAのみを、実施例1の方
法と同じ方法でウェブ化し、加熱加圧したものを製造し
た。ただし、面圧は15kg/cm2で行った。
【0059】実施例6〜8 親水性微粉末凝集体分散液Bを用いる以外は実施例1〜
3と同様の方法で行った。
【0060】実施例9〜10 親水性微粉末凝集体分散液Cを用いる以外は実施例1〜
2と同様の方法で行った。
【0061】以上、比較例1、実施例1〜10の通水性
シートについて、各種物性および性能評価を行なった結
果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】表1の結果より、親水性微粉末は粒子径の
小さいもの程、吸水性が良いことが判る。特に、10n
m未満のものは、極少量の添加でも優れた吸水性能を付
与できることが判明した。
【0064】実施例11 上記により調製した水性スラリーBを用いる以外は、実
施例3と同じ方法で、本発明の通水性シートを得た。
【0065】比較例2 異形断面繊維の代わりに、繊度2d、繊維長6mmのレ
ギュラー形状のビニロン繊維用いる以外は、実施例3と
同じ方法にて通水性シートを得た。
【0066】比較例3 異型断面繊維として、繊度2d、繊維長5mmの非親水
性のT型断面ポリエステル繊維を用いる以外は、実施例
3と同じ方法にて通水性シートを得た。
【0067】比較例4 繊度2d、繊維長51mmで鞘部の融点が130℃の芯
鞘型ポリエステル熱融着繊維50%、繊度4d、繊維長
51mmで鞘部の融点が130℃の芯鞘型ポリエステル
繊維50%をカーディングマシンにてウェブ化し、カー
ドウェブを得た。一方、平均粒子径100μmのフェノ
ール樹脂(ユニチカ社製、UA−100)を水中にて濃
度5%で分散させ、これをフェノール樹脂分散液Aとし
た。また、親水性微粉Cを用い濃度10%の親水性微粉
末分散液Cを調製した。
【0068】該カードウェブにフェノール分散液Aを含
浸し、フェノール樹脂の付着量が全ウェブ重量に対し、
35%となるようマングルにてフェノール分散液Aを絞
った後、100℃で20分乾燥し、未硬化のフェノール
樹脂が付着した目付け920g/m2のウェブEを得た。
ウェブEを熱プレス装置を用いて、160℃、面圧1.
0kg/cm2で、5分間加圧加熱処理した。さらに、親
水性微粉末分散液Cを含浸し、100℃で20分乾燥
し、微粉末無水珪酸が添着した通水性シートを得た。こ
の時、微粉末無水珪酸の添着量は通水性シート重量に対
し1.5%であった。
【0069】比較例5 平均粒子径の100μmフェノール樹脂(ユニチカ社
製、UA−100)100部、平均繊度4d、平均繊維
長5mmのポリエステル繊維をカーディングマシンで混
合し、ウェブ化し、150℃に設定されたカレンダーロ
ールを通し、厚さ10mm、目付け800g/m2のマッ
トを得た。該マットを熱プレス装置を用いて、160
℃、面圧1.0kg/cm2で、5分間加圧加熱処理し
て、フェノール樹脂を硬化させた。さらに、比較例3で
用いた親水性微粉末分散液Cを含浸した後、100℃で
20分乾燥し、微粉末無水珪酸が添着した通水性シート
を得た。この時、微粉末無水珪酸の添着量は通水性シー
ト重量に対し1.5%であった。
【0070】以上、実施例11、比較例2〜5の通水性
シートについて、各種物性および性能評価を行なった結
果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】表2の実施例11より、高弾性繊維を用い
たものは、曲げ強さも大きく、加工性も良好であること
が判明した。
【0073】一方、比較例2より、異形断面繊維を使用
しないものは、2mm圧のスペーサーを使用したにもか
かわらず厚みが薄く、緻密なシートとなり、通水速度が
劣ったものとなった。また、比較例3では基材の親水性
が不十分であるため、通水性が不十分なシートであっ
た。さらに、比較例4〜5に見られるように、バインダ
ー繊維と親水性の粉体を用いたものは、粉体の脱落が多
く、取扱いの点で問題点がある。即ち、フェノール樹脂
の微粒子を用いたものは、吸水性、曲げ強度、寸法安定
性は良好であったが、トリミング後にフェノール樹脂の
脱落が見られた。
【0074】実施例12 実施例3の通水性シートを、幅20mm、長さ150m
mに裁断した後、試験片の一端30mmが常に純水に浸
漬した状態で室内に放置した。3カ月経過後、風乾し、
該試験片の一端30mmを20℃の純水に浸漬し、水が
試験片中を水面より40mm上昇するのに要する時間を
測定した。上昇に要した時間は、15秒と通水性は維持
されていた。このことから、本発明の通水性シートは長
期に渡り優れた通水性を示すことが判る。
【0075】
【発明の効果】以上の結果から、本発明の通水性シート
は、異形断面繊維をバインダー繊維で一体化させたもの
であり、曲げ強さなどの力学的特性や寸法安定性、加工
性に優れるものである。異形断面繊維によって、吸通水
性シート内に多数の細孔が形成され、該シート内に多く
の通水経路を確保できる上、親水性微粉末凝集体が固着
されているため、極めて良好な通水性を有する通水性シ
ートを得ることができる。また、長期に渡り、優れた通
水性を維持することができる。ガラス繊維などの高弾性
繊維により、通水経路の閉塞が抑制でき、曲げ強度に優
れ、たわみの少ない、加工性の優れたシートを提供する
ことができる。さらに、熱可塑性樹脂の微粒体を使用し
ている従来の多孔性シートとは異なり、2次加工時の樹
脂の脱落などの問題は皆無である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
    溝を有する親水性異形断面繊維、バインダー繊維、およ
    び親水性微粉末を含有し、該親水性微粉末の凝集体が構
    成繊維表面に固着されている通水性シート。
  2. 【請求項2】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
    溝を有する親水性異形断面繊維、バインダー繊維、高弾
    性繊維、および親水性微粉末を含有し、親水性微粉末の
    凝集体が構成繊維表面に固着されている通水性シート。
  3. 【請求項3】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
    溝を有する異形断面繊維、バインダー繊維を含有する繊
    維懸濁液と、親水性微粉末の凝集体の分散液を混合し、
    湿式抄造法にて、親水性微粉末の凝集体を維持した状態
    で、ウェブを形成させた後、加熱加圧によりバインダー
    繊維を溶融させ、該バインダー繊維と接する繊維と融着
    させるとともに、構成繊維表面に親水性微粉末の凝集体
    を固着させることを特徴とする通水性シートの製造法。
  4. 【請求項4】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
    溝を有する親水性異形断面繊維、バインダー繊維の少な
    くともいずれかを含有する繊維懸濁液中に、親水性微粉
    末を添加した後、親水性微粉末を凝集させ、湿式抄造法
    にて、親水性微粉末の凝集体を維持した状態で、ウェブ
    を形成させた後、加熱加圧によりバインダー繊維を溶融
    させ、該バインダー繊維と接する繊維と融着させるとと
    もに、構成繊維表面に親水性微粉末の凝集体を固着させ
    ることを特徴とする通水性シートの製造法。
  5. 【請求項5】 高弾性繊維を含有する請求項3〜4のい
    ずれか1項に記載の通水性シートの製造法。
JP7315451A 1995-12-04 1995-12-04 通水性シートおよびその製造法 Pending JPH09156004A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7315451A JPH09156004A (ja) 1995-12-04 1995-12-04 通水性シートおよびその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7315451A JPH09156004A (ja) 1995-12-04 1995-12-04 通水性シートおよびその製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09156004A true JPH09156004A (ja) 1997-06-17

Family

ID=18065529

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7315451A Pending JPH09156004A (ja) 1995-12-04 1995-12-04 通水性シートおよびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09156004A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015193955A (ja) * 2014-03-31 2015-11-05 ユニチカ株式会社 浮き出し模様を持つ三層構造不織布及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015193955A (ja) * 2014-03-31 2015-11-05 ユニチカ株式会社 浮き出し模様を持つ三層構造不織布及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4176417B2 (ja) 補強材付き機能性シート
KR101189375B1 (ko) 에어 필터용 시트, 그 제조 방법 및 에어 필터
JP4717564B2 (ja) 吸水性不織布及び加湿器用エレメント
JP6668203B2 (ja) エアフィルタ用濾材の製造方法
JP2005279429A (ja) ケミカルフィルタ及びその製造方法
JPH0995893A (ja) 吸通水性シートおよびその製造法
JP3536949B2 (ja) 通水性シートおよびその製造法
JPH09156004A (ja) 通水性シートおよびその製造法
JP5232517B2 (ja) シルカゲル、その製造方法、シリカゲル担持ペーパー及びシリカゲル素子
JP6270971B2 (ja) エアフィルタ用濾材及びその製造方法
JPH09158082A (ja) 吸水性シート
CN101341283A (zh) 具有增强透气性的膨体复合材料
JPH1016104A (ja) 抗菌通水性シート
JP2000073265A (ja) 吸水性及び蒸発性を有する繊維構造体
JP2005279430A (ja) ケミカルフィルタの製造方法
JP2806582B2 (ja) 活性炭素繊維シート及びフィルター
JP2011062816A (ja) 吸放湿用材料
JP2015047570A (ja) フィルターエレメント
JP3960440B2 (ja) 空気清浄フィルター用濾紙、その製造方法及びその濾紙を用いた空気清浄フィルター
JPH06207398A (ja) 吸放湿性繊維シート及びその製造法
JP4519486B2 (ja) フィルター体
JP2019118899A (ja) 吸湿性繊維構造体
JPH09132849A (ja) 吸水性シートおよびその製造法
WO2005011841A1 (ja) 耐水性フィルタ
JPH09241996A (ja) 抗菌吸水性シート