JPH09241996A - 抗菌吸水性シート - Google Patents

抗菌吸水性シート

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JPH09241996A
JPH09241996A JP5028896A JP5028896A JPH09241996A JP H09241996 A JPH09241996 A JP H09241996A JP 5028896 A JP5028896 A JP 5028896A JP 5028896 A JP5028896 A JP 5028896A JP H09241996 A JPH09241996 A JP H09241996A
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water
fiber
fibers
antibacterial
absorbent sheet
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JP5028896A
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English (en)
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Yasuyuki Oku
恭行 奧
Katsushi Ogami
勝志 大上
Takahiko Haraguchi
孝彦 原口
Tatsuaki Sumiya
龍明 住谷
Hiroyuki Takamiya
博幸 高宮
Masao Ieno
正雄 家野
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌・防カビ性を有し、吸水性、曲げ強さ等
の力学的特性、寸法安定性に優れ、かつ加工性の良好な
抗菌吸水性シートおよびその製造方法を提供することを
目的とする。 【解決手段】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
溝を有する親水性の異形断面繊維、バインダー繊維、金
属架橋繊維、ならびに抗菌性繊維を含有し、かつ該バイ
ンダー繊維の配合量が、全固形分当り15〜50重量%
であることを特徴とする抗菌吸水性シート。表面に1つ
以上の連続あるいは不連続の溝を有する親水性の異形断
面繊維、バインダー繊維、金属架橋繊維、抗菌性繊維、
ならびにガラス繊維を含有し、かつ該バインダー繊維の
配合量が、全固形分当り15〜50重量%であることを
特徴とする抗菌吸水性シート。好ましくは、異形断面繊
維が、ポリビニルアルコール系繊維であることを特徴と
する抗菌吸水性シート。さらに、好ましくは抗菌性繊維
が、親水性繊維である抗菌吸水性シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌吸水性シート
に関する。さらに詳しくは、抗菌防カビ性、吸水性、力
学的特性、寸法安定性に優れ、加湿器用吸水材、結露吸
水材、水蒸散板、調湿板等に活用し得る抗菌吸水性シー
トに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、加湿器用吸水材、結露吸水材、調
湿板、濾過材等の分野において、多孔性シートが広く利
用されるようになっている。多孔性シートとしては、従
来、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂の微粒体をシート
状に焼結成形したものや、該樹脂の有孔フィルムと多孔
性基材とを接合したもの等が使用されている。しかしな
がら、上記の熱可塑性樹脂は一般に疎水性であるため、
これらの多孔性シートは吸水性に劣るものとなり、吸水
材としては有効に機能しないという問題点があった。
【0003】従来の多孔性シートのかかる問題点を解決
し、吸水性に優れ、かつ曲げ強さ等の力学的特性の良好
な多孔性シートが、特開平1−283129号公報に開
示されている。該公報の多孔性シートは、強化繊維から
なるシート、例えば、ポリエステル繊維の不織布等に熱
硬化性フェノール樹脂の微粒子の水分散液を含浸し、乾
燥させた後、加圧加熱処理して上記フェノール樹脂を硬
化させてシートを形成し、ついでシリカ系の微粒子の水
分散液を含浸し、乾燥させて得られるものである。
【0004】また、特開平3−81349号公報には難
燃性を、特開平3−86529号公報には表面平滑性を
付与した吸水性および力学的特性の双方に優れる多孔性
シートが開示されているが、その基本的な構成および製
造方法は上記公報と類似したものである。
【0005】しかしながら、上記の方法によって得られ
る多孔性シートには、2次加工の際にフェノール樹脂の
微粒子が脱落する等の問題点が有り、かつフェノール樹
脂およびシリカ系の微粒子の添着が別工程となり、工程
が煩雑で生産性にも劣るという問題点があった。
【0006】一方、これら多孔性シートは水と接した状
態で使用するので、シートを構成する成分が有機質で構
成され、菌やカビに対する抵抗性がない場合、菌やカビ
が増殖し、臭いが発生したり、菌糸や胞子が多孔性シー
トに蓄積し、吸水性能が低下することが考えられる。
【0007】シートを構成する成分が、菌やカビに対し
抵抗性を有する材料を用いた場合でも、その材料に殺菌
性がない場合、水中に有機質が含まれており、大気中の
浮遊物が水中に混入することで、菌やカビが増殖するこ
とは避けることは出来ない。
【0008】登録実用新案公報第3001285号に
は、親水性多孔質微粉末と抗菌剤とを配合した合成樹脂
エマルジョンを含浸することにより、抗菌剤を基材に付
着させたものが開示されている。前記の公報同様、含
浸、乾燥工程を経ねばならず、工程が煩雑であること、
合成樹脂などを介して抗菌剤を付着させた場合、抗菌剤
が合成樹脂中に埋没し、効果を発揮する抗菌剤が限定さ
れ過度の抗菌剤が添加されているという問題点もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点を解決するものであり、抗菌性、防カビ性、吸水
性、曲げ強さ等の力学的特性、寸法安定性に優れ、かつ
加工性の良好な抗菌吸水性シートを提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、特定の親水性を
有する繊維、金属架橋繊維および抗菌性繊維を組み合わ
せ、これらをバインダー繊維で固定することで抗菌吸水
性シートが得られることを見い出した。また、湿式抄造
法を用いウェブ化することにより優れた抗菌吸水性シー
トが得られることを見い出した。本発明はこれらの知見
をもとに達成されたものである。
【0011】すなわち、本発明は、表面に1つ以上の連
続あるいは不連続の溝を有する親水性の異形断面繊維、
バインダー繊維、金属架橋繊維および抗菌性繊維を含有
し、かつ前記バインダー繊維の配合量が、全固形分当り
15〜50重量%であることを特徴とする抗菌吸水性シ
ートである。
【0012】また、好ましくはさらにガラス繊維を含有
することを特徴とする抗菌吸水性シートである。
【0013】また、好ましくは異形断面繊維が、ポリビ
ニルアルコール系繊維であることを特徴とする前記の抗
菌吸水性シートである。
【0014】さらに、好ましくは抗菌性繊維が、親水性
繊維であることを特徴とする前記の抗菌吸水性シートで
ある。
【0015】
【発明を実施するための形態】以下、本発明について詳
細に説明する。
【0016】まず、本発明の抗菌吸水性シートで使用す
る繊維の役割につき説明を行う。
【0017】異形断面繊維は、表面に形成された溝が通
水経路となり水を運ぶ。バインダー繊維は構成する繊維
を接着により結合させ、抗菌吸水性シートに強度を付与
する。また、シートが吸水したとき、繊維が膨潤し、厚
みが変化するのを抑制する。金属架橋繊維は、非常に親
水性に富み、繊維全体が水を伝わるので、水が運ばれる
速度がきわめて速いのが特徴である。抗菌性繊維はシー
トに菌やカビが増殖し、臭いが発生したり、シートの吸
水性が阻害されるのを防ぐものである。
【0018】さらに、本発明で使用する繊維について、
詳細かつ具体的に説明する。本発明で用いる異形断面繊
維とは、親水性で、表面に少なくとも1つ以上の連続あ
るいは不連続の溝を有するものである。溝の形状に特に
制限はなく、断面形状がT型、Y型、U型、星型等のも
のであれば、凹部が溝の役割を果し得るし、単にストリ
ーク状の溝を有するものであってもよい。
【0019】一般に、不織布シートの吸水性は、それを
構成する繊維自体の性質はもちろんのこと、繊維の形状
や繊維の集合状態に強く依存する。取分け、後二者が不
織布シートの吸水性に及ぼす影響は多大である。
【0020】真円や楕円形の断面形状を有する繊維は、
その表面に溝状の通水経路を持たないばかりでなく、該
繊維のみで構成された不織布シートでは、繊維の充填率
が高くなり、シートが緻密になるため、該シート内にお
ける繊維間の通水経路の形成が不十分なものとなり、優
れた吸水性を有する不織布シートを得ることは困難であ
る。
【0021】しかしながら、異形断面繊維では、繊維表
面に存在する連続あるいは不連続の溝が通水経路として
機能する。さらには、該繊維の特殊な断面形状のため
に、繊維同士が該シート内で接触あるいは近接した際に
も、異型断面を持たない繊維同士に比べ、接する面積が
少ないため、繊維間で空隙が残り、該シート内に多数の
細孔が形成され、繊維間の通水経路が確保される。これ
ら経路を毛細管現象により、後述する繊維と組み合わせ
ることで、本発明の抗菌吸水性シートは優れた吸水性が
発現すると考えられる。
【0022】しかしながら、あまりに偏平な繊維を用い
た場合、加圧工程で、抗菌吸水性シートが緻密になるた
め、繊維断面において、長軸径(L)と短軸径(S)の
偏平比(L/S)が3以下であることが好ましい。
【0023】異形断面繊維の種類としては、親水性を有
するものであれば特に限定されるものではなく、ポリビ
ニルアルコール系繊維、再生繊維、アセテート繊維、ポ
リアミド系繊維、エチレンビニルアルコール系繊維等、
あるいはコロナ放電処理やプラズマ処理等による表面改
質、アクリル酸等の親水性化合物のグラフト重合、多孔
質化等によって親水性を付与された繊維等を単独あるい
は複数混合して使用することができる。通水経路を構成
する異形断面繊維自体が親水性を有し、抗菌吸水性シー
トに優れた吸水性を付与することが、本発明の特徴の一
つである。
【0024】上記の繊維の中でも、ポリビニルアルコー
ル系繊維は、ヤング率が大きく、抗菌吸水性シートに良
好な力学的特性、例えば曲げ強さ等を付与できる点で特
に好ましい繊維である。また、シートが形成される工程
で、緻密に異形断面繊維として、この様な高ヤング率の
繊維を使用すれば、抗菌吸水性シートの力学的特性を容
易に向上させることができる。また、該繊維は菌類やカ
ビ類に対して完全な抵抗性を有しており、吸水板や水蒸
散板の様な水廻りの用途において、優れた抗菌性、防カ
ビ性を示すことが期待される。
【0025】異形断面繊維の繊度は、0.1〜15デニ
ール(以下、dと略す。)が好ましい。0.1d未満で
は、抗菌吸水性シートが緻密になり、抗菌吸水性シート
内における繊維間の通水経路が減少するので好ましくな
い。また、15dを超えて大きいと、空隙は確保される
が、繊維間隔が広くなり、複数の繊維のよる細孔形成が
抑制され、毛細管現象により水が進行することが阻害さ
れるため吸水が低下し、好ましくない。
【0026】異形断面繊維は、抗菌吸水性シート内で、
他の構成成分であるバインダー繊維、金属架橋繊維、お
よびガラス繊維が過不足なく配合された部分の残りの部
分に用いられ、その配合量に特に上限はなく、抗菌吸水
性シート重量の30%以上であることが好ましい。さら
に好ましくは40%以上である。30%未満では、細孔
形成能が低下し、抗菌吸水性シート内における繊維間の
通水経路が減少するので好ましくない。しかしながら、
後述する抗菌性繊維が親水性を有する場合、その配合量
は20%以上あればよい。
【0027】次に、バインダー繊維について説明する。
本発明で用いられるバインダー繊維としては、熱溶融性
繊維あるいは熱水溶解性繊維が例示される。熱溶融性繊
維は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド等の
合成樹脂から選ばれた繊維状のもので、合成樹脂の融点
以上の温度で処理することによって合成樹脂が溶融し、
接着し、強度を発現するものである。熱水溶解性繊維
は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール
等の合成樹脂から選ばれた繊維状のもので、加熱により
含水状態のウェブを乾燥させる工程で水温の上昇によっ
て溶解し、ウェブが乾燥することで接する繊維と接着
し、強度を発現するものである。
【0028】バインダー繊維の繊度は、0.1〜15d
が好ましい。0.1d未満では、抗菌吸水性シートが緻
密になり、通水経路が確保されず、吸水性が低下するた
め好ましくない。また、15dを超えて大きいと、抗菌
吸水性シート内のバインダー繊維の本数が少なくなり、
接着力の低下を補うべくバインダー繊維の配合量を増や
さねばならず、吸水性に寄与する繊維の含有量が低下す
るため、好ましくない。
【0029】バインダー繊維の配合量は、抗菌吸水性シ
ート重量の15〜50%に限定される。好ましくは20
〜40%である。15%未満では、接着力が不足し、他
の構成繊維を固定することが困難で、抗菌吸水性シート
の力学的特性の低下、毛羽立ちの発生、寸法安定性の低
下を招く。50%を超えると、接着力は大きいが、バイ
ンダー繊維の溶融可塑化によって抗菌吸水性シートの吸
水性が低下してしまう。また、バインダー繊維が、他の
吸水性に寄与する繊維や抗菌、防カビ性に寄与する繊維
の表面を覆う面積が大きくなり、吸水性や抗菌、防カビ
性が低下してしまう。さらに、接着により抗菌吸水性シ
ートが緻密になりやすいため好ましくない。
【0030】次に、金属架橋繊維について説明する。本
発明で用いられる金属架橋繊維は、特開平2−8452
8号公報や特開平2−84532号公報に開示されてい
る様なアクリル系繊維を改質したものであり、アクリル
系繊維に架橋結合を導入し、加水分解反応によってカル
ボキシル基と残部にアミド基を導入し、ついで一価の金
属イオンを付加、あるいは多価の金属イオンを架橋させ
て得られる公知の繊維である。このような繊維の中で、
親水性に富み、吸水し、水を速やかに運ぶことができる
繊維は全て使用することができる。
【0031】アクリル系繊維に架橋結合を導入する方法
としては、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン等でニトリ
ル基を処理する方法や、ホルムアルデヒド、ベンズアル
デヒド等のアルデヒド類を酸性触媒下で反応させる方法
等が挙げられる。
【0032】また、加水分解反応によってカルボキシル
基と残部にアミド基を導入する方法としては、アルカリ
金属水酸化物、アンモニア等の塩基性水溶液、あるいは
硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸水溶液中で架橋結合を導入し
たアクリル系繊維を加熱処理する方法等が挙げられる。
この加水分解反応により、アクリル系繊維中のニトリル
基が実質的に消失し、カルボキシル基と残部にアミド基
が導入される。
【0033】さらに、架橋、加水分解したアクリル系繊
維に一価の金属イオンを付加、あるいは多価の金属イオ
ンを架橋する方法としては、リチウム、ナトリウム、カ
リウム等の一価の金属塩水溶液、あるいは亜鉛、銅、カ
ルシウム、鉄等の多価の金属塩水溶液で処理する方法が
挙げられる。
【0034】金属架橋繊維は、繊維内部に水を持つこと
ができ、繊維自体が水を運ぶことが可能であるため、該
繊維は吸水能が高く、大きな吸水速度を示す。故に金属
架橋繊維が適量含有する抗菌吸水性シートは大きな吸水
性を示すものとなる。
【0035】金属架橋繊維の繊度は、0.1〜15dが
好ましい。0.1d未満では、シートが緻密になり、細
孔形成能が低下し、抗菌吸水性シート内における繊維間
の通水経路が減少するので好ましくない。また、15d
を超えて大きいと、空隙は確保されるが、繊維間隔が広
くなり、複数の繊維による細孔形成が抑制され、毛細管
現象により水が進行することが阻害されるため吸水性が
低下し、好ましくない。
【0036】金属架橋繊維の配合量は、抗菌吸水性シー
ト重量の1〜30%以下が好ましく、さらに好ましくは
1〜20%である。1%未満では、吸水材としての効果
が小さく、抗菌吸水性シートの吸水性の向上に有効に作
用しないので好ましくない。一方、30%を超えて多い
と、金属架橋繊維は単糸強度が小さく、かつ吸水時の膨
潤性が著しいので、抗菌吸水性シートの力学的特性が低
下するばかりでなく、該繊維の吸水時の膨潤によって、
該シート内の通水経路の閉塞や、該シートの吸水時にお
ける厚み方向の寸法安定性の低下を招くので好ましくな
い。
【0037】次に、本発明で用いる抗菌性繊維について
説明を行う。本発明で用いる抗菌性繊維とは菌やカビに
対して、抵抗性を持っているだけでなく、菌やカビを、
死滅あるいは生存・繁殖を抑制することができるもので
ある。それは、抗菌性を示す物質が繊維を構成する樹脂
中に練り込まれているもの、官能基に化学結合している
もの、後加工により固着されているもの等が例示され
る。
【0038】本発明の抗菌吸水性シートの用途において
は、同一量の抗菌剤を用いた場合は、抗菌剤を練り込ん
だ繊維より、後加工により繊維表面に固着させたもの
が、有効成分がより遊離しやすいため、効果が大きく、
速効性である点から、好ましい。
【0039】抗菌剤の種類としては、金属系、第4級ア
ンモニウム塩系、有機シリコン第4級アンモニウム塩
系、フェニルアミド系、ジグアニド系、動物系高分子化
合物、脂肪酸エステル系、フェノール系、植物系高分子
化合物、求電子性化合物等が例示される。
【0040】金属系のものとして、銀・銅・亜鉛等の単
体金属、金属酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、
金属チオシアン化物、錯体金属、金属担持セラミックス
(ゼオライト、シリカ、ガラス等)等が例示される。第
4級アンモニウム塩系のものとして、ポリオキシアルキ
ルキレントリアルキルアンモニウム塩、塩化ベンザルコ
ニウム等が例示される。有機シリコン第4級アンモニウ
ム塩系として、3−(トリメトキシシリル)−プロピル
オクタデシルジメチルアンモニウムクロリド等が例示さ
れる。フェニルアミド系として、トリクロカルバン
(3,4,4’−トリクロロカルバニリド)等が例示さ
れる。ジグアニド系として、グルコン酸クロルヘキシジ
ン(1,6−(クロロカルバニリド)ヘキサンのグルコ
ン酸塩)等が例示される。動物系高分子化合物として、
キチン・キトサン等が例示される。フェノール系とし
て、パラクロロメタキシレノール等が例示される。植物
系高分子化合物として、ヒノキチオール等の植物系製油
等が例示される。その他、酸化チタン等の求電子性化合
物が例示される。
【0041】本発明の抗菌性繊維は、以上の抗菌剤を少
なくとも一種類以上含有するものを使用することができ
るが、特に、抗菌性、防カビ性の点で優れているものと
して、銀等の金属系の物質が表面に添着した繊維が好ま
しい材料で、安全性の点から、特に金属系物質としては
銀を用いたものが好ましい。
【0042】金属イオンの抗菌メカニズムとしては、細
胞膜に分布しているエネルギー代謝酵素の−SH基に結
合し酵素機能を失活させること、細胞を構成するタンパ
ク質を変性させ細胞を破壊すること、銀イオンが触媒と
して作用し活性酸素を発生させ、酵素破壊をおこすこと
が示される。
【0043】抗菌性繊維の繊度は、0.1〜15dが好
ましい。0.1d未満では、シートが緻密になり、細孔
形成能が低下し、抗菌吸水性シート内における繊維間の
通水経路が減少するので好ましくない。また、15dを
超えて大きいと、空隙は確保されるが、繊維間隔が広く
なり、複数の繊維のよる細孔形成が抑制され、毛細管現
象により水が進行することが阻害されるため吸水が低下
し、好ましくない。
【0044】抗菌性繊維の配合量は、抗菌吸水性シート
が十分な抗菌、防カビ性を発現する範囲であれば特に制
限はなく、他の構成成分が減少し、吸水性が阻害されな
い範囲であればよい。
【0045】また、これらの抗菌性の繊維は、抗菌吸水
性シートの性能を維持する目的からも親水性を有するも
のがさらに好ましい。
【0046】親水性を有する抗菌性繊維とは、元来親水
性の繊維に抗菌剤を添加したものを挙げることができ
る。親水性の繊維としては、レーヨン等のセルロース系
繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコ−ル系繊維が
挙げられ、これらの繊維に練り込んだもの、表面に添着
したものが好適である。また、本発明で用いた金属架橋
繊維に抗菌剤を加えたものも好ましい材料である。
【0047】また、本発明においては、ガラス繊維を加
えることでさらに、弾性が大きい抗菌吸水性シートを得
ることができる。
【0048】本発明で用いられるガラス繊維とは、ガラ
スよりなる繊維で、有機系繊維に比べ、ヤング率が大き
く、さらに硬度も高いため、抗菌吸水性シートの弾性を
向上させ、曲げ強度、加工性等の力学特性を改良するこ
とができる。
【0049】ガラス繊維単独では抗菌吸水性シートの吸
水効果は小さいものの、親水性の異形断面繊維および金
属架橋繊維と組み合わせることで、さらに、抗菌吸水性
シートの吸水効果を向上させることができる。
【0050】その理由はつぎのように推測される。ガラ
ス繊維は、繊維自体は非常に濡れ易いが、繊維内部まで
水が染み込まないので、ガラス繊維単独では大きな吸水
性は得られない。一方、先に述べた、金属架橋繊維は繊
維自体が親水性で繊維内部まで水が染み込み易く、吸水
性は大きいが、繊維が膨潤するので、その配合量が大き
くなると、繊維間の通水経路を閉塞し吸水速度が低下す
る。そこで、ガラス繊維、金属架橋繊維を組み合わせる
ことで、ガラス繊維が金属架橋繊維の間に入り込み、し
かもヤング率、硬度が高いため、金属架橋繊維の膨潤に
よる通水経路の閉塞を抑制する。また、ガラス繊維自体
も濡れ易いため、表面の水を他の親水性繊維、金属架橋
繊維に受渡しをする効果もある。よって、抗菌吸水性シ
ートの吸水速度を向上させることができると考えられ
る。
【0051】また、できるだけ少量のバインダー繊維
で、強度を発現させるには、加圧を強くすることが効果
的であるが、抗菌吸水性シートが緻密になり、吸水性が
低下する。そこで、ガラス繊維を適量混合することで、
抗菌吸水性シートの弾性が大きくなるだけでなく、抗菌
吸水性シートが緻密になるのを防ぐ効果もある。
【0052】ガラス繊維の配合量は、抗菌吸水性シート
重量の20%以下が好ましく、さらに好ましくは5〜1
5%である。使用量が20%を超えると、微細な通水経
路が減少し、抗菌吸水性シートの吸水性能が低下するた
め好ましくない。
【0053】次に、本発明の抗菌吸水性シートの製造法
について説明する。本発明の抗菌吸水性シートの製造法
は、特に制限はないが、シートの均一性、抗菌吸水性シ
ートの構成成分を一工程で、均一に混合できる点から、
湿式抄造法によりウェブ化する方法が好ましい。
【0054】湿式抄造法によりウェブ化する場合は、そ
れぞれの繊維の繊維長は1〜20mmが好ましく、さら
に好ましくは3〜10mmである。1mmよりも短い
と、シートが緻密になり、吸水性が低下し、好ましくな
い。一方、20mmを超えて長いと、水中での分散が悪
くなり、均一で地合の良好な抗菌吸水性シートが得られ
ないばかりか、地合むらによる、強度や弾性率の低下が
生じるため好ましくない。
【0055】また、用いる繊維の繊度も12d以下が好
ましい。12dより大きいと、ウェブの保水が小さくな
り、ワイヤーやフェルトから次の工程へ移行する場合
に、ウェブの形態を維持できない。
【0056】また、あまりに偏平な繊維を用いた場合
は、抄造の工程において、繊維は長軸径がワイヤーと平
行に並び易く、シートが緻密になり易い。その結果、吸
水速度が低下するため、繊維断面において、偏平比が3
以下であることが好ましい。
【0057】以下に、湿式抄造法によりウェブ化する方
法の一例を説明する。本発明の異形断面繊維、バインダ
ー繊維、ならびに金属架橋繊維を水中に順次添加し、水
性スラリーを調製する。水中に添加する順序に特に制限
はない。水性スラリーの繊維濃度は、均一な分散状態の
確保と効率的な生産のためには、0.1〜5重量%であ
ることが好ましい。この様にして調製した水性スラリー
を円網、長網、傾斜式ワイヤーを有する抄紙機、あるい
はこれらを複数備えている抄紙機を用いて抄造し、ウェ
ブを形成する。
【0058】この様にして形成されたウェブを単層ある
いは複数層積層し、加熱加圧処理を行い、抗菌吸水性シ
ートを得ることができる。加熱加圧処理とは、具体的に
は熱プレス、熱カレンダー等を用いた処理が例示され
る。
【0059】あるいは、該ウェブをシリンダドライヤ
ー、ヤンキードライヤー、エアドライヤー等で一旦乾燥
させた後、単層あるいは複数層積層し、熱カレンダーや
熱プレス等で加圧加熱処理しても良い。
【0060】
【作用】本発明の抗菌吸水性シートは、異形断面繊維、
金属架橋繊維、抗菌性繊維をバインダー繊維で一体化さ
せたものである。あるいは、それらの構成繊維にガラス
繊維を加えたものである。曲げ強さ等の力学的特性、加
工性、寸法安定性に優れるものであり、シートから粉体
や繊維の脱落も見られない。異形断面繊維の混抄によっ
て、抗菌吸水性シート内に多数の細孔が形成され、該シ
ート内に多数の通水経路を確保することができる上、繊
維内部まで水を保持できる金属架橋繊維を、そして必要
に応じて表面が親水性で、弾性が大きく、硬度の高いガ
ラス繊維を組み合わせることで、極めて良好な吸水性を
付与することができる。また、抗菌性繊維が含有されて
いるため、優れた抗菌、防カビ性を示し、長期に渡り、
吸水性を維持するばかりか、菌やカビによる臭いの発生
が抑制された抗菌吸水性シートを得ることができる。従
って、本発明の抗菌吸水性シートは、吸水性、力学的特
性、寸法安定性、加工性、および抗菌、防カビ性等に優
れ、加湿器用吸水材、結露吸水材、調湿板、濾過材、水
蒸散板等の広範な分野で活用することができる。
【0061】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
実施例中の「部」および「%」は、各々「重量部」およ
び「重量%」であることを意味する。なお、実施例およ
び比較例における、目付け、厚み、吸水時間、曲げ強
さ、加工性、脱落性、寸法安定性は、以下の方法で測定
した。なお、実施例、比較例にて製造した試料は、20
℃、相対湿度65%の条件にて24時間放置した後、測
定に用いた。
【0062】<目付け>20×20cm角にトリミング
し、5サンプルを計量した平均値より、1m2当たりの
重量を求めた。単位は、g/m2である。
【0063】<厚み>20×20cm角にトリミング
し、1サンプル当たり4点、5サンプルをマイクロメー
ターを用い測定した平均値を厚みとした。単位は、mm
である。
【0064】<吸水時間>吸水性シートを縦方向および
横方向について、幅20mm、長さ150mmに裁断し
た後、試験片の一端30mmを20℃の純水に浸漬し、
水が試験片中を水面より40mm上昇するのに要する時
間を吸水時間(秒)とし、吸水性の指標とした。単位
は、秒である。なお、吸水時間が25秒以内であれば、
吸水性は良好とした。
【0065】<曲げ強さ>曲げ強さは、JIS K−7
203に従い、吸水性シートを、幅25mm、長さ12
5mmに裁断し、加圧くさびおよび支持台(オリエンテ
ック社製)を用いて、テンシロン測定機(オリエンテッ
ク社製、HTM−100)で測定した。単位は、kg/
cm2である。なお、曲げ強さが50kg/cm2以上で
あれば、力学的特性は良好であるとした。
【0066】<加工性>JIS K−6301の2号型
ダンベル形状の試料の打ち抜き加工を行った。加工性と
して打ち抜きが良好なものを○、打ち抜き時に試料に皺
が入ったり変形するもの、うまく打ち抜けないものを×
とした。
【0067】<脱落性>吸水性シートを10×10cm
にトリミングした後、トリミング面を下にして、該シー
トを軽く叩いたとき、粉体、繊維が脱落するか否かを目
視により調べた。脱落性として、脱落がないものを○、
少し脱落があるものを△、脱落が多いものを×とした。
○のみを良好であるとした。
【0068】<寸法変化>吸水性シートを20℃の純水
に十分に浸漬し、浸漬前後の該シートの厚みを測定し
た。単位は、%である。なお、浸漬前後の厚みの変化率
の絶対値が10%以内であれば、寸法安定性は良好であ
るとした。
【0069】<抗菌・防カビ性試験> ・抗菌性試験 ATCC Test Method 90に準拠した方
法にて行った。即ち、肉エキス0.5%、ペプトン(バ
レイショ抽出物)1.0%、食塩0.5%、寒天1.5
%、精製水96.3%の構成からなるNA培地を高圧蒸
気滅菌した後、45℃に冷却し、該培地200mlに対
し、Escherichla coli IFO 3301(大腸菌)と Stapy
lococcus aureus IFO 12732(黄色ブドウ状球菌)2
種類の菌を24時間培養した試験菌液を1ml接種し、
直径9cmのシャーレに15mlずつ分注し、凝固させ
た。ついで、予め滅菌した5×5cm角の試験片を寒天
培地上に貼付した後、37℃、24時間培養し、阻止ゾ
ーン形成がある場合は○、ない場合は×とした。
【0070】・防カビ性試験 JIS Z−2911のかび抵抗性試験方法、6記載の
繊維製品の試験方法に従い行った。培養試験開始時の試
験片の大きさは5×5cm、カビの種類は第1群の1
(Aspergillus niger van IFO 6341)、および第2
群の1(Penicillium citrinum Thom IFO 6352)を
用い、培養試験は湿式法で2週間培養を行った。試験結
果は、カビ抵抗性の表示として、試験片の接種した部分
に菌糸の発育が認められないものを3、部分的に認めら
れる菌糸の発育部分の面積が試料の全面積の1/3を超
えないものを2、1/3を超えるものを1とした。
【0071】<吸水劣化性>抗菌吸水性シートを、幅2
0mm、長さ150mmに裁断した後、試験片の一端3
0mmが常に純水に浸漬した状態で室内に放置した。5
カ月経過後、その外観を観察した。外観に目立った変化
がないものを○、厚みが増したものをD、カビが発生
し、黒ずんでいるものをFとした。さらに、風乾した
後、該試験片の一端30mmを20℃の純水に浸漬し、
水が試験片中を水面より40mm上昇するのに要する時
間を測定した。単位は秒である。
【0072】
【実施例】
実施例1 親水性異形断面繊維として、繊度4d、繊維長6mmの
Y型断面を有するビニロン繊維(クラレ社製、VPY4
02)50部、バインダー繊維として、鞘部の融点が1
10℃の繊度2d、繊維長5mmの芯鞘型ポリエステル
バインダー繊維(ユニチカ社製、メルティー4080)
30部、金属架橋繊維として、ナトリウムイオンが付加
された、繊度3d、繊維長6mmの繊維(東洋紡績社
製、N−38)10部、ならびに抗菌性繊維として、ア
クリル繊維に銀を1.4%添着した、繊度2d、繊維長
3mmの抗菌アクリル繊維(東洋紡績社製、R−63
H)10部を水中にて順次添加混合し、0.3%濃度の
水性スラリーを調成した。
【0073】ついで、該水性スラリーを用いて乾燥重量
で100g/m2のウェブを抄造し、該ウェブを8枚積層
し、熱プレス装置を用いて140℃、面圧1.0kg/
cm2で20分間加圧加熱処理して、抗菌吸水性シート
を得た。該抗菌吸水性シートについて、各種物性および
性能評価を行なった結果を表2、3に示す。
【0074】実施例2〜16、比較例1〜2 実施例1の構成繊維に、さらに、ガラス繊維として、繊
維径9μm、繊維長6mmのガラス繊維(旭ファイバー
ガラス社製、グラスロン)を加え、表1の水準で調成
し、実施例1と同様の方法にて抗菌吸水性シートを得
た。該抗菌吸水性シートについて、各種物性および性能
評価を行なった結果を表2、3に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】実施例17 抗菌性繊維として、本実施例で用いているN−38繊維
に抗菌剤である塩化ベンザルコニウムを2%固着したも
のを用いる以外は実施例2と同様の方法で抗菌吸水性シ
ートを得た。
【0079】実施例18 異形断面繊維として、繊度2d、繊維長6mmのY型ビ
ニロン繊維(クラレ社製、VPY202)を用いる以外
は実施例2と同じ方法にて抗菌吸水性シートを得た。
【0080】実施例19 バインダー繊維として、実施例2で用いたバインダー繊
維で、繊度が4dのもの(ユニチカ社製、メルティー4
080)を用いた以外は、実施例2と同じ方法にて抗菌
吸水性シートを得た。
【0081】実施例20 異形断面繊維として、繊度1.7d、繊維長5mmのY
型レーヨン繊維(ダイワボウレーヨン社製、コロナ)を
用いる以外は、実施例16と同じ方法にて抗菌吸水性シ
ートを得た。
【0082】比較例3 異形断面繊維として、繊度1.7d、繊維長5mmのY
型レーヨン繊維(ダイワボウレーヨン社製、コロナ)5
0%とし、抗菌性繊維を用いないこと以外は、実施例2
と同じ方法にて抗菌吸水性シートを得た。
【0083】以上、実施例14〜16、比較例3の抗菌
吸水性シートについて、各種物性および性能評価を行な
った結果を表4、5に示す。
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】比較例4 異形断面繊維の代わりに、繊度2d、繊維長6mmのレ
ギュラー形状のビニロン繊維用いる以外は、実施例2と
同じ方法にて抗菌吸水性シートを得た。
【0087】比較例5 異型断面繊維として、繊度2d、繊維長5mmの非親水
性のT型断面ポリエステル繊維を用いる以外は、実施例
2と同じ方法にて抗菌吸水性シートを得た。
【0088】比較例6〜7 表6の水準で行ったこと以外は、実施例3と同じ方法で
抗菌吸水性シートを得た。
【0089】
【表6】
【0090】比較例8 繊度2d、繊維長51mmで鞘部の融点が130℃の芯
鞘型ポリエステル熱融着繊維50%、繊度4d、繊維長
51mmで鞘部の融点が130℃の芯鞘型ポリエステル
繊維50%をカーディングマシンにてウェブ化し、ウェ
ブAを得た。一方、平均粒子径100μmのフェノール
樹脂(ユニチカ社製、UA−100)を水中にて濃度5
%で分散させ、これを分散液Aとした。さらに、平均粒
子径0.1μmの微粉末無水珪酸を水中にて、濃度10
%で分散させた分散液Bを得た。
【0091】ウェブAに分散液Aを含浸し、フェノール
樹脂の付着量が全ウェブ重量に対し、35%となるよう
マングルにて分散液Aを絞った後、100℃で20分乾
燥し、未硬化のフェノール樹脂が付着した目付け920
g/m2のウェブBを得た。ウェブBを熱プレス装置を用
いて、160℃、面圧1.0kg/cm2で、5分間加圧
加熱処理した。さらに、分散液を含浸し、100℃で2
0分乾燥し、微粉末無水珪酸が添着した抗菌吸水性シー
トを得た。この時、微粉末無水珪酸の添着量は吸水性シ
ート重量に対し1.5%であった。
【0092】比較例9 平均粒子径の100μmフェノール樹脂(ユニチカ社
製、UA−100)100部、平均繊度4d、平均繊維
長5mmのポリエステル繊維をカーディングマシンで混
合し、ウェブ化し、150℃に設定されたカレンダーロ
ールを通し、厚さ10mm、目付け800g/m2のマッ
トを得た。該マットを熱プレス装置を用いて、160
℃、面圧1.0kg/cm2で、5分間加圧加熱処理し
て、フェノール樹脂を硬化させた。さらに、比較例8で
用いた分散液Bを含浸した後、100℃で20分乾燥
し、微粉末無水珪酸が添着した吸水性シートを得た。こ
の時、微粉末無水珪酸の添着量は吸水性シート重量に対
し1.5%であった。
【0093】以上、比較例4〜9の吸水性シートについ
て、各種物性および性能評価を行なった結果を表7、8
に示す。
【0094】
【表7】
【0095】
【表8】
【0096】実施例より、本発明の抗菌吸水性シート
は、抗菌防カビ性、吸水性、力学特性、寸法安定性、取
扱いに優れた特性を示すことが判明した。
【0097】バインダー繊維が多いものは、実施例に比
べ、曲げ強度は大きいものの、吸水性が劣る。バインダ
ー繊維による接着部分が多く、他の繊維表面を覆ったこ
と、抗菌吸水性シートが緻密化したことが原因と考えら
れる。逆に、バインダー繊維が少ないと、接着部分が少
なく、接着力が弱いため、寸法安定性が悪い、また、繊
維の脱落が多少見られる。
【0098】金属架橋繊維を用いない場合、吸水速度が
不十分であった。また、ガラス繊維を用いない場合、ガ
ラス繊維を用いたものと同じ条件でプレスした場合、シ
ートが緻密になり吸水性の低下が見られた。
【0099】バインダー繊維と親水性の粉体を用いたも
のは、粉体の脱落が多く、取扱いの点で問題点がある。
即ち、フェノール樹脂の微粒子を用いたものは、吸水
性、曲げ強度、寸法安定性は良好であったが、トリミン
グ後にフェノール樹脂の脱落が見られた。
【0100】抗菌性繊維を使用していないものは、水が
含まれた状態では、カビが発生し、外観が変化するだけ
でなく、吸水時間が大きくなり、吸水性が低下した。ま
た、カビが発生したと見られる試料からは異臭も感じら
れたが、本発明の抗菌吸水性シートからは異臭はまった
く感じられなかった。
【0101】
【発明の効果】以上の結果から、本発明の抗菌吸水性シ
ートは、異形断面繊維および金属架橋繊維をバインダー
繊維で一体化させたものであり、曲げ強さ等の力学的特
性や寸法安定性、加工性に優れるものである。異形断面
繊維によって、抗菌吸水性シート内に多数の細孔が形成
され、該シート内に多くの通水経路を確保できる上、該
繊維および金属架橋繊維が親水性を有するため、極めて
良好な吸水性を有する抗菌吸水性シートを得ることがで
きる。さらに、ガラス繊維により、金属架橋繊維の膨潤
による通水経路の閉塞が抑制できる。さらに、熱可塑性
樹脂の微粒体を使用している従来の多孔性シートとは異
なり、2次加工時の樹脂の脱落等の問題は皆無である。
また、本発明の製造方法を用いれば、含浸等の煩雑な工
程を経ることなく、簡便、かつ容易に抗菌吸水性シート
を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原口 孝彦 東京都千代田区丸の内3丁目4番2号 三 菱製紙株式会社内 (72)発明者 住谷 龍明 大阪府大阪市北区堂島浜2丁目2番8号 東洋紡績株式会社内 (72)発明者 高宮 博幸 岡山県岡山市城東台南2丁目2番10号 (72)発明者 家野 正雄 岡山県岡山市金岡東町3丁目1番9号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
    溝を有する親水性の異形断面繊維、バインダー繊維、金
    属架橋繊維および抗菌性繊維を含有し、かつ前記バイン
    ダー繊維の配合量が、全固形分当り15〜50重量%で
    あることを特徴とする抗菌吸水性シート。
  2. 【請求項2】 さらにガラス繊維を含有することを特徴
    とする請求項1に記載の抗菌吸水性シート。
  3. 【請求項3】 異形断面繊維が、ポリビニルアルコール
    系繊維であることを特徴とする請求項1または2記載の
    抗菌吸水性シート。
  4. 【請求項4】 抗菌性繊維が、親水性繊維である請求項
    1、2または3記載の抗菌吸水性シート。
JP5028896A 1996-03-07 1996-03-07 抗菌吸水性シート Withdrawn JPH09241996A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE202017007071U1 (de) 2017-12-22 2019-06-21 Lohmann Gmbh & Co. Kg Antibakterielle oder fungizide Kondens- oder Niederschlagswasserauffangvorrichtung

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE202017007071U1 (de) 2017-12-22 2019-06-21 Lohmann Gmbh & Co. Kg Antibakterielle oder fungizide Kondens- oder Niederschlagswasserauffangvorrichtung
DE102017012039A1 (de) 2017-12-22 2019-06-27 Lohmann Gmbh & Co. Kg Antibakterielle oder fungizide Kondens- oder Niederschlagswasserauffangvorrichtung

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