JP5671116B1 - 加湿装置及び加湿方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた加湿性能を有する加湿装置、及び当該加湿装置を用いた加湿方法を提供する。【解決手段】複数の吸水性多孔シートと、前記複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段と、を備えた加湿装置であって、前記吸水性多孔シートの厚みが、0.5〜1.5mmの範囲にあり、前記複数の吸水性多孔シートは、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、前記吸水性多孔シートの厚みの2.5〜6.5倍の範囲となるように配列されている、加湿装置。【選択図】なし
Description
本発明は、吸水性多孔シートを備えた加湿装置、及び当該加湿装置を用いた加湿方法に関する。
従来、空調機などには、室内の湿度を調整することを目的として、加湿装置が搭載されている。例えば、気化式の加湿器には、水が入れられた給水槽と、当該給水槽内の水に端部が浸漬された多孔性吸水性シートとを備えた、加湿装置が設けられている。加湿装置においては、一般に、複数枚の吸水性多孔シートが略等間隔に配列されており、多孔性水性シートに吸水された水が蒸発することにより、加湿が行われる。
近年、空調機の小型化などにより、これに搭載される加湿装置も小型化が要求されている。これに伴い、加湿装置の加湿性能をより一層高めることが求められている。加湿装置の加湿性能を高める方法としては、例えば、加湿装置に備えられる吸水性多孔シートを構成する材料を改良したり、当該吸水性多孔シートの形状、大きさ、配置などを改良する工夫することが考えられる。例えば、特許文献1には、湿熱接着性繊維により接着された、不織繊維構造体からなる成形体において、空気流が通過するための空隙を有するように成形体中に空隙が形成されてなり、かつ該成形体同士の隙間間隔が0.5〜15mmとなるように隣接して配置することにより、加湿エレメントの吸液性を高めることが提案されている。
一方、特許文献2には、多孔質性のポリエチレンを所定形状に成形して一端から吸水して毛細管現象により他端が湿潤する複数の加湿エレメントと、当該加湿エレメントに加湿用の水を供給する水供給部とを備えた加湿器において、加湿エレメントが短冊形状に形成され、その高さが略40〜50mm、幅が略8mm、厚さが略1.5mに設定され、かつ、加湿エレメントの列設間隔が当該加湿エレメントの厚さと同じ間隔に設定されて、取り入れた空気が加湿エレメントを通過する際の抵抗を小さくすると共に効率的に加湿することが提案されている。
しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献1及び特許文献2で提案されているような方法では、加湿装置による加湿性能を十分に発揮できない場合があることが明らかとなった。このような状況下、本発明は、優れた加湿性能を有する加湿装置、及び当該加湿装置を用いた加湿方法を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の厚みを有する吸水性多孔シートを備えた加湿装置において、当該吸水性多孔シートの厚みに対する当該吸水性多孔シートの配列間隔の比(間隔/厚み)を特定の範囲に設定することにより、加湿装置の加湿性能が飛躍的に向上することを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 複数の吸水性多孔シートと、
前記複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段と、
を備えた加湿装置であって、
前記吸水性多孔シートの厚みが、0.5〜1.5mmの範囲にあり、
前記複数の吸水性多孔シートは、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、前記吸水性多孔シートの厚みの2.5〜6.5倍の範囲となるように配列されている、加湿装置。
項2. 前記吸水性多孔シートの気孔率が、60〜80%の範囲にある、項1に記載の加湿装置。
項3. 前記吸水性多孔シートの厚みが、0.5〜1.2mmの範囲にある、項1または2に記載の加湿装置。
項4. 前記複数の吸水性多孔シートは、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、前記吸水性多孔シートの厚みの2.8〜6.0倍の範囲となるように配列されている、項1〜3のいずれかに記載の加湿装置。
項5. 前記吸水性多孔シートの目付が、100〜700g/m2の範囲にある、項1〜4のいずれかに記載の加湿装置。
項6. 前記複数の吸水性多孔シートは、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、2.5〜4.5mmの範囲にある、項1〜5のいずれかに記載の加湿装置。
項7. 前記吸水性多孔シートが、繊維により構成されている、項1〜6のいずれかに記載の加湿装置。
項8. 複数の吸水性多孔シートと、
前記複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段と、
を備えた加湿装置を用いた加湿方法であって、
前記吸水性多孔シートの厚みを0.5〜1.5mmの範囲とし、
互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、前記吸水性多孔シートの厚みの2.5〜6.5倍の範囲となるようにして、前記複数の吸水性多孔シートを配列して加湿を行う、加湿方法。
項1. 複数の吸水性多孔シートと、
前記複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段と、
を備えた加湿装置であって、
前記吸水性多孔シートの厚みが、0.5〜1.5mmの範囲にあり、
前記複数の吸水性多孔シートは、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、前記吸水性多孔シートの厚みの2.5〜6.5倍の範囲となるように配列されている、加湿装置。
項2. 前記吸水性多孔シートの気孔率が、60〜80%の範囲にある、項1に記載の加湿装置。
項3. 前記吸水性多孔シートの厚みが、0.5〜1.2mmの範囲にある、項1または2に記載の加湿装置。
項4. 前記複数の吸水性多孔シートは、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、前記吸水性多孔シートの厚みの2.8〜6.0倍の範囲となるように配列されている、項1〜3のいずれかに記載の加湿装置。
項5. 前記吸水性多孔シートの目付が、100〜700g/m2の範囲にある、項1〜4のいずれかに記載の加湿装置。
項6. 前記複数の吸水性多孔シートは、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、2.5〜4.5mmの範囲にある、項1〜5のいずれかに記載の加湿装置。
項7. 前記吸水性多孔シートが、繊維により構成されている、項1〜6のいずれかに記載の加湿装置。
項8. 複数の吸水性多孔シートと、
前記複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段と、
を備えた加湿装置を用いた加湿方法であって、
前記吸水性多孔シートの厚みを0.5〜1.5mmの範囲とし、
互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、前記吸水性多孔シートの厚みの2.5〜6.5倍の範囲となるようにして、前記複数の吸水性多孔シートを配列して加湿を行う、加湿方法。
本発明によれば、特定の厚みを有する吸水性多孔シートを備えた加湿装置において、当該吸水性多孔シートの厚みに対する当該吸水性多孔シートの配列間隔の比(間隔/厚み)を特定の範囲に設定することにより、加湿装置の加湿性能が飛躍的に向上した加湿装置を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該加湿装置を用いることにより、加湿性能が飛躍的に向上された加湿方法を提供することができる。
本発明の加湿装置は、複数の吸水性多孔シートと、当該複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段とを備えた加湿装置であって、吸水性多孔シートの厚みが、0.5〜1.5mmの範囲にあり、複数の吸水性多孔シートは、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が吸水性多孔シートの厚みの2.5〜6.5倍の範囲となるように配列されていることを特徴とする。以下、本発明の加湿装置及び当該加湿装置を用いた加湿方法について詳述する。
1.加湿装置
本発明の加湿装置は、複数の吸水性多孔シートと、当該複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段とを備えている。本発明の加湿装置の具体例を、図1の模式図を用いて説明する。なお、図1は、本発明の加湿装置10を、吸水性多孔シートの配列方向(厚み方向)から見た場合の模式図である。本発明の加湿装置10は、主に気化式の加湿装置として、空調機などに搭載されて用いられる。加湿装置10においては、複数の吸水性多孔シート1が、略等間隔で、互いに略平行となるように配列されている。各吸水性多孔シート1の一部は、槽2の給水槽2a中に挿入されており、給水槽2aには、吸水管2a1から供給された水3が貯められている。給水槽2aは、吸水性多孔シート1に水3を供給する水供給手段として機能する。具体的には、吸水性多孔シート1の端部1a1が、給水槽2aの中にある水3に浸漬されており、吸水部1aを形成している。吸水性多孔シート1においては、毛管現象の働きによって、吸水部1aから水が吸い上げられ、吸水性多孔シート1全体に水が行き渡る。そして、複数の吸水性多孔シート1の間を通る風により、吸水性多孔シート1の加湿部1bの表面から水が気化し、空気が加湿される。また、吸水性多孔シート1の加湿部1bの下部において、気化しなかった水が排水槽2bにドレンされ、排水管2b1により排出される。排水槽2bと給水槽2aとは、間仕切壁4によって隔てられている。このように、加湿装置10内においては、水が絶えず流れており、これにより、加湿装置10中にスケールが溜まることが抑制されている。
1.加湿装置
本発明の加湿装置は、複数の吸水性多孔シートと、当該複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段とを備えている。本発明の加湿装置の具体例を、図1の模式図を用いて説明する。なお、図1は、本発明の加湿装置10を、吸水性多孔シートの配列方向(厚み方向)から見た場合の模式図である。本発明の加湿装置10は、主に気化式の加湿装置として、空調機などに搭載されて用いられる。加湿装置10においては、複数の吸水性多孔シート1が、略等間隔で、互いに略平行となるように配列されている。各吸水性多孔シート1の一部は、槽2の給水槽2a中に挿入されており、給水槽2aには、吸水管2a1から供給された水3が貯められている。給水槽2aは、吸水性多孔シート1に水3を供給する水供給手段として機能する。具体的には、吸水性多孔シート1の端部1a1が、給水槽2aの中にある水3に浸漬されており、吸水部1aを形成している。吸水性多孔シート1においては、毛管現象の働きによって、吸水部1aから水が吸い上げられ、吸水性多孔シート1全体に水が行き渡る。そして、複数の吸水性多孔シート1の間を通る風により、吸水性多孔シート1の加湿部1bの表面から水が気化し、空気が加湿される。また、吸水性多孔シート1の加湿部1bの下部において、気化しなかった水が排水槽2bにドレンされ、排水管2b1により排出される。排水槽2bと給水槽2aとは、間仕切壁4によって隔てられている。このように、加湿装置10内においては、水が絶えず流れており、これにより、加湿装置10中にスケールが溜まることが抑制されている。
図2は、本発明の加湿装置に複数の吸水性多孔シートを配列した場合における、吸水性多孔シートの厚みDと配列間隔Wdとの関係を説明するための模式図である。図2の模式図に示すように、本発明の加湿装置においては、吸水性多孔シート1の厚みDが、0.5〜1.5mmの範囲にあり、かつ、複数の吸水性多孔シート1における互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔Wdが、各吸水性多孔シートの厚みDの2.5〜6.5倍の範囲となるように配列されている。前述のように、例えば、特許文献1には、加湿装置において、複数の吸水性多孔シートの間隔を0.5〜15mmとなるように隣接して配置することにより、吸水性多孔シートの吸水性を向上させることが開示されている一方、特許文献2には、隣接する吸水性多孔シートの間隔と吸水性多孔シートの厚さとを略同じに設定することにより、加湿性能を高めることが開示されている。これに対して、本発明の加湿装置においては、上記のような特定の厚みを有する吸水性多孔シートを備えた加湿装置において、当該吸水性多孔シートの厚みと当該吸水性多孔シートの間隔との比(間隔/厚み)を上記特定の範囲に設定するという、新規な設計指針を採用することにより、加湿装置の加湿性能が飛躍的に向上される。
例えば図1に示されるように、ある特定の大きさを有する加湿装置に複数の吸水性多孔シートを配列する場合、各吸水性多孔シートの高さH及び幅Lは、加湿装置10の大きさに合わせて予め設定される。このため、加湿装置の設計においては、配列する各吸水性多孔シートの厚みと配列間隔とを選択し、加湿装置の大きさに応じて配列可能な枚数の吸水性多孔シートを配列する。ここで、例えば、吸水性多孔シート1枚の厚みが大きくなると、吸水性多孔シート1枚の体積が大きくなるため、吸水性多孔シート1枚当たりの吸水量は大きくなり、蒸発量も大きくなる。しかしながら、吸水性多孔シートの厚みが大きくなるほど、加湿装置に並べられる吸水性多孔シートの枚数が少なくなる。このため、吸水性多孔シートの厚みが大きくなるほど、加湿装置全体としての加湿性能が向上するとはいえない。一方、各吸水性多孔シートの間隔が狭くなるほど、より多くの吸水性多孔シートを加湿装置に配列できるため、一見、加湿装置全体としての加湿性能が大きくなると考えられる。しかしながら、吸水性多孔シートの間隔が狭くなるほど、各吸水性多孔シート間の通気性が悪くなるため、吸水性多孔シート表面からの水の蒸発量が低下してしまう。従って、各吸水性多孔シートの配列間隔を狭くしてより多くの吸水性多孔シートを配列するほど、加湿装置全体としての加湿性能が向上するともいえない。このような観点から、特許文献2においては、吸水性多孔シートの厚みと配列間隔とを略同じにするという技術思想を採用していると考えられる。
ところが、本発明においては、特許文献2に開示された技術思想に反して、吸水性多孔シート1の厚みが0.5〜1.5mmの範囲にある場合については、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔を各吸水性多孔シートの厚みの2.5〜6.5倍の範囲という、非常に大きく設定することによって、加湿装置全体の加湿性能が飛躍的に向上する。吸水性多孔シートの間隔が、このように非常に大きく設定されると、加湿装置に配列される吸水性多孔シートの数が少なくなるため、通常は、加湿装置全体としての加湿性能は低下すると考えられる。このため、このような結果となることは、非常に予想外であった。このような結果となる機序の詳細は必ずしも明らかではないが、加湿装置全体としての蒸発量には、吸水性多孔シート1枚の吸水量よりも、各吸水性多孔シートの間における蒸発特性の方が、これまで想定されていたよりも非常に大きく寄与するため、厚みに対する間隔の比を従来よりも大きくすることによって、加湿性能が飛躍的に高められたものと考えられる。
本発明において、加湿装置の加湿性能をより一層向上させる観点からは、加湿装置において互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、前記吸水性多孔シートの厚みの2.8〜6.0倍の範囲となるように配列されていることが好ましい。また、加湿装置の加湿性能をより一層向上させる観点からは、吸水性多孔シートの厚みが、0.5〜1.2mmの範囲にあることが好ましい。さらに、加湿装置の加湿性能をより一層向上させる観点からは、本発明の加湿装置において、上記の厚みと間隔との関係を充足することに加えて、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が2.5〜4.5mmの範囲にあることが好ましく、2.5〜3.5mmの範囲にあることがより好ましい。
吸水性多孔シートの高さとしては、加湿装置の大きさに応じて設定すればよいが、好ましくは20〜700mm程度、より好ましくは50〜700mm程度が挙げられる。また、吸水性多孔シートの幅としては、加湿装置の大きさに応じて設定すればよいが、好ましくは10〜500mm程度、より好ましくは20〜200mm程度が挙げられる。なお、本発明において、吸水性多孔シートの高さとは、例えば図1に示されるように、吸水性多孔シート1が加湿装置10に配列された際における、垂直方向の最大長さHをいう。また、吸水性多孔シートの幅とは、例えば図1に示されるように、吸水性多孔シートが加湿装置に配列された際における、水平方向の最大長さLをいう。
本発明の加湿装置の体積としては、特に制限されず、例えば、20000cm3以下が挙げられる。本発明の加湿装置においては、吸水性多孔シートの厚みに対する当該吸水性多孔シートの配列間隔の比(間隔/厚み)を特定の範囲に設定することにより、加湿装置の加湿性能が飛躍的に向上している。このため、本発明の加湿装置の体積は、好ましくは4000cm3以下、より好ましくは1000〜3000cm3とすることができる。ここで、加湿装置の体積Vdは、加湿装置に複数配列された吸水性多孔シートのうち、配列方向の両端に位置する吸水性多孔シートの外側端部間の最短距離X(cm)、当該吸水性多孔シートの高さH(cm)、当該吸水性多孔シートの幅L(cm)から、下記式により算出するものとする。
Vd(cm3)=X×H×L
Vd(cm3)=X×H×L
本発明の加湿装置において、複数の吸水性多孔シートは、略等間隔で、互いに略平行となるように配列されている。なお、本発明の加湿装置において、吸水性多孔シートの枚数は、加湿装置の大きさと、吸水性多孔シートの厚み及び間隔とによって、必然的に定まる。
本発明の加湿装置において、吸水性多孔シートは、吸水性を有する多孔性のシート状の基材(以下、「多孔性基材」という)により構成されている。具体的には、多孔性基材は、多孔性基材を構成する素材の間隔によって形成された気孔を多数有し、通常、一方側の面から他方側の面に貫通する連続気孔と、一方側の面から他方側の面に通じていない非貫通性の気孔とを、それぞれ多数有する。連続気孔としては、構成素材の間隔をぬって折れ曲がり、一方の面から他方の面に貫通しているものや、一方の面から他方の面に直線的に貫通しているものなどが挙げられる。
多孔性基材としては、好ましくは、繊維により構成されたもの、すなわち、繊維をシート状に成形したものが挙げられる。多孔性基材が繊維により構成されている場合、繊維間が上記の気孔を形成する。
繊維としては、例えば、有機繊維、無機繊維、またはこれらを組み合わせた複合繊維などを使用することができる。有機繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などが挙げられ、好ましくはポリエステル繊維などが挙げられる。また、無機繊維としては、例えば、ガラス繊維などが挙げられる。繊維は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
多孔性基材が繊維により構成される場合、多孔性基材の形態としては、例えば、長繊維または短繊維からなる不織布、織物、編物などが挙げられ、これらの中でも短繊維からなる不織布が好ましい。不織布としては、ニードルパンチ法、スパンレース法、抄紙法等の公知の方法により得られるものが挙げられる。
繊維の繊度としては、多孔性基材が多孔性となり、後述のシリカ粒子によって表面の少なくとも一部を覆うことができれば、特に制限されない。スケール抑制のため水が絶えず流れるようにしつつ、吸水性多孔シート全体に水が行き渡るようにする観点から、繊維の繊度は1〜30dtexが好ましく、3〜17dtexがより好ましい。
多孔性基材が繊維により構成される場合、多孔性基材の厚みと気孔率を制御する観点から、バインダーの役割をする融着繊維を含むことが好ましい。融着繊維としては、例えば芯鞘構造を有する有機繊維が挙げられる。芯鞘構造を有する有機繊維の具体例としては、例えば、芯部がポリエチレンテレフタレートなどにより構成されており、鞘部がポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体などにより構成されているものが挙げられ、市販品としてはユニチカ社製の商品名メルテイ4080などが挙げられる。多孔性基材を構成する繊維全体に対する融着繊維の割合(質量%)は、10〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
多孔性基材の形態を短繊維からなる不織布とした場合の繊維長としては、例えば、ニードルパンチ法、スパンレース法により得られる場合、好ましくは10〜100mm程度、より好ましくは30〜80mm程度が挙げられる。また、例えば、抄紙法により得られる場合の繊維の繊維長としては、好ましくは3〜30mm程度、より好ましくは3〜10mm程度が挙げられる。
また、多孔性基材は、剛性、耐久性などの強度を高めることなどを目的として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの樹脂(以下、「強化樹脂」ということがある)を含んでいてもよい。例えば、多孔性基材が繊維により構成されている場合、これらの強化樹脂は、繊維間において繊維同士を結合し、多孔性基材の強度を高めるように機能する。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などが挙げられ、これらの中でも好ましくは150℃以下の温度で熱流動性を示すフェノール樹脂が挙げられる。なお、かかる熱流動性を示すフェノール樹脂とは、JIS−K−6911〔成形材料(円板式流れ)〕に基づく伸びが3〜15cmのものをいう。熱流動性を有するフェノール樹脂の形態としては、粉粒体状であるものが好ましく、かかるフェノール樹脂の具体例としては、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られる熱硬化性のフェノール・アルデヒド樹脂、フェノール類とアルデヒド類と含窒素化合物とを反応させて得られる熱硬化性の含窒素フェノール・アルデヒド樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。本発明において、強化樹脂を用いる場合、多孔性基材中における繊維と強化樹脂との質量比は、例えば50:50〜95:5程度、好ましくは60:40〜80:20程度とすることができる。
多孔性基材の目付は基材の厚みによって異なるが、例えば100〜700g/m2が挙げられ、好ましくは150〜500g/m2が挙げられる。
吸水性多孔シートには、吸水性を高めることなどを目的として、シリカ粒子、アルミナ粒子などの吸水性粒子が担持されていることが好ましい。シリカ粒子としては、コロイダルシリカを用いることが特に好ましい。コロイダルシリカは、多孔性基材の外側部分だけでなく、多孔性基材全体に均一性高く付着させることができる。コロイダルシリカが多孔性基材全体に均一性高く付着していることにより、吸水性多孔シートの吸水性をより高めることが可能となる。
吸水性粒子の形状としては、例えば、球状、多面体状などが挙げられる。また、吸水性粒子の一次粒子径としては、10〜300nm程度、好ましくは10〜100nm程度が挙げられる。なお、吸水性粒子の一次粒子径は、JIS Z 8830 2013 窒素吸着BET法により測定される比表面積を、球状粒子の直径として換算し得られた値である。吸水性多孔シートにおける吸水性粒子の含有量としては、好ましくは0.1〜10質量%程度、より好ましくは1〜6質量%程度が挙げられる。
吸水性多孔シートは、抗微生物剤を含むことが好ましい。吸水性多孔シートにおいて、抗微生物剤は、例えば吸水性多孔シートを構成する繊維などに練り込まれていてもよいし、繊維などの表面上に担持されていてもよい。抗微生物剤としては、特に制限されないが、水による流失を抑制する観点からは、例えば、水への溶解度が600ppm以下であり、水への溶解度の低いものが好ましい。抗微生物剤としては、公知の抗菌剤、抗カビ剤などを使用することができる。抗菌剤の具体例としては、イルガサン(登録商標、別名:トリクロサン)、塩酸クロルヘキシジン、ジンクピリチオン(IUPAC名:ビス(2−ピリジルチオ)亜鉛−1,1’−ジオキサイド)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどが挙げられる。また、抗カビ剤の具体例としては、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、チアベンダゾール、フルオロフォルペット(IUPAC名:2−(ジクロロ−フルオロメチル)スルファニルイソインドール−1,3−ジオン)、クロルキシレノール、カルベンダジン、キャプタン、クロロタロニル及びメチルスルホニルテトラクロルピリジンなどが挙げられる。また、抗カビ剤の具体例としては、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、チアベンダゾール、フルオロフォルペット(IUPAC名:2−(ジクロロ−フルオロメチル)スルファニルイソインドール−1,3−ジオン)、クロルキシレノール、カルベンダジン、キャプタン、クロロタロニル及びメチルスルホニルテトラクロルピリジンなどが挙げられる。抗微生物剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、抗菌剤と抗カビ剤とを併用してもよい。
吸水性多孔シートにおける抗微生物剤の含有量としては、好ましくは0.01〜2質量%程度、より好ましくは0.05〜0.5質量%程度が挙げられる。
上記の通り、多孔性基材は、上記のような気孔を多数有するため、吸水性多孔シートも、同様の気孔を多数有する。吸水性多孔シートが連続気孔を有するか否かは、例えば、次のようにして判断することができる。まず、吸水性多孔シートを直径10mm、厚さ1mmの円板状に切り抜き、この円板に1Nl/minの割合で空気を流した場合に、圧力損失が1000mmH2O/mm以下の場合に連続気孔を有すると判断する。本発明の吸水性多孔シートは、当該圧力損失が500mmH2O/mm以下であることが好ましい。
本発明の加湿装置において、加湿性能をより向上させる観点からは、吸水性多孔シートの厚みと吸水性多孔シートの配列間隔との比(間隔/厚み)を上記特定の範囲に設定することに加えて、吸水性多孔シートの気孔率を60〜80%程度とすることが好ましく、65〜80%程度とすることがより好ましい。なお、本発明において、気孔率とは、吸水性多孔シートの全容積における気孔の容積比率を百分率で表したものであり、次のようにして測定して得られた値である。すなわち、まず、吸水性多孔シートの乾燥重量W(g)と体積V(cm3)を測定し、次に吸水性多孔シートの比重ρ(g/cm3)を測定して、以下の式により算出することができる。
吸水性多孔シートの吸水性としては、以下の条件で測定し、40mmの高さに上昇するまでの時間が30秒以内であることが好ましい。また、70mmの高さに上昇するまでの時間が150秒以内であることが好ましい。
<吸水性の測定条件>
吸水性多孔シートを幅20mm、長さ150mm、厚み2mmにカットし、長手方向に垂直に立てた状態で下端から30mmの高さまで水中に浸漬し、浸漬してから水が水面から40mmの高さに上昇するまでの時間(秒)、及び70mmの高さに上昇するまでの時間(秒)をそれぞれ測定する。
<吸水性の測定条件>
吸水性多孔シートを幅20mm、長さ150mm、厚み2mmにカットし、長手方向に垂直に立てた状態で下端から30mmの高さまで水中に浸漬し、浸漬してから水が水面から40mmの高さに上昇するまでの時間(秒)、及び70mmの高さに上昇するまでの時間(秒)をそれぞれ測定する。
本発明における吸水性多孔シートは、高い力学的強度を有することが好ましく、その曲げ強度としては、例えば50kg/cm3以上が挙げられる。なお、本発明における曲げ強度は、JIS K 7203(硬質プラスチックの曲げ試験方法)の規定に基づいて測定した値である。
本発明における加湿装置の総蒸発重量としては、250g/hr以上が好ましく、
270g/hr以上がより好ましい。これにより、限られた空間においてより優れた加湿性能を発揮することができる。なお、本発明における加湿装置の総蒸発重量とは、以下の条件で測定した場合における蒸発重量をいう。吸水性多孔シートのサイズとして、厚みが0.5〜1.5mm、高さ154mm、幅150mmのものを用いる。この吸水性多孔シートを、吸水性多孔シートの配列方向における長さが10cmの加湿装置の給水槽に対して、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、各吸水性多孔シートの厚みの2.5〜6.5倍の範囲となるように複数配列する。各吸水性多孔シートは、加湿装置の給水槽中の水道水に浸水水深が3cmとなるように浸漬して配列する。次に、加湿を行う前の加湿装置の重量W1を測定する。次に、各加湿装置の吸水性多孔シートに送風し、下記の蒸発条件で1時間加湿を行った後、再度加湿装置の重量W2を測定し、下記式から加湿装置の総蒸発重量(g/h)を算出する。
蒸発量=W1−W2
(蒸発条件)
・給水槽中の水道水及び大気中の温度45℃
・大気中の相対湿度20%
・送風の風速2.5m/s
本発明の加湿装置において、水供給手段としては、特に制限されず、例えば、吸水性多孔シートの端部を水に浸漬できる、上述のような給水槽などが挙げられる。給水槽の大きさは、加湿装置の大きさに応じて設定すればよい。給水槽としては、吸水性多孔シートを浸漬できる部分における、吸水性多孔シートの配列方向の長さが、好ましくは5〜80cm程度のものが挙げられる。
270g/hr以上がより好ましい。これにより、限られた空間においてより優れた加湿性能を発揮することができる。なお、本発明における加湿装置の総蒸発重量とは、以下の条件で測定した場合における蒸発重量をいう。吸水性多孔シートのサイズとして、厚みが0.5〜1.5mm、高さ154mm、幅150mmのものを用いる。この吸水性多孔シートを、吸水性多孔シートの配列方向における長さが10cmの加湿装置の給水槽に対して、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、各吸水性多孔シートの厚みの2.5〜6.5倍の範囲となるように複数配列する。各吸水性多孔シートは、加湿装置の給水槽中の水道水に浸水水深が3cmとなるように浸漬して配列する。次に、加湿を行う前の加湿装置の重量W1を測定する。次に、各加湿装置の吸水性多孔シートに送風し、下記の蒸発条件で1時間加湿を行った後、再度加湿装置の重量W2を測定し、下記式から加湿装置の総蒸発重量(g/h)を算出する。
蒸発量=W1−W2
(蒸発条件)
・給水槽中の水道水及び大気中の温度45℃
・大気中の相対湿度20%
・送風の風速2.5m/s
本発明の加湿装置において、水供給手段としては、特に制限されず、例えば、吸水性多孔シートの端部を水に浸漬できる、上述のような給水槽などが挙げられる。給水槽の大きさは、加湿装置の大きさに応じて設定すればよい。給水槽としては、吸水性多孔シートを浸漬できる部分における、吸水性多孔シートの配列方向の長さが、好ましくは5〜80cm程度のものが挙げられる。
本発明の加湿装置においては、吸水性多孔シートに送風して使用されることが好ましい。これにより、吸水性多孔シートからの水の蒸発を促進し、加湿性能を高めることが可能となる。送風時の風速としては、好ましくは1〜5m/s程度、より好ましくは2〜3m/s程度が挙げられる。
2.加湿方法
本発明の加湿方法は、複数の吸水性多孔シートと、当該複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段とを備えた上記の加湿装置を用いた加湿方法であって、吸水性多孔シートの厚みを0.5〜1.5mmの範囲とし、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、吸水性多孔シートの厚みの2.5〜6.5倍の範囲となるようにして、複数の吸水性多孔シートを配列して加湿を行う加湿方法である。本発明の加湿方法においては、前述の吸水性多孔シートの厚みに対する当該吸水性多孔シートの配列間隔の比(間隔/厚み)を2.5〜6.5という特定の範囲に設定することにより、優れた加湿性能を発揮する。
2.加湿方法
本発明の加湿方法は、複数の吸水性多孔シートと、当該複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段とを備えた上記の加湿装置を用いた加湿方法であって、吸水性多孔シートの厚みを0.5〜1.5mmの範囲とし、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、吸水性多孔シートの厚みの2.5〜6.5倍の範囲となるようにして、複数の吸水性多孔シートを配列して加湿を行う加湿方法である。本発明の加湿方法においては、前述の吸水性多孔シートの厚みに対する当該吸水性多孔シートの配列間隔の比(間隔/厚み)を2.5〜6.5という特定の範囲に設定することにより、優れた加湿性能を発揮する。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
実施例1〜3及び比較例1〜4
<多孔性基材の作成>
実施例1〜3及び比較例1〜4において、繊度11dtex、繊維長64mmのポリエチレンテレフタレート短繊維80質量部と、芯部が繊度4.4dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維20質量部とからなる混繊不織布を、表1に記載の厚み、気孔率となるように目付及びプレス圧を調整し、加熱プレス成形機にて170℃で5分間加熱加圧し、部分融着した多孔性基材を得た。次に、下記処方1とした分散液に、得られた各多孔性基材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度60℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、各吸水性多孔シートを得た。
<処方1>
コロイダルシリカ(一次粒子径10nm) 5質量%
イルガサン 0.5質量部
3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート 0.5質量%
イソプロピルアルコール(IPA) 残部
表1に記載の目付、厚み、及び気孔率を有する吸水性多孔シートを給水槽に配列し、それぞれ、実施例1〜3及び比較例1〜4の加湿装置とした。そして、給水槽に吸水性多孔シートの浸水水深が3cmとなるように水道水を充填し、加湿装置の重量W1を測定した。次に、各加湿装置の吸水性多孔シートに送風し、下記の蒸発条件で1時間加湿を行った後、再度加湿装置の重量W2を測定し、下記式から蒸発量(g/hr)を算出した。これを各実施例、比較例につき3回ずつ行い、平均値を総蒸発重量(g/hr)とした。また、総蒸発重量(g/hr)と吸水性多孔シートの枚数とから、吸水性多孔シート1枚当たりの蒸発重量(g/hr)を算出した。それぞれの結果を表1に示す。また、表1に示す総蒸発重量の平均値(g/hr)と間隔/厚みの比との関係をプロットしたグラフを図3に示す。
蒸発量=W1−W2
(蒸発条件)
・吸水性多孔シートの浸水水深3cm
・給水槽中の水道水及び大気中の温度45℃
・大気中の相対湿度20%
・送風の風速2.5m/s
なお、給水槽として、複数の吸水性多孔シートの配列方向における長さが10cmのものを使用した。すなわち、吸水性多孔シートの厚み及び配列の間隔によって、加湿装置に配置できる吸水性多孔シートの枚数が定まる。実施例1〜3及び比較例1〜4における各吸水性多孔シートの枚数及び間隔は、表1の通りである。吸水性多孔シートの一方の面におけるサイズ(高さ×幅)は、154mm×150mmとした。また、吸水性多孔シートの一方の面における有効加湿サイズ(水に浸漬されていない部分のサイズ)は、80mm×150mmとした。吸水性多孔シートの吸水性は、上記の吸水性の測定条件によって測定した値である。さらに、各加湿装置の体積Vdは、加湿装置に複数配列された吸水性多孔シートのうち、配列方向の両端に位置する吸水性多孔シート間の距離X(cm)、当該吸水性多孔シートの高さH(cm)、当該吸水性多孔シートの幅L(cm)から、下記式により算出した。
Vd(cm3)=X×H×L
実施例1〜3及び比較例1〜4
<多孔性基材の作成>
実施例1〜3及び比較例1〜4において、繊度11dtex、繊維長64mmのポリエチレンテレフタレート短繊維80質量部と、芯部が繊度4.4dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維20質量部とからなる混繊不織布を、表1に記載の厚み、気孔率となるように目付及びプレス圧を調整し、加熱プレス成形機にて170℃で5分間加熱加圧し、部分融着した多孔性基材を得た。次に、下記処方1とした分散液に、得られた各多孔性基材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度60℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、各吸水性多孔シートを得た。
<処方1>
コロイダルシリカ(一次粒子径10nm) 5質量%
イルガサン 0.5質量部
3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート 0.5質量%
イソプロピルアルコール(IPA) 残部
表1に記載の目付、厚み、及び気孔率を有する吸水性多孔シートを給水槽に配列し、それぞれ、実施例1〜3及び比較例1〜4の加湿装置とした。そして、給水槽に吸水性多孔シートの浸水水深が3cmとなるように水道水を充填し、加湿装置の重量W1を測定した。次に、各加湿装置の吸水性多孔シートに送風し、下記の蒸発条件で1時間加湿を行った後、再度加湿装置の重量W2を測定し、下記式から蒸発量(g/hr)を算出した。これを各実施例、比較例につき3回ずつ行い、平均値を総蒸発重量(g/hr)とした。また、総蒸発重量(g/hr)と吸水性多孔シートの枚数とから、吸水性多孔シート1枚当たりの蒸発重量(g/hr)を算出した。それぞれの結果を表1に示す。また、表1に示す総蒸発重量の平均値(g/hr)と間隔/厚みの比との関係をプロットしたグラフを図3に示す。
蒸発量=W1−W2
(蒸発条件)
・吸水性多孔シートの浸水水深3cm
・給水槽中の水道水及び大気中の温度45℃
・大気中の相対湿度20%
・送風の風速2.5m/s
なお、給水槽として、複数の吸水性多孔シートの配列方向における長さが10cmのものを使用した。すなわち、吸水性多孔シートの厚み及び配列の間隔によって、加湿装置に配置できる吸水性多孔シートの枚数が定まる。実施例1〜3及び比較例1〜4における各吸水性多孔シートの枚数及び間隔は、表1の通りである。吸水性多孔シートの一方の面におけるサイズ(高さ×幅)は、154mm×150mmとした。また、吸水性多孔シートの一方の面における有効加湿サイズ(水に浸漬されていない部分のサイズ)は、80mm×150mmとした。吸水性多孔シートの吸水性は、上記の吸水性の測定条件によって測定した値である。さらに、各加湿装置の体積Vdは、加湿装置に複数配列された吸水性多孔シートのうち、配列方向の両端に位置する吸水性多孔シート間の距離X(cm)、当該吸水性多孔シートの高さH(cm)、当該吸水性多孔シートの幅L(cm)から、下記式により算出した。
Vd(cm3)=X×H×L
表1及び図3から明らかなように、吸水性多孔シートの厚みが0.5〜1.5mmの範囲にあり、かつ、吸水性多孔シートの間隔と厚みの比(間隔/厚み)が2.5〜6.5の範囲にある実施例1〜3の加湿装置では、加湿装置における水の総蒸発重量の平均値が大きかった。一方、吸水性多孔シートの厚みは1.06mmであるものの、吸水性多孔シートの間隔と厚みの比(間隔/厚み)が0.9(吸水性多孔シートの厚みと間隔とが同程度)とした比較例1では、総蒸発重量が極めて小さかった。また、吸水性多孔シートの厚みは1.07mmであるものの、吸水性多孔シートの間隔と厚みの比(間隔/厚み)が1.9(吸水性多孔シートの厚みに対する間隔を2倍程度)とした比較例2においても、総蒸発重量は小さかった。さらに、吸水性多孔シートの厚みを2.04mmと大きくし、吸水性多孔シートの間隔と厚みの比(間隔/厚み)が2.0(吸水性多孔シートの厚みに対する間隔が2倍程度)とした比較例3においても、総蒸発重量は小さかった。また、吸水性多孔シートの厚みを2.04mmと大きくし、吸水性多孔シートの間隔と厚みの比(間隔/厚み)が8.8(吸水性多孔シートの厚みに対する間隔が9倍程度)とした比較例4においては、総蒸発重量は極めて小さかった。
1…吸水性多孔シート
1a…吸水部
1a1…端部
1b…加湿部
2…槽
2a…給水槽
2a1…吸水管
2b…排水槽
2b1…排水管
3…水
4…間仕切壁
10…加湿装置
1a…吸水部
1a1…端部
1b…加湿部
2…槽
2a…給水槽
2a1…吸水管
2b…排水槽
2b1…排水管
3…水
4…間仕切壁
10…加湿装置
Claims (7)
- 複数の吸水性多孔シートと、
前記複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段と、
を備えた加湿装置であって、
前記吸水性多孔シートの厚みが、0.5〜1.2mmの範囲にあり、
互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が2.5〜3.5mmの範囲にあり、
前記複数の吸水性多孔シートは、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、前記吸水性多孔シートの厚みの2.8〜5.6倍の範囲となるように配列されており、
以下の条件で測定した場合における総蒸発重量が、270g/hr以上である、加湿装置。
<条件>
吸水性多孔シートのサイズとして、厚みが0.5〜1.2mm、高さ154mm、幅150mmのものを用いる。この吸水性多孔シートを、吸水性多孔シートの配列方向における長さが10cmの加湿装置の給水槽に対して、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、2.5〜3.5mmの範囲にあり、かつ、各吸水性多孔シートの厚みの2.8〜5.6倍の範囲となるように複数配列する。各吸水性多孔シートは、加湿装置の給水槽中の水道水に浸水水深が3cmとなるように浸漬して配列する。次に、加湿を行う前の加湿装置の重量W1を測定する。次に、各加湿装置の吸水性多孔シートに送風し、下記の蒸発条件で1時間加湿を行った後、再度加湿装置の重量W2を測定し、下記式から加湿装置の総蒸発重量(g/h)を算出する。
蒸発量=W1−W2
(蒸発条件)
・給水槽中の水道水及び大気中の温度45℃
・大気中の相対湿度20%
・送風の風速2.5m/s - 前記吸水性多孔シートの気孔率が、60〜80%の範囲にある、請求項1に記載の加湿装置。
- 前記吸水性多孔シートの目付が、100〜700g/m2の範囲にある、請求項1または2に記載の加湿装置。
- 前記複数の吸水性多孔シートは、高さが20〜700mm、幅が10〜500mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の加湿装置。
- 前記吸水性多孔シートが、繊維により構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の加湿装置。
- 下記式により算出される前記加湿装置の体積Vdが、20000cm3以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の加湿装置。
Vd(cm3)=X×H×L
X:加湿装置に複数配列された吸水性多孔シートのうち、配列方向の両端に位置する吸水性多孔シートの外側端部間の最短距離
H:吸水性多孔シートの高さ
L:吸水性多孔シートの幅 - 複数の吸水性多孔シートと、
前記複数の吸水性多孔シートに水を供給する水供給手段と、
を備えた加湿装置を用いた加湿方法であって、
前記吸水性多孔シートの厚みを0.5〜1.2mmの範囲とし、
互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔を2.5〜3.5mmの範囲とし、 互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、前記吸水性多孔シートの厚みの2.8〜5.6倍の範囲となるようにして、前記複数の吸水性多孔シートを配列して加湿を行い、
以下の条件で測定した場合における総蒸発重量が、270g/hr以上である、加湿方法。
<条件>
吸水性多孔シートのサイズとして、厚みが0.5〜1.2mm、高さ154mm、幅150mmのものを用いる。この吸水性多孔シートを、吸水性多孔シートの配列方向における長さが10cmの加湿装置の給水槽に対して、互いに隣接する吸水性多孔シートの間隔が、2.5〜3.5mmの範囲にあり、かつ、各吸水性多孔シートの厚みの2.8〜5.6倍の範囲となるように複数配列する。各吸水性多孔シートは、加湿装置の給水槽中の水道水に浸水水深が3cmとなるように浸漬して配列する。次に、加湿を行う前の加湿装置の重量W1を測定する。次に、各加湿装置の吸水性多孔シートに送風し、下記の蒸発条件で1時間加湿を行った後、再度加湿装置の重量W2を測定し、下記式から加湿装置の総蒸発重量(g/h)を算出する。
蒸発量=W1−W2
(蒸発条件)
・給水槽中の水道水及び大気中の温度45℃
・大気中の相対湿度20%
・送風の風速2.5m/s
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