JP2013014862A - 吸水蒸散シート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、加湿器の吸水材、水の蒸散板、冷凍機等の凝縮水の蒸散板等に用いられる不織布製シートに関し、特にシートに付着した水分の吸収が速く、シートを直立させて使用する際においては、吸収された水分が毛管現象によって上昇する位置が高く、さらにシート中の水分の蒸散が速いシートに関する。
【解決手段】本発明の吸水蒸散シートとは、不織布製の芯材層と、この芯材層を挟む他の不織布製の基材層とから形成され、前記芯材層を構成する繊維は一方向に配向しており、前記芯材層と基材層とは一体化していると共に圧密加工されており、前記芯材層と基材層は、いずれも、親水性樹脂が均一に付与されている点に要旨を有するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、加湿器の吸水材、水の蒸散板、冷凍機等の凝縮水の蒸散板等に用いられる不織布製シートに関し、特にシートに付着した水分の吸収が速く、シートを直立させて使用する際においては、吸収された水分が毛管現象によって上昇する位置が高く、さらにシート中の水分の蒸散が速いシートに関するものである。
従来から、冷凍庫のドレン抜き用の蒸散材としては、素焼きの板等が使用されていた。しかし、近来は種々工夫が凝らされた不織布も使用されるようになっている。また、昨今の住宅、事務所等の気密化が進み、特に冬場においては室内の乾燥が問題となっており、その対策として加湿器の発達が見られる。気化式加湿器はスチーム式加湿器と異なり、吸水シートに吸収された水分の蒸散作用を利用するものである。この吸水シートとしても不織布は使用されている。気化式加湿器の加湿能力を高めるには、シートの水分吸収速度を上昇させること、及び吸収した水分をシート内で広範囲に拡散させることが重要となる。
水分吸収速度および拡散効率を向上させる方策としては、ポリアルキレングリコールを共重合した熱可塑性吸水樹脂から形成される吸水繊維を用いて、吸水性不織布を形成する方法や(特許文献1)、吸水性基材Aと吸水性基材Bの間に吸水剤を封入する方法がある(特許文献2)。更には、繊維径の小さな不織布、例えばメルトブローン法により得られた不織布を吸水・保水シートとして用いる方法がある(特許文献3)。
特開2009−276034号公報 特開2002−103533号公報 特開2007−252314号公報
しかし上記の方策では、繊維が吸水膨潤するため繊維強度が低下する、基材間吸水剤が膨潤するためシートを構成する層が剥離する、メルトブローン法によって得られる不織布は高価であるため経済的ではない、という問題があった。
本発明者らはかかる課題を解決すべく、鋭意努力の結果、繊維が一定方向(以下、不織布の使用を考慮し「縦方向」と称す)に並べられた不織布が毛管現象に優れていることを見出し、この不織布を芯材層とした吸水蒸散シートを完成した。また、水の吸収速度および吸上高さを向上させる目的で、吸水蒸散シートは親水性樹脂により親水処理される必要がある。
すなわち、上記目的を達成し得た本発明の吸水蒸散シートとは、不織布製の芯材層と、この芯材層を挟む他の不織布製の基材層とから形成され、前記芯材層を構成する繊維は一方向に配向しており、前記芯材層と基材層とは一体化していると共に圧密加工されており、前記芯材層と基材層は、いずれも、親水性樹脂が均一に付与されている点に要旨を有するものである。本発明においては、前記基材層は、疎水性異型断面繊維から構成されていることが好ましい。また、前記芯材層と前記基材層とはニードルパンチ加工によって積層および一体化された後、カレンダー加工またはエンボス加工によって圧密されていることが好ましく、さらに、前記親水性樹脂の数平均分子量が2000以上であることが好ましい。前記芯材層と前記基材層には、前記親水性樹脂に加えて固着用バインダーを含む混合物が付与されており、前記親水性樹脂と前記固着用バインダーの混合物の乾燥重量基準における付着量が、10〜100g/m2であることが好ましい。加えて、前記芯材層の目付が10〜100g/m2、厚さが0.05〜0.30mmであり、前記基材層の目付が50〜300g/m2であることが好ましい。
本発明の吸水蒸散シートによれば、芯材層として繊維が縦方向に配向された不織布を使用し、さらに芯材層と基材層には親水性樹脂が均一に付与されているため、水分を急速に吸収することができ、この吸収した水分を毛管現象によりシートのより高い位置まで吸い上げることが可能となる。
本発明の吸水蒸散シートは、不織布からなる芯材層が一対の基材層に挟まれたサンドイッチ構造の積層体を一体化し、さらに圧密加工することによって得られる積層不織布から形成される。そして本発明の吸水蒸散シートでは、前記芯材層として繊維が縦方向に配向した不織布が用いられる。芯材層の繊維が縦方向に配向することで、毛管現象によって吸い上げられた水分が、縦方向とは異なる方向に配向する繊維によって進行を遮られることなくシートの広範囲に水分が拡散されるため、シートの蒸散効率が高まる。
前記芯材層を構成する繊維は、疎水性繊維であることが好ましい。前記疎水性繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル繊維、ポリアミド系繊維(ナイロン繊維)、ポリイミド系繊維等が例示できる。例えば、芯材層として利用できる不織布としては、JX日鉱日石ANCI社製のミライフ(登録商標)、DuPont社製Remay(登録商標)、あるいはトウ開繊法にて生産される帝人ファイバー社製ユニセル(登録商標)等が挙げられる。レーヨンやナイロン等の吸湿性、吸水性、保水性を有する繊維や、変性アクリル樹脂からなる吸水性繊維等は、水分を容易に吸収するものの、吸収された水分が蒸発し難く、シートの蒸散効率が低下するため、本発明の芯材層繊維としては好ましくない。また繊維が縦方向に配向されていれば、本発明の芯材層は複数種の繊維を混綿して形成されてもよい。
前記芯材層は、層全体として縦方向に配向していると言える限り、縦方向とは異なる方向に配向する繊維が存在してもよい。縦方向に配向する繊維の割合は具体的に、重量基準で好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上である。縦方向配向繊維の割合が50重量%以上になると、吸い上げられた水分の上昇が縦方向とは異なる方向に配向する繊維によって遮断されにくくなり、吸収した水分を広範囲に拡散および蒸発できるため好ましい。
前記芯材層の目付は、10〜100g/m2が好ましく、より好ましくは25〜85g/m2であり、さらに好ましくは50〜70g/m2である。目付が10g/m2以上であれば毛管現象がより充分に発現されるため好ましい。一方、目付が100g/m2を超える芯材層は、不織布を複数枚積層して形成されるため煩雑な工程が必要となり効率的でない。
芯材層の厚さは特に制約されるものではないが、0.05〜0.30mmが好ましく、より好ましくは0.08〜0.25mm、さらに好ましくは0.10〜0.20mmである。後のニードルパンチ加工を阻害するものでなく、基材不織布の繊維と絡合しやすいようにあまり圧密されていないものが好ましい。
芯材層に使用される不織布の繊維径にも特に制限はない。例えば、繊度は好ましくは0.7〜3.0デシテックスであり、より好ましくは1.0〜2.0デシテックスである。繊度が0.7デシテックス以上であれば、毛管現象により吸い上げられた水分が移動するための水道を適度に確保できる。また、繊度が3.0デシテックス以下であれば、繊維間も密になるため、毛管現象による吸水力が上昇するため好ましい。
また本発明の吸水蒸散シートの基材層としては、通常の製法に従い形成された不織布が使用される。この基材層は芯材層同様、疎水性繊維から形成されることが好ましい。前記疎水性繊維としては、例えばポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル繊維、ポリアミド系繊維(ナイロン繊維)、ポリイミド系繊維等が例示できる。レーヨンやナイロン等の吸湿性、吸水性、保水性を有する繊維や、変性アクリル樹脂からなる吸水性繊維等は、水分を容易に吸収するものの、吸収された水分が蒸発し難く、シートの蒸散効率が低下するため好ましくない。
また、前記基材層を構成する繊維の断面形状に特に制限はない。しかし繊維の表面積を大きくする目的で、異型断面形状の繊維を使用することが好ましい。例えば、星型、多角形型、Y型、L型等の断面形状を有する繊維が挙げられる。芯材層の繊維形状と基材層の断面形状は同一でも異なっていてもよい。
前記基材層を構成する不織布の目付は上基材層、下基材層それぞれ、50〜300g/m2が好ましく、より好ましくは70〜200g/m2である。目付が50g/m2未満になると吸収蒸散シートの強度が充分に確保されず好ましくない。
前記基材層の圧密後の厚さは上・下基材層それぞれ、好ましくは0.10〜3.00mmであり、より好ましくは0.15〜2.00mm、さらに好ましくは0.20〜1.00mmである。
前記基材繊維の繊度は0.5〜10デシテックスが好ましく、より好ましくは1〜3デシテックスである。繊度が前記範囲内であれば、繊維の絡合が均一になされるため、水分移動のための水道をムラなく形成することができる。また、繊維間も密になるため、毛管現象による吸水力が上昇する。そのため、吸収した水分が効率よく移動・拡散されるため好ましい。しかし、繊度が0.5デシテックス未満になると、繊維が細いためカーディングの際に繊維を送りにくくなったり、芯材層と基材層を一体化する際(例えば、ニードルパンチ加工する際)に、繊維が切断されることがある。
なお前記基材層は、複数の繊維を混綿して形成されていてもよく、混綿する繊維に特に制限はない。例えば、熱接着性繊維(低融点繊維等)を混綿すると、加熱により低融点繊維が融解し、繊維同士が部分的に固着化された積層不織布を形成することができる。また、上基材層と下基材層の構成(例えば、繊維種、厚み等)が異なっていてもよい。
また吸水蒸散シートの吸水性と蒸散性のバランスを考慮して、芯材層と一対の基材層の厚み比(芯材層/基材層)は、好ましくは10/90〜60/40、より好ましくは20/80〜50/50、さらに好ましくは30/70〜40/60である。
前記芯材層と前記一対の基材層で挟んだ積層体は一体化され、さらに圧密加工される。不織布を圧密加工することにより、繊維間距離を縮めることができ、毛管現象の促進に繋がるため、特に本発明においては不織布の圧密加工は必須である。
芯材層を基材層で挟んだ積層体を一体化する方法としては、ニードルパンチ加工、ウォーターパンチ加工等の他、基材層に熱接着性繊維(低融点繊維)を混綿し、前記熱接着性繊維を融着させて接着する方法等が挙げられる。これらの中でも、ニードルパンチ加工が好ましい。ニードルパンチ加工であれば、基材層の繊維と芯材層の繊維とが適度に絡合するため、層が剥離し難くなる。ニードルパンチ加工において針の打込み本数は、積層不織布の目付(厚さ)に応じて適宜設定されるが、例えば30〜150n/cm2が好ましく、より好ましくは50〜135n/cm2、さらに好ましくは70〜120n/cm2である。打込み本数が150n/cm2以下であれば、芯材層を形成する縦方向に配向する繊維がニードルパンチ加工によりその向きを押し曲げられることが少なく好ましい。しかし、30n/cm2未満では層間剥離しやすくなるため好ましくない。
また圧密加工法としては、例えばカレンダー加工やエンボス加工等が挙げられる。カレンダー加工あるいはエンボス加工の条件としては特に制約されるものではなく、繊維間を融着することなく圧密できる加工条件(例えば、温度、圧力、加工速度等)であれば充分である。
なお、圧密後の積層不織布の厚さは、好ましくは0.10〜3.00mm、より好ましくは0.50〜1.00mmである。
上記本発明の吸水蒸散シートでは、その水分吸収効率を高め、さらに蒸散を促進する目的で積層不織布を親水処理する必要がある。特に本発明では、親水性繊維を使用せずに、シートに親水性樹脂を付与することによって親水処理を行う。親水性繊維を用いて吸水蒸散シートを形成すると、水分を吸収した繊維が膨張し、繊維強度が低下する、吸収された水分は繊維の内部に浸透するため蒸散効率が低下するといった問題が生じてしまう。しかし、本発明のように親水性樹脂を付与して親水処理を行うと、親水性樹脂を不織布の繊維の交接点に水かき状に集めることができるため、水分の吸収力を向上させながら、水分が繊維内部まで浸透することを防止することが可能となる。そのため、これらの問題に対処することができる。
前記親水処理の方法としては、前記親水性樹脂が溶解、分散または乳化した液(以下、「親水性樹脂の液」と称す)に、積層不織布を浸漬させ、不織布を乾燥させる方法等が挙げられる。本発明の親水処理に使用される親水性樹脂の種類に特に制限はないものの、例えばポリエチレングリコール、変性ポリエステル樹脂等が好ましく使用される。この変性ポリエステル樹脂としては、例えば、エチレングリコールやポリエチレングリコール等のグリコール類を共重合したポリエステル樹脂等が例示できる。また、積層不織布の繊維と親水性樹脂は同種であることが好ましい。例えば積層不織布が、主にポリエステル繊維から形成されているときは、親水性樹脂には変性ポリエステル樹脂を使用するとよい。また、親水性樹脂は一種単独で使用する他、複数を併用してもよい。
前記親水性樹脂の数平均分子量は、好ましくは2000〜10000であり、より好ましくは3000〜6000であり、さらに好ましくは4000〜5000である。分子量が2000未満では、吸水蒸散シートを繰り返し使用すると、前記親水性樹脂が水分の移動に伴い、芯材繊維の配向に沿って徐々に移動するため、シート下部の親水性が損なわれてしまう。また、分子量が10000を超えると前記親水性樹脂の液の粘度が高くなるため、積層不織布への含浸が困難となる。さらに、粘度が高いと不織布に親水性樹脂が均一に付与されず好ましくない。
前記親水性樹脂と積層不織布の重量比は(親水性樹脂/積層不織布)、好ましくは5/95〜30/70、より好ましくは10/90〜20/80である。
また前記親水性樹脂の液の溶媒としては、本発明では水が好適である。さらに前記液には、界面活性剤等を適宜添加してもよい。
さらに加湿器のように、抗菌性、抗アレルゲン性が求められる場合には、抗菌剤、水の腐敗防止剤、防かび剤、抗アレルゲン剤等を前記親水性樹脂の液に添加することが望ましい。その他、顔料、消泡剤等を適宜添加することも可能である。
使用時に、前記親水性樹脂が吸収した水分に伴って移動することがないよう、親水性樹脂は固着用バインダーによって繊維に固定されていることが好ましい。固着用バインダーで繊維に親水性樹脂を固定するために、前記親水性樹脂の液に固着用バインダーを添加しておけばよい。また、固着用バインダーが繊維に付着することにより、吸水したシートが変形せずに、適度な剛性を保つこともできる。
固着用バインダーとしては、不織布用の水系バインダーが使用できる。例えば、ポリアクリル酸エステル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリスチレン−ブタジエン系等のバインダーが挙げられ、これらはエマルションあるいは水系分散物等として使用される。特に、各繊維との密着性、および親水性樹脂の繊維上での固着効果を考慮すると、固着用バインダーとしては、シートを構成する繊維や親水性樹脂と同種の樹脂をベースとするバインダーを使用するとよい。
親水性樹脂および固着用バインダーの混合物の乾燥重量基準での付着量は、例えば10〜100g/m2、好ましくは20〜80g/m2、より好ましくは30〜60g/m2である。ドライ付着量が10g/m2以上であれば、水分の吸収速度及び拡散効率が一段と向上するため好ましい。
前記親水性樹脂と前記固着用バインダーの配合比率(親水性樹脂/固着用バインダー)は、95/5〜30/70重量%が好ましく、より好ましくは90/10〜40/60重量%、さらに好ましくは80/20〜50/50重量%である。バインダーを使用せず親水性樹脂のみを付与することでも、吸水速度が速く、十分な拡散効率を発揮する吸水蒸散シートを製造することは可能である。しかしながら、固着用バインダーを少なくとも5重量%以上配合しておくと、親水性樹脂を繊維に固定することができるため、樹脂の移動を確実に防止できる。また、配合比率が30/70重量%未満になると、親水性樹脂の配合量が少ないため、吸水速度が遅くなり、かつ吸収した水分をより高い位置まで吸い上げることが困難となる。
尚、積層不織布は浸漬によって親水処理されるため、繊維間の距離が広がり積層不織布が厚くなることもある。得られる吸水シートの厚さは、例えば0.10〜3.50mm、より好ましくは0.50〜1.20mmである。
上記吸水蒸散シートは、加湿器用吸水材、結露吸水材、調湿板、水蒸散板等に好適に使用される。本発明のシートは芯材層繊維が縦方向に配向しているため、シートに付着した水分が芯材層繊維の配向方向に沿って容易に移動できる。そのため、シートの広範囲にわたって水分を蒸散させることが可能となる。例えば、本発明の吸水蒸散シートを加湿器用吸水材として使用する際は、芯材層繊維の配向方向が重力方向と平行となるようにシートを設置するとよい。シート下部に付着した加湿用の水分は、毛管現象により重力に逆らい、シートを上昇することができる。このとき、水平方向に配向する繊維が少ないため、水分は進行を遮断されることなく、より高い位置まで浸透することができる。また、シートが親水処理されているため、水分の移動速度が速くなり効率的である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記実施例及び比較例より得られた不織布、フィルター用濾材の特性評価方法は以下の通りである。
(1)目付;JIS L1913の6.2法に準ず
(2)厚さ;JIS L1913の6.1A法に準ず
(3)吸水速度;JIS L1913の6.9.1法(バイレックス法)に準ず
なお、吸水速度は上記測定開始5分後、2時間後の2点で測定し、さらに同一試料を用いて2時間後の吸水高さを測定したときの5回の平均値を算出する。
(4)水蒸散量;まず水を250g入れた300mlのビーカーを、中央部に幅5cmの切り込みを入れたアルミホイルで封じる。そこへ幅5cm、長さ30cmに裁断した試験片を、試験片の下方5cmが水に浸るように設置し、このときのビーカー及び試験片の重量(W0)を測定する。その後、試験片を芯材層繊維の配向方向が重力方向と平行となるように上部スタンドに垂直に立てた状態で固定し、20℃、60%rhの部屋に48時間(2日間)放置した後、ビーカーおよび試験片の重量(W1)を測定する。水蒸散量は下記式に基づき算出する。
水蒸散量(g/日)=(W0−W1)/2
(5)硬さ;JIS L1913 6.7.1a)法に準ず
なお、表1に記載の「初期」とは湿潤処理前の吸収蒸散シートを試験片とした場合の実験結果をいい、「湿潤後」とは20℃の水に24時間浸漬後、脱水および室温乾燥をおこなった吸収蒸散シートを試験片として用いた場合の実験結果をいう。
実施例1
繊度2.2デシテックス、繊維長54mmの三角断面ポリエステル繊維を計量、混綿し、カード機で繊維を一定方向に送り出して中間ウェブを形成し、この中間ウェブをクロスラッパーにてラッピングした。得られたウェブを、針番手40番のニードルにて、針深さ8mm、打込み本数115n/cm2でニードルパンチ加工をおこない、得られた基材層をロールアップした。ポリエステル繊維が縦方向に配向された不織布(芯材層、JX日鉱日石ANCI製「ミライフ(登録商標)T20」:目付20g/m2、繊度1.3デシテックス、縦配向繊維95%以上、厚み0.08mm)を重ね、ロールアップした基材層から供給される一対の基材層間に設置し、針番手40番、針深さ10mm、打込み本数80n/cm2でニードルパンチ加工をおこない積層不織布を得た。なお、積層不織布の層構成は表1に記載する通りである。その後引き続き、180℃に加熱したカレンダーロール間に前記不織布を通過させ、厚さ0.5mmに圧密した。ついで、水59.8重量%、親水性樹脂として数平均分子量6500の親水性ポリエステル樹脂5重量%、固着用バインダーとして水系ポリエステル樹脂35重量%、顔料0.05重量%、消泡剤0.05重量%、防かび剤0.1重量%を調合した。得られた調製液に圧密した不織布を含浸させ、絞液後150℃の熱風式乾燥機にて不織布の乾燥及び樹脂の固着化をおこない、吸収蒸散シートを得た。
実施例2
繊度2.2デシテックス、繊維長54mmの三角断面ポリエステル繊維を用い、積層不織布の構成を、表1に記載の量に変更する以外は、実施例1と同様の加工、処理を行うことにより吸収蒸散シートを得た。
実施例3
繊度2.2デシテックス、繊維長54mmの丸断面ポリエステル繊維を用い、積層不織布の構成を、表1に記載の量に変更する以外は、実施例1と同様の加工、処理を行うことにより吸収蒸散シートを得た。
実施例4
繊度2.2デシテックス、繊維長64mmの三角断面ポリエステル繊維を用い、積層不織布の構成を、表1に記載の量に変更する以外は、実施例1と同様の加工、処理を行うことにより吸収蒸散シートを得た。
比較例1
繊度2.2デシテックス、繊維長54mmの丸断面ポリエステル繊維を計量、混綿し、カード機で繊維を一定方向に送り出して中間ウェブを形成し、この中間ウェブをクロスラッパーにてラッピングした。得られたウェブを、針番手40番のニードルにて、針深さ12mm、打込み本数180n/cm2でニードルパンチ加工をおこない、不織布を得た。その後、引き続き180℃に加熱したカレンダーロール間に前記不織布を通過させ、厚さ0.9mmに圧密した。ついで、水59.8重量%、親水性樹脂として数平均分子量6500の親水性ポリエステル樹脂5重量%、固着用バインダーとして水系ポリエステル樹脂35重量%、顔料0.05重量%、消泡剤0.05重量%、防かび剤0.1重量%を調合した。得られた調製液に圧密した不織布を含浸させ、絞液後150℃の熱風式乾燥機にて不織布の乾燥及び樹脂の固着化をおこない、樹脂加工不織布を得た。
比較例2
繊度2.2デシテックス、繊維長54mmの三角断面ポリエステル繊維を用い、積層不織布の構成を、表1に記載の量に変更し、さらに親水性樹脂を不織布に付与しないこと以外は実施例1同様の加工、処理を行うことにより吸収蒸散シートを得た。
上記実施例及び比較例の結果を下記表1に示す。
Figure 2013014862
表1より、本発明の吸水蒸散シートは、縦方向に繊維が配向した芯材層を使用しない場合(比較例1)、また積層不織布を親水処理しない場合(比較例2)に比べ、特に水蒸散量について優れた特性を有していることがわかる。すなわち、本発明の吸水蒸散シートは、芯材層の繊維を縦方向に配向することと、積層不織布を親水処理することの組合せにより予測される以上の効果を発揮している。

Claims (6)

  1. 不織布製の芯材層と、この芯材層を挟む他の不織布製の基材層とから形成され、
    前記芯材層を構成する繊維は一方向に配向しており、
    前記芯材層と基材層とは一体化していると共に圧密加工されており、
    前記芯材層と基材層は、いずれも、親水性樹脂が均一に付与されていることを特徴とする吸水蒸散シート。
  2. 前記基材層は、疎水性異型断面繊維から構成されている請求項1に記載の吸水蒸散シート。
  3. 前記芯材層と前記基材層とはニードルパンチ加工によって積層および一体化された後、カレンダー加工またはエンボス加工によって圧密されている請求項1または2に記載の吸水蒸散シート。
  4. 前記親水性樹脂の数平均分子量が2000以上である請求項1〜3のいずれかに記載の吸水蒸散シート。
  5. 前記芯材層と前記基材層には、前記親水性樹脂に加えて固着用バインダーを含む混合物が付与されており、
    前記親水性樹脂と前記固着用バインダーの混合物の乾燥重量基準における付着量が、10〜100g/m2である請求項1〜4のいずれかに記載の吸水蒸散シート。
  6. 前記芯材層の目付が10〜100g/m2、厚さが0.05〜0.30mmであり、
    前記基材層の目付が50〜300g/m2である請求項1〜5のいずれかに記載の吸水蒸散シート。
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JP2017156004A (ja) * 2016-03-01 2017-09-07 ダイニック株式会社 吸水蒸散板
JP2020172034A (ja) * 2019-04-08 2020-10-22 帝人フロンティア株式会社 吸水気化材料

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017156004A (ja) * 2016-03-01 2017-09-07 ダイニック株式会社 吸水蒸散板
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