JP4125861B2 - 空気清浄化フィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気清浄化フィルターに関し、詳しくは通気性に優れた片面段ボール形状の空気清浄化フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生活環境の変化や健康志向の高まりなどにより、家庭や職場において空気清浄化装置の普及が進んでいる。最近では専用の空気清浄機のみならず、ルームエアコンや除湿器、加湿器などの各種空調機器に空気清浄化機能が付与される傾向があり、実用化されているものがある。
【0003】
種々の空気清浄化法の中でもフィルターを用いるものは特殊な装置や部品を必要とせず、比較的簡易に実施可能であるため、家庭用の空調機器などを中心として空気清浄化フィルターが広く汎用されている。
【0004】
空気清浄を専らとしないルームエアコン、除湿器および加湿器などの機器においては、空気清浄化フィルターを搭載するための空間を広く取ることが困難な場合があり、山の高さが数ミリから十数ミリ程度のミニプリーツフィルターが特に有用であり、このようなミニプリーツフィルターの一種としてJIS−Z−1516に記載の「外装用段ボール」に準拠して、濾材を中しん、および通気性を有する基材をライナに用いて作製してなる片面段ボール形状の空気清浄化フィルターが開発されており、取り扱い性に優れると共に、加工が比較的容易で大量生産に適するなどの利点を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、取り扱い性が良く、且つ通気性に優れた空気清浄化フィルターを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、下記の発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、JIS−Z−1516に記載の「外装用段ボール」に準拠して、空気清浄化機能を有する濾材を中しん、および通気性を有する基材をライナに用いて作製してなる片面段ボール形状の空気清浄化フィルターにおいて、中しんのピッチP(mm)とグルーパターンの幅W(mm)との比P/Wが3〜6の範囲にあることを特徴とする空気清浄化フィルターである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の空気清浄化フィルターについて以下に詳細に説明する。
【0009】
本発明に係わる片面段ボールとは、JIS−Z−1516に記載の「外装用段ボール」に準拠して1枚のライナに波形状に加工した中しんを貼り合わせて作製される。
【0010】
本発明に係わる中しんの波形状は、一般的な正弦波または疑似正弦波の他、海波、三角波、方形波、半円や扇形の弧がつながった波などの波形であっても良く、特に限定されるものではないが、角の無いなめらかな曲線を描く形状が好ましく、高い通気性が得られる。これは、折り曲げた角、特に鋭利な角があると、角の部分でフィルター濾材が厚密化して通気性が低下するとともに、角付近ではフィルター濾材同士が接近していて通気できる間隔が狭いため、通気抵抗が大きくなり、通気性が阻害される原因となるからである。
【0011】
単位長さのライナに対する中しんの使用長さ比率、すなわち段繰り率は特に限定されるものではないが、1.2〜2.0であることが好ましく、1.4〜1.7であることが更に好ましい。
【0012】
本発明に係わる片面段ボールを作製する際の接着剤は特に限定されるものではなく、澱粉系接着剤、エチレン酢酸ビニル共重合体などのポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤または湿気硬化型ウレタン系接着剤などを挙げることができる。中でも、湿気硬化型ウレタン系接着剤は、低温で使用でき、耐熱性が高く、耐水性に優れ、且つ各種材料との接着性が良好であり、優位に用いられる。また、ライナまたは中しんが熱可塑性または圧着性などの接着性を有する場合には、所望に応じて接着剤を使用しなくても良い。
【0013】
また、本発明に係わる接着剤は、紫外線硬化型接着剤を含有しても良く、片面段ボール作成後、好ましくはその直後に、ライナ側、中しん側またはその両側から紫外線を照射して接着させることができる。
【0014】
本発明に係わる中しんのピッチとは、段頂間の距離(mm)である。中しんのピッチが一定ではないランダムピッチの場合には、中しんのピッチP(mm)として段ロール一周分のピッチの平均値を用いることができる。
【0015】
本発明に係わるグルーパターンの幅とは、中しんとライナとの接着面にできる糊線の幅(mm)であり、一般的には流れ方向の長さを表す。
【0016】
本発明に係わるグルーパターンは、比較的太い線や比較的細い線があったり、または同じ線でも幅が変動している場合があり、このようなときは、無作為に選んだ10〜20本の線について、その線の中で幅が中間的な位置においてグルーパターンの幅を測り、その平均値を用いることができる。
【0017】
本発明の空気清浄化フィルターは、中しんのピッチP(mm)とグルーパターンの幅W(mm)との比P/Wが3〜6の範囲にあることが好ましい。
【0018】
中しんのピッチP(mm)とグルーパターンの幅W(mm)との比P/Wが3に満たない場合には、中しんおよびライナの通気面が糊で遮られてしまい、得られる空気清浄化フィルターの通気性が著しく低下するため好ましくない。一方、P/Wが6を越える場合には、中しんとライナの接着強度が充分ではなく、得られる空気清浄化フィルターの取り扱い性が悪化するため好ましくない。
【0019】
次いで、中しんのピッチP(mm)とグルーパターンの幅W(mm)との比を調整する方法を説明する。
【0020】
本発明に係わる中しんのピッチは、主にコルゲータの段ロールの形状によって決まるため、グルーパターンの幅の調整可能な範囲に応じて適宜選択することができる。
【0021】
本発明に係わるグルーパターンの幅は、コルゲータの加工条件、糊付け部の構造および接着剤の性状によって調整することができる。
【0022】
本発明に係わる接着剤の付着量は、過剰になるとグルーパターンの幅が広くなる原因となり、また、不足すると充分な接着が達成されないため、濾材に合わせて適切に調整することが好ましく、糊付け部のアプリケーターロールと中しんの段頂との間隔を微調整することが好ましく、また、接着剤の付着量を制御し易い3ロール型アプリケーターやダイレクトファウンテン型アプリケーターなどの前計量型接着剤アプリケーターを用いることが更に好ましい。また、プレスロールでの加圧によってグルーパターンの幅が広がる場合があるため、プレスロールと下段ロール間の間隔または圧は適切に調整することが好ましい。
【0023】
本発明に係わる接着剤に関しては、接着性に加えてタック、堅さ、糸曳き性(または糸切れの良さ)、粘度および弾性率などのレオロジカルな性状を適宜調整してグルーパターンの幅を適正化することができる。
【0024】
本発明に係わる空気清浄化機能を有する濾材とは、除塵、脱臭、有害物質除去、抗菌、防黴、抗ウィルスなどを目的に用いられる濾材であり、これらの空気清浄化機能を少なくとも一つ以上有するものである。
【0025】
本発明に係わる中しんに用いる空気清浄化機能を有する濾材は、除塵性を有する濾材であることが好ましく、このような除塵性の濾材は、特に限定されるものではないが、主に機械的濾過によって塵埃を捕集する濾過式フィルターと主に静電気的な吸着作用によって塵埃を捕集するエレクトレットフィルターの2種類に大別され、更に、機械的濾過と静電気的な吸着作用を併せ持つ中間的なフィルターが存在する。
【0026】
本発明に係わる濾過式フィルターの濾材の一例として、湿式抄紙法によって製造されるものがある。このような濾材は一般に、重量比で90〜95%以上のガラス繊維と5〜10%以下のバインダーから構成されているのが通例であり、ガラス繊維は長さが1〜3mm程度、平均直径が0.7μmで太さのバラツキが大きい極細ガラス繊維と直径6〜10μmで太さが一様、長さが5mm以上のチョップ繊維からなるものが多いが、特にこれに限定されるものではなく、セラミック繊維やセルロース繊維、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維またはアラミド繊維などの有機繊維からなるものであっても良い。
【0027】
有機繊維からなる濾過式フィルターの濾材を作製する方法としては、上記した湿式抄紙法の他に、メルトブローン法、フラッシュ紡糸法またはスパンボンド法などの乾式不織布製造法が挙げられる。
【0028】
本発明に係わるエレクトレットフィルターとは、半永久的に電気分極を保持し、外部に対して電気力を及ぼすフィルターであって、その静電気力によって粒子を捕捉するものである。帯電方法としては、エレクトロエレクトレット、熱エレクトレット、ラジオエレクトレット、メカノエレクトレット、フォトエレクトレット、マグネットエレクトレットなどが挙げられるが、工業的に不織布フィルターで用いられているものは、主にエレクトロエレクトレットおよび熱エレクトレットであり、材料としてはポリプロピレンまたはプロピレン主体の共重合体が用いられることが多く、耐熱性の向上などを目的として上記の樹脂原料にステアリン酸アルミニウムなどの脂肪酸金属塩を適量添加する場合がある。
【0029】
本発明に係わる機械的濾過と静電気的な吸着作用を併せ持つ中間的なフィルターの濾材として、捕集効率80〜95%程度の濾過式中高性能濾材とエレクトレット濾材を併用したもの、およびメルトブローン式エレクトレットフィルターなどが挙げられる。
【0030】
本発明に係わる濾過式中高性能濾材とエレクトレット濾材を併用して中間的な濾材を作製する方法は、単に重ね合わせるだけでも良いが、波状の加工に適した濾材を得るために積層することが好ましく、ピンソニック法などによる融着によって積層する方法およびホットメルトスプレー法やいわゆるシンター法等のホットメルトパウダー式ラミネート法などによる接着によって積層する方法などが挙げられるが、積層法はこれらに限定されるものではない。
【0031】
また、本発明に係わるメルトブローン式エレクトレットフィルターは、上記のようにポリプロピレンなどを原料とし、メルトブローン紡糸時やドラム上での半溶融時または固化直後に高電圧を印加して熱エレクトレット的に繊維を帯電させて作製することができ、また、比較的緻密且つ薄手に作製したメルトブローンにコロナ放電などで帯電処理を施して作製しても良い。
【0032】
本発明に係わる除塵性を有する濾材は、0.3μmの粒子に対して99.97%以上の捕集効率を有するHEPA濾材や0.1μmの粒子に対して99.9997%以上の捕集効率を有するULPA濾材であっても良い。
【0033】
本発明に係わる空気清浄化機能を有する濾材は、中しんとして段成形の適性を付与するために、スパンボンド不織布、レジンボンド不織布、サーマルボンド不織布および樹脂製ネットなどの補強材を用いることができ、例えば除塵性を有する濾材においてはこのような補強材は脱臭または抗菌などの空気清浄化機能を有しても良い。
【0034】
本発明に係わる空気清浄化機能を有する濾材に、脱臭、有害物質除去、抗菌、防黴、抗ウィルスなどの機能を付与する場合には、脱臭剤や抗菌剤などの薬品を用いることができる。
【0035】
本発明に用いられる脱臭剤とは、主に悪臭を除去する目的で用いられる薬剤であり、具体的には活性炭、添着活性炭、活性炭素繊維、天然および合成ゼオライト、ハイシリカゼオライト、シリカ、活性アルミナ、活性白土、セピオライト、有機酸系化合物またはイオン交換樹脂などの吸着剤、鉄アスコルビン酸や鉄、コバルトまたはマンガン等の金属フタロシアニン誘導体などの酵素系脱臭剤、酸化チタンや酸化亜鉛などの光触媒、マンガン系酸化物やペロブスカイト型触媒などの低温酸化触媒、炭化珪素、窒化珪素、珪酸カルシウム、アルミナ・シリカ系、ジルコニア系などの合成セラミクスや麦飯石、フェルソング石などの遠赤外線セラミクス、植物抽出成分に含まれる化合物であるカテキン、タンニン、フラボノイド等を用いた消臭剤などが挙げられる。これらの脱臭剤は必要に応じて複数のものを併用しても良く、また、これらの脱臭剤を複合化したハイブリット脱臭剤としても良い。
【0036】
本発明に用いられる抗菌剤は、細菌、黴類またはウイルスなどの有害微生物および病原体の除去、殺滅、失活または繁殖抑制などの目的で用いられる薬剤であり、具体的には、銀や亜鉛または燐酸カルシウムなどを主成分とする無機系抗菌剤、ベンツイミダゾール系、イソチアゾリン系、ピリチオン系、有機ヒ素系、有機銅系、有機ヨード系、クロロヘキシジン系などの有機系抗菌剤、キチンやキトサンなどの高分子系抗菌剤、茶や柿などから抽出されるカテキンや孟宋竹抽出エキス、ヒノキチオールなどの天然物由来の抗菌剤およびこれらを複合したハイブリット抗菌剤などが挙げられる。
【0037】
本発明に用いられる抗菌剤はハイブリット抗菌剤の中でも上記した有機系抗菌剤の抗菌性金属塩であることが好ましく、中でもメルカプトピリジン−N−オキシド化合物の銀塩、銅塩または亜鉛塩を主成分とすることが特に好ましい。この抗菌剤は、主に該金属塩に由来する細菌類に対する抗菌性および主にメルカプトピリジン−N−オキシド化合物に由来する黴類に対する防黴性を併せ持つため広範囲な細菌、黴類などの有害微生物に対して有効な抗菌防黴作用が得られ、さらに高速度且つ大容量で有効期間が長く、非常に優れた抗菌防黴性を付与することが可能である。従って、本発明に係わる抗菌剤として特に有用である。
【0038】
また、メルカプトピリジン−N−オキシド化合物の金属塩に加えて、ベンゾイミダゾール化合物、イソチアゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物もしくはベンゾチアゾロン化合物の銀塩、銅塩または亜鉛塩を併用することが更に好ましく、一層広範囲な細菌類および黴類に対して有効な抗菌防黴作用が得られる。
【0039】
メルカプトピリジン−N−オキシド化合物の銀塩、銅塩または亜鉛塩を主成分とする抗菌剤は、一般に、メルカプトピリジン−N−オキシドのナトリウム塩をイオン交換処理した水に溶かした水溶液と硝酸銀、硝酸銅、硝酸亜鉛またはこれら金属塩の混合物をイオン交換処理した水に溶かした水溶液を撹拌混合することによって調製される。生成した塩は水に不溶または難溶であるため固形物として析出するが、高い抗菌防黴性を得るためには、上記の2つの水溶液の混合過程において充分な撹拌を行って生成する金属塩を微粒子に分散することが好ましい。
【0040】
本発明に係わるライナとして用いられる通気性を有する基材は、上記に挙げた空気清浄化機能を有する濾材と同じように、脱臭、抗菌または除塵などの空気清浄化機能を有しても良い。
【0041】
本発明に係わる空気清浄化機能を有する濾材、または、通気性を有する基材の材質は、特に限定されるものではなく、各種の紙、不織布、織布、編布、ネット、フェルト、ウレタンフォームなどの発泡体および樹脂フィルムや金属箔などが挙げられ、シートの通気性が乏しい場合には穴開け加工などを施して通気性を向上させることができる。中でも、適度な通気性を有し、且つ中しんとしては段成形が可能な素材として不織布が好ましい。
【0042】
本発明に用いられる不織布は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、フェノール系繊維などの合成繊維、ガラス繊維、金属繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、活性炭素繊維などの無機繊維、木材パルプ、竹パルプ、麻パルプ、ケナフパルプ、藁パルプ、バガスパルプ、コットンリンターパルプ、木綿、羊毛、絹などの天然繊維、古紙再生パルプ、レーヨン等の再生セルロース繊維やコラーゲン等のタンパク質、アルギン酸、キチン、キトサン、澱粉などの多糖類等を原料とした再生繊維など、あるいはこれらの繊維に親水性や難燃性などの機能を付与した繊維などを単独または組み合わせて使用し、各種方法によって製造したものである。
【0043】
不織布の製造方法については特に制限はなく、目的・用途に応じて、乾式法、湿式抄造法、メルトブローン法、スパンボンド法、フラッシュ紡糸法、エアレイド法などで得られたウェブを水流交絡法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などの物理的方法、サーマルボンド法などの熱による接着方法、レジンボンドなどの接着剤による接着方法で強度を発現させる方法を適宜組み合わせて製造することができる。
【0044】
本発明の空気清浄化フィルターは、片面段ボールの幅方向の剛度は高いが、流れ方向には比較的柔らかい場合があるため、取り扱い性を改良するために適宜補強を施しても良く、補強法としてライナなどへの補強ネットの取り付け、およびライナまたは側面などへの帯状フィルムの取り付けなどが挙げられる。
【0045】
本発明の空気清浄化フィルターは、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、更に防虫、殺虫、害虫忌避、有害物除去、芳香、除湿、調湿、吸湿(乾燥)、水分(湿度)透過、油等の吸着、陽イオン吸着などのイオンバランスの調整および水や揮発性薬剤等の蒸散または徐放などの各種機能を有しても良い。
【0046】
本発明の空気清浄化フィルターの具体例として、中しんがエレクトレットフィルターおよびライナが粗塵ネットからなる除塵フィルター、中しんが高性能フィルターおよびライナが中性能フィルターからなる高性能除塵フィルター、中しんが油吸着フィルターおよびライナがエレクトレットフィルターからなる耐油性除塵フィルター、中しんがエレクトレットフィルターおよびライナが脱臭フィルターからなる除塵・脱臭フィルター、中しんがエレクトレットフィルターおよびライナが抗菌フィルターからなる除塵・抗菌フィルター、中しんがエレクトレットフィルターと脱臭フィルターを積層してなる複層フィルターおよびライナが抗菌フィルターからなる除塵・脱臭・抗菌フィルター、中しんがエレクトレットフィルターと抗菌フィルターを積層してなる複層フィルターおよびライナが活性炭ネットからなる除塵・脱臭・抗菌フィルター、中しんがHEPAフィルターおよびライナが光触媒フィルターからなる高性能除塵・光触媒フィルター、中しんが光触媒フィルターおよびライナがエレクトレットフィルターからなる光触媒・除塵フィルター、および、中しんが酸性・中性ガス吸着フィルターおよびライナが塩基性ガス吸着フィルターからなる複合脱臭フィルターなどが挙げられる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により更に本発明を詳細に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。
【0048】
調製例1
ポリエステル繊維およびビニロン繊維を主体繊維とし、アクリル系接着剤でレジンボンドしてなる坪量40g/m2 の乾式不織布に、脱臭剤としてヤシ殻活性炭80重量%と、バインダーとして市販のスチレン−アクリル共重合樹脂エマルジョン20重量%とを混合攪拌してなる塗液を35g/m2 含浸塗布、乾燥してフィルターを作製し、このフィルターを調製例1の活性炭フィルターとした。
【0049】
調製例2
ポリエステル繊維およびビニロン繊維を主体繊維とし、アクリル系接着剤でレジンボンドしてなる坪量40g/m2 の乾式不織布に、抗菌剤として銀−アパタイト系抗菌剤70重量%と、バインダーとして市販のスチレン−アクリル共重合樹脂エマルジョン30重量%とを混合攪拌してなる塗液を2g/m2 含浸塗布、乾燥してフィルターを作製し、このフィルターを調製例2の抗菌フィルターとした。
【0050】
調製例3
調製例1において、ヤシ殻活性炭に代えて活性白土とする以外は全て調製例1と同一の方法でフィルターを作製し、このフィルターを調製例3の塩基性ガス除去フィルターとした。
【0051】
調製例4
調製例1の活性炭フィルターと市販のエレクトレットフィルターとをパウダーレジン法で貼り合わせて複層フィルターを作製し、このフィルターを調製例4の除塵/脱臭フィルターとした。
【0052】
実施例1
脱臭機能を有する調製例1の活性炭フィルターを中しん、調製例2の抗菌フィルターをライナに用いて、また、接着剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンを用いて、JIS−Z−1516に記載の「外装用段ボール」に準拠して、ピッチ8.4mm、グルーパターンの幅2.8mmの片面段ボールを作製し、これを実施例1の空気清浄化フィルターとした。
【0053】
実施例2
実施例1において、接着剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンに代えて、接着剤として酢酸ビニル樹脂エマルジョン、およびグルーパターンの幅2.8mmに代えて、グルーパターンの幅1.8mmとする以外は全て実施例1と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを実施例2の空気清浄化フィルターとした。
【0054】
実施例3
実施例2において、グルーパターンの幅1.8mmに代えて、グルーパターンの幅1.4mmとする以外は全て実施例2と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを実施例3の空気清浄化フィルターとした。
【0055】
実施例4
酸性ガスおよび中性ガス除去機能を有する調製例1の活性炭フィルターを中しん、調製例3の塩基性ガス除去フィルターをライナに用いて、また、接着剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンを用いて、JIS−Z−1516に記載の「外装用段ボール」に準拠して、ピッチ6.4mm、グルーパターンの幅2.0mmの片面段ボールを作製し、これを実施例4の空気清浄化フィルターとした。
【0056】
実施例5
実施例4において、接着剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンに代えて、接着剤として酢酸ビニル樹脂エマルジョン、およびグルーパターンの幅2.0mmに代えて、グルーパターンの幅1.6mmとする以外は全て実施例4と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを実施例5の空気清浄化フィルターとした。
【0057】
実施例6
実施例5において、グルーパターンの幅1.6mmに代えて、グルーパターンの幅1.2mmとする以外は全て実施例5と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを実施例6の空気清浄化フィルターとした。
【0058】
実施例7
除塵機能と脱臭機能を有する調製例4の除塵/脱臭フィルターを中しん、調製例2の抗菌フィルターをライナに用いて、また、接着剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンを用いて、JIS−Z−1516に記載の「外装用段ボール」に準拠して、ピッチ5.1mm、グルーパターンの幅1.6mmの片面段ボールを作製し、これを実施例7の空気清浄化フィルターとした。
【0059】
実施例8
実施例7において、接着剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンに代えて、接着剤として酢酸ビニル樹脂エマルジョン、およびグルーパターンの幅1.6mmに代えて、グルーパターンの幅1.2mmとする以外は全て実施例7と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを実施例8の空気清浄化フィルターとした。
【0060】
実施例9
実施例8において、グルーパターンの幅1.2mmに代えて、グルーパターンの幅1.0mmとする以外は全て実施例8と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを実施例9の空気清浄化フィルターとした。
【0061】
比較例1
実施例1において、グルーパターンの幅2.8mmに代えて、グルーパターンの幅3.0mmとする以外は全て実施例1と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを比較例1の空気清浄化フィルターとした。
【0062】
比較例2
実施例2において、グルーパターンの幅1.8mmに代えて、グルーパターンの幅1.2mmとする以外は全て実施例2と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを比較例2の空気清浄化フィルターとした。
【0063】
比較例3
実施例4において、グルーパターンの幅2.0mmに代えて、グルーパターンの幅2.4mmとする以外は全て実施例4と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを比較例3の空気清浄化フィルターとした。
【0064】
比較例4
実施例5において、グルーパターンの幅1.6mmに代えて、グルーパターンの幅1.0mmとする以外は全て実施例5と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを比較例4の空気清浄化フィルターとした。
【0065】
比較例5
実施例7において、グルーパターンの幅1.6mmに代えて、グルーパターンの幅2.0mmとする以外は全て実施例7と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを比較例5の空気清浄化フィルターとした。
【0066】
比較例6
実施例8において、グルーパターンの幅1.2mmに代えて、グルーパターンの幅0.8mmとする以外は全て実施例8と同一の方法で片面段ボールを作製し、これを比較例6の空気清浄化フィルターとした。
【0067】
以上、実施例および比較例で得られた空気清浄化フィルターの特性を以下の方法により評価した。
【0068】
[通気性試験]
JIS−B−9908に準拠して、風速1m/秒における実施例および比較例の空気清浄化フィルターの圧力損失(Pa)を測定した。圧力損失の値が小さい方が通気性が優れることを表す。
【0069】
[取扱性試験]
実施例および比較例の空気清浄化フィルターを型抜き加工によりカットし、この時、中しんとライナの剥離が認められないものを優、端部などで剥離している部分はあるが実用上問題ないものを良、および剥離の程度が甚だしく実用上問題が生じるものを劣と判定した。
【0070】
上記の方法により試験を行い、その性能を評価した結果を表1に記載する。
【0071】
【表1】
【0072】
表1の結果から、実施例の空気清浄化フィルターは、構成濾材が同じである比較例の空気清浄化フィルターに比べて、圧力損失が低くて通気性に優れ、且つ、取り扱い性が優れることが分かる。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、薄型でコンパクトであり、且つ適度な強度を有して取り扱い性が高い片面段ボール型のミニプリーツフィルターにおいて、通気性が特に高く、中しんとライナの剥離強度が充分で取り扱い性が更に優れた空気清浄化フィルターが得られる。このような本発明の空気清浄化フィルターは、多様な空気清浄化の要望に対応可能な薄型の多機能フィルターであり、空気清浄機やエアコン等の空調機などに搭載されるフィルターとして特に有用なものである。
Claims (1)
- JIS−Z−1516に記載の「外装用段ボール」に準拠して、空気清浄化機能を有する濾材を中しん、および通気性を有する基材をライナに用いて作製してなる片面段ボール形状の空気清浄化フィルターにおいて、中しんのピッチP(mm)とグルーパターンの幅W(mm)との比P/Wが3〜6の範囲にあることを特徴とする空気清浄化フィルター。
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