JP7242807B2 - エアフィルター濾材及びエアフィルター - Google Patents

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Description

本発明は、エアフィルター濾材及びエアフィルターに関するものである。更に詳しくは、ビル、家屋などの一般室内、自動車、航空機内などにおける空気清浄化フィルターとして活用し得るエアフィルター濾材及びエアフィルターに関するものである。
近年、東アジア内陸部の砂漠、乾燥地域からの砂塵(黄砂)や、PM2.5、スギ、ヒノキなどの花粉の飛散、また、インフルエンザ等のウィルスによる感染症の流行が健康へ及ぼす影響から、窓を開けた室内空気の換気に代わり、空気清浄機やエアコンを用いて室内空気を浄化、調温、調湿する生活環境が多く見られる。特に、家庭や職場、自動車などの空間の快適性向上の機能に対する市場要望は強く、空気浄化手段の普及が進んでいる。身近な空気浄化手段としては、空気清浄機、エアコン等に装着されるエアフィルターが知られている。
住宅や職場、自動車などの生活環境下に存在する悪臭ガス成分としては、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドをはじめとする低級アルデヒド類、アンモニア、トリメチルアミンをはじめとするアミン類、酢酸やイソ吉草酸をはじめとする低級脂肪酸類、メチルメルカプタンをはじめとするメルカプタン類、SO、NO、トルエンやキシレンをはじめとする芳香族炭化水素類などがあり、特に、アセトアルデヒドは、悪臭防止法で指定されている22種類の特定悪臭物質と厚生労働省が濃度指針値を定める13種類の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、VOC)の両方に該当する。
これらの背景から、エアフィルターの材料であるエアフィルター濾材には、塵芥の捕集効率が高いこと、圧力損失が可能な限り小さいこと、寿命が長いことに加え、アセトアルデヒドの脱臭性能を有することが求められている。また、エアフィルター濾材としては、一般的に不織布が使用されるが、空気との接触面積を大きくし、捕集効率を向上させるために、不織布にプリーツ加工が施されて、エアフィルターとして使用される。そのため、エアフィルター濾材及びエアフィルターには、容易かつ確実にエアフィルター濾材に対してプリーツ加工を施すことができるプリーツ加工性(折加工性)、エアフィルターを高風速下で使用した場合にプリーツ形状を保持することができる耐風圧変形性等が必要である(例えば、特許文献1参照)。
プリーツ加工性又は耐風圧変形性を有するエアフィルター濾材として、剛性に代表される機械的強度を高めたエアフィルター濾材が提案されている。剛性の指標としては、「剛軟度」が用いられている。剛軟度は、JIS L 1913「一般不織布試験方法」、JIS L 1096「織物及び編物の生地試験方法」等に規定されていて、プリーツ加工性や耐風圧変形性を有するエアフィルター濾材として、一定値以上の剛軟度を満たす不織布で構成されるエアフィルター濾材が開示されている。剛軟度の測定方法としては、カンチレバー法、ガーレ法、ハンドルオメーター法、スライド法等が使用されている(例えば、特許文献2~6参照)。しかし、出願人が検討したところ、JIS規格で規定された剛軟度が一定値以上である不織布で構成されるエアフィルター濾材であっても、プリーツ加工がしくにい場合や高風速下で使用した場合にエアフィルターのプリーツ形状が維持できない場合があった。
特開2014-100654号公報 特開平05-031310号公報 特開2006-130369号公報 特開平11-293555号公報 特開2017-056386号公報 特開2015-140495号公報
本発明では、プリーツ加工がし易く、高風速下で使用した場合にエアフィルターのプリーツ形状が変化しにくいエアフィルターを提供することができるエアフィルター濾材を提供することを課題とする。また、優れた集塵性能と脱臭性能を有するエアフィルター濾材及びエアフィルターを提供することを課題とする。
本発明に係る課題は、下記手段によって解決することができる。
(I)目付が40~100g/mで、厚さが0.1~1.4mmであり、下記に定義される風圧耐性[単位:g]が不織布のMDにおいて6.5g以上であり、CDにおいて4.5g以上である不織布で構成されることを特徴とするエアフィルター濾材。
風圧耐性:2台の台座(幅57mm×奥行き40mm超×高さ155mm、ポリスチレン製)を距離52mm離して固定し、長辺140mm×短辺40mmの不織布を、2台の台座の天板間に長辺方向と台座の幅方向が平行になるように渡し、不織布の長辺方向の中心線に容器を吊り下げ、該容器内におもりを漸次加え、容器が落下した時点での「容器の質量+おもりの質量」を「風圧耐性」と定義する。
(II)支持体層と集塵層の2層により構成されるエアフィルター濾材であって、
該支持体層が、目付が40~100g/mで、厚さが0.2~1.4mmである不織布に、平均粒子径1~50μmの粒子であるアルデヒド吸着剤がバインダーにより担持された不織布であり、
該集塵層が、エレクトレット加工された、目付10~30g/mで、5.3cm/s時の単板圧損が9.5Pa以下で、5.3cm/s時の粒子径0.3μm以上0.5μm未満の大気塵の捕集効率が80%以上の不織布であり、
下記に定義される風圧耐性[単位:g]が、該エアフィルター濾材のMDにおいて8~33gであり、CDにおいて6~20gであることを特徴とするエアフィルター濾材。
風圧耐性:2台の台座(幅57mm×奥行き40mm超×高さ155mm、ポリスチレン製)を距離52mm離して固定し、長辺140mm×短辺40mmのエアフィルター濾材を、2台の台座の天板間に長辺方向と台座の幅方向が平行で、且つエアフィルター濾材の長辺方向の中心線が2台の台座から等距離にあるように渡し、エアフィルター濾材の長辺方向の中心線に容器を吊り下げ、該容器内におもりを漸次加え、容器が落下した時点での「容器の質量+おもりの質量」を「風圧耐性」と定義する。
(III)アルデヒド吸着剤の含有量が5~25g/mであり、バインダーの含有量がアルデヒド吸着剤に対して10~50質量%である上記(II)記載のエアフィルター濾材。
(IV)支持体層が、ポリエチレンテレフタレート繊維を含有してなるケミカルボンド不織布又はポリエチレンテレフタレート繊維を含有してなるサーマルボンド不織布である上記(II)又は(III)記載のエアフィルター濾材。
(V)上記(I)~(IV)のいずれかに記載のエアフィルター濾材を用いてなるエアフィルター。
本発明のエアフィルター濾材は、プリーツ加工がし易く、また、本発明のエアフィルター濾材を用いることによって、高風速下で使用した場合にエアフィルターのプリーツ形状が変化しにくいエアフィルターを提供することができる。また、優れた集塵性能と脱臭性能を有するエアフィルターを提供することができる。
風圧耐性の測定方法を示す図である。 風圧耐性の測定方法を示す図である。
本発明のエアフィルター濾材及びエアフィルターについて、以下に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。また、「エアフィルター濾材」を「濾材」と記載する場合がある。
本発明のエアフィルター濾材(I)は、目付が40~100g/mで、厚さが0.1~1.4mmであり、風圧耐性[単位:g]が不織布のMDにおいて6.5g以上であり、CDにおいて4.5g以上である不織布で構成されることを特徴とするエアフィルター濾材である。
本発明のエアフィルター濾材(II)は、支持体層と集塵層の2層により構成されるエアフィルター濾材である。支持体層が、目付が40~100g/mで、厚さが0.2~1.4mmである不織布に、平均粒子径1~50μmの粒子であるアルデヒド吸着剤がバインダーにより担持された不織布である。集塵層が、エレクトレット加工された、目付10~30g/mで、5.3cm/s時の単板圧損が9.5Pa以下で、5.3cm/s時の粒子径0.3μm以上0.5μm未満の大気塵の捕集効率が80%以上の不織布である。そして、風圧耐性[単位:g]が、エアフィルター濾材のMDにおいて8~33gであり、CDにおいて6~20gである。
本発明において、エアフィルター濾材(I)、エアフィルター濾材(II)の支持体層及び集塵層を構成する不織布は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、フェノール系繊維等の合成繊維;ガラス繊維、金属繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、活性炭素繊維等の無機繊維:木材パルプ、竹パルプ、麻パルプ、ケナフパルプ、藁パルプ、バガスパルプ、コットンリンターパルプ、木綿、羊毛、絹等の天然繊維;古紙再生パルプ、レーヨン等の再生セルロース繊維;コラーゲン等のタンパク質、アルギン酸、キチン、キトサン、澱粉等の多糖類等を原料とした再生繊維等を、単独又は組み合わせて使用することができる。これらの繊維には、親水性、難燃性等の機能を付与しても良い。よりプリーツ加工を施し易く、プリーツ加工したエアフィルターを高風速下で使用したときにエアフィルターが変形しないようにするには、支持体層が、ポリエステル系繊維の一種であるポリエチレンテレフタレート繊維を含有することが好ましい。
エアフィルター濾材(I)、エアフィルター濾材(II)の支持体層及び集塵層を構成する不織布の製造方法については特に制限はなく、目的・用途に応じて、乾式法、湿式抄造法、メルトブローン法、スパンボンド法、フラッシュ紡糸法、エアレイド法などで得られたウェブを水流交絡法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などの物理的方法、サーマルボンド法などの熱による接着方法、ケミカルボンド法やレジンボンド法などの接着剤による接着方法で強度を発現させる方法を適宜組み合わせて製造することができる。不織布は単層であっても良いし、複層であっても良い。よりプリーツ加工し易いエアフィルター濾材を得るには、ケミカルボンド不織布又はサーマルボンド不織布であることが好ましい。
エアフィルター濾材(I)において、不織布の目付は40~100g/mであり、より好ましくは50~80g/mである。目付が40g/m未満であると、プリーツ加工したエアフィルターを高風速下で使用した場合に、エアフィルターが変形する場合があり、目付が100g/m超の場合には、プリーツ加工性の低下や、圧力損失(圧損)の上昇が起こる。
エアフィルター濾材(I)において、不織布の厚さは、良好なプリーツ加工性及び耐風圧変形性を得るためには、0.1~1.4mmであり、0.3~1.0mmであることがより好ましい。不織布の厚さが0.1mmよりも薄いと、物理強度に劣るため、プリーツ加工時に破れが発生することがあり、一方、1.4mmよりも厚いと、プリーツ加工を施し難くなり、プリーツの山高さが不揃いになる問題や濾材の蛇行が起きる問題が発生する。
エアフィルター濾材(II)において、支持体層の不織布の目付は40~100g/mであり、より好ましくは50~80g/mである。目付が40g/m未満であると、プリーツ加工を施し難くなり、プリーツ加工したエアフィルターを高風速下で使用したときにエアフィルターが変形する場合があり、目付が100g/m超の場合には、プリーツ加工性の低下や、圧力損失(圧損)の上昇、ダスト保持量の低下が起こる。
エアフィルター濾材(II)において、支持体層の不織布の厚さは0.2~1.4mmであり、より好ましくは0.4~1.0mmである。不織布の厚さが0.2mmよりも薄いと、プリーツ加工を施し難くなり、プリーツ加工したエアフィルターを高風速下で使用したときにエアフィルターが変形する場合がある。とは言え、厚すぎても良くなく、1.4mmよりも厚いと、プリーツ加工を施し難くなり、プリーツの山高さが不揃いになる問題や濾材の蛇行が起きる問題が発生する。
エアフィルター濾材(II)において、アルデヒド吸着剤としては、天然ゼオライト、合成ゼオライト、活性アルミナ、活性白土、セピオライト、酸化鉄などの鉄系化合物、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、シリカ、シリカ-酸化亜鉛複合物、シリカ-アルミナ-酸化亜鉛複合物、複合フィロケイ酸塩などの脱臭剤が挙げられる。また、これらの混合物などが挙げられる。これらの脱臭剤の粒子が、アルデヒドを化学吸着させられる化合物で修飾されていることがより好ましい。該化合物としては、アミノ化合物、飽和環状第二アミン化合物(例えばモルホリン等)、アゾール化合物、芳香族アミノ酸酸性塩(例えばo-、m-、p-アミノ安息香酸、o-、m-、p-アミノサリチル酸等)、イミダゾール及び/又はその誘導体、酸ヒドラジド化合物、ポリアミン化合物、アミノグアニジン塩化合物等が挙げられる。
エアフィルター濾材(II)において、アルデヒド吸着剤の平均粒子径は1~50μmであり、より好ましくは3~20μmである。吸着剤の平均粒子径が1μmよりも小さい、もしくは50μmよりも大きいと、吸着剤の脱落が多くなり、アセトアルデヒド脱臭性能の低下が起こる。
本発明において、平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定装置を用いて測定されるメジアン径(d50)を指す。
エアフィルター濾材(II)において、アルデヒド吸着剤の含有量について、よりプリーツ加工し易いエアフィルター濾材を得るには、5~25g/mであることが好ましく、10~15g/mであることがより好ましい。
エアフィルター濾材(II)において、バインダーは、水溶性のバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコールやデンプン等が挙げられる。また、水分散性のバインダーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、スチレン-アクリル樹脂、塩化ビニル-アクリル樹脂、シリコーン樹脂、スチレン-ブタジエンラテックス等が挙げられる。バインダーは、これらに限定されるものではない。
エアフィルター濾材(II)において、バインダーの含有量について、よりプリーツ加工し易く、プリーツ加工したエアフィルターを高風速下で使用したときにエアフィルターが変形するのを防ぐには、アルデヒド吸着剤に対し、固形分質量基準で、10質量%以上であることが好ましい。また、より高いダスト保持量、かつ、より高いアセトアルデヒド脱臭性能を得るには、50質量%以下であることが好ましい。
エアフィルター濾材(II)において、集塵層の不織布の目付は10~30g/mであり、より好ましくは15~25g/mである。目付が10g/m未満であると、捕集効率の低下が起こり、目付が30g/m超の場合には、圧損の上昇、ダスト保持量の低下が起こる。
エアフィルター濾材(II)において、集塵層の不織布の5.3cm/s時の単板圧損は9.5Pa以下であり、より好ましくは8.0Pa以下である。集塵層の不織布の単板圧損が9.5Pa超であると、エアフィルターの圧損の上昇、ダスト保持量の低下が起こる。
エアフィルター濾材(II)において、集塵層の不織布のエレクトレット加工方法としては、エレクトロエレクトレット、熱エレクトレット、ラジオエレクトレット、メカノエレクトレット、フォトエレクトレット、マグネットエレクトレットなどが挙げられるが、工業的に不織布フィルターで用いられているエレクトレット加工方法は、主にエレクトロエレクトレット及び熱エレクトレットである。材料としてはポリオレフィン系であることが好ましく、ポリプロピレン又はプロピレン主体の共重合体が用いられることが多く、また、耐熱性の向上などを目的として例えばステアリン酸アルミニウムやパルミチン酸カルシウムなどの脂肪酸塩等を少量含有する場合がある。
エアフィルター濾材(II)において、集塵層の不織布の5.3cm/s時の粒子径0.3μm以上0.5μm未満の大気塵の捕集効率は80%以上であり、より好ましくは90%以上である。集塵層の不織布の捕集効率が80%未満であると、エアフィルターの捕集効率も低くなる。エレクトレット加工が施されていない場合も同様に低くなる。
エアフィルター濾材(II)において、支持体層と集塵層とを積層する方法としては、部分的又は全体的に、ピンソニック法などによる融着、ホットメルトスプレー法やいわゆるシンター法等のホットメルトパウダー式ラミネート法などによる接着、ステッチボンド法などによる縫合又はニードルパンチ法やいわゆるスパンレース法等の水流交絡法などによる交絡などを施して、一体化する方法が例示される。
「風圧耐性」について、図1及び図2を使用して説明する。図1は、風圧耐性の測定方法を示す図であり、図1(A)は横から見た図であり、図1(B)は上から見た図である。本発明において、2台の台座2を距離L2が52mmになるように離して固定し、長辺140mm×短辺40mmの不織布又は濾材1を、2台の台座2の天板間に、不織布又は濾材1の長辺方向と台座2の幅方向が平行で、且つ不織布又は濾材1の長辺方向の中心線が2台の台座から等距離にあるように渡し、不織布又は濾材1の長辺方向の中心線に容器3を吊り下げ、図2に示したように、該容器3内におもり4を漸次加え、容器3が落下した時点での「容器3の質量+おもり4の質量」を「風圧耐性」と定義する。台座2には、幅L1が57mm、奥行きが40mm超、高さHが155mmのポリスチレン製の箱を使用した。台座2の奥行きは、不織布又は濾材1の幅40mmを超えていれば、どのような長さであっても良い。容器3は、外径4mmの樹脂管(ストロー、ポリプロピレン製)5内を通した糸を使用して、不織布又は濾材1の長辺方向の中心線に吊り下げた。おもり4には、上皿天秤用分銅を使用した。
MDの風圧耐性は、長辺(140mm)がMDで、短辺(40mm)がCDである不織布又は濾材1の風圧耐性であり、CDの風圧耐性は、長辺(140mm)がCDで、短辺(40mm)がMDである不織布又は濾材1の風圧耐性である。
なお、エアフィルター濾材(I)において、製造時に不織布1はワイヤーやフェルト等の搬送用支持体によって搬送される。搬送用支持体に接触しなかった面を「オモテ面」とし、搬送用支持体に接触していた面を「ウラ面」として、「オモテ面」が上になるように不織布1を配置して、5枚以上の不織布1の風圧耐性を測定した値の平均値である「オモテ面平均値」と「ウラ面」が上になるように不織布1を配置して、5枚以上の不織布1の風圧耐性を測定した値の平均値である「ウラ面平均値」を算出し、「オモテ面平均値」と「ウラ面平均値」の平均値を、「風圧耐性」とした。
また、エアフィルター濾材(II)において、支持体層側を「オモテ面」とし、集塵層側を「ウラ面」として、「オモテ面」が上になるように濾材1を配置して、5枚以上の濾材1の風圧耐性を測定した値の平均値である「オモテ面平均値」と「ウラ面」が上になるように濾材1を配置して、5枚以上の濾材1の風圧耐性を測定した値の平均値である「ウラ面平均値」を算出し、「オモテ面平均値」と「ウラ面平均値」の平均値を、「風圧耐性」とした。
エアフィルター濾材(I)において、不織布の風圧耐性[単位:g]は、不織布のMDにおいて6.5g以上であり、CDにおいて4.5g以上である。より好ましくは、不織布のMDにおいて7.0g以上であり、CDにおいて4.8g以上である。MDの風圧耐性が6.5g以上及びCDの風圧耐性が4.5g以上の場合、プリーツ加工したエアフィルターを高風速下で使用した場合に、エアフィルターが変形しにくい。
エアフィルター濾材(I)において、不織布の風圧耐性を調整する方法としては、不織布の目付及び厚さを調整する方法、不織布を構成する繊維の材質を変更する方法、不織布を構成する繊維の繊維径及び/又は繊維長を調整する方法、不織布を構成する繊維の配合を変更する方法、不織布を製造する製造条件(加熱温度、加圧力、延伸度、接着剤又はバインダー繊維の溶融又は軟化温度、接着剤又はバインダー繊維の量等)を調整する方法等が挙げられ、これらの方法の中から適宜選択することができる。
エアフィルター濾材(II)において、積層後の濾材の風圧耐性[単位:g]は、濾材のMDにおいて8~33gであり、より好ましくは10~30gであり、更に好ましくは12~20gであり、CDにおいて6~20gであり、より好ましくは9~17gであり、更に好ましくは10~14gである。MDの風圧耐性が8g未満及び/又はCDの風圧耐性が6g未満であると、プリーツ加工したエアフィルターを高風速下で使用したときにエアフィルターが変形する場合があり、MDの風圧耐性が33g超及び/又はCDの風圧耐性が20g超であると、プリーツ加工性の低下や、圧損の上昇が起こる。
エアフィルター濾材(II)において、濾材の風圧耐性を調整する方法としては、支持体層の不織布の目付及び厚さを調整する方法、不織布を構成する繊維の材質を変更する方法、不織布を構成する繊維の繊維径及び/又は繊維長を調整する方法、不織布を構成する繊維の配合を変更する方法、不織布を製造する製造条件(加熱温度、加圧力、延伸度、接着剤又はバインダー繊維の溶融又は軟化温度、接着剤又はバインダー繊維の量等)を調整する方法等が挙げられ、これらの方法の中から適宜選択することができる。
エアフィルター濾材(II)において、支持体層の不織布を構成する繊維の繊維径については、特に限定されるものではないが、1~10デシテックスが好ましく、より好ましくは3~7デシテックスである。繊維径が太い方が、風圧耐性は良好であるが、太い繊維だけでは吸着剤が脱落するため、細い繊維も必要である。一方、繊維が細過ぎる場合、圧力損失が劣ることがある。繊維長については、特に限定されるものではないが、5~50mmが好ましく、より好ましくは15~35mmである。繊維長が長い方が、風圧耐性は良好であるが、長い繊維だけでは通気性が損なわれるため、短い繊維も必要である。繊維長が短過ぎる場合、不織布の強度が劣ることがある。
エアフィルター濾材(II)において、支持体層の不織布を構成する繊維の配合については、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート繊維を含有することが好ましい。また、ポリエチレンテレフタレート繊維を中心に、剛直性が比較的高い繊維(例えば、芯鞘構造を有するバインダー繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ガラス繊維、金属繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、再生セルロース繊維、竹パルプ、麻パルプなど)を一部配合することによっても、良好な風圧耐性を得ることができる。
エアフィルター濾材(II)において、支持体層の不織布を製造する製造条件については、特に限定されるものではないが、例えば、乾燥工程における加熱温度や加圧力は高い方が、良好な風圧耐性が得られるが、一方で、加熱温度や加圧力が高過ぎると繊維が潰れ気味になり、通気性が損なわれることがある。本発明の不織布が得られるように、製造条件は適時調整を行えば良い。
なお、必要に応じて、本発明の趣旨を逸脱せず、脱臭、抗菌、防カビ、抗ウィルス、抗アレルゲン、防虫、殺虫、消臭、芳香、感温、保温、蓄温、蓄熱、発熱、吸熱、防水、耐水、撥水、疎水、親水、除湿、調湿、吸湿、撥油、親油、油等の吸着、及び水や揮発性薬剤等の蒸散又は徐放等の各種機能を不織布に付加しても良い。
また、エアフィルター濾材(I)において、上記不織布のみを使用してエアフィルター濾材としても良いし、別の不織布と積層してエアフィルター濾材としても良い。上記不織布と別の不織布とを積層する方法として、部分的又は全体的に、ピンソニック法などによる融着、ホットメルトスプレー法やいわゆるシンター法等のホットメルトパウダー式ラミネート法などによる接着、ステッチボンド法などによる縫合又はニードルパンチ法やいわゆるスパンレース法等の水流交絡法などによる交絡などを施して、一体化する方法が例示される。
本発明のエアフィルター濾材は、プリーツ加工が施されて、エアフィルターとして使用される。プリーツ加工とは、山谷状の折加工であり、一定の通気面積に対してエアフィルター濾材の面積を増やすことができるため好ましい。なお、プリーツの形状に関しても特に限定されるものではなく、該エアフィルターの用途に合わせて適宜選択すればよい。
本発明のエアフィルター濾材及びエアフィルターは、一般住宅用や業務用、自動車や鉄道車輌用等といった様々な場面で使用される空調機、空気清浄機、掃除機、除湿機、乾燥機、加湿器、換気扇、熱交換装置等の各種空気処理装置に装着使用することにより、除塵や脱臭といった空気清浄効果が得られる。また、自然給排気のための外気流入口(通気口や窓等)に、本発明のエアフィルター濾材及びエアフィルターを用いてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものでない。なお、実施例中の「%」及び「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」及び「質量部」を示す。
《エアフィルター濾材(I)》
Figure 0007242807000001
表1に記載した目付、厚さ及び風圧耐性を有する、ポリエステル繊維を含むケミカルボンド不織布を各実施例及び各比較例のエアフィルター濾材とした。
各実施例及び各比較例のエアフィルター濾材を用いて、折山高さ26mmのプリーツ加工を行い、山数36山分の濾材の4辺に枠材を取り付け、長さ180mm、幅180mm、高さ29mm、プリーツ間隔約5mmの、各実施例及び各比較例のエアフィルターを作製した。
[評価]
各実施例及び各比較例のエアフィルター濾材について、以下に示すように圧力損失(圧損)、プリーツ加工性(折加工耐性、折加工性)を評価した。また、作製したエアフィルターを用いて、高風速下での構造耐久性を評価し、結果を表2に示した。
(試験1-1)圧損の測定
JIS B 9908に準じて、エアフィルター濾材の圧損を風速5.3cm/秒にて測定し、下記の評価基準に基づき結果を判定した。
○:圧損が1.5Pa未満
△:圧損が1.5Pa以上2.0Pa未満
×:圧損が2.0Pa以上
なお、本発明においては△以上を実用レベルとした。
(試験1-2)プリーツ加工性(折加工耐性)の評価
プリーツ加工機を用い、エアフィルター濾材に26mmの折山高さでプリーツ加工を施し、下記の判定基準に基づき、エアフィルター濾材のプリーツ加工性(折加工耐性)を判定した。
○:折加工後の濾材に破れがなく、問題なく加工できる
×:折加工後の濾材に破れが見られる
なお、本発明においては○を実用レベルとした。
(試験1-3)プリーツ加工性(折加工性)の評価
試験1-2と同様の方法で、エアフィルター濾材300mにプリーツ加工を施し、下記の判定基準に基づき濾材のプリーツ加工性(折加工性)を判定した。
○:濾材300mの加工中に山高さ不揃いや蛇行の発生がなく、問題なく加工できる
△:濾材300mの加工中に山高さ不揃いや蛇行が1回以上3回未満発生したが、加工条件調整により問題なく加工できる
×:濾材300mの加工中に山高さ不揃いや蛇行が3回以上発生し、安定したプリーツ加工ができない
なお、本発明においては△以上を実用レベルとした。
(試験1-4)高風速下での構造耐久性評価
JIS B 9908に準じた試験装置を用い、エアフィルターに風速3.0m/sにて通風した際のプリーツ形状を目視観察し、下記の判定基準に基づき結果を判定した。
◎:プリーツ間隔に乱れが見られない
○:折山間隔が3mm未満又は7mm以上となる箇所が1箇所以上3箇所未満見られる
△:折山間隔が3mm未満又は7mm以上となる箇所が3箇所以上6箇所未満見られる
×:折山間隔が3mm未満又は7mm以上となる箇所が6箇所以上見られる
なお、本評価では△以上を実用レベルとした。
Figure 0007242807000002
表2から明らかなように、目付が40~100g/mで、厚さが0.1~1.4mmであり、不織布のMDの風圧耐性が6.5g以上であり、CDの風圧耐性が4.5g以上である不織布で構成されている実施例1-1~1-7のエアフィルター濾材と該エアフィルター濾材を用いてなる実施例1-1~1-7のエアフィルターは、試験1-1~1-4のいずれにおいても実用レベルの判定が得られた。
これに対し、目付が40~100g/mで、厚さが0.1~1.4mmでありながらも、不織布のMDの風圧耐性が6.5g未満である、及び/又はCDの風圧耐性が4.5g未満である不織布で構成されている比較例1-1~1-3のエアフィルターでは、高風速下において、プリーツ形状が変形する箇所が多く、本発明の実用レベルに達していなかった。
また、目付が40g/m未満で、不織布のCDの風圧耐性が4.5g未満である不織布で構成されている比較例1-4のエアフィルター濾材はプリーツ加工性(耐加工耐性及折加工性)が低く、また、比較例1-4のエアフィルターでは、高風速下において、プリーツ形状が変形する箇所が多く、本発明の実用レベルに達していなかった。
また、目付が100g/m超で、厚さが1.4mm超であるが、不織布のMDの風圧耐性が6.5g以上であり、CDの風圧耐性が4.5g以上である不織布で構成されている比較例1-5のエアフィルターでは、折加工性が悪く、本発明の実用レベルに達していなかった。また、目付が100g/m超であるが、厚さが0.1~1.4mmであり、不織布のMDの風圧耐性が6.5g以上であり、CDの風圧耐性が4.5g以上である不織布で構成されている比較例1-6のエアフィルターでは、圧損が高く、折加工性も悪く、本発明の実用レベルに達していなかった。
《エアフィルター濾材(II)》
Figure 0007242807000003
Figure 0007242807000004
Figure 0007242807000005
表3に記載した構成繊維、種類、目付、厚さを有する不織布に、表3の平均粒子径のアルデヒド吸着剤が表3の吸着剤含有量、バインダー含有量となるように処理された不織布を支持体層とし、表4に記載した構成繊維、種類、エレクトレット加工の有無、目付、単板圧損、捕集効率を有する不織布を集塵層として、ホットメルトスプレー法により2層を積層し、表5に記載したカンチレバー剛軟度、風圧耐性を有する濾材を各実施例及び各比較例のエアフィルター濾材とした。なお、アルデヒド吸着剤としては、アミノ化合物で修飾されたケイ酸アルミニウムを使用し、バインダーとしては、スチレン-アクリル樹脂エマルジョンバインダーを使用した。支持体層は、バインダーとアルデヒド吸着剤とを水に分散し、混合攪拌することにより調製した塗工液をサイズプレス処理で不織布に塗工し、120℃で乾燥することにより作製した。
各実施例及び各比較例のエアフィルター濾材を用いて、折山高さ26mmのプリーツ加工を行い、山数36山分の濾材の4辺に枠材(ポリエチレンテレフタレート繊維不織布)を取り付け、長さ180mm、幅180mm、高さ29mm、プリーツ間隔約5mmの、各実施例及び各比較例のエアフィルターを作製した。
[評価]
各実施例及び各比較例のエアフィルター濾材について、以下に示すように吸着剤の脱落、折加工性を評価した。また、作製したエアフィルターを用いて、高風速下での構造耐久性、圧力損失(圧損)、捕集効率、ダスト保持量、アセトアルデヒド脱臭性能を評価し、結果を表6に示した。
(試験2-1)吸着剤の脱落の評価
エアフィルター濾材をそれぞれ10cm×10cmの大きさに裁断して検体とし、実験台上で、A4サイズの黒色画用紙の上に検体を置き、検体の上方5cmの高さから200gの分銅を3回鉛直落下させ、黒色画用紙上に脱落したアルデヒド吸着剤の量を目視評価し、下記の判定基準に基づき濾材の折加工性を判定した。
◎:吸着剤が脱落していない
○:吸着剤が少し脱落する
×:吸着剤が多く脱落する
なお、本発明においては○以上を実用レベルとした。
(試験2-2)折加工性(プリーツ加工性)の評価
プリーツ加工機を用い、エアフィルター濾材300mに、26mmの折山高さでプリーツ加工を施し、下記の判定基準に基づき濾材の折加工性を判定した。なお、本発明においては△以上を実用レベルとした。
○:濾材300mの加工中に山高さ不揃いや蛇行の発生がなく、問題なく加工できる
△:濾材300mの加工中に山高さ不揃いや蛇行が1回以上3回未満発生したが、加工条件調整により問題なく加工できる
×:濾材300mの加工中に山高さ不揃いや蛇行が3回以上発生し、安定したプリーツ加工ができない
なお、山高さ不揃いとは、1mm以上の差を不揃いとした。
(試験2-3)高風速下での構造耐久性評価
JIS B 9908に準じた試験装置を用い、エアフィルターに風速3.0m/sにて通風した際のプリーツ形状を目視観察し、下記の判定基準に基づき結果を判定した。なお、本評価では△以上を実用レベルとした。
◎:折山間隔に乱れが見られない
○:折山間隔が3mm未満又は7mm以上となる箇所が1箇所以上3箇所未満見られる
△:折山間隔が3mm未満又は7mm以上となる箇所が3箇所以上6箇所未満見られる
×:折山間隔が3mm未満又は7mm以上となる箇所が6箇所以上見られる
(試験2-4)圧損の測定
JIS B 9908に準じた試験装置を用い、エアフィルターの圧損を風速2.5m/sにて測定し、下記の評価基準に基づき結果を判定した。なお、本発明においては○以上を実用レベルとした。
◎:圧損が65Pa未満
○:圧損が65Pa以上95Pa未満
×:圧損が95Pa以上
(試験2-5)捕集効率の測定
JIS B 9908に準じた試験装置を用い、エアフィルターに風速1.5m/sにて通風した際の粒子径0.3μm以上0.5μm未満の大気塵の捕集効率を測定し、下記の評価基準に基づき結果を判定した。なお、本発明においては○以上を実用レベルとした。
◎:捕集効率が95%以上
○:捕集効率が70%以上95%未満
×:捕集効率が70%未満
(試験2-6)ダスト保持量の測定
JIS B 9908に準じた試験装置を用い、ダスト保持量(Dust Holding Capacity、DHC)を評価した。エアフィルターに風速2.5m/sにて通風しながら、上流側から、試験用ダストJIS15種を70mg/mの濃度にて負荷し、ダスト負荷前の初期の圧損から100Pa上昇するまでダストを負荷した。エアフィルターが保持したダスト質量を測定し、エアフィルター開口面積当たりのダスト保持量を算出して、下記の評価基準に基づき結果を判定した。なお、本発明においては○以上を実用レベルとした。
◎:ダスト保持量が150g/m以上
○:ダスト保持量が120g/m以上150g/m未満
×:ダスト保持量が120g/m未満
(試験2-7)アセトアルデヒド脱臭性能の測定
1mのステンレスボックス内に、エアフィルターを取り付けた空気浄化装置を入れて密閉し、アセトアルデヒドガスを10ppm注入すると同時に、風速1.5m/sとなるように空気浄化装置を運転し、30分後のボックス中のアセトアルデヒド濃度をガス検知管で測定して、下記の評価基準に基づき結果を判定した。なお、本発明においては○以上を実用レベルとした。
◎:30分後のボックス中のアセトアルデヒド濃度が1ppm未満
○:30分後のボックス中のアセトアルデヒド濃度が1ppm以上3ppm未満
×:30分後のボックス中のアセトアルデヒド濃度が3ppm以上
(試験2-8)カンチレバー剛軟度の測定
JIS L 1096に準じて45°カンチレバー剛軟度を測定した。試験片サイズは、長辺297mm、短辺20mmとした。MDのカンチレバー剛軟度は、長辺(297mm)がMDで、支持体層側を「オモテ面」とし、「オモテ面」が上になるように濾材を配置して、5枚以上の濾材のカンチレバー剛軟度を測定した値の平均値である「オモテ面平均値」と、「ウラ面」が上になるように濾材を配置して、5枚以上の濾材のカンチレバー剛軟度を測定した値の平均値である「ウラ面平均値」を算出し、「オモテ面平均値」と「ウラ面平均値」の平均値を、「MDカンチレバー剛軟度」とした。CDのカンチレバー剛軟度は、長辺(297mm)がCDである以外は、MDカンチレバー剛軟度の測定方法と同様に行った。表5のカンチレバー剛軟度の結果と、表6の折加工性の結果より、カンチレバー剛軟度では折加工性を評価できないと言える。
Figure 0007242807000006
表6から明らかなように、支持体層が、目付が40~100g/mで、厚さが0.2~1.4mmである不織布に、平均粒子径1~50μmの粒子であるアルデヒド吸着剤がバインダーにより担持された不織布であり、集塵層が、エレクトレット加工された、目付10~30g/mで、5.3cm/s時の単板圧損が9.5Pa以下で、5.3cm/s時の粒子径0.3μm以上0.5μm未満の大気塵の捕集効率が80%以上の不織布であり、該支持体層と該集塵層を積層した濾材のMDの風圧耐性が8~33gであり、CDの風圧耐性が6~20gである実施例2-1~2-20エアフィルター濾材と該エアフィルター濾材を用いてなる実施例2-1~2-20のエアフィルターは、試験2-1~2-7のいずれにおいても実用レベルの判定が得られた。
これに対し、支持体層の不織布の目付が40g/m未満で、厚さが0.2mm未満で、積層濾材のCDの風圧耐性が6g未満である比較例2-1のエアフィルター濾材は折加工性が悪かった。また、比較例2-1のエアフィルターでは高風速下においてプリーツ形状が変形する箇所が多く、本発明の実用レベルに達していなかった。
また、支持体層の不織布の目付が100g/m超で、積層濾材のCDの風圧耐性が20g超である比較例2-2のエアフィルター濾材は折加工性が悪かった。また、比較例2-2のエアフィルターでは、圧損が高く、ダスト保持量が低く、本発明の実用レベルに達していなかった。
また、支持体層の不織布の厚さが1.4mm超である比較例2-3のエアフィルター濾材は折加工性が悪く、本発明の実用レベルに達していなかった。
また、アルデヒド吸着剤の平均粒子径が1μm未満である比較例2-4のエアフィルター濾材は、アルデヒド吸着剤の脱落が多く、また、比較例2-4のエアフィルターではアセトアルデヒド脱臭性能が悪く、本発明の実用レベルに達していなかった。
また、アルデヒド吸着剤の平均粒子径が50μm超である比較例2-5のエアフィルター濾材は、アルデヒド吸着剤の脱落が多く、また、比較例2-5のエアフィルターではアセトアルデヒド脱臭性能が悪く、本発明の実用レベルに達していなかった。
また、集塵層の不織布がエレクトレット加工されておらず、捕集効率が80%未満である比較例2-6のエアフィルターでは捕集効率が低く、本発明の実用レベルに達していなかった。
また、集塵層の不織布の目付が10g/m未満で、捕集効率が80%未満である比較例2-7のエアフィルターでは捕集効率が低く、本発明の実用レベルに達していなかった。
また、集塵層の不織布の目付が30g/m超で、単板圧損が9.5Pa超である比較例2-8のエアフィルターでは、圧損が高く、ダスト保持量が低く、本発明の実用レベルに達していなかった。
また、濾材のMDの風圧耐性が8g未満で、CDの風圧耐性が6g未満である比較例2-9のエアフィルターでは高風速下においてプリーツ形状が変形する箇所が多く、ダスト保持量が低く、本発明の実用レベルに達していなかった。
また、濾材のMDの風圧耐性が33g超で、CDの風圧耐性が20g超である比較例2-10のエアフィルター濾材は、折加工性が悪かった。また、比較例2-10のエアフィルターでは圧損が高く、本発明の実用レベルに達していなかった。
実施例2-1、2-10~2-13の結果から、アルデヒド吸着剤の含有量が5~25g/mである実施例2-1、2-11及び2-12のエアフィルター濾材の方が、折加工性が良かった。また、実施例2-1、2-14~2-17の結果から、バインダーの含有量がアルデヒド吸着剤に対して10~50質量%である実施例2-1、2-15及び2-16のエアフィルター濾材の方が、ダスト保持量が高かった。
実施例2-1及び2-18の結果から、支持体層を構成する繊維がポリエチレンテレフタレート繊維である実施例2-1のエアフィルター濾材の方が、折加工性が良く、高風速下においてプリーツ間隔に乱れが見られず構造耐久性が良かった。また、実施例2-1、2-19及び2-20の結果から、支持体層を構成する不織布がケミカルボンド不織布又はサーマルボンド不織布である実施例2-1及び2-19のエアフィルター濾材の方が、折加工性が良かった。
本発明のエアフィルター濾材及びエアフィルターは、一般住宅用や業務用、自動車や鉄道車輌用等といった様々な場面で使用される空調機、空気清浄機、掃除機、除湿機、乾燥機、加湿器、換気扇、熱交換装置等の各種空気処理装置に利用することができる。また、自然給排気のための外気流入口(通気口や窓等)に利用することもできる。
1 不織布又は濾材
2 台座
3 容器
4 おもり
5 樹脂管

Claims (4)

  1. 支持体層と集塵層の2層により構成されるエアフィルター濾材であって、
    該支持体層が、目付が40~100g/mで、厚さが0.2~1.4mmである不織布に、平均粒子径1~50μmの粒子であるアルデヒド吸着剤がバインダーにより担持された不織布であり、
    該集塵層が、エレクトレット加工された、目付10~30g/mで、5.3cm/s時の単板圧損が9.5Pa以下で、5.3cm/s時の粒子径0.3μm以上0.5μm未満の大気塵の捕集効率が80%以上の不織布であり、
    下記に定義される風圧耐性[単位:g]が、該エアフィルター濾材のMDにおいて8~33gであり、CDにおいて6~20gであることを特徴とするエアフィルター濾材。
    風圧耐性:2台の台座(幅57mm×奥行き40mm超×高さ155mm、ポリスチレン製)を距離52mm離して固定し、長辺140mm×短辺40mmのエアフィルター濾材を、2台の台座の天板間に長辺方向と台座の幅方向が平行で、且つエアフィルター濾材の長辺方向の中心線が2台の台座から等距離にあるように渡し、エアフィルター濾材の長辺方向の中心線に容器を吊り下げ、該容器内におもりを漸次加え、容器が落下した時点での「容器の質量+おもりの質量」を「風圧耐性」と定義する。
  2. アルデヒド吸着剤の含有量が5~25g/mであり、バインダーの含有量がアルデヒド吸着剤に対して10~50質量%である請求項1記載のエアフィルター濾材。
  3. 支持体層が、ポリエチレンテレフタレート繊維を含有してなるケミカルボンド不織布又はポリエチレンテレフタレート繊維を含有してなるサーマルボンド不織布である請求項1又は2記載のエアフィルター濾材。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のエアフィルター濾材を用いてなるエアフィルター。
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