JPH10157023A - 積層シート - Google Patents

積層シート

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Publication number
JPH10157023A
JPH10157023A JP8317755A JP31775596A JPH10157023A JP H10157023 A JPH10157023 A JP H10157023A JP 8317755 A JP8317755 A JP 8317755A JP 31775596 A JP31775596 A JP 31775596A JP H10157023 A JPH10157023 A JP H10157023A
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JP
Japan
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group
compound
anion
formula
transparent film
Prior art date
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Application number
JP8317755A
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English (en)
Inventor
Naoki Azuma
直樹 東
Tokuji Ogawa
徳治 小川
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光の透過率が高く、かつ周辺の機器に誤
動作を与える不要な近赤外線を吸収遮蔽する事が出来る
プラズマディスプレイ用前面板を提供する。 【解決手段】 近赤外線吸収剤としてジチオール系化合
物とジイミニウム系化合物の両方を用いることでプラズ
マディスプレイで問題となっている特定の近赤外線領域
を吸収遮蔽した上で可視光の透過率の高いプラズマディ
スプレイ用前面板に適した成形シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の積層シートは光学フ
ィルタ、特にプラズマディスプレイ用前面板に用いる積
層シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、大型ディスプレイとして様々な形
式のディスプレイが開発、商品化されている。プラズマ
ディスプレイもその1つであり、特に、40inchサ
イズの大型化、薄型化及び軽量化の点から壁掛け用の大
型ディスプレイとして注目されている。このプラズマデ
ィスプレイは発光体の駆動部分の違いによりACタイプ
とDCタイプとが存在する。しかし、原理としてはどち
らも同じで、プラズマ放電を起こし、赤、青、緑の発光
体をそれぞれ発光させることが知られている。しかし、
ACタイプは発光体の駆動部分の特徴により、封入した
気体の特性上、プラズマ放電を起こした際に、特徴とし
て3つの波長の不要な近赤外線が放出される。具体的に
は820nm付近と850〜900nm付近と950〜
1000nm付近に強い近赤外線が放出される。
【0003】これらの近赤外線は周辺に害を及ぼすもの
であり、周辺機器ごとに違いがあるが、家電用のテレビ
やクーラー等のリモコン、その他業務等用特殊なリモコ
ン、および通信用とプラズマディスプレイがそれぞれ発
する3つの波長が同波長である。したがって、プラズマ
ディスプレイが設置されている周辺の機器が、このプラ
ズマディスプレイの発する波長により、誤動作を生じる
原因となる。
【0004】これまでに近赤外線を吸収又は遮蔽する材
料としては、太陽光の近赤外線を吸収して熱線を遮蔽す
る熱線窓や、バーコードや光ディスクの読みとり部分に
用いたりするために研究されており、(1)Cu(I
I)化合物を用いる、(2)酸化スズ等の透明導電性薄
膜を用いる、(3)近赤外吸収色素を用いる等の方法が
挙げられる。
【0005】(1)の方法、Cu(II)化合物をガラ
スに添加する方法は、特公平4−40298号公報、C
u(II)化合物を樹脂に添加する方法は、特開平6−
345877号公報等で知られている。しかし、Cu
(II)化合物を添加した場合には、暗室で放置すると
褪色するフォトクロミズムが生じることが知られてい
る。また、(2)の方法については、特開平8−414
41号公報や特開平8−62418号公報等で知られて
いるように、反射効果を利用して近赤外線を遮蔽し、1
200nm以上の波長ついては遮蔽することができるも
のの、700〜1200nmの範囲の遮蔽効果は低い。
(3)の方法については、これまで多くの文献や材料が
提示されているが、耐熱性及び耐光性の点で近赤外線吸
収色素は劣るため、その性能を維持する色素は少ない。
また、近赤外線の他に可視光も同時に大きく吸収するも
のが多く、3つの波長をすべて吸収する濃度で近赤外線
吸収剤を用いると、近赤外線の吸収を満たすと同時に可
視光の透過も低下し、ディスプレイに重要な画像輝度が
低下するという問題が残る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、可視
光の透過率が高く周辺の機器に誤動作を与える不要な8
20nm、850〜900nm、950〜1000nm
の近赤外線を吸収遮蔽し、かつ可視光透過率の高いプラ
ズマディスプレイ用前面板用の積層シートを提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を検討した結果、近赤外線吸収剤としてジチオール系化
合物とジイミニウム系化合物の両方を用いることによ
り、プラズマディスプレイで問題となっている特定の近
赤外線領域を吸収遮蔽した上で可視光の透過率の高いプ
ラズマディスプレイ用前面板に適した積層シートが出来
ることを見い出した。
【0008】すなわち、本発明は、熱可塑性透明樹脂板
と透明性フィルムを接合してなる積層シートであって、
該熱可塑性透明樹脂板が式(1)のジチオール系化合物
を含有し、かつ該透明性フィルムの片面または両面に式
(2)のジイミニウム系化合物を被着してなる積層シー
トである。
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1〜4は互いに同一もしくは相
異なるフェニル基、又はナフチル基を示し、水素、アル
キル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ
基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、アルキルアミノ基、
アリールアミノ基、トリフルオロメチル基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、ニトロ基、シアノ基、又はハロ
ゲン原子によって1〜3個、同一又は相異なって置換さ
れていても良い。また、Mはニッケル、白金、パラジウ
ムのいずれかの金属である。)
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R5〜12は互いに同一もしくは
相異なる水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ
基、フェノキシ基、ヒドロキシ基であり、X- はハロゲ
ンアニオン、過塩素酸アニオン、6フッ化アンチモン酸
アニオン、硝酸アニオンで表される陰イオンである。) 以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明で用いられる熱可塑性透明樹脂板は
原料として、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボ
ネート、スチレンーアクリル共重合樹脂等を用いること
が出来る。また、1種のみではなく複数種用いても良
い。中でも光線透過率の高いアクリル樹脂が特に好まし
い。本発明で用いられる透明性フィルムは、ポリエチレ
ンテレフタレート、三酢酸セルロース、アクリル樹脂、
ポリエステル等が用いられるが、これらに限定されるこ
とはない。この中で、ポリエチレンテレフタレートまた
は三酢酸セルロースが好ましい。透明性フィルムの厚み
は10〜150μmが好ましい。さらに好ましくは、作
業性の点から20〜100μmである。
【0014】本発明で用いるジチオール系化合物は、下
記の式(1)で表される金属錯体である。
【0015】
【化5】
【0016】(式中、R1〜4は互いに同一もしくは相
異なるフェニル基、又はナフチル基を示し、水素、アル
キル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ
基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、アルキルアミノ基、
アリールアミノ基、トリフルオロメチル基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、ニトロ基、シアノ基、又はハロ
ゲン原子によって1〜3個、同一又は相異なって置換さ
れていても良い。また、Mはニッケル、白金、パラジウ
ムのいずれかの金属である。) ここで、R1〜4のフェニル基又はナフチル基上の置換
基の具体例を示す。
【0017】アルキル基としてはメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等、シ
クロアルキル基としてはシクロペンチル基、シクロヘキ
シル基等、アリール基としてはフェニル基等、置換され
たアリール基としてはp−ニトロフェニル基等、アルコ
キシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基
等、フェノキシ基、ヒドロキシ基、アルキルアミノ基と
してはジメチルアミノ基、ジブチルアミノ基等、アリー
ルアミノ基としてはジフェニルアミノ基、ジトリルアミ
ノ基等、トリフルオロメチル基、アルキルチオ基として
はメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等、アリ
ールチオ基としてはフェニルチオ基、トリルチオ基等、
ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子としてはフッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
また、式中のMは金属であるがニッケル、白金、パラジ
ウムが挙げられるが、特に好ましいのはニッケルであ
る。
【0018】これら式(1)で表される金属錯体は、8
00〜900nmの近赤外線領域で吸収極大を持つ。し
たがって、これらの錯体で820nmの波長の吸収をす
ることが出来る。プラズマディスプレイは同じ電圧をか
けて発光体を発光させたとき、赤、青、緑の発光体の発
光強度は均一ではなく、緑、赤、青の順に発光強度は低
くなる。赤、青の発光体の発光強度より強い発光強度を
もつ緑の発光体の発光ピークは約580nmにあるた
め、プラズマディスプレイ用前面板でこの緑の発光体の
発光強度を押さえる必要がある。ところが、これらの金
属錯体は波長820nmの近赤外線を吸収すると共に約
580nmの緑の発光体の発光強度も押さえることがで
き、真に都合が良い(実施例1〜3に対応する図4〜6
を参照)。このジチオール系錯体は単一で用いても良い
し、複数種用いても良い。
【0019】これらジチオール系化合物の中でも式
(3)、式(4)及び式(5)で表される金属錯体が特
に好ましく、中でも式(3)の金属錯体が特に好まし
い。
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】この式(3)の金属錯体は、上記のように
約820nmに吸収を持ち、プラズマディスプレイが発
する820nmの光を完全に吸収遮蔽する。さらに、可
視光の吸収として580nmに吸収極大をもち、緑の発
光体の発光ピークに吸収が存在しているので緑の発光体
の発光強度を抑えるのに特に好ましい。また、本発明で
用いられるジイミニウム系化合物は式(2)で表され
る。
【0024】
【化9】
【0025】(式中、R5〜12は互いに同一もしくは
相異なる水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ
基、フェノキシ基、ヒドロキシ基であり、X- はハロゲ
ンアニオン、過塩素酸アニオン、6フッ化アンチモン酸
アニオン、硝酸アニオンで表される陰イオンである。) ここで、R5〜12の具体例を示す。
【0026】アルキル基としてはメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基
も含む。アリール基としてはフェニル基、p−ニトロフ
ェニル基等、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキ
シ基、ブトキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基等が挙
げられる。X- は陰イオンである。X- の具体例は、ハ
ロゲンアニオンとしてフッ素アニオン、塩素アニオン、
臭素アニオン、ヨウ素アニオンが挙げられ、また過塩素
酸アニオン、6フッ化アンチモン酸イオン、硝酸アニオ
ンで表される1価の陰イオンがある。
【0027】これらジイミニウム化合物は900〜11
00nmに吸収極大を持ち、可視光の吸収が少ない。こ
の化合物で、プラズマディスプレイが発する950から
1000nmの光を吸収遮蔽する。残りの850〜90
0nmについてはジチオール系化合物とジイミニウム系
化合物との組み合わせにより、両者の相乗効果で850
〜900nmの透過率が大幅に低下し、850〜900
nmについても完全に吸収遮蔽することができる。この
ようにして、プラズマディスプレイが発する不要な近赤
外線を吸収することができる。このジイミニウム化合物
の中でもR1〜R8が好ましく、中でもn−ブタンであ
る式(6)が特に好ましい。
【0028】
【化10】
【0029】これらジチオール系化合物とジイミニウム
系化合物は、共に近赤外線の吸収が大きいが、可視光の
吸収が小さいという特徴を持っている。したがって、共
にプラズマディスプレイ用の前面板に用いる積層シート
の色素として好ましい。これらジチオール系化合物とジ
イミニウム系化合物は、他の近赤外吸収色素に比べ耐熱
性が良く、成形温度が約200℃以下であれば、熱可塑
性透明樹脂に混練して含有することができる。しかし、
プラズマディスプレイは、発光体基板表面が約50℃以
上となり、その前面板も加熱されるため、熱可塑性透明
樹脂には耐熱性が要求される。この場合、本発明で用い
るジチオール系化合物は、成形温度が約260℃でも熱
可塑性透明樹脂に混練して含有することができる。しか
し、本発明で用いるジイミニウム系化合物はこのような
温度では、二次反応を起こし分解するので熱可塑性透明
樹脂に含有することができない。したがつて、ジイミニ
ウム系化合物については、別に透明性フィルムに被着を
させて、それをジチオール系化合物を含有する熱可塑性
透明樹脂板に積層するのが好ましい。
【0030】ジイミニウム化合物を透明性フィルムに被
着させる方法としては、ジイミニウム系化合物をクロロ
ホルム、ジクロロメタン、トリクロロエタン、アセト
ン、トルエン等に添加した溶液を透明性フィルムの片面
または両面に塗布するか、該溶液に透明性フイルムを浸
漬後、引き上げて乾燥するか、もしくは透明印刷インキ
に該ジイミニウム化合物を添加して該透明印刷インキを
透明性フィルムに塗布し、乾燥するか、該透明印刷イン
キに透明性フィルムを浸積後、引き上げて乾燥すると被
着部分が剥離せずに好ましい。このようにして、ジイミ
ニウム化合物を被着させて形成したジイミニウム系化合
物被着層(3)をもつ透明性フィルム(4)を図1のよ
うに、ジチオール系化合物を含有した熱可塑性透明樹脂
板(1)に粘着剤層(2)を介して積層するのが好まし
い。さらに、ジイミニウム化合物が被着した透明性フィ
ルム(4)のジイミニウム化合物が被着してない面に反
射防止処理及び/又は帯電防止処理をした後、ジイミニ
ウム化合物が被着した面に粘着剤層(2)を設けて該粘
着材を介して、ジチオール化合物を含有した熱可塑性透
明樹脂板(1)に積層してもよい。さらには、図2のよ
うに反射防止処理及び/又は帯電防止処理の層(8)を
もつ透明性フィルム(7)と熱可塑性透明樹脂板(5)
とを積層するために用いる粘着剤層(6)の中にジイミ
ニウム系化合物を添加して積層しても良い。
【0031】これらの透明性フィルムを熱可塑性透明樹
脂板に積層する場合、プレス又は圧着ロール等で積層す
る方法で樹脂複合シートとすることができる。この積層
一体化工程においては積層界面の間に空気中のゴミ、原
材料等から持ち込まれるゴミ、異物等の混入を防ぐため
に原材料等の洗浄と積層作業雰囲気の洗浄が必要であ
る。
【0032】さらに有利な方法としては、図3に示すよ
うに熱可塑性透明樹脂板(10)をTダイを用いてシー
ト状に押出成形する時、図2で示した透明性フィルム
(7)を粘着剤層(6)を介して圧着を兼ねた引き取り
ロール(9)により連続的に熱可塑性透明樹脂板(1
0)に供給し、同時に積層一体化することで複合シート
とすることができる。また、図3では熱可塑性透明樹脂
板(10)の両面から透明性フィルム(7)を供給して
いるが、片面からの供給であっても良い。帯電防止処理
及び/又は反射防止処理をした透明性フィルム(7)に
ついては、図2のように両面に積層することでその効果
は向上するので更に好ましい。
【0033】また、ジチオール系及びジイミニウム系化
合物は、耐光性に優れているが、さらに耐光性を改良す
るためには、熱可塑性透明樹脂板、透明性フィルムまた
は粘着剤に紫外線吸収剤を用いても良い。紫外線吸収剤
としては、レゾルシンモノベンゾエート、サルチル酸メ
チルなどの置換または無置換安息香酸エステル類、2−
オキシ−3−メトキシケイ皮酸ブチルなどのケイ皮酸エ
ステル類、2,4−ジオキシベンゾフェノンなどのベン
ゾフェノン類、ジベンザルアセトンなどのα,β−不飽
和ケトン、5,7−ジオキシクマリンなどのクマリン
類、1,4−ジメチル−7オカシカルボスチルなどのカ
ルボスチリル類等があるが、中でも2(2’−ヒドロキ
シ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
(2’−ヒドロキシ−8’−tブチル−5’−メチルフ
ェニル)5クロロベンゾトリアゾール、2(2’−ヒド
ロキシ−3’,5’−ジtブチル−5’−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール類が
製品への着色が少なく、近赤外線吸収剤の耐光性の改良
効果も大きく特に好ましい。これら紫外線吸収剤は、単
独で用いてもよいし、複数で用いても良い。紫外線吸収
剤は熱可塑性透明樹脂や積層する透明性フィルムに添加
しても良いし、またジチオール系化合物やジイミニウム
系化合物等を添加した溶液や粘着剤の中に添加し、塗布
または浸漬して被着させても良い。
【0034】本発明で使用する粘着剤としては透明性の
高いものがよい。例えば、酢酸ビニル系、エポキシ系、
ウレタン系、エチレンー酢酸ビニル系、ウレタンーアク
リレート系、エポキシーアクリレート系等が好ましい。
中でも透明性または無色系のエポキシーアクリレート、
エチレンー酢酸ビニル系がよい。本発明における透明性
フィルムに反射防止効果を持たせるには、まずシリカ微
粉末、酸化スズ、酸化チタン等の微粉末を、アクリル樹
脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂等をトルエン等芳
香族炭化水素、グリコールエーテル系、プロピレングリ
コール系のエステル系有機溶剤に溶解した透明性印刷イ
ンキに添加し、得られた溶液を透明性フィルムに塗布し
ても良い。これら微粉末の平均粒径としては、0.01
〜10μmが好ましく、さらに好ましくはこれら粒径が
異なるものを複数種混ぜることである。粒径が異なるこ
とで、透明性フィルム表面に凹凸形状を持たせ、反射光
を乱反射させることにより視感の反射率を低減させるこ
とできるからである。
【0035】また、透明性フィルムに反射防止効果を持
たせるための別法は、透明性フィルムに薄層を積層し、
この薄層と透明性フィルムとの界面における光の反射と
屈折の効果を利用することである。すなわち、薄層の厚
みがλ/4(λ:光の波長)の場合には、薄層の上面反
射光と下面反射光との光の位相が干渉によって打ち消し
合うようにずれ、その反射光を合成すると光の強度が低
下すること、及び薄層材の屈折率をnfとし、該薄層を
形成するための透明性フィルムの屈折率をnbとしたと
きにnfとnbの1/2乗値が等しいとき、光の反射が
最も低くなる原理を応用する。したがって、薄層の厚み
は反射を防ぎたい光の波長の1/4が目標となる。すな
わち、好ましくは薄層の厚みは0.05〜0.25μm
である。また、透明性フィルムと薄層1の間にさらに薄
層2を設けた場合、薄層2の屈折率が関係し、薄層2の
屈折率をnbに用いて上記の計算方法で反射を防止する
ことができる。一般的にはそれを完全に満足する組み合
わせは得られないが、薄層材の屈折率は透明性フィルム
の屈折率よりも極力低いことが必要で、屈折率が1.2
8〜1.45のフッ素系樹脂を用いるのが好ましい。透
明性フィルムがポリエチレンテレフタレートの場合は、
屈折率が1.64なので薄層として適当な例として挙げ
ることができる。また、三酢酸セルロースの透明性フィ
ルムの場合は屈折率が1.50なので薄層としてフッ素
系樹脂を用いるならば、透明性フィルムと薄層の間に屈
折率が1.59のジアリルフタレート樹脂層を設けた
り、屈折率が2.00の酸化錫の層を設けたり、酸化錫
と屈折率が1.49のアクリル樹脂を混合して屈折率を
1.59に調整した層を設けるのも好ましい。
【0036】透明性フィルムに帯電防止性能を持たせる
には、界面活性剤を塗布もしくはコーティングして設け
ることができる。さらに、透明性フィルムに酸化スズ、
酸化チタン、ITO等の透明性導電性物質を印刷インキ
に添加して塗布しても良いし、スパッタリング等で薄層
にして設けるのも良い。必要に応じ、上記のように透明
性フィルムに透明性導電剤の層を設けたり、酸化スズの
印刷インキを塗布した後、フッ素系樹脂を設けること
で、帯電防止性能と反射防止性能の両方の性能を付与す
ることもできる。
【0037】プラズマディスプレイが発する820、8
50、950nmの近赤外線の吸収に必要な前面板の8
20〜1000nmの透過率としては10%以下である
ことが好ましい。しかし、あまり透過率が低くなりすぎ
ると可視光部分の透過率も下がるので近赤外線の透過率
に加え、さらに可視光の中心波長である500〜620
nmの波長での透過率が45%以上であることが好まし
い。さらに好ましくは、500〜620nmでの透過率
が50%以上である。また、透明性フィルムに反射防止
性能を付与すると外光反射が低下し、さらには可視光の
透過率が向上するので透明性フィルムに反射防止性能を
付与することが好ましい。
【0038】本発明で用いるジチオール系化合物及びジ
イミニウム系化合物の使用量は、使用する熱可塑性透明
樹脂板の厚み、塗布するジイミニウム系化合物の層の厚
み、透明性フィルムの厚み、または粘着剤の厚みと関係
している。したがって、添加する量を規定するには、重
量濃度より重量濃度と添加又は塗布する層の厚みとの積
で表すことが出来る。Lambert−Beerの法則
からも透過率は、重量濃度とその厚みとの積の相関関係
を持つことが知られている。つまり、透明樹脂のある特
定波長での透過率と重量濃度、厚みとには次の関係があ
る。
【0039】−Log(T/t)=E×C×B (Tは吸収剤を添加したときの透明樹脂の透過率
(%)、tは透明樹脂のみの透過率(%)、Eは吸光係
数を透明樹脂の比重で割った値であり、これは決まった
係数、Cは吸収剤の重量濃度、Bは透明樹脂の厚み) すなわち、透過率を支配するのは重量濃度と厚みの積で
ある。この単位をwt%・mmで表すことにする。これ
は、単位面積当たりの重量濃度が重要であり、透過率を
一定とした場合、これを面積濃度と呼ぶことにする。た
とえば、吸収剤の濃度が1wt%、透明樹脂の厚みが5
mmの場合と濃度が0.5wt%、透明樹脂の厚みが1
0mmの場合、面積濃度は共に5wt%・mmであり、
透過率も等しい。
【0040】したがって、本発明で用いる近赤外線吸収
剤の濃度をこの面積濃度で表すと0.003〜0.4w
t%・mmが好ましく、重量濃度と体積濃度とがほぼ等
しいと考えられるので単位としてはwt%・mmで表さ
れる。好ましい面積濃度は、ジチオール系化合物では
0.005〜0.30wt%・mmである。より好まし
くは0.008〜0.1wt%・mmである。この面積
濃度が0.005未満であると近赤外線の透過率が大き
くなり、近赤外線の吸収が不十分となる。また、面積濃
度が0.30を越えると可視光線の透過率が小さくな
る。
【0041】同様に、ジイミニウム系化合物の好ましい
面積濃度としては、0.001〜0.3wt%・mmで
ある。さらに好ましい面積濃度は、0.003〜0.1
wt%・mmであり、この面積濃度が0.001未満で
あると近赤外線の透過率が大きくなり、近赤外線の吸収
が不十分となる。また、面積濃度が0.3を越えると可
視光線の透過率が小さくなる。
【0042】熱可塑性透明樹脂板のプラズマディスプレ
イに必要な前面板の厚みは、1〜10mmが好ましい。
さらに好ましくは、荷重によるたわみ及び軽量の点から
2〜6mmである。この熱可塑性透明樹脂板の厚みが1
〜10μmのとき、添加するジチオール系化合物の添加
量は具体的には、0.002〜0.09wt%が好まし
い。さらに好ましくは0.003〜0.04wt%であ
る。
【0043】透明性フィルムにジイミニウム化合物を塗
布する場合、その塗布厚みは0.001〜0.1mmが
好ましい。圧着ロールを用いて透明性フィルムを圧着す
るときは、この塗布厚みは厚くない方がよい。好ましく
は0.005〜0.05mmである。また、粘着剤の厚
みとしては0.005〜0.1mmが好ましく、さらに
好ましい厚さは0.01〜0.05μmである。
【0044】したがって、ジイミニウム化合物を透明性
フィルムに塗布する場合または粘着剤に添加する場合、
そのときのジイミニウム系化合物の添加量としては、
0.09〜80wt%がよい。好ましくは0.18〜4
0wt%であり、より好ましくは、0.3〜8wt%で
ある。また、プラズマディスプレイは、画面を消したと
きには、黒色系である方が好ましい。このため、他の着
色剤を用いてパネルの色を黒色系に調整して用いても良
い。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、実施例、比較例で本発明を
具体的に説明する。なお、各実施例、比較例で用いた評
価及び試験方法は次の通りである。 (a)分光透過率の測定:まず、3cm×3cm角の試
験片を作成する。つぎに、日立(株)製の分光光度計
(UV330)を用い、作成した3cm×3cm角の試
験片の一面を測定面として、1200〜400nmの入
射光0°の分光透過率を測定する。なお、測定雰囲気は
空気の透過率を基準として求める。
【0046】(b)分光反射率の測定:3cm×3cm
角の試験片を作成し、引続き日立(株)製の分光光度計
(UV330)を用い、作成した3cm×3cm角の試
験片の一面を測定面として、700〜400nmの入射
角が5°の正反射光の分光反射率を測定する。なお、ア
ルミミラーの反射率を基準にして分光反射率を求める。
【0047】(c)帯電防止性能の評価:JIS K
6911に基づき、東亜電波製の超絶縁計(SME−8
310)を用いて表面抵抗値を測定する。評価方法は、
5cm×5cm角の試験片表面の2つの電極間の付加し
た直流電圧を表面層を通して流れる電流で除した数値で
表示する。測定はサンプル作成1日後に行なう。
【0048】
【実施例1】アクリル樹脂に、ジチオール系化合物とし
て前記式(3)の化合物を0.0134wt%配合し、
ヘンシェルミキサーでブレンドした後、ベント付き押出
機40mmφで樹脂温度250℃でペレット化して樹脂
組成物を得る。得られたペレットを押出機(スクリュー
径50mmφ、L/D=32、単軸)、マルチマニーホ
ールドダイ、及びポリッシングロール3本から成るユニ
ットを用いて押出シート成形を行い、厚み3mmのシー
トを成形する。一方、アクリル系印刷インキに前記式
(6)のジイミニウム化合物4.8wt%を添加し、溶
解した溶液を5μmの厚さで厚み50μmのポリエチレ
ンテレフタレートフイルムの片面に塗布する。このフィ
ルムを上記シートに粘着剤としてエチレン−酢酸ビニル
系接着剤を用いて塗布面を張り合わせ面として、シート
の片面に張り合わせる。このようにして得られた積層シ
ートの分光透過率を図4に示す。
【0049】
【実施例2】アクリル樹脂にジチオール系化合物として
前記式(3)の化合物を0.003wt%と前記式
(4)の化合物を0.003wt%添加し、さらに着色
剤として、バイエル社製のMACROLEX Red
5Bを0.00043wt%、有本化学製のプラストレ
ッド 8350を0.00016wt%、有本化学製の
オイルブルー GNを0.00016wt%、住友化学
製のスミプラストクリーンGを0.00032wt%、
三菱化学製のダイヤレジンイエロー H2Gを0.00
0025wt%、バイエル社製のMACROREX V
IOLET Bを0.00018wt%添加する。そし
て実施例1と同様に厚み3mmの押出シートを成形す
る。一方、図3のように、引き取りロール(9)を用い
て粘着剤層面(12)をもつ厚み50μmのポリエチレ
ンテレフタレートフィルムを押し出された上記3mmの
押出シート(10)の両面に積層する。ここで、一方の
面のポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着剤層
は、前記式(6)のジイミニウム系化合物を2.4wt
%添加したエチレン−酢酸ビニル系接着剤を粘着剤とし
て用いており、粘着剤の厚みは10μmである。他方の
面のポリエチレンテレフタレートフィルムには粘着剤と
してエチレン−酢酸ビニル系接着剤のみを用いる。この
ようにして得られた積層シートの分光透過率を図5に示
す。
【0050】
【実施例3】アクリル樹脂にジチオール系化合物とし
て、前記式(3)の化合物を0.0134wt%と紫外
線吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物(旭電化製
アデカスタブ LA−52)600ppmを添加して
実施例1と同様にして3mmの押出シートを成形する。
そして、実施例2の図3と同様に押し出されたシートの
両面に透明性フイルムを積層する。シートの両面に積層
する2枚の透明性フィルムには、共に三酢酸セルロース
フィルムを用い、これらのフイルムにまず透明性金属層
として屈折率が2.00の酸化錫を厚み1μmになるよ
うに、ついで屈折率が1.41のフッ素アルキルエステ
ル重合体を厚み0.10μmになるようにを電子線照射
して硬化させて積層処理した厚み80μmの反射防止フ
ィルムを形成する。そして、一方の面の透明性フィルム
の粘着剤には前記式(6)のジイミニウム系化合物を3
wt%添加したエチレン−酢酸ビニル系接着剤を粘着剤
として用い、他方の面の透明性フイルムにはエチレン−
酢酸ビニル系接着剤のみを接着剤として用いる。粘着剤
の厚みは共に10μmである。こうして得られた積層シ
ートの分光透過率を図6に示す。
【0051】これら実施例1〜3の光学特性は、図4〜
6から明らかなようにプラズマディスプレイが発する不
要な820、850、950nmの透過率が5%以下で
あり、かつ、可視光の520〜600nmの透過率が4
5%以上と高くプラズマディスプレイ用の前面板として
効果があることがわかる。また、実施例3で得られた積
層シートを上記(b)分光反射率の測定法に基づき測定
した700〜400nmの入射角5°の正反射光の分光
反射率を、図7に示す。図7からは、人間が強く感じる
光の波長460〜560nmでの分光反射率が2%以下
であり、分光反射防止性能が高いことがわかる。さら
に、実施例3で得られた積層シートを上記(c)帯電防
止性能の測定法に基づき測定した表面抵抗値は1×10
9Ωであり、高い帯電防止性能を有しており、したがっ
てプラズマディスプレイ用の前面板の積層シートとして
効果のあることがわかる。
【0052】
【比較例1】アクリル樹脂にアゾ系有機染料(住友化学
製 スミプラストイエローHLR)0.002wt%、
アントラキノン系有機染料(住友化学製 スミプラスト
グリーン)0.03wt%、およびアントラキノン系有
機染料(有本化学製 プラストレッド8350)0.0
4wt%とを添加し、実施例1と同様にして厚み3mm
の押出シートを成形する。このようにして得られた押出
シートの分光透過率を図8に示す。
【0053】この押出シートは、一般のディスプレイに
用いられる色調をもつが、プラズマディスプレイから発
せられる不必要な近赤外線に吸収能力がなく、また反射
防止性能も、帯電防止性能(表面抵抗値は1×1016Ω
以上)もなく、プラズマディスプレイ用の前面板として
用いるには好ましくない。
【0054】
【比較例2】アクリル樹脂に近赤外線吸収剤としてフタ
ロシアニン系化合物(日本触媒製イーエクスカラ−80
3K)を0.015wt%添加し、実施例1と同様にし
て厚み3mmの押出シートを成形する。この成型体の分
光透過率を図9に示す。この積層シートは、プラズマデ
ィスプレイに不必要な820、850nmの近赤外線の
吸収は満足している。しかし、950nmの近赤外線の
吸収は不十分であることがわかる。また、可視光の透過
率も低く、プラズマディスプレイ用の前面板として用い
るには好ましくない。
【0055】
【発明の効果】本発明で得られる積層シートは、可視光
の透過率が高く、周辺の機器に誤動作を与える不要な近
赤外線を吸収遮蔽することができるプラズマディスプレ
イ用前面板として大いに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1の積層体の概略図である。
【図2】本発明の請求項2の積層体の概略図である。
【図3】本発明の積層体の積層方法の概略図である。
【図4】実施例1で得られた積層シートの分光透過率を
示す図である。
【図5】実施例2で得られた積層シートの分光透過率を
示す図である。
【図6】実施例3で得られた積層シートの分光透過率を
示す図である。
【図7】実施例3で得られた積層シートの700〜40
0nmの入射角5°の正反射光の分光反射率を示す図で
ある。
【図8】比較例1で得られた積層シートの分光透過率を
示す図である。
【図9】比較例2で得られた積層シートの分光透過率を
示す図である。
【符号の説明】
1 ジチオール系化合物を含有した熱可塑性透明樹脂板 2 粘着剤層 3 ジイミニウム系化合物被着層 4 透明性フィルム 5 ジチオール系化合物を含有した熱可塑性透明樹脂板 6 ジイミニウムを添加した粘着剤層 7 透明性フィルム 8 反射防止処理及び/又は帯電防止処理の層 9 圧着ロール(引き取りロールと兼用) 10 ジチオール系化合物を添加した熱可塑性透明樹脂
板 11 積層するフィルムの表面 12 積層するフィルムの粘着剤層面 13 ガイドロール 14 剥離フィルム 15 剥離フィルム巻き取り装置 16 積層するフィルムロール巻き原反

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性透明樹脂板と透明性フィルムを
    接合してなる積層シートであって、該熱可塑性透明樹脂
    板が式(1)のジチオール系化合物を含有し、かつ該透
    明性フィルムの片面または両面に式(2)のジイミニウ
    ム系化合物を被着してなる積層シート。 【化1】 (式中、R1〜4は互いに同一もしくは相異なるフェニ
    ル基、又はナフチル基を示し、水素、アルキル基、シク
    ロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ
    基、ヒドロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ
    基、トリフルオロメチル基、アルキルチオ基、アリール
    チオ基、ニトロ基、シアノ基、又はハロゲン原子によっ
    て1〜3個、同一又は相異なって置換されていても良
    い。また、Mはニッケル、白金、パラジウムのいずれか
    の金属である。) 【化2】 (式中、R5〜12は互いに同一もしくは相異なる水
    素、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、フェノキ
    シ基、ヒドロキシ基であり、X- はハロゲンアニオン、
    過塩素酸アニオン、6フッ化アンチモン酸アニオン、硝
    酸アニオンで表される陰イオンである。)
  2. 【請求項2】 透明性フィルムが、反射防止処理及び/
    又は帯電防止処理されてなることを特徴とする請求項1
    記載の積層シート。
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