JP2007041575A - ディスプレイ用フィルタ及びディスプレイ - Google Patents

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雄二 中津川
Toshio Yoshihara
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Abstract

【課題】長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても色素劣化に帰属される分光特性変化が起こらず、かつ支持基材との密着性も充分に有するディスプレイ用フィルタ、及びこのディスプレイ用フィルタが適用されたディスプレイを提供する。
【解決手段】少なくとも支持基材とバインダ樹脂中に色素を含有する層とが積層された積層構造を有するディスプレイ用フィルタであって、前記バインダ樹脂が少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を含有し、該バインダ樹脂の酸価が0.1以上10以下であることを特徴とするディスプレイ用フィルタ。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ用フィルタ及びこれを用いたディスプレイに関するものである。
更に詳細には、本発明は、長時間の使用下でも分光特性の安定性に優れ、かつ支持基材との密着性も充分に有するディスプレイ用フィルタ及びディスプレイに関するものである。
近年、種々の電子機器の表示パネルとして、CRT(ブラウン管)、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、有機・無機ELディスプレイ、FED(フィールドエミッションディスプレイ)等の電子ディスプレイが使用されている。
このような電子ディスプレイの前面には、不要な発光成分を除去して、表示色を鮮明にするために、フィルタが設置されている。例えば、プラズマディスプレイでは、放電によりキセノンとネオンの混合ガスが励起され真空紫外線を放射し、その真空紫外線励起による赤、青、緑のそれぞれの蛍光体の発光を利用して3原色発光を得ている。その際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻る際に590nm付近を中心とするネオンオレンジ光を発光するため、プラズマディスプレイでは、赤色にオレンジ色が混ざり鮮やかな赤色が得られない欠点がある。また一方で、キセノン原子が励起された後、基底状態に戻る際には紫外線以外に800〜1100nm付近の近赤外線が発生し、発生した近赤外線は周辺機器の誤作動を引き起こす。この為、プラズマディスプレイではネオンオレンジ光や近赤外線を吸収除去する機能を有するフィルタ、例えば、ネオンオレンジ光および近赤外線の波長の透過率を局所的に低下させているフィルタを、ディスプレイの前面に設置している。更に上記フィルタには可視光波長領域の透過率の調節により、画像の色バランスを補正したり色純度を改善する機能を付与することもある。
これらのディスプレイ用フィルタにおいては、上記のような機能を発現する成分として一般的に機能性色素が用いられている。しかしながら、色素を用いたディスプレイ用フィルタには、長時間の使用、とくに高温下や高湿下での使用により色素劣化に帰属される分光特性変化が起こるという問題があった。
また、ディスプレイ用フィルタは支持基材上に上記機能を発現する機能層が積層された構成をとることが多く、この場合には支持基材と機能層とが充分な密着性を有しないと、経時で剥離や気泡が生じたりする。
従来より、支持基材と機能層との間に充分な密着性を付与するために、支持基材と機能層との間に粘着剤層を設けたり、支持基材に密着性が良好になるような処理を施したりしている。しかしながら、支持基材の両面に機能層を設ける層構成を取るような場合に、支持基材の表面に密着性が良好となるような処理を施すことが不適切な場合がある。また、粘着剤層をなくして、なるべく層数を減らし、製造工程を単純化して生産性を高めたいという要求がある。そこで、密着性が良好となる表面処理を施していない支持基材に対しても粘着剤を介することなく充分な密着性を有することが求められている。
例えば、特許文献1にはアクリル系樹脂を用いた例として、ポリメチルメタクリレートの水と結びつき易い性質に起因する色素劣化を改善する為に、多環性脂環基を有するアクリル樹脂をバインダ樹脂に用いる方法が提案されている。しかしながら、この方法は色素の耐熱性、耐光性等の耐久性が向上する一方で、支持基材との密着性が充分に得られないという問題がある。
また、特許文献2には、バインダ樹脂として水酸基、カルボン酸基を持たない、アクリル系化合物と炭化水素系化合物との共重合樹脂を用いる方法が提案されている。この方法は優れた保存安定性を有し、かつ耐光性に優れた印字物を提供するものであるが、支持基材との密着性に関する言及はなく、また、色素の耐熱性等の耐久性に関しては不充分である。
特開2003−167119号公報 特開平8−73792号公報
本発明の目的は、長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても色素劣化に帰属される分光特性変化が起こらず、かつ支持基材との密着性も充分に有するディスプレイ用フィルタ、及びこのディスプレイ用フィルタが適用されたディスプレイを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、色素を含有するために用いられるバインダ樹脂として、少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を含有し、酸価を特定の範囲に制御した樹脂を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち本発明のディスプレイ用フィルタは、少なくとも支持基材とバインダ樹脂中に色素を含有する層(以下、「色素層」と呼ぶことがある。)とが積層された積層構造を有するディスプレイ用フィルタであって、前記バインダ樹脂が少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を含有し、該バインダ樹脂の酸価が0.1以上10以下であることを特徴とする。
本発明のディスプレイ用フィルタにおける色素層においては、バインダ樹脂中に芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を導入することにより、孤立電子対のない炭素と水素が多く含まれる構造となり、大気中の水分がバインダ樹脂に吸着されるのを抑制するため、高温高湿度下での水分による色素劣化を防ぐことができる。この効果はアクリル樹脂等、樹脂中に非共有電子対を有する際に顕著に現れる。しかも、芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基の嵩高さにより、色素の分散性が向上し、色素同士の反応を抑制することも可能となる。
また、上記バインダ樹脂中の酸価を0.1以上10以下と調整することにより、色素との反応による色素劣化を起こすことなく、上記芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を導入することにより低減する支持基材との密着性を向上させることができる。
本発明のディスプレイ用フィルタに含有されるバインダ樹脂には、単独重合体でのガラス転移温度が85℃以上のアクリル系単量体から誘導される繰り返し単位と、単独重合体でのガラス転移温度が0℃以上85℃未満のアクリル系単量体から誘導される繰り返し単位とを有する共重合体が含まれることが好ましい。
バインダ樹脂中に単独重合体でのTgが85℃以上のアクリル系単量体を少なくとも1種類以上使用した共重合体を含有することにより、上記芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を導入ことにより低減する曲げ破壊強度や引っ張り強度等の機械的強度を向上させる事ができる。
一方、バインダ樹脂中に単独重合体でのTgが0℃以上85℃未満のアクリル系単量体を少なくとも1種類以上使用した共重合体を含有することにより、支持基材との密着性を更に向上させる事が出来る。
本発明のディスプレイ用フィルタに含有されるバインダ樹脂には、特に、単独重合体でのガラス転移温度が85℃以上のアクリル系単量体から誘導される繰り返し単位と、単独重合体でのガラス転移温度が0℃以上85℃未満のアクリル系単量体から誘導される繰り返し単位と、芳香族炭化水素基もしく脂環式炭化水素基を含有する単量体から誘導される繰り返し単位とを有する共重合体が含まれることが、色素劣化の防止、機械的強度の向上及び支持基材との密着性の向上という複数の利点を共存させることができる点から好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、前記バインダ樹脂中には、少なくとも800〜1100nmに吸収極大を有する近赤外線吸収色素を含有させることができる。このような場合には、ディスプレイより発生する近赤外線を吸収することによって、近赤外線による周辺機器の誤動作を防止することができる。
また、前記バインダ樹脂中には、少なくとも570〜610nmに吸収極大を有する色素を含有させることができる。このような場合には、例えばプラズマディスプレイに用いられる場合に、590nm付近を中心とするネオン光を吸収することによって、鮮やかな赤色を得ることができる。
また、前記バインダ樹脂中には、少なくとも波長380〜570nm若しくは610〜780nmに吸収極大を有する色素を含有することができる。このような場合には可視光の波長領域における透過率を調節することによって、画像の色バランスを補正したり、色純度を改善する機能を付与することができる。
上記ディスプレイ用フィルタは、種々の機能を付与するために、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層もしくは二層以上の層を有することが好ましい。
また、本発明のディスプレイは、上記ディスプレイ用フィルタがディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、色素を含有するバインダ樹脂として少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を含有し、酸価が0.1以上10以下に制御された樹脂を使用することから、長時間の使用下でも色素劣化に帰属される分光特性変化が起こらず、かつ支持基材との密着性に優れたディスプレイ用フィルタを提供できる。また、本発明は、そのようなディスプレイ用フィルタを用いたディスプレイを提供することができる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、少なくとも支持基材とバインダ樹脂中に色素を含有する層(以下、「色素層」と呼ぶことがある。)とが積層された積層構造を有するディスプレイ用フィルタであって、前記バインダ樹脂が少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を含有し、該バインダ樹脂の酸価が0.1以上10以下であることを特徴とする。
本発明のディスプレイ用フィルタにおける色素層においては、バインダ樹脂中に芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を導入することにより、孤立電子対のない炭素と水素が多く含まれる構造となり、大気中の水分がバインダ樹脂に吸着されるのを抑制するため、高温高湿度下での水分による色素劣化を防ぐことができる。この効果はアクリル樹脂等、樹脂中に非共有電子対を有する際に顕著に現れる。しかも、芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基の嵩高さにより、色素の分散性が向上し、色素同士の反応を抑制することも可能となる。
また、上記バインダ樹脂中の酸価を0.1以上10以下と調整することにより、色素との反応による色素劣化を起こすことなく、上記芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を導入することにより低減する支持基材との密着性を向上させることができる。
本発明のディスプレイ用フィルタにおいては、色素層が支持基材との密着性を充分に有し、密着性向上のための表面処理が施されてない支持基材に対しても粘着剤層を介することなく、充分な密着性を有するものである。
図1〜図4は、本発明によるディスプレイ用フィルタの積層構造を例示する断面図である。
本発明によるディスプレイ用フィルタは、最も基本的には、図1に符号1で示されるように、支持基材2と色素層3とが隣接して積層された構造を有する積層体4である。この支持基材2は、積層の際に行われ得る密着性向上のための表面処理が施されたものであっても良い。また、支持基材2と色素層3の間に接着剤層を有していても良い。
本発明においては、例えば図2に示されるように、支持基材2と色素層3とからなる積層体4の上に必要に応じて光学フィルタの分野で知られた機能層5を更に設けて、ディスプレイ用フィルタ11とすることができる。機能層5としては、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層もしくは二層以上の層であることが好ましい。
図2においては、機能層5が色素層3の上に積層されているが、積層構造はこれらに限定されず、例えば、図3に示されるように、支持基材2の片面に色素層3が積層され、支持基材2の色素層3が積層された面の裏面に機能層5が積層されたような構造であってもよい。また、図4に示されるように、図3における色素層3に、更に別の機能層5’が積層されたような構造であってもよい。なお、本発明のディスプレイ用フィルタの積層構造は、上記例示に限られない。
図3に示される層構成の具体例として、支持基材2をPETフィルム、機能層5を反射防止層とする場合、例えばPETフィルムの表面に屈折率を制御するための表面処理が施されていて、密着性向上のための表面処理が施されていない場合であっても、PETフィルムと色素層との界面の接着力を得るために、PETフィルムと反射防止層の間に粘着剤層を設けて貼り合わせる必要がなく、当該PETフィルムと色素層を貼り合わせることができる。
以下、上記ディスプレイ用フィルタの各層についてそれぞれ説明する。
[色素層]
本発明の色素層は、バインダ樹脂及び色素を含んでなり、必要に応じて添加剤を含有することができる。
〔バインダ樹脂〕
本発明の色素層で使用するバインダ樹脂は透明性を有する必要がある。バインダ樹脂の透明性は、人が透明と感じる程度であれば特に制限はないが、JIS K7105に準拠した曇度(ヘイズ)が5以下のものが好ましく、3以下が特に好ましい。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッソ系樹脂あるいはポリエステル系樹脂等を用いることができるが、中でもアクリル系樹脂が透明性に優れるため、特に好ましい。
本発明で使用するバインダ樹脂は少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を含有する。
本発明のディスプレイ用フィルタにおいては、バインダ樹脂中に芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を導入することにより、孤立電子対のない炭素と水素が多く含まれる構造となり、大気中の水分がバインダ樹脂に吸着されるのを抑制するため、バインダ樹脂中に含まれる色素の、高温高湿度下での水分による劣化を防ぐことができる。この効果はアクリル樹脂等、樹脂中に非共有電子対を有する際に顕著に現れる。しかも、バインダ樹脂中に存在する芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基の嵩高さにより、色素の分散性が向上し、色素同士の反応を抑制することも可能となる。
本発明のバインダ樹脂に導入される芳香族炭化水素基に含まれる芳香族炭化水素としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、中でもベンゼン環が好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、ベンジル基、トリフェニルメチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
また、バインダ樹脂に導入される脂環式炭化水素基に含まれる脂環式炭化水素としてはとしてはシクロペンタン環、シクロヘキサン環、ビシクロオクタン環、トリシクロデカン環、ノルボルネン環、アダマンタン環が挙げられ、中でもトリシクロデカン環、ノルボルネン環が好ましい。脂環式炭化水素基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロオクチル基、トリシクロデシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
バインダ樹脂に導入される芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基の導入のされ方としては樹脂を構成する主鎖に導入されるよりも、主鎖に側鎖としてペンダント状にぶら下がった構造で導入されるほうが好ましい。具体的には、例えば、少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基とポリマー主鎖を形成するための炭素−炭素二重結合とを有する単量体(以下、単量体(A)と呼ぶことがある。)から誘導される繰り返し単位を有することが挙げられる。単量体(A)において、芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基は、連結基を介して炭素−炭素二重結合を構成する炭素に結合していてもよい。
上記連結基としては、特に限定されないが、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の炭素数1〜10のアルキレン基や、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等の炭素数1〜10のオキシアルキレン基、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、又はウレタン結合などが挙げられる。
ここで単量体(A)の好適な例は、下記一般式(1)で表される。また、単量体(A)から誘導される繰り返し単位は下記一般式(2)で表される。
Figure 2007041575
(式(1)及び(2)において、Rは水素又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基、Yは直接結合又は連結基である。)
は水素又はメチル基が好ましい。Yは直接結合か、あるいはメチレン基、エチレン基、エステル結合が好ましい。
式(1)の例としては、例えば下記に示す化学構造例が挙げられる。
Figure 2007041575
上記芳香族炭化水素基又は上記脂環式炭化水素基には置換基を有していてもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s‐ブチル基、t‐ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。更に炭素数1〜4、特に炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。置換基は、芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基において、どの部位に置換していてもよい。
本発明で使用するバインダ樹脂の酸価は0.1以上10以下であることが好ましい。ここで酸価とは、バインダ樹脂1gに含まれる全酸性成分(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、アクリル酸基等)の量をあらわすものであり、全酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される。酸価の測定方法はJIS K2501などで定められている方法を用いることができる。
バインダ樹脂中の酸価を0.1以上とすることにより、上記芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を導入することにより低減する支持基材との密着性を向上させる事ができる。一方、酸価を10よりも大きくすると色素との反応による色素劣化が起こり、耐久性、特に耐熱性に劣るものとなる。
本発明で使用するバインダ樹脂には、上記のような酸性成分が含有されるが、低分子化合物として含まれるよりも、重合体の一部としてバインダ樹脂に導入されているほうが好ましい。導入のされ方としては、上記芳香族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基と同様に主鎖に側鎖としてペンダント状にぶら下がった構造で導入される方法が好適なものとして挙げられる。なお、酸性成分は、上記芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基が繰り返し単位に含まれる重合体に含有されていてもよい。あるいは、上記芳香族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基が繰り返し単位に含まれる重合体とは別に、酸性成分を有する重合体を用意して、これらを混合して用いてもよい。酸価を精度良く制御する観点からは、予め酸価が特定された酸性成分を有する重合体を混合して用いることが好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルタに含有されるバインダ樹脂には、単独重合体でのガラス転移温度(Tg)が85℃以上のアクリル系単量体(以下、アクリル系単量体(B)と呼ぶことがある。)から誘導される繰り返し単位と、単独重合体でのガラス転移温度が0℃以上85℃未満のアクリル系単量体(以下、アクリル系単量体(C)と呼ぶことがある。)から誘導される繰り返し単位とを、それぞれ少なくとも1種類以上を有する共重合体が含まれることが好ましい。なお、本発明におけるアクリル系単量体とはアクリル酸、メタクリル酸、或いはそれらの誘導体をいう。また、本発明においてガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計を用いてJIS K7121に準拠して測定したものをいい、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度、すなわち中間点ガラス転移温度のことをいう。例えば、示差走査熱量計(NETZSCH社製、商品名DSC204 Phoenix)により、測定開始温度は20℃、測定終了温度は220℃、昇温および冷却速度は2℃/分、そして窒素雰囲気下で測定できる。
バインダ樹脂中にアクリル系単量体(B)から誘導される繰り返し単位を少なくとも1種類以上有する共重合体を含有することにより、上記芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を導入することにより低減する曲げ破壊強度や引っ張り強度等の機械的強度を向上させる事ができる。
アクリル系単量体(B)は、単独重合体でのガラス転移温度が85℃以上であるが、好ましくは150℃以下であり、特に好ましいアクリル系単量体(B)は、単独重合体でのガラス転移温度が好ましくは95℃以上140℃以下である。ガラス転移温度が高すぎる場合には、色素層を形成させた後、充分な乾燥を行うためには乾燥温度を高温にする必要があることから、色素として耐熱性が低いものを用いた場合に色素劣化を招きやすいからである。これを避けるために乾燥温度を低温にすると、長い乾燥時間が必要になるため乾燥工程の効率が低下して生産コストの上昇を起こしたり、あるいは充分な乾燥が行えないために残留した溶剤が色素劣化の原因になる場合があるからである。
また、アクリル系単量体(B)としては、このアクリル系単量体(B)とともに共重合体を形成するアクリル系単量体(C)よりも、ガラス転移温度が少なくとも20℃、特に35℃、高いものを選択することが好ましい。
アクリル系単量体(B)としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸シアノノルボルニル、メタクリル酸フェニルノルボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸メンチル、メタクリル酸フェンチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸ジメチルアダマンチル、メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸トリシクロデシル−4−メチル、メタクリル酸シクロデシル、メタクリル酸ベンジルなどが挙げられ、中でもメタクリル酸メチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸ベンジルが好ましい。
一方、本発明のアクリル系単量体(C)は、単独重合体でのガラス転移温度が0℃以上85℃未満であり、好ましくは10℃以上75℃未満である。バインダ樹脂中にアクリル系単量体(C)から誘導される繰り返し単位を少なくとも1種類以上有する共重合体を含有することにより、支持基材との密着性を更に向上させる事が出来る。なお、単独重合体でのTgが0℃未満のアクリル樹脂を導入すると耐熱性に劣るものとなる。
アクリル系単量体(C)としては、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸メチルなどが挙げられる。
本発明のディスプレイ用フィルタに含有されるバインダ樹脂には、アクリル系単量体(B)から誘導される繰り返し単位と、アクリル系単量体(C)から誘導される繰り返し単位と、上記単量体(A)から誘導される繰り返し単位とを有する共重合体が含まれることが特に好ましい。
上記重合体としては、単量体(A)としてスチレン、アクリル系単量体(B)としてメタクリル酸メチル、アクリル系単量体(C)としてメタクリル酸エチルの組み合わせで用いた共重合体、或いは、単量体(A)としてスチレン、アクリル系単量体(B)としてメタクリル酸メチル、アクリル系単量体(C)としてメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルの組み合わせで用いた共重合体が好ましい。
バインダ樹脂中おいて、芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を含む繰り返し単位は、バインダ樹脂の重合体における全モノマーの繰り返し単位の総数に対して、40〜90モル%であることが好ましい。また、上記単量体(A)から誘導される繰り返し単位が含まれる共重合体において、上記単量体(A)の共重合割合は、共重合体の50〜90モル%が好ましい(共重合体全体を100モル%とする。)。アクリル系単量体(B)から誘導される繰り返し単位とアクリル系単量体(C)から誘導される繰り返し単位と上記単量体(A)から誘導される繰り返し単位とを有する共重合体において、上記単量体(A)の共重合割合は、共重合体の50〜90モル%が好ましい(共重合体全体を100モル%とする。)。上記単量体(A)の共重合割合が50モル%未満の場合には、色素劣化を充分に抑制できない場合があり、90モル%超過の場合には、色素層と支持基材との界面における密着性の点で不利である。
また、少なくともアクリル系単量体(B)から誘導される繰り返し単位とアクリル系単量体(C)から誘導される繰り返し単位を有する共重合体において、アクリル系単量体(B)とアクリル系単量体(C)との量比(モル比)は、アクリル系単量体(B)/アクリル系単量体(C)が、40/60〜80/20となる範囲が好ましい。
上記共重合体において、アクリル系単量体(B)が多く、それに伴いアクリル系単量体(C)が少ない場合は、色素劣化抑制効果が良好となる傾向があり、反対に、アクリル系単量体(B)が少なく、それに伴いアクリル系単量体(C)が多い場合は、密着性が良好となる傾向が認められる。従って、アクリル系単量体(B)とアクリル系単量体(C)との量比は、ディスプレイ用フィルタの用途、目的、使用環境及び耐久性などを考慮して適宜定めることができる。
例えば、アクリル系単量体(B)とアクリル系単量体(C)との量比(モル比)は、アクリル系単量体(B)とアクリル系単量体(C)とのガラス転移温度の差が60℃以下である場合には、アクリル系単量体(B)/アクリル系単量体(C)=40/60〜60/40の範囲内が好ましく、
一方、アクリル系単量体(B)とアクリル系単量体(C)とのガラス転移温度の差が60℃超過である場合には、アクリル系単量体(B)/アクリル系単量体(C)=60/40〜80/20の範囲内が好ましい。
本発明の効果は、上記単量体(A)〜(C)等を用いたランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体及びこれらの混合物のいずれについても認めることができる。そして、本発明の共重合体は、分子量が1000〜50万であることが好ましく、より好ましくは1万〜10万である。
バインダ樹脂の総配合量は、色素層全体の固形分に対して50〜95重量%が好ましい。
〔色素〕
本発明で使用される色素は、例えば、少なくとも800〜1100nmに吸収極大を有する近赤外線吸収色素、少なくとも570〜610nmに吸収極大を有するネオン光吸収することを目的とする色素(以下、「ネオン光吸収色素」と呼ぶ。)、又は少なくとも380〜570nm若しくは610〜780nmに吸収極大を有する色調調整を目的とする色素(以下、「色調調整色素」と呼ぶ。)等が挙げられる。これらの色素は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(近赤外線吸収色素)
本発明で使用する近赤外線吸収色素は、ディスプレイ用フィルタの近赤外線吸収層として利用可能なもの、すなわち、バインダ樹脂に配合可能であり、この近赤外線吸収剤を含んで成る色素層が少なくとも800〜1100nmの波長を吸収できるものであるならば、任意の化合物の中から選択することができる。
少なくとも800〜1100nmの波長領域内に吸収最大波長を有する近赤外線吸収色素としては、具体的には、ポリメチン系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、インモニウム系化合物、ジインモニウム系化合物、アミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系金属錯体類の有機系近赤外線吸収色素、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンモン、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ランタン等の無機系近赤外線吸収色素、を1種、又は2種以上を併用することができる。中でも、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム系化合物が好ましい。
種類や添加量は、近赤外線吸収色素の吸収波長や吸収係数や、色調及びディスプレイ用前面板に要求される透過率などによって適宜選択すればよい。
近赤外線吸収色素の配合量は、色素層全体の固形分に対して0.1〜50重量%、更に0.1〜25重量%が好ましい。
(ネオン光吸収色素)
本発明で使用するネオン光吸収色素は、本発明によるディスプレイ用フィルタがプラズマディスプレイ用として用いられる際には、プラズマディスプレイパネルから放射されるネオン光を吸収するべく用いられる。ネオン光の吸収領域は波長570〜610nmであり、波長570〜610nmにおける光線の透過率が50%以下になるように設計することが好ましい。
ネオン光吸収色素としては、少なくとも570〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素として従来から利用されてきた色素、例えば、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系等を挙げることができる。
ネオン光吸収色素の配合量は、色素層全体の固形分に対して0.01〜10重量%、更に0.01〜5重量%が好ましい。
(色調調整色素)
本発明で使用する色調調整色素は、パネルからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイ色などの改善の為にディスプレイ用フィルタの色を調整するためのものである。可視領域である380〜570nm若しくは610〜780nmに最大吸収波長を有する公知の色素から、目的に応じて任意に色素を組み合わせて使用する。色調調整色素として用いることのできる公知の色素としては、特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の色素が好適に使用できる。更にこのほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を使用することができる。
色調調整色素の配合量は、色素層全体の固形分に対して0.01〜20重量%、更に0.01〜10重量%が好ましい。
本発明の色素層は、上述のバインダ樹脂、色素の他に、必要に応じ、添加剤等を含むことができる。また、紫外線吸収剤を含有させて、紫外線吸収機能を兼ねてもよい。
本発明で使用され得る紫外線吸収剤は、電気的もしくは電子的な装置や自然光等に含まれる紫外線を、遮蔽ないし制御するものである。このことによって、ディスプレイを構成する各種の樹脂材料その他の構成材料(例えば、バインダ樹脂や色素等)の耐久性を更に向上させることが可能になる。
前記紫外線吸収材としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート系;ヘキサデシル−2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系等の有機系紫外線吸収剤や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等の無機系紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線吸収剤を用いる場合、その配合量は、色素層全体の固形分に対して0.5重量%以上50重量%未満が好ましい。更に好ましくは2〜40重量%、特に好ましくは2〜25重量%である。
その他の添加剤としては、フィルムやコーティング膜等を形成する樹脂組成物に一般に使用される従来公知の添加剤等を用いることができ、例えば、レベリング剤、消泡剤、タレ性防止剤、酸化防止剤、粘性改質剤、金属不活性剤、過酸化物分解剤、可塑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
本発明の色素層は、合目的な任意の方法によって形成することができるが、色素及びバインダ樹脂の劣化防止を図るために、色素やバインダ樹脂等の劣化原因となる有害成分を使用せず、あるいは使用量が少なくて、かつ過度の温度や圧力を必要としない方法によって形成することが好ましい。そのような方法の一つとして、例えば、色素を、バインダ樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液、あるいは溶剤で湿潤ないし軟化させた樹脂中に添加し、十分分散させて得た組成物を後述する支持基材上に塗布あるいは押し出して、必要に応じて乾燥し、更に必要に応じて熱、電子線などにより硬化させて形成する方法が挙げられる。
バインダ樹脂を溶解させ、前記色素及びその他添加剤を分散させる溶媒としては、上記色素及びバインダ樹脂を均一に溶解又は分散可能なものであれば特に限定されない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、トリフルオロプロパノール、n−ヘキサン、もしくはn−ヘプタンまたは水等が挙げられるが、これら以外のものであっても良い。
色素層形成用組成物を支持基材上に塗布する方法としては、例えば、浸漬、吹き付け、刷毛塗り、マイヤーバーコーティング、ドクターブレードコーティング、グラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、キスリバースコーティング、3本ロールリバースコーティング、スリットリバースダイコーティング、ダイコーティング、もしくはコンマコーティング等の各種コーティングの方式を用いることができる。
色素層の厚さとしては、使用用途等により適宜設定すれば良く特に限定されるものではない。例えば、乾燥時の厚さを0.5〜1000μmとなるようにすることが好ましい。より好ましくは、1〜100μmである。更に好ましくは1〜50μm、特に好ましくは1〜30μmである。
ディスプレイ用フィルタが代表的な用途であるプラズマディスプレイパネルの前面に適用される場合、近赤外線吸収色素を含有する色素層は、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1100nmの波長域を吸収するものであり、該帯域の近赤外線の透過率が20%以下、更に15%以下であることが好ましい。
また、ネオン光吸収色素を含有する色素層は、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻るときに発光するネオン光、即ち、570〜610nmの波長域を吸収するものであり、該帯域の透過率が50%以下、更に40%以下であることが好ましい。
同時に色素層は、可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長域で、十分な光線透過率、すなわち視感透過率30%以上を有することが望ましい。
なお、本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、色素層は、1層ではなく2層以上であってもよい。例えば、近赤外線吸収色素、ネオン光吸収色素又は色調調整色素は混合して1層の色素層に含有させることもできるし、該色素をそれぞれ別々に含有させた独立の層、即ち、近赤外線吸収機能層、ネオン光吸収機能層又は色調調整機能層が積層されて設けられていても良い。
[支持基材]
本発明のディスプレイ用フィルタに用いられる支持基材としては色素層を積層可能であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルホン、もしくはポリエーテルケトン等の樹脂からなるフィルムを挙げることができ、単独で、又は同種もしくは異種の物を積層して用いることができる。本発明のディスプレイ用フィルタにおいて用いられる支持基材としては、中でもPET、TAC、アクリル樹脂が透明性の点から好ましい。
支持基材の透明性は、支持基材が単層の場合、可視領域の光線透過率が80%以上であることが好ましい。また、透明性を有するとは、無色透明であることが好ましいが、必ずしも無色透明であることに限られず、本発明の目的を妨げない程度であれば着色された着色透明であっても良い。可視領域の光線透過率はできる限り高いことが好ましいが、最終製品としては可視領域の光線透過率が50%以上であることが必要なことから、最低2枚を積層する場合でも、それぞれの支持基材としては光線透過率が80%であれば、目的に適う。光線透過率が高ければ高いほど支持基材を複数枚積層できるため、支持基材の単層の光線透過率はより好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上である。光線透過率を向上させるには厚みを薄くするのも有効な手段である。
支持基材の厚みは、透明性さえ満足すれば特に制限されないが、加工性の面からは、12μm程度〜300μm程度の範囲であることが好ましい。厚みが12μm未満の場合は支持基材が柔軟過ぎて、加工する際の張力により伸張やシワが発生しやすい。また、厚みが300μmを超えるとフィルムの可撓性が減少し、各工程での連続巻き取りが困難になる上、支持基材同士を複数枚、積層する際の加工性が大幅に劣るといった問題もある。
本発明のディスプレイ用フィルタは色素層が支持基材に対して充分な密着性を有するので、本発明において用いられる支持基材は、特に接着性を向上させる表面処理を必要とせず、未処理の基材であってもよいし、別の表面処理として、例えば屈折率の制御や、帯電の防止を目的とした表面処理が施されていてもよい。
[電磁波遮蔽機能層]
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、色素層もしくはその積層体に機能層として付加し得る電磁波遮蔽機能層は、電気的もしくは電子的な装置、とりわけ、プラズマディスプレイから発生した電磁波を遮蔽するものである。電磁波遮蔽層には金属メッシュ層と透明導電性薄膜層が利用されるが、電磁波遮蔽性の高い金属メッシュが好ましい。金属メッシュ層は、支持基材上に金属箔を積層し、エッチングによってメッシュ状とするので、支持基材と金属メッシュとの間には、接着剤層が介在することが普通である。接着剤層は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール単独もしくはその部分のケン化品、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンエステル樹脂等の接着剤で構成する。金属メッシュ層は、電磁波遮蔽機能を有するものであれば、その金属の種類は特に限定されるものではなく、例えば、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタン等を用いることができ、中でも銅が好ましい。銅箔の種類としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられるが、特に電解銅箔であることが好ましい。電解銅箔を選択することにより、厚さが10μm以下の均一性の良いものとすることができ、また、黒化処理された際に、酸化クロム等との密着性を良好なものとすることができるからである。
ここで、本発明においては、上記金属メッシュは、その一方の面又は両面が黒化処理されていることが好ましい。黒化処理とは、酸化クロム等により金属メッシュの表面を黒化する処理であり、色素層もしくはその積層体に付与される際は、この酸化処理面は、通常観察者側の面となるように配置される。この黒化処理によって金属メッシュ層表面に形成された酸化クロム等により、金属メッシュ層表面の外光が吸収されることから、金属メッシュ層表面で光が散乱することを防止することができる。
金属メッシュ層の開口率は、電磁波遮蔽能の観点からは、低いほど良いが、開口率が低くなると光線透過率が低下するので、開口率としては50%以上であることが好ましい。
また、金属メッシュ層の開口部と非開口部とが凹凸をなしているので、金属メッシュ層上に、バインダ樹脂が金属メッシュ層の厚み以上の厚みに形成された平坦化層が積層されていてもよい。
[反射防止機能層]
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、色素層もしくはその積層体に付加し得る反射防止機能層は、高屈折率層と低屈折率層とを組み合わせて積層されたものが代表的であるが、反射防止機能を有すればこれ以外の層構造を持つものであってもよい。高屈折率層は、例えば、ZnOやTiOの素材の薄膜、もしくはこれらの素材の微粒子が分散した透明性を有するバインダ樹脂膜である。また、低屈折率層は、SiOからなる薄膜、もしくはSiOゲル膜、または、フッ素含有の、もしくはフッ素及びケイ素含有の透明性を有するバインダ樹脂膜である。本発明のディスプレイ用フィルタに反射防止層が積層される場合には、積層された側の外光等の不要な光の反射を低下させ、適用されるディスプレイの画像もしくは映像のコントラストを高めることができる。
[防眩機能層]
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、色素層もしくはその積層体に付加し得る防眩機能層は、例えば、透明性を有するバインダ樹脂中に直径数μm程度のポリスチレン樹脂やアクリル樹脂等のビーズを分散させたものが挙げられる。当該層が持つ光拡性により、ディスプレイ前面に配置した際に、ディスプレイの特定の位置、方向に生じるシンチレーションの防止を行うためのものである。
[防汚染機能層]
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、当該ディスプレイ用フィルタに付加し得る防汚染機能層は、色素層もしくはその積層体を使用する際に、その表面に、不用意な接触や環境からの汚染が原因で、ごみや汚染物質が付着するのを防止し、あるいは付着しても除去しやすくするために形成される層である。例えば、フッソ系コート樹脂、シリコン系コート剤、シリコン・フッ素系コート剤等が使用され、なかでもシリコン・フッソ系コート剤が好ましく適用される。これらの防汚染層の厚さは好ましくは100nm以下で、より好ましくは10nm以下であり、更に好ましくは5nm以下である。これらの防汚染層の厚さが100nmを超えると防汚染性の初期値は優れているが、耐久性において劣るものとなる。防汚染性とその耐久性のバランスから5nm以下が最も好ましい。
その他、本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、紫外線吸収剤を含有させた独立の層、即ち、紫外線吸収層が更に設けられていても良い。
また、独立した紫外線吸収層の場合、前記紫外線吸収剤を含有させた層を設ける代わりに、市販の紫外線カットフィルタ、例えば、富士写真フィルム社製の「シャープカットフィルターSC−38」(商品名)、「同SC−39」、「同SC−40」、三菱レーヨン社製の「アクリプレン」(商品名)等を用いることもできる。
以上のようにして得られる本発明のディスプレイ用フィルタは、代表的な用途であるプラズマディスプレイパネルの前面に適用される場合であって近赤外線吸収色素を含有する色素層を有する場合にはプラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1100nmの波長域における光線透過率が20%以下、更に15%以下であることが好ましい。
また、本発明のディスプレイ用フィルタは、ネオン光吸収色素を含有する色素層を含有する場合には、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻るときに発光するネオン光、即ち、570〜610nmの波長域における光線透過率が50%以下、更に40%以下であることが好ましい。
また、本発明のディスプレイ用フィルタは、可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長域で、十分な光線透過率、すなわち視感透過率30%以上を有することが望ましい。
本発明のディスプレイ用フィルタは、優れた耐湿熱性を有し、高温下や高湿下での長時間の使用によっても色素劣化に帰属される分光特性の変化が起こり難い。具体的には、以下のように耐湿熱性試験を行った場合に、高温高湿雰囲気下に放置する前後の各波長の光線透過率の値の差が最大となる波長における光線透過率の値の差が5%以下、更に好ましくは4%以下であることが望ましい。
まず、本発明のディスプレイ用フィルタの光線透過率を求める。得られたディスプレイ用フィルタが近赤外線吸収色素を含有する場合は800〜1100nmの範囲で、また、ネオン光吸収色素を含有する場合は570〜610nmの範囲で、それぞれ該ディスプレイ用フィルタの光線透過率を測定する。光線透過率は、例えば分光光度計((株)島津製作所製、品番:「UV−3100PC」)を用いて測定することができる。
次に、得られたディスプレイ用フィルタを高温高湿(例えば、温度60℃、湿度90%RH)雰囲気下に1000時間放置した後、上記と同様の波長範囲で光線透過率を測定する。
上記高温高湿雰囲気下に放置する前後の各波長の光線透過率の測定値から、各波長の光線透過率の差を求め、その値が最大となる波長における光線透過率の値の差を求める。
また、本発明のディスプレイフィルタは、優れた支持基材との密着性を有する。具体的には、JIS K5400記載の碁盤目テープ法に準じて、得られたディスプレイ用フィルタの色素層と支持基材との界面の密着性を評価した場合に、評価得点が8以上(切り傷の交点にわずかな剥がれがあって、正方形の一目一目に剥がれが無く、欠損部の面積は全正方形面積の5%以内)が望ましい。
本発明のディスプレイは、上記ディスプレイ用フィルタがディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とする。
本発明のディスプレイとしては、種々の電子機器の表示パネルであるCRT(ブラウン管)、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、有機・無機ELディスプレイ、FED(フィールドエミッションディスプレイ)等の電子ディスプレイ等が挙げられる。
図2に示されるように、本発明のディスプレイ7において上記本発明によるディスプレイ用フィルタ11が用いられる際は、例えば、ディスプレイパネル6から放射される近赤外線等の好ましくない光線あるいは電磁波等をカットするべくディスプレイパネル表示面8の前面に設置される。
後述する実施例において行った評価方法は以下のとおりである。
(1)耐湿熱性
分光光度計((株)島津製作所製、品番:「UV−3100PC」)を用いて、得られたディスプレイ用フィルタが近赤外線吸収色素を含有する場合は800〜1100nmの範囲で、また、ネオン光吸収色素を含有する場合は570〜610nmの範囲で、それぞれ該ディスプレイ用フィルタの光線透過率を測定した。
また、得られたディスプレイ用フィルタを高温高湿(温度60℃、湿度90%RH)雰囲気下に1000時間放置した後、上記と同様の波長範囲で光線透過率を測定した。
高温高湿雰囲気下に放置する前後の各波長の光線透過率の値の差が最大となる波長における光線透過率の値の差が5%以下のとき、ディスプレイ用フィルタの色素劣化は許容範囲である。
尚、下記実施例1〜3及び比較例1、2の近赤外線吸収色素を含有するディスプレイ用フィルタは、800〜1100nmの範囲で光線透過率の値の差が最大値を示す波長が、いずれも1080nmであった。また、下記実施例4のネオン光吸収色素を含有するディスプレイ用フィルタは、570〜610nmの範囲で光線透過率の値の差が最大値を示す波長が590nmであった。
(2)密着性
JIS K5400記載の碁盤目テープ法に準じて、得られたディスプレイ用フィルタの密着性を評価した。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。
<実施例1>
バインダ樹脂として、脂環式炭化水素基を有するオプトレッツOZ−1100(日立化成(株)製、酸価=0)とアクリル樹脂のダイヤナールBR−83(三菱レイヨン(株)製、酸価=2)とを1対1の割合で混合した樹脂(酸価=1)を、メチルエチルケトン/トルエン中(溶媒配合比=1:1)に固形分比が20%(質量基準)となるよう溶解した樹脂溶液19.6g中に、近赤外線吸収色素(日本化薬(株)、商品名:IRG−022)を0.2g添加して十分分散させて色素形成用塗布液を得た。この色素層形成用塗布液を、市販のPETフィルム上に、マイヤーバーにて乾燥膜厚が5μmになるように塗布し、風速5m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥して近赤外線吸収層を形成し、ディスプレイ用フィルタを得た。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は5.2%だった。得られたディスプレイ用フィルタを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000時間放置した結果、1080nmにおける光線透過率は5.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は0.3%であった。
また、温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000時間放置して得られたディスプレイ用フィルタの近赤外線吸収層と支持基材であるPETとの密着性をJIS K5400記載の碁盤目テープ法に準じて評価した結果、一目一目に剥がれが全くなかった。
<実施例2>
バインダ樹脂として、芳香族炭化水素基を有するスチレンとメタクリル酸メチル(Tg:105℃)と、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(Tg:26℃)との共重合体(酸価=0)と、アクリル樹脂のダイヤナールBR−87(三菱レイヨン(株)製、酸価=10.5)とを1対1の割合で混合した樹脂(酸価=5.3)を用いた以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。
なお、スチレンとメタクリル酸メチルとメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルとの共重合体は次のように合成した。200mlのビーカー内に、スチレン80gと、メタクリル酸メチル10gと、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル10gと、重合開始剤である過酸化ラウロイル0.4gと、分子量調整剤であるトリフェニルフォスフィン0.05gとを収容した。窒素でバブリングを行いながら、マグネティックスターラーを用いて均一組成のモノマー混合物とした。次いで、得られたモノマー混合物を加熱重合することにより、スチレンとメタクリル酸メチルとメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルとの共重合体を得た。
得られた近赤外線吸収フィルタの1080nmにおける光線透過率は5.5%だった。得られたディスプレイ用フィルタを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000時間放置した結果、1080nmにおける光線透過率は5.6%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は0.1%だった。
また、得られたディスプレイ用フィルタについて、実施例1と同様にPETと近赤外線吸収層間の密着性を評価した結果、一目一目に剥がれが全くなかった。
<実施例3>
バインダ樹脂として芳香族炭化水素基を有するスチレンとメタクリル酸メチル(Tg:105℃)とメタクリル酸エチル(Tg:65℃)との共重合体(酸価=0)とアクリル樹脂のダイヤナールBR−77(三菱レイヨン(株)製、酸価=18.5)とを5対2の割合で混合した樹脂(酸価=7.4)を用いた以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。
なお、スチレンとメタクリル酸メチルとメタクリル酸エチルとの共重合体は次のように合成した。200mlのビーカー内に、スチレン80gと、メタクリル酸メチル10gと、メタクリル酸エチル10gと、重合開始剤である過酸化ラウロイル0.4gと、分子量調整剤であるトリフェニルフォスフィン0.05gとを収容した。窒素でバブリングを行いながら、マグネティックスターラーを用いて撹拌し、均一組成のモノマー混合物とした。次いで、得られたモノマー混合物を加熱重合することにより、スチレンとメタクリル酸メチルとメタクリル酸エチルとの共重合体を得た。
得られた近赤外線吸収フィルタの1080nmにおける光線透過率は5.5%だった。これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000時間放置した結果、1080nmにおける光線透過率は5.6%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は0.1%だった。
また、得られたディスプレイ用フィルタについて、実施例1と同様にPETと近赤外線吸収層間の密着性を評価した結果、一目一目に剥がれが全くなかった。
<実施例4>
色素として、近赤外線吸収色素の代わりにネオン光吸収色素TY102(旭電化(株)製)を用いた以外は、前記実施例2と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。得られたディスプレイ用フィルタの590nmにおける光線透過率は25.1%だった。これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000時間放置した結果、590nmにおける光線透過率は25.3%となった。以上より、570〜610nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった590nmにおける光線透過率の値の差は0.2%だった。
また、得られたディスプレイ用フィルタについて、実施例1と同様にPETとネオン光吸収層間の密着性を評価した結果、一目一目に剥がれが全くなかった。
<比較例1>
バインダ樹脂としてオプトレッツOZ−1100とダイヤナールBR−83とを50対1の割合で混合した樹脂(酸価=0.04)を用いた以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。得られた近赤外線吸収フィルタの1080nmにおける光線透過率は5.4%だった。これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000時間放置した結果、1080nmにおける光線透過率は5.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は0.1%だった。
しかしながら、得られたディスプレイ用フィルタについて、実施例1と同様にPETと近赤外線吸収層間の密着性を評価したところ、評価面積に占める剥がれの割合が65%以上だった。
<比較例2>
オプトレッツOZ−1100とダイヤナールBR−77とを1対2の割合で混合した樹脂(酸価=12.3)を用いた以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。得られた近赤外線吸収フィルタの1080nmにおける光線透過率は5.7%だった。これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000時間放置した結果、1080nmにおける光線透過率は25.8%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は20.1%だった。
一方、得られたディスプレイ用フィルタについて、実施例1と同様にPETと近赤外線吸収層間の密着性を評価した結果、一目一目に剥がれが全くなかった。
<結果のまとめ>
実施例1〜4で得られたディスプレイ用フィルタは、高温高湿雰囲気下に1000時間放置した前後の光線透過率の値の差の最大値が許容範囲内であり、色素劣化に帰属する分光特性の変化は起きていなかった。また、高温高湿雰囲気下に1000時間放置したディスプレイ用フィルタの近赤外線吸収層又はネオン光吸収層と支持基材であるPETとの間は充分な密着性を有していた。
一方、バインダ樹脂の酸価が本発明の範囲より小さい比較例1で得られたディスプレイ用フィルタは、高温高湿雰囲気下に放置した後、分光特性の変化は許容範囲内であったが、密着性が不十分な結果となった。
また、バインダ樹脂の酸価が本発明の範囲を超える比較例2で得られたディスプレイ用フィルタは、高温高湿雰囲気下に放置した後、密着性は充分だったものの、分光特性の低下が認められた。
本発明のディスプレイ用フィルタの一例を示す概略断面図である。 本発明のディスプレイ用フィルタ及びこのディスプレイ用フィルタを表示面に配置されてなるディスプレイの一例を示す概略断面図である。 本発明のディスプレイ用フィルタの一例を示す概略断面図である。 本発明のディスプレイ用フィルタの一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 ディスプレイ用フィルタ
2 支持基材
3 色素層
4 積層体
5 機能層
5’ 機能層
6 ディスプレイパネル
7 ディスプレイ
8 ディスプレイパネル表示面
11 ディスプレイ用フィルタ

Claims (8)

  1. 少なくとも支持基材とバインダ樹脂中に色素を含有する層とが積層された積層構造を有するディスプレイ用フィルタであって、前記バインダ樹脂が少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を含有し、該バインダ樹脂の酸価が0.1以上10以下であることを特徴とするディスプレイ用フィルタ。
  2. 前記バインダ樹脂に、単独重合体でのガラス転移温度が85℃以上のアクリル系単量体から誘導される繰り返し単位と、単独重合体でのガラス転移温度が0℃以上85℃未満のアクリル系単量体から誘導される繰り返し単位とを有する共重合体が含まれることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用フィルタ。
  3. 前記バインダ樹脂に、単独重合体でのガラス転移温度が85℃以上のアクリル系単量体から誘導される繰り返し単位と、単独重合体でのガラス転移温度が0℃以上85℃未満のアクリル系単量体から誘導される繰り返し単位と、芳香族炭化水素基もしく脂環式炭化水素基を含有する単量体から誘導される繰り返し単位とを有する共重合体が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスプレイ用フィルタ。
  4. 前記バインダ樹脂中に含有される色素が、少なくとも800〜1100nmに吸収極大を有する近赤外線吸収色素であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタ。
  5. 前記バインダ樹脂中に含有される色素が、少なくとも570〜610nmに吸収極大を有する色素であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタ。
  6. 前記バインダ樹脂中に含有される色素が、少なくとも波長380〜570nm若しくは610〜780nmに吸収極大を有する色素であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタ。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタであって、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層もしくは二層以上の層を有することを特徴とするディスプレイ用フィルタ。
  8. 請求項1乃至7いずれか記載のディスプレイ用フィルタがディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とするディスプレイ。
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