JPH10156991A - 近赤外線吸収特性を備えた反射防止性フィルム - Google Patents

近赤外線吸収特性を備えた反射防止性フィルム

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JPH10156991A
JPH10156991A JP8317756A JP31775696A JPH10156991A JP H10156991 A JPH10156991 A JP H10156991A JP 8317756 A JP8317756 A JP 8317756A JP 31775696 A JP31775696 A JP 31775696A JP H10156991 A JPH10156991 A JP H10156991A
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film
layer
infrared
transparent resin
resin film
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JP8317756A
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English (en)
Inventor
Tokuji Ogawa
徳治 小川
Naoki Azuma
直樹 東
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、近赤外線を吸収し、同時に
室内光や太陽光等の外光の写り込みを防止すると共に、
輝度、コントラストの向上等に寄与できる近赤外線吸収
特性を備えた反射防止性フィルムを提供することにあ
る。 【解決手段】 透明樹脂フィルムの一方の面に反射防止
層を設け、他の面に近赤外線吸収剤を粘着剤や膜形成材
に含有させた層を設けて積層した近赤外線吸収特性を備
えた反射防止性フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイ等の映像表示パネル面に好適に使用でき、また貼付
けのできる近赤外線吸収特性を備え、かつ表面の外光反
射防止性をもつフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カラーテレビジョンに代表される
映像機器においては、映し出される画像の高精細化と大
画面化という市場要求により、従来のCRTを用いた直
視型テレビジョンに加えて、プラズマディスプレイ等を
用いた発光型パネル方式、液晶ディスプレイ等を用いた
非発光型パネル方式、映像プロジェクターが内蔵された
リアプロジェクション方式等のテレビジョンが進出しつ
つある。
【0003】中でも、発光型パネル方式のプラズマディ
スプレイは、光源或いは放電部を構成する各々の画素部
分の構造的要因により、可視光領域から赤外線波長領域
にわたって、カラー映像の3原色(赤、緑、青色)の波
長帯以外の光線が発せられ、例えば、波長が820n
m、880nm、980nm近辺等に強い近赤外線の放
射が測定される。そして、この近赤外線放射により周辺
機器に誤作動等の問題が生じている。これは、例えば、
テレビ、ビデオやクーラーのリモ−トコントローラー、
携帯通信、パソコン等の近赤外線通信機器等の作動波長
と合致しているためである。
【0004】そこで、近赤外線を吸収する光学フィルタ
ーの利用が考えられる。近赤外線吸収フィルターとして
は、植物の生育制御や太陽光線、アーク溶接等における
閃光及び熱線の遮蔽から眼を保護するサングラス或いは
ゴーグル等に多くの提案がある。例えば、特開昭54−
25060号公報には近赤外線を吸収するプラスチック
フィルム、特開昭57−198413号公報、特開昭6
1−11704号公報、および特開昭62−18730
2号公報等には熱可塑性樹脂にベンゼンジチオール系金
属錯体を配合した光学フィルター、さらに特開平7−1
00996号公報には透明なフィルム面に有機物の近赤
外線吸収層を形成し、その上に無機物の近赤外線吸収層
を積層形成する近赤外線吸収性フィルムが開示されてい
る。
【0005】しかしながら、これらの近赤外線吸収フィ
ルターは、映像機器の前面パネルとしての提案は無く、
映像機器の前面パネルとして用いた場合、全光線透過率
が低かったり、可視光波長全域での分光光線透過率に問
題がある。また、可視光波長域での分光光線透過率が高
くて近赤外線吸収領域の良好な化合物があっても耐熱安
定性に不安定なものが多く、前面パネルの樹脂に良好に
配合することが困難である。
【0006】一方、映像機器においては、内部構造の保
護等を目的として映像表示スクリーン部前面に樹脂パネ
ル等が使用されているが、室内の電灯、蛍光灯や太陽光
等の外光がこの樹脂パネルの表面で観察者の方向に反射
し、再生された映像、画像は観察者が見にくくなること
から、外光の反射防止の改善が望まれている。従来、外
光反射を防止する方法として、光の乱反射や光の干渉を
利用した多層蒸着膜を形成する方法等が提案されてい
る。例えば、特開平5−292437号公報には、平均
粒子が可視光の波長以下の超微粒子である2酸化ケイ素
等の塗布等によりパネル表面に直接の反射防止膜を形成
する方法、特開平5−307104号公報や特開平8−
144048号公報には透明プラスチックフィルムの上
面に硬化膜を形成し、その上に酸化アルミニウム層をス
パッタリング法で形成し、さらにフッ化マグネシウム層
を蒸着法により形成した反射防止膜の積層したフィルタ
ー、特開平6−160982号公報、特開平7−168
003号公報、特開平7−28169号公報、特開平8
−48935号公報、および特開平8−122501号
公報には樹脂基材の上に低屈折率層を形成する方法等が
開示されている。しかし、いずれにも外光反射防止機能
と近赤外線吸収特性を同時に併せ持ったフィルム等は提
案がなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、映像
機器表示装置の前面パネル用に映像機器の内部構造保護
以外に映像機器の表示面から放射される近赤外線による
周辺機器への誤作動の防止機能と同時に外光反射防止機
能を併せ持っており、映像機器表示装置の前面パネル用
に好適に使用することのできる近赤外線吸収特性を備え
た外光反射防止性フィルムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討した結果、透明樹脂フイルムの一
方の面に外光反射防止層を設け、他の面に近赤外線吸収
特性を付与した粘着剤層を積層とすることにより上記の
課題を達成することを見い出した。すなわち、本発明
は、透明樹脂フィルムの一方の面に反射防止層を形成
し、かつ該透明樹脂フイルムの他の面に近赤外線吸収剤
を0.005〜0.3wt%・mm含有する粘着剤層を
積層してなることを特徴とする近赤外線吸収特性を備え
た反射防止性フィルムであり、また透明樹脂フィルムの
一方の面に反射防止層を形成し、かつ該透明樹脂フイル
ムの他の面に近赤外線吸収剤を0.005〜0.3wt
%・mm含有する膜形成材層を形成すると共に、さらに
該膜形成材層上に粘着剤層を積層してなることを特徴と
する近赤外線吸収特性を備えた反射防止性フィルムであ
る。
【0009】さらに、反射防止層に非結晶性の透明含フ
ッ素重合体を用いることにより、また近赤外線吸収剤に
ジイミニウム系化合物またはジチオール・金属錯体系化
合物を用いることにより、さらに好ましく本発明の目的
が達成される。以下、本発明を詳細に説明する。本発明
に用いられる透明樹脂フィルムとは、光の散乱や拡散に
よる光量損失が小さく、JIS K−7105に準じて
測定した曇り度が10%以下となる物質として定義さ
れ、屈折率の大きい方が有利であり、一般的に入手し易
いポリエチレンテレフタレート(屈折率:1.65)の
ポリエステル系、ポリカーボネート(屈折率:1.5
8)、トリアセチルセルロース(屈折率:1.52)、
ポリメチルメタクリレート(屈折率:1.49)、ポリ
スチレン(屈折率:1.60)、ポリ塩化ビニル(屈折
率:1.53)等が適当な例として好ましく挙げられ
る。そして、透明樹脂フィルムの厚みは、25〜200
μmが好ましい。また、50〜150μmがさらに好ま
しい。透明樹脂フィルムの厚みが25μm未満では強度
が不足し、200μmを超えるとフィルムの剛性が高く
なり映像機器のディスプレィ表面への2次加工性に劣り
好ましくない。
【0010】本発明の反射防止層の形成方法に任意の加
工法を選択することができ、特に制限はない。外光を乱
反射させることにより視感反射率を低減させる方法、例
えば上記の透明樹脂フィルムの片面に粒子径が可視光の
波長以下の超微粒子である2酸化ケイ素等を塗布して光
の乱反射が生じる反射防止膜を形成する方法、または透
明樹脂フィルムの片面に硬化膜を形成し、その上にフッ
化マグネシウム層を蒸着法により反射防止層を形成する
方法、もしくは透明樹脂フィルムの片面または両面に薄
膜の屈折率層を形成する方法等が知られており、これら
の方法は適宜利用できる。
【0011】その中でも、薄膜の屈折率層を形成し、薄
膜層の表面反射光と界面における屈折反射光との光の干
渉により反射率を低減する方法が簡便で効果的である。
すなわち、透明樹脂フィルムの最外層に透明樹脂フィル
ム基材よりも低屈折率の薄膜を反射防止層として可視光
波長の1/4の膜厚で形成すると、その上面反射光と下
面反射光が打ち消し合う干渉効果により表面反射が低減
する。この反射防止層としての薄膜の屈折率は、透明樹
脂フィルムの屈折率より低いことが好ましく、非結晶性
の透明含フッ素系重合体が好ましい。
【0012】非結晶性の透明含フッ素系重合体よりなる
薄膜反射防止層は、屈折率が1.28〜1.44の透明
含フッ素系重合体を0.05〜0.25μmの厚さで形
成して得られ、その全光線反射率が7%未満のものが好
ましい。このような非結晶性の透明含フッ素重合体を反
射防止層とする低屈折率透明樹脂としては、例えばパー
フルオロオクタン,CF3(CF2 )nCH=CH
2(n:5〜11)、CF3(CF2 )mCH2 CH
3 (m:5〜11)等の特定のフッ素系溶剤に可溶な重
合体、アクリル酸含フッ素アルキルエステル重合体、メ
タクリル酸含フッ素アルキルエステル重合体、商品名
「サイトップ」(旭硝子社製)、および商品名「テフロ
ンAF」(デュポン社製)が知られる。これらは、スプ
レーコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロ
ールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等によ
り透明樹脂フィルム基材にコーティングされる。これら
のコート法は連続加工が可能であり、バッチ式の蒸着法
等に比べて生産性に優れる。なお、反射防止膜層の透明
樹脂フィルム面への密着性を高めるためにコロナ放電処
理または紫外線処理等の活性エネルギー線処理を施した
り、プライマー処理を施しても良い。
【0013】一方、市販の反射防止透明樹脂フィルムと
しては、商品名「アークトップ」(旭硝子社製)、含フ
ッ素ジ(メタ)アクリル酸エステルとフマル酸ジエステ
ルを構成単位として重合硬化して得られた商品名「リア
ルック」(日本油脂社製)等が知られており、外光反射
防止性能の高いものである。透明含フッ素重合体を反射
防止層とした薄膜の厚みは、0.05〜0.25μmの
範囲であり、この範囲を外れると反射防止性能が低く好
ましくない。映像画面を観察する際の可視光波長部の反
射を少なくするには、0.1〜0.2μmの厚さで全光
線反射率が5%未満がさらに好ましい。
【0014】また、特開平8−122501号公報に
は、5〜30nmの粒子径を有するシリカゾル(a)、
アルコキシシランの加水分解物、金属アルコキシドの加
水分解物および及び金属塩からなる群より選ばれた少な
くとも1種の成分(b)からなり、かつ(a)のSiO
2 100重量部に対し、(b)を金属酸化物に換算して
10〜50重量部の割合で有機溶媒に含有した塗布液を
基材に塗布した後、硬化することにより得られる低屈折
率反射防止膜が記載されており、良好に用いることがで
きる。
【0015】さらに、透明樹脂フィルムと反射防止層と
の間に帯電防止層を設けるとさらにディスプレイ用とし
て好適に用いられる。すなわち、帯電防止剤として酸化
錫などの金属酸化物、界面活性剤を用い、これらにより
得られる透明性導電剤層の表面抵抗値が1010Ω以下に
なることが望ましい。本発明の粘着剤や透明塗料、印刷
用透明インク等の膜形成材に添加して用いられる近赤外
線吸収剤は、有機系近赤外吸収化合物であり、シアニン
系、アズレニウム系、スクアリウム系、クロコニウム
系、トリフェニルメタン系、オキサジン系、アジン系、
トリスアゾトリフェニルアミン系、ナフトキノン系、ナ
フタロシアニン金属錯体系、インドアニリン金属錯体、
ジチオール・金属錯体系、ジイミニウム系化合物等が挙
げられる。この中で好ましい近赤外線吸収化合物として
は、ジチオール・金属錯体系、ジイミニウム系化合物等
である。
【0016】ジチオール・金属錯体系化合物は、式
(1)で示される。
【0017】
【化1】
【0018】(式中、R1〜4は互いに同一もしくは相
異なるフェニル基、又はナフチル基を示し、水素、アル
キル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ
基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、アルキルアミノ基、
アリールアミノ基、トリフルオロメチル基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、ニトロ基、シアノ基、又はハロ
ゲン原子によって1〜3個、同一又は相異なって置換さ
れていても良い。また、Mはニッケル、白金、パラジウ
ムのいずれかの金属である。) ジチオール・金属錯体系色素は、可視光線領域における
光吸収率が極めて小さく、また紫外線領域を吸収し近赤
外線領域に有する極大吸収波長の吸光度が極めて大きい
ことから映像機器用前面パネルとしての視感度光線透過
率が高い。さらに、ジチオール・金属錯体系化合物は、
熱安定性が良好で吸湿性を有せず水と接触させても極め
て安定な化合物であり、透明樹脂への配合が容易であ
る。このようなジチオール・金属錯体系色素類は、ハリ
ー・ビー・グレイ等がジャーナル・オブ・ジ・アメリカ
ン・ケミカル・ソサイェティ(J.A.C.S、88
巻、4870〜4875頁、1966年)において開示
された方法に準じて、ジチオール類と塩化ニッケルとを
反応させ、ついでこの反応液に第4級アンモニュウムハ
ライドを反応させて得ることができる。第4級アンモニ
ュウム基としては、テトラ−n−ブチルアンモニュウム
基、テトラ−n−プロピルアンモニュウム基、トリオク
チルメチルアンモニュウム基などが用いられる。上記の
一般式中、Xがメトキシ基置換ジチオール・ニッケル錯
体系化合物は、820nmに極大吸収波長が有り、映像
表示部の前面に設置されるプラズマデイスプレイのスク
リーン用パネル成形体として優れ好ましいものである。
【0019】また、ジイミニウム系化合物は、式(2)
で示される。
【0020】
【化2】
【0021】(式中、R5〜12は互いに同一もしくは
相異なる水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ
基、フェノキシ基、ヒドロキシ基であり、X- は、ハロ
ゲンアニオン、過塩素酸アニオン、6フッ化アンチモン
酸アニオン、硝酸アニオンで表される陰イオンであ
る。) 上記ジイミニウム系化合物としては特に限定されず、例
えば共同薬品社製IRA−022(商品名)、日本カー
リット社製CIR−1080(商品名)、日本化薬社製
IRG−022(商品名)等の市販品を好適に用いるこ
とができる。中でも、ジイミニウム系化合物の式(2)
中、R5〜12はn−ブタンである化合物が特に好まし
い。
【0022】このジイミニウム系化合物は、可視光線領
域における光吸収率が極めて小さく、また紫外線領域を
吸収し近赤外線領域に有する極大吸収波長の吸光度が極
めて大きいことから映像機器用前面パネルとしての視感
度光線透過率が高い。このジイミニウム系化合物は、近
赤外線域の940〜1100nmに極大吸収波長を有す
る。
【0023】映像機器用前面パネルとしては、可視光領
域の400〜700nmを透過し、800〜1100n
mの広い領域での近赤外線吸収特性が要求されることか
ら、ジチオール・金属錯体系化合物とジイミニウム系化
合物を併用して用いることが好ましい方法である。この
近赤外線吸収剤は、可視光の吸収が小さく、近赤外線の
吸収が大きい特徴を有する。
【0024】この近赤外線吸収剤を透明樹脂フィルムに
積層するには、近赤外線吸収剤を粘着剤中に分散させ、
この粘着剤を透明樹脂フィルムの一方の面に塗工するこ
とにより実施できる。この塗工、すなわちコーティング
方式は、グラビヤコーティング、マイヤーバーコーティ
ング、リバースロールコーティング、エアーナイフコー
ティング、ドクターブレード法等が用いられる。粘着剤
層中に近赤外線吸収剤を分散させる方法は、コーティン
グ方式が効率的に実施でき、しかも透明樹脂フィルムに
近赤外線吸収剤を確実に被着させることができる点で好
ましい方法である。この時、粘着特性を損なわない範囲
に於いて他の成分、例えば補強剤、熱安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤等を任意に含有させることができる。
【0025】また、近赤外線吸収剤を透明樹脂フイルム
に積層する他の方法として、アクリル系透明塗料、印刷
用透明インキ、紫外線硬化型ウレタンアクリレート、ウ
レタン樹脂やポリエステル系バインダー樹脂等の膜形成
材に、溶剤とともに近赤外線吸収剤を溶解・分散させ、
透明樹脂フィルムの他の面に塗工又は印刷することによ
り近赤外線吸収剤を含む薄膜層を容易に設けることがで
きる。その塗工方法としては、浸漬コーティング法、ス
プレー、スピンナーコーティング法、ビードコーテイン
グ法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティ
ング法、ローラーコ−ティング法、カーテンコーテング
法などの方法を用いて行うことができる。
【0026】透明樹脂フィルム面に近赤外線吸収剤を積
層し、被着させる量は、粘着剤または膜形成材の厚みに
大きく関係する。所望する近赤外線波長領域の分光透過
率が40%以下、好ましくは20%以下、さらに好まし
くは10%以下に調整され、粘着剤または膜形成材に配
合される。透過率は、Lambert−Beerの法則
より、吸収剤の重量濃度とその厚みとの間に次の関係を
持つことが知られている。
【0027】−Log(T/t)=E×C×B (Tは吸収剤を添加したときの粘着剤または膜形成材の
透過率、tは粘着剤または膜形成材のみの透過率、Eは
吸光係数で定数、Cは吸収剤の重量濃度、Bは粘着剤ま
たは膜形成材の厚み) すなわち、透過率を支配するのは重量濃度と厚みとの積
である。この単位をwt%・mmで表すことにする。こ
れは、単位厚みあたりの重量濃度が重要で透過率を一定
とした場合、例えば吸収剤濃度を1wt%で粘着剤また
は膜形成材の厚みを5mmの場合と吸収剤濃度を0.5
wt%で粘着剤または膜形成材の厚みを10mmの場合
では、何れも5wt%・mmとなり、透過率も等しい。
【0028】この発明における単位厚み当たりの配合量
は、0.005〜0.3wt%・mm必要であり、好ま
しくは0.01〜0.1wt%・mmである。すなわ
ち、近赤外線吸収剤を配合した粘着剤または膜形成材を
10μmの厚みで積層する場合、その含有量は0.5〜
30wt%、好ましくは1〜10wt%である。粘着剤
または膜形成材に配合される近赤外線吸収の配合量が、
0.005wt%・mm未満では、近赤外線波長領域で
の分光透過率が高く、近赤外線の吸収特性が満足されな
い。また、配合量が0.3wt%・mmを越えると、近
赤外線波長領域での分光透過率が低く、近赤外線の吸収
特性が満足されるが可視光線領域での光線透過率が大き
く低下して好ましくない。
【0029】近赤外線吸収剤を単独で用いることもでき
るが、ジチオール・金属錯体系化合物とジイミニウム系
化合物を併用して用いる場合は、各々の特性よりさらに
好ましく効果的である。本発明で用いる粘着剤として
は、通常の粘着シート、粘着フィルムに使用されるもの
であれば、特に限定することなく使用することができ
る。中でも、透明で主成分樹脂のガラス転移温度が−5
0℃〜−130℃の範囲にあるポリアクリル酸ブチル、
ポリアクリル酸2−エチルへキシルを使用したアクリル
酸エステル系、ポリイソブチレン系、SBR系、天然ゴ
ム等のゴム系、ウレタンーアクリレート系、エポキシー
アクリレート系、シリコーンゴム系、塩化ビニール系又
は酢酸ビニル含有量が20〜40%のエチレン酢酸ビニ
ル系が好ましい。粘着付与剤としては、ロジン、ロジン
エステル及びその誘導体、テルペン樹脂、フェノール樹
脂、クマロン−インデン樹脂、炭化水素樹脂等が使用さ
れ、さらに軟化剤として脂肪酸エステル、動植物油脂、
ワックス、石油重質留分が用いられ、透明で主成分樹脂
との相溶性より適宜選択される。
【0030】粘着層の厚みは、5〜200μmの範囲で
透明性が高く好ましい。粘着層の厚みが5μm未満で
は、粘着剤を均一に形成することが困難で、200μm
を超えると、例えば夏期の高温下でディスプレイパネル
表面等への積層一体化の際に皺等の欠陥が生じ易く好ま
しくない。さらに好ましい粘着剤層の厚さは、10〜1
00μmである。
【0031】この粘着剤層は、転写印刷、ナイフコータ
ー、ロールコーター、グラビアコーター等の通常使用さ
れる塗布方法により塗布し、赤外線、熱風、蒸気等によ
り加熱乾燥され透明樹脂フィルムの片面に形成する。本
発明で得られる近赤外線吸収特性を備えた反射防止性フ
ィルムは、プラズマディスプレイ等近赤外線を放射する
映像表示パネル面に貼り付けることにより、近赤外線を
吸収し同時に外光の写り込み防止性を発揮し、輝度の向
上、コントラストの向上等に寄与できる。映像表示パネ
ル面に貼り付ける方法としては特に制限はなく、粘圧着
或いは熱融着等の方法が適宜選択される。又、粘着層及
び反射防止膜層を保護するための保護フィルム、マスキ
ングフィルムを有していても良い。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、実施例で本発明を具体的に
説明する。なお、各実施例で用いた試験方法は次の通り
である。なお、実施例で得られた近赤外線吸収特性を備
えた反射防止フイルムより規定の大きさに切り取り、マ
スキングのポリエチレン系保護フイルムを剥がして試験
片とした。
【0033】(1)分光光線透過率:3cm×3cmの
試験片を作成し、日立製作所社製自記分光光度計(モデ
ル330型)を用いて、この試験片の400〜1100
nmの波長範囲での透過スペクトルを測定し、任意の波
長に於ける分光光線透過率を読みとる。 (2)分光反射率:3cm×3cmの試験片を作成し、
日立製作所社製自記分光光度計(モデル330型)を用
いて、入射角5°の正反射光の分光反射率を測定し、5
50nmの反射率を外光反射率とする。
【0034】(3)帯電防止性能:JIS K 691
1に基づき、5cm×5cmの試験片を東亜電波社製超
絶縁計(SME−8310型)にセットして、試験片表
面の2電極間に付加した直流電圧を表面層を通して流れ
る電流で除した表面抵抗値を測定した。
【0035】
【実施例1、比較例1】連続した長尺の厚さ100μm
のポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面にプ
ライマー(旭硝子製;商品名CT−P10)を成分0.
5%に希釈し、グラビアコーティング法にて連続的に塗
布、乾燥してプライマー処理を行った。つぎに、この上
に非結晶性の透明含フッ素重合体(旭硝子社製;商品名
「サイトップCTL−102A」をロールフィルム搬送
系を有するコーターでグラビアコーティング法にて連続
的に塗布、乾燥し、均一な0.1μmの薄膜を積層し、
反射防止の薄膜を形成し、その上にポリエチレン系保護
フィルムを用い、マスキングを行った。つぎに、反射防
止層の膜を形成した反対の面に酢酸ビニールとアクリル
酸エステル共重合体を主成分樹脂とし、粘着付与剤とし
てロジン、坑酸化防止剤としてパラオクチルフェノール
を処方した粘着剤100部に、近赤外線吸収剤としてジ
イミニウム系化合物(日本化薬社製、商品名:IRG−
022)0.5部を均一に分散配合したものを、グラビ
アコーティング法で40μmの厚みでコーテングし、粘
着剤の層を形成した。この層の上にポリエチレン系保護
フィルムを用いマスキングを行い、近赤外線吸収特性を
備えた反射防止性フィルムを得た。得られたフイルムの
分光光線透過率と分光反射率を測定し、透過率と波長と
の関係を図1に示した。分光反射率は、4.7%であっ
た。
【0036】一方、比較例として未処理ポリエチレンテ
レフタレートフィルムの分光光線透過率と分光反射率を
測定した。その結果、近赤外線領域での吸収は認められ
なく(図1参照)、また分光反射率も、8.5%であっ
た。
【0037】
【実施例2】透明樹脂フィルムの一方の面に反射防止膜
を形成した日本油脂社製、商品名:リアルック(厚さ1
00μmのトリアセチルセルロースをベースに帯電防止
性能を付与し透明含フッ素重合体の反射防止層膜を形成
したもの)のロール巻き原反を用い、その反射防止層膜
を形成した反対の面に、酢酸ビニールとアクリル酸エス
テル共重合体を主成分樹脂とし、粘着付与剤としてロジ
ン、坑酸化防止剤を処方した粘着剤100部に、近赤外
線吸収剤としてジチオール・金属錯体系化合物(三井東
圧化学社製、商品名:SIR−159)を1部、ジイミ
ニウム系化合物(日本化薬社製、商品名:IRG−02
2)0.5部を併用したものを、グラビアコーティング
法で40μmの厚みでコーテングして粘着剤層を形成
し、近赤外線吸収特性を備えた反射防止性フィルムを得
た。得られたフイルムの分光光線透過率を測定し、透過
率と波長の関係を図1に示した。なお、表面抵抗値は1
8Ω、反射率は、2.5%であった。
【0038】
【実施例3】実施例2で用いた日本油脂社製、商品名:
リアルックの反射防止層膜を形成した反対の面に、アク
リル酸系透明印刷インキ100部にジイミニウム系化合
物(日本化薬社製、商品名:IRG−022)2.0部
を溶解分散させたものをロールコーター法で10μmの
厚みに印刷し、乾燥して膜形成材の層を形成した。さら
に、この層の上に主成分樹脂として酢酸ビニールとアク
リル酸エステル共重合体を、粘着付与材としてロジン、
坑酸化防止剤を処方した透明粘着剤をグラビアコーティ
ング法で約40μmの厚みで積層し、さらにその上にポ
リエチレン系保護フィルムでマスキングを行い、近赤外
線吸収特性を備えた反射防止性フィルムを得た。得られ
たフイルムの分光光線透過率を測定したところ、実施例
1と同様の特性を示した。なお、反射率は4.0%、表
面抵抗値は、108 Ωであり、反射率、帯電防止性能及
び近赤外線吸収特性は共に良好であった。
【0039】
【発明の効果】本発明の近赤外線吸収特性を備えた反射
防止性フィルムによれば、映像機器の表示面から放射さ
れる近赤外線による周辺機器への誤作動の防止と太陽光
線等の外からくる光の反射防止をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られた近赤外線吸収特性を備え
た反射防止フイルムの分光光線透過率と波長との関係を
示す図。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明樹脂フィルムの一方の面に反射防止
    層を形成し、かつ該透明樹脂フイルムの他の面に近赤外
    線吸収剤を0.005〜0.3wt%・mm含有する粘
    着剤層を積層してなることを特徴とする近赤外線吸収特
    性を備えた反射防止性フィルム。
  2. 【請求項2】 透明樹脂フィルムの一方の面に反射防止
    層を形成し、かつ該透明樹脂フイルムの他の面に近赤外
    線吸収剤を0.005〜0.3wt%・mm含有する膜
    形成材層を形成すると共に、さらに該膜形成材層上に粘
    着剤層を積層してなることを特徴とする近赤外線吸収特
    性を備えた反射防止性フィルム。
  3. 【請求項3】 反射防止層が非結晶性の透明含フッ素重
    合体であることを特徴とする請求項1または2記載の近
    赤外線吸収特性を備えた反射防止性フィルム。
  4. 【請求項4】 近赤外線吸収剤がジイミニウム系化合物
    および/またはジチオール・金属錯体系化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1、2または3記載の近赤外線吸
    収特性を備えた反射防止性フィルム。
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