JPH10157013A - 撥液膜の形成方法 - Google Patents

撥液膜の形成方法

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JPH10157013A
JPH10157013A JP32006396A JP32006396A JPH10157013A JP H10157013 A JPH10157013 A JP H10157013A JP 32006396 A JP32006396 A JP 32006396A JP 32006396 A JP32006396 A JP 32006396A JP H10157013 A JPH10157013 A JP H10157013A
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Atsushi Shirasawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚がより厚くかつこの膜厚が均一な撥液膜
の形成方法を提供する。 【解決手段】 金属アルコキシドと、アルコキシル基の
一部がフルオロアルキル基により置換されているフルオ
ロアルキル基置換アルコキシドとを含む被覆溶液を基材
に塗布し、次いで焼成することからなる撥液膜の形成方
法において、前記被覆溶液を基材に塗布する前に前記フ
ルオロアルキル基置換アルコキシドの重合を促進させて
おく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撥液膜の形成方法
に関する。より詳細には、本発明は、ゾル−ゲル法を用
いて、より厚くかつ均一に撥液膜を形成する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、内燃機関の燃焼室は、長期間使
用するとその壁面にデポジットが付着する。このデポジ
ットにより、シリンダライナが磨耗し、その結果として
オイル漏れが生じて、オイル消費量が増加するという問
題がある。また、煤は燃焼室の壁面に焼き付き、これに
燃料が濡れ状態となって付着するため、未燃焼の炭化水
素や煤の排出量が多くなるといった問題もある。
【0003】このような問題を解決するために、燃焼室
の内壁面に撥液処理を施すことが従来より提案されてい
る。その一つとして、例えば特開平7−246365号
では、金属アルコキシドと、アルコキシル基の一部がフ
ルオロアルキル基により置換されたフルオロアルキル基
置換金属アルコキシドからゾル−ゲル法により撥液膜を
形成する方法が提案されている。すなわち、フルオロア
ルキル基を含む物質は撥水撥油性を有することが知られ
ており、このフルオロアルキル基を被覆膜の表面に存在
させることにより撥液性を付与している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法において、
金属アルコキシドとフルオロアルキル基置換金属アルコ
キシドを含む被覆溶液に、撥液性を付与しようとする基
材を浸漬した場合、フルオロアルキル基置換金属アルコ
キシドは界面活性剤様の化合物であるため、優先的に基
材の表面に吸着する。その結果、この界面活性様の特性
により、被覆液をはじいてしまい、被覆液をさらに付着
させることができず、結果として得られる膜厚が極端に
薄く、実用に適さないといった問題がある。また、膜厚
が均一ではないという問題もある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに1番目の発明によれば、金属アルコキシドと、アル
コキシル基の一部がフルオロアルキル基により置換され
ているフルオロアルキル基置換アルコキシドとを含む被
覆溶液を基材に塗布し、次いで焼成することからなる撥
液膜の形成方法において、前記被覆溶液を基材に塗布す
る前に前記フルオロアルキル基置換アルコキシドの重合
を促進させておく。
【0006】また、2番目の発明では上記問題点を解決
するために1番目の発明において、前記フルオロアルキ
ル基置換アルコキシドの重合が、このフルオロアルキル
基置換アルコキシド中のアルコキシル基の半分以上が脱
水縮合するまで促進されている。
【0007】また、3番目の発明では上記問題点を解決
するために1番目の発明において、前記被覆溶液に超音
波を印加することにより前記フルオロアルキル基置換ア
ルコキシドの重合を促進している。
【0008】また、4番目の発明では上記問題点を解決
するために1番目の発明において、前記被覆溶液に紫外
線を照射することにより前記フルオロアルキル基置換ア
ルコキシドの重合を促進している。
【0009】また、5番目の発明では上記問題点を解決
するために1番目の発明において、前記被覆溶液に温度
差10度以上の冷熱サイクルを付与することにより前記フ
ルオロアルキル基置換アルコキシドの重合を促進してい
る。
【0010】また、6番目の発明では上記問題点を解決
するために1番目の発明において、前記被覆溶液中の溶
媒量を、モル比でアルコキシド全量に対し4以下とする
ことにより前記フルオロアルキル基置換アルコキシドの
重合を促進し、次いで溶媒を加えて希釈後に基材に塗布
している。
【0011】上記のように、フルオロアルキル基置換ア
ルコキシドはフリーな状態で被覆溶液中に存在している
と、他の金属アルコキシドよりも優先的に基材に付着
し、その結果、被覆膜を厚くすることができない。本発
明では、被覆溶液中のフルオロアルキル基置換アルコキ
シドの重合を促進させておき、フリーなフルオロアルキ
ル基置換アルコキシドを重合体に転化した後に基材に塗
布するため、このフリーなフルオロアルキル基置換アル
コキシドが優先的に基材に付着することがなくなり、被
覆溶液をより厚く付着させることができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる金属ア
ルコキシドとは、下式 M(OR)n (1) で表されるものであり、上式中、Mは金属であり、Rは
アルキルであり、nは金属Mの酸化数である。金属Mと
しては種々のものを用いることができ、目的とする金属
酸化物に対応するものを用いる。金属の例としては、限
定するものではないが、Li、Na、Cu、Ca、S
r、Ba、Zn、B、Al、Ga、Y、Si、Ge、P
b、P、Sb、V、Ta、W、La、Nd等を挙げるこ
とができる。アルキルとしては、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル等を用いることができる。従って、金属ア
ルコキシドとしては、LiOCH3、NaOCH3、Cu(OCH3)2 、Ca
(OCH3) 2 、Sr(OCH3)2 、Ba(OCH3)2 、Zn(OCH3)2 、B(OC
H3)3、Al(i-OC3H7)3、Ga(OC2H5)3、Y(OC4H9)3 、Si(OC2
H5)4、Ge(OC2H5)4、Pb(OC4H9)3、PO(OCH3)3 、Sb(OC
2H5)3、VO(OC2H5)3、Ta(OC3H7)5、W(OC2H5)6 、La(OC3H
7)3、Nd((OC2H5)3 が例示される。
【0013】フルオロアルキル基置換アルコキシドは、
下式 Rfm −M(OR)n-m (2) (上式中、Rfはフルオロアルキル基であり、Mは上記
金属であり、nは金属Mの原子価であり、そしてmはフ
ルオロアルキル基の数である)で表されるように、上記
金属アルコキシドのアルコキシル基ORの一部がフルオ
ロアルキル基で置換されているものである。
【0014】このフルオロアルキル基Rfとは、下式 CF3(CF2)x −C2 4 − (3) で表されるものである。ここでxはCF3 基が基材表面
に整然と配列するためには5〜10であることが好まし
い。
【0015】このフルオロアルキル基の存在により、得
られた被覆膜に撥液性が付与され、デポジットの付着が
防止される。フルオロアルキル基置換金属アルコキシド
の量は多いほどその効果は高いが、逆に多くなると被覆
膜の強度が低下する。従って、その量は金属アルコキシ
ドの量の0.3 〜30モル%であることが好ましい。
【0016】このフルオロアルキル基置換アルコキシド
において、フルオロアルキル基の数、すなわち上記式
(2) におけるRfの数mは多いほど得られる被覆膜の撥
液性が高いが、逆にフルオロアルキル基の数が多すぎる
と、立体障害によってフルオロアルキル基が被覆膜の表
面に密に配列することができなくなるため、このフルオ
ロアルキル基の数mは1であることが好ましい。
【0017】本発明の方法は、これらのアルコキシドを
用いて、ゾル−ゲル法により被覆膜を形成することに基
づく。ゾル−ゲル法とは、一般には、金属の有機もしく
は無機化合物を溶液とし、この溶液中で該化合物の加水
分解・重縮合反応を進行させてゾルをゲルにして固化
し、このゲルを加熱することによって酸化物固体を製造
する方法である。本発明は、例えばディップコーティン
グ法により、このゲル溶液に基材を浸漬し、次いで焼成
することにより被覆膜を形成する。
【0018】具体的には、上記の金属アルコキシド及び
フルオロアルキル基置換アルコキシドに水(加水分解
用)、アルコール(均質溶液調製用)、酸もしくは塩基
(触媒作用)を加え、被覆溶液を調製する。アルコール
としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール等が用いられる。触媒として用いられ
る酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、フッ酸が例示され
る。塩基としては、処理後に揮発によって除去できるア
ンモニアが用いられる。また、この溶液にゾル−ゲル法
において公知の添加剤、例えばアセチルアセトン等を加
えてもよい。
【0019】従来は、こうして製造した被覆液を調製
後、比較的速い段階で基材に塗布していたため、この被
覆液中にはフリーのフルオロアルキル基置換アルコキシ
ドが存在しており、上記のような問題が生じる。そこ
で、本発明では、この被覆液を基材に塗布する前にフル
オロアルキル基置換アルコキシドの重合を促進させてお
く。すなわち、下式に示すように、上記式(2) で表され
るフルオロアルキル基置換アルコキシド及び金属アルコ
キシドを加水分解させ、重縮合させる。
【0020】
【化1】
【0021】例えば、金属として珪素を用いた場合、下
式で表されるようにして重合を促進する。
【化2】
【0022】このように、重合を行うことによりフリー
なフルオロアルキル基置換アルコキシドはアルコキシル
基の脱水縮合により、高分子化する。フルオロアルキル
基置換アルコキシドには複数のアルコキシル基が存在し
ているが、重合を促進することにより、このアルコキシ
ル基が次々と脱水縮合される。フルオロアルキル基置換
アルコキシドの基材への優先的な付着をより効果的に抑
制するためには、このフルオロアルキル基置換アルコキ
シドに存在するアルコキシル基の半分以上を脱水縮合す
ることが好ましい。
【0023】このフルオロアルキル基置換アルコキシド
は、被覆液中で徐々に重合する。しかしながら、このよ
うな重合では、十分な効果を達成する被覆液を得るため
には、室温において10日以上放置することが必要であ
る。そこでこの重合を促進することが好ましい。この重
合促進手段としては、例えば、被覆溶液に超音波を印加
すること、紫外線を照射すること、温度差10℃以上の冷
熱サイクルを与えること等が例示される。また、初期の
被覆液中の溶媒量を少なくし、すなわちフルオロアルキ
ル基置換アルコキシドの濃度を高め、この溶液を放置し
ておいてもよい。この際、溶液中の溶媒の量は、モル比
で溶液中のアルコキシドの全量の4倍以下とすることが
好ましい。
【0024】こうしてフルオロアルキル基置換アルコキ
シドを重合させておいた被覆溶液を、基材、例えばピス
トン、シリンダヘッド等に被覆する。被覆法は、ディッ
ピング、スピンコート、スプレー等の公知の被覆方法を
用いることができる。本発明の方法により、特に上記の
ようなフルオロアルキル基置換アルコキシドの重合促進
手段を被覆液を被覆させる前に施しておくことにより、
従来の方法よりも厚く、かつ厚さが均一な被覆膜を得る
ことができる。通常、この被覆膜の厚さは50〜1000nmで
ある。
【0025】次いでこの被覆膜を焼成する。通常、この
焼成工程の前に水や溶媒を除去する乾燥工程が行われ
る。この乾燥工程において、フルオロアルキル基が被覆
膜の表面上に濃縮する。その結果、得られる被覆膜の表
面上に多くのフルオロアルキル基が偏在し、撥液性に大
きく寄与する。焼成工程はゾル−ゲル法における一般的
な方法によって行ってよく、大気中もしくは非酸化性雰
囲気中で200 〜500 ℃において行われる。大気中で焼成
を行う場合は、フルオロアルキル基の分解を防ぐため35
0 ℃以下で行うことが好ましい。
【0026】これらの工程により、撥液性に優れた被覆
膜が得られる。さらに、この被覆膜の上にフッ素樹脂を
被覆してもよい。本発明により得られる被覆膜はフルオ
ロアルキル基を含んでおり、さらにこのフルオロアルキ
ル基が表面に偏在しているため、フッ素樹脂とのなじみ
がよく、より密着性の高いフッ素樹脂被膜が得られる。
【0027】
【実施例】
実施例1 下記成分 テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4) 100g ヘプタデカフルオロデシル トリメトキシシラン(CF3(CF2)7C2H4Si(OCH3)3) 30g エタノール 1000g 0.05N HCl 120g をポリエチレンビーカーに入れ、30分間攪拌混合した。
次いでこの溶液を密封容器に移し、25℃にて1日〜20日
放置し、エージングを行った。この被覆液を用い、ディ
ッピング法(引上げ速度30mm/min) によりアルミニウム
基板上に成膜を行い、任意の100 点において自動エリプ
ソメーターにより膜厚を測定し、平均膜厚とその標準偏
差をもとめた。被覆液のエージング日数に対するこの平
均膜厚とその標準偏差の結果を図1に示す。
【0028】図1の結果より明らかなように、被覆膜の
エージングが不十分では、得られる被膜の厚さは薄く、
かつその標準偏差は大きい。すなわち部位によって厚さ
のばらつきが大きく、均一でないことを示している。一
方、被覆液をエージングさせることにより、フルオロア
ルキル基置換アルコキシドの重合が進行し、得られる被
覆膜の厚さが厚くなり、かつ標準偏差の小さい、すなわ
ち厚さの均一な膜が得られる。
【0029】このように被覆液をエージングさせること
によるフルオロアルキル基置換アルコキシドの重合によ
る変化を調べるため、上記のようにして製造した被覆液
から経時的にサンプルを取り出し、29Si NMRによ
り構造を調べた。このNMRスペクトルを図2〜図6に
示す。図2は、エージング5時間後の被覆液のスペクト
ルである。この図中の記号は以下の化合物を示してい
る。 MF :Rf Si-(OR)3 、 SF :Rf Si-(OR)2-(OSi)- DF :Rf Si-(OR)-(OSi)2- 、TF :Rf Si-(OSi)3- 、 SS :Si-(OR)3-(OSi)-、DS :Si-(OR)2-(OSi)2- TS :Si-(OR)-(OSi)3- 、QS :Si-(OSi)4- q1 :Si-(OEt)3−OSi、q2 :Si-(OEt)2-(OSi)2- q3 :Si-(OEt)-(OSi)3- 、 Q0 :Si(OX)4 、 Q1 :Si(OX)3-(O)- Q2 :Si(OX)2-(O)2- 、Q3 :Si(OX)-(O)3- Q4 :Si−(O)4- 、 X:アルカリ金属又はアルカリ土類金属
【0030】この図より、エージング当初に見られたM
F のスペクトルがエージングと共に減少し、図4aに示
すエージング3日後には完全に消失し、一方、この3日
目からTF のスペクトルが現れた。さらにエージングを
進め、図5aに示す10日後にはSF のスペクトルが消滅
した。すなわち、エージング当初はフリーなCF3(CF2) 7C
2H4Si(OCH3)3が存在していたが、エージングと共に重合
し、10日後には3つのメトキシ基のうち2つ以上のメト
キシ基が脱水縮合し、フリーなCF3(CF2)7C2H4Si(OCH3)3
は存在していないことを示している。
【0031】実施例2 実施例1と同一成分を同一量用い、ポリエチレン容器内
で30分間攪拌混合した。この溶液を密封容器に移した
後、超音波を印加することのできる水槽にセットし、1
日間超音波(50Hz、100W) を印加した。次いで、この溶
液を用い、ディッピング法(引上げ速度30mm/min) によ
りアルミニウム基板上に成膜を行い、任意の100 点にお
いて自動エリプソメーターにより膜厚を測定し、平均膜
厚とその標準偏差をもとめた。その結果、平均膜厚80n
m、標準偏差12nmであり、短時間で被覆膜形成に適した
被覆液を調製することができた。この被覆液のサンプル
について実施例1と同様にNMRを測定したところ、実
施例1における10日間エージングを行ったサンプルと同
等のCF3(CF2)7C2H4Si(OCH3)3の重合度を示していた。
【0032】実施例3 実施例1と同一成分を同一量用い、ポリエチレン容器内
で30分間攪拌混合した。この溶液をガラス製密封容器に
移した後、キセノンランプにより紫外線を5時間照射し
た。次いで、この溶液を用い、ディッピング法(引上げ
速度30mm/min)によりアルミニウム基板上に成膜を行
い、任意の100 点において自動エリプソメーターにより
膜厚を測定し、平均膜厚とその標準偏差をもとめた。そ
の結果、平均膜厚80nm、標準偏差15nmであり、短時間で
被覆膜形成に適した被覆液を調製することができた。こ
の被覆液のサンプルについて実施例1と同様にNMRを
測定したところ、実施例1における10日間エージングを
行ったサンプルと同等のCF3(CF2)7C2H4Si(OCH3)3の重合
度を示していた。
【0033】実施例4 実施例1と同一成分を同一量用い、ポリエチレン容器内
で30分間攪拌混合した。この溶液を密封容器に移した
後、図7に示すように、10℃に1時間、次いで30℃に1
時間の冷熱サイクルを1日〜10日間付与した。次いで、
この溶液を用い、ディッピング法(引上げ速度30mm/mi
n) によりアルミニウム基板上に成膜を行い、任意の100
点において自動エリプソメーターにより膜厚を測定
し、平均膜厚とその標準偏差をもとめた。その結果を図
8に示す。この結果、図1の結果と比較し、25℃の一定
温度で10日間エージングを行った被覆液と同等の膜厚及
び標準偏差を示す被覆液が、冷熱サイクルを付与するこ
とにより5日で得ることができた。この5日目における
被覆液のサンプルのNMRスペクトルを測定した結果、
実施例1における10日間エージングを行ったサンプルと
同等のCF3(CF2)7C2H4Si(OCH3)3の重合度を示していた。
【0034】実施例5 下記成分 テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4) 100g ヘプタデカフルオロデシル トリメトキシシラン(CF3(CF2)7C2H4Si(OCH3)3) 30g エタノール 100g 0.05N HCl 120g をポリエチレンビーカーに入れ、30分間攪拌混合した。
次いでこの溶液を密封容器に移し、25℃にて1日放置
後、エタノールを900g追加し、さらに攪拌を10分間行っ
た。この被覆液を用い、ディッピング法(引上げ速度30
mm/min) によりアルミニウム基板上に成膜を行い、任意
の100 点において自動エリプソメーターにより膜厚を測
定し、平均膜厚とその標準偏差をもとめた。その結果、
平均膜厚83nm、標準偏差8nmであり、均一な膜が得られ
た。この被覆液のサンプルについて実施例1と同様にN
MRを測定したところ、実施例1における10日間エージ
ングを行ったサンプルと同等のCF3(CF2)7C2H4Si(OCH3)3
の重合度を示していた。
【0035】実施例6 下記成分 テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4) 100g トリデカフルオロオクチル トリメトキシシラン(CF3(CF2)5C2H4Si(OCH3)3) 27g エタノール 1000g 0.05N HCl 120g をポリエチレンビーカーに入れ、30分間攪拌混合した。
次いでこの溶液を密封容器に移し、25℃にて1日〜20日
放置し、エージングを行った。この被覆液を用い、ディ
ッピング法(引上げ速度30mm/min) によりアルミニウム
基板上に成膜を行い、任意の100 点において自動エリプ
ソメーターにより膜厚を測定し、平均膜厚とその標準偏
差をもとめた。被覆液のエージング日数に対するこの平
均膜厚とその標準偏差の結果を図9に示す。
【0036】この図より、エージング日数が8日状にて
膜厚が均一になり成膜に適していることがわかる。ま
た、上記と同様にNMRスペクトルを測定した結果、CF
3(CF2) 5C2H4Si(OCH3)3の脱水縮合が確認された。
【0037】
【発明の効果】金属アルコキシドと、フルオロアルキル
基置換アルコキシドとを含む被覆溶液を基材に塗布する
前に前記フルオロアルキル基置換アルコキシドの重合を
促進させておくことにより、フリーなフルオロアルキル
基置換アルコキシドが優先的に基材に付着することを防
止し、その結果、この溶液を用いてより厚く、かつその
厚さの均一な撥液被覆膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被覆溶液を25℃においてエージングを行った場
合の、エージング日数に対する、この溶液より形成した
被膜の膜厚とその膜厚の標準偏差を示すグラフである。
【図2】被覆溶液を25℃においてエージングを行った場
合の、5時間エージング後のサンプルの29Si NMR
のスペクトルのチャートである。
【図3】aは5時間エージング後の、bは24時間エージ
ング後のサンプルのNMRスペクトルのチャートであ
る。
【図4】aは3日間エージング後の、bは7日間エージ
ング後のサンプルのNMRスペクトルのチャートであ
る。
【図5】aは10日間エージング後の、bは14日間エージ
ング後のサンプルのNMRスペクトルのチャートであ
る。
【図6】aは17日間エージング後の、bは21日間エージ
ング後のサンプルのNMRスペクトルのチャートであ
る。
【図7】被覆溶液に付与する冷熱サイクルのプロフィー
ルを示すグラフである。
【図8】溶媒量を濃厚にして重合を促進させた被覆溶液
にエージングを行った場合の、エージング日数に対す
る、この溶液より形成した被膜の膜厚とその膜厚の標準
偏差を示すグラフである。
【図9】フルオロアルキル基置換アルコキシドとしてCF
3(CF2)5C2H4Si(OCH3)3を用いてエージングを行った場合
の、エージング日数に対する、この溶液より形成した被
膜の膜厚とその膜厚の標準偏差を示すグラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属アルコキシドと、アルコキシル基の
    一部がフルオロアルキル基により置換されているフルオ
    ロアルキル基置換アルコキシドとを含む被覆溶液を基材
    に塗布し、次いで焼成することからなる撥液膜の形成方
    法であって、前記被覆溶液を基材に塗布する前に前記フ
    ルオロアルキル基置換アルコキシドの重合を促進させて
    おくことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記フルオロアルキル基置換アルコキシ
    ドの重合が、このフルオロアルキル基置換アルコキシド
    中のアルコキシル基の半分以上が脱水縮合するまで促進
    されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記被覆溶液に超音波を印加することに
    より前記フルオロアルキル基置換アルコキシドの重合を
    促進することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記被覆溶液に紫外線を照射することに
    より前記フルオロアルキル基置換アルコキシドの重合を
    促進することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記被覆溶液に温度差10度以上の冷熱サ
    イクルを付与することにより前記フルオロアルキル基置
    換アルコキシドの重合を促進することを特徴とする、請
    求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記被覆溶液中の溶媒量を、モル比でア
    ルコキシド全量に対し4以下とすることにより前記フル
    オロアルキル基置換アルコキシドの重合を促進し、次い
    でこの被覆溶液に溶媒を加えて希釈後に基材に塗布する
    ことを特徴とする、請求項1記載の方法。
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