JPH10156282A - 撥水撥油性金属材料 - Google Patents

撥水撥油性金属材料

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JPH10156282A
JPH10156282A JP31819196A JP31819196A JPH10156282A JP H10156282 A JPH10156282 A JP H10156282A JP 31819196 A JP31819196 A JP 31819196A JP 31819196 A JP31819196 A JP 31819196A JP H10156282 A JPH10156282 A JP H10156282A
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JP
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water
resin
oil
repellent
contact angle
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JP31819196A
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Isamu Kaneko
勇 金子
Koichi Abe
浩一 阿部
Harumi Mihara
晴美 三原
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Seimi Chemical Co Ltd
Original Assignee
Seimi Chemical Co Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28FDETAILS OF HEAT-EXCHANGE AND HEAT-TRANSFER APPARATUS, OF GENERAL APPLICATION
    • F28F13/00Arrangements for modifying heat-transfer, e.g. increasing, decreasing
    • F28F13/18Arrangements for modifying heat-transfer, e.g. increasing, decreasing by applying coatings, e.g. radiation-absorbing, radiation-reflecting; by surface treatment, e.g. polishing
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28FDETAILS OF HEAT-EXCHANGE AND HEAT-TRANSFER APPARATUS, OF GENERAL APPLICATION
    • F28F2245/00Coatings; Surface treatments
    • F28F2245/04Coatings; Surface treatments hydrophobic

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Abstract

(57)【要約】 【課題】撥水性およびその耐久性が要求される各種金属
製品に用いる撥水撥油性金属材料を得る。 【解決手段】表面に中心面平均粗さが0.1〜50μm
である微細凹凸構造を有する金属材料表面上に、平均粒
子径が0.1〜10μmである微粒子粉末を含有する疎
水性樹脂からなる撥水撥油性被膜を有する撥水撥油性金
属材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性のある撥水
撥油性金属表面を有する撥水撥油性金属材料に関する。
【0002】
【従来の技術】冷暖房兼用タイプのルームエアコン、輸
送用機器などに使用される熱交換器用アルミフィンは、
着水および着霜防止が求められている。また、冷凍設備
の金属材料または豪雪地帯での送電設備、通信設備、道
路周辺設備などにおける金属材料への雪氷付着防止、防
食(腐食防止)処理などの目的から、金属材料表面を撥
水性にすることが求められている。
【0003】これらの要望を満たすため、従来の撥水化
技術よりさらに撥水性を向上させた超撥水技術がいくつ
か提案されている。例えば、フッ素系微粒子粉末を基材
表面に吹き付けて凹凸構造を形成する技術(特開平6−
296924)、平坦な金属表面上にフッ素系の撥水性
被膜を形成したのち、この被膜の表面を粗面化して撥水
性を向上させる技術(特開平3−54893)、金属表
面を粗面化して微細な凹凸構造を形成したのち、この金
属表面上に撥水性被膜を塗布する技術(特開平6−79
820)などが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術は表面
の凹凸構造と撥水性化合物の複合作用により材料表面の
表面自由エネルギーを減少させることによって、撥水性
に富んだ表面としている。
【0005】しかし、特開平6−296924の技術
は、基材が平らな板材や箱型などのように簡単な形状を
持つ表面であれば、微粒子の吹き付けにより容易に撥水
性表面を得ることができるが、対象物が複雑な形状をも
つ場合は、微粒子を一様に吹き付けて凹凸構造を形成す
ることができない場合が多く、そのため、必要な撥水性
表面を得ることが難しいという問題があった。
【0006】また、特開平3−54893の技術は、上
述の技術同様に簡単な形状を持つ表面であれば適用でき
る方法であるが、対象物が複雑な形状をもつ場合では、
塗布した撥水性被膜の表面を粗面化することは極めて困
難であるため容易に撥水性表面を得ることができない。
【0007】そこでこれらの問題点を改良すべく、特開
平6−79820の技術が提案されている。この技術
は、あらかじめ部材の金属表面をエッチングによって粗
面化し微細な凹凸構造を形成したのち、撥水剤を塗布し
て撥水性被膜を形成することにより撥水性表面とする。
この方法によれば対象物が複雑な形状を持つ成形体にも
簡便に、水滴の接触角で150°前後の撥水性を保持さ
せることが可能である。
【0008】しかし、この技術では水滴の付着性を表す
転落角(表面に付着した水滴が転がり落ちるときの傾き
であり、傾きが小さいほど水滴は付着しにくいことを示
す。)はあまり小さくなく、水滴が非常に付着しやすい
表面である。
【0009】また、この撥水性表面は撥油性に乏しい。
そのため、このような表面を屋外に暴露しておくと表面
に付着した水滴に空気中のほこりなどが取り込まれた
り、あるいは油成分が表面に付着するなどして撥水性表
面を汚染してしまうため耐久性が悪く、これら撥水技術
は実用性に乏しく一層の改良が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる問題点
に鑑みてなされたものであり、耐久性のある撥水性が要
求される金属製品の材料として特に好適な、撥水撥油性
金属材料を提供することを目的とする。
【0011】本発明は、表面に微細凹凸構造を有する金
属材料表面上に、微粒子粉末を含有する疎水性樹脂から
なる撥水撥油性被膜を有してなることを特徴とする撥水
撥油性金属材料である。
【0012】本発明者は、耐久性のある撥水性金属表面
を得るべく、部材の表面をエッチングして粗面化し、見
かけの接触角と表面構造を詳細に検討した。その結果、
エッチングによって金属表面に微細な凹凸構造を形成す
る際、金属表面の平坦部分からエッチングされるため、
エッチングされていないミクロンオーダーの平坦な凸部
分が残存していることを観察した。
【0013】このような表面に、一般的に市販されてい
る撥水剤を塗布して撥水性被膜を形成すると、水滴の接
触角は150°前後の値を示し、平らな板に撥水剤を塗
布した場合より見かけの接触角は向上するものの、付着
した水滴が落ちにくいという欠点がある。
【0014】この原因は凸部が平坦であるため、平らな
板に撥水剤を塗布した場合と同様に、凸部表面上の水の
撥水性が劣っていることが原因であると考えられる。ま
た、凸部の平坦部面積を小さくすればするほど見かけの
接触角の向上と水の付着性の低減化が可能と考えられる
が、そのためには、エッチングを深く、かつ広く施す過
酷な条件が必要である。
【0015】特に電解エッチングの場合は、多大な電気
量と処理時間を必要とするなどコストの点で問題があ
り、さらに、このような条件下で処理すると肉厚の薄い
金属板では金属自身の劣化、穴あきなどが生じ実際の使
用に耐えない。そこで、エッチング処理後、金属表面上
にミクロンオーダーの平坦部分が残存していても、水の
付着性を大幅に低減させ、かつ耐久性を飛躍的に向上さ
せる方法について鋭意研究した。
【0016】まず金属表面をエッチングして微細な凹凸
構造を形成したのち、微粒子粉末を含む疎水性樹脂を塗
布すると、微粒子粉末が表面上に残存する凸部の平坦部
分上に付着して新たに凹凸構造を形成するため、撥水
性、水付着性の低減およびこれらの耐久性が格段に改善
されるという知見を得た。ここで使用される微粒子粉末
は、金属表面の微細な凹凸構造を埋没させることのない
ような小さな微粒子粉末であることが必要であり、ま
た、疎水性樹脂は、耐久性を持続させるうえで、トリフ
ルオロメチル基含有基を有する樹脂であることが重要で
ある。
【0017】さらに、上記に示した撥水性、水付着性の
低減およびこれらの耐久性を得るためには、微細な凹凸
構造を有する金属表面上に微粒子粉末を含む疎水性樹脂
を塗布することが必要であり、微細な凹凸構造の存在し
ない平らな板に微粒子粉末を含む疎水性樹脂を塗布して
も期待される効果は得られないことも明らかとなった。
【0018】本発明においては、先ず、金属表面をエッ
チングして微細な凹凸を多数形成する。このようなエッ
チング処理としては、金属部材に電解電流を流す電解エ
ッチング法、または化学反応を利用した化学エッチング
法が好適である。
【0019】この電解エッチング法または化学エッチン
グ法によれば、金属表面上に均一でかつ微細な凹凸を多
数形成でき、後述するように金属表面上に微粒子を含む
疎水性樹脂を塗布することにより形成される撥水撥油性
被膜の見かけの接触角を著しく向上させることができ
る。
【0020】なお、サンドペーパーなどによる機械的研
磨、または圧延ロールにより金属表面上に凹凸を形成す
る方法でもよいが、これらの方法で形成された凹凸は、
凹凸の間隔が大きすぎたり、あるいは不均一となり、そ
の表面上に微粒子を含む疎水性樹脂を塗布しても被膜の
接触角を向上させる効果を充分に得ることができない。
このため、エッチング法により金属表面上に微細で均一
な凹凸を形成することが好ましい。
【0021】また、金属表面は、このエッチング工程に
おいて、その表面粗さ(中心面平均粗さ)が0.1〜5
0μmであることが好ましく、特に1〜5μmが好まし
い。エッチング後の表面粗さが0.1μm未満、あるい
は50μmを超えると接触角の上昇効果は小さいく好ま
しくない。
【0022】次いで、エッチングによって微細な凹凸を
形成した金属表面上に、微粒子粉末を含有する疎水性樹
脂からなる撥水撥油性被膜を形成すると、金属表面上に
存在した平坦な部分上に微粒子粉末が付着し、新たに微
細な凹凸構造が形成される。
【0023】ここで使用される微粒子粉末は、エッチン
グによって形成した微細な凹凸構造を埋没させないよう
な粒径であることが重要であり、凸部と凸部の間隔より
小さく、また凸部平坦面積より小さいことが重要であ
る。
【0024】疎水性樹脂を微細な凹凸に追随するよう形
成すると、この疎水性樹脂は微粒子粉末同士の接着剤と
して作用する。さらに、疎水性樹脂がトリフルオロメチ
ル基含有基を有する樹脂の場合、このトリフルオロメチ
ル基含有基が微細な凹凸構造の表面に露出し、この樹脂
と微細な凹凸構造の相乗効果によって耐久性の高い撥水
撥油性を示す材料を得ることができる。
【0025】本発明における疎水性樹脂は、トリフルオ
ロメチル基含有基を有する樹脂、あるいはこの樹脂と汎
用樹脂との混合物から構成されることが好ましい。トリ
フルオロメチル基含有基を有する樹脂または汎用樹脂の
数平均分子量は通常3,000〜1,000,000、
好ましくは5,000〜500,000である。
【0026】トリフルオロメチル基含有基としては、ト
リフルオロメチル基を含有していれば他の分岐した末端
に塩素原子や水素原子を含んでいてもよいが、直鎖状ま
たは分岐状のパーフルオロアルキル基またはパーフルオ
ロエーテル基の末端にトリフルオロメチル基を含有する
基が好ましい。
【0027】特に、一般式CF3 CFX−(X:F、C
3 、CF2 Cl)で表される基が好ましい。トリフル
オロメチル基含有基は疎水性樹脂を構成する重合単位の
側鎖末端に位置することが好ましい。
【0028】トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂
としては、パーフルオロアルキルエチルアクリレート単
独重合体、パーフルオロアルキルエチルメタクリレート
単独重合体などのトリフルオロメチル基含有基を有する
モノマ−の単独重合体が挙げられる。
【0029】また、トリフルオロメチル基含有基を有す
る異なる2種以上のモノマー同士の共重合体、1種また
は2種以上のトリフルオロメチル基含有基を有するモノ
マーと、造膜性、耐候性、潤滑性、硬化部位、溶剤への
溶解性などを共重合体に与える1種または2種以上のモ
ノマーとの共重合体が挙げられる。
【0030】トリフルオロメチル基含有基を有するモノ
マーとこの基を有しないモノマーの共重合体を用いる場
合、共重合体中のトリフルオロメチル基含有基を有する
モノマーに基づく重合単位の割合を減らすと撥油性が低
下する傾向があり、共重合体中の前記重合単位の割合が
20重量%以上、好ましくは50重量%以上とすること
が望ましい。
【0031】トリフルオロメチル基含有基を有するモノ
マーとしては、下記のアクリレート、メタクリレートな
どの不飽和エステル類が例示できる。
【0032】CF3 (CF24 CH2 OCOC(CH
3 )=CH2 、 CF3 (CF26 (CH22 OCOC(CH3 )=
CH2 、 CF3 (CF26 COOCH=CH2 、 CF3 (CF27 (CH22 OCOCH=CH2 、 (CF32 CF(CF25 (CH22 OCOCH
=CH2 、 CF3 (CF27 SO2 N(C37 )(CH22
OCOCH=CH2 、 CF3 (CF27 (CH24 OCOCH=CH2 、 CF3 (CF27 SO2 N(CH3 )(CH22
COC(CH3 )=CH2 、 CF3 (CF27 SO2 N(C25 )(CH22
OCOCH=CH2 、 CF3 (CF27 CONH(CH22 OCOCH=
CH2 、 (CF32 CF(CF26 (CH23 OCOCH
=CH2 、 (CF32 CF(CF26 CH2 CH(OCOCH
3 )OCOC(CH3 )=CH2 、 (CF32 CF(CF26 CH2 CH(OH)CH
2 OCOCH=CH2 、 CF3 (CF28 (CH22 OCOCH=CH2 、 CF3 (CF28 (CH22 OCOC(CH3 )=
CH2 、 CF3 (CF28 CONH(CH22 OCOC(C
3 )=CH2 、 CF3 (CF2 Cl)CF(CF27 CONHCOO
CH=CH2 、 CH2 =CHCOOC24 OCOCF(CF3 )(O
362 OC37、 CH2 =CHCONHC24 OCOCF(CF3 )O
36 OC37 、 CH2 =C(CH3 )CONHC24 OCOCF(C
3 )OC37
【0033】トリフルオロメチル基含有基を有するモノ
マーと共重合し得るモノマーとしては、本発明の作用を
阻害しない限り広範囲に選択可能であり、例えばエチレ
ン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、ハロゲン
化ビニリデン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、アクリル酸やそのアルキルエステル、メ
タクリル酸やそのアルキルエステル、ポリ(オキシアル
キレン)メタクリレート、アクリルアミド、メタクリル
アミド、ジアセトンアクリルアミド、メチロール化ジア
セトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、ビニルアルキルエーテル、ハロゲン化アルキルビニ
ルエーテル、ビニルアルキルケトン、ブタジエン、イソ
プレン、クロロプレン、グリシジルアクリレート、ベン
ジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘ
キシルメタクリレートまたはアクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレートまたはアクリレート、無水マレ
イン酸、アジリジニルアクリレートまたはメタクリレー
ト、ポリシロキサンを有するメタクリレートまたはアク
リレート、N−ビニルカルバゾール等が例示できる。
【0034】トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂
を得るためには、原料のモノマーを適当な有機溶媒に溶
解し重合開始剤の作用により溶液重合させる方法が通常
採用される。溶液重合に好適な溶剤は、トルエン、酢酸
エチル、イソプロパノール、塩化メチレン、ジクロロペ
ンタフルオロエタン、m−キシレンヘキサフロライド、
p−キシレンヘキサフロライド等である。
【0035】また、トリフルオロメチル基含有基を有す
る樹脂と併用する汎用樹脂としては、例えばエポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、フェ
ノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、トリ
フルオロメチル基含有基を有しないフッ素樹脂、等に代
表される熱可塑性・熱硬化性樹脂、塗料、光重合型樹脂
等が用いられる。
【0036】さらに、前記樹脂の他にもポリエチレン、
ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、塩化ビニ
ル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、なども用いることがで
きる。トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂と一般
的な汎用樹脂との混合物を用いる場合、トリフルオロメ
チル基含有基を有する樹脂の混合物中の割合が減少する
と撥油性が低下する傾向があり、混合物中のトリフルオ
ロメチル基含有基を有する樹脂の割合は、20重量%以
上であり、好ましくは50重量%以上とすることが望ま
しい。本発明における疎水性樹脂と共に硬化剤を使用し
てもよい。
【0037】本発明における微粒子粉末としては、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロア
ルコキシ樹脂(PFA)、エチレンテトラフルオロエチ
レン樹脂(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド
(PVDF)等の含フッ素合成樹脂、ポリエチレン、ポ
リ塩化ビニル、等の熱可塑性樹脂、ユリア樹脂、フェノ
ール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリカーボネート、ポリマーアロイ等のエンジ
ニアリングプラスチック等の有機微粒子粉末が挙げられ
る。また、フッ化グラファイト、金属、金属酸化物、鉱
物、ガラス、砂、セラミックス、フッ素化シリコン化合
物を修飾したような疎水性シリカ等の無機微粒子粉末が
挙げられる。有機微粒子粉末は有機溶媒に不溶なものが
好ましい。
【0038】有機微粒子粉末の数平均分子量は、通常5
00〜500,000であり、好ましくは1,000〜
100,000である。
【0039】これらの微粒子粉末は、2種以上併用して
もよい。微粒子粉末の平均粒子径は0.1〜10μmが
好ましく、より好ましくは0.5〜5μmである。
【0040】表面に微細凹凸構造を有する金属材料表面
上に、微粒子粉末を含有する疎水性樹脂からなる撥水撥
油性被膜を形成する方法としては、微粒子粉末および疎
水性樹脂を含む有機溶媒分散液を金属材料表面上に塗布
し有機溶媒を乾燥させる方法が好ましい。したがって、
有機微粒子粉末は有機溶媒に不溶なものが好ましい。
【0041】有機溶媒としては、トルエン、酢酸エチ
ル、イソプロパノール、塩化メチレン、ジクロロペンタ
フルオロエタン、m−キシレンヘキサフロライド、p−
キシレンヘキサフロライド等の疎水性樹脂を溶解できる
ものが好ましい。
【0042】有機溶媒分散液中の、疎水性樹脂に対する
微粒子粉末の割合は、疎水性樹脂100重量部に対して
微粒子粉末が好ましくは0.1〜40重量部、より好ま
しくは0.1〜20重量部の割合である。
【0043】有機溶媒分散液を塗布する方法としてはス
プレー処理、浸漬処理等による方法が簡便であり好適で
ある。
【0044】有機溶媒分散液中の疎水性樹脂の樹脂濃度
は低すぎると得られる撥水撥油性被膜の撥油性が低下
し、高すぎると微細な凹凸構造が埋没してしまい、撥水
性および撥油性の低下を招く傾向があるので、通常0.
1〜30重量%、好ましくは0.5〜10%重量にする
ことが望ましい。
【0045】このようにして処理した金属部材の表面
は、水の接触角が160°を超え、そしてわずかな傾き
(10°以下)で容易に水滴が転落するようになる。さ
らに、油に対する撥油性について、代表としてノルマル
ヘキサデカンの接触角を測定すると、130°以上とい
う驚異的な撥油性を示すようになる。なお、一般的な撥
水撥油剤を平らな板に処理した場合、ノルマルヘキサデ
カンの接触角は通常80°程度であり、その撥油性の高
さがうかがえる。
【0046】本発明の撥水撥油性金属材料は、冷暖房兼
用タイプのルームエアコン、輸送用機器などに使用され
る熱交換器用アルミフィン、冷凍設備の金属材料、送電
設備、通信設備、道路周辺設備などにおける金属材料と
して有用である。
【0047】
【実施例】
例1(表面に微細凹凸構造を有する金属板試験片の製
造) 厚さ0.2mmのアルミ板(10cm×20cm)を化
学エッチング処理または電解エッチング処理を施した。
化学エッチング処理は、塩化鉄を20重量%含有するエ
ッチング液に浸漬することによりエッチングを施したも
のであり、この時のアルミ板表面の表面粗さ(中心面平
均粗さ)は5.0μmであった。
【0048】また、電解エッチング処理は、塩酸を5重
量%含有するエッチング液を使用し、10Aの電流を流
して電解エッチングを施したものであり、このように処
理したアルミ板表面の表面粗さ(中心面平均粗さ)は
4.0μmであった。このような処理を施したアルミ板
を以下の実施例に示す金属板試験片として使用した。
【0049】例2(実施例) トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂と微粒子粉末
を含む有機溶媒分散液として、C817(CH22
COC(CH3 )=CH2 の単独重合体を不揮発分濃度
として5重量%、また、微粒子粉末として平均粒径4μ
mの低分子量四フッ化エチレン粉末(AIF社製商品名
フルオンL140J、以下、微粒子粉末Aという)を5
重量%になるようにm−キシレンヘキサフロライドで希
釈調整した混合分散溶液を用意した。この溶液中に電解
エッチング処理を施したアルミ板試験片を浸漬し、超音
波をかけながら5分間処理した。この試験片を室温乾燥
したのち、各種試験に供した。水滴の接触角は166
°、水滴の転落角は7°、ノルマルヘキサデカンの接触
角は138°であった。
【0050】例3(実施例) トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂としてC8
17(CH22 OCOCH=CH2 の単独重合体を用い
る以外、例2と同様にしてアルミ板試験片を得て各種試
験に供した。水滴の接触角は165°、水滴の転落角は
8°、ノルマルヘキサデカンの接触角は136°であっ
た。
【0051】例4(実施例) トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂としてC8
17(CH22 OCOCH=CH2 に基づく重合単位8
0重量%とシクロヘキシルメタクリレートに基づく重合
単位20重量%からなる共重合体を用いる以外、例2と
同様にしてアルミ板試験片を得て各種試験に供した。水
滴の接触角は165°、水滴の転落角は7°、ノルマル
ヘキサデカンの接触角は135°であった。
【0052】例5(実施例) トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂としてC8
17(CH22 OCOCH=CH2 に基づく重合単位5
0重量%とシクロヘキシルメタクリレートに基づく重合
単位50重量%からなる共重合体を用いる以外、例2と
同様にしてアルミ板試験片を得て各種試験に供した。水
滴の接触角は164°、水滴の転落角は8°、ノルマル
ヘキサデカンの接触角は135°であった。
【0053】例6(実施例) トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂としてC8
17(CH22 OCOCH=CH2 に基づく重合単位2
0重量%とシクロヘキシルメタクリレートに基づく重合
単位80重量%からなる共重合体を用いる以外、例2と
同様にしてアルミ板試験片を得て各種試験に供した。水
滴の接触角は160°、水滴の転落角は15°、ノルマ
ルヘキサデカンの接触角は132°であった。
【0054】例7(実施例) 微粒子粉末として平均粒径1.5μmの酸化ケイ素を用
いる以外、例4と同様にしてアルミ板試験片を得て各種
試験に供した。水滴の接触角は168°、水滴の転落角
は5°、ノルマルヘキサデカンの接触角は139°であ
った。
【0055】例8(実施例) トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂として(CF
32 CF(CF26 (CH22 OCOCH=CH
2 に基づく重合単位80重量%とシクロヘキシルメタク
リレートに基づく重合単位20重量%からなる共重合体
を用いる以外、例2と同様にしてアルミ板試験片を得て
各種試験に供した。水滴の接触角は166°、水滴の転
落角は8°、ノルマルヘキサデカンの接触角は139°
であった。
【0056】例9(実施例) トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂としてCF3
(CF2 Cl)CF(CF27 CONHOCOCH=
CH2 に基づく重合単位80重量%とシクロヘキシルメ
タクリレートに基づく重合単位20重量%からなる共重
合体を用いる以外、例2と同様にしてアルミ板試験片を
得て各種試験に供した。水滴の接触角は167°、水滴
の転落角は7°、ノルマルヘキサデカンの接触角は13
8°であった。
【0057】例10(実施例) トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂としてC8
17(CH22 OCOC=CH2 の単独重合体80重量
%とウレタン樹脂(和信ペイント社製)20重量%から
なる混合物を用いる以外、例2と同様にしてアルミ板試
験片を得て各種試験に供した。水滴の接触角は166
°、水滴の転落角は8°、ノルマルヘキサデカンの接触
角は139°であった。
【0058】例11(実施例) トリフルオロメチル基含有基を有する樹脂として(CF
32 CF(CF26 (CH22 OCOCH=CH
2 に基づく重合単位80重量%とシクロヘキシルメタク
リレートに基づく重合単位20重量%からなる共重合体
の80重量%とトリフルオロメチル基含有基を有しない
溶剤可溶性フッ素樹脂(旭硝子社製LF−200C)2
0重量%からなる混合物を用いる以外、例2と同様にし
てアルミ板試験片を得て各種試験に供した。水滴の接触
角は165°、水滴の転落角は7°、ノルマルヘキサデ
カンの接触角は139°であった。
【0059】例12(実施例) 電解エッチング処理を施したアルミ板試験片の代わりに
化学エッチング処理を施したアルミ板試験片を用いる以
外、例4と同様にしてアルミ板試験片を得て各種試験に
供した。水滴の接触角は161°、水滴の転落角は12
°、ノルマルヘキサデカンの接触角は135°であっ
た。
【0060】例13(参考例) C817(CH22 OCOCH=CH2 の単独重合体
の代わりトリフルオロメチル基含有基を有しない溶剤可
溶性フッ素樹脂(旭硝子社製LF−200C)を用いる
以外、例2と同様にしてアルミ板試験片を得て各種試験
に供した。水滴の接触角は135°であった。水滴は試
験片を裏返しにしても転落することはなく水切れ性は不
良であった。ノルマルヘキサデカンの接触角を測定する
と全面に濡れ拡がり測定できなかった。
【0061】例14(参考例) 微粒子粉末としてアルミ板試験片の微細凹凸構造が埋没
してしまう酸化ケイ素(平均粒径15μm)を用いる以
外、例4と同様にしてアルミ板試験片を得て各種試験に
供した。水滴の接触角は132°であった。水滴は試験
片を裏返しにしても転落することはなく水切れ性は不良
であった。ノルマルヘキサデカンの接触角は100°で
あり、かなり低い撥油性であった。
【0062】例15(比較例) エッチング処理をしないために表面に微細凹凸構造を有
しないアルミ板試験片を用いる以外、例4と同様にして
アルミ板試験片を得て各種試験に供した。水滴の接触角
は90°であった。水滴は試験片を裏返しにしても転落
することはなく水切れ性は不良であった。ノルマルヘキ
サデカンの接触角は82°となり、撥油性は大幅に低下
した。
【0063】例16(比較例) 微粒子粉末を含まない以外例15と同様にしてアルミ板
試験片を得て各種試験に供した。水滴の接触角は88°
であった。水滴は試験片を裏返しにしても転落すること
はなく水切れ性は不良であった。ノルマルヘキサデカン
の接触角は80°であった。
【0064】例17(比較例) 微粒子粉末を含まない以外例3と同様にしてアルミ板試
験片を得て各種試験に供した。水滴の接触角は150°
であった。水滴は試験片を裏返しにしても転落すること
はなく水切れ性は不良であった。ノルマルヘキサデカン
の接触角は120°であった。
【0065】例18(比較例) 微粒子粉末を含まない以外例4と同様にしてアルミ板試
験片を得て各種試験に供した。水滴の接触角は149°
であった。水滴は試験片を裏返しにしても転落すること
はなく水切れ性は不良であった。ノルマルヘキサデカン
の接触角は121°であった。
【0066】以上の例2〜18の結果(初期値)に対応
する屋外暴露後(2週間後および1か月後)の結果を表
1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】本発明の撥水撥油性金属材料は、耐久性
の高い撥水撥油性を有し、着水および着霜防止、雪氷付
着防止、防食(腐食防止)などが求められている金属材
料として有用である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に微細凹凸構造を有する金属材料表面
    上に、微粒子粉末を含有する疎水性樹脂からなる撥水撥
    油性被膜を有してなることを特徴とする撥水撥油性金属
    材料。
  2. 【請求項2】微細凹凸構造の中心面平均粗さが0.1〜
    50μmである請求項1の撥水撥油性金属材料。
  3. 【請求項3】疎水性樹脂が、一般式CF3 CFX−
    (X:F、CF3 、CF2 Cl)で表されるトリフルオ
    ロメチル基含有基を有する樹脂である請求項1または2
    の撥水撥油性金属材料。
  4. 【請求項4】微粒子粉末の平均粒子径が0.1〜10μ
    mである請求項1、2または3の撥水撥油性金属材料。
  5. 【請求項5】微細凹凸構造が金属材料表面をエッチング
    することにより得られるものである請求項1、2、3ま
    たは4の撥水撥油性金属材料。
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