JPH10153479A - 手持ち式非接触振動測定器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】多くの点の振動を短時間に、非接触で正確に測
定することができる手持ち式非接触振動測定器を提供す
る。 【解決手段】被測定物体７の振動を測定するための非接
触振動センサ１と非接触振動センサ１を取り付けるブロ
ック２と、ブロック２をケース３に弾性支持するための
ばね４とブロック２の手振れによる振動を検出するため
の加速度センサ６と、ブロック２を空間に固定するため
のアクチュエータ５と、加速度センサ６の信号に基づい
てアクチュエータ５を制御するコントローラ１０とで構
成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は物体の振動を非接触
で計測する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】物体の振動を測定する方法には二つの方
法がある。一つは加速度センサのように被測定物体に直
接取り付けて被測定物体そのものの振動（絶対振動）を
測定する方法である。もう一つはセンサを空間の一点に
固定し、被測定物体とセンサの相対振動を測定する方法
（非接触測定）である。非接触で測定する方法は被測定
物体にセンサの重量の影響がないという利点がある。さ
らに回転体の振動測定は非接触でしか行うことができな
い。物体の振動を非接触で測定するには、静電容量法，
渦電流法，光干渉法，光量変化法，レーザドップラ法が
ある。

【０００３】実際の測定に当たっては、非接触振動セン
サを不動の台に固定して被測定物体との相対変位もしく
は相対速度を測定する。しかし、多くの点の振動を測定
しようとするとき従来の非接触振動センサでは、測定点
を変えるごとに台の移動と据え付けを行わなければなら
ないため全部の測定を終えるのに多大の労力と時間を要
した。

【０００４】センサの移動を簡単にするためには、セン
サを手で持って測定できることが必要である。しかし、
手持ちで測定すると手振れによる影響が大きく、正確な
測定はできない。

【０００５】手振れによる影響を除く方法は、ＶＴＲカ
メラに付けたジャイロの出力角速度の変化を使って手振
れの量と方向を検出し、この信号をもとに、撮影したＶ
ＴＲ画像の補正を行う方法（日経エレクトロニクス、Ｎ
o.５４１，１９９１．１１．２５）がある。しかし、こ
の方法は手振れの大きさと方向を計測して画像を補正す
るもので、本質的に手振れそのものをなくすものではな
く、補正結果も実際の現象より若干遅れて出てくる欠点
がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記の問題点を解決す
るために、非接触振動センサを手持ち方式にして移動と
据え付けに要する時間を大幅に削減する。しかし、手持
ちにすると手振れによる振動がセンサの信号に重畳され
るため手振れによる影響を除く必要がある。本発明は手
振れによる影響のない手持ち式の非接触振動測定手段を
提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】非接触振動センサの手振
れによる振動を加速度センサにより計測し、加速度信号
をフィードバックして非接触振動センサ自体の振動が０
になるようにアクチュエータを用いて非接触振動センサ
を空間に固定する。もしくは振動を０にするためのフィ
ードバック信号を取り出して振動の大きさを求め、非接
触振動センサで求めた信号から除去する。

【０００８】非接触振動センサは被測定物体との相対振
動量を計測する。加速度センサは非接触振動センサ自体
の手振れによる振動量を検出する。コントローラは非接
触振動センサの手振れ量をもとに、手振れ量を０にする
ためにアクチュエータに加えるべき操作量を決定する。
アクチュエータはコントローラからの操作量に応じて非
接触振動センサを手振れ量が０になる方向へ動かす。ケ
ースは上に述べた非接触振動センサ，加速度センサ，コ
ントローラを収納する。

【０００９】

【発明の実施の形態】本実施例による手持ち式非接触振
動測定器１００の構成を示す斜視図を図１に示す。

【００１０】図１で、手持ち式非接触振動測定器１００
は、非接触振動センサ１と非接触振動センサ１を取り付
けるブロック２と、ブロック２をケース３に弾性支持す
るためのばね４とブロック２を空間に固定するためのア
クチュエータ５とブロック２の動きを検出するための加
速度センサ６とを備えている。なお、加速度センサ６は
ｘ，ｙ，ｚ三方向の加速度を同時に測定する。

【００１１】ケース３は人間が把持しているため、人間
の手の振動がケース３及びばね４を介してブロック２に
伝わり、ブロック２を常に微小に振動させている。その
ため、非接触振動センサ１の計測信号の中には被測定物
体７の振動の外に手振れによる振動が重畳される。人間
の手振れの周波数成分は速度で０.５ 〜１５Ｈｚ，変位
で０.５ 〜３Ｈｚ程度である。

【００１２】加速度センサ６によりブロック２の動きを
検出し、その信号をフィードバックしてアクチュエータ
５を駆動するための信号の流れを表すブロック図を図２
に示す。

【００１３】図２で、被測定物体７に非接触振動センサ
１を近付け、測定スイッチをオンにすると、ブロック２
の手振れによる動きが加速度センサ６の振動信号として
コントローラ１０へ送られる。コントローラ１０内で
は、ブロック２の加速度信号はまず、ローパスフィルタ
を通り、不必要な高い周波数成分を除去する。次に比較
器に入りブロック２の許容振動値（０に近い値）と加速
度の大きさを比較して、その差をとる。差の大きさによ
ってアクチュエータ５のストロークは決まるが、差分信
号は増幅器で増幅され、アクチュエータ５に加えられ
る。アクチュエータ５は駆動信号の大きさ，符号及び周
波数に応じて動き、アクチュエータ５の先端はブロック
２に取り付けられているため、ブロック２はアクチュエ
ータ５の動きに追従して動く。アクチュエータ５はブロ
ック２の加速度が常にブロック２の許容振動値以下にな
るように動作する。

【００１４】一方、アクチュエータ５によりブロック２
の振動が許容値以内に入ると比較器からはブロック２、
すなわち非接触振動センサ１が空間に固定されたことを
示す信号を出すと同時にパイロットランプ８も点灯す
る。ブロック２が空間に固定されたかどうかは図３に示
す関係で判定する。すなわち、ブロック２のｘ，ｙ，ｚ
各方向の加速度レベルが全て許容レベル以下になったと
きにのみ判定はＹＥＳとなる。非接触振動センサ１のデ
ータの取り込みはこの判定信号がＹＥＳのときに行えば
よい。

【００１５】図４はアクチュエータ５の一実施例を示
す。アクチュエータは磁石１２と、コイル１３と、テー
ブル１４と、駆動ロッド１５と、ヨーク１６と、板ばね
１９が外枠１７の中に入っている。コイル１３はケーブ
ル１８へ繋がっており、コントローラ１０へ接続され
る。コントローラ１０からケーブル１８を通ってコイル
１３に電流が流れると、磁石１２が作る磁界との相互作
用により、コイル１３は前後へ動く。コイル１３はテー
ブル１４に固定され、テーブル１４は板ばね１９で支え
られており、さらにテーブル１４の先端には駆動ロッド
１５が付いている。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、非接触センサをアクチ
ュエータで空間に完全に固定することができるので、手
持ちで且つ非接触で物体の振動を正確に測定することが
でき、センサを測定点ごとに固定する必要がなくなり、
測定に要する手間と時間を大幅に節約することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による手持ち式非接触振動測
定器の構成を示す説明図。

【図２】コントローラにおける信号の流れを表すブロッ
ク図。

【図３】非接触振動センサが空間に固定されたかどうか
を判定する方法の説明図。

【図４】図１に示されたアクチュエータの構成を示す断
面図。

【符号の説明】

１…非接触振動センサ、２…ブロック、３…ケース、４
…支持ばね、５…アクチュエータ、６…加速度センサ、
７…被測定物体、８…パイロットランプ、100…手持ち
式非接触振動測定器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】物体の振動を非接触で測定する非接触振動
   センサと、上記非接触振動センサ自体の加速度を測定す
   る加速度センサと、上記非接触振動センサを空間に固定
   するためのアクチュエータと、上記アクチュエータを制
   御するコントローラとを備え、上記物体の振動を手持ち
   で正確に測定することを特徴とする手持ち式非接触振動
   測定器。