JPH10150288A - 磁気シールドボックス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 見栄えがよく、運搬コストの低減が可能にし
て、磁気シールド効果の高いボックスを作る。 【解決手段】 中空のＬ形のコーナ部材（２）の開口端
部に中空の平板部材（３）の端部を挿入して、ボックス
を作る。コーナ部材（２）と平板部材（３）の内壁面に
磁気シールド材を貼り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気シールドボッ
クス、特に詳述すれば、カラーテレビやカラーモニター
の画像の変色や乱れを防止する磁気シールドボックスに
関する。

【０００２】

【従来の技術】陰極線管を有するカラーテレビおよびカ
ラーモニターは、電子銃からの電子線が、Ｒ，Ｇ，Ｂの
蛍光体に当たり、各色を構成している。最近のカラーテ
レビ、およびカラーモニターは、ワイド型やハイビジョ
ン型の如く、大型化しており、更に薄型化しているため
陰極線の電子線の飛行角度が従来の９０°から１１０°
へと移行している。この様な構成で作られる画像は、外
界の磁界に対し非常に敏感となり、わずかな磁界によっ
て飛行する電子線の軌道を逸脱させるため、所定の像を
結ばない。すなわち、静磁界において、変色現象を起こ
し、交流磁界においては、画像の揺れ現象を引き起こし
ている。静磁界の発生原因としては、直流電流を使用し
ている鉄道、ＭＲＩ等の使用している磁石（常電導、超
電導磁石）、スピーカーの磁石または直流電流を用いて
いる電気機器等がある。また、揺れの問題となる交流磁
界の発生源としては、送電線、トランスまたは、トラン
スを用いた電子、電気機器がある。これらの発生源が増
大し、陰極線管が敏感化しているため、各製造メーカー
は磁気シールド対策を施している。すなわち陰極線管の
中に軟磁性体を入れる内部シールドや筐と陰極線管の間
に軟磁性体を配置する外部シールド等が検討・実施され
ているが不十分で画像のトラブルの解消には至っていな
い。

【０００３】これらのトラブル対策として、本出願人の
提案した実開平２−１２３１８３号公報は、Ｌ字状の軟
磁性材からなるシールド板をカラーテレビやカラーモニ
ターの角部に当て、隣り合うシールド板の端を互いにラ
ップさせる手段を有し、取扱いが簡便で、しかも、磁気
シールド効果が高いことから、地下鉄の駅の乗降客確認
用カラーモニター、工場内のカラーモニター等に多用さ
れている。尚、軟磁性材として、純鉄、けい素鋼、パー
マロイド、アモルファス金属等が用いられる。これとは
別に、被磁気物体に、重量でＡl ２〜７％、Ｓi ３〜８
％、Ｎi ６％以下、残部Ｆe 及び不可避不純物から成る
組成の合金粉末であって、平均厚さ0.５〜５μｍ、平均
長径５〜１００μｍの偏平な該合金粉末と有機結合剤と
を混合した物質の層を形成したシールド板でもよい。
又、厚さ５〜１００μｍ、最大厚さに対する最大長さの
比であるアスペクト比が１０〜１５０００のフレーク状
軟磁性非晶質合金片を被磁気物体に密着させて層を形成
しても良い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術のも
のは、しかし、見栄えの点および運搬コストが高くなる
欠点を有しており、さらなる改善が望まれている。それ
故に、本発明は、従来技術の不具合を解決し、簡単に施
工できる低価格にして美観を保つシールドボックスを提
供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、前述した課題
を解決するために、基本的には、その内壁面に軟磁性体
を貼り付けたコーナ部材と平板部材との組合せからな
り、両者を入れ子関係とさせ、ボックスに組立てる手段
を採用する。軟磁性体としては、鉄、珪素鋼板、アモル
ファス、パーマロイ等があり、それらを組み合わせた複
合材としてもよい。ボックスを形成する際、シールド材
となる磁性体同士の間にギャップや突き合わせができて
しまうとそこから漏洩磁束が発生するため、各部材は磁
性体が必ずラップする様、連結されなければならない。
本発明品の部材は、はめ込み構造となっており、それら
をはめ込みボックス状に組み上げるだけなので施工性が
容易であり、同時に構成される部材の磁性体はラップ構
造となる。薄い磁性体で対応できる場合などは、装飾を
施した木材、樹脂、アルミ等の非磁性材料で成形した外
枠に磁性体を貼り付けることも可能で、軽量化や家庭で
の美観に関しても効果的である。

【０００６】本発明品は、コーナー材は共通部材とし
て、平板部材の長さを変えたバリエーションを用意する
ことで、どのようなサイズ、形状でも対応可能である。
また、平板部材は縦横共通で使用することにより、平板
部材寸法のバリエーションとしては少なく、少品種とな
るため、コスト的にも非常に有利である。さらにコーナ
ー材と平板部材をはめ込んだときのラップ幅を調整する
ことで、同寸法の部材で対応できるテレビ寸法範囲が広
い。例えば、同インチ画面でもメーカーや製品の種類に
より本体外寸法が異なった場合や同寸法での平板部材で
構成されたボックスで複数のインチ画面に対応させたい
場合などは効果的である。

【０００７】具体的には、本発明は、その内部に軟磁性
体を配した断面Ｌ字状のコーナ部材と、コーナ部材に対
して入れ子関係にしてかつその内部に軟磁性体を配した
少なくとも平板部材を箱形に組立した磁気シールドボッ
クスを提供する。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１に本発明の磁気シールドボッ
クス１を示す。磁気シールドボックス１は、４個のコー
ナ部材２と、４個の平板部材３とからなる。コーナ部材
２は断面Ｌ字状の中空体にして、中空体は断面方形にし
てかつコーナ部材２の両端部で開口する。コーナ部材２
の内壁面に公知の磁性体即ち軟磁性体からなる磁気シー
ルド材４を貼り付ける。平板部材３は断面方形の中空体
にして、その内壁面に公知材からなる磁気シールド材４
を貼り付けた構成を有し、中空体は平板部材３の両端で
開口する。

【０００９】組立に際しては、コーナ部材２の両端開口
に、平板部材３の端部を挿入し、この作業を順次くり返
し、図１に示すボックスを組立てる。図１に示す寸法Ａ
とＢは、平板部材３のコーナ部材２への挿入量を調節す
ることで変え得る。図示例では、コーナ部材２の開口へ
平板部材３を挿入したが、逆に、コーナ部材２を平板部
材３の開口へ挿入してもよい。この場合、挿入する方は
中空内部を中実とさせたものでもよい。

【００１０】図３に示すように、平板部材３の内壁に追
加の磁気シールド材５を貼り付け、環境磁界の大きい条
件に耐えるようにすることもできる。この構成をコーナ
部材２にも適用できる。追加磁気シールド材５はコーナ
部材２や平板部材３の内部に配されるので、外観形状に
変化はない。又、コーナ部材２や平板部材３の中空内部
に発砲スチロールのようなスペーサ材６を充満させても
よい。

【００１１】ボックスの縦、横寸法を延長させるため
に、連結部材７を用いる例を、図４に示す。連結部材７
は、平板部材３と基本的には同構成で、但し、連結部材
７の内寸法は、平板部材３をその内部に挿入可能とする
寸法となっている。

【００１２】図５にコーナ部材２の分解状態を示す。内
壁面に磁気シールド材を貼り付けたシート材の両端をＬ
形に折り曲げた対の基台８に対のＬ形のカバー９（その
内壁面に磁気シールド材を有す）をその外面に固定させ
てコーナ部材２を作る。図６の例は、一方のカバー９を
基台８の内側に配置したものである。

【００１３】図７に平板部材３の分解状態を示す。内壁
面に磁気シールド材を貼り付けたシート材の両端をＬ形
に折り曲げ基台１０とし、これに内壁面に磁気シールド
材を貼り付けたシート材のカバー１１を固定し、平板部
材３とする。図８に示す例はシート材の一端をＬ形に折
り曲げ、対のカバー１２を作り、これを合せて、平板部
材３としたものである。

【００１４】従来のＬ形シールド板をカラーテレビの角
部に当て、隣接するシールド板の端をオーバラップさせ
て箱形としたものと、図１に示す本発明品（ともに同じ
磁気シールド材を用いる）との磁気シールド性を比較し
たが、直流磁界（１Ｇ）および交流磁界（１００ｍＧ）
印加に対する磁気シールド後の磁界はボックス中心部で
差はみられなかった。しかし、本発明品のコーナ部材と
平板部材の内部に追加磁気シールド材を挿入したもの
は、従来のものより１０〜２０％磁気シールド性が良か
った。内蔵の磁気シールド材を追加することによって、
シールド性能の向上が確認できた。また追加する磁気シ
ールド材は部材に内蔵されるため外観上の変化はなく、
材料の追加により美観を損なう、あるいは部材が厚くな
ることはなかった。本発明品のシールド性能は、一体構
造のものと同等で、部材同士の継ぎ目による磁束漏洩は
無く、充分な特性が得られた。また本発明品の組付け
は、差し込むだけなので容易であった。さらに本発明品
の組み付け前は、分割した部材を畳んで梱包することで
コンパクトにまとめることができ、一体型タイプの場合
に比べ、１／４程度であった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一例の斜視図である。

【図２】コーナ部材と平板部材を示す部分断面図であ
る。

【図３】追加磁気シールド材を用いた例の部分断面図で
ある。

【図４】連結部材を用いた例の部分正面図である。

【図５】コーナ部材の分解図である。

【図６】コーナ部材の別の例を示す斜視図である。

【図７】平板部材の分解図である。

【図８】平板部材の別の例の分解図である。

【符号の説明】

２ コーナ部材 ３ 平板部材 ４ 磁気シールド材 ５ 追加の磁気シールド材

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 その内部に軟磁性体を配した断面Ｌ字状
   のコーナ部材と、コーナ部材に対して入れ子関係にして
   かつその内部に軟磁性体を配した少なくとも平板部材を
   箱形に組立した磁気シールドボックス。
2. 【請求項２】 コーナ部材はその両端部が開口する断面
   方形の中空体であり、平板部材がその両端部が開口する
   断面方形の中空体にして、その内壁面に軟磁性が貼り付
   けられている請求項１記載の磁気シールドボックス。
3. 【請求項３】 コーナ部材および／又は平板部材の中空
   部にさらに軟磁性体が挿入されている請求項２記載の磁
   気シールドボックス。
4. 【請求項４】 その内部に軟磁性体を配した連結部材に
   対し平板部材を入れ子関係とさせ、複数の平板部材の長
   さを拡している請求項１記載の磁気シールドボックス。
5. 【請求項５】 コーナ部材がシート材の両端を折り曲げ
   たものにＬ字状のシート材を固定した構成である請求項
   ２記載の磁気シールドボックス。