JPH10144543A - コイル部品 - Google Patents

コイル部品

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JPH10144543A
JPH10144543A JP29351496A JP29351496A JPH10144543A JP H10144543 A JPH10144543 A JP H10144543A JP 29351496 A JP29351496 A JP 29351496A JP 29351496 A JP29351496 A JP 29351496A JP H10144543 A JPH10144543 A JP H10144543A
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JP
Japan
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insulator
coil
conductor
coil component
layer
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JP29351496A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Fujii
浩 藤井
Akihiko Ibata
昭彦 井端
Shinji Harada
真二 原田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はコイル部品に関し、特に特性の優れ
たコイル部品を提供することを目的とする。 【解決手段】 絶縁体1内に複数ターンからなる導体2
を有するコイル部品において、中空体状の外側絶縁体1
aの内面に各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々
に異なるとともに、少なくとも各ターン部が異なる平面
内に位置する導体2から構成されたコイル素子3を縦列
方向に複数個有した構成としたものである。この構成に
より、導体間の浮遊容量が小さく、導体の直流抵抗も小
さくすることが可能な優れた電気特性を有し、しかも少
ない工数で、容易に製造可能な構造を有するコイル部品
となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種電子機器や通信
機器などに利用されるコイル部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にコイル部品は各種電子機器や通信
機器などのコイル、トランスなどとして多用されてお
り、近年は小型あるいは薄型のコイル部品がますます要
求されており、しかも、回路の高周波化やディジタル化
に伴ってノイズ対策部品としてのコイル部品もますます
重要になってきている。
【0003】従来のこれらの要望を満たすコイル部品と
しては、フェライト磁性層とコイル用導体層を交互に積
層して得られる積層型コイル部品(例えば特公昭57−
39521号公報)がある。
【0004】この積層型コイル部品は図12、図13に
示すようにフェライトのグリーンシート16上の半分に
印刷によるフェライト層17を形成し、このフェライト
層17のない部分とフェライト層16の一部に印刷によ
りL字状の導体パターン18を形成し、この導体パター
ン18上にグリーンシート16の約半分のフェライト層
19を印刷し、上記導体パターン18と連続するように
フェライト層17上とフェライト層19の一部にU字状
の導体パターン20を印刷し、この工程を数回繰返して
最上層にフェライトのグリーンシート16を積層したも
のを一括焼成し、この積層体の両端に端面電極21を形
成して構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記構成によるもので
は、大きなインダクタンスを得るためには導体パターン
の巻数を多くすることが必要となり、きわめて多くのフ
ェライト層17,19および導体パターン18,20を
積層印刷する必要があり、生産工数が増えて生産性の点
で問題があり、しかも、導体パターン20はフェライト
層19を介して相対向するように形成されるため、導体
パターン間の浮遊容量が大きくなり、コイル部品として
は自己共振周波数が小さくなったり、耐圧が小さいとい
った問題があった。
【0006】さらに、この積層型コイル部品では、フェ
ライト層17,19の一部に導体パターンが形成される
ため、コイル導体抵抗を低減するために導体パターン1
8,20の厚さを厚くすると、全体の厚みが導体パター
ン18,20のある部分とない部分では大きく異なり、
焼成してもクラックが発生したりして安定した品質のコ
イル部品を得ることができないものであった。
【0007】本発明は以上のような従来の欠点を除去
し、生産性に優れ、しかも導体パターン間の浮遊容量が
小さく電気特性に優れたコイル部品を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のコイル部品は、絶縁体内あるいは表面に複数
ターンからなり、各ターン部の径が一端から他端にかけ
て徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部が異なる
平面内に位置した導体から構成されたコイル素子を縦列
方向に複数個備えた構成としたものである。
【0009】この本発明によれば、生産性に優れ電気特
性の優れたコイル部品が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、絶縁体内あるいは表面に複数ターンからなり、各タ
ーン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるととも
に少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置した導体
から構成されたコイル素子を縦列方向に複数個備えた構
成としたものであり、生産しやすくしかも導体の各ター
ン部間の浮遊容量が小さく電気特性の優れたものとする
ことができる。
【0011】請求項2に記載の発明は、各コイル素子の
2つの端子をそれぞれ絶縁体の表面に引出した構成とし
たものであり、同種もしくは異種の組合せのコイル部品
が容易に形成でき、引出し端子から個々の電気特性を得
ることができ、しかも各コイル素子の導体のデッドスペ
ースを有効に活用できコイル部品の小型化が可能にな
る。
【0012】請求項3に記載の発明は、複数個のコイル
素子が電気的に直列に接続され、その最上段と最下段の
コイル素子から端子を絶縁体の表面に引出した構成であ
り、同種あるいは異種のコイル素子を組合せて必要に応
じた電気特性を得ることができ、小型化も図れることに
なる。
【0013】請求項4に記載の発明は、各コイル素子間
に絶縁体を介在させた構成であり、個々のコイル素子間
の結合を小さくでき、優れた電気特性のコイル部品とす
ることができる。
【0014】請求項5に記載の発明は、各コイル素子間
に介在させる絶縁体間に中間層として非磁性層を設けた
構成であり、コイル素子間の結合をさらに小さくするこ
とができる。
【0015】請求項6に記載の発明は、複数個のコイル
素子を備えた絶縁体の上下端面に端面層を設けた構成で
あり、導体と端子間の磁気的漏洩を抑制でき、優れたコ
イル部品とすることができる。
【0016】請求項7に記載の発明は、絶縁体の表面に
引出した端子として、同一形状で絶縁体に対して面また
は点対称位置に設けた構成としたものであり、電気特性
の直線上の取出しが可能となるため実装基板の配線が容
易で表面実装性に優れたものとなる。
【0017】以下、本発明のコイル部品の実施の形態に
ついての基本構成をまず説明する。本発明のコイル部品
は絶縁体内あるいは表面に複数ターンからなる導体を備
え、各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異な
るとともに、少なくとも各ターン部が異なる平面内に位
置した導体から構成されたコイル素子を縦列方向に複数
個備えたコイル部品である。コイル部品を構成する1つ
のコイル素子の導体の形状、つまり巻き方の1つの例と
しては絶縁体内に複数ターンからなる導体を有し、この
導体は一端から他端にかけて各ターン部の径が徐々に大
きくなる円で形成され、しかも各ターン部の位置がそれ
ぞれ異なる平面内に位置している。
【0018】つまり、導体の一端は小径の円で形成さ
れ、他端側になるにつれて徐々に径が大きくなる円で形
成され、その各ターン部は終端あるいは始端で立上がっ
てまたは立下がって縦列方向に位置したターン部と接続
されている。したがって、各ターン部は同一平面内に位
置し、縦列方向に位置したターン部は立上がりや立下が
り部によって異なった平面部に位置し、かつ、その径が
異なるように設定されている。同一平面内には約1ター
ンであり、この場合の各ターンは、同一平面内に存在す
る導体を意味する。
【0019】さらに、1つの導体の形状、つまり巻き方
の別の例としては同様に絶縁体内に複数ターンからなる
導体を有し、導体を一端から他端にかけて徐々に径が大
きくなるとともにその位置が全て異なる平面内に位置す
る立体的うず巻状としたものがある。
【0020】以下、本発明の実施の形態について図面を
用いて説明する。図1に本発明のコイル部品の断面図を
示す。絶縁体1内に複数ターンからなる導体2からなる
コイル素子3を2個備え、各導体2は各ターン部の径が
一端から他端にかけて徐々に異なるとともに、少なくと
も各ターン部が異なる平面内に位置している。このよう
なコイル素子3を絶縁体1内に縦列方向に2個備えてい
る。各導体2のそれぞれの一端は引出電極4,5に接続
されており、この引出電極4,5は絶縁体1の上下端面
に設けた端面層6,7の側面に形成した端面電極8,9
にそれぞれ接続されている。ここで絶縁体1は一種類の
材料で構成され、この絶縁体1は磁性体であっても非磁
性体であってもよい。
【0021】非磁性体としては、ガラスエポキシ、ポリ
イミドなどの有機系の絶縁材料、ガラス、ガラスセラミ
ックスあるいはセラミックスなどの無機系の絶縁材料な
どの電気的に絶縁性があればどのようなものであっても
よい。
【0022】磁性体としては、NiZn系やNiZnC
u系などの一般に知られる透磁率が大きいフェライト材
料であればよい。
【0023】絶縁体1を磁性体とした場合はインダクタ
ンス値を大きくすることができ、非磁性体とした場合は
大きなインダクタンス値を得ることはできないが、自己
共振周波数が高くなり、使用できる周波数帯域は広くな
る。
【0024】また、導体2あるいは引出電極4,5の材
料としては電気的に良導体であれば何でもよいが、抵抗
率が重要で低抵抗なものがコイル部品には要求されるた
め、銅、銀とパラジウム合金あるいは銀などの導体材料
が有効である。
【0025】端面電極8,9としては導電性材料であれ
ばよいが、一般的に単一層でなく複数層から構成される
ことが望ましく表面実装用とした場合にはプリント配線
板への実装時の実装強度あるいは実装時の半田の濡れ
性、半田くわれなどを配慮する必要があり、具体的には
最下層は引出電極4,5と同じ導体材料を用い、中間層
には半田に対して耐性を有するニッケルを用い、最外層
には半田に対して濡れ性の良い半田あるいは錫を用い
る。
【0026】しかしながら、これは一例であり、必ずこ
の構成を採用する必要はなく、金属等の導電性に優れた
材料以外に導電性樹脂材料を含んでもよい。
【0027】また、アルミナやフェライトなどのセラミ
ック基板に所定の配線パターンを形成し、セラミック基
板に窓を設けてコイル部品を挿入し、配線パターンとコ
イル部品の端面電極8,9を接触させ厚膜形成プロセス
を用いて焼成して電気的に接続するため、耐熱性を高
め、この厚膜形成プロセスに対応する構成とすることも
考えられる。
【0028】本発明のコイル部品を構成する絶縁体1と
して、導体2の外側に位置する外側絶縁体1aと内側絶
縁体1bが磁気的性質の異なるもので構成した例があ
る。つまり、前述した外側絶縁体1aと内側絶縁体1b
の磁気的な性質が異なる組み合わせを示す。外側絶縁体
1aを磁性体で構成し、内側絶縁体1bを非磁性体で構
成するとコイル部品としては、絶縁体1全体を磁性体で
構成した場合に比べて、インダクタンス値が小さくなる
が、直流重畳特性を大幅に改善することができる。つま
り、電流値を変化させてもインダクタンス値の変化を小
さくでき、許容電流値を大きくすることができる。
【0029】外側絶縁体1aあるいは内側絶縁体1bを
非磁性体で構成する極端な例としては、外側絶縁体1a
あるいは内側絶縁体1bのどちらかを無くし、空気とし
た場合がある。この場合、導体2は外側絶縁体1aある
いは内側絶縁体1bのどちらかの存在する方の表面に形
成すればよい。
【0030】また、外側絶縁体1aと内側絶縁体1bが
共に磁性体であり、しかも磁気的に磁束密度の異なる特
性のものにすることによって、直流重畳特性の改善が可
能となる。
【0031】さらに、外側絶縁体1aと内側絶縁体1b
が共に磁性体であり、しかも磁気的に透磁率の異なる特
性のものにすることによって、同一導体構造でインダク
タンス値の異なるコイル部品を得ることができる。この
場合、外側絶縁体1aと内側絶縁体1bとの透磁率の大
小関係には特に限定はない。
【0032】以上のように外側絶縁体1aと内側絶縁体
1bの磁気的性質を適当に選ぶことにより、コイル部品
としてのインダクタンス値を任意に選ぶことができると
ともに漏洩磁束あるいは直流重畳特性のコントロールも
自由に行えることになる。
【0033】導体2の断面形状は、偏平な長方形状以外
に導体2の断面積を大きくして導体抵抗を小さくし、大
電流用としても使用できる。この場合、導体2の断面形
状としては、三角形、円形、楕円形、半円形、多角形あ
るいは長円形などの種々のものが可能である。このよう
な断面形状の導体2を得るには、例えば、外側絶縁体1
aの内面に階段状の段差部を設け、この段差部に導電ペ
ーストを塗布して硬化させた後、焼結させることによっ
て断面三角形の導体2を実現することができる。
【0034】また、コイル素子3の全体的な形状として
はこれまで円形状の例を示したが、角形状などでもよ
い。つまり、本来、面実装型のコイル部品としては角柱
状が好まれており、各柱状のコイル部品において角形状
のターン部で構成し、コイル部品の外形いっぱいの角形
状のターン部を形成することが可能になる。このような
コイル素子3を得るには、例えば、絶縁体1に角錐状の
中空部を形成して、この中空部の傾斜面に導体2を形成
し、さらにこの中空部を絶縁体で充填することによって
絶縁体1内に角形状のターン部を構成することができ
る。
【0035】次に、図2は図1に示したコイル部品の縦
列方向に位置した各コイル素子3が、引き出し電極4,
5を介して電気的に直列に接続されたものである。つま
り、本発明のコイル部品は電気的に直列な複数のコイル
素子3を絶縁体1に内蔵したものである。
【0036】次に図3に示すコイル部品を説明する。図
3は、図1に示したコイル部品の縦列方向に位置した各
コイル素子3の間に、中間層10が存在する場合を示
す。中間層10は絶縁体で構成されている。このため各
コイル素子3の間の電気的結合が抑制され、電気的に優
れた特性のコイル部品となる。また、各導体2を有した
絶縁体1に絶縁体で構成された上端面層6、下端面層7
が存在するため、磁気的漏洩が抑制でき、電気的に優れ
た特性のコイル部品となる。
【0037】次に図4に示すコイル部品を説明する。図
4は、図1に示したコイル部品の縦列方向に位置した各
コイル素子3の間に、中間層10が存在し、更に中間層
10の中心部に非磁性体11が存在する場合を示す。こ
のため各コイル素子3の間の電気的結合が抑制され、優
れた電気特性のコイル部品となる。
【0038】次に図5に示すコイル部品を説明する。図
5は図1に示したコイル部品の縦列方向に各コイル素子
3が、引き出し電極4,5を介して、絶縁体1の側面に
位置する端面電極8,9に接続されたものである。この
端面電極8,9は同一形状で、絶縁体1に対して面ある
いは点対称の位置にあるため、電気特性の直線上の取出
しが可能となるため、基板の配線が容易となり、表面実
装性に優れたコイル部品となる。
【0039】以上数多くの例で示した通り、絶縁体1内
あるいは表面に各ターン部の径が一端から他端にかけて
徐々に異なるとともに、少なくとも各ターン部が異なる
平面内に位置した導体2が連続的に形成されるコイル素
子3の構成のため、従来の積層構造とは異なり、生産し
やすく、歩留りの向上を図ることができるとともに、近
隣のターン部が絶縁体1を介して面対向しないため、浮
遊容量の発生も最小限に抑えられるため、自己共振周波
数が小さくなってフィルタなどとして用いた場合広帯域
で高い減衰量を得られないといったことが阻止でき、品
質面、性能面で著しく優れたコイル部品とすることがで
きる。
【0040】なお、上記実施の形態においては、面実装
タイプとして両端に端面電極8,9を設けたものについ
てのみ説明してきたが、絶縁体1にピン端子を植設した
ものや、端面電極の代りに端子を有するキャップ状電極
を絶縁体1の両端に嵌合結合したリードタイプのコイル
部品とすることもできる。
【0041】次に、本発明のコイル部品の製造方法につ
いて説明する。本発明のコイル部品の製造方法は、円錐
形状または角錐形状の中空部を複数以上設けた中空体状
の絶縁体1を形成する工程と、円錐形状または角錐形状
の絶縁体1、つまり内側絶縁体1bを複数個形成する工
程のいずれか一方ないしは両方の工程と、外側絶縁端1
aの内面あるいは内側絶縁体1bの表面に複数ターンか
らなり各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異
なるとともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位
置するように導体2から構成させるコイル素子3を縦列
方向に複数個形成する工程とからなるコイル部品の製造
方法である。あるいはさらには、絶縁体1の上下端面の
少なくともいずれか一方に絶縁体1の上下に端面層6,
7を形成する工程、各コイル素子3間に絶縁体1の中間
層10を形成する工程、中間層10の中心部に非磁性体
11を形成する工程をさらに付加したコイル部品の製造
方法である。
【0042】前述したように、絶縁体1ないし絶縁体1
の上下の端面層6,7を形成する工程、各コイル素子3
間に絶縁体1の中間層10を形成する工程、中間層10
の中心部に非磁性体11を形成する工程の有無などに差
はあるものの基本的には前述したように、絶縁体1内あ
るいは表面に各ターン部の径が一端から他端にかけて徐
々に異なるとともに、少なくとも各ターン部が異なる平
面内に位置した導体2を形成するものである。つまり、
絶縁体1の傾斜状あるいは階段状の面に導体2を形成す
るため、優れた生産性でコイル部品を得ることができ
る。
【0043】次に、さらに詳細な本発明のコイル部品の
製造方法について、図を参照しながら説明する。
【0044】図6から図11は本発明のコイル部品の製
造方法を工程順に示した断面図である。まず、図6に示
すように円錐形状または角錐形状の中空部12を形成し
た中空体状の外側絶縁体1aを形成する。外側絶縁体1
aの内面の形状としては、単純な円錐面あるいは角錐面
状であっても導体2を複数ターンからなり各ターン部の
径が一端から他端にかけて徐々に異なるとともに少なく
とも各ターン部が異なる平面内に位置するように導体2
をこの内面に形成できればよい。一方、単純な傾斜面で
はなく階段面の場合には、例えば、階段面の隅に導体2
を形成した場合、全体的には複数ターンからなり、各タ
ーン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるととも
に少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置するよう
に導体2が形成される必要がある。
【0045】前述した形状の内面を有する中空体状の外
側絶縁体1aを形成する方法としては、この内面に噛み
合うことのできる凸部を有する支持体上にスラリー状の
絶縁体を流し、乾燥後この支持体から分離することによ
って、絶縁体1に特性の中空部12を形成することがで
きる。また、別の方法としては前記と同様にスラリー状
の絶縁体を平坦な支持体上に流し込み平滑なシート状の
絶縁体を形成した後、前述した所定の中空部12を形成
するための形状を有する金型で絶縁体に特定の中空部1
2を形成する方法がある。さらには、通常一般に知られ
た粉末成型法によって同様に特定の中空部12を有する
中空体状の外側絶縁体1aを形成することができる。い
ずれの方法でも図6に示したように、前述した特定の内
面を有する中空体状の外側絶縁体1aを形成することが
できる。しかも前述したように、内面は斜面状でも階段
状の斜面のいずれでもよい。
【0046】次に、図7に示すように中空部12を有す
る外側絶縁体1aの内面全面に導体2を形成する。さら
に、図8に示すように導体2は、複数ターンからなり、
各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なると
ともに、少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置す
るものである。その形状としては、蚊取り線香状の導体
2の中心部を引き下げて、ラッパ形状にしたものあるい
は同心円状のものを連ねた形状などがある。
【0047】次に、導体2を形成した外側絶縁体1aは
図9に示すように、外側絶縁体1aの上面に導体2の導
体径の大きい側の導体端部と接合できる引出電極4、導
体径の小さい側の導体端部と接合できる引出電極5を予
め形成し、中空部12に絶縁体を充填し、内側絶縁体1
bを形成してコイル素子3とする。
【0048】次に、図10に示すように、コイル素子3
の導体径の大きい側に接合した絶縁体1の上端面層6
と、コイル素子3の導体径の小さい側に接合した絶縁体
1の下端面層7を接合する。
【0049】さらに、図11に示すようにチップ状の部
品複数個接合し、引出電極4,5の端面に端面電極8,
9を形成する。得られたこの積層体を焼成することによ
ってコイル部品を得ることができる。しかし、焼成は端
面電極8,9を形成せずに行ってもよい。つまり、端面
電極8,9を形成していないものを焼成し、焼成後に端
面電極8,9を形成する方法である。この場合の形成法
の一例を説明すると、図11に示した端面電極と同様の
形状に導体層を形成し、一度焼成する。その後この導体
層を電極にして、ニッケルめっきおよび半田あるいは錫
めっきを施す。最終的には、端面電極8,9は焼成によ
って形成した下地の導体層と電気めっきによって形成し
たニッケルおよび半田ないしは錫の3層構造である。
【0050】以上の外側絶縁体1a、内側絶縁体1bは
一般に知られているグリーンシート成形法、印刷法、デ
ィッピング法、粉末成型法あるいはスピンコート法など
で形成することができる。導体2あるいは引出電極4,
5は印刷法が一般的であるが、レーザを用いたパターン
形成、金型等で所定形状に予め形成した導体を転写する
方法、滴下、ポッティングあるいは溶射法などの方法で
もよい。
【0051】本発明の製造方法で得られるコイル部品は
耐熱性に優れたコイル部品であるためモジュール化する
ことが容易である。例えば、アルミナ基板あるいはフェ
ライト基板などのセラミック基板に所定の配線層を形成
し、基板の配線とコイル部品の端面電極8,9との結線
を同時に行って、一体化あるいは組立が可能である。こ
の場合、基板の所定場所に窓をあけてコイル部品の側面
の端面電極8,9とセラミック基板上の配線に結線する
ことが可能になるため、薄型のモジュールが得られる。
この場合は、一般に知られているセラミック基板を用い
た通常の厚膜形成プロセスが適用できる。コイル部品の
端面電極8,9は半田づけを前提としたものでなく、焼
成して電気的に接続するものにすればよい。
【0052】以上のコイルを形成するコイル素子3の4
つの端子は、チップ部品の端面に形成して端面電極8,
9と電気的に接続された状態である。つまり、導体2の
最上部および最下部には端面電極8,9と電気的に結線
するための引出電極4,5を有して、端面電極8,9に
つながっている。
【0053】前記の各層を形成するためのペーストは、
各粉末とブチルカルビトール、テルピネオール、アルコ
ールなどの溶剤、エチルセルロース、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイ
ド、エチレン−酢酸ビニルなどの結合剤、さらに、各種
の酸化物あるいはガラス類などの焼結助剤を添加し、ブ
チルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、グリセ
リンなどの可塑剤あるいは分散剤等を添加してもよい。
これらを混合した混練物を用いて各層を形成する。これ
らを前述したような所定の構造に積層したものを焼成し
てコイル部品を得る。グリーンシートを作製する場合
は、前記の溶剤に替えて蒸発性の優れた各種の溶剤、例
えば酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、アル
コールなどが望ましい。
【0054】焼成温度範囲としては約800℃から13
00℃の範囲である。特に導体材料によって異なり、例
えば、導体材料として銀を用いれば900℃前後にする
必要があり、銀とパラジウムの合金では950℃で、さ
らに高温で焼成するには導体材料にニッケル、パラジウ
ムなどを用いる。
【0055】次に本発明の更に具体的な実施例について
説明する。 (実施例1)NiZnCu系フェライト粉末100gに
対してブチラール樹脂を8g、ブチルベンジルフタレー
トを7g、メチルエチルケトンを22gおよび酢酸ブチ
ルを11g混合し、ポットミルを用いて混練してフェラ
イトスラリーを作製した。
【0056】このスラリーを使い、コータを用いて乾燥
後厚み0.2mmのフェライトグリーンシートを作製し
た。なおグリーンシートはPETフィルム上に形成し
た。
【0057】このフェライトグリーンシートを3枚積み
重ねて積層した。フェライトグリーンシートの積層には
熱プレスを用い、熱プレスの定盤温度は65℃に設定
し、圧力は500Kg/cm2であった。図8に示したよう
な中空体状の外側絶縁体1aの内面に複数ターンからな
り各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なる
とともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置す
るように導体2を形成することができるような所定の内
面を形成するための形状を有する金型を用いて、パンチ
ャーを使用して、前記の積層したフェライトグリーンシ
ートに所定の内面を形成し、円錐形状の中空部を設けた
中空体状の外側絶縁体1aを形成した。
【0058】次に、市販の銀ペーストと印刷機を用い
て、外側絶縁体1aの内面に複数ターンからなり各ター
ン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるとともに
少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置するように
導体2を形成した。なお、印刷方法は一般に知られるス
ルーホール印刷と同様に外側絶縁体1aの印刷面の反対
面から吸引し、内面の階段状斜面の隅に銀ペーストが残
されるように行った。
【0059】次に図9に示したように、先に作製したフ
ェライトグリーンシート(厚みが0.2mm)に前記と同
じ銀ペーストと印刷機を用いて、引出電極4,5を形成
し、さらに、外側絶縁体1aの内面、つまり中空部12
に前述したフェライトスラリーを流し込みほぼ平坦なフ
ェライトグリーンシートを作製した。つまり、この充填
によって内側絶縁体1bを形成した。
【0060】次に図10に示すように、導体2の大きい
側に接合した絶縁体1の上端面層6と、導体2の小さい
側に接合した絶縁体の下端面層7の接合には、熱プレス
を用い、熱プレスの定盤温度は65℃に設定し、圧力は
100Kg/cm2であった。
【0061】さらに、図11に示すような端面電極8,
9を市販の銀ペーストを用いて形成し、900℃で2時
間保持する条件で焼成した。
【0062】以上の方法で得られた本発明のコイル部品
には剥離、割れ、反りなどの欠陥は認められなかった。
インピーダンスアナライザなどを用いて、各種の電気特
性を測定したところ、優れた特性を有するコイル部品で
あった。
【0063】このように本発明のコイル部品は従来の積
層型のコイル部品よりも少ない積層数で優れた電気特性
を有するコイル部品を得ることができる。
【0064】(実施例2)実施例1と同様にNiZnC
u系フェライト粉末100gに対してブチラール樹脂を
10g、ブチルベンジルフタレートを8g、酢酸ブチル
を35g混合し、ポットミルを用いて混練してフェライ
トスラリーを作製した。
【0065】このスラリーを使い、実施例1と同様に中
空体状の外側絶縁体1aの内面に複数ターンからなり各
ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるとと
もに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置するよ
うに2つの導体2を形成することができるような所定の
内面を形成するための形状を有するシート状のポリイミ
ド上にコータを用いて乾燥後厚み0.6mmのフェライト
グリーンシートを作製し、外側絶縁体1aを形成した。
【0066】次に、実施例1と同様に外側絶縁体1aの
内面に導体2を形成した。さらに、図6から図11に示
すように、実施例1と同様の方法で内側絶縁体1b、引
出電極4,5および複数の絶縁体の接合、また端面電極
8,9などを形成し、900℃で2時間保持する条件で
焼成した。
【0067】以上の方法で得られた発明のコイル部品に
は剥離、割れ、反りなどの欠陥は認められなかった。イ
ンピーダンスアナライザなどを用いて、各種の電気特性
を測定したところ、優れた特性を有するコイル部品であ
った。
【0068】このように本発明のコイル部品は従来の積
層型のコイル部品よりも少ない積層数で優れた電気特性
を有するコイル部品を得ることができる。さらに、この
方法は実施例1に示した方法よりも外側絶縁体1aを一
工程で形成し工数的にも有利な方法であった。
【0069】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
コイル部品は、積層構造ではないため生産性に優れ、し
かも絶縁体内あるいは表面上、つまり円錐形状または角
錐形状の傾斜面あるいは階段状の斜面上に導体を位置さ
せているため高さを低く抑えることができ、かつ、導体
のターン部間の浮遊容量も殆ど発生せず電気特性の優れ
たものとすることができ、産業的価値の大なるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコイル部品の一実施の形態を示す断面
【図2】他の実施の形態の断面図
【図3】他の実施の形態の断面図
【図4】他の実施の形態の断面図
【図5】さらに他の実施の形態の断面図
【図6】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図7】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図8】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図9】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図10】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的
な断面図
【図11】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的
な断面図
【図12】従来のコイル部品を示す概略斜視図
【図13】同分解斜視図
【符号の説明】
1 絶縁体 1a 外側絶縁体 1b 内側絶縁体 2 導体 3 コイル素子 4,5 引出電極 6 上部端面層 7 下部端面層 8,9 端面電極 10 中間層 11 非磁性体 12 中空部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体内あるいは表面に複数ターンから
    なり、各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異
    なるとともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位
    置した導体から構成されたコイル素子を縦列方向に複数
    個備えたコイル部品。
  2. 【請求項2】 各コイル素子の2つの端子をそれぞれ絶
    縁体の表面に引出した請求項1に記載のコイル部品。
  3. 【請求項3】 複数個のコイル素子が電気的に直列に接
    続され、その最上段と最下段のコイル素子から端子を絶
    縁体の表面に引出した請求項1に記載のコイル部品。
  4. 【請求項4】 各コイル素子間に絶縁体を介在させた請
    求項1に記載のコイル部品。
  5. 【請求項5】 各コイル素子間に介在させる絶縁体間に
    中間層としての非磁性体層を設けた請求項1に記載のコ
    イル部品。
  6. 【請求項6】 複数個のコイル素子を備えた絶縁体の上
    下端面に端面層を設けた請求項1に記載のコイル部品。
  7. 【請求項7】 絶縁体の表面に引出した端子として、同
    一形状で絶縁体に対して面または点対称位置に設けた構
    成とした請求項1に記載のコイル部品。
JP29351496A 1996-11-06 1996-11-06 コイル部品 Pending JPH10144543A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018008615A1 (ja) * 2016-07-06 2018-01-11 株式会社村田製作所 電子機器

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WO2018008615A1 (ja) * 2016-07-06 2018-01-11 株式会社村田製作所 電子機器

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