JPH10139885A - 液晶性樹脂ペレットおよびその製造方法なら微にそれを用いた熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

液晶性樹脂ペレットおよびその製造方法なら微にそれを用いた熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法

Info

Publication number
JPH10139885A
JPH10139885A JP24578397A JP24578397A JPH10139885A JP H10139885 A JPH10139885 A JP H10139885A JP 24578397 A JP24578397 A JP 24578397A JP 24578397 A JP24578397 A JP 24578397A JP H10139885 A JPH10139885 A JP H10139885A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystalline
crystalline resin
thermoplastic resin
weight
pellet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP24578397A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3582321B2 (ja
Inventor
Toshio Kurematsu
俊夫 榑松
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Shunei Inoue
俊英 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP24578397A priority Critical patent/JP3582321B2/ja
Publication of JPH10139885A publication Critical patent/JPH10139885A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3582321B2 publication Critical patent/JP3582321B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、低粘度でも操作性に優れた液晶性樹
脂ペレットおよびその製造方法とそれを用いて得られる
優れた流動性と機械的性質を有し、高品質の熱可塑性樹
脂組成物およびその成形品、フィルム、繊維を得ること
を課題とする。 【解決手段】 液晶性樹脂(A)のTm(融点)+10
℃で測定された溶融粘度が8Pa・s以下である液晶性樹
脂ペレットおよびその製造方法と上記液晶樹脂ペレット
と熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物およびその
製造方法、およびその成形品、フィルム、繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低粘度でも操作性
に優れた液晶性樹脂ペレットおよびその製造方法とそれ
を用いて得られる優れた流動性と機械的性質を有し、高
品質の熱可塑性樹脂組成物およびその成形品、フィル
ム、繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年プラスチックの高性能化に対する要
求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマー
が数多く開発されているが、なかでも分子鎖の平行な配
列を特徴とする光学異方性の液晶性樹脂が優れた流動性
と機械物性を有する点で注目されている。しかしなが
ら、液晶性樹脂は靱性に劣り、成形品では面衝撃性、フ
ィルム、繊維においては靱性に劣り、また価格が高いな
どの理由で用途が制限されているのが現状である。
【0003】一方、多くの熱可塑性樹脂は液晶性樹脂と
比較して、機械物性および成形時の流動性に劣るため、
加工の面から制限されているのが現状である。
【0004】そこで、両者のもつ欠点を解決するため
に、液晶性ポリエステルと熱可塑性樹脂のブレンドが注
目されている(たとえば、特開昭57−25354号公
報)。しかしながら、流動性を改善するために液晶性樹
脂を熱可塑性樹脂に添加すると面衝撃性、靱性が低下
し、一方、液晶性樹脂の量を少なくすると面衝撃性、靱
性などの機械物性は保持されるが、十分な流動性が得ら
れないという問題があった。
【0005】また、熱可塑性樹脂の流動性を向上させる
ために液晶性オリゴマーを使用することが特開平3−7
2559号公報に記載されており、同公報記載の方法
は、重合により液晶性オリゴマーを製造した後、得られ
た液晶オリゴマーを粉砕し、それを配合に供する方法で
あるが、粉砕された液晶オリゴマーは、粒度がそろわな
いため特に熱可塑性樹脂等とのブレンドの際、分級が生
じたり、押出機に噛み込まないなどの問題のあることが
わかった。そして本発明者らの検討によれば、かかる方
法により得られた液晶オリゴマーは、チップ化し難く、
粒度の揃ったチップを得ることが困難であることがわか
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の問題を
解決し、低粘度でも操作性に優れた液晶性樹脂ペレット
およびその製造方法とそれを用いて得られる優れた流動
性と機械的性質を有し、高品質の熱可塑性樹脂組成物お
よびその成形品、フィルム、繊維を得ることを課題とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は(1)
液晶性樹脂(A)のTm(融点)+10℃で測定された
溶融粘度が8Pa・s以下である液晶性樹脂ペレット、
(2)液晶性樹脂(A)のTm(融点)+10℃で測定
された溶融粘度が5Pa・s以下である上記(1)記載の液
晶性樹脂ペレット、(3)液晶性樹脂(A)がpーヒド
ロキシ安息香酸残基を必須成分として含有する上記
(1)または(2)記載の液晶性樹脂ペレット、(4)
液晶性樹脂(A)がエチレンジオキシ単位を必須成分と
して含有する上記(1)〜(3)のいずれか記載の液晶
性樹脂ペレット、(5)液晶性樹脂(A)が下記構造単
位(I)、(III)および(IV)からなる液晶性ポリエステル、
または(I)、(II)、(III)および(IV)からなるからな
る液晶性ポリエステルである上記(1)〜(4)のいず
れか記載の液晶性樹脂ペレット、
【化5】 (ただし式中のR1
【化6】 から選ばれた1種以上の基を示し、R2
【化7】 から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素
原子または塩素原子を示す。) (6)液晶性樹脂(A)が構造単位(I)、(II)、(II
I)および(IV)からなり、構造単位(I)および(II)の合計
が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して3
0〜95モル%、構造単位(III)が構造単位(I)、(I
I)および(III)の合計に対して70〜5モル%であり、
構造単位(I)と(II)のモル比[(I)/(II)]が75/25
〜95/5であり、構造単位(IV)は構造単位(II)および
(III)の合計と実質的に等モルである上記(5)記載の
液晶性樹脂ペレット、(7)融点(Tm)+10℃で測
定した溶融粘度が8Pa・sを越える液晶性樹脂ペレット
を水、下式(a)から選ばれた化合物および下式(b)から選
ばれた化合物から選ばれた少なくとも1種以上の処理剤
で50℃以上の温度で処理することにより、処理後の液
晶性樹脂の融点+10℃で測定された溶融粘度が8Pa
・s以下である液晶性樹脂ペレットを得ることを特徴と
する液晶性樹脂ペレットの製造方法、
【化8】 (ただし、式中のR3は炭素数1〜10の1価の有機
基、R4は炭素数2〜10の2価の有機基を示す。) (8)上記(1)〜(6)のいずれか1項記載の液晶性
樹脂ペレット(A)0.01〜10重量%と熱可塑性樹
脂(B)99.9〜90重量%を溶融混練してなる熱可
塑性樹脂組成物、(9)上記(1)〜(6)のいずれか
記載の液晶性樹脂ペレット(A)0.01〜10重量%
と熱可塑性樹脂ペレット(B)99.99〜90重量%
を溶融混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の
製造方法、(10)さらに無機充填材(C)を(A)成
分および(B)成分の合計100重量部に対して1〜2
00重量部含有せしめてなる上記(8)記載の熱可塑性
樹脂組成物、(11)上記(8)または(10)記載の
熱可塑性樹脂組成物で構成してなる成形品、(12)上
記(8)または(10)記載の熱可塑性樹脂組成物で構
成してなるフィルム、および(13)上記(8)または
(10)記載の熱可塑性樹脂組成物で構成してなる繊維
である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の液晶性樹脂ペレットにお
ける液晶性樹脂とは、溶融時に異方性を形成し得る樹脂
であり、例えば液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステ
ルアミド、液晶性ポリエステルカーボネート、液晶性ポ
リエステルエラストマーなどが挙げられ、なかでも液晶
性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドなどが好ま
しく用いられる。
【0009】上記液晶性ポリエステルとしては、芳香族
オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジ
カルボニル単位、エチレンジオキシ単位などから選ばれ
た構造単位からなる異方性溶融相を形成するポリエステ
ルを挙げることができ、液晶性ポリエステルアミドとし
ては、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳
香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選
ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成するポリエ
ステルアミドを挙げることができる。
【0010】本発明に好ましく使用できる液晶性樹脂は
芳香族オキシカルボニル単位としてp−ヒドロキシ安息
香酸からなる構造単位を含む液晶性樹脂であり、また、
エチレンジオキシ単位を必須成分とする液晶性樹脂も好
ましく使用できる。さらに好ましくは下記構造単位
(I)、(III)および(IV)からなる液晶性ポリエステル、あ
るいは(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位から
なる液晶性ポリエステルであり、最も好ましいのは
(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる液
晶性ポリエステルである。
【0011】
【化9】 (ただし式中のR1
【化10】 から選ばれた1種以上の基を示し、R2
【化11】 から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素
原子または塩素原子を示す。) 上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成し
た構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロ
キシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、
t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、
メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳香族ジ
ヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(I
II)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構
造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−
ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−
ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)
エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフ
ェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカル
ボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうち
1
【化12】 であり、R2
【化13】 であるものが特に好ましい。
【0012】本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエ
ステルは、上記構造単位(I)、(III)、(IV)からなる共重
合体または(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合
体であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(I
V)の共重合量は任意である。しかし、流動性の点から次
の共重合量であることが好ましい。
【0013】すなわち、上記構造単位(I)、(III)、(IV)
からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)は構造単
位(I)および(III)の合計に対して30〜85モル%が好
ましく、40〜80モル%がより好ましい。また、構造
単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルであること
が好ましい。
【0014】一方、上記構造単位(I)、(II)、(II
I)、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)
および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)
の合計に対して30〜95モル%が好ましく、40〜8
5モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造
単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70〜1
0モル%が好ましく、60〜15モル%がより好まし
い。また、構造単位(I)と(II)のモル比[(I)/(II)]は
好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましく
は78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は
構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであ
ることが好ましい。
【0015】また液晶性ポリエステルアミドとしては、
上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールか
ら生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性
溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
【0016】上記好ましく用いることができる液晶性ポ
リエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単
位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニ
ルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸な
どの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン
酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビ
フェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、1,4−ブ
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジ
オールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロ
キシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およ
びp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを液
晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめるる
ことができる。
【0017】本発明の液晶性樹脂ペレットを構成する液
晶性樹脂の重合方法は特に制限はなく、例えば液晶性ポ
リエステル、液晶性ポリエステルアミドの製造方法は、
公知のポリエステル、ポリエステルアミドの重縮合法に
準じて製造できる。
【0018】例えば、上記好ましく用いられる液晶性ポ
リエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙
げられる。
【0019】(1)p−アセトキシ安息香酸、4,4’
−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなど
の芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタ
ル酸などの芳香族ジカルボン酸およびポリエチレンテレ
フタレートなどのポリエステルのポリマ、オリゴマまた
はビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳
香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エス
テルから脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
【0020】(2)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’
−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香
族ジヒドロキシ化合物、無水酢酸、テレフタル酸などの
芳香族ジカルボン酸、ポリエチレンテレフタレートなど
のポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒ
ドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン
酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルとを脱酢酸
重縮合反応によって製造する方法。
【0021】(3)(1)または(2)の製造方法にお
いて出発原料の一部に特開平3−59024号公報のよ
うに1,2−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)エタン
を用いる方法。
【0022】重縮合反応に使用する触媒としては、液晶
性樹脂の重縮合触媒として公知のものを使用することが
できる。
【0023】また、本発明の液晶性樹脂ペレットの溶融
粘度の上限は、融点(Tm)+10℃の条件で、ずり速
度1,000(1/秒)の条件下でノズル径0.5mmφ、
ノズル長10mmのノズルを用いて高化式フローテスターに
よって測定した値で8Pa・s以下であることが必須であ
り、5Pa・s以下であることが好ましい。また、より好
ましい粘度としては、3Pa・s以下である。一方、溶融
粘度の下限は液晶性樹脂ペレットが形状を維持できる程
度であれば特にない。
【0024】なお、融点(Tm)とは示差熱量測定にお
いて、液晶性樹脂を室温から40℃/分の昇温条件で測
定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測
後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃
/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃
/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温
度(Tm2)のピークを指す。
【0025】さらに、本発明の液晶性樹脂の形態はペレ
ットであることが必須である。ここでいうペレットとは
液晶性樹脂を粒状にしたものである。ペレットの形状と
しては特に制限はなく、例えば円柱状、直方状、球状な
どが挙げられる。具体例としてはペレット100gを2
0メッシュ(目開き0.833mm)のふるい、、好ましくは
16メッシュ(目開き0.991mm)のふるいで振盪装置を
用い、2分間以上、好ましくは5分間振盪させた際のふ
るい上に残るふるい残量が95重量%以上、好ましくは
97重量%以上のものが挙げられる。また、ペレットの
最長径は、特に限定されないが熱可塑性樹脂とのブレン
ド時の分級を抑制するために、ペレット最長部の平均長
が1mm以上50mm以下のものが好ましく、特に好ましくは
1.5mm以上10mm以下、より好ましくは2mm以上7mm以下
のものである。なお、測定方法は任意にペレットを20
個取り出し、ノギスあるいはマイクロメーターを用いて
ペレットの最長部を測定し、平均値を算出する。さらに
本発明の液晶性樹脂ペレットの見かけ密度は好ましくは
0.6〜1.0g/cm3、0.65〜0.9g/cm3のものが
より好ましく用いられる。ここでいう見掛け密度とはJ
IS K 6911の方法に準じて測定されたものであ
る。
【0026】上記ペレットを得る方法としては特に制限
されないが、具体例を挙げると液晶性樹脂を溶融した状
態でノズルから押出し、ストランド状にしたものをスト
ランドカッターによりペレット化する方法、溶融状態で
ノズルから押し出したものをホットカッターによりペレ
ット化する方法、シート状に押し出したものをシートカ
ッターによりペレット化する方法などが挙げられる。
【0027】また、本発明の液晶性樹脂ペレットを得る
方法としては特に限定はしないが、好ましい方法として
は融点(Tm)+10℃で測定した溶融粘度が8Pa・s
を越える液晶性樹脂ペレットを水、下式(a)から選ばれ
た化合物および下式(b)から選ばれた化合物から選ばれ
た少なくとも1種以上の処理剤で50℃以上の温度で処
理する方法が挙げられる。
【0028】
【化14】 (ただし、式中のR3は炭素数1〜10の1価の有機
基、R4は炭素数2〜10の2価の有機基を示す。) 上式(a)で表される化合物の具体例としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、フェノールなどが挙げ
られ、メタノール、エタノールが好ましく用いられる。
また上式(b)で表される化合物の具体例としては、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ルなどが挙げられ、グリコールなどが好ましく用いられ
る。これらの処理剤は2種以上の混合物、例えばメタノ
ール水溶液、エチレングリコール水溶液などとして用い
ることもでき、塩酸、硫酸、リン酸などの酸または水酸
化ナトリウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリを加
えた溶液を用いることも可能である。
【0029】また、処理温度の下限としては50℃以上
であることが好ましく、より好ましくは70℃以上、さ
らに好ましくは90℃以上である。一方、上限は用いる
溶媒または溶液の蒸気圧が10kgf/cm2以下となる温度
が好ましく、より好ましくは7kgf/cm2以下となる温
度、さらに好ましくは5kgf/cm2以下となる温度であ
る。また、溶媒または溶液の蒸気圧が1.1kgf/cm2未満の
条件で処理する場合の処理時間は、30分以上250時
間以下が好ましく、より好ましくは1時間以上220時
間、最も好ましくは3時間以上200時間以下である。
また、溶媒または溶液の蒸気圧が1.1kgf/cm2以上の条件
で処理する場合の処理時間は、30分以上144時間以
下が好ましく、より好ましくは1時間以上72時間以
下、最も好ましくは3時間以上、48時間以下である。
【0030】かくして得られる本発明の液晶性樹脂ペレ
ットは低粘度でも操作性に優れ、熱可塑性樹脂との混合
に際し、極めて有用であり、上記液晶性樹脂ペレットを
熱可塑性樹脂(B)と混合することで熱可塑性樹脂組成
物とすることができる。なお、上記処理を行って得られ
た本発明の液晶性樹脂ペレットは、通常、重合完了後の
ポリマーに比べ、融点が若干低下する。
【0031】熱可塑性樹脂(B)としては上記特定の溶
融粘度を有する液晶性樹脂以外の熱可塑性樹脂であれば
特に限定はないが、具体例を挙げると、ポリエチレン、
ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリ(シクロヘキ
サンジメチレンテレフタレート−エチレンテレフタレー
ト)共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレ
ート、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS、ポリフェ
ニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエー
テルイミド、ポリエーテルケトン、ポリスルフォン、フ
ッ素樹脂等を挙げることができ、これらの熱可塑性樹脂
は2種以上混合して使用することができる。なかでも本
熱可塑性樹脂組成物を成形品として用いる場合にはポリ
ブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリシクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリ(シクロヘキ
サンジメチレンテレフタレート−エチレンテレフタレー
ト)共重合体、ポリカーボネート、ABSなどが好まし
く用いられ、フィルム、繊維としてはポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく用い
られる。
【0032】また、配合に供する際の熱可塑性樹脂
(B)の形態はペレットであることが好ましい。かかる
ペレットの形状等は一般に市販されているものでよい。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂組成物において全熱
可塑性樹脂成分中、すなわち(A)成分と(B)成分の
合計100重量%中、液晶性樹脂(A)は0.01〜1
0重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜8重量
%、さらに好ましくは0.07〜7重量%、最も好まし
くは0.1〜5重量%であり熱可塑性樹脂(B)は9
9.99〜90重量%が好ましく、より好ましくは9
9.95〜92重量%、さらに好ましくは99.93〜
93重量%、最も好ましくは99.9〜95重量%であ
る。液晶性樹脂(A)が0.01重量%未満であると流
動性に対する効果が小さくなり、10重量%を越えると
機械物性が低下するため好ましくない。
【0034】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に
は特に制限はなく、液晶性樹脂ペレット(A)と熱可塑
性樹脂(B)、好ましくは熱可塑性樹脂(B)ペレット
を直接、製膜機、製糸機あるいは成形機などのホッパー
に投入、あるいはドライブレンド後ホッパーに投入し
(すなわち直接混合し)、製膜、製糸、あるいは成形す
る方法、液晶性樹脂ペレット(A)と熱可塑性樹脂
(B)、好ましくは熱可塑性樹脂(B)ペレットをあら
かじめ溶融混練して、製膜機、製糸機あるいは成形機な
どに供することができる。特に直接混合する場合、本発
明の液晶性樹脂ペレットは混合時に分級しにくく、製膜
機、製糸機などへの噛み込み性に優れている。溶融混練
には公知の方法を用いることができ、例えば、バンバリ
ーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、一軸もしくは二
軸押出機などを用い、200〜400℃の温度で溶融混
練して組成物とすることができる。
【0035】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に対し
て(C)充填剤を添加することにより、機械的特性など
をいっそう改善することができる。
【0036】上記充填剤(C)の量は、(A)成分と
(B)成分の合計100重量部に対して、通常、0.0
1〜200重量部であり、0.1〜150重量部が好ま
しい。充填剤(C)の具体例としてはガラス繊維、炭素
繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、
ホウ酸アルミニウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステン
レス繊維、スチール繊維、セラミック繊維、ボロンウィ
スカー繊維、アスベスト繊維、グラファイト、マイカ、
タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、炭
酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス
マイクロバルーン、クレー、ワラステナイト、酸化チタ
ン、二硫化モリブデン、リン酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、アルミナ、ジルコニア等の繊維状、粉状、粒状ある
いは板状の無機フィラーが挙げられる。又、これらの充
填剤についてはシラン系、チタネート系などのカップリ
ング剤、その他の表面処理剤で処理されたものを用いて
もよい。本発明熱可塑性樹脂組成物を成形品として用い
る場合、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト、マイ
カ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ワラステナイト、
酸化チタンなどの繊維状、粉状、粒状あるいは板状の無
機フィラーが好ましく用いられ、フィルム、繊維として
用いる場合、酸化チタン、炭酸カルシウム、湿式または
乾式シリカ、コロイド状シリカ等の粉状、粒状の無機フ
ィラーが好ましく用いられる。
【0037】更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
本発明の目的を損なわない程度の範囲で、酸化防止剤お
よび熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロ
キノン、亜リン酸エステル類およびこれらの置換体な
ど)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシ
レート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、
滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエス
テル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ス
テアラミド、ポリエチレンおよびポリエチレンワックス
など)、染料(たとえばニトロシンなど)および顔料
(たとえば硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボン
ブラックなど)を含む着色剤、難燃剤、可塑剤、帯電防
止剤などの通常の添加剤を添加して、所定の特性を付与
することができる。
【0038】これら充填剤あるいは各種添加剤を添加す
る方法は、特に制限はなく、(A)および(B)成分と
ともに直接混合、あるいはあらかじめ溶融混練すること
ができる。また、あらかじめ(B)成分と溶融混練した
後、(A)成分と直接混合、あるいは溶融混練すること
もできる。なかでも各成分をあらかじめ溶融混練するこ
とが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることが
できる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール
機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、2
00〜400℃の温度で溶融混練して組成物とすること
ができる。
【0039】本発明の液晶性樹脂ペレットは低粘度でも
操作性に優れるため、それを用いて得られる熱可塑性樹
脂組成物は優れた流動性と機械的性質を有し、高品質で
良好な表面外観を備えるものであり、かかる性質をいか
して成形品、フィルム、繊維に加工することが可能であ
る。また、成形品を成形するにあたっての成形方法は通
常の成形方法(射出成形、押出成形、ブロー成形、プレ
ス成形、インジェクションプレス成形など)により、三
次元成形品、シート、容器パイプなどに加工することが
でき、特に射出成形あるいはインジェクションプレスに
より厚みが1.5mm以下の部分を有する成形品、より
好ましくは1.2mm以下の部分を有する成形品に、さ
らに好ましくは1.0mm以下の部分を有する成形品に
有効である。また、フィルムとしてはTダイ法、リング
ダイ法などの既存の方法により製膜でき、未延伸、未配
向フィルムでもよいが、公知の一軸あるいは二軸延伸、
熱処理した配向フィルムである方が高弾性率、強靱性、
耐熱性等の点で好ましく、これらフィルムは単膜でもよ
いが、これに他のポリマー層、例えばポリエステル、ポ
リオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、アク
リル系ポリマーなどを積層してもよい。さらに繊維を紡
糸するにあたっての製糸方法は通常公知の方法すなわち
紡糸−延伸の2工程法やそれを連続して行なうスピンド
ロー法や、高速紡糸して延伸工程を省略するドロースピ
ン法などいずれの方法を用いてもよく、紡糸、延伸工程
での配向度の配分方法や弛緩処理の有無、温度の工程な
ども特に限定を必要としない。またいうまでもなく、ト
ータル繊度、フィラメント数、断面形状も限定されるも
のではない。
【0040】本発明の熱可塑性樹脂組成物は成形品とし
て用いる場合は各種ギヤー、各種ケース、センサー、L
EPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケ
ース、スイッチコイルボビン、コンデンサー、バリコン
ケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成
器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカ
ー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁
気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導
体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDD
シャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、
パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表
される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイ
ロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部
品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパ
クトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部
品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセ
ッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、
オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、フ
ァクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オ
イルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、
モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表さ
れる機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計など
に代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネー
ターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギ
ュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベー
ス、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気
系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノー
ケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン
冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャ
ブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサ
ー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、
スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジ
ションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバッ
ト磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖
房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモータ
ー用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラ
ー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュ
ストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレ
ー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンド
ウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃
料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホー
ンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターロー
ター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハ
ウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エン
ジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・
車両関連部品、その他各種用途に有用であり、フィルム
として用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、写真用フ
ィルム、コンデンサー用フィルム、電気絶縁用フィル
ム、包装用フィルム、製図用フィルム、リボン用フィル
ムに有用であり、繊維として用いる場合にはタイヤコー
ド、コンベアーベルト、ホース等のゴム補強材、ロー
プ、ケーブル、スピーカーコーン、テンションメンバ
ー、安全着、防弾チョッキ、宇宙服、海底作業服等幅広
い分野に有用である。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳述す
る。
【0042】なお、参考例中のk/l/m/nは、組成
モル比を表す。
【0043】参考例1 p−ヒドロキシ安息香酸839重量部、4,4´−ジヒ
ドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112
重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテ
レフタレ−ト432重量部及び無水酢酸834重量部を
撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、次の条件で
脱酢酸重合を行なった。
【0044】まず、窒素ガス雰囲気下に100〜250
℃で5時間、250〜280℃で1.5時間反応させた
後、280℃、1時間で0.5mmHgに減圧し、更に1.
25時間反応させ、重縮合を完結させたところ、ほぼ理
論量の酢酸が留出し、下記の理論構造式を有する液晶性
ポリエステル樹脂(A−1)を得、吐出口から吐出し、
水冷後、ストランドカッターによりカッティングを行
い、ペレットとした。このペレットを任意に20個とり
ペレットの最長部の平均長を測定したところ3mmであっ
た。また、16メッシュのふるいおよびフリッシュ(Fri
tsh)社製の“アナリセット(Analysette)”型振盪装置
を用い、ペレット100gをふるい上で、5分間振盪さ
せた際の、16メッシュのふるい残量は99重量%であ
った。また、JIS K 6911の方法で測定した、
見掛け密度は0.75g/cm3であった。
【0045】
【化15】 k/l/m/n=67.5/7.5/25/32.5こ
のポリエステルの融点を測定したところ244℃で、溶
融粘度は254℃で13Pa・sであった。
【0046】参考例2 参考例1と同一装置を用い、次の条件で脱酢酸重合を行
った。p−アセトキシ安息香酸1216重量部およびポ
リエチレンテレフタレート432重量部を仕込み、窒素
ガス雰囲気下に240℃で3時間攪拌を行った。その後
2時間かけて缶内温度を240〜280℃にし、重合缶
を90分かけて1Torrまで減圧した。その後1時間
攪拌を続け重縮合を完結させたところ、ほぼ理論量の酢
酸が留出し、下記の理論構造式を有する液晶ポリエステ
ル樹脂(A−2)を得、吐出口から吐出し、水冷後、ス
トランドカッターによりカッティングを行い、ペレット
とした。このペレットを任意に20個とりペレットの最
長部の平均長を測定したところ3mmであり、16メッシ
ュのふるい残量は99重量%、見掛け密度0.74g/
cm3であった。
【0047】
【化16】 k/l/m=75/25/25このポリエステルの融点
を測定したところ246℃、溶融粘度は256℃で23
Pa・sであった。
【0048】実施例1 参考例1で得られた液晶性ポリエステル樹脂(A−1)
を600重量部を1500重量部の水に入れ、オートク
レーブ中加圧下で120℃で20時間処理し、液晶性ポ
リエステル樹脂(A−4)を得た。この液晶性ポリエス
テル樹脂は処理前のペレット形状を維持しており、融点
は232℃であった。溶融粘度は254℃の条件下で
1.0Pa・s、242℃の条件下で1.6Pa・sであっ
た。また、見掛け密度は処理前とかわらなかった。
【0049】実施例2 参考例2で得られた液晶性ポリエステル樹脂(A−2)
を600重量部を1500重量部の水に入れオートクレ
ーブ中加圧下で120℃で20時間処理し、液晶性ポリ
エステル樹脂(A−5)を得た。この液晶性ポリエステ
ル樹脂は処理前のペレット形状を維持しており、融点は
234℃であった。溶融粘度は256℃の条件下で1.
5Pa・s、244℃の条件下で2.4Pa・sであった。ま
た、見掛け密度は処理前とかわらなかった。
【0050】実施例3 参考例1で得られた液晶ポリエステル樹脂(A−1)6
00重量部を1500重量部の水に入れ、97℃で19
0時間処理し、液晶ポリエステル樹脂(A−6)を得
た。この液晶性ポリエステル樹脂は処理前のペレット形
状を維持しており、融点は232℃であった。溶融粘度
は254℃の条件下で1.8Pa・s、242℃の条件下
で2.9Pa・sであった。また、見かけ密度は処理前と
変わらなかった。
【0051】比較例1 参考例1と同一装置を用い、次の条件で脱酢酸重合を行
った。p−ヒドロキシ安息香酸839重量部、4,4’
−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸
112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチ
レンテレフタレート432重量部及び無水酢酸834重
量部を窒素ガス雰囲気下に100〜250℃で5時間、
250〜280℃で1.5時間反応させた後、280
℃、1時間で0.5mmHgに減圧し、下記の理論構造式を
有する液晶性ポリエステル樹脂(A−3)を得、吐出口
から吐出し、ストランドカッターによりペレット化を試
みたが、不可能であったので水冷後、粉砕した。粉砕品
の20メッシュのふるい残量は82%であった。
【0052】
【化17】 k/l/m/n=67.5/7.5/25/32.5 このポリエステルの融点を測定したところ240℃で、
溶融粘度は250℃で1.0Pa・sであった。
【0053】実施例4〜10、比較例2〜14 液晶性樹脂(A)A−1〜A−6、表1記載の熱可塑性
樹脂(B)のペレットおよび表1記載の充填剤(C)を
それぞれ表1に示すとおりドライブレンドし、250〜
280℃に設定した30mmφ二軸押出機で溶融押出
し、水冷後ペレット化した。また、この乾燥ペレットを
用いてシリンダ温度250〜280℃、金型温度40〜
90℃に設定した射出成形機(住友ネスタール射出成形
機プロマット(住友重機械工業(株)製)に供し、1mm
厚×70mm×70mmの角板を成形した。その角板を用
い、面衝撃性のテストとして撃芯9mmφ、重量300
gを用いデュポン衝撃試験を行い、角板にひび割れの起
こらない落下距離を求めた。また、流動性の評価として
上記射出成形機を用いてシリンダ温度250〜280
℃、射出速度99%、射出圧力500kgf/cm2の条件で
0.5mm厚×12.7mm幅の試験片を50ショット
成形し、流動長さ(棒流動長)の平均値およびその標準
偏差を測定した。その結果を表1に示す。
【0054】
【表1】 上記表1の結果より、本願発明の液晶性樹脂組成物は流
動性、面衝撃性にも優れることがわかる。また、未処理
品の液晶性樹脂を用いた場合は流動性に劣り、液晶性樹
脂を多量に添加することで流動性は向上するものの面衝
撃性は大きく低下しており、満足のいくものは得られな
いことがわかる。さらに、液晶性樹脂として低粘度品の
A−3を用いた場合流動長さの標準偏差が大きく、混練
時の分級による組成のバラツキが大きいことがわかる。
【0055】実施例11〜14、比較例15〜22 液晶性樹脂(A)A−1〜A−5と固有粘度(IV)
1.4dl/g(オルトクロロフェノール中、0.1g/ml濃
度、25℃で測定)のPET(ポリエチレンテレフタレ
ート)のペレットをそれぞれ表2に示すとおりVブレン
ダーでブレンドし160℃で5時間真空中で乾燥させた
後280℃に設定した40mmφ単軸押出機に供給して溶
融押出し、これを表面温度60℃のキャスティングドラ
ムに巻き付けて冷却固化し、厚さ50〜100μmの未
延伸フィルムをT.M.Long社製のフィルムストレッチャー
を用いて90℃で長手方向、幅方向とも3倍に同時二軸
延伸した。これらについて押出時の噛み込み性、剪断発
熱および得られたフィルムの品質の評価としてフィルム
中に含まれるオリゴマー量を観測し、フィルムの固有温
度、破断強度を測定した。その結果を表2に示す。な
お、各物性の測定方法ならびに効果の評価方法は下記の
とおりである。
【0056】(1)剪断発熱 剪断発熱(℃)=押出時の温度(℃)−設定温度(℃) 押出時の温度は押出機から押出された直後の組成物の温
度であり、設定温度は押出機先端のシリンダーの設定温
度を示す。
【0057】(2)生成オリゴマー量 生成オリゴマー量(%)=組成物中のオリゴマー量
(%)−押出前のPET中のオリゴマー量(%) 組成物中のオリゴマー量、押出前のPET中のオリゴマ
ー量は組成物あるいはPET100mgをオルトクロロ
フェノール1mlに溶解し、ポリエチレンテレフタレー
ト環状三量体の含有量を液体クロマトグラフ(モデル8
500、VARIAN社製)を用いて測定し、ポリマー
に対する割合(重量%)で示す。
【0058】(3)製膜後のPETの固有粘度(IV) オルトクロロフェノール中、0.1g/mlの濃度でフィル
ムを溶解させ、不溶分を濾過し、25℃で測定した。な
お、濃度については不溶分を除いた濃度で計算した。単
位はdl/gである。
【0059】(4)破断強度 テンシロン型引張試験機(オリエンテック社製)に幅1
0mm、チャック間長さ100mmになるようにサンプル
をセットし、23℃、65%RHの雰囲気下で引張速度
200mm/分で引張試験を行い求める。単位はkg/mm
2で表す。
【0060】
【表2】 上記表2の結果より、本発明の液晶性樹脂はブレンド時
に分級せず、噛み込み性に優れていることがわかる。ま
た、押出時の剪断発熱も少ないため生成するオリゴマー
量が少なく、PETの分子量を表す固有粘度の低下も小
さく、破断強度にも優れているフィルムが得られている
ことがわかる。また、未処理品の液晶性樹脂を用いた場
合は生成オリゴマー量が多く、固有粘度低下も大きくな
り、液晶性樹脂を多量に添加した場合、生成オリゴマー
量、固有粘度低下は低減するものの、液晶性樹脂の添加
により破断強度が低下しており、満足のいくものは得ら
れないことがわかる。さらに、液晶性樹脂として低粘度
品のA−3を用いた場合には押出時の分級により噛み込
み性が悪くフィルムを得ることができなかった。
【0061】実施例15〜18、比較例23〜30 液晶性樹脂(A)A−1〜A−5と固有粘度1.4dl/g
(オルトクロロフェノール中、0,1g/ml濃度、25℃
で測定)をPET(ポリエチレンテレフタレート)のペ
レットをそれぞれ表3に示すとおりVブレンダーでブレ
ンドし160℃で5時間真空中で乾燥させた後、40mm
φ単軸押出機に供給して溶融押出し、0.4mmφ、6ホ
ールの口金を用いて紡糸温度295℃、引取速度70m
/分で溶融紡糸を行った。この未延伸糸を熱ピン(80
℃)、熱板(150℃)を用いて6倍延伸を行った。こ
れらについて押出時の噛み込み性および剪断発熱および
得られた繊維の評価として破断強度を測定した。その結
果を表3に示す。
【0062】(1)剪断発熱 剪断発熱(℃)=押出時の温度(℃)−設定温度(℃) 押出時の温度は押出機から押出された直後のポリマーの
温度であり、設定温度は押出機先端のシリンダーの設定
温度を示す。
【0063】(2)固有粘度(IV) オルトクロロフェノール中、0.1g/mlの濃度で、25
℃で測定した。単位はdl/gである。
【0064】(3)破断強度 テンシロン型引張試験機(オリエンテック社製)に、チ
ャック間長さ100mmになるようにサンプルをセット
し、23℃、65%RHの雰囲気下で引張速度200m
m/分で引張試験を行い求める。単位はg/dで表す。
【0065】
【表3】 上記表3の結果より、本発明の液晶性樹脂はブレンド時
に分級せず、噛み込み性に優れていることがわかる。ま
た、押出時の剪断発熱も少ないためPETの固有粘度の
低下も小さく、破断強度にも優れている繊維が得られて
いることがわかる。また、未処理品の液晶性樹脂を用い
た場合は固有粘度低下も大きくなり、液晶性樹脂を多量
に添加した場合、固有粘度低下は低減するものの、液晶
性樹脂の添加により破断強度が低下しており、満足のい
くものは得られないことがわかる。さらに、液晶性樹脂
として低粘度品のA−3を用いた場合にには押出時の分
級により噛み込み性が悪く繊維を得ることができなかっ
た。
【0066】
【発明の効果】本発明は、低粘度でも操作性に優れた液
晶性樹脂ペレットおよびその製造方法とそれを用いて得
られる優れた流動性と機械的性質を有し、高品質の熱可
塑性樹脂組成物およびその成形品、フィルム、繊維を得
ることができる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶性樹脂(A)のTm(融点)+10℃
    で測定された溶融粘度が8Pa・s以下である液晶性樹
    脂ペレット。
  2. 【請求項2】液晶性樹脂(A)のTm(融点)+10℃
    で測定された溶融粘度が5Pa・s以下である請求項1
    記載の液晶性樹脂ペレット。
  3. 【請求項3】液晶性樹脂(A)がp−ヒドロキシ安息香
    酸残基を必須成分として含有する請求項1または2記載
    の液晶性樹脂ペレット。
  4. 【請求項4】液晶性樹脂(A)がエチレンジオキシ単位
    を必須成分として含有する請求項1〜3のいずれか1項
    記載の液晶性樹脂ペレット。
  5. 【請求項5】液晶性樹脂(A)が下記構造単位(I)、(II
    I)および(IV)からなる液晶性ポリエステル、または
    (I)、(II)、(III)および(IV)からなる液晶性ポリエ
    ステルである請求項1〜4のいずれか1項記載の液晶性
    樹脂ペレット。 【化1】 (ただし式中のR1は 【化2】 から選ばれた1種以上の基を示し、R2は 【化3】 から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素
    原子または塩素原子を示す。)
  6. 【請求項6】液晶性樹脂(A)が構造単位(I)、(I
    I)、(III)および(IV)からなり、構造単位(I)および(II)
    の合計が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対
    して30〜95モル%、構造単位(III)が構造単位
    (I)、(II)および(III)の合計に対して70〜5モル
    %であり、構造単位(I)と(II)のモル比[(I)/(II)]が
    75/25〜95/5であり、構造単位(IV)は構造単位
    (II)および(III)の合計と実質的に等モルである請求項
    5記載の液晶性樹脂ペレット。
  7. 【請求項7】融点(Tm)+10℃で測定した溶融粘度
    が8Pa・sを越える液晶性樹脂ペレットを水、下式(a)か
    ら選ばれた化合物および下式(b)から選ばれた化合物か
    ら選ばれた少なくとも1種以上の処理剤で50℃以上の
    温度で処理することにより、処理後の液晶性樹脂の融点
    +10℃で測定された溶融粘度が8Pa・s以下である
    液晶性樹脂ペレットを得ることを特徴とする液晶性樹脂
    ペレットの製造方法。 【化4】 (ただし、式中のR3は炭素数1〜10の1価の有機
    基、R4は炭素数2〜10の2価の有機基を示す。)
  8. 【請求項8】請求項1〜6のいずれか1項記載の液晶性
    樹脂ペレット(A)0.01〜10重量%と熱可塑性樹
    脂(B)99.9〜90重量%を溶融混練してなる熱可
    塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】請求項1〜6のいずれか1項記載の液晶性
    樹脂ペレット(A)0.01〜10重量%と熱可塑性樹
    脂ペレット(B)99.99〜90重量%を溶融混練す
    ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】さらに無機充填材(C)を(A)成分お
    よび(B)成分の合計100重量部に対して1〜200
    重量部含有せしめてなる請求項8記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  11. 【請求項11】請求項8または10記載の熱可塑性樹脂
    組成物で構成してなる成形品。
  12. 【請求項12】請求項8または10記載の熱可塑性樹脂
    組成物で構成してなるフィルム。
  13. 【請求項13】請求項8または10記載の熱可塑性樹脂
    組成物で構成してなる繊維。
JP24578397A 1996-09-10 1997-09-10 液晶性樹脂ペレットおよびその製造方法ならびにそれを用いた熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3582321B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24578397A JP3582321B2 (ja) 1996-09-10 1997-09-10 液晶性樹脂ペレットおよびその製造方法ならびにそれを用いた熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8-239606 1996-09-10
JP23960696 1996-09-10
JP24578397A JP3582321B2 (ja) 1996-09-10 1997-09-10 液晶性樹脂ペレットおよびその製造方法ならびにそれを用いた熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10139885A true JPH10139885A (ja) 1998-05-26
JP3582321B2 JP3582321B2 (ja) 2004-10-27

Family

ID=26534337

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24578397A Expired - Fee Related JP3582321B2 (ja) 1996-09-10 1997-09-10 液晶性樹脂ペレットおよびその製造方法ならびにそれを用いた熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3582321B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000159957A (ja) * 1998-11-30 2000-06-13 Toray Ind Inc 熱可塑性樹脂組成物および成形品
JP2000159958A (ja) * 1998-11-30 2000-06-13 Toray Ind Inc 繊維強化樹脂組成物および成形品
US10995272B2 (en) 2019-05-17 2021-05-04 Sumitomo Chemical Company, Limited Pellet mixture and injection molded product

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000159957A (ja) * 1998-11-30 2000-06-13 Toray Ind Inc 熱可塑性樹脂組成物および成形品
JP2000159958A (ja) * 1998-11-30 2000-06-13 Toray Ind Inc 繊維強化樹脂組成物および成形品
US10995272B2 (en) 2019-05-17 2021-05-04 Sumitomo Chemical Company, Limited Pellet mixture and injection molded product

Also Published As

Publication number Publication date
JP3582321B2 (ja) 2004-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6046300A (en) Liquid-crystalline resin and thermoplastic resin composition
JP2007138143A (ja) 液晶性樹脂組成物およびその製造方法
KR101109947B1 (ko) 액정성 수지, 그의 제조 방법, 액정성 수지 조성물 및성형품
JP2006316207A (ja) 液晶性樹脂組成物およびそれからなるフィルム
JP3353450B2 (ja) ガラス繊維強化液晶ポリエステル樹脂組成物
JP3747667B2 (ja) 液晶性樹脂および熱可塑性樹脂組成物
JP2015189896A (ja) 液晶性樹脂組成物およびその成形品
JP4552315B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体
JP2000026743A (ja) 液晶性樹脂組成物
JP2004018607A (ja) 液晶性ポリエステル、その製造方法および熱可塑性樹脂組成物
JP5810636B2 (ja) 液晶性樹脂組成物およびその製造方法
JP3582321B2 (ja) 液晶性樹脂ペレットおよびその製造方法ならびにそれを用いた熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法
JP3562122B2 (ja) ガラスビーズ強化液晶性樹脂組成物
JP3269212B2 (ja) ガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
JP2008143996A (ja) 液晶性ポリエステル組成物
JP2003266431A (ja) 液晶性樹脂ペレットの製造方法
JPH10182839A (ja) ペレットおよびその製造方法
JP2009249536A (ja) 液晶性樹脂射出成形材料およびその製造方法
JPH1180391A (ja) 液晶性樹脂成形品およびその処理方法
JP4066526B2 (ja) 液晶性樹脂および熱可塑性樹脂組成物
JP3873420B2 (ja) 液晶性樹脂組成物およびそれからなる精密成形品
JP7290084B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、成形品および成形品の製造方法
JPH11315206A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP3111593B2 (ja) 液晶ポリマ組成物
CN115023470B (zh) 聚芳基醚酮树脂组合物、纤维增强树脂基材及成型品

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040624

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040706

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040719

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080806

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080806

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090806

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090806

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100806

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100806

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110806

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120806

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees