JPH10139741A - N置換−5−フェニル−1,3−フェニレンジアミン類及びその製造方法 - Google Patents
N置換−5−フェニル−1,3−フェニレンジアミン類及びその製造方法Info
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- JPH10139741A JPH10139741A JP8293521A JP29352196A JPH10139741A JP H10139741 A JPH10139741 A JP H10139741A JP 8293521 A JP8293521 A JP 8293521A JP 29352196 A JP29352196 A JP 29352196A JP H10139741 A JPH10139741 A JP H10139741A
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Abstract
写真の電荷輸送剤の中間体として有用な新規物質である
新規N置換−5−フェニル−1,3−フェニレンジアミ
ン類及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 化1で示されるN置換−5−フェニル−
1,3−フェニレンジアミン類 【化1】 〔式中、Rは炭素数1〜4を有するアルキル基又はアル
コキシ基、R1は水素原子又は炭素数1〜4を有するア
ルキル基を示す〕。
Description
体、医薬農薬中間体、或は電子感光写真の電荷輸送剤の
中間体等として有用な、新規N置換−5−フェニル−
1,3−フェニレンジアミン類並びにこの化合物を製造
する方法に関する。
料の中間体、医薬農薬の中間体として広く利用されてい
る化合物である。また、近時は有機感光体の電荷輸送剤
の原料として開発されている。しかしながら、電子写真
方式の複写機、プリンターの目覚ましい進歩に対し、更
に高性能な感光体が望まれている。これに対応する電荷
輸送剤が必要である。また、表示材料としてのエレクト
ロルミネッセンスの研究が現在活発化しているが、その
ための良好な材料の開発も要望されている。特に、電荷
輸送剤の耐熱性、電荷輸送能の改善のために電子共役系
を長く、且つ多くすれば良くなることは考えられるが、
そのような性質を有するN置換−5−フェニル−1,3
−フェニレンジアミン類は現在提供されていない。
ニル−1,3−フェニレンジアミン類のN,N′−ビス
(3−トリル)−5−フェニル−1,3−フェニレンジ
アミンは特公平8-9579号公報に開示されているが、Nビ
ス置換フェニル基のそれぞれのp位にアルキル基、アル
コキシ基を有する化合物は、その製造方法が困難である
ため、現在知られていない。本発明は上記新規N置換−
5−フェニル−1,3−フェニレンジアミン類並びにそ
の製造方法を提供するものである。
るN置換−5−フェニル−1,3−フェニレンジアミン
類を提供する。
コキシ基を示し、R1は水素原子又は炭素数1〜4を有
するアルキル基を示す〕
−5−フェニル−1,3−フェニレンジアミン類を下記
工程(1),(2)及び(3)により製造する方法を提
供する。工程(1) マロン酸エステルとベンザルアセ
トンをアルカリ金属アルコラートを触媒として環化反応
を行い、化2で示される5−フェニル−1,3−シクロ
ヘキサンジオン−4−カルボン酸エステルのアルカリ金
属塩を製造する工程、
す〕 工程(2) 工程(1)で得られた5−フェニル−1,
3−シクロヘキサンジオン−4−カルボン酸エステルの
アルカリ金属塩をアルカリ金属水酸化物水溶液で鹸化
し、引き続き該水溶液を酸性化して5−フェニル−1,
3−シクロヘキサンジオンを製造する工程、工程(3)
工程(2)で得られた5−フェニル−1,3−シクロ
ヘキサンジオンと、化3で示されるアニリン類及び化4
で示されるニトロベンゼン類をPd/C触媒の存在下に反
応させて化1で示されるN置換−5−フェニル−1,3
−フェニレンジアミン類を製造する工程、
換−5−フェニル−1,3−フェニレンジアン類として
は、N,N′−ビス(4−メチルフェニル)−5−フェ
ニル−1,3−フェニレンジアミン、N,N′−ビス
(4−エチルフェニル)−5−フェニル−1,3−フェ
ニレンジアミン、N,N′−ビス(4−イソプロピルフ
ェニル)−5−フェニル−1,3−フェニレンジアミ
ン、N,N′−ビス(4−t−ブチルフェニル)−5−
フェニル−1,3−フェニレンジアミン、N,N′−ビ
ス(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−1,3−
フェニレンジアミン、N,N′−ビス(4−エトキシフ
ェニル)−5−フェニル−1,3−フェニレンジアミ
ン、N,N′−ビス(4−プロピオキシフェニル)−5
−フェニル−1,3−フェニレンジアミン、N,N′−
ビス(3,4−ジメチルフェニル)−5−フェニル−
1,3−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(3,4
−ジエチルフェニル)−5−フェニル−1,3−フェニ
レンジアミン、N,N′−ビス(3−メチル−4−メト
キシフェニル)−5−フェニル−1,3−フェニレンジ
アミン等が挙げられる。これらの化合物は、1,3−フ
ェニレンジアミンの5位にフェニル基を有し、1,3位
のアミノ基も1個の水素がフェニル基に置換されている
ことにより、フェニレンジアミンを中心にフェニル基が
バランス良く配置されている。このような構造は耐熱性
に優れ、この化合物を原料としたトリフェニルアミン型
の電荷輸送剤は優れた電荷輸送能を有するのみならず、
Nに置換されているフェニル基のp位にアルキル基又は
アルコキシ基を有しているから一層耐熱性が向上する。
ニル−1,3−フェニレンジアミン類の製造は次の3工
程よりなる。工程(1)は、ベンザルアセトンとマロン
酸エステルをアルカリ金属アルコラートを触媒として反
応させることにより、化2のR2がアルコール残基であ
る5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオン−4−
カルボン酸エステルのアルカリ金属塩が得られる。
マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジア
ルキルエステルが好適である。また、アルカリ源として
アリカリ金属のアルコラート、例えば、ナトリウムメチ
ラート、ナトリウムエチラート又はアルカリ金属を無水
のアルコールに溶解させたものが使用される。マロン酸
エステルとアルカリのモル比は、0.01〜1.0までの範囲
で使用できるが、反応生成物をアルカリ金属塩の形で取
り出すための当モル付近が好ましい。
金属のアルコラートを混合してマロン酸塩を生成させた
後ベンザルアセトンを加えて環化反応を行うこともでき
るし、ベンザルアセトンとマロン酸エステルの混合物に
触媒のアルカリ金属アルコラートを加えることにより進
行させることもできる。しかし、後者の方法は発熱が激
しいので前者の方法が好ましい。環化反応は、室温から
使用するアルコールの還流温度までの範囲で行うことが
できるが、反応熱の除去、反応時間の短縮等を考慮する
とアルコール還流下で行うことが好ましい。反応終了後
は室温まで冷却し、高純度の5−フェニル−1,3−シ
クロヘキサンジオン−4−カルボン酸エステルのアルカ
リ金属塩を濾過により収量良く得ることができる。
得られた5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオン
−4−カルボン酸エステルのアルカリ金属塩を水酸化ナ
トリウム等のアルカリ金属水酸化物水溶液中で鹸化反応
を行い、引き続き加熱下で酸性化することにより脱炭酸
反応を起こさせ、5−フェニル−1,3−シクロヘキサ
ンジオンを得る工程である。鹸化反応は比較的容易に進
行するが、反応を完結させるために、反応温度を100〜1
02℃に昇温し、生成するアルコールを水と共に留出させ
る方が良い。更にこの時点でアルコールを除去する効果
は工程(2)での目的物である5−フェニル−1,3−
シクロヘキサンジオンの収率と純度を良くすることがで
きる点で優れている。この工程における酸性化には塩
酸、硫酸、燐酸等の鉱酸、パラトルエンスルホン酸、メ
タンスルホン酸等の有機スルホン酸類、蓚酸、酢酸等の
有機カルボン酸類が使用できるが、鉱酸、有機スルホン
酸等の強酸が好ましい。脱炭酸反応はpHが酸性側になら
なくても、鉱酸を加えると間もなく始まるが、反応を完
結するためにはpHを1以下にする方が良い。また反応は
50℃ぐらいから速くなるが、反応を完結させるために10
0℃まで昇温するのが望ましい。
得られた5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオン
を前記化3で示されるアニリン類及び前記化4で示され
るニトロベンゼン類をPd/C触媒の存在下に反応させて
本発明の目的物質である化1で示されるN置換−5−フ
ェニル−1,3−フェニレンジアミン類を得る工程であ
る。
ある。
示す〕 この工程において、使用することのできる化3で示され
るアニリン類は、例えば、p−トルイジン、p−エチル
アニリン、p−イソプロピルアニリン、p−t−ブチル
アニリン、p−アニシジン、3,4−ジメチルアニリン
等である。また、化4で示されるニトロベンゼン類は、
p−ニトロトルエン、p−エチルニトロベンゼン、p−
イソプロピルニトロベンゼン、p−t−ブチルニトロベ
ンゼン、p−メトキシニトロベンゼン、3,4−ジメチ
ルニトロベンゼン等である。
1,3−シクロヘキサンジオンと化3で示されるアニリ
ン類が先ずシッフベースを形成し、続いて化4で示され
るニトロベンゼン類が水素受容体となり、脱水素反応が
起こって化1で示される目的物であるN置換−5−フェ
ニル−1,3−フェニレンジアミン類が生成する。この
工程では、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオ
ン、化3のアニリン類、化4のニトロベンゼン類はほ
ぼ、3,5,1モルになるように加える。この反応にお
いては、1分子の5−フェニル−1,3−シクロヘキサ
ンジオンから22/3分子の水が生成する。この反応機構
により、生成水の除去のため水と共沸する不活性溶剤を
反応系内に存在させることにより反応を促進させること
ができる。この際使用する不活性溶剤としては、トルエ
ン、キシレン類、トリメチルベンゼン類、ケロシン、イ
ソパラフィン類が好適である。反応は、先ずシッフベー
スの脱水が起こるため100℃以下で進行し、生成する水
及び過剰の溶剤を除去しながら昇温し150〜190℃、好ま
しくは170〜180℃で行う。本反応は同一系内での酸化、
還元反応であるため、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気
下で行うことが好ましい。
除去し、溶剤回収蒸留後、この蒸留残渣をメタノール等
で洗浄することによリ目的物質である化1で示されるN
置換−5−フェニル−1,3−フェニレンジアミン類を
得ることができる。次に本発明を更に具体的に説明する
ため実施例を挙げる。
り付けた1000ml四口フラスコにマロン酸ジメチル132.1
g(1.0モル)を仕込んだ。これに28%ナトリウムメチ
ラート−メタノール溶液192.9g(1.0モル)を滴下しマ
ロン酸ジメチルのナトリウム塩を形成させた。反応系を
70℃(メタノール還流)まで昇温し、滴下ロートよりベ
ンザルアセトン141.8g(0.97モル)とメタノール10g
の混合液を約1時間で滴下した。滴下の後半で結晶が析
出してきて反応系はスラリー状態で進行する。その後メ
タノール還流下(67〜68℃)で3時間撹拌を続けた。反
応終了後20℃まで冷却し、濾過により結晶を取り出し
た。収得結晶208.9g。
gと水酸化ナトリウム40g(1.0モル)、水1000gを仕
込んで溶解した。メタノール−水を留出させながらフラ
スコ内温を100℃まで昇温し、そのまま5時間鹸化反応
を続けた。鹸化反応終了液を60℃まで冷却し、35%塩酸
水溶液172.5gを1時間かけて滴下しながら系を酸性化
した。塩酸滴下開始から少しすると炭酸ガスの発生が始
まった。この時の系のpHは未だ7以上を示していた。ま
た、滴下途中から5−フェニル−1,3−シクロヘキサ
ンジオンの結晶が析出してきた。塩酸滴下が終了後、徐
々に加熱しながら100℃まで昇温し、100℃で30分撹拌し
た。脱炭酸反応終了後35℃まで冷却し、遠心濾過機で脱
水した。充分水洗した後、乾燥して136.9gの5−フェ
ニル−1,3−シクロヘキサンジオン結晶を得た。ガス
クロマトグラフィ分析による純度は99.9%であった。
0ml四口フラスコに工程(2)で得られた5−フェニル
−1,3−シクロヘキサンジオンの結晶112.8g(0.6モ
ル)、p−トルイジン113.6g(1.06モル)、p−ニト
ロトルエン28.3g(0.206モル)を仕込んだ。系内を充
分窒素置換した後、N.E.ケムキャット社製Pd/C標準
品(50%Wet)16.9gをトルエン100gを使ってフラスコ
に流し込んだ。窒素を少しずつ流通させながら昇温し、
共沸脱水により反応生成水及び触媒中の水分を系外に留
出させた。水分と共沸してくるトルエンは系内に循環さ
せた。留出してくる水分が少なくなった時点からトルエ
ンも少しずつ系外に抜き出し反応温度を175℃まで上げ
た。ニトロトルエンの還元反応で生成する水をトルエン
と共沸で系外に除去しながら175〜185℃に反応温度を保
って9時間撹拌を続けた。反応終了液をTHFとトルエ
ンで希釈してG−4のグラスフィルターで触媒のPd/C
を濾過し、瀘液からロータリーエバポレーターにて減圧
下トルエンを回収した。トルエン回収残渣にメタノール
を加えて不純物を溶解した。このスラリーを濾過し、60
℃で乾燥して118.9gのN,N′−ビス(4−メチルフ
ェニル)−5−フェニル−1,3−フェニレンジアミン
を得た。得られた製品の高速液体クロマトグラフィ分析
による純度は96.5%、融点は184.5℃、島津社製マスス
ペクトロメーターQP−5000により測定したこの製品の
分子量は364で理論値と一致した。 IR:3412,2998,1611,1593,1572,1458,1395,12
99,1172,814,764,421cm~1 60MHzNMR(CDCl3):δ:2.27(s,6H),5.
48(s,2H),6.72〜7.40(m,16H)
0ml四口フラスコに実施例1の工程(2)で得られた5
−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの結晶112.
8g(0.6モル)、p−アニシジン147.8g(1.20モ
ル)、4−ニトロアニソール36.4g(0.238モル)を仕
込んだ以外は実施例1の工程(3)と同様の操作を行い
190.0gのN,N′−ビス(4−メトキシフェニル)−
5−フェニル−1,3−フェニレンジアミンを得た。高
速液体クロマトグラフィ分析による純度は97.3%、融点
は153.4℃、島津社製マススペクトロメーターQP−500
0により測定したこの製品の分子量は396で理論値と一致
した。 IR:3391,3368,3032,2962,2906,2830,1598,15
05,1450,1388,1344,1277,1227,1173,1030,82
6,763,704cm~1 60MHzNMR(DMSO):δ:3.43(s,6H),6.6
1〜7.48(m,16H),7.80(s,2H)
0ml四口フラスコに実施例1の工程(2)で得られた5
−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの結晶112.
8g(0.6モル)、3,4−ジメチルアニリン145.4g
(1.20モル)、3,4−ジメチルニトロベンゼン36.0g
(0.238モル)を仕込んだ以外は実施例1の工程(3)
と同様の操作を行い83.0gのN,N′−ビス(3,4−
ジメチルフェニル)−5−フェニル−1,3−フェニレ
ンジアミンを得た。高速液体クロマトグラフィ分析によ
る純度は95.4%、融点は184.5℃、島津社製マススペク
トロメーターQP−5000により測定したこの製品の分子
量は392で理論値と一致した。 IR:3387,3361,3022,2975,2920,1598,1575,15
00,1465,1428,1325,1300,1265,1208,1181,103
1,874,822,759,695cm~1 60MHzNMR(DMSO):δ:2.19(s,12H),5.5
5(s,2H),6.55〜7.70(m,16H)
中間体及び電子写真の電荷輸送剤の中間体として有用な
新規物質である新規N置換−5−フェニル−1,3−フ
ェニレンジアミン類及びその製造方法を提供する工業上
有用な発明である。
Claims (2)
- 【請求項1】 化1で示されるN置換−5−フェニル−
1,3−フェニレンジアミン類。 【化1】 〔式中、Rは炭素数1〜4を有するアルキル基又はアル
コキシ基を示し、R1は水素原子又は炭素数1〜4を有
するアルキル基を示す〕 - 【請求項2】 工程(1)、(2)及び(3)よりなる
ことを特徴とする化1で示されるN置換−5−フェニル
−1,3−フェニレンジアミン類の製造方法。 【化1】 〔式中、Rは炭素数1〜4を有するアルキル基又はアル
コキシ基を示し、R1は水素原子又は炭素数1〜4を有
するアルキル基を示す〕 工程(1) マロン酸エステルとベンザルアセトンをア
ルカリ金属アルコラートを触媒として環化反応を行い、
化2で示される5−フェニル−1,3−シクロヘキサン
ジオン−4−カルボン酸エステルのアルカリ金属塩を製
造する工程、 【化2】 〔式中、R2はアルコール残基を示し、Mはアルカリ金
属を示す〕 工程(2) 工程(1)で得られた5−フェニル−1,
3−シクロヘキサジオン−4−カルボン酸エステルのア
ルカリ金属塩をアルカリ金属水酸化物水溶液で鹸化し、
引き続き該水溶液を酸性化して5−フェニル−1,3−
シクロヘキサンジオンを製造する工程、 工程(3) 工程(2)で得られた5−フェニル−1,
3−シクロヘキサンジオンと、化3で示されるアニリン
類及び化4で示されるニトロベンゼン類をPd/C触媒の
存在下に反応させて化1で示されるN置換−5−フェニ
ル−1,3−フェニレンジアミン類を製造する工程、 【化3】 【化4】 〔式中、R及びR1は化1のR及びR1と同一である〕
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29352196A JP3717250B2 (ja) | 1996-11-06 | 1996-11-06 | N置換−5−フェニル−1,3−フェニレンジアミン類の製造方法 |
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