JPH10133359A - ペリクル収納容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 単一の金型で製造でき、製造コストを低減で
きるペリクル収納容器を提供する。 【解決手段】 射出成形により成形される同一形状の複
数のトレー２０Ａ，２０Ｂを積み重ねて構成されるペリ
クル収納容器Ｒであって、トレー２０Ａ，２０Ｂは、ペ
リクルフレーム１１を載置可能な載置部２１、この載置
部２１の外周縁に連続し裏面側に向かってテーパ状に傾
斜する押さえ部２２、押さえ部２２の表面に間隔を隔て
突設された複数の位置決め突起２４、押さえ部２２の外
周縁に連続し表裏側にそれぞれ逆形状の段差３２ａ，３
２ｂが形成された嵌合部２３を有し、下側のトレー２０
Ａに上側のトレー２０Ｂを段差３２ａ，３２ｂが嵌合す
るように被せ、下側のトレー２０Ａの載置部２１上に載
置されたペリクルフレーム１１を上側のトレー２０Ｂの
押さえ部２２で押させて保持するように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ＩＣやＬＳＩ等
の製造に際して使用されるフォトマスクやレチクルの表
面への異物の付着を防止するために開発されたペリクル
を収納するペリクル収納容器、特に、単一の金型で安価
に製造できるペリクル収納容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】半導体製造工程において、マスクに描か
れたパターンをウェハに転写する際にはペリクルを用い
てマスクの防塵が図られる。このようなペリクルは、ア
ルミニウム等からなるペリクルフレームに接着され、マ
スク上に装着されて用いられる。そして、パターンの転
写に際しては、ペリクル上に異物が付着しても、紫外線
等の焦点距離がずれるため、異物の像がウェハに転写さ
れることがない。しかし、ペリクルは、マスクの防塵を
目的とするものであるため、異物の付着を防止すること
が望まれる。

【０００３】そこで、このようなペリクルは輸送等に際
してペリクル収納容器に収容し、異物の付着が防止され
る。そして、この種のペリクル収納容器を、本出願人
は、特願平６−１２３３２９号、特願平７−２２７００
２号、特願平７−２２７００３号で提案した。例えば、
特願平７−２２７００３号には、ペリクルを載置可能な
平板状の載置部の周縁に嵌合部が形成された容器本体
と、容器本体の嵌合部に嵌合可能な嵌合部および載置部
上のペリクルフレームを押圧保持可能な押さえ部が形成
された蓋とを組み合わせたペリクル収納容器が提案され
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先願にかかるペリクル収納容器にあっては、容器本体
と蓋とを組み合わせるため、容器本体と蓋をそれぞれ成
形しなければならず、これら容器本体と蓋の成形にそれ
ぞれ別個の金型が必要で製造コストが大きいという問題
があった。特に、ペリクルはマスクの大きさに合わせた
各種の大きさのものが用いられ、異なる大きさのペリク
ルに対応して容器本体成型用の金型と蓋成型用の金型と
がそれぞれ別個に必要となるため、上述の問題も顕著で
あった。この発明は、上記問題に鑑みなされたもので、
単一のキャビティを有する金型で製造でき、製造コスト
を低減できるペリクル収納容器を提供することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明にかかるペリクル収納容器は、ペリクルフ
レームを表面に載置可能な平板状の載置部と、該載置部
の周縁に連続形成されて裏面側にテーパ状に屈曲した押
さえ部と、該押さえ部の表面に突設された位置決め突起
と、前記押さえ部の外周縁に連続形成され、表面側およ
び裏面側に互いに嵌合可能な補完形状の嵌合部分が形成
された嵌合部とを有するトレーを備え、該トレーの複数
を前記嵌合部の嵌合部分を嵌合させて上下に積み重ね、
下側のトレーに載置されたペリクルフレームを上側のト
レーの押さえ部の裏面で押さえるように構成した。

【０００６】また、この発明にかかるペリクル収納容器
は、３つ以上のトレーを上下に積み重ね、最も上側のト
レー以外のトレーの載置部にペリクルフレームを載置
し、このペリクルフレームを上側のトレーの押さえ部に
より押圧保持する態様（請求項２）に構成することがで
きる。さらに、この発明にかかるペリクル収納容器は、
前記嵌合部が前記押さえ部の外周縁から前記載置部と略
平行に延在する平行部分および該平行部分の外周縁に該
平行部分と直角に表裏側に延出する垂直部分を有し、前
記嵌合部分が垂直部分の表裏両端面にそれぞれ全周にわ
たって連続形成された段差からなる態様（請求項３）に
構成することができる。

【０００７】ペリクルは、透光性を有する薄膜、具体的
には、厚みが数ミクロンから数十ミクロン程度のニトロ
セルロース等の薄膜であり、ペリクルフレームに接着さ
れて輸送され、また、使用される。ペリクルフレーム
は、アルミニウム（合金）からなり、一面側にペリクル
の周縁部が接着される。

【０００８】トレーは、ポリプロピレン系、ポリスチレ
ン系、アクリル系、ポリカーボネート系、ポリエステル
系またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系等
の熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂、好ましくは、熱可塑
性の帯電防止樹脂あるいは熱可塑性エラストマを用い、
射出成形等により、すなわち、金型を用いて各部が一体
成形される。

【０００９】載置部はペリクルフレームの大きさと
（略）同一の大きさを有し、望ましくは、表裏が共に平
面、より望ましくは、表面（載置面）の周縁部をペリク
ルフレームの形状と対応させて突出させてペリクルフレ
ームと接触する台座部分を形成する。押さえ部は、載置
部の全周にわたって弾性的な変形（変位）可能に連続
し、トレーを積み重ねた状態で弾性的にペリクルフレー
ムと当接してペリクルフレームを保持する。位置決め突
起は、載置部の周りに全周にわたって連続あるいは間欠
的に、望ましくは、間欠的に配置され、ペリクルフレー
ムの外側面と当接してペリクルフレームを平面方向に位
置決めする。この位置決め突起の高さは、トレーを積み
重ねた状態で先端が上側のトレーに干渉しない高さ、換
言すれば、ペリクルフレームの高さより低い高さに形成
される。嵌合部は、表裏側の嵌合部分が積み重ねられた
トレーを互いに防塵性を保持して結合し、具体的な一態
様としては請求項２が挙げられる。

【００１０】

【作用】この発明にかかるペリクル収納容器は、１つの
トレーの載置部にペリクルが接着されたペリクルフレー
ムを位置決め突起により平面方向に位置決めして載置
し、このトレー（下側のトレー）上に他のトレー（上側
のトレー）を被せる。この上側のトレーは、裏面（下
面）側の嵌合部が下側のトレーの表面（上面）側の嵌合
部と防塵性をもって嵌着し、押さえ部が裏面を下側のト
レー上のペリクルフレームに弾性的に当接させてペリク
ルフレームを保持する。すなわち、下側のトレーが容器
本体として、上側のトレーが蓋として機能する。そし
て、上側のトレーも下側のトレーもトレーは全て同一の
形状であるため、これらのトレーを１つの金型で成形で
き、安価に製造できる。

【００１１】

【実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面を参
照して説明する。図１から図３はこの発明の一の実施の
形態にかかるペリクル収納容器を示し、図１が平面図、
図２が図１のＡ−Ａ矢視断面図、図３が図２中のＢ部分
の拡大図である。

【００１２】図１，２において、１０は矩形のペリクル
フレーム１１に周縁が接着されたペリクル、Ｒがペリク
ル収納容器を示す。前述したように、ペリクル１０はニ
トロセルロース等の薄膜から、ペリクルフレーム１１は
アルミニウム等から構成され、ペリクル収納容器Ｒは同
一形状の２つのトレー２０（以下、必要に応じて下側の
トレーに２０Ａ、上側のトレーに２０Ｂを付す）を積み
重ねて構成される。後述するが、トレー２０はポリプロ
ピレン等の樹脂、熱可塑性エラストマを用い同一の金型
により射出成形により成形される。

【００１３】トレー２０は、平面視略正方形の板状であ
って、平面視中央部の矩形領域に載置部２１を、載置部
２１の外周に押さえ部２２を、押さえ部２２の外周に嵌
合部２３を連続して有する。載置部２１は、収容するペ
リクルフレーム１１と対応した大きさ（略同一の大き
さ）を有し、表面周縁部にペリクルフレーム１１の形状
と対応した台座部分２１ａが枠状に突設され、裏面が平
面をなす。押さえ部２２は、載置部２１の全周にわたっ
て連続し、裏面側に向かってテーパ状に傾斜（屈曲）す
る。この押さえ部２２には表面（上面）側に載置部２１
の全周にわたって間隔を隔て複数の位置決め突起２４が
一体に突設される。この位置決め突起２４は、ペリクル
フレーム１１の外形寸法に対応した位置に配置され、載
置部２１上のペリクルフレーム１１の外側面と当接す
る。

【００１４】嵌合部２３は、図３に詳示するように、押
さえ部２２の外縁に連続する平行部分３１の外縁に垂直
部分３２が一体に連続してなり、半断面形状がＴ字状を
有する。平行部分３１は表裏両面が載置部２１と平行な
平面をなし、垂直部分３２は略筒状をなし平行部分３１
から表裏側にそれぞれ等しい長さが突出する。この垂直
部分３２には、表側の端面に外周側が裏面側に向かって
凹の段差（嵌合部）３２ａが、裏側の端面に外周側が裏
面側に向かって凸の段差（嵌合部）３２ｂがそれぞれ全
周にわたって形成される。これら段差３２ａ，３２ｂは
同一形状（逆形状）であって、積み上げられた状態で下
側のトレー２０Ａの段差３２ａと上側のトレー２０Ｂの
段差３２ｂが互いに嵌合する。

【００１５】なお、述べるまでもないが、嵌合部２３の
形状は上述した態様に限定されるものではない。すなわ
ち、一例を挙げれば、平行部分３１は外周側裏面側に向
かって傾斜するテーパ状の傾斜部分等に置換すること、
また、段差３２ａ，３２ｂは段差３２ａを外周側が凸
に、段差３２ｂを外周側が凹に形成すること、また、蟻
溝、あるいは、断面球状の突条と条溝等に置換すること
も可能であるが、上述した図面に開示する構造の段差３
２ａ，３２ｂが各トレー２０を安定的に確実に積み上げ
ることができるため好ましい。

【００１６】この実施の形態にかかるペリクル収納容器
Ｒあっては、ペリクル１０の収納に際しては、下側のト
レー２０Ａの載置部２１上にペリクル１０が接着された
ペリクルフレーム１１を外周面が位置決め突起２４と当
接する状態で、すなわち、平面方向に位置決めして載置
する。次に、上側のトレー２０Ｂを下側のトレー２０Ａ
上に被せ、下側のトレー２０Ａの嵌合部２３の表側の段
差３２ａと上側のトレー２０Ｂの嵌合部２３の段差３２
ｂとを嵌合させ、上側のトレー２０Ｂの押さえ部２２の
裏面でペリクルフレーム１１を押さえる（図２,３参
照）。

【００１７】ここで、下側のトレー２０Ａの嵌合部２３
の表側の段差３２ａと上側のトレー２０Ｂの嵌合部２３
の段差３２ｂは略気密的に防塵性を維持して嵌合し、上
側のトレー２０Ｂの押さえ部２２がペリクルフレーム１
１を弾性的に押圧して下側のトレー２０Ａの載置部２１
との間で挟着する。このため、ペリクル１０を異物が付
着することなく、また、がたつきを生じることなく収容
できる。なお、下側のトレー２０Ａの垂直部分３２の裏
面側部分は脚として機能する。

【００１８】そして、下側のトレー２０Ａと上側のトレ
ー２０Ｂは同一の形状であり、金型を共用して射出成形
により成形される。すなわち、同一のキャビティを有す
る金型を用いて成形された複数のトレー２０の１つを下
側のトレー２０Ａとして、また、他の１つを上側のトレ
ー２０Ｂとして任意に用いることができる。したがっ
て、１つの金型により製造でき、その製造コストを低減
することができる。

【００１９】なお、上述した実施の形態においては、２
つのトレー２０Ａ，２０Ｂを２段に積み重ねて１つのペ
リクル１０を収容するが、上側のトレー２０Ｂ上にペリ
クル１０を載置してトレー２０Ｂ上にさらに同一のトレ
ー２０を積み重ね、複数のペリクル１０を収納するよう
に構成することも可能である（請求項２）。すなわち、
３枚以上のトレー２０を積み重ね、最も上側のトレー２
０以外のトレー２０の載置部２１にペリクルフレーム１
１を載置し、このペリクルフレームを上側のトレー２０
の押さえ部２２により押圧保持することも可能であり、
このように積み上げることで、ペリクル１０の収納時や
取出が容易に行え、その作業性が改善される。すなわ
ち、ペリクルを収納する場合等に、従来のペリクル収納
容器は異なる形状の容器本体と蓋を交互に積み重ねなけ
ればならないが、この態様では、同一形状のトレーを積
み上げることでペリクルを収納でき、ロボット等による
自動化も容易である。

【００２０】また、上述した実施の形態においては、１
つのトレー２０に１つの載置部２１を形成して１つのペ
リクルフレーム１１を収容するが、１つのトレー１０に
複数の載置部およびこれら複数の載置部と対応する押さ
え部を設け、１対のトレー２０間に複数のペリクルフレ
ーム１１を収容することも可能である。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、この発明にかかる
ペリクル収納容器によれば、同一形状のトレーを積み重
ねて下側のトレーの嵌合部と上側の嵌合部とを嵌着さ
せ、下側のトレーの載置部上に載置されたペリクルフレ
ームを上側のトレーの押さえ部で押圧保持するように構
成したため、各トレーを同一の金型により成形でき、そ
の製造コストを低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一の実施の形態にかかるペリクル収
納容器の平面図である。

【図２】同ペリクル収納容器の図１中のＡ−Ａ矢視断面
図である。

【図３】図２中のＢ部分の拡大図である。

【符号の説明】

１０ ペリクル １１ ペリクルフレーム ２０ トレー ２０Ａ 下側のトレー ２０Ｂ 上側のトレー ２１ 載置部 ２２ 押さえ部 ２３ 嵌合部 ２４ 位置決め突起 ３１ 平行部分 ３２ 垂直部分 ３２ａ 段差（嵌合部分） ３２ｂ 段差（嵌合部分） Ｒ ペリクル収納容器

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ペリクルフレームを表面に載置可能な平
   板状の載置部と、該載置部の周縁に連続形成されて裏面
   側にテーパ状に屈曲した押さえ部と、該押さえ部の表面
   に突設された位置決め突起と、前記押さえ部の外周縁に
   連続形成され、表面側および裏面側に互いに嵌合可能な
   補完形状の嵌合部分が形成された嵌合部とを有するトレ
   ーを備え、該トレーの複数を前記嵌合部の嵌合部分を嵌
   合させて上下に積み重ね、下側のトレーに載置されたペ
   リクルフレームを上側のトレーの押さえ部の裏面で押さ
   えることを特徴とするペリクル収納容器。
2. 【請求項２】 前記嵌合部が、前記押さえ部の外周縁か
   ら前記載置部と略平行に延在する平行部分および該平行
   部分の外周縁に該平行部分と直角に表裏側に延出する垂
   直部分を有し、該垂直部分の表裏両端面にそれぞれ全周
   にわたって連続する段差を形成して前記嵌合部分を構成
   した請求項１に記載のペリクル収納容器。