JPH10130787A - 耐応力腐食割れ性および高温引張り特性に優れた油井管用高強度マルテンサイト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐応力腐食割れ性および高温引張り特性に優れた油井管用高強度マルテンサイト系ステンレス鋼

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JPH10130787A
JPH10130787A JP8286849A JP28684996A JPH10130787A JP H10130787 A JPH10130787 A JP H10130787A JP 8286849 A JP8286849 A JP 8286849A JP 28684996 A JP28684996 A JP 28684996A JP H10130787 A JPH10130787 A JP H10130787A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CO2 、Cl- 、さらにはH2S等を含む苛酷な腐
食環境下においても優れた耐食性、耐孔食性、耐応力腐
食割れ性をそなえ、しかも高温引張り特性にも優れた油
井管用のマルテンサイト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】C:0.05mass%以下、 Si:0.50mass%以
下、 Mn:0.30〜1.50mass%、P:0.03mass%以下、
S:0.005 mass%以下、Cr:11.0〜17.0mass%、Ni:3.
0 〜7.0 mass%、Mo:0.5 〜5.0 mass%、Al:0.05mass
%以下、N:0.01〜0.15mass%、O:0.005 mass%以下
を含み、かつNb:0.20mass%以下およびV:0.20mass%
以下のうちから選んだ少なくとも1種を含有し、残部は
実質的にFeであって、次式 (1)〜(3) 0.02 ≦0.8(Nb%) + (V%)≦ 0.20 --- (1) (Cr%)+3.2(Mo%) + 16(N%)+0.5(Ni%)−5(C%)≧17 --- (2) 1.1{(Cr%) +1.5(Si%)+(Mo%) }−(Ni%) −0.5(Mn%)−30{ (C%) + (N%)}≦6 --- (3) の関係を満足する組成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、原油または天然
ガスの油井、ガス井に使用される油井管用の鋼材に関
し、特に炭酸ガス(CO2)、塩素イオン(Cl- ) 、硫化水
素 (H2S)などを含む腐食環境が極めて厳しい油井、ガ
ス井用として好適な、優れた耐食性と耐応力腐食割れ
性、さらには高温引張り特性を有するマルテンサイト系
ステンレス鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年に至り、原油価格の高騰や近い将来
に予想される石油資源の枯渇化を目前にして、従来は顧
みられなかったような深層油田や、開発が一旦は放棄さ
れた腐食性の強いサワーガス田等に対する開発が、世界
的規模で盛んになっている。このような油田、ガス田
は、一般に深度が極めて深く、またその雰囲気は高温で
かつ、CO2 、Cl- 、H2S等を含む厳しい腐食環境となっ
ている。従って、このような油田、ガス田の採掘に使用
される油井管としては、高温下においても高強度で、し
かも耐食性、耐応力腐食割れ性を兼ね備えた材質が要求
される。さらに最近では、高温でかつ深い井戸の開発を
考慮して、高強度でかつ高温引張り特性を備えることも
重要視されている。
【0003】一般に、CO2 、Cl- を含む環境下では、耐
CO2 腐食性、耐CO2 応力腐食割れ性および耐孔食性に優
れた13%Crマルテンサイト系ステンレス鋼管が使用され
るのが普通である。しかしながら、この13%Crマルテン
サイト系ステンレス鋼は、耐硫化物応力腐食割れ性に劣
ることから、H2Sが共存する環境では使用できず、この
場合には、高価な2相ステンレス鋼が用いられているの
が実情である。
【0004】このため、耐CO2 腐食性、耐CO2 応力腐食
割れ性および耐孔食性に優れるのは言うまでもなく、耐
硫化物応力腐食割れ性に優れ、しかも高温での引張り特
性が高い油井管用の鋼材の開発が強く望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の実
情に鑑み開発されたもので、前述したような CO2、C
l-、さらにはH2S等を含む苛酷な腐食環境下においても
優れた耐食性、耐孔食性、耐応力腐食割れ性をそなえ、
しかも高温引張り特性にも優れた油井管用鋼材を提案す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく、代表的なマルテンサイト系ステン
レス鋼である13%Cr鋼をベースとして、種々の合金成分
について、CO2 、Cl-およびH2Sを含む環境下での耐硫
化物応力腐食割れ性に及ぼす影響について調査した。そ
の結果、従来よりもCを低減した13%Cr鋼において、適
量のNi, Mo, Nb, Vを添加すると共に、S,Si, Al, O
を所定レベルまで低減することによって、熱間加工性が
確保されると共に、上述した環境下での耐硫化物応力腐
食割れ性並びに高温引張り特性が著しく改善されること
の知見を得た。この発明は、上記の知見に立脚するもの
である。
【0007】すなわち、この発明は、 C:0.05mass%以下、 Si:0.50mass%以下、 Mn:0.30〜1.50mass%、 P:0.03mass%以下、 S:0.005 mass%以下、 Cr:11.0〜17.0mass%、 Ni:3.0 〜7.0 mass%、 Mo:0.5 〜5.0 mass%、 Al:0.05mass%以下、 N:0.01〜0.15mass%、 O:0.005 mass%以下を含み、かつNb:0.20mass%以
下、V:0.20mass%以下のうちから選んだ少なくとも1
種を含有し、残部は実質的にFeからなる組成であって、
次式 (1)〜(3) 0.02 ≦0.8(Nb%) + (V%)≦ 0.20 --- (1) (Cr%)+3.2(Mo%) + 16(N%)+0.5(Ni%)−5(C%)≧17 --- (2) 1.1{(Cr%) +1.5(Si%)+(Mo%) }−(Ni%) −0.5(Mn%)−30{ (C%) + (N%)}≦6 --- (3) の関係を満足することを特徴とする耐応力腐食割れ性お
よび高温引張り特性に優れた油井管用高強度マルテンサ
イト系ステンレス鋼(第1発明)である。
【0008】また、この発明は、 C:0.05mass%以下、 Si:0.50mass%以下、 Mn:0.30〜1.50mass%、 P:0.03mass%以下、 S:0.005 mass%以下、 Cr:11.0〜17.0mass%、 Ni:3.0 〜7.0 mass%、 Mo:0.5 〜5.0 mass%、 Al:0.05mass%以下、 N:0.01〜0.15mass%、 O:0.005 mass%以下を含み、かつNb:0.20mass%以
下、V:0.20mass%以下のうちから選んだ少なくとも1
種を含有し、さらに Cu:0.5 〜3.5 mass%、 Ti:0.3 mass%以下、 Zr:0.2 mass%以下、 Ca:0.0005〜0.01mass
%、B:0.0005〜0.01mass%、 W:3.0 mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、残部は
実質的にFeからなる組成であって、次式 (1)〜(3) ′ 0.02 ≦0.8(Nb%) + (V%)≦ 0.20 --- (1) (Cr%)+3.2(Mo%) + 16(N%)+0.5(Ni%)−5(C%)≧17 --- (2) 1.1{(Cr%) +1.5(Si%)+(Mo%) }−(Ni%) − 0.5{(Mn%) + (Cu%) }−30{ (C%) + (N%)}≦6 --- (3)′ の関係を満足することを特徴とする耐応力腐食割れ性お
よび高温引張り特性に優れた油井管用高強度マルテンサ
イト系ステンレス鋼(第2発明)である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明において鋼の成分
組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。 C:0.05mass%以下 Cは、マルテンサイト系ステンレス鋼の強度に関係する
重要な元素であるが、後述するNiの添加に起因して、焼
もどし時に鋭敏化が起こり易くなる。この鋭敏化を起こ
させないためには0.05mass%以下とする必要があるの
で、C量の上限は0.05mass%とした。なお、このCは、
ラインパイプ用鋼のように溶接施工が前提となる場合に
は、より一層低減(例えば0.02mass%以下)する必要が
あるが、油井管用としてはこの点に特に考慮を払う必要
はなく、上記した鋭敏化の点さえクリアできれば、多い
方が高強度の点からは有利である。従って、強度ひいて
は高温での引張り特性の観点からは0.02〜0.04mass%程
度が好適である。また、この発明では後述するように、
Cの低減による強度の低下はNiの添加によって補うこと
ができる。
【0010】Si:0.50mass%以下 Siは、通常の製鋼過程において脱酸剤として有用な元素
であるが、0.50mass%を超えると耐CO2 腐食性が低下
し、また熱間加工性も劣化することから、含有量は0.50
mass%以下に限定した。
【0011】Mn:0.30〜1.50mass% Mnは、油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼としての
強度を確保するために0.30mass%以上を必要とするが、
1.50mass%を超えると靱性に悪影響を及ぼすので、0.30
〜1.50mass%の範囲に限定した。
【0012】P:0.03mass%以下 Pは、耐CO2 腐食性、耐CO2 応力腐食割れ性、耐孔食性
および耐硫化物応力腐食割れ性をともに劣化させる元素
であり、その混入は極力低減することが望ましいが、極
端な低減は製造コストの上昇を招く。そこで、工業的に
比較的安価に実施可能で、しかも耐CO2 腐食性、耐CO2
応力腐食割れ性、耐孔食性および耐硫化物応力腐食割れ
性を劣化させない範囲として、0.03mass%以下に定め
た。
【0013】S:0.005 mass%以下 Sは、パイプ製造過程においてその熱間加工性を著しく
劣化させる元素であり、その混入は極力低減することが
望ましいが、 0.005mass%以下に低減すれば通常の工程
でのパイプ製造が可能となることから、Sはその上限を
0.005 mass%とした。
【0014】Cr:11.0〜17.0mass% Crは、耐CO2 腐食性、耐CO2 応力腐食割れ性を確保する
ための基本元素であり、かような観点からは11.0mass%
以上を必要とするが、17.0mass%を超えると熱間加工性
が劣化することから、Crは11.0〜17.0mass%の範囲で含
有させるものとした。
【0015】Ni:3.0 〜7.0 mass% Niは、保護被膜を強固にして、耐CO2 腐食性、耐CO2
力腐食割れ性、耐孔食性および耐硫化物応力腐食割れ性
を高めると共に、Cの低減に伴う強度の低下を補う上で
も有用な元素である。しかしながら、含有量が 3.0mass
%未満ではその添加効果に乏しく、一方 7.0mass%を超
えるとマルテンサイト組織の安定性を損なうので、Niは
3.0〜7.0 mass%の範囲に限定した。
【0016】Mo:0.5 〜5.0 mass% Moは、Cl- による孔食に対して抵抗性を与える元素であ
るが、 0.5mass%未満ではその効果が認められず、一方
5.0mass%を超えるとδフェライトの発生を招き耐CO2
腐食性、耐CO2 応力腐食割れ性および熱間加工性が低下
することから、Moは 0.5〜5.0 mass%の範囲に限定し
た。
【0017】Al:0.05mass%以下 Alは、強力な脱酸作用を有し、製鋼における脱酸剤とし
て有効に寄与するが、0.05mass%を超えると靱性に悪影
響を及ぼすことから、Alは0.05mass%以下(好ましくは
0.01〜0.04mass%)の範囲に制限した。
【0018】N:0.01〜0.15mass% Nは、耐孔食性を著しく向上させる元素であるが、0.01
mass%未満ではその効果が十分ではなく、一方0.15mass
%を超えると種々の窒化物を形成して靱性を劣化させる
ので、0.01〜0.15mass%好ましくは0.02〜0.15mass%の
範囲で含有させるものとした。
【0019】O:0.005 mass%以下 Oは、本発明鋼の性能を十分に発揮させる上で、極めて
重要な元素である。すなわち、その含有量が多いと種々
の酸化物を形成して熱間加工性、耐CO2 腐食性、耐CO2
応力腐食割れ性、耐孔食性、耐硫化物応力腐食割れ性お
よび靱性を著しく低下させるので、かようなおそれのな
い 0.005mass%以下まで低減することが重要である。
【0020】Nb:0.20mass%以下、V:0.20mass%以
下、0.02≦0.8(Nb%) + (V%)≦0.20 Nb,Vはいずれも、高温における強度の向上、および耐
応力腐食割れ性の改善に有用な元素であるが、含有量が
0.20mass%を超えると靱性の劣化を招くので、靱性を損
なうことなく高温強度を確保するためには、Nb:0.20ma
ss%以下、V:0.20mass%以下でかつ、0.02≦0.8(Nb%)
+ (V%)≦0.20の関係を満足する範囲で含有させること
が重要である。
【0021】以上、必須成分について説明したが、この
発明ではさらに以下に述べる元素についても、必要に応
じて適宜添加することができる。 Cu:0.5 〜3.5 mass% Cuは、保護皮膜を強固にして鋼中への水素の侵入を抑制
し、耐硫化物応力腐食割れ性を高める元素であるが、
0.5mass%未満ではその効果に乏しく、一方 3.5mass%
を超えると高温でCuSが粒界析出し、熱間加工性の低下
を招くことから、Cuは 0.5〜3.5 mass%の範囲で含有さ
せるものとした。
【0022】Ca:0.0005〜0.01mass% Caは、SをCaSとして固定しS系介在物を球状化するこ
とにより、介在物の周囲のマトリックスの格子歪を小さ
くして、水素のトラップ能を下げる作用がある。その効
果は、含有量が0.0005mass%未満では顕著ではなく、一
方0.01mass%を超えるとCaOの増加を招き、耐CO2 腐食
性、耐孔食性の低下を招くことから、Caは0.0005〜0.01
mass%好ましくは0.0010〜0.0050mass%の範囲で含有さ
せるものとした。
【0023】Ti:0.3 mass%以下、Zr:0.2 mass%以
下、B:0.0005〜0.01mass%、W:3.0mass%以下 Ti,Zr,BおよびWはいずれも、強度の向上のみなら
ず、耐応力腐食割れ性を改善する上でも有用な元素であ
るが、Tiは 0.3mass%を超えると、Zrは 0.2mass%を超
えると、Wは 3.0mass%を超えるとそれぞれ靱性の劣化
を招き、またBは0.0005mass%未満では効果が無く、一
方0.01mass%を超えるとやはり靱性の劣化を招くので、
それぞれTi:0.3 mass%以下、Zr:0.2 mass%以下、
B:0.0005〜0.01mass%、W:3.0 mass%以下の範囲で
含有させるものとした。
【0024】この発明の鋼は、以上のような成分組成を
有するものであるが、耐食性、耐応力腐食割れ性改善の
観点から添加元素量をさらに限定した。すなわち、本発
明鋼の硫化物応力腐食割れは、孔食状の起点から主とし
て水素脆性によって割れが伝播していくのであるが、割
れの起点となる孔食状の腐食は不働態皮膜の欠陥または
組織上の不均一が原因で発生する。この点、 (Cr%)+3.2(Mo%) + 16(N%)+0.5(Ni%)−5(C%)≧17 の範囲に制限すれば、孔食状の欠陥の成長および水素の
侵入が抑制され、不働態皮膜の欠陥部からの割れが抑制
されて、耐硫化物応力腐食割れ性の向上を図ることがで
きる。 (Cr%)+3.2(Mo%) + 16(N%)+0.5(Ni%)−5(C%)
が上記の範囲を外れた場合には、不働態皮膜欠陥部から
の割れが成長して硫化物応力腐食割れが発生し易くな
る。
【0025】また 第1発明: 1.1{(Cr%) +1.5(Si%)+(Mo%) }−(Ni%)
−0.5(Mn%)−30{ (C%) + (N%)}≦6、 第2発明: 1.1{(Cr%) +1.5(Si%)+(Mo%) }−(Ni%)
− 0.5{(Mn%) + (Cu%) }−30{ (C%) + (N%)}≦6 の範囲に制限することにより、組織上の不均一をなくし
て割れの起点となる孔食状の腐食を抑制することがで
き、耐硫化物応力腐食割れの発生を防止することができ
る。関係式が上記の範囲を外れた場合には、割れの起点
となる孔食状の腐食が発生し易くなり、耐硫化物応力腐
食割れ性が低下する。
【0026】また、この発明では、熱間加工性の観点か
らS,Si,Al,Oを著しく低減して熱間加工性を向上さ
せている。従って、この鋼を用いて油井管を製造する場
合には、通常の工程に何ら手を加えることなく製造する
ことができる。すなわち、シームレスパイプあるいは電
縫鋼管に成形後、圧延のまま、または 950〜1050℃の温
度に加熱して水冷または空冷により冷却した後、油井鋼
管として必要な強度を得るべく 550〜650 ℃の温度範囲
で焼戻すのが通常である。
【0027】
【実施例】表1に示す成分組成になる溶鋼を、十分に脱
ガスした後、 100キロ鋼塊とし、研究用モデルシームレ
ス圧延機により外径:3.3 inch(83.82 mm)、肉厚:0.
5inch(12.7mm)のパイプを作製した。ついで各パイプ
から試験片素材を切出し、1000℃で1時間加熱後、空冷
した。さらに焼き戻しを施し、降伏強度を125grade(125
〜140ksi) のレベルに調整した。このように焼き戻した
試験片素材から、厚さ:3mm、幅:30mm、長さ:40mmの
腐食試験片、厚さ:2mm、幅:20mm、長さ:75mmのU曲
げ応力腐食割れ試験片および平行部の直径が 6.4mmφの
定荷重引張応力腐食割れ試験片を機械加工によって作製
した。U曲げ応力腐食割れ試験片は、曲げ治具により曲
率半径が8mmとなるように板厚(t=2mm) に対して曲
げ応力を付与した状態で試験に供した。
【0028】各試験の実施条件は次のとおりである。 ・腐食試験 NaCl:10%水溶液、 CO2:30気圧、温度:200 ℃、期
間:2週間 ・U曲げ応力腐食割れ性 NaCl:10%水溶液、 CO2:30気圧、温度:200 ℃、期
間:2週間 ・定荷重引張応力腐食割れ試験 5%NaCl水溶液、H2S分圧:0.1 気圧(CO2バランス) 、
pH:3.8 (0.5%CH3COOH +CH3COONaの添加により調
整)、負荷応力:1.0 σy 、温度:24℃、期間:1か月 評価方法は、腐食試験においてはそれらの重量減から計
算した腐食速度および10倍ルーペ観察による孔食発生の
有無、またU曲げ応力腐食割れ試験においては肉眼観察
および断面の光学顕微鏡観察による割れ発生の有無(耐
U曲げSCC性)、さらに定荷重引張応力腐食割れ試験
においては所定時間内の破断の有無(耐SSC性)とし
た。 ・高温引張り試験 丸棒引張り試験片を用いて 150℃、 200℃の条件で引張
り試験を行い、常温におけるY.S.と高温引張り試験で求
めたY.S.との比をとって評価した。得られた結果を整理
して表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】同表から明らかなように、発明鋼はいずれ
も、耐CO2 腐食性、耐CO2 応力腐食割れ性および耐硫化
物応力腐食割れ性に優れている。また 150℃、 200℃の
高温においても、Y.S.の低下程度が少なく、高強度であ
ることが確かめられた。従って、本発明鋼はH2Sを含む
油井環境での油井鋼管として十分使用可能であることが
判る。
【0032】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、CO2 、Cl
- 、H2S等を含む厳しい腐食環境下においても十分な耐
食性および耐応力腐食割れ性を示し、しかも高温下にお
いても高強度を確保し得るマルテンサイト系ステンレス
鋼を得ることができる。従って、この発明によれば、苛
酷な環境で使用し得る油井管を安価に供給することがで
き、産業の発達に寄与するところ極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊岡 高明 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内 (72)発明者 北幅 由一 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.05mass%以下、 Si:0.50mass%以下、 Mn:0.30〜1.50mass%、 P:0.03mass%以下、 S:0.005 mass%以下、 Cr:11.0〜17.0mass%、 Ni:3.0 〜7.0 mass%、 Mo:0.5 〜5.0 mass%、 Al:0.05mass%以下、 N:0.01〜0.15mass%、 O:0.005 mass%以下を含み、かつ Nb:0.20mass%以下、 V:0.20mass%以下のうちから選んだ少なくとも1種を
    含有し、残部は実質的にFeからなる組成であって、次式
    (1)〜(3) 0.02 ≦0.8(Nb%) + (V%)≦ 0.20 --- (1) (Cr%)+3.2(Mo%) + 16(N%)+0.5(Ni%)−5(C%)≧17 --- (2) 1.1{(Cr%) +1.5(Si%)+(Mo%) }−(Ni%) −0.5(Mn%)−30{ (C%) + (N%)}≦6 --- (3) の関係を満足することを特徴とする耐応力腐食割れ性お
    よび高温引張り特性に優れた油井管用高強度マルテンサ
    イト系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 C:0.05mass%以下、 Si:0.50mass%以下、 Mn:0.30〜1.50mass%、 P:0.03mass%以下、 S:0.005 mass%以下、 Cr:11.0〜17.0mass%、 Ni:3.0 〜7.0 mass%、 Mo:0.5 〜5.0 mass%、 Al:0.05mass%以下、 N:0.01〜0.15mass%、 O:0.005 mass%以下を含み、かつ Nb:0.20mass%以下、 V:0.20mass%以下のうちから選んだ少なくとも1種を
    含有し、さらに Cu:0.5 〜3.5 mass%、 Ti:0.3 mass%以下、 Zr:0.2 mass%以下、 Ca:0.0005〜0.01mass
    %、 B:0.0005〜0.01mass%、 W:3.0 mass%以下のう
    ちから選んだ1種または2種以上を含有し、残部は実質
    的にFeからなる組成であって、次式 (1)〜(3) ′ 0.02 ≦0.8(Nb%) + (V%)≦ 0.20 --- (1) (Cr%)+3.2(Mo%) + 16(N%)+0.5(Ni%)−5(C%)≧17 --- (2) 1.1{(Cr%) +1.5(Si%)+(Mo%) }−(Ni%) − 0.5{(Mn%) + (Cu%) }−30{ (C%) + (N%)}≦6 --- (3)′ の関係を満足することを特徴とする耐応力腐食割れ性お
    よび高温引張り特性に優れた油井管用高強度マルテンサ
    イト系ステンレス鋼。
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