JPH10130501A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及び摺動部材 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及び摺動部材

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JPH10130501A
JPH10130501A JP8287787A JP28778796A JPH10130501A JP H10130501 A JPH10130501 A JP H10130501A JP 8287787 A JP8287787 A JP 8287787A JP 28778796 A JP28778796 A JP 28778796A JP H10130501 A JPH10130501 A JP H10130501A
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polyarylene sulfide
sulfide resin
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sliding member
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JP8287787A
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Tomoyoshi Murakami
友良 村上
Toru Iga
徹 伊賀
Eiji Tamura
栄治 田村
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 成形時の流動性が良好で、機械的強度にも優
れ、かつ極めて高い寸法精度を有するとともに、磁気テ
ープに対する摺動性にも優れた、電気・電子部品用、と
りわけVTRシリンダー(磁気ドラム)等の磁気テープ
との接触部に用いられる摺動部材用に好適なポリアリー
レンスルフィド樹脂組成物、及び摺動部材。 【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)2
0〜40重量%、平均繊維径が5μm以下であり、かつ
平均アスペクト比が5以上であるメタ珪酸カルシウムウ
ィスカ(B)60〜80重量%を配合する。更に粒状フ
ィラー,板状フィラー又はミルド繊維から選ばれた少な
くとも1種(C)を配合し、(B)+(C)が60〜8
0重量%であり、かつ(B)が30重量%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアリーレンスル
フィド(以下PASということがある)樹脂組成物に関
する。さらに詳しくは精密機器や電子部品等に好適に用
いられる高い寸法精度と摺動性を兼ね備えたPAS組成
物及び該組成物を用いてなる摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱
性や難燃性,剛性,寸法精度等の機械的物性に優れたエ
ンジニアリングプラスチックであることから、電子部
品,電気部品等の用途に供されている。しかし、これら
の用途に供するにあたって、その使用目的によっては、
例えば、ビデオテープレコーダー(VTR)における磁
気ドラムのように、さらなる高い寸法精度やテープとの
摺動性など特有の性能が要求されることがある。
【0003】従来、ポリアリーレンスルフィド樹脂にお
いて高寸法精度を得るために、チタン酸カリウムウィス
カ,酸化亜鉛ウィスカ,ホウ酸アルミニウムウィスカ,
炭酸カリウムウィスカ等を添加することが広く行われて
きた。しかしながら、ポリアリーレンスルフィド樹脂に
これらのウィスカを配合した場合、寸法精度は向上する
ものの、ウィスカを添加したときに見られる特有のチク
ソトロピー性が発現し、そのため高充填量の組成物を混
練加工することが困難であり、また射出成形により成形
品を得る際にもショートショット等の不良現象を引き起
こす等の欠点が生じていた。そのため添加量を制限せざ
るを得ず、寸法精度向上に限界があった。また材料の吸
湿性により、寸法変化率を十分低下させることができな
い等の問題もあった。
【0004】また、これらのウィスカを添加した場合、
さらに要求される特性である磁気テープに対する摺動性
は劣ったものになってしまい、VTRシリンダー(磁気
ドラム)として十分機能し得ないものであった。一方、
磁気テープに対する摺動性を向上させる方法として、例
えば、炭素繊維やカーボンビーズを添加する方法が提案
されている。しかしながら、炭素繊維、特にチョップド
カーボンファイバーを添加した場合、異方性が生じるた
め、真円度や平面性,寸法精度に劣ったものになってし
まうという欠点があった。
【0005】このため、従来はアルミの切削加工品が用
いられている磁気ドラムを樹脂化するにおいて、十分に
満足のいくものは得られていないのが現状であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題
に鑑みなされたものであり、成形時の流動性が良好で、
機械的強度にも優れ、かつ極めて高い寸法精度を有する
とともに、磁気テープに対する摺動性にも優れた、電気
・電子部品用、とりわけVTRシリンダー(磁気ドラ
ム)等の磁気テープとの接触部に用いられる摺動部材用
に好適なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、及び該
樹脂組成物からなる摺動部材を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、特定の組成をもつポリアリーレンスルフィド
樹脂組成物により、上記目的が達成されることを見出し
た。本発明はかかる知見に基づいてなされたものであ
る。すなわち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹
脂(A)20〜40重量%、平均繊維径が5μm以下で
あり、かつ平均アスペクト比が5以上であるメタ珪酸カ
ルシウムウィスカ(B)60〜80重量%からなるポリ
アリーレンスルフィド樹脂組成物(1)を提供するもの
であり、さらに、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)
20〜40重量%、平均繊維径が5μm以下であり、か
つ平均アスペクト比が5以上であるメタ珪酸カルシウム
ウィスカ(B)及び粒状フィラー,板状フィラー又はミ
ルド繊維から選ばれた少なくとも1種(C)からなり、
(B)+(C)が60〜80重量%であり、かつ(B)
が30重量%以上であるポリアリーレンスルフィド樹脂
組成物(2)を提供するものであり、上記(1)又は
(2)のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形し
てなる成形品であって、磁気テープとの接触部に用いら
れる摺動部材を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリアリーレンス
ルフィド樹脂組成物を各成分ごとに具体的に説明する。 1.ポリアリーレンスルフィド樹脂(A) 本発明に用いられるポリアリーレンスルフィド(PA
S)(A)は、構造式−Ar−S−(ただしArはアリ
ーレン基)で示される繰り返し単位を70モル%以上含
有する重合体で、その代表的物質は、下記構造式(I)
【0009】
【化1】
【0010】(式中、R1は炭素数6以下のアルキル
基、アルコキシ基、フェニル基、カルボン酸/金属塩、
アミノ基、ニトロ基、フッ素,塩素,臭素等のハロゲン
原子から選ばれる置換基であり、mは0〜4の整数であ
る。また、nは平均重合度を示し1.3〜30の範囲で
ある)で示される繰り返し単位を70モル%以上有する
ポリフェニレンスルフィドである。中でもα−クロロナ
フタレン溶液(濃度0.4g/dl)、206℃におけ
る対数粘度が0.1〜0.5(dl/g)、好ましくは
0.13〜0.4(dl/g)、さらに好ましくは0.
15〜0.35(dl/g)の範囲にあるものが適当で
ある。PASは一般にその製造法により実質上線状で分
岐、架橋構造を有しない分子構造のものと、分岐や架橋
構造を有する構造のものが知られているが本発明におい
てはその何れのタイプのものについても有効である。本
発明に用いるのに好ましいPASは繰り返し単位として
パラフェニレンスルフィド単位を70モル%以上、さら
に好ましくは80モル%以上含有するホモポリマーまた
はコポリマーである(以下PPSと略称)。この繰り返
し単位が70モル%未満だと結晶性ポリマーとしての特
徴である本来の結晶性が低くなり充分な機械的物性が得
られなくなる傾向があり好ましくない。共重合構成単位
としては、例えばメタフェニレンスルフィド単位、オル
ソフェニレンスルフィド単位、p,p’−ジフェニレン
ケトンスルフィド単位、p,p’−ジフェニレンスルホ
ンスルフィド単位、p,p’−ビフェニレンスルフィド
単位、p,p’−ジフェニレンエーテルスルフィド単
位、p,p’−ジフェニレンメチレンスルフィド単位、
p,p’−ジフェニレンクメニルスルフィド単位、ナフ
チルスルフィド単位などが挙げられる。また、本発明の
ポリアリーレンスルフィドとしては、前記の実質上線状
ポリマーの他に、モノマーの一部分として3個以上の官
能基を有するモノマーを少量混合使用して重合した分岐
または架橋ポリアリーレンスルフィドも用いることがで
き、また、これを前記の線状ポリマーにブレンドした配
合ポリマーも用いることがで好適である。さらにまた、
本発明に使用する(A)成分としてのPASは、比較的
低分子量の線状ポリマーを酸化架橋または熱架橋により
溶融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したポリマーも
使用できる。前記PAS樹脂は、例えばジハロ芳香族化
合物と、硫黄源とを有機極性溶媒中でそれ自体公知の方
法により重縮合反応させることにより得ることができ
る。前記PAS樹脂の好適例としては、例えば下記構造
式(II)で示されるポリフェニレンスルフィド(以下、
PPSと称することがある。)樹脂を挙げることができ
る。
【0011】
【化2】
【0012】本発明の組成物では、分子量については、
前記対数粘度の範囲内で、好ましくは溶融粘度が50≦
ηapp ≦2,000(ポイズ)の範囲内で、極端に機械
的度に悪影響を与えず、低分子量のものが用いられる。
ここで、ηapp とは、細管粘度計で測定した樹脂温度3
00℃、剪断速度20sec-1の見かけ粘度をいう。 2.メタ珪酸カルシウムウィスカ(B) 本発明におけるメタ珪酸カルシウムウィスカ(B)とし
ては、ワラストナイト等、即ち、CaSiO3 で示され
る白色針状鉱物等をあげることができる。メタ珪酸カル
シウムウィスカ(B)は、カップリング剤、好ましくは
アミノシラン,ビニルシラン,フェニルシラン,エポキ
シシラン、その他のシラン系カップリング剤等により表
面処理が施されたものでもよい。表面処理が施されてい
ないものを用いた場合、成形品の機械的強度の低下や吸
湿が大きくなり、耐湿寸法安定性が悪くなる。
【0013】また、メタ珪酸カルシウムウィスカ(B)
について、平均繊維径は5μm以下、好ましくは3μm
以下であることが必要である。平均繊維径が5μmを超
えると、成形品において剛性、特に表面付近の剛性が不
十分なものになり、その結果、テープとの摺動性に劣る
ものになる。また、平均アスペクト比は5以上、好まし
くは10以上であることが必要である。平均アスペクト
比が5より小さくなると、同様にテープとの摺動性に劣
るものになる。 3.無機充填材(C) 無機充填材としては、特に制限はないが、粒状フィラ
ー,板状フィラー又はミルド繊維が好適に用いられる。
【0014】粒状フィラーとは、形状的に不定形又は球
形のものであり、平均アスペクト比が約2以下程度のも
のをさす。具体的には、炭酸カルシウム,シリカ,ガラ
スビーズ,焼成カーボン,アルミナ,ホウ酸アルミニウ
ム,カーボンブラック等が挙げられる。板状フィラーと
は、形状的に板状のものであり、縦及び横の幅方向長さ
に対し、厚みの小さいものをいう。具体的には、マイ
カ,黒鉛,カオリン,タルク,ガラスフレーク等が挙げ
られる。
【0015】ミルド繊維とは、いわゆる繊維状のものを
ミル等により粉砕したものや塊状の鉱物を粉砕、分級し
て得られる繊維状のものをいい、具体的には、ワラスト
ナイト(前記(B)成分として挙げたものを除く),ミ
ルドカーボン繊維,ミルドガラス繊維等が挙げられる。 4.各成分の配合割合 (1) 無機充填材(C)を配合しない場合 PAS樹脂(A)20〜40重量%、好ましくは25〜
35重量%に対し、メタ珪酸カルシウムウィスカ(B)
60〜80重量%、好ましくは65〜75重量%であ
る。PAS樹脂(A)が20重量%よリ少ないと、組成
物の混練が困難になり、得られたとしても脆いものにな
ってしまう。40重量%を超えると、寸法精度、摺動性
ともに劣ったものになる。 (2) 無機充填材(C)を配合する場合 PAS樹脂(A)の配合割合は上記と同じである。よっ
て、メタ珪酸カルシウムウィスカ(B)及び無機充填材
(C)の合計が60〜80重量%、好ましくは65〜7
5重量%ということになる。この場合、メタ珪酸カルシ
ウムウィスカ(B)の配合量は30重量%以上、好まし
くは40重量%以上であることが必要である。30重量
%よリ少ないと摺動性に劣ったものになる。 5.その他の成分 本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物には、前
記各成分の他に、必要に応じてこの発明の目的を阻害し
ない範囲で、その他の成分を添加・配合してもよい。そ
の他の成分としては、例えば、酸化防止剤,熱安定剤,
滑剤,着色剤,可塑剤,導電性付与剤等の各種の添加
剤、ポリアミド,エポキシ樹脂,シリコーン樹脂,シリ
コーンオイル,種々の官能基を導入したシリコーンオイ
ル,ポリオレフィン,ポリエーテルサルフォン,ポリフ
ェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂および/または熱硬
化性樹脂、水素添加SBS,水素添加NBR,シリコー
ンゴム、フッ素ゴム等のゴム類、顔料等を挙げることが
できる。その他の成分の含有量は、この発明の目的を害
しない範囲において適宜選択することができる。 6.ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の調製 本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、前記
PAS樹脂(A)と前記メタ珪酸カルシウムウィスカ
(B)、さらには無機充填剤(C)と、必要に応じて選
択されたその他の成分とを配合し、これを、例えば溶融
混練することによって調製することができる。
【0016】前記溶融混練は、通常の公知の方法によっ
て行なうことができるが、いずれにしても、その際、前
記各成分を樹脂中に均一に混合・分散させることによ
り、所定の樹脂組成物とする。前記溶融混練には、通常
二軸押出機、単軸押出機等を好適に用いることができ
る。
【0017】前記溶融混練の条件としては、特に制限は
ないが、必要に応じて添加されるその他の成分の分解あ
るいは発泡を制限するために、極端な高温度や極端に長
い滞留時間を避けるのが好ましい。具体的な温度として
は、通常280〜350℃であり、285〜330℃が
好ましい。このようにして、調製されたポリアリーレン
スルフィド樹脂組成物は、通常、ペレット等の二次加工
用材料、特に射出成形用材料として好適な形状・サイズ
に造粒または切断されて適宜各用途に供される。7.前
記PAS樹脂組成物を成形してなる成形品であって、磁
気テープとの接触部に用いられる摺動部材。
【0018】本発明にかかるPAS樹脂組成物を成形し
てなる成形品は、機械的強度にも優れ、かつ極めて高い
寸法精度を有し、なおかつ、磁気テープに対する摺動性
にも優れていることから、電気・電子部品用、とりわけ
VTRシリンダー(磁気ドラム)、テープ,特にオーデ
ィオテープレコーダー用テープガイド、前記テープのガ
イド等、磁気テープとの接触部に用いられる摺動部材に
好適に用いられる。
【0019】
【実施例】以下、本発明のポリアリーレンスルフィド樹
脂組成物を実施例によってさらに具体的に説明する。 [実施例1〜10,比較例1〜6] <サンプルの調製>二軸押出機(東芝機械製 TEM3
5)を用い、第1表に示す配合割合で、以下に示すポリ
フェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)と他の成分と
をヘンシェルミキサーを用いて均一に混合した後、シリ
ンダ温度を310〜350℃に設定して溶融混練し、ペ
レットを製造した。 <(A)成分(PPS)の調製>攪拌機を備えた重合槽
に含水硫化ナトリウム(Na2S5H2O)833モル塩
化リチウム(LiCl)830モルとNMP500リッ
トルを加え、減圧下で145℃に保ちながら1時間脱水
処理をした。ついで反応系を45℃に冷却後ジクロルベ
ンゼン(DCB)905モルを加え、260℃で3時間
重合した。内容物を熱水で5回、170℃のN−メチル
−2−ピロリドン(NMP)で1回、水で3回洗い18
5℃で乾燥してPPSを得た。 <PPS樹脂に配合した他の成分> (B)成分 ・ワラストナイトウィスカ1 米国NYCO社製のメタ珪酸カルシウムウィスカ(商品
グレード NYGLOS )(平均繊維径 5μm以下,平均ア
スペクト比10以上) (C)成分 ・ワラストナイトウィスカ2 米国NYCO社製のメタ珪酸カルシウムウィスカ(商品
グレード NYAD G ) (平均繊維径 5μm以上,平均アスペクト比12) ・ミルドカーボン繊維: クレハ化学社製,商品名 MT
101 ・チョップドカーボン繊維:東洋レーヨン社製,商品名
ベスファイトHTA-C6-SRS ・マイカ: クラレ社製,商品名 200D ・シリカ: 日東電工社製,商品名 FB-74 ・アルミナ: 昭和電工社製,商品名 AS40 ・炭酸カルシウム: 白石工業社製,商品名 ホワイト
ンP30 ・ケッチェンブラック:ライオン社製,商品名 EC-600
JD ・チタン酸カリウムウィスカ: 大塚化学社製 商品名
ティスモ−D <物性評価> ・真円度: 直径60mm×高さ15mmの磁気ドラム
(VTR下部シリンダ)を射出成形機(日本製鋼所社製
J50E−P)にて成形し、室温で24時間放置後の
真円度を真円度測定機(三豊製作所製 RA−2)にて
測定した。尚、成形品の成形条件は樹脂温度340℃,
金型温度135℃に設定した。 ・磁気テープとの摺動性:上記真円度測定用に成形した
磁気ドラムを用いて、下記第1図に示すシャトル式摺動
試験機にて磁気テープとの摩擦係数を測定した。尚、測
定条件は、テープとしてソニー社製、ビデオテープHi8
ME120 の磁性面を用いた。
【0020】以下のようにして測定を行った。約60c
mの長さにカットしたテープの一端に荷重20gをか
け、他の一端は張力計に接続させた状態で、15mm/
秒の速度で、30mmの距離を100回往復運動させる
ことにより、成形品の表面にテープを摺動させた。しか
る後、一端にT1 の張力をかけた場合に、そのテープを
引き上げる際の張力T2 を測定し、次式により摩擦係数
μを求めた。
【0021】μ=(2/π)・ln(T2 /T1
【0022】
【図1】 ・曲げ強度,曲げ弾性率 射出成形機(日本製鋼所社製 J50E−P)を用い
て、樹脂温度320℃,金型温度135℃で成形したテ
ストピースを、ASTM D790に準拠して測定し
た。 <評価結果>評価結果を第1表に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】以上の実施例および比較例から下記のこと
がわかった。比較例1では、PASの配合量が少ないた
め、混練ができなかった。比較例2では、メタ珪酸カル
シウムウィスカの配合量が少ないため、寸法精度摩擦係
数ともによくなかった。比較例3では、メタ珪酸カルシ
ウムウィスカとして平均繊維径,平均アスペクト比が規
定外のもの用いたため、摩擦係数が大きく、剛性も向上
しなかった。
【0027】比較例4では、メタ珪酸カルシウムウィス
カを用いずに、他のウィスカを用いたため、いずれも摩
擦係数が大きくなった。比較例5では、メタ珪酸カルシ
ウムウィスカでないウィスカを用いて配合量を高くした
が、混練ができなかった。比較例6では、メタ珪酸カル
シウムウィスカの配合量が少ないため、寸法精度摩擦係
数ともによくなかった。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、成形時の流動性が
良好で、機械的強度にも優れ、かつ極めて高い寸法精度
を有するとともに、磁気テープに対する摺動性にも優れ
た、電気・電子部品用、とりわけVTRシリンダー(磁
気ドラム)等の磁気テープとの接触部に用いられる摺動
部材用に好適なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、
及び該樹脂組成物からなる摺動部材を提供することがで
きる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年12月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】シャトル式摺動試験機の概略平面図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 7:04 3:36 3:22 3:26)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)2
    0〜40重量%、平均繊維径が5μm以下であり、かつ
    平均アスペクト比が5以上であるメタ珪酸カルシウムウ
    ィスカ(B)60〜80重量%からなるポリアリーレン
    スルフィド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)2
    0〜40重量%、平均繊維径が5μm以下であり、かつ
    平均アスペクト比が5以上であるメタ珪酸カルシウムウ
    ィスカ(B)及び無機充填材(C)からなり、(B)+
    (C)が60〜80重量%であり、かつ(B)が30重
    量%以上であるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記請求項2に記載の無機充填材(C)
    が粒状フィラー,板状フィラー又はミルド繊維である請
    求項2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のポリア
    リーレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品であっ
    て、磁気テープとの接触部に用いられる摺動部材。
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