JP3652460B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンスルフィド樹脂とα−アルミナを含有する樹脂組成物に関し、更に詳しくは、ポリフェニレンスルフィド樹脂にα−アルミナを高充填してなる熱伝導性及び流動性に優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂の射出成形品は、形状の自由度が大きく、量産性に優れていることから、広範な分野で使用されている。近年の熱可塑性樹脂成形材料の進歩により、射出成形品には、様々な機能性が付与され、例えば、従来の金属材料に置き換わる部品としても使用されるようになっている。しかし、樹脂材料は、金属材料に比べて熱伝導率が極めて小さいため、例えば、放熱性が要求される分野での用途展開には限界があった。
より具体的に、例えば、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と略記)は、耐熱性、難燃性、耐薬品性、寸法安定性、機械的物性、電気的特性などに優れたエンジニアリングプラスチックであり、その射出成形品は、電気・電子部品、精密機器部品、自動車部品などとして用途が広がっており、従来より金属材料が使用されていた分野での用途展開も図られている。しかしながら、PPS樹脂は、熱伝導率が極めて小さいため、その成形品は、熱伝導性や放熱性に劣り、各種機器や装置などから発生する熱を効率よく放散することができない。その結果、PPS樹脂製部品を備えた機器や装置が蓄熱して高温になったり、あるいはPPS樹脂製部品の溶融、劣化、分解、変形、亀裂などの不都合が生じることがある。
【0003】
PPS樹脂の熱伝導率を向上させる方法として、熱伝導性に優れた無機充填剤を配合する方法が考えられる。しかし、PPS樹脂に熱伝導率の高い金属粉を配合すると、電気絶縁性が損なわれるため、電気絶縁性が要求される用途には適用することができない。その他の無機充填剤は、熱伝導率が必ずしも高くない。
ところで、無機充填剤の中でも、α−アルミナ(酸化アルミニウム)は、結晶シリカの4倍以上の熱伝導率を持ち、化学的にも安定した材料として知られている。しかしながら、汎用のα−アルミナは、充填性が悪かったり、摩耗性が大きいなどの問題があり、充填剤としての実用性が充分ではない。また、熱伝導率を高めるために、PPS樹脂にα−アルミナを高充填すると、流動性が低下して射出成形ができなくなるという問題があった。
【0004】
従来、PPS樹脂の熱伝導性や放熱性を高めるために、(1)PPS樹脂に、アルミナ粉末、窒化ホウ素、及び繊維状強化材を配合した電子部品封止用樹脂組成物(特開平4−198265号公報)、(2)PPS樹脂に、金属酸化物、金属窒化物、及び窒化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも一種を配合した樹脂組成物(特開平4−198266号公報)などが提案されている。
しかし、(1)特開平4−198265号公報の実施例には、アルミナ粉末を10〜40重量%の割合で配合した樹脂組成物が、また、(2)特開平4−198266号公報の実施例には、アルミナを30〜50重量%の割合で配合した樹脂組成物がそれぞれ示されているだけであり、α−アルミナを50重量%を越えて配合した樹脂組成物は具体的に開示されていない。
【0005】
一方、本発明者らの検討結果によれば、熱伝導率が2.0W/m・K以上、好ましくは2.5W/m・K以上の熱伝導性に優れた樹脂組成物を得るには、PPS樹脂に、組成物全量基準で、55重量%以上、好ましくは70重量%以上の割合でα−アルミナを配合することが必要であることが判明した。しかしながら、PPS樹脂に対してα−アルミナをこのように高充填すると、満足な樹脂組成物を調製することができなかったり、あるいは、樹脂組成物の溶融流動性が低下して、射出成形などの加工方法の適用が困難となるという問題を生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリフェニレンスルフィド樹脂にα−アルミナを高充填してなる熱伝導性及び流動性に優れた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、PPS樹脂として低溶融粘度の樹脂を使用し、かつ、α−アルミナとしてα結晶の平均粒子径が10〜50μmのものを使用することにより、PPS樹脂にα−アルミナを高充填しても流動性に優れ、射出成形が可能で、熱伝導率の高い樹脂組成物の得られることを見いだした。α−アルミナとしては、α結晶の平均粒子径が5μm未満のものを特定の比率で併用することができる。また、α結晶の平均粒子径が10〜50μmのα−アルミナは、球状粒子であることが好ましい。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリフェニレンスルフィド樹脂及びα−アルミナを含有する樹脂組成物において、
(A)310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が10〜40Pa・sのポリフェニレンスルフィド樹脂15〜25重量%、
(B)α結晶の平均粒子径が10〜50μmのα−アルミナの含有率が50重量%以上であるα−アルミナ85〜75重量%、及び
(C)繊維状充填剤及びα−アルミナ以外の非繊維状充填剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の充填剤をポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して0〜10重量部
を含有し、熱伝導率が2.5W/m・K以上であることを特徴とする樹脂組成物が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
PPS樹脂
本発明で使用するPPS樹脂は、例えば、(1)特公昭45−3368号に開示されている有機アミド溶媒中で、ジハロ芳香族化合物と硫化ナトリウムを反応させる方法、(2)特公昭52−12240号に開示されている有機アミド溶媒中、カルボン酸塩の存在下で、ジハロ芳香族化合物と硫化ナトリウムを反応させる方法、(3)特公昭63−33775号に開示されている有機アミド溶媒中、水の存在下で、ジハロ芳香族化合物と硫化ナトリウムを反応させる方法等により得ることができる。
【0009】
本発明で使用するPPS樹脂は、直鎖状ポリマーであることが好ましい。直鎖状PPS樹脂とは、一般に、酢酸ナトリウムや水などの重合助剤の存在下に、二官能性モノマーを主体とするモノマーを重合して得られた実質的に直鎖状のポリマーである。これに対して、架橋タイプのPPS樹脂は、一般に、重合助剤を使用することなく重合され、得られた低重合度のポリマーを酸化架橋して増粘(キュアリング)させたものであるが、そのような架橋タイプのPPS樹脂は、可撓性や剛性、強度などに劣るため好ましくない。
PPS樹脂としては、前記各種製造方法の中でも、特公昭63−33775号公報に開示されているように、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とをN−メチルピロリドンなどの極性溶媒中で、水の存在下に、特定の二段階昇温重合させる方法によって得られたものが好ましい。
【0010】
アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムなどを挙げることができる。反応系でNaSHとNaOHを反応させることにより生成させた硫化ナトリウムなども使用することができる。
ジハロ芳香族化合物としては、例えば、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、p−ジブロムベンゼン、2,6−ジクロロナフタリン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4′−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロ安息香酸、p,p′−ジクロロジフェニルエーテル、4,4′−ジクロロジフェニルスルホン、4,4′−ジクロロジフェニルスルホキシド、4,4′−ジクロロジフェニルケトン、及びこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。
【0011】
本発明で使用するPPS樹脂としては、p−フェニレンスルフィド単位を50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上含有するものが好ましく、特に、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、及びm−フェニレンスルフィド単位を少量成分として含むポリ(p−フェニレンスルフィド/m−フェニレンスルフィド)共重合体が好ましい。
直鎖状PPS樹脂は、実質的に直鎖状であれば、多少の分岐構造または架橋構造などを含むものであってもよく、より具体的には、例えば、重合時に1,3,5−トリクロロベンゼン等の1分子当たり3個以上のハロゲン置換基を有する芳香族ハロゲン化合物を少量存在させることにより、若干の分岐構造を導入したものであってもよい。
【0012】
本発明で使用するPPS樹脂は、310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が10〜40Pa・sの範囲にあるものである。PPS樹脂の溶融粘度が小さすぎると、成形品の強度が低くなる。PPS樹脂の溶融粘度が40Pa・sを越えると、α−アルミナを高充填することが困難となる。したがって、PPS樹脂の溶融粘度は、10〜40Pa・sである。
PPS樹脂の配合割合は、15〜25重量%である。PPS樹脂の配合割合が小さ過ぎると、α−アルミナを高充填することが困難となったり、あるいは、樹脂組成物の流動性が低下し、射出成形することが困難になる。PPS樹脂の配合割合が大き過ぎると、熱伝導率が低下する。
【0013】
α−アルミナ
本発明で使用するα−アルミナ(B1)のα結晶の平均粒子径は、10〜50μmである。ここで、α−アルミナの平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した値である。α結晶の平均粒子径が大きなα−アルミナ(B1)は、実質的に凝集せず、前記PPS樹脂に85重量%まで高充填しても良好な流動性を示す樹脂組成物が得られる。
【0014】
ところで、アルミナ(水酸化アルミニウム)は、一般に、水酸化アルミニウムを1000℃以上で脱水、焼成することによって得られるが、通常、α結晶系のものが使用され、その一次粒子の大きさ(α結晶の大きさ)は、0.1〜4μm程度である。そして、これらのα結晶粒子が凝集している粉体、もしくは、一次粒子径まで粉砕された粉体がセラミック原料や充填剤として使用されている。しかし、このようなα結晶の大きさが小さなα−アルミナをPPS樹脂に大量に充填すると、得られる樹脂組成物の溶融流動性が著しく低下し、通常の射出成形などの溶融加工条件下では流動性不足のため、成形が困難または不可能となる。
【0015】
α結晶の平均粒子径が10〜50μmのα−アルミナとしては、球状のものが好ましい。このような球状のα−アルミナとしては、例えば、昭和電工社製のAS−10(平均粒子径37μm)、AS−20(平均粒子径20μm)、AS−30(平均粒子径16μm)、及びAS−50(平均粒子径10μm)などが挙げられる。このようなα結晶の平均粒子径が大きなα−アルミナ(B1)を使用することにより、α−アルミナをPPS樹脂に高充填しても溶融流動性に優れた樹脂組成物を得ることができる。また、球状α−アルミナは、粒子に角がないため、摩耗性が大きいという問題がない。
【0016】
本発明では、組成物全量基準で、α−アルミナを85〜75重量%の割合で配合する。α−アルミナの配合割合が小さ過ぎると、高い熱伝導率の樹脂組成物を得ることができない。α−アルミナの配合割合が85重量%を越えると、流動性が不足して樹脂組成物を調製することが困難となったり、あるいは、樹脂組成物の流動性が損なわれ、射出成形が困難となる。したがって、α−アルミナの配合割合は、85〜75重量%である。
α−アルミナは、その全量をα結晶の平均粒子径が10〜50μmのα−アルミナ(B1)とすることが、充填性や流動性、熱伝導率の観点から好ましいが、その一部をα結晶の平均粒子径が5μm未満のα−アルミナ(B2)とすることができる。この場合、α結晶の平均粒子径が10〜50μmのα−アルミナ(B1)の含有率を50重量%以上とする。したがって、α結晶の大きさが小さいα−アルミナ(B2)は、全α−アルミナの0〜50重量%の比率で使用する。全α−アルミナ中のα−アルミナ(B2)の含有率が大き過ぎると、α−アルミナを高充填することができなくなったり、あるいは、樹脂組成物の流動性が損なわれる。
【0017】
充填剤
本発明では、α−アルミナ以外に、繊維状充填剤及び/または非繊維状充填剤を配合することができる。
本発明における樹脂組成物においては、充填剤は必ずしも必須とされる成分ではないが、機械的強度、耐熱性、寸法安定性、電気的性質等の諸特性に優れた成形品を得るためには、その目的に応じて各種充填剤を配合することができる。
繊維状充填剤は、主として補強のために配合されるが、その具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維などの無機質繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮などの金属繊維状物;ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクルリ樹脂などの高融点有機質繊維状物質;などの繊維状充填剤を挙げることができる。電気絶縁性や耐熱性を保持する観点からは、ガラス繊維などの無機質繊維状物が好ましい。
【0018】
非繊維状充填剤としては、例えば、マイカ、シリカ、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシム、酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、フェライト、クレー、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、酸化チタン、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの粒状または粉末充填剤が挙げられる。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、充填剤は、必要に応じて集束剤や表面処理剤により処理されたものであってもよい。集束剤または表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物などの官能性化合物が挙げられる。これらの化合物は、予め表面処理または集束処理を施して用いるか、あるいは材料調製の際に、同時に添加してもよい。
【0019】
充填剤の使用割合は、その種類や比重、使用目的、用途などにもよるが、PAS100重量部に対して、0〜10重量部である。充填剤の配合割合が小さ過ぎると充填効果が小さく、逆に、過大であるとα−アルミナによる熱伝導性改良効果が低下する。
本発明の樹脂組成物には、これらの充填剤のほか、所望により、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、核剤、難燃剤、染料や顔料などの着色剤、その他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などを配合することができる。
【0020】
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、一般に合成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調製することができる。すなわち、必要な成分を混合し、1軸または2軸の押出機を使用して混練し、押し出して成形用ペレットとすることができる。必要成分の一部をマスターバッチとして混合し、成形する方法、また、各成分の分散混合を良くするために、使用する原料の一部を粉砕し、粒径を揃えて混合し、溶融押し出しすることなどもできる。
本発明の樹脂組成物は、α−アルミナを高充填しても流動性が良好であり、PPS樹脂の通常の溶融成形加工条件下で、各種成形法により成形加工することができる。したがって、本発明の樹脂組成物は、射出成形により、各種成形品に成形することが可能である。本発明の樹脂組成物の熱伝導率は、2.5W/m・K以上であり、優れた熱伝導性を示す。また、α−アルミナを用いているため、電気絶縁性を損なうことがない。
したがって、本発明の樹脂組成物は、高度の熱伝導性や放熱性が要求される分野での成形品の用途に好適である。
【0021】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0022】
[実施例1]
ポリアリーレンスルフィド樹脂(呉羽化学工業製;310℃、剪断速度1200/秒での溶融粘度20Pa・s)18重量%、α結晶の平均粒子径10μmのα−アルミナ(昭和電工社製AS−50)80重量%、及び直径9μmのガラス繊維2重量%からなる成分を高速撹拌装置(スーパーミキサー、カワタ社製)で撹拌混合し、次いで、2軸混練押出機(PCM−45、池貝鉄鋼社製)で押出ペレット化を行い、α−アルミナ充填ペレットを得た。
上記で得られたα−アルミナ充填ペレットを射出成形機(J−75ED、日本製鋼所社製)を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度180℃で、120×100×3(mm)の大きさの平板を成形した。得られた平板の熱伝導率を測定したところ、2.9W/m・Kであった。
【0023】
[実施例2]
ポリアリーレンスルフィド樹脂(呉羽化学工業製;310℃、剪断速度1200/秒での溶融粘度20Pa・s)15重量%、及びα結晶の平均粒子径20μmのα−アルミナ(昭和電工社製AS−20)85重量%からなる成分を高速撹拌装置(スーパーミキサー、カワタ社製)で撹拌混合し、次いで、2軸混練押出機(PCM−45、池貝鉄鋼社製)で押出ペレット化を行い、α−アルミナ充填ペレットを得た。
上記で得られたα−アルミナ充填ペレットを射出成形機(J−75ED、日本製鋼所社製)を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度180℃で、120×100×3(mm)の大きさの平板を成形した。得られた平板の熱伝導率を測定したところ、3.8W/m・Kであった。
【0024】
[実施例3]
ポリアリーレンスルフィド樹脂(呉羽化学工業製;310℃、剪断速度1200/秒での溶融粘度20Pa・s)20重量%、及びα結晶の平均粒子径20μmのα−アルミナ(昭和電工社製AS−20)80重量%からなる成分を高速撹拌装置(スーパーミキサー、カワタ社製)で撹拌混合し、次いで、2軸混練押出機(PCM−45、池貝鉄鋼社製)で押出ペレット化を行い、α−アルミナ充填ペレットを得た。
上記で得られたα−アルミナ充填ペレットを射出成形機(J−75ED、日本製鋼所社製)を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度180℃で、120×100×3(mm)の大きさの平板を成形した。得られた平板の熱伝導率を測定したところ、2.9W/m・Kであった。
【0025】
[実施例4]
ポリアリーレンスルフィド樹脂(呉羽化学工業製;310℃、剪断速度1200/秒での溶融粘度20Pa・s)18重量%、α結晶の平均粒子径が10μmのα−アルミナ(昭和電工社製AS−50)40重量%、α結晶の平均粒子径が3μmのα−アルミナ(昭和電工社製AL−15−H)40重量%、及び直径9μmのガラス繊維2重量%からなる成分を高速撹拌装置(スーパーミキサー、カワタ社製)で撹拌混合し、次いで、2軸混練押出機(PCM−45、池貝鉄鋼社製)で押出ペレット化を行い、α−アルミナ充填ペレットを得た。
上記で得られたα−アルミナ充填ペレットを射出成形機(J−75ED、日本製鋼所社製)を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度180℃で、120×100×3(mm)の大きさの平板を成形した。得られた平板の熱伝導率を測定したところ、2.7W/m・Kであった。
【0026】
[比較例1]
ポリアリーレンスルフィド樹脂(呉羽化学工業製;310℃、剪断速度1200/秒での溶融粘度20Pa・s)20重量%、及びα結晶の平均粒子径が3μmのα−アルミナ(昭和電工社製AL−15−H)80重量%からなる成分を高速撹拌装置(スーパーミキサー、カワタ社製)で撹拌混合し、次いで、2軸混練押出機(PCM−45、池貝鉄鋼社製)で押出ペレット化を行い、α−アルミナ充填ペレットを得た。
上記で得られたα−アルミナ充填ペレットを射出成形機(J−75ED、日本製鋼所社製)を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度180℃で、120×100×3(mm)の大きさの平板を成形しようとしたが、流動性が不足し成形品を得ることができなかった。
【0027】
[比較例2]
ポリアリーレンスルフィド樹脂(呉羽化学工業製;310℃、剪断速度1200/秒での溶融粘度120Pa・s)18重量%、α結晶の平均粒子径10μmのα−アルミナ(昭和電工社製AS−50)80重量%、及び直径9μmのガラス繊維2重量%からなる成分を高速撹拌装置(スーパーミキサー、カワタ社製)で撹拌混合し、次いで、2軸混練押出機(PCM−45、池貝鉄鋼社製)で押出ペレット化を試みたが、流動性が不足し、押出機が停止してペレットが得られなかった。
【0028】
[比較例3]
ポリアリーレンスルフィド樹脂(呉羽化学工業製;310℃、剪断速度1200/秒での溶融粘度約20Pa・s)13重量%、及びα結晶の平均粒子径20μmのα−アルミナ(昭和電工社製AS−20)87重量%からなる成分を高速撹拌装置(スーパーミキサー、カワタ社製)で撹拌混合し、次いで、2軸混練押出機(PCM−45、池貝鉄鋼社製)で押出ペレット化をを試みたが、流動性が不足し、押出機が停止してペレットが得られなかった。
【0029】
[比較例4]
ポリアリーレンスルフィド樹脂(呉羽化学工業製;310℃、剪断速度1200/秒での溶融粘度約20Pa・s)18重量%、α結晶の平均粒子径が10μmのα−アルミナ(昭和電工社製AS−50)30重量%、α結晶の平均粒子径が3μmのα−アルミナ(昭和電工社製AL−15−H)50重量%、及び直径9μmのガラス繊維2重量%からなる成分を高速撹拌装置(スーパーミキサー、カワタ社製)で撹拌混合し、次いで、2軸混練押出機(PCM−45、池貝鉄鋼社製)で押出ペレット化を行い、α−アルミナ充填ペレットを得た。
上記で得られたα−アルミナ充填ペレットを射出成形機(J−75ED、日本製鋼所社製)を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度180℃で、120×100×3(mm)の大きさの平板を成形しようとしたが、流動性が不足し成形品を得ることができなかった。
これらの結果を一括して表1に示す。
【0030】
【表1】
(*1)流動性が不足し、射出成形品を得ることができなかった。
(*2)流動性が不足し、押出機によりペレットが得られなかった。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリフェニレンスルフィド樹脂にα−アルミナを高充填してなる熱伝導性及び流動性に優れた樹脂組成物が提供される。本発明の樹脂組成物は、射出成形などの溶融加工の適用が可能であり、各種成形品に成形することができる。本発明の樹脂組成物は、高度の熱伝導性や放熱性が要求される分野での成形品の用途に好適である。
Claims (2)
- ポリフェニレンスルフィド樹脂及びα−アルミナを含有する樹脂組成物において、
(A)310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が10〜40Pa・sのポリフェニレンスルフィド樹脂15〜25重量%、
(B)α結晶の平均粒子径が10〜50μmのα−アルミナの含有率が50重量%以上であるα−アルミナ85〜75重量%、及び
(C)繊維状充填剤及びα−アルミナ以外の非繊維状充填剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の充填剤をポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して0〜10重量部
を含有し、熱伝導率が2.5W/m・K以上であることを特徴とする樹脂組成物。 - 前記α−アルミナが、α結晶の平均粒子径10〜50μmのα−アルミナ(B1)50〜100重量%とα結晶の平均粒子径5μm未満のα−アルミナ(B2)0〜50重量%とを含有するものである請求項1記載の樹脂組成物。
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