JP4973114B2 - 樹脂組成物、それからなる錠剤の製造方法、および成形品 - Google Patents

樹脂組成物、それからなる錠剤の製造方法、および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、製品設計自由度および生産性を向上させ、かつ、熱伝導性、寸法安定性、他部品との複合化において必要な接着強度、セルフタップ強度に優れ、加工時の装置の摩耗性を抑制した樹脂組成物に関するものである。
これまで樹脂化が困難とされていた分野への用途開拓も盛んに試みられ、樹脂に対する要求性能は、益々多様化すると共に厳しくなる傾向にある。近年、特に目立つのが、従来板金、アルミダイキャスト、セラミックスが用いられていたOA用途において軽量化、生産性向上によるコスト低減のための樹脂化の検討をすすめる傾向である。例えば、プロジェクタ装置は、近年、プレゼンテーション等のような商用的な用途に用いられるばかりではなく、様々なコンテンツの表示手段として家庭内で使用可能となることが望まれており、高輝度で、かつ薄型化、小型化が求められている。また、DVDレコーダーなどの記録系用途に代表される光ピックアップスライドベース用途に小型、かつ、複雑形状が求められている。
しかし、これら用途において小型・高性能化のため、プロジェクタ装置では光源ランプの出力アップ、DVDレコーダーなどの記録系用途ではレーザーの出力アップ等により、装置内部が高温となるが、従来の樹脂では、装置内部の熱を放出する事ができず、樹脂部品への蓄熱による寸法変化による画像のゆがみ、書き込み不良などの問題により、樹脂化が思うように進んでいないのが実状である。
このような現状から、用いるポリフェニレンスルフィド樹脂の熱伝導性および寸法安定性をフィラー高充填によって向上させる方法がいくつか提案されている。
例えば、フィラーの粒度分布を制御する方法(特許文献1)、溶融粘度を制御したポリフェニレンスルフィド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂に粒径および繊維系を限定した黒鉛およびガラス繊維を添加する方法(特許文献2)、アルミナを高充填する方法(特許文献3)が提案されているが、部品として組み込む際に他部品との接合があるが、特許文献1の場合は、確かに熱伝導性は大幅に向上するが、接着剤あるいはネジ止めによる接合に際して成形品強度が十分とは言えず、特許文献2および3については、熱伝導性および接合性については、実使用に際して十分満足するとは言えない。
また、他部品との接合に関して特定のオレフィン系重合体とエポキシ樹脂を添加する方法(特許文献4)が提案されているが、本材料では熱伝導性について全く期待できない。
特開2005−146124号公報(第2頁、実施例) 特開2005−105024号公報(第2頁、実施例) 特開2002−256147号公報(第2頁、実施例) 特開2005−60454号公報(第2頁、実施例)
本発明は、上述した従来の問題点を解消し、製品設計自由度および生産性を向上させ、かつ、熱伝導性、寸法安定性、他部品との複合化において必要な接着強度、セルフタップ強度に優れた樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は
(1)(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂5〜40重量%および(B)フィラー95〜60重量%を含む樹脂組成物であって、(B)フィラー全量(100重量%)に対してモース硬度6以上のフィラーを25〜55重量%含み、前記モース硬度6以上のフィラー表面にケイ素および/またはアルミニウムならびにモース硬度6以上のフィラー成分との複酸化物を含む被覆層を有し、かつレーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が2W/mK以上である樹脂組成物、
(2)モース硬度6以上のフィラーがアルミナ、窒化アルミニウム、および窒化ホウ素から選ばれた少なくとも1種である上記(1)記載の樹脂組成物、
(3)モース硬度6以上フィラーの平均粒径が5μm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の樹脂組成物、
)さらに(C)脂肪酸金属塩、エステル系化合物、アミド基含有化合物、エポキシ系化合物、およびリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の化合物を(A)および(B)の合計量100重量部に対して0.5〜10重量部添加してなる上記(1)〜()のいずれか記載の樹脂組成物、
)(1)〜()のいずれか記載の樹脂組成物からなる錠剤を製造する際
(イ)(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂
(ロ)(B)フィラー
および必要に応じて
(ハ)(C)脂肪酸金属塩、エステル系化合物、アミド基含有化合物、エポキシ系化合物、およびリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の化合物
(ニ)(A)〜(C)成分から選択される2種以上であって、(A)または(B)成分を必須とする成分を溶融混練してなる組成物の塊状物および粉体
を圧縮成形することを特徴とする錠剤の製造方法、
)上記(1)〜()のいずれか記載の樹脂組成物または、上記()記載の製造方法で得られた錠剤を溶融成形してなる成形品、
)成形品のロックウエル硬さがMスケールで100以上であることを特徴とする上記()記載の成形品、
)上記()または()記載の成形品を含む複合成形品であって、他の素材または同じ素材との接着面を有することを特徴とする複合成形品である。
本発明の樹脂組成物およびそれから得られる成形品は、従来得られなかった熱伝導性と寸法安定性が均衡して優れ、さらに従来まで制限があった組込時に必要な特性である接着強度、セルフタップ強度が向上すること、また、高硬度フィラーを用いることによる加工時の課題である装置の摩耗性を低減できることから、軽量化目的として金属代替が熱望されている電気・電子部品用途をはじめとし、自動車部品用途、熱機器部品用途等への展開を図ることが可能となることから、極めて実用的に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
本発明で使用する(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂について説明する。ポリアリーレンスルフィド樹脂の代表例としては、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略す場合もある)、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられ、中でもポリフェニレンスルフィドが特に好ましく使用される。
かかるポリフェニレンスルフィドは、下記構造式で示される繰り返し単位を有するものであり、この繰り返し単位を好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%以上の場合には、耐熱性が優れる点で好ましい。
Figure 0004973114
また、かかるポリフェニレンスルフィド樹脂は、その繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位などで構成することが可能であり、ランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよく、それらの混合物であってもよい。
Figure 0004973114
本発明で使用するポリアリーレンスルフィド樹脂は、通常公知の方法、つまり特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造することができる。
本発明においては、上記のようにして得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも、もちろん可能である。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を加熱により架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。この場合の加熱処理温度としては、好ましくは150〜280℃、より好ましくは200〜270℃の範囲が選択して使用され、処理時間としては、好ましくは0.5〜100時間、より好ましくは2〜50時間の範囲が選択されるが、この両者をコントロールすることによって、目標とする粘度レベルを得ることができる。かかる加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧(好ましくは7,000Nm−2以下)下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間の条件で加熱処理する方法を例示することができる。かかる加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を有機溶媒で洗浄する場合に、洗浄に用いる有機溶媒としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく使用することができる。例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが使用される。これらの有機溶媒のなかでも、特にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどが好ましく使用される。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
かかる有機溶媒による洗浄の具体的方法としては、有機溶媒中にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でポリアリーレンスルフィド樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果が得られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリアリーレンスルフィド樹脂は、残留している有機溶媒を除去するため、水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるポリアリーレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のポリアリーレンスルフィド樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。ポリアリーレンスルフィド樹脂と水との割合は、水が多い方がよく、好ましくは水1リットルに対し、ポリアリーレンスルフィド樹脂200g以下の浴比で使用される。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが用いられる。これらの酸のなかでも、特に酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたポリアリーレンスルフィド樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。また、洗浄に用いる水は、酸処理によるポリアリーレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
本発明で用いられるポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融粘度は、また、フィラー高充填化を可能とするためにポリスチレン換算における重量平均分子量が50000以下であることが好ましく、40000以下がより好ましく、25000以下であることが特に好ましい。重量平均分子量の下限については特に制限はないが、滞留安定性等を考慮した場合、1500以上であることが好ましい。
なお、ポリアリーレンスルフィド樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1−クロロナフタレン(1−CN)5gにポリアリーレンスルフィド樹脂5mgを溶解し、超高温GPC装置を用いて測定することができる。
また溶融粘度の異なる2種以上のポリアリーレンスルフィド樹脂を併用して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、上記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)5〜40重量%および(B)フィラー95〜60重量%を含む。
本発明に用いる(B)フィラーとしては、本発明で規定する熱伝導率を有する成形品を与え得るフィラーが選択される。フィラー形状としては繊維状もしくは、非繊維状(板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など)のフィラーが挙げられ、具体的には例えば、繊維状フィラーとしてガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー等が挙げられ、ガラス繊維あるいは炭素繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記フィラーはエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
非繊維状フィラーとしてマイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン等)、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。また、金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。
ここで、上記金属粉、金属フレークおよび金属リボンの金属種の具体例としては、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロムおよび錫などを例示することができる。
また、上記金属繊維の金属種の具体例としては、鉄、銅、ステンレス、アルミニウムおよび黄銅などを例示することができる。
かかる金属粉、金属フレーク、金属リボンおよび金属繊維は、いずれもチタネート系、アルミネート系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
上記金属酸化物の具体例としては、SnO(アンチモンドープ)、In(アンチモンドープ)およびZnO(アルミニウムドープ)などを例示することができ、これらはチタネート系、アルミ系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
上記窒化物の具体例としては、AlN(窒化アルミニウム)、BN(窒化ホウ素)、Si(窒化珪素)などを例示することができ、これらはチタネート系、アルミ系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
本発明では、(B)フィラーとして、充填したフィラーの硬度が低い場合、異材料を接着する際に成形品表面に露出している該フィラーが崩壊し、その部分が欠陥となり、接着性を阻害する原因となったり、また、他部品とのネジによる接合を行う際に金属製のネジをネジ穴部分に挿入した際にフィラーの崩壊による樹脂成形品の削れ現象が発生し、特性低下を招く。特にフィラー高充填系では、フィラーによる影響が顕著となるため、モース硬度6以上のフィラーを(B)フィラー全量に対して25〜55重量%含むことが重要である。モース硬度6以上のフィラーをこの範囲で使用することで、成形品としたときに、接着強度、セルフタップ強度の良好な樹脂組成物を得ることができる。
ここで、モース硬度とは、測定したい物質と、基準となる標準物質をこすり、ひっかき傷の有無で物質の硬さを表す尺度であり、モース硬度6の標準物質は正長石、7は石英、8はトパーズ、9はコランダム、10がダイヤモンドである。したがって、モース硬度6以上のフィラーとは、正長石よりも硬いフィラーと言うことである。各種物質のモース硬度は、たとえば、実用プラスチック用語辞典、改訂第3版などに記載された旧モース硬度の値を採用することができる。よく使われるフィラーのモース硬度は、タルクが1,硫酸カルシウムが2,ガラスファイバーが5,マグネシアが6,シリカが7、アルミナが9である。
モース硬度6以上のフィラーとしては、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、窒化ケイ素ウィスカー、シリカ、金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン)、窒化物(窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化チタン)、炭化ケイ素等が挙げられ、中でも入手性、コストの面から、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素が好ましく用いられる。
また、モース硬度6以上のフィラーの粒径については、得られた成形品の表面荒れによるセルフタップ強度低下を抑制するためにレーザー光回折法によって測定された累積粒度分布曲線より得られる平均粒子径(D50)が5μm以下が好ましく、0.01〜4μmであることがより好ましく、0.1〜3μmがさらにさらに好ましい。
また、モース硬度6以上のフィラーの粒子表面にケイ素および/またはアルミニウムと芯物質であるモース硬度6以上のフィラー成分との複酸化物を含む被覆層が形成されていることが、高硬度フィラー充填によるセルフタップ強度および金型摩耗抑制の点から好ましく、これらの被覆層は、モース硬度6以上のフィラーの製造前及び/又は製造後に形成することができるが、特に製造後に保護膜を形成することが望ましい。被覆層の形成は、例えばケイ素化合物又はアルミニウム塩とモース硬度6以上のフィラーを混合する時、芯材となるモース硬度6以上のフィラー表面に複合物を均一に生成させるため、原料を必要に応じて水、有機溶媒、アルカリを添加、湿式混合し、その後固体分をろ過等により分離する。回収した固体分は、水溶性の硝酸金属塩が残留することを防止するため、水洗を充分に行うことが好ましい。水洗した固体分を乾燥させ、解砕することが好ましい。解砕は、ミルを用いることができる。解砕した固体分を、焼成して、被覆したフィラーを得る。この焼成工程により、界面剥離のない均一被覆されたフィラーを製造することができる。ここで、BET比表面積と質量増加率を考慮すると、焼成温度は、被覆材の融点以下である温度1000〜1800℃が好ましく、1100〜1600℃がより好ましい。また、焼成時間については、被覆可能であれば特に限定されないが、好ましくは5〜180分、より好ましくは10〜120分である。
具体的な被覆層の原料としては、シリカコロイド、コロイダルアルミナ、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム及び塩化アルミニウムが好ましい。
被覆層となる原料の添加量は、所望の熱伝導性、寸法安定性、他部品との複合化において必要な接着強度、セルフタップ強度および加工時の摩耗性低減効果を付与できる限りは特に制限されないが、生成するSiO量およびAlに換算し、該モース硬度6以上のフィラー100重量部に対して1〜35重量%であることが好ましく、5〜25重量%がより好ましい。また、水和物を用いることもできる。また、本発明で規定する熱伝導率を有する樹脂組成物を得るためには、熱伝導率が20W/mK以上の熱伝導性フィラーを(B)成分の少なくとも一部またはモース硬度6以上のフィラーを用いる以外全部として用いることが好ましい。成形品としたときの熱伝導率を2W/mKとするために、熱伝導率が20W/mK以上の熱伝導性フィラーが、(B)成分100重量%に対し、30重量%以上とするのが好ましく、更に好ましくは、60重量%以上である。
このような熱伝導性フィラーの具体例としては金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊維、ベリリア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化チタンなどの窒化物、熱伝導性物質で被覆された無機フィラー、カーボン粉末、黒鉛、ピッチ系炭素繊維、あるいは黒鉛化度の比較的高いPAN系炭素繊維、鱗片状カーボンおよびカーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。なお、フィラーの熱伝導率は、原則レーザーフラッシュ法で測定した値であるが、フィラーが炭素系の材料である場合など、レーザーフラッシュ法により直接測定できない場合には、測定が可能な方法で間接的に測定し、レーザーフラッシュ法に換算した値を使用する。例えばエポキシ系熱硬化性樹脂でフィラーを固めたサンプルを用いて光交流法により熱伝導率を測定して作成したフィラー充填量と熱伝導率の関係を示す検量線よりフィラー100容量%の場合の熱伝導率を算出し、レーザーフラッシュ法の数値に換算した値を使用することができる。さらにかかる方法による測定も適さない場合には、エポキシ系熱硬化性樹脂でフィラー(同様の質を有し、測定可能な形態を有するフィラー)を固めた疑似サンプルを用いて広角X線により測定した黒鉛層間距離(d002)と結晶子径(Lc)から求めたX線パラメータと、レーザーフラッシュ法による熱伝導率から検量線を予め求めておき、広角X線により測定した測定サンプルのd002とLcから、上記検量線を用いてレーザーフラッシュ法の熱伝導率に換算した値などを使用することができる。
上記熱伝導性物質で被覆されたフィラーにおける熱伝導性物質の具体例としては、アルミニウム、ニッケル、銀、カーボン、SnO(アンチモンドープ)およびIn(アンチモンドープ)などを例示することができる。また、被覆されるフィラーとしては、マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、および炭化珪素ウィスカーなどを例示することができる。被覆方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法および焼き付け法などが挙げられる。そして、これらの熱伝導性物質で被覆されたフィラーもまた、チタネート系、アルミネート系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
本発明において(B)フィラーの添加量は、本発明で規定する熱伝導率を満たす限り特に制限はなく、また用いるフィラーの種類によっても異なるが、用いるフィラーの特性を発揮し、かつ溶融加工性とのバランスの点から、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)とフィラー(B)の合計量100重量%に対し、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)5〜40重量%、フィラー(B)95〜60重量%であり、ポリアリーレンスルフィド性樹脂(A)10〜35重量%、フィラー(B)90〜65重量%であることが好ましく、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)15〜30重量%、フィラー(B)85〜70重量%であることがより好ましく、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)15〜28重量%、フィラー(B)85〜72重量%であることが特に好ましい。
また、本発明の特性である熱伝導性と接着強度、セルフタップ強度を両立させるために(B)フィラーの添加量100重量%に対してモース硬度6以上のフィラーが25〜55重量%であり、27〜50重量%であることが好ましく、30〜45重量%であることがさらに好ましい。
また、本発明には、フィラー界面の接合性および加工時の流動改良性付与の観点から、以下の(C)脂肪酸金属塩、エステル系化合物、アミド基含有化合物、エポキシ系化合物、およびリン酸エステルから選ばれる少なくとも一種の化合物を添加することが好ましく、添加量は、(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂と(B)無機フィラーの合計量100重量部に対し、通常0〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜8重量部、さらに好ましくは0.3〜6重量部の範囲が選択される。
(C)添加剤の添加量がこの範囲とすることで、樹脂組成物から得られる成形品表面へのブリードアウトを防ぐことができ、それによってポリアリーレンスルフィド樹脂とフィラー界面の剥離、機械物性の低下をまねくことがない。
添加剤(C)の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸リチウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸バリウム、モンタン酸アルミニウムなどの脂肪酸金属塩、およびその誘導体、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ステアレートなどの、ステアリン酸エステル、ミリスチン酸ミリスチルなどのミリスチン酸エステル、モンタン酸エステル、メタクリル酸ベヘニルなどのメタクリル酸エステル、ペンタエリスリトールモノステアレート、2−エチルヘキサン酸セチル、ヤシ脂肪酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシル、カプリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、オレイン酸メチル、オレイン酸オクチル、オレイン酸ラウリル、オレイン酸オレイル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチドデシル、オレイン酸イソブチルなどの脂肪酸の一価アルコールエステルおよびその誘導体、フタル酸ジステアリル、トリメリット酸ジステアリル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジオレイル、アジピン酸エステル、フタル酸ジトリデシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブチルグリコール、フタル酸2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジデシル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシルなどの多塩基酸の脂肪酸エステル、ステアリン酸モノグリセライド、パルミチン酸・ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノ・ジグリセライド、ステアリン酸・オレイン酸・モノ・ジグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライドなどのグリセリンの脂肪酸エステルおよびそれらの誘導体、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリプロピレングリコールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセキスオレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシメチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシメチレンソルビタンモノパルミネート、ポリオキシメチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシメチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシメチレンソルビタンテトラオレート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンビスフェノールAラウリン酸エステル、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールモノオレート等の多価アルコールの脂肪酸エステル、およびそれらの誘導体、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、ステアリルエルカミド、エチレンビスオクタミド、エチレンビスデカナミド、およびその混合物などのアミド基含有化合物、ノボラックフェニール型、ビスフェノール型単官能および多官能エポキシ系化合物、トリフェニルホスフェートなどの芳香族リン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステルなどのリン酸エステルが挙げられる。
本発明における樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤、他の重合体を添加することができる。
本発明の樹脂組成物は、通常公知の方法で製造される。例えば、(A)成分、(B)成分中および、(C)成分などのその他の必要な添加剤を予備混合して、またはせずに押出機などに供給して十分溶融混練することにより調製される。また、(B)フィラーを添加する場合、特に繊維状フィラーの繊維の折損を抑制するために好ましくは、(A)成分およびその他必要な添加剤を押出機の元から投入し、(B)および(C)成分をサイドフィーダーを用いて、押出機へ供給することにより調整される。
樹脂組成物を製造するに際し、例えば“ユニメルト”(R)タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用いて180〜350℃で溶融混練して組成物とすることができる。
また、フィラーを多量に添加する場合、例えば添加量が(A)100重量部に対して150重量部を越えるフィラーを添加するフィラー高充填樹脂組成物を得る方法として、例えば、特開平8−1663号公報の如く、押出機のヘッド部分をはずして押し出し、粗粉砕、均一ブレンド化する方法、あるいは、原料を圧縮成形して錠剤化する方法が挙げられる。特に原料を圧縮成形して錠剤化する方法が、得られた組成物の品質安定性の点から好ましい。
本発明において錠剤は、粉末状の原料を含む原料を固相状態で押し固めた粒状物をいうが、かかる錠剤は、粉末状の原料を含む原料を固相状態で圧縮成形することにより得ることができる。なお、上記において固相状態とは、原料に含まれる熱可塑性樹脂成分が溶融していない状態であることを意味する。圧縮成形には、打錠機(ロータリー、単発式、2連式、3連式)あるいはブリケットマシンなどの圧縮ロールを有する成形機を用いることが好ましい。
錠剤化の具体的な手法としては、たとえば熱可塑性樹脂粉末およびフィラーをバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、固相状態で均一ブレンドし、打錠機あるいは圧縮ロールを有する成形機により錠剤(タブレット)化することにより得ることができる。また、熱可塑性の樹脂原料と無機フィラーとをバンバリーミキサー、ニーダー、ロールを用いて予めドライブレンドし、もしくはドライブレンドしないで、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、一度溶融混練し、冷却粉砕して粉末状としたのち、打錠機あるいは圧縮ロールを有する成形機により錠剤(タブレット)化することも可能である。この場合、溶融混練に供する熱可塑性の樹脂成分としては、溶融混練が可能であれば、粉末状でもペレット状でも特に制限はないが、無機フィラーの分散不良による特性のバラツキを低減する点から粉末状あるいは粉砕品であることが好ましい。また、単軸もしくは2軸押出機を用いて、予め溶融混練した組成物を粉末状とする場合、無機フィラーの使用量が多いと、流動性が悪化するため、ダイからの押出ができずペレット化が困難になる場合があるが、その場合には、特開平8−1663号公報に記載の如く、押出機のヘッド部を開放した状態で混練・押出すことも可能である。無機フィラーが多量である場合、フレーク状の組成物が得られることもある。本発明においてはこれらの方法で予め溶融混練して得られたペレットもしくはフレーク状の組成物を必要により、冷却粉砕して粉末状とした後、錠剤化する。また、これらの方法を組み合わせて錠剤化することも可能である。すなわち、下記(イ)〜(ニ)から選択される原料を所望の含有量となるよう調整し、錠剤化することも可能である。
(イ)ポリアリーレンスルフィド樹脂
(ロ)フィラー
(ハ)(C)脂肪酸金属塩、エステル系化合物、アミド基含有化合物、エポキシ系化合物、およびリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種
(ニ)(A)〜(C)成分から選択される2種以上であって、(A)成分を必須とする成分を溶融混練してなる組成物、好ましくはその塊状物および粉体
上記方法のうち、工程が簡素である点で、上記(イ)、(ロ)の原料および必要に応じて(ハ)の原料を固相状態で均一ブレンドした混合物を打錠機あるいは圧縮ロールを有する成形機により錠剤(タブレット)化する方法が好ましい。
上記(A)成分の粉末としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂など粉末状で入手できるものはそれを使用してもよい。また、ペレットを常温あるいは冷凍粉砕することによっても得ることができる。冷凍粉砕は、ドライアイスあるいは液体窒素等で凍結させた後、一般的に知られている通常のハンマータイプ粉砕機、カッタータイプ粉砕機あるいは石臼型の粉砕機により行うことができる。本発明において用いる樹脂粉末としては、得られる錠剤間の組成の均一化および得られた錠剤のハンドリング性を良好にする点から、レーザー回折式粒度分布測定法に基づき測定した場合の粒子の最大長径の数平均粒子径が1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。かかる粒径を有する粉末を得るには、粉砕などにより得られた粉体を適宜所望の大きさの篩を用いてふるい分けすればよい。
本発明に用いる樹脂組成物の錠剤形状としては、輸送時の形状保持性と成形時の易圧壊性を考慮した場合、例えば、円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型、円盤状、キュービック状、角柱状のものが挙げられる。なかでも加工時の計量安定性の点から円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型が好ましい。
また、錠剤の錠剤サイズとしては、底面15mm直径以下×長さ20mm以下が好ましく、なかでも底面の直径または長さ(高さ)の最大値が15mm未満であることが好ましく、最小値が1mm以上であることが好ましい。なお、底面が円状でないものに関して、最大径、最小径の規定方法としては、外接円の最大直径で特定する場合、その最大直径が15mm未満、1mm以上であることが好ましく、更に好ましくは12mm以下、1.5mm以上であるのがよい。
また、輸送時等の形状を安定に保つために、錠剤における打錠面の側面もしくは圧縮ロールでの圧縮面に対し、垂直に圧力をかけた時の圧縮破壊強度値(圧壊強度値)が、好ましくは5〜100N、より好ましくは15〜80Nである。好ましい圧壊強度値を得るための方法としては、例えば、原料組成によるところが最も大きく、エステル系、アミド系、燐系添加剤を添加することにより、あるいは錠剤化工程において、原料供給ポケットに均一に原料を供給する方法、圧縮ロールの回転数を下げ圧縮ロール上での材料への加圧時間を延ばす方法、ホッパー内にフィードスクリューを用い、そのスクリューによりロール圧縮前において効果的な脱気と予備圧縮する方法などにより、高い錠剤密度が得られ、高い圧壊強度が得られる。なお、圧壊強度値の測定は、ロードセルなどの歪ゲージの上に錠剤を置き、その上から圧子を低速(好ましくは0.1〜2.0mm/sec)で降下させ、錠剤の圧縮破壊時に歪ゲージが示す圧力を測定する方法を用い行うことができる。
かかる方法を用いることにより、フィラーを高充填した樹脂組成物を得ることが可能となる。
本発明の樹脂組成物、錠剤は、成形品とした場合、レーザーフラッシュ法による熱伝導率が2W/mK以上の高い熱伝導率の成形品が得られる。さらに、フィラーの種類、充填量を制御することで、3W/mK以上とすることも可能であり、さらに、5w/mK以上とすることもできる。またフィラーとして、ピッチ系炭素繊維、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブ、金属粉、金属フレーク、金属リボンなどを使用することで150W/mK以上の成形品を得ることもできる。
本発明の樹脂組成物、錠剤を溶融成形した成形品は、このように高い熱伝導率を有するため、熱による溶融変形、温度の急激な変化による応力集中による割れ等の不良をおこすことがない。
なお、ここで、上記熱伝導率の測定は、本発明の樹脂組成物、錠剤を溶融成形して得られる50mm×50mm×厚さ3mmの角形成形品を成形し、この成形品の両表面を深さ0.5mm切削し、レーザーフラッシュ法定数測定装置により測定される熱伝導率である。
本発明の樹脂組成物の成形方法は、通常の成形方法(射出成形、プレス成形、インジェクションプレス成形など)により、溶融成形することが可能であるが、なかでも量産性の点から、射出成形、インジェクションプレス成形が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物又は錠剤を溶融成形することで、ロックウエル硬さがMスケールで100以上の成形品を得ることができる。更に、本発明の樹脂組成物または錠剤を溶融成形することで、ロックウエル強度が105以上、110以上のものも得ることができる。好ましくは、加工性を考慮して、ロックウエル硬さが160以下である。ここで、ロックウエル硬さとは、ダイヤモンド圧子または鋼球圧子を用いて、最初に基準荷重を加え、次に試験荷重を加え、再び基準荷重に戻した時、この前後2回の基準荷重における圧子の侵入深さから、リニアゲージ等を用いて硬さを求める方法で測定できる。本発明の樹脂組成物または錠剤を溶融成形して得られる成形品は、このように硬いものが得られるため、熱可塑性樹脂、金属、セラミックス、鉱物などの他の素材によるシート、フィルム、成形品との複合成形品を得る際の接着性に優れ、さらに、セルフタッピング性が良好である。ここで、セルフタッピング性とは、成形品にねじ切りのない穴を作成し、その穴にタッピングネジでねじをきって接合する際にネジ穴が破壊するトルク(ネジバカトルク)から、ネジの締め付けに最低必要なトルクの差で表すものである。通常、下穴径(ボス内径)は、ネジ外径の90%位、また、ボス外径はネジ外径の2〜3倍が適当である。
本発明により得られる成形品は、接着性に優れるため、他の素材や同じ素材と接着面を介して、接合した接合成形品としたときに、効果がより顕著となる。接合方法としては、インサート成形、アウトサート成形、熱カシメ、接着剤による接合(エポキシ系、シリコン系、UV硬化型)、ビス止め等が挙げられ、本発明の特徴を生かす上でインサート成形、接着剤による接合、ビス止めによる組み合わせた成形品(複合成形品)に有用である。
かくして得られる成形品は、用いる無機フィラーの特徴を極限まで生かしつつ、かつ溶融成形可能であることを生かし、例えば、高放熱用途、金属代替用途、セラミック代替用途、電磁波シールド用途、高精度部品(低寸法変化)、高導電用途等に有用であり、具体的には、各種ケース、ギヤーケース、LEDランプ関連部品、コネクター、リレーケース、スイッチ、バリコンケース、光ピックアップレンズホルダー、光ピックアップスライドベース、各種端子板、変成器、プリント配線板、液晶パネル枠、照明機器用放熱部材、ランプリフレクター、プリンターヘッド部品、パワーモジュールおよびそのハウジング、プラスチック磁石、半導体、液晶ディスプレー部品、投影機等のランプカバー、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、アクチュエーター、シャーシ等のHDD部品、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスク・デジタルビデオディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、印字ヘッドまわりおよび転写ロール等のプリンター・複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンショメーターベース、モーターコア封止材、インシュレーター用部材、パワーシートギアハウジング、エアコン用サーモスタットベース、エアコンパネルスィッチ基板、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ランプハウジング、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品、パソコンハウジング、携帯電話ハウジング、その他情報通信分野においてチップアンテナ、電磁波などの遮蔽性を必要とする設置アンテナなどの部品などの筐体用途等幅広い分野、その他、高寸法精度、電磁波シールド性、気体・液体等のバリアー性を必要とする隔壁板、熱および電気伝導性を必要とする用途、屋外設置用機器あるいは建築部材で有用に用いられ、特に軽量化、形状の自由度が要求され、金属代替が熱望されている自動車部品用途、電気・電子部品用途、熱機器部品用途等に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
参考例1 基材用熱可塑性樹脂
PPS−1の調製
撹拌機および底に弁の付いた20リットルオートクレーブに、47%水硫化ナトリウム(三協化成)2383g(20.0モル)、96%水酸化ナトリウム831g(19.9モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3960g(40.0モル)、およびイオン交換水3000gを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水4200gおよびNMP80gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は0.17モルであった。また、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの硫化水素の飛散量は0.021モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン(シグマアルドリッチ)2942g(20.0モル)、NMP1515g(15.3モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封した。その後、400rpmで撹拌しながら、200℃から227℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、次いで274℃まで0.6℃/分の速度で昇温し、274℃で50分保持した後、282℃まで昇温した。オートクレーブ底部の抜き出しバルブを開放し、窒素で加圧しながら、内容物を撹拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去し、ポリフェニレンスルフィド(PPS)と塩類を含む固形物を回収した。
得られた固形物およびイオン交換水15120gを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した17280gのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
得られたケークおよびイオン交換水11880gを、撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。
内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水17280gを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを80℃で熱風乾燥し、さらに120℃で24時間で真空乾燥することにより、乾燥PPSを得た。得られたPPS−1は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が20000であった。
なお、重量平均分子量は以下の方法で測定した。
ポリマー5mg、1−クロロナフタレン5gをサンプル瓶に計り取り、210℃に設定した高温濾過装置(センシュー科学製SSC−9300)に入れ、5分間(1分間予備加熱、4分間攪拌)加熱した後、高温濾過装置から取り出し、室温になるまで放置し、サンプル調整を行った。ついで以下の測定条件で重量平均分子量を測定した。
・GPC測定条件
装置 : センシュー科学 SSC−7100
カラム名 : センシュー科学 GPC3506×1
溶離液 : 1−クロロナフタレン(1−CN)
検出器 : 示差屈折率検出器
検出器感度 : Range 8
検出器極性 : +
カラム温度 : 210℃
プレ恒温槽温度 : 250℃
ポンプ恒温槽温度 : 50℃
検出器温度 : 210℃
サンプル側流量 : 1.0mL/min
リファレンス側流量 : 1.0mL/min
試料注入量 : 300μL
検量線作成試料 : ポリスチレン
参考例2 フィラー
B−1:グラファイト(CFW)、CFW50A(鱗片状フィラー、平均粒径50μm、中越黒鉛社製)200W/mK、モース硬度1
熱伝導率は、フィラーをエポキシ系熱硬化性樹脂で固めたサンプルを用い、光交流法(アルバック理工社製光交流法比熱測定装置ACC−1)により熱伝導率を測定し、フィラー充填量と熱伝導率との関係を示す検量線よりフィラー100容量%の場合の熱伝導率を算出し、レーザーフラッシュ法の数値に換算した値である。
B−2:炭素繊維(CF)、XN−100−01S(繊維状フィラー、ピッチ系、繊維長1000μm、日本グラファイトファイバー社製)、熱伝導率900W/mK、モース硬度1
熱伝導率は、フィラーをエポキシ系熱硬化性樹脂で固め、レーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定し、また広角X線により測定したd002、Lcから求めたX線パラメータから検量線を求めておき、広角X線により測定した測定サンプルのd002とLcから上記検量線を用いてレーザーフラッシュ法の熱伝導率に換算した値である。
B−3:アルミナ、Al−32B(破砕状アルミナ、平均粒径2μm、住友化学工業社製)26W/mK、モース硬度9
B−4:アルミナ、Al−33(破砕状アルミナ、平均粒径10μm、住友化学工業社製)26W/mK、モース硬度9
B−5:窒化アルミ、トーヤルナイト US(不定形窒化アルミ、平均粒径1.7μm、東洋アルミ社製)90W/mK、モース硬度9
B−6:SiO量に換算して10重量%となるように上記B−3のアルミナ1000gにシリカコロイド(日産化学工業(株)社製スノーテックスO)を500gの割合で配合して12時間湿式混合した後、得られたケーキを脱水、120℃で12時間乾燥した。得られたケーキをミルで60秒間開砕し、原料のアルミナと同程度の粒径にした。ついで1400℃の電気炉にて1時間焼成し、平均粒径2.3μm、25W/mK、モース硬度9の不定形アルミナを得た。
B−7:SiO量に換算して10重量%となるように上記B−5の窒化アルミ1000gにシリカコロイド(日産化学工業(株)社製スノーテックスO)を500gの割合で配合して12時間湿式混合した後、得られたケーキを脱水、120℃で12時間乾燥した。得られたケーキをミルで60秒間開砕し、原料の窒化アルミと同程度の粒径にした。ついで1400℃の電気炉にて1時間焼成し、平均粒径2.0μm、熱伝導率88W/mK、モース硬度9のの不定形窒化アルミを得た。
熱伝導率は、フィラーをエポキシ系熱硬化性樹脂で固めたサンプルを用い、光交流法(アルバック理工社製 光交流法比熱測定装置 ACC−1)により熱伝導率を測定し、フィラー充填量と熱伝導率との関係を示す検量線よりフィラー100容量%の場合の熱伝導率を算出し、レーザーフラッシュ法の数値に換算した値である。
なお、平均粒径の測定は、フィラー約0.05gを水50ccにいれて撹拌し、さらにスポイトで、予め100ccに“マイペット”(花王社製)2,3滴いれた界面活性剤希薄溶液を数滴(泡が立たない程度)いれ、超音波洗浄機で分散させた後、島津製作所社製レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて各粒子径区間における粒子量(%)をプロットし、その累積した分布曲線より、D50(平均粒径)を求めた。
参考例3 添加剤(篩にて42メッシュパスしたものを使用)
C−1:“PX−200”(大八化学工業社製粉末状芳香族縮合リン酸エステル、CAS No. 139189−30−3)。
C−2:“WH255”(共栄化学社製長鎖アルキル脂肪族系アミド基含有系化合物)。
実施例1〜3 比較例1〜8
参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2に示したフィラーをリボンブレンダーで表1および表2に示す量でブレンドし、スリットダイヘッド付きPCM30(2軸押出機;池貝鉄工社製)にて表1に示す樹脂温度で溶融混練を行い、塊状物を得た。ついでハンマーミル(蓬莱鐵工所社製)にて粉砕し、さらに参考例3の添加剤を表1および表2に示す量でヘンシェルミキサーでブレンドし、自動原料供給フィーダーを備えた月島機械社製ロータリー打錠機を用いて常温タブレット化により、6mm直径×3mm長の円柱状のタブレット(錠剤型樹脂組成物)(最大値6mm、最小値3mm)を得た。ついで130℃の熱風乾燥機で3時間乾燥した後、以下に示す評価を行った。
(1)熱伝導率
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用い、表1に示す樹脂温度、金型温度の温度条件で、50mm×50mm×厚さ3mmの角形成形品(フィルムゲート)を成形し、この成形品の両表面を深さ0.5mm切削して厚さ2mmの試験片としたものを用いてレーザーフラッシュ法定数測定装置(リガク社製LF/TCM-FA8510B)により熱伝導率を測定した。
(2)寸法安定性(線膨張率)
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて表1に示す樹脂温度、金型温度で80mm×80mm×2mm厚の試験片を作成し、成形品の中央部から流れ方向に長さ10mm×幅1mm×2mm厚の角柱成形品を切り出し、TMA(セイコー電子社製)を用い、30℃〜200℃(5℃/分)で測定した。
(3)接着強度
ASTM1号引張試験片を成形した後、2等分し、接着面積が50mm2となるようにスペーサ(厚さ1.8〜2.2mm)およびエポキシ樹脂(長瀬チバ(株)製、2液型エポキシ樹脂、XNR5002)を挟んで固定し硬化させた。なお、接着面に関しては、Ar/Oガス中でプラズマ処理(JP−170、日本電子データム社製)を行った。このサンプルを歪み速度1mm/分、支点間距離80mmの条件で引張強度を測定し、強度の最大値をエポキシ接着強度とした。
(4)セルフタッピング性
住友SG−75 MIII(住友重機械社製)を用いて表1および表2に示す樹脂温度、金型温度で光学部品用スライドベース成形品(内径1.2mm径のネジ穴を2箇所備えた30mm×30mm×3mm厚の平板状の外周に高さ5mm×厚み1mmのたて壁付きの成形品)を成形し、傘型トルクドライバーで(中村製作所社製”カノン空転式トルクドライバー”1.5LTDK)により、タッピングネジ(BIT SPH1.0×3.0荒先)を成形品の穴に挿入し、ネジバカトルク(成形品内部が破損し、空転するトルクの最小値)とネジの締め付けに最低必要なトルクの差を評価した。
(5)ロックウエル硬さ
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて表1に示す樹脂温度、金型温度で80mm×80mm×2mm厚の試験片を作成し、ASTM D785に従い、硬度計(松沢精機社製、DRH−FA)により、Mスケールのロックウエル硬さを評価した。
(6)摩耗性
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて表2に示す樹脂温度、金型温度で固定側に7mmφの貫通孔を有する厚み3mmのアルミ製入れ子を挿入した8mmφ×20mm長の丸棒(ダイレクトゲート)の金型にて、成形の際のアルミの摩耗量を測定した。
Figure 0004973114
Figure 0004973114
表1の結果から明らかなように本発明の樹脂組成物は、熱伝導率と寸法安定性を両立したまま、さらに他素材との複合化に必要な接着強度およびセルフタッピング性に優れていることがわかる。さらに用いるフィラーを表面被覆することで特性を保持しつつ、加工性を向上することがわかる。また、溶融成形可能であるため、直接成形することも可能であり、これによれば生産性を大幅に向上させることが可能となる。

Claims (8)

  1. (A)ポリアリーレンスルフィド樹脂5〜40重量%および(B)フィラー95〜60重量%を含む樹脂組成物であって、(B)フィラー全量(100重量%)に対してモース硬度6以上のフィラーを25〜55重量%含み、前記モース硬度6以上のフィラー表面にケイ素および/またはアルミニウムならびにモース硬度6以上のフィラー成分との複酸化物を含む被覆層を有し、かつレーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が2W/mK以上である樹脂組成物。
  2. モース硬度6以上のフィラーがアルミナ、窒化アルミニウム、および窒化ホウ素から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. モース硬度6以上フィラーの平均粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. さらに(C)脂肪酸金属塩、エステル系化合物、アミド基含有化合物、エポキシ系化合物、およびリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の化合物を(A)および(B)の合計量100重量部に対して0.5〜10重量部添加してなる請求項1〜3のいずれか記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の樹脂組成物からなる錠剤を製造する際に
    (イ)(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂
    (ロ)(B)フィラー
    および必要に応じて
    (ハ)(C)脂肪酸金属塩、エステル系化合物、アミド基含有化合物、エポキシ系化合物、およびリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の化合物
    (ニ)(A)〜(C)成分から選択される2種以上であって、(A)または(B)成分を必須とする成分を溶融混練してなる組成物の塊状物および粉体
    を圧縮成形することを特徴とする錠剤の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか記載の樹脂組成物または、請求項5記載の製造方法で得られた錠剤を溶融成形してなる成形品。
  7. 成形品のロックウエル硬さがMスケールで100以上であることを特徴とする請求項6記載の成形品。
  8. 請求項6または7記載の成形品を含む複合成形品であって、他の素材または同じ素材との接着面を有することを特徴とする複合成形品。
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