JPH1095918A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物

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JPH1095918A
JPH1095918A JP25281696A JP25281696A JPH1095918A JP H1095918 A JPH1095918 A JP H1095918A JP 25281696 A JP25281696 A JP 25281696A JP 25281696 A JP25281696 A JP 25281696A JP H1095918 A JPH1095918 A JP H1095918A
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JP
Japan
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polyarylene sulfide
sulfide resin
resin composition
silica
zinc oxide
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JP25281696A
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English (en)
Inventor
Masaya Tsubokawa
雅也 坪川
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形時の流動性が良好で、機械的強度にも優
れ、かつ線膨張係数及び異方性が小さく、さらに耐湿寸
法安定性に優れた、光通信機器等の部品や電気・電子関
連機器用として好適なポリアリーレンスルフィド樹脂組
成物を提供する。 【解決手段】 樹脂温度300℃における溶融粘度が1
000ポイズ以下であり、かつ残存ナトリウム量が50
0ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂
(A),表面処理されたシリカ(B)、及び3次元構造
を有する酸化亜鉛ウィスカ−(C)とを含有してなり、
その配合割合(重量%)が、A:B+C=15〜30:
85〜70、及び0<C≦25を満たすものであること
を特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアリーレンスル
フィド樹脂(以下PASということがある)組成物に関
する。さらに詳しくは光通信機器等の部品や電気・電子
関連機器に有効に用いられるPAS組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱
性,難燃性及び剛性等の機械的物性に優れたエンジニア
リングプラスチックであり、電気部品,機械部品,自動
車部品等の用途に供されている。しかし、これらの用途
に供するにあたっては、さらなる機械的強度の向上を目
的として、通常ガラス繊維や炭素繊維等により強化され
る場合が多いが、ガラス繊維や炭素繊維を含むと、PA
Sの成形において異方性が生じ、高い真円度や平面性が
要求される用途には使用できないという問題がある。
【0003】このような問題に対し、粒状フィラーを添
加することが通常行われるが、この場合、寸法精度は向
上するものの、流動性が低下するため成形性が悪くなっ
たり、成形品の機械的強度が低下するという欠点があ
る。また、チタン酸カリウムを添加することも提案され
ているが(特開昭61−403579号)、この場合、
機械的強度は向上するものの、チタン酸カリウム自体、
棒状構造をもつものであるため、成形品に異方性が生じ
ることが避けられない。さらには、酸化亜鉛ウィスカに
繊維状充填剤等を添加することも提案されているが、こ
れらの組み合わせにおいては、線膨張係数を低下させる
ことができず、また材料の吸湿性により、寸法変化率を
低下させることができない等の問題があり、例えば、光
電送関連部品等のように、特に寸法精度(耐環境寸法安
定性)が要求される用途には、十分に満足のいくものと
はいえなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題
に鑑みなされたものであり、成形時の流動性が良好で、
機械的強度にも優れ、かつ線膨張係数及び異方性が小さ
く、さらに耐湿寸法安定性に優れた、光通信機器等の部
品や電気・電子関連機器用として好適なポリアリーレン
スルフィド樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、特定の組成をもつポリアリーレンスルフィド
樹脂組成物により、上記目的が達成されることを見出し
た。本発明はかかる知見に基づいてなされたものであ
る。すなわち、本発明は、樹脂温度300℃における溶
融粘度が1000ポイズ以下であり、かつ残存ナトリウ
ム量が500ppm以下であるポリアリーレンスルフィ
ド樹脂(A),表面処理されたシリカ(B)、及び3次
元構造を有する酸化亜鉛ウィスカ−(C)とを含有して
なり、その配合割合(重量%)が、A:B+C=15〜
30:85〜70、及び0<C≦25を満たすものであ
ることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成
物を提供するものである。
【0006】またその好ましい態様として、前記表面処
理されたシリカ(B)、及び3次元構造を有する酸化亜
鉛ウィスカ−(C)が、シランカップリング剤で表面処
理されたものであり、また、前記表面処理されたシリカ
(B)が、その平均粒径が50μm以下の溶融シリカお
よび/または結晶シリカであるポリアリーレンスルフィ
ド樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリアリーレンス
ルフィド樹脂組成物を各成分ごとに具体的に説明する。 1.ポリアリーレンスルフィド樹脂(A) 本発明に用いられるポリアリーレンスルフィド樹脂
(A)としては、一般式−(Ar−S−)n −で表わさ
れるそれ自体公知の化合物を挙げることができ、特に制
限はなく、直鎖型,分岐型及び、未架橋または一部架橋
したもののいずれでも使用することができる。ここで−
Ar−は、例えば下記の[化1]で示されるところの、
少なくとも一つの炭素6員環を含む2価の芳香族残基で
あり、さらに各芳香環に、F,Cl,Br等のハロゲン
原子などの原子、または、メチル基等のアルキル基,ニ
トロ基,カルボン酸/金属塩,アミノ基,フェニル基等
の置換基が導入されたものであってもよい。
【0008】
【化1】
【0009】(Ph−S−)で表される構造単位、特に
フェニル基のパラ位に硫黄原子が結合したものを70モ
ル%以上含むものが好ましい。PAS樹脂(A)の溶融
粘度としては、樹脂温度が300℃において、1000
ポイズ以下、好ましくは500ポイズ以下である。10
00ポイズを超える場合、流動性が低下し、押出混練時
に増粘し、押出が不能になるおそれがある。また、PA
S樹脂(A)中に残存するナトリウム量が500ppm
以下、好ましくは200ppm以下である。500pp
mをこえる場合、吸湿が大きくなり、耐湿寸法安定性が
悪くなる。 2.シリカ(B) 本発明におけるシリカ(B)としては、溶融シリカまた
は結晶シリカのいずれであってもよくその両方を混合し
たものであってもよい。シリカ(B)は、カップリング
剤、好ましくはアミノシラン,ビニルシラン,フェニル
シラン,エポキシシラン、その他のシラン系カップリン
グ剤等により表面処理が施されたものである。表面処理
が施されていないものを用いた場合、成形品の機械的強
度の低下や吸湿が大きくなり、耐湿寸法安定性が悪くな
る。
【0010】シリカ(B)の平均粒径としては50μm
以下であることが好ましい。平均粒径が50μmを超え
ると成形品の機械的強度を低下させることがある。 3.3次元構造を有する酸化亜鉛ウィスカ−(C) 本発明における3次元構造を有する酸化亜鉛ウィスカ−
(C)とは、核部とこの核部から異なる複数軸方向に伸
びた針状結晶部とからなるものをいい、前記針状結晶部
の基部の径が0.3〜14μmであり、基部から先端まで
の長さが3〜200μmであるものが好ましく用いられ
る。本発明で用いる3次元構造を有する酸化亜鉛ウィス
カ−(C)は、PASとの結合力を向上させるため、シ
ラン系カップリング剤等により表面処理が施されたもの
が好ましい。表面処理が施されていないものを用いた場
合、成形品の機械的強度の低下や吸湿が大きくなり、耐
湿寸法安定性が悪くなることがある。 4.各成分の配合割合 PAS樹脂(A)の配合割合としては、シリカ(B)と
酸化亜鉛ウィスカ−(C)の合計量(B+C)との和に
対して15〜30重量%であり、好ましくは20〜30
重量%、さらには20〜25重量%であることが特に好
ましい。
【0011】15重量%より少ないと流動性が悪くな
り、混練時に増粘し、押出が不能になるおそれがある。
30重量%より多いと成形品の線膨張係数及び異方性が
大きくなり、寸法安定性が悪くなる。酸化亜鉛ウィスカ
−(C)の配合割合としては、(A+B+C)の和で表
されるPAS樹脂組成物に対して25重量%以下であ
り、20重量%以下が好ましい。25重量%を超えると
流動性が悪くなり、混練時に増粘し、押出が不能になる
おそれがある。また、少なくとも5重量%以上、好まし
くは10重量%配合されていることが好ましい。 5.その他の成分 本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物には、前
記各成分の他に、必要に応じてこの発明の目的を阻害し
ない範囲で、その他の成分を添加・配合してもよい。そ
の他の成分としては、例えば無機フィラー,酸化防止
剤,熱安定剤,滑剤,着色剤,可塑剤等の各種の添加
剤、ポリアミド,エポキシ樹脂,シリコーン樹脂,シリ
コーンオイル,種々の官能基を導入したシリコーンオイ
ル,ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂および/または熱
硬化性樹脂、水素添加SBS,水素添加NBR,シリコ
ーンゴム、フッ素ゴム等のゴム類、顔料等を挙げること
ができる。その他の成分の含有量は、この発明の目的を
害しない範囲において適宜選択することができる。 6.ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の調製 本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、前記
PAS樹脂(A)と前記シリカ(B)と前記酸化亜鉛ウ
ィスカ−(C)と、必要に応じて選択されたその他の成
分とを配合し、これを、例えば溶融混練することによっ
て調製することができる。
【0012】前記溶融混練は、通常の公知の方法によっ
て行なうことができるが、いずれにしても、その際、前
記各成分を樹脂中に均一に混合・分散させることによ
り、所定の樹脂組成物とする。前記溶融混練には、通常
二軸押出機、単軸押出機等を好適に用いることができ
る。
【0013】前記溶融混練の条件としては、特に制限は
ないが、必要に応じて添加されるその他の成分の分解あ
るいは発泡を制限するために、極端な高温度や極端に長
い滞留時間を避けるのが好ましい。具体的な温度として
は、通常280〜350℃であり、285〜330℃が
好ましい。このようにして、調製されたポリアリーレン
スルフィド樹脂組成物は、通常、ペレット等の二次加工
用材料、特に金型成形用材料や射出成形用材料として好
適な形状・サイズに造粒または切断されて適宜各用途に
供される。
【0014】
【実施例】以下、本発明のポリアリーレンスルフィド樹
脂組成物を実施例によってさらに具体的に説明する。 [実施例1〜4,比較例1〜7] <サンプルの調製>二軸押出機(東芝機械製 TEM3
5)を用い、第1表に示す配合割合で、以下に示すポリ
フェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)と他の成分と
をヘンシェルミキサーを用いて均一に混合した後、樹脂
温度320℃で溶融混合してペレットを製造した。 <PPS1の調製>攪拌機を備えた重合槽に含水硫化ナ
トリウム(Na2S5H2O)833モル塩化リチウム
(LiCl)830モルとNMP500リットルをいれ
て減圧下で145℃に保ちながら1時間脱水処理をし
た。ついで反応系を45℃に冷却後ジクロルベンゼン
(DCB)905モルをいれて260℃で3時間重合し
た。内容物を熱水で5回、170℃のN−メチル−2−
ピロリドン(NMP)で1回、水で3回洗い185℃で
乾燥してPPS1を得た。得られたPPS1の300℃
での溶融粘度は100ポイズ、ナトリウム含有量は90
ppmであった。 <PPS2〜6の調製>上記PPS1の調製において、
重合時間及び洗浄回数を変えることにより、PPS2〜
6を調製した。
【0015】PPS2〜6の溶融粘度と,残存ナトリウ
ム量は次のとおりである。 PPS2: 溶融粘度 520ポイズ, 残存ナトリウム 1
80 ppm PPS3: 溶融粘度 2000 ポイズ,残存ナトリウム 1
90 ppm PPS4: 溶融粘度 110ポイズ, 残存ナトリウム 1
100 ppm PPS5: 溶融粘度 150ポイズ, 残存ナトリウム 3
80 ppm PPS6: 溶融粘度 130ポイズ, 残存ナトリウム 6
70 ppm <PAS樹脂に配合した他の成分> ・シリカ1:電気化学工業社製の溶融シリカ(商品名
FB74,平均粒径31. 5μm)の表面をビニルシラ
ンで処理したもの ・シリカ2:電気化学工業社製の溶融シリカ(商品名
FB74,平均粒径31. 5μm)の表面をビニルシラ
ンで処理していないもの ・酸化亜鉛ウィスカ−:松下アムテック社製の3次元構
造を有する酸化亜鉛ウィスカ−(商品名パナテトラ)の
表面をビニルシランで処理したもの <物性評価> ・溶融粘度: 島津フローテスター(CFT−500
型)を用いて、以下の条件で3回測定し、その平均値を
とった。
【0016】 用いた試料量 1.5g, 温度 300±0.2℃ 予熱時間 360秒, 荷重 20kgf ダイ径 1.0mm ダイ長さ 10mm ピストンストローク 3〜7mm ・残存ナトリウム量 試料0.1gをとり、濃硫酸0.3gを用いて硫酸灰化
法により700℃にて40分間加熱し灰化後、1.2N希
塩酸10ccに溶解後、原子吸光光度計にてナトリウム
イオン濃度量を3回測定した。その平均値をNa2Oに
換算して、試料中の残存ナトリウム量とした。 ・曲げ強度 50t射出成形機(日本製鋼所製)を用い、金型温度1
35℃で試験片を作製し、ASTM D790準拠して
測定した。 ・スパイラルフロー長さ 30t射出成形機(東芝機械製)を用い、射出圧力1,0
00kg/cm2 金型温度135℃で1mm厚みの試験片を作製し、その
流動長を測定した。 ・線膨張係数 上記作製した曲げ強度試験用片から、12mm×8mm
×3.2mmのサンプルをMD,TD方向で各々切り出
し、TMA法にて測定した。5℃/分で昇温し、0〜5
0℃の温度範囲において測定した。 ・耐湿性 長さ15mm,外径10mm,内径8mmの円筒状の成
形品を作製し、23℃でデシケーター中に24時間放置
後、内径寸法を測定した。次に、この成形品を85℃,
85%RHの環境下に1000時間曝した後に、寸法を
測定し、両者の差を求めた。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】以上の実施例および比較例から下記のこと
がわかった。比較例1では、溶融粘度の高いPASを用
いているため、流動性が悪く、寸法評価用試験用片の作
製ができなかった。比較例2では、PASの配合量が少
ないため、押出混練時に増粘し、曲げ試験用片及び寸法
評価用試験用片の作製ができなかった。
【0021】比較例3では、酸化亜鉛ウィスカの配合量
が多いため、押出混練時に増粘し、曲げ試験用片及び寸
法評価用試験用片の作製ができなかった。比較例4で
は、残存ナトリウム量の多いPASを用いたため、寸法
変化が大きくなった。比較例5では、表面処理が施され
ていないシリカを用いたため、曲げ強度が低く、寸法変
化も大きくなった。
【0022】比較例6では、PASの配合量が多いた
め、寸法変化が大きくなった。比較例7では、残存ナト
リウム量の多いPASを用いたため、寸法変化が大きく
なった。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、成形時の流動性が
良好で、機械的強度にも優れ、かつ線膨張係数及び異方
性が小さく、さらに耐湿寸法安定性に優れた、光通信機
器等の部品や電気・電子関連機器用として好適なポリア
リーレンスルフィド樹脂組成物を提供することができ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂温度300℃における溶融粘度が1
    000ポイズ以下であり、かつ残存ナトリウム量が50
    0ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂
    (A),表面処理されたシリカ(B)、及び3次元構造
    を有する酸化亜鉛ウィスカ−(C)とを含有してなり、
    その配合割合(重量%)が、A:B+C=15〜30:
    85〜70、及び0<C≦25を満たすものであること
    を特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記表面処理されたシリカ(B)、及び
    3次元構造を有する酸化亜鉛ウィスカ−(C)が、シラ
    ンカップリング剤で表面処理されたものであることを特
    徴とする請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記表面処理されたシリカ(B)が、そ
    の平均粒径が50μm以下の溶融シリカおよび/または
    結晶シリカであることを特徴とする請求項1又は2記載
    のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
JP25281696A 1996-09-25 1996-09-25 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 Pending JPH1095918A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6534124B2 (en) 1999-02-22 2003-03-18 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Method of producing the plated molded articles by non-electrode plating, and the resin compositions for that use
EP1065246A4 (en) * 1999-01-14 2003-04-16 Idemitsu Petrochemical Co Polyarylene sulfide resin composition
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