JPH10130412A - 成形用無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シート - Google Patents

成形用無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シート

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JPH10130412A
JPH10130412A JP8303828A JP30382896A JPH10130412A JP H10130412 A JPH10130412 A JP H10130412A JP 8303828 A JP8303828 A JP 8303828A JP 30382896 A JP30382896 A JP 30382896A JP H10130412 A JPH10130412 A JP H10130412A
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resin
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foamed
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形用無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シート
の剛性等の物性を向上させるとともに、成形性や、発泡
シート自体の外観、更には得られる成形品の外観等が、
従来品に比べてより優れたものとなるようにする。 【解決手段】密度0.09〜0.4g/cm3 、厚さ
0.5〜8mm、独立気泡率70%以上の成形用無架橋
ポリプロピレン系樹脂発泡シートにおいて、該シートの
気泡形状が下記(1)〜(3)式を満足するようにす
る。 0.35<A/B<0.65 ・・・(1) 0.35<A/C<0.65 ・・・(2) 0.10< A ≦0.4 ・・・(3) 〔但し、式中A、B、Cのそれぞれは、発泡シートの厚
み方向、押出方向(MD方向)、幅方向(TD方向)に
おける平均気泡径であり、その単位はmmである。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成形用無架橋ポリプ
ロピレン系樹脂発泡シートに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、特定のポリプロピレン系樹脂を用いた高密度から低
密度の発泡体が得られている。そのなかでも密度0.0
9g/cm3 以上の発泡シートは、主に成形用発泡シー
トとして使用されており、このような成形用の発泡シー
トには印刷適性や、得られる成形品の外観の美しさが要
求される。
【0003】しかしながら、これまで知られているポリ
プロピレン系樹脂発泡シートは、成形用発泡シートの大
部分を占めるポリスチレン系樹脂等からなる発泡シート
と比較して気泡がやや粗く外観に難があるという欠点が
あった。しかも、ポリプロピレン系樹脂はポリスチレン
系樹脂等と比べて発泡時の溶融粘性が低いため、外観良
化のために気泡を細かくしていくと高い独立気泡率を維
持することができず、また、シートの厚み方向の気泡径
は小さくなるものの、気泡形状がシートの厚み方向に短
い扁平な楕円状となり剛性の不十分なシートとなってし
まうという問題を有していた。
【0004】更に、ポリプロピレン系樹脂を用いて発泡
シートを得るにあたり、発泡シートは環状ダイスから円
筒状に押出発泡され、マンドレルと称される円柱状冷却
装置の円柱側面上を通過させ、その後、円筒状の発泡体
をシート状に切り開くことにより製造するのが一般的で
あるが、その際、発泡シートの気泡を細かくしようとす
ると、発泡速度が速くなり環状ダイスから押し出された
樹脂は、急激に三次元的に発泡が起こり、ダイス径より
も大きな径を有する円筒状の発泡体となる。そこで、ダ
イス径と円筒状発泡体の径との差により、あたかもギャ
ザースカートのように円筒状発泡体がダイスにより絞ら
れたように発泡体押出方向に流れる多数本のシワが円筒
状発泡体の周面に発生し(このシワをコルーゲートと称
する)、これに起因するシートの厚みムラや気泡の不均
一性がシートの幅方向に生じてしまうという問題もあっ
た。また、押出機の環状ダイスを支える二次ブレーカー
の柱が樹脂の流路に位置してこの二次ブレーカーにより
押出機内で樹脂が遮られてしまうため、その部分の厚み
が出にくく発泡シートに厚みムラが生じてしまうという
問題もあり(この厚みムラをブレーカーマークと称す
る)、これも発泡シートの幅方向の厚みの均一性を阻害
する一因となっていた。そして、このようなコルゲート
やブレーカーマークによりシートの幅方向に不均一な性
状を持つ発泡シートを熱成形すると、厚みの薄い部分が
特に伸ばされて成形されるため、得られる成形品は外観
や剛性に欠けるものとなっていた。
【0005】ところで、上記のようなブレーカーマーク
を解決するために、本出願人は特開平5−338055
号にて、二次ブレーカーの下流側のダイス内の一部に絞
りを設ける方法を採用した。しかしながら、このような
ダイス内の絞りはダイス部の圧力を上昇させるため、押
出機からの樹脂の吐出量を一定の範囲に制限する必要が
あった。このため、ポリプロピレン系樹脂を用いて発泡
シートを得るには、押出機からの樹脂の吐出量を一定の
範囲に押さえる必要があり、また、コルゲートの対策が
不十分であるため、気泡を細かくすることが難しく、こ
のような制限下で得られたポリプロピレン系樹脂発泡シ
ートは、汎用されている成形用発泡シートと比較する
と、印刷適性や外観の美しさについては未だ十分に満足
できるものではなく、また、生産性についても改善の余
地が残されていた。
【0006】そこで本発明者らは鋭意研究を重ねた結
果、特定の押出条件と特定の構造のダイスを採用するこ
とで、気泡が細かく、外観や剛性にも優れるポリプロピ
レン系樹脂発泡シートを得ることができ、特にこのよう
なポリプロピレン系樹脂発泡シートにおいて、その密
度、厚さ、独立気泡率を特定するとともに、気泡形状も
特定の形状となるようにすることによって発泡シートの
剛性等の物性が向上し、成形性や、発泡シート自体の外
観、更には得られる成形品の外観等も、従来より知られ
ているポリプロピレン系樹脂発泡シートに比べてより優
れたものとなることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、 密度0.09〜0.4g/cm3 、厚さ0.5〜8
mm、独立気泡率70%以上の成形用無架橋ポリプロピ
レン系樹脂発泡シートであり、気泡形状が下記(1)〜
(3)式を満足することを特徴とする成形用無架橋ポリ
プロピレン系樹脂発泡シート。 0.35<A/B<0.65 ・・・(1) 0.35<A/C<0.65 ・・・(2) 0.10< A ≦0.4 ・・・(3) 〔但し、式中A、B、Cのそれぞれは、発泡シートの厚
み方向、押出方向(MD方向)、幅方向(TD方向)に
おける平均気泡径であり、その単位はmmである。〕 発泡シートの表面から該シートの全厚みの25%以
内の表層部に存在する気泡について、発泡シートの厚み
方向、押出方向(MD方向)、幅方向(TD方向)にお
ける平均気泡径をそれぞれA1、B1、C1とし、且つ
発泡シートの表面から該シートの全厚みの25%を越え
る内層部に存在する気泡について、発泡シートの厚み方
向、押出方向(MD方向)、幅方向(TD方向)におけ
る平均気泡径をそれぞれA2、B2、C2としたとき
に、下記(4)〜(6)式を満足する上記記載の成形
用無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シート。 0.8<A1/A2≦1.2 ・・・(4) 0.8<B1/B2≦1.2 ・・・(5) 0.8<C1/C2≦1.2 ・・・(6) 発泡シートの幅方向(TD方向)に沿って厚みを測
定したときに、幅方向(TD方向)にわたって一方の片
側端部から他方の片側端部へ100mmの間隔で区画さ
れるそれぞれの範囲内での最大厚み(Tm )と最小厚み
(Tl )との比(Tl /Tm )が0.90以上である上
記又は記載の成形用無架橋ポリプロピレン系樹脂発
泡シート。 少なくとも片面に、厚さ200μm以下の無機フィ
ラー含有量5〜70重量%の樹脂シートを積層してなる
上記、又は記載の成形用無架橋ポリプロピレン系
樹脂発泡シート。を要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき詳細
に説明する。
【0009】図1(a)は本発明成形用無架橋ポリプロ
ピレン系樹脂発泡シートの押出方向(以下、MD方向と
いう)に沿う厚み方向断面、図1(b)は本発明成形用
無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シートの幅方向(以
下、TD方向という)に沿う厚み方向断面を、それぞれ
表す、顕微鏡拡大写真に基づく模式図であり、本発明発
泡シートの気泡形状について説明するための図である。
【0010】図中、1は本発明発泡シート、2は気泡を
表す。また、a(a1 、a2 、a3、・・・、an )は
各々気泡2の発泡シート1の厚み方向の径、b(b1
2、b3 、・・・、bn )は各々気泡2の発泡シート
1のMD方向の径、c(c1、c2 、c3 、・・・、c
n )は各々気泡2の発泡シート1のTD方向の径をそれ
ぞれ表す。
【0011】本発明において、MD方向とは、発泡シー
ト1を押出機を用いて得る場合の樹脂の押し出される方
向をいい、TD方向とは、押出方向に対して幅なりの方
向をいう。また、発泡シート1の厚み方向、MD方向、
TD方向は、それぞれ互いに直交する。
【0012】本発明発泡シート1は、aの平均である
〔(a1 +a2 +a3 +・・・+an)/n〕をAと置
き換え、bの平均である〔(b1 +b2 +b3 +・・・
+bn)/n〕をBと置き換え、cの平均である〔(c
1 +c2 +c3 +・・・+cn)/n〕をCと置き換え
て表したときに(但し、平均気泡径A、B、Cは任意の
50以上(n≧50)の気泡についての平均値であり、
A、B、Cの単位はmmとする)、A、B、Cが下記
(1)〜(3)式を満足する気泡形状を有する。 0.35<A/B<0.65 ・・・(1) 0.35<A/C<0.65 ・・・(2) 0.10< A ≦0.40 ・・・(3)
【0013】このときA/B、A/Cの少なくともいず
れか一方が0.35以下であると、発泡シート1の剛性
が不十分となってしまい、A/B、A/Cの少なくとも
いずれか一方が0.65以上であるような発泡シート
は、気泡の断面形状が円に近いものは気泡形状としては
理想的でバランスのとれた機械的物性が期待できるが、
平均気泡径Aが上記(3)式の範囲内で気泡断面形状が
円に近い発泡シートを得ようとする場合、樹脂の発泡温
度、気泡調整剤の添加量を調整すると、コルゲートや厚
みムラが発生し、成形性にも劣るものとなってしまう。
また、Aが0.1以下となると、発泡シート1の独立気
泡率を70%以上に維持するのが困難となり、発泡シー
トの二次発泡性が低下して成形性が悪化し、また、剛性
等の機械的物性も低くなる。Aが0.4を超えるものは
気泡が粗く発泡シート1の外観が悪化してしまうという
不具合が生じる。本発明において、A/B、A/Cのそ
れぞれの好ましいい範囲は、0.45<A/B<0.5
5、0.45<A/C<0.55である。また、Aの好
ましい範囲は0.15<A<0.3である。
【0014】本発明においては、気泡2の各々において
は、必ずしも上記条件式を満足する必要はない。即ち例
えば、必ずしも0.35<a1 /b1 <0.65、0.
35<a1 /c1 <0.65、0.10<a1 ≦0.4
0である必要はない。また、本発明においては、各気泡
2ごとの、〔(発泡シート1の厚み方向の径)/(発泡
シート1のMD方向の径)〕の値の、全気泡の平均値
が、0.35よりも大きく0.65よりも小さいという
ものでもなく、また各気泡2ごとの、〔(発泡シート1
の厚み方向の径)/(発泡シート1のTD方向の径)〕
の値の、全気泡の平均値が、0.35よりも大きく0.
65よりも小さいというものでもない。即ち、0.35
<〔(a1 /b1 )+(a2 /b2 )+(a3 /b3
+・・・+(an /bn )〕/n<0.65ではなく、
また、0.35<〔(a1 /c1 )+(a2 /c2 )+
(a3 /c3 )+・・・+(an /cn )〕/n<0.
65ではない。
【0015】尚、各気泡のa1 ,a2 ,a3 ・・・・・
n 、b1 ,b2 ,b3 ・・・・・bn 、c1 ,c2
3 ・・・・・cn (nは50以上)の値は、図2に示
すような、厚み方向、MD方向、又はTD方向の、各気
泡に対する接線の最大接線間隔を採用するものとする。
また、各気泡2の厚み方向、MD方向、TD方向のそれ
ぞれの径は、例えば、発泡シート1のMD方向に沿う厚
み方向断面、及び発泡シート1のTD方向に沿う厚み方
向断面のそれぞれの顕微鏡拡大写真を得、得られた写真
をもとに求めることができる。
【0016】更に本発明では、図1に示すように発泡シ
ート1の両表面S、Sの各々から該シート1の全厚みT
の25%以内の0.25Tの厚みの部分を表層部Ts、
Tsとし、発泡シート1の両表面S、Sの各々から該シ
ート1の全厚みTの25%を超える0.5Tの厚みの部
分を内層部Tiとしたときに、表層部Ts、Tsと内層
部Tiのそれぞれに存在する気泡について別々に、前述
したのと同様にして平均気泡径を求め、表層部Tsに存
在する気泡について、発泡シート1の厚み方向、MD方
向、TD方向における平均気泡径をそれぞれA1、B
1、C1とし、且つ内層部Tiに存在する気泡につい
て、発泡シート1の厚み方向、MD方向、TD方向にお
ける平均気泡径をそれぞれA2、B2、C2としたとき
に、A1、B1、C1、A2、B2、C2が、下記
(4)〜(6)式を満足する気泡形状を有しているのが
好ましい。 0.8<A1/A2≦1.2 ・・・(4) 0.8<B1/B2≦1.2 ・・・(5) 0.8<C1/C2≦1.2 ・・・(6)
【0017】尚、本発明において、図1における気泡2
0 のように、発泡シート1の両表面S、Sの各々から発
泡シート1の全厚みTの各々25%の位置上、即ち表層
部Tsと内層部Tiとに跨がって気泡が存在する場合、
気泡20 の断面積の50%を超える部分が表層部Ts側
に位置すれば、この気泡は表層部Tsに存在するものと
し、気泡20 の断面積の50%を超える部分が内層部T
i側に位置すれば、この気泡は内層部Tiに存在するも
のとする。
【0018】上記(4)〜(6)式を満足する気泡形状
を有する発泡シート1は、発泡シート1の表層部Tsと
内層部Tiとで気泡形状にバラツキが少なく、発泡シー
ト1の厚み方向に気泡が均一となり、より成形性に優れ
たものとなる。また、発泡シート1の厚み方向に気泡が
均一であれば、発泡シート1の剛性がよりいっそう向上
する。これに対して、上記(4)〜(6)式を満たさな
いものは、表層部Tsに存在する気泡が、内層部Tiに
存在する気泡に比べて横偏平となっていたり、イレギュ
ラー的に小さい気泡が多く混在するというように、表層
部Tsと内層部Tiとでの気泡形状にバラツキが多く、
発泡シート1の厚み方向における気泡の均一性が損なわ
れ、このような発泡シートは、熱成形時にシートの表面
ヤケが発生し易くなってしまう。本発明では、A1/A
2、B1/B2、C1/C2のそれぞれは、0.82<
A1/A2≦1.10、0.82<B1/B2≦1.1
0、0.82<C1/C2≦1.10の範囲にあるのが
より好ましく、特に好ましくは0.84<A1/A2≦
1.05、0.84<B1/B2≦1.05、0.84
<C1/C2≦1.05である。
【0019】本発明の成形用ポリプロピレン系樹脂発泡
シート1は、密度0.09〜0.4g/cm3 、厚さ
0.5〜8mm、独立気泡率70%以上である。本発明
において、発泡シート1の密度が0.09g/cm3
満であると、保形性に乏しく曲がり易いため充分な剛性
が得られない。また密度が0.4g/cm3 を超えると
剛性が強すぎて緩衝性に劣るものとなると共に、断熱性
に劣るものとなってしまう。
【0020】特に本発明において、発泡シート1の密度
は、0.11〜0.3g/cm3 であるのが好ましい。
この範囲であれば、剛性と緩衝性とのバランスがとれ、
発泡シートとしての使用に好適な充分な剛性と、適度な
緩衝性及び成形性等の良好な二次加工性を併せ持った発
泡シートとすることができる。
【0021】また、本発明において、発泡シート1の厚
さが0.5mmに満たないと、断熱性の点で好ましくな
く、8mmを超えると成形性の点で好ましくない。ま
た、独立気泡率が70%に満たないと、十分なシート剛
性得られなくなってしまう。本発明において、発泡シー
ト1の好ましい厚みは1.5〜3.0mmであり、独立
気泡率は75%以上であるのが好ましい。
【0022】本発明の発泡シート1は、特定の密度、厚
み、独立気泡率を有し、且つ気泡形状が前述した条件を
満足する、従来と比較して厚み方向に長く、より球形に
近い気泡形状となっているので、成形性に優れたもので
あるのみならず、高い剛性と優れた緩衝性を同時に備え
たものであると共に、外観、圧縮強度、曲げ強度に優れ
たものである。
【0023】また、本発明発泡シート1は、TD方向に
沿ってその厚みを測定したときに、図3に示すように一
方の片側端部から他方の片側端部へ100mmの間隔で
区画されるそれぞれの範囲α、β、γ、・・・に発泡シ
ート1をTD方向に区画し(但し、図3に示すように1
00mmに満たないあまりの部分ηは無視するものとす
る)、上記範囲α、β、γ、・・・のそれぞれでの発泡
シート1の最大厚み(Tm )と発泡シート1の最小厚み
(Tl )との比(Tl /Tm )が0.90以上、好まし
くは0.92以上となるように、厚みムラが少ないもの
であるのが好ましい。
【0024】100mm毎に区画された各範囲α、β、
γ、・・・における発泡シート1の最大厚み(Tm )と
発泡シート1の最小厚み(Tl )との比(Tl /Tm
が0.90未満となるような厚みムラがあると、熱成形
時にシートの薄い部分が、シートの厚い部分よりも弱い
ため局部的に伸ばされ、極端な場合には成形品に穴があ
いてしまったり、割れが生じてしまう等の不具合が生じ
易く、成形性に劣ったものとなってしまう。
【0025】本発明発泡シート1の基材樹脂には、無架
橋ポリプロピレン系樹脂が用いられる。該ポリプロピレ
ン系樹脂としては、プロピレンホモポリマー又はプロピ
レンと他のオレフィンとの共重合体が挙げられる。プロ
ピレンと共重合可能な他のオレフィンとしては、エチレ
ンや、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−
メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル
−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセ
ン等の炭素数4〜10のα−オレフィンが挙げられる。
上記共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック
共重合体であっても良く、更に二元系のみならず、三元
系共重合体であっても良い。また、これらのポリプロピ
レン系樹脂は、単独で用いるのみならず、2種以上を混
合して用いることもできる。
【0026】プロピレンと他のオレフィンとの共重合体
を基材樹脂として用いる場合、共重合体中にオレフィン
が25重量%以下、特に15重量%以下の割合で含有さ
れているのが好ましい。共重合体中のオレフィン含有量
の好ましい下限値は、1重量%である。
【0027】尚、本発明でいう無架橋とは、過酸化物、
放射線による微架橋も含むものであり、ゲル分率で10
重量%未満のもの、好ましくは5重量%未満、特に好ま
しくは実質的に0重量%のものが挙げられる。また、ゲ
ル分率は、沸騰キシレン中で15時間抽出操作を行な
い、樹脂抽出残量の樹脂抽出前重量に対する100分率
として求められる。このゲル分率は0に近い程、環状ダ
イスからの押出発泡時、得られる発泡シートに樹脂の塊
の発生も少なくなり外観良化につながる。
【0028】また、ポリプロピレン系樹脂には、特開平
7−53797号公報に記載されているような、a)1
未満の枝分かれ指数と著しい歪み硬化伸び粘度とを有す
るか、又はb)z平均分子量が1.0×106 以上であ
るか、z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)
との比(Mz/Mw)が3.0以上であり且つ平衡コン
プライアンスJ0 が1.2×10-4cm2 /dyn以上
であるか、単位応力あたりの剪断歪み回復Sr/Sが毎
秒5×10-5cm2 /dyn以上である、上記a)又は
b)の通常は固体である高分子量のゲルのないプロピレ
ンポリマー材料を用いることもできる。
【0029】また、本発明で用いるポリプロピレン系樹
脂としては、c)ドローダウン性が60m/分以下とな
るような物性を示すものも挙げられる。より好ましいド
ローダウン性は30m/分以下であり、特に好ましくは
15m/分以下である。
【0030】ドローダウン性とは、図4に示す装置を用
いて、230℃に加熱した溶融プロピレン系樹脂をメル
トテンションテスターのノズル21(口径2.095m
m、長さ8mm)よりピストン押圧速度10mm/分
で、図中矢印方向に紐状に押出し、次いで該紐状物を上
記ノズルの下方に位置する張力検出プーリー22、その
上方に位置する送りロール23、24,24を通過させ
た後、捲取りロール25で捲取る一方で捲取りロールの
捲取り速度を徐々に増加させていって紐状物を切断さ
せ、この切断時における紐状物の捲取り速度をいうもの
とする。尚、図示する装置において、ノズル21とプー
リー22の間の距離L1 は250mm、プーリー22の
径Rは45mm、プーリー22と送りロール23の間の
距離L2 は90mm、送りロール23と24の間の距離
3 は45mm、送りロール24、24の接触面から送
りロール23の上面に延ばした接線の水平面に対する角
度θは40°である。
【0031】ドローダウン性が60m/分以下のプロピ
レン系樹脂は、通常の結晶性線状プロピレン系樹脂(通
常は、重量平均分子量100000以上)であって、し
かもその中にアタクチック分、又は/及びアイソタクチ
ックではあるが結晶していない成分を含む樹脂(以下、
この樹脂を“通常のプロピレン系樹脂”という)に対
し、低温分解型の過酸化物(分解温度:室温〜120℃
程度)を樹脂1kg当たり通常5〜50ミリモル添加し
て、120℃程度まで、好ましくは70〜105℃程度
に加熱して反応させ(通常、30〜120分間)、上記
通常のプロピレン系樹脂の主鎖にアタクチック又は/及
び結晶していないアイソタクチック成分を分岐鎖として
結合せしめる等の方法により得ることができる。
【0032】上記低温分解型の過酸化物としては、ジ
(s−ブチル)ペルオキシジカーボネート、ビス(2−
エトキシ)ペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシ
ルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオ
キシジカーボネート、ジ−n−ブチルペルオキシジカー
ボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、
t−ブチルペルオキシネオデカノアート、t−アミルペ
ルオキシネオデカノアート、t−ブチルペルオキシピバ
ラート等が例示される。
【0033】プロピレン系樹脂のドローダウン性は、長
鎖分岐の数や長さにより調整することができ、前述のよ
うにして得られたドローダウン性が60m/分以下のプ
ロピレン系樹脂は、主として主鎖の端部に長鎖分岐を有
する枝分かれ状構造を有すると考えられる。一般的にい
って、長鎖分岐の数が多いほど、また分岐の長さが長い
ほど、ドローダウン性を示す値は低下する傾向にある。
従って、所望のドローダウン性のポリプロピレン系樹脂
を得るには、これらのことを考慮して反応条件を設定す
る必要がある。長鎖分岐を持たないか、或いは分岐を持
っていても短かすぎるものや、又は、通常のプロピレン
系樹脂の場合には、ドローダウン性が60m/分を上回
ってしまう。
【0034】ドローダウン性が60m/分を上回る樹脂
を使用して押出発泡を行なって密度が0.09〜0.4
g/cm3 のシート状発泡体を得ようとすると、得られ
る発泡シートは表面凹凸が多いため製品としての見栄え
が悪く、また発泡シートの平滑性が損なわれるために二
次加工性や成形性を阻害する原因ともなり商品価値のな
いものとなってしまう。これは、ドローダウン性が60
m/分を上回るプロピレン系樹脂等にあっては、発泡剤
の混合量を増やしても、密度を0.45g/cm3 以下
にすることが困難で、また、発泡シート製造時の押出方
向の張力に対し、気泡膜の強度が耐えられないため、マ
ンドレル上でシートにTD方向に裂けが生じてしまう。
それを防ぐため、樹脂温度を下げると、樹脂の結晶化が
はじまり、発泡シート表面がウロコ状の凹凸となってし
まうからである。
【0035】或いは、本発明で用いるプロピレン系樹脂
は、d)230℃における樹脂の動的粘弾性測定によっ
て与えられる角周波数:ω(rad/sec.) と、貯蔵弾性
率:G´(dyn/cm2 ) との間に、ω=0.1〜1の範囲
において、下記近似式(7)に示す関係が成り立ち、式
中のα、βのそれぞれが、0<α≦1.00、好ましく
は0.70≦α≦1.00で、且つ3.65≦β≦4.
50、好ましくは3.85≦β≦4.35である動的粘
弾性挙動を示すものであっても良い。 logG´= α・logω + β ・・・・(7)
【0036】上記式(1)において、αはlogG´を
縦軸に、logωを横軸とする座標に、logω=−1
とその時のlogG´の値及び、logω=0とその時
のlogG´の値の2点をプロットすることにより求め
られる、式(7)で示される直線の傾きであり、βは式
(7)で示される直線がlogω=0の縦軸と交差する
切片を示す。図5に、上記式(7)において、αが1.
00でβが3.65の直線(符号aを附して示す。)、
αが1.00でβが4.50の直線(符号bを附して示
す。)をそれぞれ示す。
【0037】図5において、logωの値が大きい場
合、logG´で示される動的粘弾性挙動は弾性体の性
質の強い状態の樹脂の弾性率を表し、発泡工程中の押出
発泡直後の気泡形成時の樹脂の挙動に相当すると考えら
れる。一方、logωの値が小さい場合、logG´で
示される動的粘弾性挙動は粘性体の性質の強い状態の樹
脂の弾性率を表し、発泡工程中の前記気泡形成後の気泡
を維持するための樹脂の挙動に相当すると考えられる。
ポリプロピレン系樹脂の発泡においては押出発泡におけ
る気泡形成後の気泡を維持させるために、角周波数:ω
が1〜0.1(rad/sec.)に変化する際の貯蔵弾性率:
G´の値及び変化率の数値を採用し特定することで優れ
た発泡シート1を得ることができる。
【0038】角周波数と、貯蔵弾性率とが上記式(7)
に示す関係にある樹脂であっても、式(7)におけるα
が0以下の樹脂は確認できず、αが0.7未満の場合、
αが0に近づくに従って発泡時の気泡形成が難しくな
る。一方、αが1.00を超える樹脂の場合には低発泡
倍率の発泡体しか得られない。またβが3.65未満の
樹脂の場合には、得られる発泡体は独立気泡率が低く、
低発泡倍率の発泡体しか得られず、βが4.50を超え
る樹脂の場合には、得られる発泡体は溶融張力が強すぎ
るため表面凹凸が解消できず、仮りに発泡温度を高くし
ても気泡を維持することが難しく、結局表面状態の悪い
ものとなる。
【0039】また貯蔵弾性率:G´により代表される樹
脂の気泡形成・維持の挙動は、G´と同時に測定される
損失弾性率:G´´により、より確実に掌握できると考
えられる。つまり、G´の値が同じポリプロピレン系樹
脂であっても発泡工程における気泡形成・維持の挙動に
相違が見られることがある。樹脂の性質は弾性体の性質
(G´に相当)と、粘性体の性質(G´´に相当)との
組み合わせと考えることができる。このため、前述のよ
うにG´が同じ樹脂でありながら気泡形成・維持の挙動
に相違があるのは、損失弾性率:G´´が相違するため
であると思われ、G´´/G´で表されるtanδの値
に着目した結果、角周波数:ωが0.1〜1(rad/se
c.) の範囲内において、tanδの値が1.25〜3.
50、より好ましくは1.30〜2.70の間にある
と、外観、発泡倍率、独立気泡率の制御がより容易とな
り、優れた押出発泡シートを更に容易に製造することが
できる。
【0040】上記樹脂の動的粘弾性は、動的粘弾性試験
機(例えばレオメトリックスファーイースト株式会社製
の動的粘弾性試験機:SR200型等)によって、応力
制御方式により、線形領域内で測定される。例えば、線
形領域内での測定は応力を5000dyn/cm2 とする。
尚、応力制御方式での測定において、ポリプロピレン系
樹脂は最大周波数100rad/sec.まで測定を行う場合、
応力が2000〜50000dyn/cm2 であれば線形領域
内となる。また言うまでもなく、線形領域とは、歪率と
応力とが比例関係にある領域のこと、即ち貯蔵弾性率等
の粘弾性の測定値が応力の影響を受けない範囲のことで
ある。動的粘弾性試験では、厚さ約2mmの測定サンプ
ル樹脂板を直径25mmのパラレルプレートの間に挟
み、230℃に達するまで約10分放置し、その後、樹
脂板を僅かに押さえ付けて樹脂板とパラレルプレートの
なじみを良くし、更に溢れでた樹脂を削り取ってから角
周波数:ωを変化させ、角周波数に対応した貯蔵弾性
率:G´及び損失弾性率:G´´を測定する。
【0041】また、230℃という動的粘弾性の測定温
度の選定は、押出発泡される溶融樹脂が発泡温度にて押
出機ダイスから押出され、気泡が形成されて固化するま
での温度低下に伴う粘弾性体(ポリプロピレン系樹脂)
の弾性率変化を、角周波数低下に伴う弾性率変化と対応
させて求めた場合、粘弾性体の温度低下に伴う弾性率変
化の挙動を顕著に表わすことのできる温度であるためで
ある。
【0042】角周波数と貯蔵弾性率、更にはtanδと
の間に上記した特定の関係を有するポリプロピレン系樹
脂は、例えばポリプロピレン系樹脂を重合する際の重合
触媒としてメタロセン触媒を用いるか、低分子量のポリ
プロピレンを含む線状ポリプロピレン系樹脂に放射線を
照射する等によって適宜調製することができる。
【0043】本発明では、前述したようなa)1未満の
枝分かれ指数と著しい歪み硬化伸び粘度とを有するも
の、b)特定の分子量分布と特定の平衡コンプライアン
ス又は剪断歪み回復性を有するもの、c)特定のドロー
ダウン性を示すもの、或いは、d)線形領域内における
動的粘弾性測定によって得られる角周波数と貯蔵弾性率
との間に特定の関係が成り立つようなもの等、少なくと
もこれらいずれかの物性を示すポリプロピレン系樹脂が
好適に用いられる。
【0044】本発明においては上記のプロピレン系樹脂
を単独で用いるのみならず、必要に応じて他の樹脂を混
合して用いることもできる。混合して用いる樹脂として
は、例えば上記以外のプロピレン系樹脂、或いは高密度
ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリ
エチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−ブ
テン共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等の
エチレン系樹脂、ブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ス
チレン系樹脂等が挙げられる。
【0045】このように他の樹脂を混合する場合、混合
する樹脂の量は、混合後のポリマーの総重量の40重量
%を限度とする。
【0046】本発明の発泡シート1は、例えば、上記し
たようなポリプロピレン系樹脂と発泡剤とを押出機内で
溶融混練した後、図6に示すように、この溶融混練物を
押出機先端に取り付けた、環状のリップを有する環状ダ
イスを用い、このダイスのリップより押出発泡して円筒
状の発泡体を得、次いでこの円筒状発泡体を切り開いて
シート状とする等して容易に製造される。
【0047】円筒状発泡体を得る工程を図6に基づいて
更に詳細に説明すれば、押出機3の先端に環状のリップ
4を有する環状ダイス5を取り付け、このダイスのリッ
プ4より押出発泡して、同図に示すような円筒状の発泡
体6を得、次いで引続きこの円筒状発泡体6を、該円筒
状発泡体6の内側に配置したマンドレル7により発泡体
6の内側から冷却すると共に、発泡体6の外面に冷却空
気を吹き付ける等の手段により冷却し、その後、円筒状
発泡体6を回転刃8でシート状に切り開いて発泡シート
とする。尚、図中9はマンドレル支持体である。
【0048】上記において、マンドレル7の径は、得よ
うとする発泡シート1の幅に応じて適宜に選択できる。
マンドレル7の長さは、円筒状発泡体6の冷却に充分な
長さであれば任意である。押出速度(ラインスピード)
は吐出量、発泡シート1の目的厚み等によって異なる
が、概ね3〜15m/分が好ましい。円筒状発泡体6の
冷却温度は、上記押出速度等によって異なるが、概ね5
〜80℃が好ましい。冷却手段は上記した方法に限られ
ず任意である。
【0049】本発明の発泡シート1を得るにあたり、そ
の気泡形状を本発明で規定する特定のものとするには、
例えば、この円筒状発泡体6の製造の段階で、特定の押
出条件と特定の構造のダイスを採用する等すれば良い。
【0050】特定の押出条件とは、例えば、押出機先端
に取り付けた環状ダイスをオイル温調で正確に温度コン
トロールし、樹脂の温度を結晶化が起きない限界温度ま
で下げ、高い粘度を保持したまま環状ダイスを通過させ
るというものである。
【0051】また特定の構造のダイスとは、例えば、樹
脂が環状ダイスのシャフトを支持する二次ブレーカーを
通過するときに樹脂の流れを遮らず、ピストンフローに
近い状態を保つことができるような形状の二次ブレーカ
を用いてダイスを構成するとともに、ダイス内部がリッ
プ先端で急圧縮となり、ダイス内部の圧力が80kg/
cm2 未満となるような構造としたものである。
【0052】以上のような特定条件の下で円筒状発泡体
6を製造することによって、気泡が略本発明における特
定形状の発泡シートが得られる。
【0053】上記の如くして本発明の発泡シート1を得
るにあたり、発泡剤としては、無機発泡剤、揮発性発泡
剤、分解型発泡剤等を用いることができる。無機発泡剤
としては、二酸化炭素、空気、窒素等が挙げられる。
【0054】揮発性発泡剤としては、プロパン、n−ブ
タン、i−ブタン、n−ブタンとi−ブタンとの混合
物、ペンタン、ヘキサン等の鎖状脂肪族炭化水素、シク
ロブタン、シクロペンタン等の環状脂肪族炭化水素、ト
リクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、
1,1−ジクロロ−1,1,1,2−テトラフルオロエ
タン、1,1−ジフルオロ−1−クロロエタン、1,
1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオ
ロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチ
レンクロライド等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ
る。
【0055】更に、分解型発泡剤としては、アゾジカル
ボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ア
ゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等が挙げ
られる。これらの発泡剤は適宜混合して用いることがで
きる。
【0056】発泡剤の使用量は、発泡剤の種類、所望す
る発泡倍率等によっても異なるが、最終的に密度0.0
9〜0.4g/cm3 の発泡シートを得るための発泡剤
の使用量の目安は、樹脂1kg当たり揮発性発泡剤で
0.05〜0.5モル程度、無機発泡剤で0.03〜
0.45モル程度、分解型発泡剤で0.03〜0.45
モル程度である。
【0057】本発明発泡シート1を得るに当たって、必
要に応じて樹脂と発泡剤との溶融混練物中に気泡調整剤
を添加することができる。気泡調整剤としてはタルク、
シリカ等の無機粉末や多価カルボン酸の酸性塩、多価カ
ルボン酸と炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムとの
反応混合物が挙げられる。気泡調整剤は樹脂100重量
部当たり0.2重量部程度以下添加することが好ましい
(但し、後述する、無機充填剤を樹脂に多量に含有させ
る場合は除く)。また、必要に応じて、更に熱安定剤、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等の添加剤を添加す
ることもできる。
【0058】また、予め樹脂中に、総重量の40重量%
を限度として無機充填剤を含有させても良い。無機充填
剤としては、例えばタルク、シリカ、炭酸カルシウム、
クレー、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、水酸化
マグネシウム等が挙げられる。これらの平均粒径は1〜
70μmであることが好ましい。このような無機充填剤
を多く含有させた場合、得られる発泡シートは耐熱性が
向上すると共に焼却処理の際の燃焼カロリーを低下させ
ることが可能となる。
【0059】本発明では、印刷適性や、表面硬度向上、
更なる曲げ強度等の剛性向上のために、発泡シート1の
少なくとも片面に、無機フィラーを含有せしめた樹脂シ
ートを積層することもできる。このような樹脂シートを
積層することにより、発泡シートの剛性をより高めるこ
とができ、成形品のリップ強度を強くして、保形性、生
産性の向上を図ることができる。
【0060】樹脂シートは無機フィラーを総重量に対し
て5〜70%、好ましくは15〜50重量%含有してい
て、該無機フィラーが発泡シートの剛性向上に大きく寄
与する。特に本発明の発泡シート1を用いて深絞り容器
を成形する場合に顕著な効果がみられる。無機フィラー
含有量が5重量%未満の場合は剛性向上効果が乏しく、
70重量%を超えると成形性に悪影響を及ぼす。上記無
機フィラーとしてはタルク、シリカ、炭酸カルシウム、
クレー、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、ガラス
等が挙げられる。
【0061】このような樹脂シートを発泡シート1に積
層する場合、該樹脂シートの厚みは200μm以下、好
ましくは180μm以下であり、厚さを200μm以下
と薄くしても発泡シート1の剛性が従来のものと比較し
て優れているため、十分な剛性が得られる。また、上記
樹脂シートには無機フィラーが含有されているため耐熱
性が向上する。樹脂シートの厚みが200μmを超える
と、成形時の加熱温度を高くしなければならず、成形性
が損なわれるばかりか、成形時の加熱圧縮により成形品
の密度の増加を招く虞があり、また、得られた成形品を
保管する際に成形品を積み重ねた際の高さ(スタック高
さ)も高くなってしまう。
【0062】樹脂シートの基材樹脂としては、ポリエチ
レン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹
脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカー
ボネート系樹脂等を用いることができる。特にリサイク
ル性、接着性、耐熱性、耐油性、剛性等の点からポリプ
ロピレン系樹脂が好ましく、発泡シート1を構成する樹
脂と同種であるのがより好ましい。即ち、発泡シート1
の基材樹脂がプロピレン−エチレンブロック共重合体な
らば、樹脂シートの基材樹脂もプロピレン−エチレンブ
ロック共重合体であるのが好ましい。
【0063】樹脂シートを発泡シート1に積層するにあ
たり、積層方法としては、エクストルージョンラミネー
ト法、サーマルラミネート法、ホットメルト等の接着剤
によるラミネート法等一般的な方法を採用することがで
きる。
【0064】本発明発泡シート1は、真空成形、圧空成
形やこれらの応用としてフリードローイング成形、プラ
グ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モー
ルド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースド
ロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プ
ラグアシストリバースドロー成形等やこれらを組み合わ
せた方法等を用いて所望の成形品形状に成形することが
できる。
【0065】
【実施例】次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。
【0066】実施例1〜5 基材樹脂、発泡剤及び気泡調整剤を押出機内で溶融混練
した後、押出機の先端に取り付ける2次ブレーカー及び
環状ダイスの形状を適宜選択してダイス部内の圧力を8
0kg/cm3 以下とし、上記溶融混練物を環状リップ
よりマンドレル上に表1に示す吐出量で押出発泡して円
筒状の発泡体を得た。次いで、この円筒状発泡体をその
ままマンドレル上を通過させ、これをシート状に切り開
いて発泡シートを得た。このとき、ダイス部にはオイル
温調機を設けて上記溶融混練物の温度を160〜170
℃の範囲内の特定温度に正確にコントロールした。尚、
詳細は以下の通りである(実施例1〜5共通)。
【0067】 〔基材樹脂〕 ・エチレン−プロピレンブロック共重合体 MI ・・・・・・2.0g/10分 結晶化温度 ・・・・・・126℃ 融点 ・・・・・・158℃ ドローダウン性 ・・・・・・5m/分 溶融張力 ・・・・・・23g 動的粘弾性 ・・・・・・α=0.8、β=4.2 tanδ=2.1〜1.5 (ω=0.1〜1rad/秒) 平衡コンプライアンス ・・・・・・1.5×10-4cm/dyn (210℃、100N/m2 一定、時間1〜300秒) 剪断歪み回復 ・・・・・・6.2×10-5cm/dyn (210℃、剪断速度1/秒) 重量平均分子量(Mw) ・・・・・・3.7×105 (※1) Z平均分子量(Mz) ・・・・・・1.2×106 (※1) ※1:Waters150CV GPCを使用し、13
5℃トリクロロベンゼンを溶媒としてカラムWater
s μ−Styrogel HT(103 、104 、1
5 、106 Å)、溶液濃度0.2重量%、流速1ml
/分の条件で測定した。) 〔発泡剤〕 ・ブタン 〔気泡調整剤〕 ・クエン酸モノナトリウム塩 〔押出機〕 ・タンデム押出機 〔配合及び温度条件〕基材樹脂100重量部に対するブ
タン及びクエン酸モノナトリウム塩の配合量を表1に示
した。また、押出発泡における一次ブレーカー部の温度
条件も表1に併せて示した。
【0068】比較例1 実施例と同じ基材樹脂、発泡剤及び気泡調整剤を用い、
表1に示す基材樹脂100重量部に対する配合及び温度
条件にて押出発泡を行なった。押出機においては、通常
の2次ブレーカーを用い、ダイスの一部にしぼりを取り
付けた。そして、吐出量を30kg/hとして、押出発
泡して得られた円筒状発泡体を切り開いて発泡シートを
得た。尚、比較例1ではダイス部のオイル温調は行なわ
なかった。
【0069】比較例2、3 実施例と同じ基材樹脂、発泡剤及び気泡調整剤を用い、
表1に示す基材樹脂100重量部に対する配合及び温度
条件にて押出発泡を行なった。押出機においては、通常
の2次ブレーカーとダイスを用い、吐出量を通常通り8
0kg/hで行なった。尚、比較例2、3ではダイス部
のオイル温調は行なわなかった。
【0070】
【表1】
【0071】実施例1〜5、比較例1〜3で得られた発
泡シートについて、厚み、密度、気泡形状、気泡の均一
性、独立気泡率、厚みムラのそれぞれを測定するととも
に、成形性と発泡シートの外観について評価した。結果
を表2に示す。また、図1に示す模式図は、実施例2で
得られた発泡シートの断面の顕微鏡拡大写真に基づくも
のであり、図10は比較例3で得られた発泡シートの断
面の顕微鏡拡大写真に基づく模式図である。尚、図10
(a)はMD方向に沿う厚み方向断面、図10(b)は
TD方向に沿う厚み方向断面であり、図中、2′は気泡
を表す。
【0072】
【表2】
【0073】気泡形状は、MD方向とTD方向のそれぞ
れの切断断面を観察するとともに、上記各断面の厚み方
向の平均気泡径A、MD方向の平均気泡径B、TD方向
の平均気泡径Cを測定し、B、Cの各々に対するAの比
(A/B、A/C)を求めた。各断面を観察したとこ
ろ、実施例1〜5の発泡シートの気泡はその形状におい
て本発明の要件を満足していた。比較例1〜3の発泡シ
ートの気泡は立てに短く横に長い扁平な形状であり、本
発明の要件を満たしていなかった。
【0074】また、〔厚み方向の平均気泡径A〕/〔M
D方向の平均気泡径B〕の値は、発泡シートのMD方向
に沿う方向の厚み方向断面の顕微鏡拡大写真を得て、得
られた写真をもと、その厚みの5倍の幅に存在する全て
の気泡(n≧50)について上記各方向の径を図2に示
す通り各気泡のa、bの値をそれぞれの気泡毎にノギス
により測定し、こうして得られたa1 、a2 、a3 、・
・・an 、並びにb1、b2 、b3 、・・・bn を算術
平均し、そして、顕微鏡拡大写真の拡大率より厚み方向
平均気泡径Aと、MD方向の平均気泡径B、そして、そ
の比であるA/Bを求めた。
【0075】〔厚み方向の平均気泡径A〕/〔TD方向
の平均気泡径C〕の値は、発泡シートのTD方向に沿う
方向の厚み方向断面の顕微鏡拡大写真を得て、得られた
写真をもとに、上記と同様にして各気泡のa、cの値を
それぞれの気泡毎に測定し、こうして得られたa1 、a
2 、a3 、・・・an 、並びにc1 、c2 、c3 、・・
・cn を算術平均し、そして、顕微鏡拡大写真の拡大率
より厚み方向平均気泡径Aと、TD方向の平均気泡径
C、そして、その比であるA/Cを求めた。
【0076】気泡の均一性については、発泡シートのM
D方向に沿う方向と、TD方向に沿う方向のそれぞれに
ついて、厚み方向断面の顕微鏡拡大写真を得て、得られ
た写真をもとに、発泡体の両表面から、厚みの25%の
位置に線を引き、表層部と内層部の気泡に分ける。そし
て、表層部に存在する気泡と、内層部に存在する気泡に
ついてそれぞれ別々に、上記と同様にして表層部に存在
する気泡のシート厚み方向の平均気泡径A1、MD方向
の平均気泡径B1、TD方向の平均気泡径C1、内層部
に存在する各気泡のシートの厚み方向の平均気泡径A
2、MD方向の平均気泡径B2、TD方向の平均気泡径
C2を算術平均により求め、A1/A2、B1/B2、
C1/C2の値を算出した。
【0077】この測定を行なう際に、顕微鏡拡大写真に
写るその厚みTの5倍の幅(T×5)にある全ての気泡
(図7中斜線で示す部分に存在する全ての気泡。但し、
図7は発泡シート厚み方向断面を示すが、気泡の図示は
省略してある)を測定対象とした。また、発泡シートの
全厚みの25%の位置の線に重なる気泡については、そ
の気泡の断面積の50%を超える部分が表層部Ts側に
位置すれば、この気泡は表層部Tsに存在するものと
し、気泡20 の断面積の50%を超える部分が内層部T
i側に位置すれば、この気泡は内層部Tiに存在するも
のとして測定を行なった。
【0078】発泡シートの独立気泡率は、空気比較式比
重計により下記(8)式により求めた。 独立気泡率(%)=〔Vx−Va(ρf/ρs)〕/〔Va−Va(ρf/ρs )〕 ・・・ (8) 〔但し、Vx:発泡シートサンプルの実容積(c
3 )、Va:発泡シートサンプルのみかけの容積(c
3 )、ρf:発泡シートサンプルのみかけ密度(g/
cm3 )、ρs:樹脂の密度(g/cm3 )である。〕
【0079】厚みムラについては、図3に示すようにT
D方向に沿って一方の片側端部から他方の片側端部へ1
00mm毎に区画された範囲α、β、γ、・・・に発泡
シート1をTD方向に区画し(但し、図3に示すように
100mmに満たないあまりの部分ηは無視した)、そ
れぞれの範囲について5mmピッチで厚みを測定した。
そして、その測定値から最小厚み(Tl )と最大厚み
(Tm )の比(Tl /Tm )を求めた。それぞれの範囲
におけるTl /Tm のうち最も小さい値を厚みムラの代
表値として表2に示した。即ち、例えば範囲αにおける
l /Tm がα0、範囲βにおけるTl /Tm がβ0
範囲γにおけるTl /Tm がγ0 であり、α0 、β0
γ0 のうちα0 が一番小さければα0 を代表値とした。
【0080】成形性については、連続成形機にて連続的
に、多数個取りの成形テストをプラグアシスト真空成形
により行なった。目標とするトレー状容器は図8に示す
ように、仕切り31の両側に収納部32、33を有する
皿状の容器30であり、図8において、k〜rの各寸法
は、k:175mm、l:112mm、m:63mm、
n:110mm、o:90mm、p:40mm、q:4
0mm、r:35mmである。成形性の評価基準、及び
得られた成形品の外観の評価基準は以下の通りである。
尚、図8(a)は成形品の平面図、図8(b)は成形品
の側面図である。
【0081】成形性の評価基準 ◎・・・・・・・・・・・・全ての成形品において厚み
の不良によるスジ割れ、表面のヤケがない。 ○・・・・・・・・・・・・全ての成形品において厚み
不良によるスジ割れはないが、一部の成形品に若干の表
面ヤケがある。 △・・・・・・・・・・・・一部の成形品にわずかなス
ジ割れと、表面ヤケがある。 ×・・・・・・・・・・・・多数の成形品にスジ割れが
発生している。
【0082】外観の評価基準 ◎・・・・・・・・・・・・キメが細かく、気泡に張り
があり、光沢がある。 ○・・・・・・・・・・・・キメが細かいが、表面に若
干のシワがある。 △・・・・・・・・・・・・キメがやや粗く、表面に若
干のシワが有る。 ×・・・・・・・・・・・・キメが粗く、表面にシワが
あり、幅方向に不均一な表面状態となっていた。
【0083】密度及び厚みが略等しい実施例1と比較例
2、及び実施例2と比較例3を、それぞれ対比し、その
曲げ強度を測定した。表3に結果を示す。尚、発泡シー
トの曲げ強度は、上記の実施例及び比較例の発泡シート
のそれぞれから縦25mm×横150mmで試験片を切
取り、万能試験機((株)オリエンティック社製テンシ
ロン)にて、支点間距離30mm、支持台の半径2.5
mm、ヘット速度10mm/分の条件で、MD方向及び
TD方向についてそれぞれn=3でJIS−K7203
に準拠して測定を行ない、MD方向の曲げ強度の平均値
とTD方向の曲げ強度の平均値の算術平均値を発泡シー
トの曲げ強度とした。
【0084】
【表3】
【0085】表3に示したように、密度及び厚みが略一
致するにもかかわらず、実施例1、2はそれぞれ比較例
2、3の約2倍の曲げ強度を示した。
【0086】実施例5〜8、比較例4〜6 実施例2〜4、比較例1〜3で得られたシート状発泡体
に表4に示す構成で、無機フィラー含有樹脂シートを押
出しラミネート法により積層し、その積層シートを用い
て成形品を得た。無機フィラー含有樹脂シートの基材樹
脂としては、30%タルク含有PPベースのマスターバ
ッチ(JPO製、KS3268−6)を用いた。
【0087】
【表4】
【0088】得られた成形品は、無機フィラー含有樹脂
シートの厚さが200μm未満の薄い物であるにもかか
わらず、成形性、剛性のいずれも良好であった。尚、成
形性の評価は、少なくも無機フィラー含有樹脂シート面
が内面となるようにしてトレー状容器を成形して前記と
同様の評価基準で行なった。
【0089】また、成形品が実用的強度を有するか否か
判断するために、以下の方法によりリップ強度を測定し
た。結果を表4に併せて示す。
【0090】リップ強度の測定方法 図9(a)、(b)に示す形状の成形品40を単発成形
機にてテストサンプルを作成し、図9(b)に示すよう
にエッジ部(図中斜線で示す)を5mmカットした。次
に、図9(c)に示すように、ロードセル41と支持台
42との間にエッジ部をカットした部分を上下としてサ
ンプルを挟み込み、ロードセル41と支持台42との間
隔が150mmとなった時点での圧縮強度をリップ強度
として測定した。図9において、s〜wの各寸法は、
s:180mm、t:160mm、u:120m、v:
30mm:w:170mmである。尚、図9(a)は成
形品の断面図、図9(b)は成形品の平面図、図9
(c)はリップ強度の測定方法を示す説明図である。
【0091】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の成形用無
架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シートは、密度0.09
〜0.4g/cm3 、厚さ0.5〜8mm、独立気泡率
70%以上であるとともに、発泡シートの厚み方向、押
出方向(MD方向)、幅方向(TD方向)における平均
気泡径を、それぞれA、B、Cとしたときに、気泡形状
が下記(1)〜(3)式を満足し、従来と比較して厚み
方向に長く、より球形に近い気泡形状となっているの
で、成形性に優れたものであるのみならず、高い剛性と
優れた緩衝性を同時に備えたものであると共に、圧縮強
度、曲げ強度に優れたものであるため、密度を低くして
も実用的な強度が損なわれず、成形用発泡シートとして
要求される剛性を十分に備えている。その上、気泡も細
かいため外観も良好である。 0.35<A/B<0.65 ・・・(1) 0.35<A/C<0.65 ・・・(2) 0.10< A ≦0.4 ・・・(3)
【0092】また、本発明では上記条件に加え、表層部
に存在する気泡について、発泡シートの厚み方向、押出
方向(MD方向)、幅方向(TD方向)における平均気
泡径をそれぞれA1、B1、C1とし、且つ内層部に存
在する気泡について、発泡シートの厚み方向、押出方向
(MD方向)、幅方向(TD方向)における平均気泡径
をそれぞれA2、B2、C2としたときに、下記(4)
〜(6)式を満足するように気泡形状を特定すること
で、発泡シートの表層部と内層部とで気泡形状にバラツ
キが少なく、発泡シートの厚み方向に気泡が均一とな
り、より成形性に優れたものとなる。また、発泡シート
の厚み方向に気泡が均一であれば、発泡シートの剛性が
よりいっそう向上する。 0.8<A1/A2≦1.2 ・・・(4) 0.8<B1/B2≦1.2 ・・・(5) 0.8<C1/C2≦1.2 ・・・(6)
【0093】更に、本発明ではTD方向に沿って厚みを
測定したときに、TD方向にわたって一方の片側端部か
ら他方の片側端部へ100mmの間隔で発泡シートを区
画したそれぞれの範囲内での最大厚み(Tm )と最小厚
み(Tl )との比(Tl /Tm )が0.90以上とする
ことで、熱成形時にシートの薄い部分が局部的に伸ばさ
れる等して、成形性に劣ったものとなるというようなこ
とがない。
【0094】また、本発明の無架橋ポリプロピレン系樹
脂発泡シートの少なくとも片面に、厚さ200μm以下
の無機フィラー含有量5〜70重量%の樹脂シートを積
層すれば、発泡シートの剛性をより高めることができ、
成形品のリップ強度を強くして、保形性、更には成形
性、生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シート(実
施例2)の縦断面を示す模式図である。
【図2】本発明における気泡径の意味を説明するための
図である。
【図3】本発明において発泡シートをTD方向に区画す
ることを説明する図である。
【図4】ドローダウン性を測定するための装置説明図で
ある。
【図5】本発明において好適に用い得るポリプロピレン
系樹脂の動的粘弾性の一例を示し、230℃における線
形領域内での動的粘弾性測定によって得られる各周波数
ωに対応した貯蔵弾性率G′を、logωを横軸とし、
logG′を縦軸とする座標にプロットした曲線を近似
した直線である。
【図6】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製
造工程の一部を示す概念図である。
【図7】実施例、比較例において測定対象とした気泡部
分を示す説明図である。
【図8】実施例、比較例において成形性の評価するため
に得た成形品を示す説明図である。
【図9】実施例、比較例において成形品のリップ強度を
測定するために得た成形品を示す説明図、及びリップ強
度の測定方法を示す説明図である。
【図10】従来のポリプロピレン系樹脂発泡シート(比
較例3)の縦断面図を示す模式図である。
【符号の説明】
1 無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シート 2 気泡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平 晃暢 栃木県宇都宮市駒生町1078−4 カーサ・ アイ202号室

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密度0.09〜0.4g/cm3 、厚さ
    0.5〜8mm、独立気泡率70%以上の成形用無架橋
    ポリプロピレン系樹脂発泡シートであり、気泡形状が下
    記(1)〜(3)式を満足することを特徴とする成形用
    無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シート。 0.35<A/B<0.65 ・・・(1) 0.35<A/C<0.65 ・・・(2) 0.10< A ≦0.4 ・・・(3) 〔但し、式中A、B、Cのそれぞれは、発泡シートの厚
    み方向、押出方向(MD方向)、幅方向(TD方向)に
    おける平均気泡径であり、その単位はmmである。〕
  2. 【請求項2】発泡シートの表面から該シートの全厚みの
    25%以内の表層部に存在する気泡について、発泡シー
    トの厚み方向、押出方向(MD方向)、幅方向(TD方
    向)における平均気泡径をそれぞれA1、B1、C1と
    し、且つ発泡シートの表面から該シートの全厚みの25
    %を越える内層部に存在する気泡について、発泡シート
    の厚み方向、押出方向(MD方向)、幅方向(TD方
    向)における平均気泡径をそれぞれA2、B2、C2と
    したときに、下記(4)〜(6)式を満足する請求項1
    記載の成形用無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シート。 0.8<A1/A2≦1.2 ・・・(4) 0.8<B1/B2≦1.2 ・・・(5) 0.8<C1/C2≦1.2 ・・・(6)
  3. 【請求項3】発泡シートの幅方向(TD方向)に沿って
    厚みを測定したときに、幅方向(TD方向)にわたって
    一方の片側端部から他方の片側端部へ100mmの間隔
    で区画されるそれぞれの範囲内での最大厚み(Tm )と
    最小厚み(Tl )との比(Tl /Tm )が0.90以上
    である請求項1又は2記載の成形用無架橋ポリプロピレ
    ン系樹脂発泡シート。
  4. 【請求項4】少なくとも片面に、厚さ200μm以下の
    無機フィラー含有量5〜70重量%の樹脂シートを積層
    してなる請求項1、2又は3記載の成形用無架橋ポリプ
    ロピレン系樹脂発泡シート。
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