JP2005193936A - プロピレン系樹脂発泡容器 - Google Patents

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暁 花田
Tatsuma Kuroda
竜磨 黒田
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Abstract

【課題】容器高さ/容器口部外周が大きく、断熱性や剛性に優れたプロピレン系樹脂発泡容器を提供する。
【解決手段】プロピレン系樹脂発泡シートを熱成形により成形して得られ、底部と側壁部とを有するプロピレン系樹脂発泡容器8であって、容器口部外周が容器底部の外周よりも大きく、かつ側壁部を底部面と平行に切断した側壁切断面の外周が、当該切断面より底部面側の側壁切断面の外周より小さくなることがなく、かつ容器側壁部の高さ方向断面において、容器内側に凸状となる曲率半径Rが30〜200の曲線部分(A)R1と、該曲線部分(A)よりも容器底部側に、容器外側に凸状となる曲率半径Rが10〜50の曲線部分(B)R2とを有し、容器高さ/容器口部外周が0.05〜0.5であり、容器の見掛け密度が0.1〜0.4であるプロピレン系樹脂発泡容器。
【選択図】図1

Description

本発明はプロピレン系樹脂発泡容器に関する。
プロピレン系樹脂発泡シートに真空成形等の熱成形を行なって得られるプロピレン系樹脂発泡容器は、軽量性、リサイクル性などに優れることから、種々の用途に使用されており、断熱性、耐熱性にも優れることから食品包装用容器としても用いられている。
食品包装用容器には充填する内容物に応じて種々の形状のものがあり、例えば容器高さ/容器口部外周の小さいトレー形状のものや、容器高さ/容器口部外周の大きいカップ形状、丼形状などがある。プロピレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られる容器高さ/容器口部外周の大きい容器としては、特許文献1に開示されているように、容器側面図を描いた場合に、容器側壁部が直線となる形状のものが一般的である(特許文献1参照)。
特開2003−306565号公報
しかしながらプロピレン系樹脂発泡シートを用いて真空成形等の熱成形によって、容器高さ/容器口部外周の大きい容器を成形する場合には、成形時に容器側壁部が大きく引き伸ばされて薄くなり、断熱性や剛性に劣る容器となることが多かった。
本発明は、容器高さ/容器口部外周が大きく、断熱性および剛性に優れたプロピレン系樹脂発泡容器を提供するものである。
すなわち本発明は、プロピレン系樹脂発泡シートを熱成形により成形して得られ、底部と側壁部とを有するプロピレン系樹脂発泡容器であって、
(1)容器口部外周が容器底部の外周よりも大きく、かつ側壁部を底部面と平行に切断した側壁切断面の外周が、当該切断面より底部面側の側壁切断面の外周より小さくなることがなく、
(2)かつ容器側壁部の高さ方向断面において、容器内側に凸状となる曲率半径Rが30〜200の曲線部分(A)と、該曲線部分(A)よりも容器底部側に、容器外側に凸状となる曲率半径Rが10〜50の曲線部分(B)とを有し、
(4)容器高さ/容器口部外周が0.05〜0.5であり、
(5)容器の見掛け密度が0.1〜0.4である
プロピレン系樹脂発泡容器である。
本発明のプロピレン系樹脂発泡容器は、断熱性および剛性に優れた深絞り容器である。
本発明のプロピレン系樹脂発泡容器は、図1および図3〜図4に例示されるように、底部と側壁部とを有し、(1)容器口部外周が容器底部の外周よりも大きく、かつ側壁部を底部面と平行に切断した側壁切断面の外周が、当該切断面より底部面側の側壁切断面の外周より小さくなることがなく、(2)かつ容器側壁部の高さ方向断面において、容器内側に凸状となる曲率半径Rが30〜200の曲線部分(A)と、該曲線部分(A)よりも容器底部側に、容器外側に凸状となる曲率半径Rが10〜50の曲線部分(B)とを有し、(4)容器高さ/容器口部外周が0.05〜0.5であり、(5)容器の見掛け密度が0.1〜0.4である。
本発明の容器は、容器高さ/容器口部外周が0.05〜0.5である。このような容器を以下、深絞り容器と称することもある。
本発明における容器口部外周とは、容器口部の全周である。容器がフランジを有する場合、容器口部外周とはフランジの外周とする。
容器高さとは、容器底部を含む面と容器口部との最短距離である。
容器口部外周は、容器底部の外周よりも大きく、かつ側壁部を底部面と平行に切断した側壁切断面の外周が、当該切断面より底部面側の側壁切断面の外周より小さくなることがなければよく、その絶対値は特に限定されるものではない。また容器高さも任意であるが、本発明の容器を食品用途に使用する場合、通常容器高さが10〜200mm、容器口部外周が50〜1000mm程度である。本発明の容器は、容器側壁部を底部面と平行に切断した側壁切断面の外周と、当該切断面より底部面側の側壁切断面の外周とが同じ部分を有していてもよい。
容器口部の形状は特に限定されるものではなく、四角形、五角形等の多角形状や円形状、楕円形状などが挙げられる。容器底部の形状は特に限定されるものではないが、通常容器口部形状と相似形であり、容器底部外周/容器口部外周は通常0.3〜0.8程度である。
本発明の容器は、容器側壁部の高さ方向断面において、容器内側に凸状となる曲率半径Rが30〜200の曲線部分(A)と、該曲線部分(A)よりも容器底部側に、容器外側に凸状となる曲率半径Rが10〜50の曲線部分(B)とを有する。容器内側に凸状とは、図1および図3〜図4に曲線部分(A)として示すような形状であり、容器外側に凸状とは、図1および図3〜図4に曲線部分(B)として示すような形状である。
本発明の容器は容器側壁部がこのような形状であるため、深絞り容器でありながら、剛性、特に容器を高さ方向に圧縮したときの強度や、容器側壁部を容器高さ方向と垂直方向に圧縮したときの強度に優れるものである。また容器側壁部をこのような形状とすることにより、真空成形等の熱成形において、発泡シートを成形型に接触させる際に、発泡シートを成形型に引き込むことが容易となり、これにより得られる容器の側壁部厚みを厚くすることができる。そのため本発明の容器は、剛性や断熱性に優れたものとなる。
本発明の容器は、容器側壁部の全ての高さ方向断面において、曲線部分(A)および(B)を有することは必ずしも必要ではないが、剛性および断熱性の観点からは、容器口部外周の50%以上の高さ方向断面が曲線部分(A)および(B)を有していることが好ましく、全ての高さ方向断面が曲線部分(A)および(B)を有することがより好ましい。
容器側壁部の高さ方向断面が、曲線部分(B)よりも容器底部側に、容器内側に凸状となる曲率半径Rが5〜25の曲線部分(C)を有することがさらに好ましい。容器側壁部に曲線部分(A)、曲線部分(B)および曲線部分(C)を有する本発明の容器は、剛性や断熱性によりいっそう優れるものである。
容器内側に凸状となる曲率半径Rが30〜200の曲線部分(A)は、容器側壁部の高さ方向の一つの断面において、容器側壁部全長の50%以上であることが剛性の観点から好ましい。また曲線部分(B)は容器側壁部全長の10〜40%、曲線部分(C)は容器側壁部全長の5〜20%であることが好ましい。
なお各曲線部分の曲率半径とは、断面における容器側壁部外側の曲線の曲率半径であり、容器側壁部全長とは、容器側壁部外側の全長である。
本発明の容器は、蓋を接着するために容器口部にフランジを有していてもよい。フランジの幅は、容器の形状や大きさ等に応じて適宜設定されるものであるが、通常5〜20mm幅である。
本発明の容器の見かけ密度は0.1〜0.4g/cmである。本発明における容器の見かけ密度とは、容器口部の上端(フランジを有するときは、フランジと側壁部との接点)から1cmの地点を上端として1cm角の容器側壁部サンプルについて測定した発泡倍率である。発泡倍率は異なる3点以上について水中置換法で測定した値の平均値である。見かけ密度が0.1〜0.4である本発明の容器は、断熱性に優れるものである。
本発明の容器は、プロピレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られる。使用するプロピレン系樹脂発泡シートは、少なくともプロピレン系樹脂からなる発泡層を有しておればよく、プロピレン系樹脂発泡シートを構成する樹脂や、プロピレン系樹脂発泡シートの層構成、該発泡シートの製造方法などは特に限定されるものではない。
発泡層を構成するプロピレン系樹脂は特に限定されるものではなく、例えばプロピレンホモポリマーや、プロピレン由来のモノマー単位を50モル%以上含むプロピレン系共重合体をあげることができる。共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。好ましく用いられるプロピレン系共重合体の例としては、エチレンまたは炭素数4〜10のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体を挙げることができる。炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセンおよび1−オクテンが挙げられる。プロピレン系共重合体中のプロピレン以外のモノマー単位の含有量は、エチレンについては15モル%以下、炭素数4〜10のα−オレフィンについては30モル%以下であることが好ましい。プロピレン系樹脂は1種類でもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
長鎖分岐プロピレン系樹脂や重量平均分子量が1×10以上の高分子量プロピレン系樹脂を、発泡層を構成する全プロピレン系樹脂の50重量%以上用いることにより、より微細な気泡を有するプロピレン系樹脂発泡シートを得ることができる。
ここで長鎖分岐プロピレン系樹脂とは、分岐度指数[A]が0.20≦[A]≦0.98を満たすプロピレン系樹脂を指す。
分岐度指数[A]が0.20≦[A]≦0.98を満たす長鎖分岐プロピレン系樹脂の例としては、バゼル社製のプロピレンPF−814が挙げられる。
分岐度指数とは、重合体における長鎖分岐の程度を示すものであり、下記の式において定義される数値である。
分岐度指数 [A] =〔η〕Br/〔η〕Lin
ここで〔η〕Brは、長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂の固有粘度であり、〔η〕Linは、該長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂と同じモノマー単位および同じ重量平均分子量を有する、直鎖プロピレン系樹脂の固有粘度である。
固有粘度は極限粘度数とも呼ばれ、重合体の溶液粘度を増強する能力の尺度である。固有粘度は特にポリマー分子の分子量と、分岐度に依存する。したがって、長鎖分岐を有するポリマーの固有粘度と、該長鎖分岐を有するポリマーと同じ重量平均分子量の直鎖ポリマーの固有粘度とを比較することにより、該長鎖分岐を有するポリマーの分岐度の尺度とすることができる。プロピレン系樹脂の固有粘度の測定方法は、エリオット等[J.Appl.Polym.Sci.,14,2947−2963(1970)]により開示されているような従来知られている方法により測定することができ、例えば、プロピレン系樹脂をテトラリン又はオルトジクロロベンゼンに溶解し、135℃で固有粘度を測定することが可能である。
プロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常用いられる種々の方法で測定できるが、M.L.McConnelによって、American Laboratory,May,63−75(1978)に発表されている方法、即ち、低角度レーザー光散乱強度測定法が特に好ましく用いられる。
重量平均分子量が1×10以上の高分子量プロピレン系樹脂を重合する方法の例としては、特開平11−228629号公報に記載されたように、まず高分子量成分を重合した後に続いて低分子量成分を重合する方法などがあげられる。
長鎖分岐プロピレン系樹脂または高分子量プロピレン系樹脂の中でも、融点+30℃付近において下記の条件で測定した一軸溶融伸張粘度比η/η0.1が5以上であるプロピレン系樹脂が好ましく、より好ましくは10以上の樹脂である。一軸溶融伸張粘度比とは、伸張ひずみ速度1sec−1で、一軸伸張粘度測定装置(例としてレオメトリックス社製一軸伸張粘度測定装置などがあげられる)などの装置を用いて測定される値であり、歪み開始から0.1秒後の一軸溶融伸長粘度をη0.1とし、5秒後の一軸溶融伸張粘度をηとする。このような一軸伸張粘度特性を有するプロピレン系樹脂を使用することによって、より微細な気泡を有するプロピレン系樹脂発泡シートを製造することができる。
本発明におけるプロピレン系樹脂発泡シート中のプロピレン系樹脂からなる発泡層は、プロピレン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂を1種類以上含んでいてもよい。発泡層がプロピレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含有する場合、その含有量は本発明の効果を阻害しない程度であり、通常10wt%以下である。他の熱可塑性樹脂としては、プロピレン系樹脂以外のオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール、アイオノマー樹脂などがあげられる。オレフィン系樹脂の具体的な例としてはエチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等の炭素数が6以下のオレフィンホモポリマー、あるいは炭素数が2〜10のオレフィンから選択される2種類以上のモノマーを共重合させたオレフィン共重合体等があげられる。オレフィン共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。オレフィン系重合体の1種であるエチレン系樹脂の例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが挙げられる。
プロピレン系樹脂からなる発泡層を形成するために使用される発泡剤は、いわゆる化学発泡剤および物理発泡剤のいずれでもよく、これらを併用してもよい。上記化学発泡剤としては、例えば分解されて窒素ガスを発生する熱分解型発泡剤(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)など)、分解されて炭酸ガスを発生する熱分解型無機発泡剤(炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなど)など公知の熱分解型発泡性化合物が挙げられる。物理発泡剤としては、具体的にはプロパン、ブタン、水、炭酸ガス等があげられる。上記例示の発泡剤のうち、高温条件や、火に対して不活性な物質であることから、水や炭酸ガス等が好適に用いられる。発泡剤の使用量は所望の発泡倍率が得られるように、用いる発泡剤や樹脂の種類に応じて適宜選択されるものであり、通常プロピレン系樹脂100重量に対して発泡剤0.5〜20重量部である。
プロピレン系樹脂発泡シートの厚みは特に限定されるものではないが、通常0.5〜3mm程度である。また発泡シートを成形して得られた容器の剛性や断熱性の観点から、JIS K7112の方法に従って求められる独立気泡率が30〜90%程度のプロピレン系樹脂発泡シートが好ましく用いられる。
プロピレン系樹脂発泡シートの製造方法は特に限定されるものではなく、フラットダイ(Tダイ)、サーキュラーダイ等を用いた押出し成形方法である。得られるシートは単層であっても多層であってもよい。発泡シートの製造方法としては、サーキュラーダイから溶融した樹脂を発泡させながら押出し、マンドレル等に沿わせて延伸、冷却を行なう方法が好ましく用いられる。溶融した樹脂をダイから押出し冷却固化させた後に延伸を行なうこともできる。またこうして得られたシートに、さらに他の層をドライラミネーションやサンドラミネーション、熱ロール貼合、熱風貼合などによって積層して得られる積層シートも、プロピレン系樹脂発泡シートとして容器の成形に使用することができる。
発泡層以外の他の層を構成する樹脂としては公知の熱可塑性樹脂を用いることができ、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂や、プロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー樹脂、塩化ビニリデンなどがあげられる。これら熱可塑性樹脂は単独で使用してもかまわないし、複数の樹脂を併用してもよい。これら熱可塑性樹脂の中でも、耐水性、耐熱性などの観点から、オレフィン系樹脂が好ましく、その中でも特にプロピレン系樹脂を使用することが好ましい。プロピレン系樹脂としては、前述の発泡層を構成する樹脂として例示した各種のプロピレン系樹脂を使用することができる。
プロピレン系樹脂からなる発泡層と他の層との間に接着層を設けて積層する場合に接着層として使用される接着性樹脂の例としては、不飽和カルボン酸またはその無水物、エポキシ基含有ビニルモノマー、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステルからなる群より選ばれる一種以上のモノマーと、オレフィンモノマーとの共重合体や、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト化した酸変性オレフィン系重合体などがあげられる。
プロピレン系樹脂発泡シートを構成する各層は、本発明の効果を阻害しない程度に添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、充填剤(フィラー)、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、剥離剤、流動性付与剤、滑剤などがあげられる。上記充填剤の例としては、具体的にはガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、タルク、クレー、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の無機粒子等があげられる。タルクを配合する場合には、剛性、耐熱性の改良効果の観点から、平均粒子径が0.1〜50μmタルクを、発泡層に積層された非発泡層中に、該非発泡層を構成する樹脂100重量部に対して10〜50重量部程度配合することが好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂発泡容器は、プロピレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られる。発泡シートを熱成形して容器を製造する方法としては、発泡シートを赤外ヒーター等により加熱し軟化させ、次いで、雄型、雌型、雄雌対型等の成形型を用いて、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の熱成形方法により所定の形状の賦形した後、冷却して容器を得る方法があげられる。用いる金型は、容器口部外周が容器底部の外周径よりも大きく、かつ側壁部を底部面と平行に切断した側壁切断面の外周径が、当該切断面より底部面側の側壁切断面の外周より小さくなることがなく、かつ容器側壁部の高さ方向断面において、容器内側に凸状となる曲率半径Rが30〜200の曲線部分(A)と、該曲線部分(A)よりも容器底部側に、容器外側に凸状となる曲率半径Rが10〜50の曲線部分(B)とを有し、容器高さ/容器口部外周が0.05〜0.5である容器が得られる形状である。本発明の容器が、容器側壁部の高さ方向断面が、曲線部分(B)よりも容器底部側の側壁部に、容器内側に凸状となる曲率半径Rが5〜25の曲線部分(C)を有する場合には、これらに対応した金型を用いる。
雄雌対型、またはプラグと雌型を用いて真空成形、または真空圧空成形する場合には、必ずしも真空によって雌型に発泡シートを密着させると同時に雄型を発泡シートに接触させる必要はなく、雌型と発泡シートとが接触する前に雄型により予備賦形することもできるし、雌型と発泡シートとを真空または圧空により密着させた直後に雄型またはプラグによって賦形することもできる。圧空で発泡シートを雌型に吹き付けながら雌型からは真空に吸引し、最後に雄型またはプラグで発泡シートを押し込みながら賦形してもよい。成形により発泡層へダメージを与え難いことや成形後の容器の変形が少ないことなどから、真空成形法で容器を成形することが好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂発泡容器を熱成形によって成形する際に使用する成形型の材質は特に限定するものではないが、通常、金属製、樹脂製、陶器製、木製などの型が使用される。これらのうちでも成形した容器の表面の平滑性、型の耐久性などから金属製の型が特に好ましく用いられ、さらにその中でもアルミ製の型がより好ましく用いられる。また、熱成形の際には型の表面をヒーターや熱媒などにより温度調整することにより、成形時の発泡シートの冷えすぎや過熱を防止し、美しい形状の容器を成形することが可能になる。また本発明のプロピレン系樹脂発泡容器に、ガスバリア性樹脂溶液等を塗布してもよい。
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
以下に示す方法により、2種3層のプロピレン系樹脂発泡シート(発泡倍率3.0倍、厚さ1.6mm、独立気泡率50% 非発泡層B/発泡層A/非発泡層C=3.5/10/4.5重量比)を作製した。
(プロピレン系重合体のペレット化)
特開平11−228629号公報に開示された方法により得たプロピレン系重合体粉末100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、フェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.05重量部、フェノール系酸化防止剤(商品名:スミライザーBHT、住友化学工業(株)製)0.2重量部を加えて混合し、230℃で混練し、メルトフローレート(MFR)が4.5g/10min(230℃ 2.16kgf)のペレット(i)を得た。
得られたプロピレン系重合体の物性は以下のとおりである。
プロピレン系重合体の物性 : 成分(A)(特開平11−228629号公報に開示された方法で得られたプロピレン系重合体に含まれる2成分のうちの高分子量成分)の極限粘度([η]A)=9.5dl/g、成分(A)中のエチレン単位含量(C2inA)=2.9%、成分(B)の極限粘度([η]B)=11dl/g、成分(B)(特開平11−228629号公報に開示された方法で得られたプロピレン系重合体に含まれる2成分のうちの低分子量成分)中のエチレン単位含量(C2inB)=2.7%。レオメトリックス社製一軸伸張粘度測定装置を用いて測定した180℃におけるη=300000Pa・s、η0.1=2900Pa・s。
(発泡層用材料)
上記の方法により得られたプロピレン系重合体ペレット(i)と、プロピレン系樹脂(ii)(住友化学工業(株)製ポリプロピレン R101 MFR=20g/10min(230℃ 2.16kgf))、プロピレン系樹脂(iii)(住友化学工業(株)製ポリプロピレン U101E9 MFR=120g/10min(230℃ 2.16kgf))を、(i)/(ii)/(iii)=70/21/9wtの重量比でドライブレンドし、発泡層用材料とした。
(非発泡層用材料)
プロピレン系樹脂(iv)(住友化学工業(株)製ホモポリプロピレン FS2011DG2 MFR 2.5g/10min(230℃ 2.16kgf))と、プロピレン系樹脂(v)(住友化学工業(株)製プロピレン−エチレン共重合体 W151 MFR 8g/10min(230℃ 2.16kgf))、プロピレン系樹脂(vi)(バゼル社製長鎖分岐型ホモポリプロピレン PF814 MFR 3g/10min(230℃ 2.16kgf))、タルクマスターバッチ(vii)(住友化学工業(株)製ブロックポリプロピレンベースタルクマスターバッチ MF110 タルク含有量70wt%)、チタンマスターバッチ(viii)(東京インキ(株)製チタンマスターバッチ PPM2924 チタン含有量60wt% ランダムポリプロピレンベース MFR 30g/10min(230℃ 2.16kgf))を、(iv)/(v)/(vi)/(vii)/(viii)=12/15/30/43/5の重量比でドライブレンドし、非発泡層用材料とした。
前記発泡層用材料、非発泡層用材料を使用し、発泡層押出用の50mmφ2軸押出機と、非発泡層押出用の32mmφ単軸押出機に90mmφサーキュラーダイを取り付けた装置により押出成形を行ない、プロピレン系樹脂発泡シートを得た。
前記プロピレン系樹脂発泡シートを使用し、真空成形により図1に示すような容器を成形した。真空成形は市販の真空成形装置(布施真空製真空圧空成形機WPB1200)を用いて、プラグとアルミ製雌型を使用したプラグアシスト式真空成形法により行った。プラグは断面の直径140mm、高さ50mmの半円形状を有する木製プラグの表面にネルを貼り付けたものを使用した。
プロピレン系樹脂発泡シート(1)をC層が雌型側になるようにクリップ部材(2)で挟持した。予め赤外ヒーターにより表面が140〜150℃になるように加熱した発泡シートを、プラグ(3)と雌金型(4)との間に速やかに配置した。
プロピレン系樹脂発泡シート(1)において、容器に成形したときに容器底部となる部分が雌金型(4)と当接するまで、プラグ(3)をプロピレン系樹脂発泡シート(1)に対して垂直方向に移動し、プロピレン系樹脂発泡シート(1)を容器形状に予備賦形した。さらに雌金型(4)から真空吸引することにより、雌金型(4)とプロピレン系樹脂発泡シート(1)とを密着させて容器形状に賦形した。
その後容器形状に賦形したプロピレン系樹脂発泡シートをファンによる空冷で固化させ、クリップ部材(2)から開放した後雌金型(4)から取り出した。
賦形後のプロピレン系樹脂発泡シートの端部をトリミングすることにより図1に示すような形状の容器を得た。この容器は、容器口部外周が534mm、容器底部外周が195mmであり、側壁部を底部面と平行に切断した側壁切断面の外周が、当該切断面より底部面側の側壁切断面の外周より小さくなることがない形状であった。また本容器は、容器側壁部の高さ方向の全ての断面が、容器口部側から順に、容器内側に凸状となる曲率半径Rが100の曲線部分(A)(R1)、容器外側に凸状となる曲率半径Rが30の曲線部分(B)(R2)、容器内側に凸状となる曲率半径Rが9の曲線部分(C)(R3)を有していた。曲線部分(A)は61mm、曲線部分(B)は27mm、曲線部分(C)は12mmであり、側壁部全長は100mmであった。容器口部は直径160mm(L1)の円形であり、容器底部外径62mm(L2)、容器高さ78mm(L3)、容器高さ/容器口部外周が0.15、フランジ幅5mmであった。
得られたプロピレン系樹脂発泡容器について評価した結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様の方法により、図2に示すような形状のプロピレン系樹脂発泡容器を得た。この容器は、容器口部外周が534mm、容器底部外周が195mmであり、側壁部を底部面と平行に切断した側壁切断面の外周が、当該切断面より底部面側の側壁切断面の外周より小さくなることがない形状であった。また本容器は、容器側壁部の高さ方向の全ての断面が、容器口部側から順に、テーパー角度20°の直線部分(D1)を63mm、容器外側に凸状となる曲率半径Rが40の曲線部分(R2)を22mm、容器内側に凸状となる曲率半径Rが9の曲線部分(R3)を12mm有しており、側壁部全長は97mmであった。容器口部は直径160mm(L1)の円形であり、容器底部外径62mm(L2)、高さ78mm(L3)、容器高さ/容器口部外周が0.15、フランジ幅5mmであった。
この容器について評価した結果を表1に示す。
(厚み)
シートの厚みは、厚みを接触式厚み計などにより少なくとも3点以上測定した厚みを平均した値を用いた。
また容器壁面厚みは、容器口部の上端(フランジを有するときは、フランジと側壁部との接点)から1cmの地点を上端として1cm角の容器側壁部サンプルについて少なくとも3点以上測定した値の平均値を用いた。
(発泡倍率)
シートの発泡倍率は、水中置換式密度計((株)東洋精機製作所製 自動比重計 型式D−H100などを使用)によりシート中の少なくとも3点以上において1cm角のサンプルについて密度ρ2を測定し、サンプル構成材料の密度ρ0を用いて発泡倍率Mを計算した。
M=ρ0/ρ2
(容器見かけ密度)
容器見かけ密度は、水中置換式密度計((株)東洋精機製作所製 自動比重計 型式D−H100などを使用)により、容器口部の上端(フランジを有するときは、フランジと側壁部との接点)から1cmの地点を上端として1cm角の容器側壁部サンプルについて少なくとも3点以上測定した密度の平均値を用いた。
(独立気泡率)
シートの独立気泡率は、JIS K7112に従い、エアピクノメーター((株)島津製作所製 アキュピック1330密度計)により求めたサンプル密度ρ1、水中置換法により求めたサンプル密度ρ2、サンプル構成材料の密度ρ0より以下の式を用いて独立気泡率Fcを算出した。
Fc=100×((ρ0/ρ1)−1)/((ρ0/ρ2)−1)
容器側壁部独立気泡率は、上記装置及び計算式を使用し、容器口部の上端(フランジを有するときは、フランジと側壁部との接点)から1cmの地点を上端としてサンプリングしたものについての測定値を使用した。
(真空成形容器外観評価)
真空成形により得られた容器の外観を目視により評価した。
評価結果は(良)○→×(悪)で示した。
(評価結果)
○:外観良好
×:外観不良
(容器座屈強度測定)
25cm角(重さ1.2kg)の平板(5)の上に容器口部を下にして容器を置き、該容器の上に同じ形状の平板(5)を乗せた。先端が直径10cmの円柱状になった治具(6)を取り付けたオートグラフ(島津製作所製 型式AGS−500D)を用いて、10mm/minで平板の上から容器を押しつぶした。横軸を変位(mm)、縦軸を荷重(N)として容器にかかる荷重の変化を測定し、最初に現れる降伏点の強度と容器の上に載せた平板の荷重の合計を容器座屈強度として測定した。容器座屈強度の測定値(N)が高いほど容器高さ方向に圧縮するときの強度に優れる容器である。
(容器側壁部押し強度測定)
容器口部と床面とが垂直になるように、容器を固定した。容器側壁部とフランジとが接する点から容器側壁部に沿って30mm下の位置に、先端が曲率半径5の形状の棒状押し治具(8)を、該治具の軸が容器口部と平行になるように当て、オートグラフ(島津製作所製 型式AGS−500D)を用いて、10mm/minで容器を押しつぶした。横軸を変位(mm)、縦軸を荷重(N)として容器にかかる荷重の変化を測定し、最初に現れる勾配の傾き(N/mm)を容器側壁押し強度として測定した。容器側壁押し強度の測定値(N/mm)が高いほど容器を側壁部から圧縮したときの強度に優れた容器である。
(容器曲げ強度測定)
162mm間隔で置いた2枚の板の上に、容器口部を床面に向けて容器を設置した。先端が曲率半径5の形状の棒状押し治具(8)を用い、棒状押し治具の中心が容器底部の中心に接触するように治具を当て、オートグラフ(島津製作所製 型式AGS−500D)を用いて、10mm/minで容器を押しつぶした。横軸を変位(mm)、縦軸を荷重(N)として容器にかかる荷重の変化を測定し、最初に現れる勾配の傾き(N/mm)を容器曲げ強度として測定した。容器曲げ強度の測定値(N/mm)が高いほど容器口部と底部を固定し圧縮するときの強度に優れ、容器の口部と底部とを手で持ったときに変形しにくく、食品容器として使用しやすい容器である。
(容器断熱性測定)
23℃の室温下において、容器側壁部とフランジとが接する点から容器側壁部に沿って20mm下まで容器に95℃の熱湯を充填し、容器側壁部とフランジとが接する点から容器側壁部に沿って40mm下の、容器外側の側壁部温度を接触式温度計により測定し、最高到達温度を測定した。容器側壁部の最高到達温度が低いほど断熱性に優れた容器である。
Figure 2005193936
(a)本発明のプロピレン系樹脂発泡容器を容器口部側から見た図(b)本発明のプロピレン系樹脂発泡容器を容器側壁部側から見た図 (a)従来のプロピレン系樹脂発泡容器を容器口部側から見た図(b)従来のプロピレン系樹脂発泡容器を容器側壁部側から見た図 (a)本発明のプロピレン系樹脂発泡容器を容器口部側から見た図(b)本発明のプロピレン系樹脂発泡容器を容器側壁部側から見た図 (a)本発明のプロピレン系樹脂発泡容器を容器口部側から見た図(b)本発明のプロピレン系樹脂発泡容器を容器側壁部側から見た図 プロピレン系樹脂発泡容器を製造する装置の例を示した図 容器座屈強度測定方法を示した図 容器側壁部押し強度測定方法を示した図 容器曲げ強度測定方法を示した図
符号の説明
1 プロピレン系樹脂発泡シート
2 クリップ部材
3 プラグ
4 雌金型
5 平板
6 円柱状治具
7 棒状押し治具
8 容器
9 容器側壁部
10 容器底部
11 フランジ
12 容器支持台
13 平板
14 平板
R1 曲線部分(A)
R2 曲線部分(B)
R3 曲線部分(C)
L1 容器口部外径
L2 容器底部外径
L3 容器高さ
D1 テーパー角

Claims (2)

  1. プロピレン系樹脂発泡シートを熱成形により成形して得られ、底部と側壁部とを有するプロピレン系樹脂発泡容器であって、
    (1)容器口部外周が容器底部の外周よりも大きく、かつ側壁部を底部面と平行に切断した側壁切断面の外周が、当該切断面より底部面側の側壁切断面の外周より小さくなることがなく、
    (2)かつ容器側壁部の高さ方向断面において、容器内側に凸状となる曲率半径Rが30〜200の曲線部分(A)と、該曲線部分(A)よりも容器底部側に、容器外側に凸状となる曲率半径Rが10〜50の曲線部分(B)とを有し、
    (4)容器高さ/容器口部外周が0.05〜0.5であり、
    (5)容器の見掛け密度が0.1〜0.4である
    プロピレン系樹脂発泡容器。
  2. 容器側壁部の高さ方向断面において、曲線部分(B)よりも容器底部側に、容器内側に凸状となる曲率半径Rが5〜25の曲線部分(C)を有する請求項1に記載のプロピレン系樹脂発泡容器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012020782A (ja) * 2010-07-16 2012-02-02 Fp Corp 包装用容器
JP2016204037A (ja) * 2015-04-27 2016-12-08 中央化学株式会社 包装用容器
JP2017218179A (ja) * 2016-06-06 2017-12-14 株式会社イノアックコーポレーション 深絞り成形包装容器及びその製造方法

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