JPH10127510A - 浴 槽 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用者の必要に応じた位置に手摺手段を設定
することが可能であって、しかも手摺手段を備えていな
い既設の浴槽に対しても手摺手段の配設が簡単で比較的
安価に実現可能となる浴槽を提供する。 【解決手段】 浴槽本体の折返し面と当接する上端部の
所定範囲を切欠いて垂直面に開口するとともに開口下辺
部側に下る勾配を付けた底板と両側の隔壁とで浴槽本体
側に凹陥してなるポケット部を形成したエプロンを設
け、前記ポケット部の開口上辺部に相当する浴槽本体の
折返し面にグリップ部材を取付ける。また、ポケット部
の配設位置および間口範囲の異るエプロンを複数種類備
え、選択的に交換可能に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、浴槽に関するもの
であり、特に、浴槽に配備される手摺・把手手段に係る
ものである。

【０００２】

【従来の技術】図６および図７は従来の浴槽を示すもの
であり、ＦＲＰ・ホーロー・ステンレスなどからなる浴
槽本体１のフランジ部には折返し面１１が形成されてい
る。この折返し面１１は、浴室への据付けの際に浴室の
洗い場Ｆ側に臨む本体外周側面の保護や化粧効果を図る
ために設けられたエプロン２を取付けるために設けられ
ており、該エプロンの上端部２１と連結して支持するよ
うに設けてある。

【０００３】一般に前記エプロンは、その垂直面（エプ
ロン面）が浴槽本体のフランジ部に設けた折返し面と略
面一になるように取付けられているが、実開平６−５７
２８９号のように、エプロンの垂直面がフランジ部の折
返し面よりも洗い場側に突出するような段差部を設けて
配設し、この段差箇所に丸棒材あるいはパイプ材を沿設
してなる手摺部分を設けて構成したものなどがある。

【０００４】今般の浴槽においては、高齢者や身障者な
どの入浴者の安全を図るために本体の成形時に手摺や把
手などを設けた浴槽が提供されており、浴槽本体のフラ
ンジ部の一部を切欠いて把持部を形成したものや、内壁
面側に把手部材などを配設したもの等もある（図示省
略）。

【０００５】しかしながら、これらの手摺あるいは把手
付きの浴槽は、価格的に高価なものが多いことなどか
ら、手摺手段等を有さない既設の浴槽からこの種の浴槽
に交換することは容易なことではなく、未だ普及率が低
いのが現状である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】さらには、手摺部分を
備えた浴槽においても、浴槽本体のフランジ部や内壁面
などに手摺部分または把持部の配設による凸凹箇所が生
ずることから、浴槽内または洗い場側のスペースを狭く
していたり、却って出入の邪魔になってしまう場合があ
るなどといった問題点や、前記手摺部分の配設位置が浸
水しやすい箇所に設けられていることから湯垢などが付
き易いうえに構造的に掃除のし難い部分でもあり、手摺
部分などの周辺を清潔に維持することが難しいといった
問題点などがあった。

【０００７】また、手摺部分を備えていない浴槽に対し
てもエプロンや浴槽本体の適宜箇所に別部品からなる把
手部材などを取付ければ簡単な手摺手段にはなるが、こ
の場合でも、上記と同様な問題点が生ずることになる。

【０００８】本発明は、上記した事情のもとになされた
ものであり、その目的とするところは、手摺手段の構成
部位を主としてエプロン側に設けて浴槽本体の設計変更
等を最小限にしてなる手摺付きの浴槽を構成することに
より、使用者の必要に応じた位置に手摺手段を設定する
ことが可能であって、しかも手摺手段を備えていない既
設の浴槽に対しても手摺手段の配設が簡単で比較的安価
に実現可能となる浴槽を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明は、浴槽本体のフランジ部に形成された
折返し面に対して取付けるエプロンで洗い場を臨む本体
外周側面を隠蔽してなる浴槽において、浴槽本体の折返
し面と当接する上端部の所定範囲を切欠いて垂直面に開
口するとともに開口下辺部側に下る勾配を付けた底板と
両側の隔壁とで浴槽本体側に凹陥してなるポケット部を
形成したエプロンを設け、前記ポケット部の開口上辺部
に相当する浴槽本体の折返し面にグリップ部材を取付け
ることを特徴とし、さらには、ポケット部の配設位置お
よび間口範囲の異るエプロンを複数種類備え、選択的に
交換可能に設けて構成するものである。

【００１０】

【作用】上記構成としたことにより、エプロン上端部に
形成したポケット部と対応するフランジ部の折返し面に
取付けられたグリップ部材が手摺あるいは把手として機
能する。すなわち、入浴者が浴槽の内外を問わず手摺な
どを必要とする場合には、エプロン垂直面に表出してい
る開口からポケット部内に手を差し込んで前記グリップ
部材を掴むことができ、不要時には邪魔になることのな
い手摺手段が得られるものとなる。

【００１１】前記ポケット部はエプロン側に一体に形成
されていることから浴槽本体に対して新たに凹凸箇所を
設けるなどといった設計変更等の必要がなく、ポケット
部の開口がエプロン垂直面に面一であってグリップ部材
も浴槽上縁の一部でしかも洗い場側に位置しており、浴
槽内・洗い場のいずれの側のスペースをも侵すことがな
い。また、ポケット全体が浸水状態になることがなく、
侵入した湯水も傾斜している底板によってエプロンの外
側に流出され、湯垢などの付着も少なく清掃も容易とな
っている。

【００１２】そして、前記ポケットの形成箇所および間
口範囲が異なる複数種類のエプロンとその間口に対応し
た長さを有するグリップ部材とを設けることにより、浴
槽における手摺部分の配設位置が可変であって任意の長
さ範囲に設定可能となるばかりでなく、手摺手段などが
設けられていない既設の浴槽本体に対しても、本発明に
係るエプロン並びにグリップ部材を用いることにより簡
単に手摺手段が実現されるものとなる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
から図５を参照しながら詳細に説明する。なお、従来構
造のものと構成が重複する部分には同一符号を用い、そ
の説明は省略する。図１から図３は本発明の一実施形態
を示すものであり、浴槽本体１はフランジ部に折返し面
１１が形成されてなる従来のものと同様の構造を呈して
おり、該浴槽本体の外周側に配設されるエプロン２にお
いて、前記フランジ部の折返し面１１と当接する上端部
２１に凹陥状のポケット部３を形成し、該ポケット部３
の開口上辺部に相当する浴槽本体１の折返し面１１にグ
リップ部材４を取付けて構成するものである。すなわ
ち、図３のようにエプロンの垂直面（エプロン面）に位
置するポケット部３内に手を差し入れて前記グリップ部
材４を掴むようにしてなる手摺・把手手段を設けるもの
である。

【００１４】図２に示すように、前記ポケット部３は浴
槽本体１側に凹陥するように形成され、浴槽本体１のフ
ランジ部に設けた折返し面１１と当接する上端部２１の
所定範囲を切欠いて垂直面部に開口するとともに開口下
辺部３０側に下る勾配を設けた底板３１と該底板の両側
に形成する隔壁３２，３２とで構成される。

【００１５】図においてポケット部の底板３１は凹曲面
状に形成してポケット部内に侵入する湯水等を開口下辺
部３０側に流すように設けており、両側の隔壁３２，３
２もエプロン２の裏側への湯水の侵入を防ぐように、折
返し面１１の長さ寸法に対応させて適宜な高さ寸法をも
って形成される。なお、前記底板３１は開口下辺部側３
０に下る勾配であれば平面状に設けても良い。

【００１６】ポケット部３の間口は少なくとも手の出し
入れができる程度の幅であることが好ましく、また、一
つのエプロンにおいて複数箇所にポケット部を並設する
など、その形成位置および間口範囲は限定されるもので
はない。

【００１７】したがって、例えば図４の（Ａ）〜（Ｃ）
に示すように、ポケット部の形成箇所および範囲が異な
るエプロンを複数種類設けることが可能であり、浴槽本
体１に配設されるエプロン２を選択することにより使用
者の所望する位置にポケット部３を設定することができ
る。

【００１８】このように成形したエプロン２を浴槽本体
１に配設すると、折返し面１１とエプロン上端部２１と
は前記ポケット部３の箇所を除いて当接することから通
常通りにエプロン２の取付けがなされる。そして、ポケ
ット部３に対応する範囲にある折返し面１１の端辺は、
そのままポケット部３の開口上辺部に相当することにな
り、前記したグリップ部材４は、この開口上辺部の範囲
内に取付けられるのである。

【００１９】図５はグリップ部材を示すものである。該
グリップ部材４は弾性ゴムや軟質塩化ビニルなどにより
成形され、配設方向（長手方向）に溝状に設けた嵌合部
４１で前記折返し面１１の端辺を両側から挾むようにし
て設けてあり、接着剤あるいは粘着剤などを介して取付
けられる。把持の対象となる箇所の形状は、（Ａ）のよ
うに手指が掛かり易い波型状の部分を設けることが好ま
しく、さらには、浴槽本体側に断面鋸歯状のすべり止め
部分（Ｂ）などを設けたり、水切れを良くするように先
細り状に設ける（Ｃ）などして成形しても良く、また、
（Ｄ）のように表面部側を硬質塩化ビニル層４ｂで形成
して耐汚染性を高めたり、表面全体に抗菌加工を施すな
どして設けられる。

【００２０】なお、前記グリップ部材４においては、よ
り確実で強固な取付状態とするために、符号４ａに示す
ようなボスを前記嵌入部４１に適宜間隔をもって形成し
て設けても良い。この場合、折返し面１１の対応箇所に
は前記ボス４ａが差込まれる略同口径の係止孔を穿設す
る必要がある。このボス４ａにより使用時の負荷に対す
る抗力が得られることから、グリップ部材４はさらに脱
落し難くなり、使用時の安全性も確保されるものとな
る。

【００２１】このような構成としたことにより、施工に
際しては、ポケット部の形成位置等が異なっている複数
種類のエプロンの中からポケット部が使用者の所望する
箇所に形成されているエプロンを選択して浴槽本体の外
周側部に配設し、当該エプロンと組合わせに設けた前記
グリップ部材を、浴槽本体フランジ部の折返し面に取付
ければ、手摺・把手付きの浴槽が実現される。

【００２２】したがって、手摺手段を有していない既設
の浴槽に対しても、本発明に係るエプロンに交換してポ
ケット部の開口上辺部に相当する折返し面にグリップ部
材を取付ければ、簡単でしかも安価に手摺・把手付きの
浴槽に変えることができる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
浴槽本体のフランジ部に形成された折返し面に対して
取付けるエプロンで洗い場を臨む本体外周側面を隠蔽し
てなる浴槽において、浴槽本体の折返し面と当接する上
端部の所定範囲を切欠いて垂直面に開口するとともに開
口下辺部側に下る勾配を付けた底板と両側の隔壁とで浴
槽本体側に凹陥してなるポケット部を形成したエプロン
を設け、前記ポケット部の開口上辺部に相当する浴槽本
体の折返し面にグリップ部材を取付け、さらに、ポケッ
ト部の配設位置および間口範囲の異るエプロンを複数種
類備え、選択的に交換可能に設けたことにより、エプロ
ンの上端部に形成したポケット部と対応する折返し面に
取付けられるグリップ部材が手摺あるいは把手として機
能するものとなる。

【００２４】ポケット部の開口はエプロン垂直面に面一
であってグリップ部材も浴槽本体の折返し面側の一部で
しかも洗い場側に位置することから、浴槽内、洗い場の
いずれの側からもグリップ部材を掴むことができるうえ
にスペースをも侵すことがなく、入浴者に対して不自由
さを与えることがないといった優れた効果を奏するもの
である。

【００２５】また、ポケット部全体が浸水状態になるこ
とがなく、ポケット部内に湯水が侵入した場合にも、傾
斜している底板並びに隔壁によってエプロンの外側に流
出される構造を呈していることから、湯垢の付着などに
よる汚れも少なく、清掃も容易であって衛生的に使用で
きる。

【００２６】さらには、手摺手段を有していない既設の
浴槽に対しても、本発明に係るエプロンに交換してポケ
ット部に対応する浴槽本体の折返し面にグリップ部材を
取付ければ、簡単でしかも安価に手摺・把手付きの浴槽
に変えることができるといった効果を奏するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施形態を示す説明図である。

【図２】 本発明の要部を分解して示す説明図である。

【図３】 本発明の使用状態を示す断面図である。

【図４】 本発明に係るエプロンにおけるポケット部の
配置例を示す説明図である。

【図５】 本発明に係るグリップ部材を示すものであ
り、（Ａ）は正面図、（Ｂ）〜（Ｄ）は断面図である。

【図６】 従来の浴槽を示す説明図である。

【図７】 図６のＡ−Ａ線に沿って示す断面図である。

【符号の説明】

１……浴槽本体部、１１……折返し面、２……エプロ
ン、２１……エプロン上端部、３……ポケット部、３０
……開口下辺部、３１……底板、３２……隔壁、４……
グリップ部材、４１……嵌合部、４ａ……ボス

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 浴槽本体のフランジ部に形成された折返
   し面に対して取付けるエプロンで洗い場を臨む本体外周
   側面を隠蔽してなる浴槽において、 浴槽本体の折返し面と当接する上端部の所定範囲を切欠
   いて垂直面に開口するとともに開口下辺部側に下る勾配
   を付けた底板と両側の隔壁とで浴槽本体側に凹陥してな
   るポケット部を形成したエプロンを設け、前記ポケット
   部の開口上辺部に相当する浴槽本体の折返し面にグリッ
   プ部材を取付けることを特徴とする浴槽。
2. 【請求項２】 ポケット部の配設位置および間口範囲の
   異るエプロンを複数種類備え、選択的に交換可能に設け
   たことを特徴とする請求項１に記載の浴槽。