JPH09151512A - 浴室の洗い場構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗い場に洗面器台を設けた場合でも、大幅の
コストアップを招かず、かつ、洗い場の使い勝手も悪く
ならない浴室の洗い場構造を提供する。 【解決手段】 排水トラップ１２に通じる洗い場Ａ用の
排水孔３ａが、水栓金具１０の吐水部１０ａの下方に配
置されている浴室の洗い場構造において、排水孔３ａを
覆うように洗い場Ａに着脱容易に設置されるトラップカ
バー１３の上部に、水栓金具１０の吐水部１０ａからの
給水が可能で、洗い場Ａの床面Ｐより一段高い洗面器Ｓ
用の載置部２０を形成するとともに、このトラップカバ
ー１３の下部に、排水孔３ａに係合する突起部３５と、
洗い場Ａ上の排水を排水孔３ａに導く溝部３６とを形成
して、トラップカバー１３を洗面器台としても機能させ
るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、浴室の洗い場構
造に関するものであり、詳しくは、排水トラップに通じ
る洗い場用の排水孔が、水栓金具の吐水部の下方に配置
されている浴室の洗い場構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】浴室の洗い場Ａでは、入浴者は風呂イス
Ｈに座った楽な姿勢で体を洗うが、洗顔等を行なう場合
には、図７の（ａ）で示されるように、水栓金具１００
の下方に置かれた洗面器Ｓを使用する必要があるため、
腰を強く曲げた低い姿勢をとる必要があった。このた
め、入浴時の洗顔等は、高齢者等にとってはつらい動作
となっていた。

【０００３】そこで、図７の（ｂ）で示されるように、
水栓金具１００下方の、洗い場Ａの床パンの一部を上方
に持ち上げて、洗面器台１０１を形成したり、図８の
（ａ）、（ｂ）で示されるように、水栓金具１００の下
方に別置の洗面器台１０２を置いたり、水栓金具１００
の下方にカウンタータイプの洗面器台１０３を取り付け
たりすることが考えられる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図７の
（ｂ）で示されるように、床パンの一部を上方に持ち上
げることにより洗面器台１０１を形成する場合には、図
９の（ａ）、（ｂ）で示されるように、洗い場Ａに、通
常と異なる排水勾配Ｋをつける必要があるとともに、通
常と異なる位置に排水孔Ｐ１や排水溝Ｐ２を設ける必要
が生じ、その分、洗い場Ａの製作費が大幅にアップして
しまうという問題が生じる。また、洗面器台１０１は移
動できないため、使用しない場合（例えば、介護が必要
な身体不自由者を入浴させる場合）に、この洗面器台１
０１がじゃまになり、洗い場Ａの使い勝手が悪くなって
しまうという問題も生じる。

【０００５】一方、図８の（ａ）で示されるように、別
置タイプの洗面器台１０２を洗い場Ａに設ける場合に
は、この洗面器台１０２が洗い場Ａの床上を移動しやす
いため、例えば入浴のたびにこの洗面器台１０２を水栓
金具１００の下方に移動させる必要が生じ、洗い場Ａの
使い勝手が悪いという問題が生じる。また、この洗面器
台１０２周りに、入浴時の排水が溜まり易く、この点で
も、洗い場Ａの使い勝手が悪いという問題が生じる。

【０００６】さらに、図８の（ｂ）で示されるように、
水栓金具１００の下方にカウンタータイプの洗面器台１
０３を設ける場合には、大掛かりな部材追加が必要とな
り、大幅なコストアップが生じてしまう。また、この場
合も、洗面器台１０３を使用しない場合に、これがじゃ
まになり、洗い場の使い勝手が悪くなってしまうという
問題も生じる。

【０００７】この発明は、以上の点に鑑み、洗い場に洗
面器台を設けた場合でも、大幅なコストアップを生じ
ず、かつ、洗い場の使い勝手も悪くならない浴室の洗い
場構造を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明の請求項１記載
の発明は、排水トラップに通じる洗い場用の排水孔が、
水栓金具の吐水部の下方に配置されている浴室の洗い場
構造において、排水孔を覆うように洗い場に着脱容易に
設置されるトラップカバーの上部に、水栓金具の吐水部
からの給水が可能で、洗い場の床面より一段高い洗面器
用の載置部を形成するとともに、このトラップカバーの
下部に、排水孔に係合する突起部と、洗い場上の排水を
排水孔に導く溝部とを形成して、トラップカバーを洗面
器台としても機能させるようにしたことである。

【０００９】この発明では、洗い場の床面より一段高い
トラップカバーの載置部に洗面器を載置して、この洗面
器に水栓金具の吐水部から給水しつつ、洗顔等ができる
ため、風呂イス等に座した入浴者は、洗顔時等に、腰を
強く曲げることなく、楽に入浴できる。この場合、トラ
ップカバーの下部には、排水孔に係合する突起部を有し
ているための、トラップカバーが洗い場の床上を自由に
動いてしまうことはない。また、トラップカバーの下部
には、洗い場上の排水を排水孔に導く溝部が形成されて
いるため、トラップカバー周りの排水も速やかに排水孔
に流される。

【００１０】この発明の請求項２記載の発明は、請求項
１記載の発明の場合において、トラップカバーが、洗面
器の載置部となるスノコ部と、このスノコ部が上部側に
取り付けられるとともに、突起部と溝部とが形成され、
かつ、スノコ部を通過した排水を排水孔に導く通水孔が
形成された台部とを有して構成されていることである。

【００１１】この発明では、トラップカバー上に洗面器
等からの排水を流しても、この排水はスノコ部を通っ
て、このスノコ部が取り付けられた台部の通水孔から排
水孔内に速やかに流される。したがって、トラップカバ
ー周りに排水が溜まったり、トラップカバーの上面から
排水が跳ねて、周りに飛び散ってしまうこともない。ま
た、洗面器は表面に凹凸があるスノコ部上に載置される
ため、この洗面器がトラップカバーからすべり落ちてし
まうこともない。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面を参照しつつ説明する。図１はこの発明の一実施の形
態に係る洗い場構造を備えた浴室の外観斜視図である。

【００１３】この浴室では、図１で示されるように、凹
状の浴槽１の上縁部外方が平らなカウンター部２により
覆われ、このカウンター部２が、浴槽１の長手方向に沿
うように形成された洗い場床３の後端側まで延びて、こ
の洗い場床３の後端に小物置台４が形成されている。洗
い場床３はカウンター部２や小物置台４をより一段低く
形成されており、この洗い場床３とカウンター部２や小
物置台４を連結するように、上下方向にエプロン部５が
形成されている。そして、カウンター部２、小物置台
４、洗い場床３の外周部に形成された壁載せ部上に、壁
パネル６やドア（図示せず）等が取り付けられ、これら
の上に天井パネル７が取り付けられている。また、壁パ
ネル６には、化粧鏡８や照明器具１５等が取り付けられ
ており、カウンター部２には、浴槽１に湯を供給する水
栓金具９が取り付けられている。

【００１４】小物置台４下方のエプロン部５には、下向
きに吐水部１０ａを有した洗い場Ａ用の水栓金具１０が
取り付けられている。この水栓金具１０には、シャワー
セット１１が接続されていて、この水栓金具１０によ
り、吐水部１０ａ側とシャワーセット１１側とに、湯を
切り替えて供給できるようになっている。

【００１５】この水栓金具１０の吐水部１０ａ下方の洗
い場床３には、排水孔３ａが形成されていて（図５参
照）、この排水孔３ａの下方の洗い場床３の裏面側に、
排水トラップ１２が取り付けられている（図５参照）。
そして、この排水孔３ａを覆うように、洗い場床３上に
は、洗面器台を兼ねたトラップカバー１３が置かれてい
る。また、洗い場床３のエプロン部５側端部には、凹状
の排水溝３ｂ，３ｃが形成されていて、洗い場床３の床
面Ｐ上の排水が、この排水溝３ｂ，３ｃに集められた
後、排水孔３ａを通って、排水トラップ１２側に流され
るようになっている。すなわち、洗い場床３の床面Ｐ
は、排水溝３ｂ，３ｃ側に向かって下向きに傾斜する排
水勾配Ｋを有している。

【００１６】なお、洗い場Ａは、例えば、洗い場床３
と、小物置台４と、水栓金具１０と、排水トラップ１２
と、トラップカバー１３とから形成されているものとす
る。

【００１７】つぎに、トラップカバー１３について詳細
に説明する。トラップカバー１３は、排水孔３ａの上部
を覆うとともに、洗い場床３上の排水を排水孔３ａから
排水トラップ１２側に流し込むいわゆるトラップカバー
としての機能と、洗面器Ｓを洗い場床３の床面Ｐから所
定高さだけ持ち上げる洗面器台としての機能とを有する
ものであり、図２や図３で示されるように、洗面器Ｓの
載置部となるスノコ部２０と、スノコ部２０が取り付け
られる台部３０とから構成されている。スノコ部２０
は、半円弧状の細長いバー部２１が一定の隙間２２を有
するように複数並べられたものであり、バー部２１の
前、後端側がバー部２１を一体化するように連結されて
いる。そして、このスノコ部２０の、化粧鏡８下方のエ
プロン部５側とその逆側の下部には、図５で示されるよ
うに、下向きに脚部２３，２４が形成されているととも
に、スノコ部２０の上記エプロン部５側中央には、凹部
２５が形成されている。

【００１８】台部３０は、所定の高さを有するものであ
り、図５で示されるように、中空に形成されていて、容
易に持ち運びできるようになっている。台部３０の上面
には、図３で示されるように、外周部に、スノコ部２０
を収容するためのコの字形の堤部３１が形成されている
とともに、この堤部３１内の中央部にスノコ部２０から
の排水を下方に流す通水孔３２が形成されている。ま
た、台部３０の上面側には、通水孔３２周りに、この通
水孔３２に向かって下向きに傾斜する傾斜面３３が形成
されているとともに、堤部３１が形成されていない前端
側の上面に、スノコ部２０の凹部２５に係合して、スノ
コ部２０のずれ落ちを防止する突起部３４が形成されて
いる。なお、スノコ部２０は、上端が、堤部３１の上面
と面一となるように、堤部３１内に載置される。

【００１９】台部３０の下面側には、図４で示されるよ
うに、通水孔３２の両側に、排水孔３ａ内に落とし込ま
れて、この台部３０を洗い場床３に位置決めする一対の
突起部３５が形成されているとともに、外周部に（コ）
の字形の脚部３６が形成されている。また、台部３０の
下面側には、後端側から通水孔３２まで、洗い場床３の
床面Ｐ上の排水を排水孔３ａまで導く通水溝３７が形成
されている。なお、台部３０の前部側には脚部３６は設
けられておらず、洗い場床３の床面Ｐ上の排水は、この
台部３０の前部側からも排水孔３ａに流れ込めるように
なっている。

【００２０】ここで、トラップカバー１３は、スノコ部
２０および台部３０とも、プラスチック材により形成さ
れており、軽量で、洗い場床３の排水孔３ａ側に対して
容易に着脱できるようになっている。

【００２１】つぎに、トラップカバー１３を中心とした
洗い場Ａの作用・効果について説明する。洗い場Ａで
は、入浴者は、図７で示されるような風呂イスＨに腰を
掛けて、リラックスした状態で体を洗う。そして、この
時に生じた排水は、洗い場床３の床面Ｐに沿って、排水
溝３ｂ，３ｃ内に流された後、排水孔３ａを通って排水
トラップ１２内に流し込まれる。この場合、洗い場床３
の排水勾配Ｋに沿って、トラップカバー１３側に流れた
排水は、一部は台部３０の通水溝３７を通って排水孔３
ａに流し込まれるとともに、残りは、台部３０の脚部３
６に沿って排水溝３ｃ側に流された後、排水孔３ａに流
し込まれる。

【００２２】また、入浴者が洗顔や洗髪を行なう場合に
は、洗面器Ｓがトラップカバー１３上に載置できるた
め、入浴者は、腰を強く曲げることなく、楽な姿勢でこ
れらの動作を行なうことができる。この場合、トラップ
カバー１３が水栓金具１０の吐水部１０ａの下方に配置
されるため、洗面器Ｓへの湯の供給も、洗面器Ｓを移動
させないで楽に行なうことができる。また、洗顔や洗髪
時に、トラップカバー１３周りに多量の排水を流して
も、トラップカバー１３上の排水は、スノコ部２０の隙
間２２から台部３０の通水孔３２を通って、直ちに排水
孔３ａに流されるとともに、トラップカバー１３周りの
洗い場床３上の排水も、通水溝３７等を通って、直ちに
排水孔３ａに流される。このため、トラップカバー１３
周りに排水が溜ってしまうこともない。

【００２３】さらに、洗面器Ｓが載置されるトラップカ
バー１３の上部には、スノコ部２０によって表面に凹凸
が形成されているため、洗面器Ｓは、すべることなく安
定した状態で、トラップカバー１３上に載置される。ま
た、トラップカバー１３は、下部の突起部３５が排水孔
３ａ内に嵌まり込んで位置決めされるため、洗い場床３
の床面Ｐに沿って容易に移動してしまうことはなく、こ
のトラップカバー１３の使い勝手もよい。さらに、この
トラップカバー１３は、軽量で容易に持ち運びできるた
め、このトラップカバー１３や排水孔３ａ周りの清掃も
容易であるとともに、スノコ部２０と台部３０とが別体
となるように形成されているため、トラップカバー１３
の製作も容易である。

【００２４】また、このトラップカバー１３を使用しな
い場合には、図６で示されるように、通常のトラップカ
バー１４を、排水孔３ａに嵌め込んでおけばよいため、
使用しない場合にこのトラップカバー１３がじゃまにな
ってしまうこともない。

【００２５】以上のように、水栓金具１０の下方に排水
孔３ａを設け、この排水孔３ａを、洗面器台を兼ねたト
ラップカバー１３で覆った洗い場Ａでは、トラップカバ
ー１３を洗面器台として使用できるため、洗面器台を特
別に設ける場合に比べて、コストアップを抑えることが
できるとともに、洗面器台に起因して、洗い場Ａの使い
勝手が悪くなってしまうこともない。

【００２６】なお、スノコ部２０と台部３０とが一体に
なるように、トラップカバー１３を形成してもよい。

【００２７】また、洗い場Ａ側に水栓金具１０を設け
ず、浴槽Ｙ用の水栓金具９の吐水部を洗い場Ａ側に回動
できるようにし、この吐水部からトラップカバー１３上
の洗面器Ｓに給湯等ができるようにした洗い場Ａであっ
ても、同様な効果を得ることができる。

【００２８】

【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るので、以下に記載されるような効果を奏する。

【００２９】この発明の請求項１記載の発明によれば、
排水トラップに通じる洗い場用の排水孔が、水栓金具の
吐水部の下方に配置されている浴室の洗い場構造におい
て、排水孔を覆うように洗い場に着脱容易に設置される
トラップカバーの上部に、水栓金具の吐水部からの給水
が可能で、洗い場の床面より一段高い洗面器用の載置部
を形成するとともに、このトラップカバーの下部に、排
水孔に係合する突起部と、洗い場上の排水を排水孔に導
く溝部とを形成して、トラップカバーを洗面器台として
も機能させるようにしたので、洗い場に洗面器台を設け
た場合でも、大幅なコストアップを生じず、かつ、洗い
場の使い勝手も悪くならない。

【００３０】この発明の請求項２記載の発明によれば、
請求項１記載の発明の場合において、トラップカバー
が、洗面器の載置部となるスノコ部と、このスノコ部が
上部側に取り付けられるとともに、突起部と溝部とが形
成され、かつ、スノコ部を通過した排水を排水孔に導く
通水孔が形成された台部とを有して構成されているの
で、トラップカバー周りの排水の流れがよくなるととも
に、洗面器も安定した状態で、トラップカバー上に載置
できるようになる。また、トラップカバーの製作の容易
化も図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施の形態に係る洗い場構造を備
えた浴室の外観斜視図である。

【図２】図１で示される浴室のトラップカバー周りの外
観斜視図である。

【図３】トラップカバーの分解斜視図である。

【図４】トラップカバーの裏側の斜視図である。

【図５】トラップカバーが取り付けられた排水孔周りの
断面図である。

【図６】排水孔に他のトラップカバーを取り付けようと
している図である。

【図７】洗顔時の状態を示す図であり、（ａ）は洗面器
台が無い場合を示し、（ｂ）は床パンの一部を洗面器台
とした場合を示す。

【図８】洗い場に種々の洗面器台を設置した状態を示す
図であり、（ａ）は移動自由な洗面器台を設置した場合
を示し、（ｂ）はカウンタータイプの洗面器台を設置し
た場合を示す。

【図９】床パンの一部を洗面器台とした場合の床面の排
水傾斜等を示す図である。

【符号の説明】 ３ａ 排水孔 １０ 水栓金具 １０ａ 吐水部 １２ 排水トラップ １３ トラップカバー ２０ スノコ部（載置部） ３０ 台部 ３２ 孔部 ３５ 係合突起（突起部） ３６ 通水溝（溝部）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排水トラップに通じる洗い場用の排水孔
   が、水栓金具の吐水部の下方に配置されている浴室の洗
   い場構造において、 上記排水孔を覆うように洗い場に着脱容易に設置される
   トラップカバーの上部に、上記水栓金具の吐水部からの
   給水が可能で、洗い場の床面より一段高い洗面器用の載
   置部を形成するとともに、このトラップカバーの下部
   に、上記排水孔に係合する突起部と、洗い場上の排水を
   上記排水孔に導く溝部とを形成して、上記トラップカバ
   ーを洗面器台としても機能させるようにしたことを特徴
   とする浴室の洗い場構造。
2. 【請求項２】 前記トラップカバーが、前記洗面器の載
   置部となるスノコ部と、このスノコ部が上部側に取り付
   けられるとともに、前記突起部と前記溝部とが形成さ
   れ、かつ、上記スノコ部を通過した排水を前記排水孔に
   導く通水孔が形成された台部とを有して構成されている
   ことを特徴とする請求項１記載の浴室の洗い場構造。