JPH10113943A - 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の連続製造方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の連続製造方法

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JPH10113943A
JPH10113943A JP8272330A JP27233096A JPH10113943A JP H10113943 A JPH10113943 A JP H10113943A JP 8272330 A JP8272330 A JP 8272330A JP 27233096 A JP27233096 A JP 27233096A JP H10113943 A JPH10113943 A JP H10113943A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
fiber
resin sheet
reinforced thermoplastic
hollow body
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Withdrawn
Application number
JP8272330A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Sugawara
宏 菅原
Koji Fujimoto
浩司 藤本
Satoyuki Kobayashi
智行 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 断面形状が複雑であっても、また、発泡倍率
が高くとも、容易かつ高い生産性のもとに繊維強化熱可
塑性樹脂発泡体を製造することのできる方法を提供す
る。 【解決手段】 1枚または複数枚の繊維強化熱可塑性樹
脂シート110a,110bを連続的に中空状体Tに賦
形し、その内部に、発泡性熱可塑性樹脂粒状体111a
が発泡性熱可塑性樹脂膜体111bによって均一に分散
配置された状態で一体化されてなる発泡性熱可塑性樹脂
シート状体111を供給し、加熱することにより、可塑
化された中空状体T内に発泡樹脂を充満させ、その発泡
圧により中空状体Tを規制部材48に沿わせて所望断面
形状に賦形する。規制部材48との間の摩擦抵抗に抗し
て成形体を引き取るために必要な抗張力は強化繊維が担
うため、製造過程で樹脂自体に抗張力を付与することな
く、かつ、高い発泡倍率でも繊維強化熱可塑性樹脂発泡
体の容易且つ効率的な製造を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂発泡
体からなる芯材層の表面を、繊維強化熱可塑性樹脂から
なる表皮層で覆った構造を持つ繊維強化熱可塑性樹脂発
泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】横断面形状が異形形状をした長尺の発泡
成形体は、近年、内外装用建材その他の分野で広く用い
られている。
【0003】このような長尺異形形状の樹脂発泡体を連
続的に製造する方法として、従来、特公昭47−119
07号公報には、発泡性樹脂組成物をダイスを通じてパ
イプ状あるいは空洞形状に押出成形すると同時に発泡さ
せ、その後、樹脂がまだ可塑状態にあるうちに、その押
出成形した形状と異なる断面形状を有する真空サイジン
グ金型を通過させることによって、用いる真空サイジン
グ金型の断面形状と同等の断面形状を持つ異形断面形状
の発泡成形体を得る方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の提案方法において、発泡成形体に所望の断面形状お
よび表面性を付与するためには、パイプ状あるいは空洞
形状の押出形成品をサイジング金型に密着させる必要が
あるが、その際、サイジング金型により大きな摩擦抵抗
が生じるため、成形体にはそれに見合う抗張力が必要と
なる。そのためには、押出された発泡樹脂をサイジング
金型にて急冷し、抗張力を付与しなければならない。従
ってこの提案方法を実用化するためには、成形条件やサ
イジング金型断面形状等、総合的にバランスをとりなが
ら成形する必要がある。最終的な発泡成形品の断面形状
が単純な形状であれば、上記のような総合的バランスを
とりながら成形することも可能であるが、部分的に肉厚
の異なる成形品等、上記摩擦抵抗が部分的に異なるよう
な複雑な断面形状を持つ発泡成形品を得ようとしたとき
には、単にサイジング金型の断面形状のみを変更して成
形することは極めて困難である。
【0005】また、以上の提案方法においては、高発泡
倍率の発泡体を得ようとした場合、発泡体を冷却固化し
たとしても充分な抗張力を得られず、成形体が長手方向
に延伸されたり、あるいは成形途上において破断してし
まうなどの不具合が発生するため、高発泡倍率の発泡体
を得ることも困難である。
【0006】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、最終断面形状が複雑な発泡成形体であっても、
また、高い発泡倍率の成形体でも容易に製造することが
でき、しかも、得られた成形体には高い強度を付与する
ことができ、もって軽量で比強度、剛性が高く、かつ、
任意の異形断面形状を持つ、建材分野等においても充分
に利用可能な発泡成形体を製造することのできる方法の
提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
は、多数の連続モノフィラメントが一方向に引き揃えら
れた状態で樹脂と一体化された層を有してなる、単層ま
たは複層の繊維強化熱可塑性樹脂シートの1枚または複
数枚を連続的に中空状体に賦形するとともに、その中空
状体の内部に、多数の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が略均
一に分散配置されるよう発泡性熱可塑性樹脂膜体を介し
て相互に一体的に連結されてなる発泡性熱可塑性樹脂シ
ート状体を供給した後、加熱により、繊維強化熱可塑性
樹脂シートを可塑化させるとともに発泡性熱可塑性樹脂
シート状体を発泡させて中空状体内部に発泡樹脂を充満
させ、その発泡圧により中空状体の外周面を規制部材に
沿わせて所望断面形状に賦形し、その形状を保持したま
ま冷却固化させることによって特徴づけられる。
【0008】以上の本発明方法によれば、繊維強化熱可
塑性樹脂シートを、例えば円形や長方形等の単純な断面
形状に連続的に賦形した中空状体の内部で、発泡性熱可
塑性樹脂シート状体を加熱発泡させることによって、同
じく加熱により可塑化された中空状体の内部空間に発泡
樹脂を充満させる。この発泡樹脂の発泡・充満によっ
て、中空状体にはその内側から外側に向かう圧力が作用
し、この圧力によって中空状体が引き抜き金型等の規制
部材に押しつけられて所望の断面形状に賦形される。こ
の規制部材による賦形に際して、成形体に作用する摩擦
抵抗に抗して成形体が規制部材を通過するときに必要な
抗張力は、繊維強化熱可塑性樹脂シート内に一方向に引
き揃えられた状態で存在する多数の連続モノフィラメン
トがその殆どを担うため、複雑な断面形状への賦形に際
しても特に困難性を伴うことなく成形条件を定めること
ができると同時に、内部の発泡層の発泡倍率を高く設定
しても容易に製造することができる。
【0009】また、本発明方法により得られた発泡成形
体は、発泡層の表面が繊維強化熱可塑性樹脂層によって
覆われた状態となるため、軽量で比強度並びに剛性の高
いものとなる。
【0010】ここで、中空状体内に供給する発泡性熱可
塑性樹脂の形態を、多数の粒状体を膜体を介して略均一
に分散配置した状態で相互に連結したものとしているた
め、単に粒状体のみを中空状体内に供給する場合に比し
て、各粒状体は中空状体内で局在化することなくことが
なく、各粒状体は均一に加熱されるとともに、その整然
と分散配置された個々の位置から3次元的に発泡するが
故に、単純なシート形状やロッド状、あるいはストラン
ド状の発泡性熱可塑性樹脂を中空状体内に供給して加熱
発泡させる場合のように、加熱により発泡する際にねじ
れたり屈曲しながら発泡することがなく、中空状体内部
を発泡樹脂によって均一に充満させることが可能とな
り、未充満部等の存在しない均質な発泡層を持つ繊維強
化熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。
【0011】本発明においては、繊維強化熱可塑性樹脂
シートに用いる樹脂並びに繊維の材質、あるいは発泡性
熱可塑性樹脂シート状体に用いる樹脂や発泡剤等の材
質、また、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製法や中空状
体への賦形、更には規制部材による中空状体の所望断面
形状への賦形の具体的方法等については、以下に示す通
りのものを採用することができる。
【0012】(1)繊維強化熱可塑性樹脂シートにつて
い (1−1)繊維強化熱可塑性樹脂シートの熱可塑性樹脂
の材質 本発明における、繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いら
れる熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、
ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
スチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
フェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテル
スルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフッ化ビニ
リデン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタ
アクリレートや熱可塑性エラストマー等を挙げることが
できる。
【0013】また、上記熱可塑性樹脂を主成分とする共
重合体やグラフト樹脂、あるいはブレンド樹脂等も使用
可能であり、このような樹脂としては、例えば塩素化ポ
リ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビ
ニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重
合体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル
−スチレン共重合体、シラン変性ポリエチレン、アクリ
ル酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレン
等を挙げることができる。また、熱可塑性エラストマー
や架橋性熱可塑性樹脂も使用可能である。
【0014】以上のような樹脂のうち、発泡成形時の発
泡温度を考慮すると、120°C〜250°Cといった
比較的低温で成形可能である、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、塩素化ポリ塩
化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル
−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合
体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−
スチレン共重合体を用いるのが好ましい。
【0015】上記熱可塑性樹脂は、単独で使用されて
も、併用すなわちポリマーアロイとして使用されてもよ
く、物性を損なわない範囲で、ジブチル錫マレートポリ
マー、ジブチル錫ビス(モノアルキルマレート)等の有
機錫マレート系、ジブチル錫ラウレート、モノブチル錫
脂肪酸塩等の有機錫ラウレート系、ジオクチル錫サルフ
ァイド、ジブチル錫3メルカプトプロピオネート等の有
機錫メルカプト系、三塩基酸硫酸鉛、塩基性亜硫酸鉛等
の鉛塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等の
金属石鹸といった熱安定剤、脂肪酸エステルワックス、
低分子量ポリエチレンワックス、金属石鹸、多価アルコ
ール、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド等の滑剤、アク
リル系樹脂、オレフィン系樹脂等の加工助剤、ジブチル
フタレート、ジオクチルフタレート等の可塑剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤、着色剤、タルク、マイカ、炭酸カ
ルシウム、フライアッシュ、木粉、合成樹脂粉砕粉、繊
維強化合成樹脂粉砕粉等の充填材が添加されてもよい。
【0016】(1−2)繊維強化熱可塑性樹脂シートの
熱可塑性樹脂の条件 本発明において、繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いら
れる樹脂は、成形温度領域にて、粘度を1×105 〜1
×107 ポイズの比較的高粘度に調整できる熱可塑性樹
脂を用いることにより、規制部材として引抜金型を用い
る場合には、その内部における断面変化の際にも繊維強
化熱可塑性樹脂層の厚みムラを抑制することができるこ
とから、成形性に優れた繊維強化熱可塑性樹脂シートが
得られ、好適である。
【0017】成形温度領域で1×105 ポイズ未満の粘
度であると、発泡樹脂の圧力差により、繊維強化熱可塑
性樹脂が流動し表皮層(強化層)の厚みにムラが生じて
しまう恐れがあり、同じく1×107 ポイズを越えた粘
度である場合、単純断面形状であれば形成できるが、複
雑な形状になると高い圧力で賦形しなければならなくな
り、発泡層を高発泡化しにくくなる。
【0018】また、引抜金型において、繊維強化熱可塑
性樹脂シートが伸長される場合があり、このような場合
には、伸長性に富んだ熱可塑性樹脂を用いるのが好まし
く、伸長性を向上させるために架橋処理を施してもよ
い。
【0019】更に、引抜金型において空気内圧を付与す
る場合には、繊維強化熱可塑性樹脂シートには気密性が
要求され、この気密性の程度は、繊維強化熱可塑性樹脂
シート中の強化繊維の体積割合や、強化繊維と熱可塑性
樹脂との密着性、あるいは断面変化の度合いや伸長変化
の程度にもよるが、気密性を付与するために繊維強化熱
可塑性樹脂シート中に、別途延伸性、気密性に富む熱可
塑性樹脂のみの層を設けてもよい。
【0020】(1−3)繊維強化熱可塑性樹脂シート中
の強化繊維 本発明において、繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いら
れる繊維の材質としては、製造工程において加えられる
熱や応力により溶融軟化や炭化、延伸変形し難いもので
あれば任意のものを使用することができ、例えば、ガラ
ス繊維、炭素繊維等の向き繊維、シリコン繊維、ボロン
繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維
等の有機合成繊維、鉄、チタン等の金属繊維や、絹、
綿、麻等の天然繊維等、補強繊維として使用可能な全て
の繊維を使用することができ、これらのうち、単一種の
繊維、もしくはこれらのうち任意の異なる種類の繊維の
混合繊維であってもよい。なお、強度、コストを考慮す
ると、ガラス繊維、炭素繊維が好ましい。
【0021】上記の繊維は、得られる繊維強化熱可塑性
樹脂シートの耐衝撃性を維持しつつ表面円滑性を損なわ
ないようにするためには、直径1〜50μm、特に3〜
25μmとすることが好ましく、長さ10mm以上の長
繊維または連続繊維を用いるのが好ましい。
【0022】また、補強効果、気密性を得るために、繊
維はフィラメント1本1本の間に熱可塑性樹脂が充分に
含浸し、保持された状態のものが好ましい。そこで繊維
と樹脂との接着性を高めるために、従来よりガラス繊維
に施されている表面処理や、繊維と樹脂との親和性を改
善するための前処理を繊維に施してもよい。
【0023】(1−4)強化繊維の形態 繊維強化熱可塑性樹脂シート内部での繊維形態として
は、少なくとも1層、連続繊維が長手方向に配された層
を有していれば、特に限定されず、例えば、長繊維がラ
ンダム配向した状態、または長繊維が相互に絡み合った
マット状、連続繊維が集束されたストランド状、繊維を
2次元ないしは3次元に織ったクロス状、更に連続フィ
ラメント1本1本が熱可塑性樹脂中に分散し、かつ、シ
ートの長手方向に引き揃えられた状態のもの等が挙げら
れる。
【0024】また、繊維強化熱可塑性樹脂シートはこれ
らの繊維形態を相互に積層した複数層の積層体としても
よい。 (1−5)繊維強化熱可塑性樹脂シートの条件 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の表皮層を形成する繊維強
化熱可塑性樹脂シートの条件として、厚みは特に限定さ
れないが、薄いと補強効果がなく、厚いと賦形が困難と
なり高い発泡圧が必要となるので、厚み0.1〜5mm
程度とすることが好ましい。繊維強化熱可塑性樹脂シー
ト中の繊維量は、少ないと充分な補強効果および成形安
定性を得ることができず、また、多いと熱可塑性樹脂が
含浸できず融着が困難となり、却って補強効果および気
密性が低下するので、5〜70%容量%とすることが好
ましい。
【0025】また、繊維強化熱可塑性樹脂シートは成形
途上に発生する剪断抵抗(規制部材との摩擦抵抗に起因
する)の殆ど全てを担うことになるため、成形温度領域
において、その長手方向への引張強度および弾性率とも
に、上記の抵抗レベルに合わせて設計される必要がある
が、一例として後述する実施例に挙げた繊維強化層とし
ては、引張強度、弾性率レベルがそれぞれ50MPa、
5GPa以上のものであり、この程度の引張強度および
弾性率を有するシートを用いることにより、成形途上に
おいて繊維強化熱可塑性樹脂シートが長手方向に歪むこ
となく、また破断することもなく、安定して成形するこ
とができた。
【0026】(1−6)繊維強化熱可塑性樹脂シートの
製造方法 本発明で使用される繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造
方法については特に限定されないが、例えば以下の方法
を採用することができる。
【0027】強化繊維が一方向に引き揃えられた状態で
配された繊維形態を有する繊維強化熱可塑性樹脂シート
を得ようとするときには、流動槽内に粉体状熱可塑性樹
脂を入れ、槽底に設けた多孔板から空気を噴出させるこ
とによりその樹脂粉を流動化状態として、その中にガイ
ドロールにより誘導された繊維束を複数本通過させ、熱
可塑性樹脂付着繊維束とし、その後加熱ロールを通過さ
せることによって繊維に熱可塑性樹脂を含浸させ、冷却
ロールを通過させることによって所望の繊維強化熱可塑
性樹脂シートを得る。
【0028】また、繊維がランダムな状態で配されてい
る層を含む繊維強化熱可塑性樹脂シートを得ようとする
ときには、その層は、上記のようにして得られた熱可塑
性樹脂付着繊維束を、ロータリーカッターで細断して無
端ベルト上に落下させて集積し、その上から別の無端ベ
ルトを押しつけて、上下の無端ベルト間で挟みつつ加圧
して加熱炉内を通過させ、細断された繊維に熱可塑性樹
脂を含浸させ、その後冷却ガイドロールを通過させるこ
とによって、所望の繊維強化熱可塑性樹脂シートを得
る。
【0029】一方、溶融粘度が低い樹脂を使用する場合
には、熱可塑性樹脂を溶融状態で繊維基材中に直接浸透
させて繊維強化熱可塑性樹脂シートを得ることができ
る。この際、複合化された後、熱可塑性樹脂が溶融時に
自重により流動しないものである必要がある。そのた
め、複合化の後、架橋処理等により熱可塑性樹脂を高分
子化し、あるいは変性することにより、溶融粘度を高く
することが必要である。
【0030】(2)発泡性熱可塑性樹脂シート状体につ
いて (2−1)発泡性熱可塑性樹脂シート状体に使用される
熱可塑性樹脂の材質と条件 熱可塑性樹脂発泡層に使用される熱可塑性樹脂、従って
発泡性熱可塑性樹脂シート状体に使用される熱可塑性樹
脂の材質としては、発泡体として連続的に成形できるも
のであれば、基本的には任意のものを使用可能である
が、繊維強化熱可塑性樹脂シートに使用される熱可塑性
樹脂と熱融着性を有するものが好ましい。しかし、接着
層を介して接合され、かつ、その接合により、規制部材
による賦形工程での加熱および次段の冷却固化工程を経
た後、繊維強化熱可塑性樹脂層と発泡体層が容易に剥離
しないものであれば使用可能である。また、この発泡性
熱可塑性樹脂シート状体の樹脂は、製品成形温度領域に
おいて、繊維強化熱可塑性樹脂シートとともに可塑化状
態となり、かつ、繊維強化熱可塑性樹脂シートの熱可塑
性樹脂よりも粘度の低い、流動しやすいものであること
が好ましい。更に、製品用途にもよるが、発泡体自体に
は硬質、軟質の別は問わない。
【0031】(2−2)発泡性熱可塑性樹脂シート状体
の条件 本発明に使用される発泡性熱可塑性樹脂シート状体は、
図4にその短手方向に沿った模式的断面端面図を例示す
るように、発泡性熱可塑性樹脂膜体111bに発泡性熱
可塑性樹脂粒状体111aが短手方向並びに長手方向に
略均一に分散配置されたものである。すなわち、個々の
発泡性熱可塑性樹脂粒状体111aが発泡性熱可塑性樹
脂膜体111bを介して一体的に相互に連結された状態
のものである。
【0032】発泡性熱可塑性樹脂粒状体111aの形状
は特に限定されず、例えば六方体、円柱、球状体等が挙
げられるが、発泡性熱可塑性樹脂粒状体111aが発泡
する際に、均一に発泡しやすいことから、円柱が最も好
ましい。
【0033】粒状体の大きさ、間隔および膜体の厚さ
は、繊維強化熱可塑性樹脂シートを賦形して得られた中
空状体の断面形状によって異なり、目的とする成形体の
発泡倍率にもよるため、特に限定されないが、これらは
以下の範囲内にすることが好ましい。
【0034】粒状体の大きさについては、大きすぎると
発泡速度が低下し、小さすぎると発泡時の加熱により粒
状体が変形してしまうため、いずれも好ましくない。円
柱の場合、その直径としては1〜20mmの範囲が好ま
しく、2mm〜10mmが特に好ましい。また、円柱の
高さとしては3mm〜30mmが好ましく、5mm〜2
0mmとすることが特に好ましい。
【0035】また、粒状体相互の間隔としては、長すぎ
ると発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡したときに充填不
足が発生する可能性があり、短すぎると加熱によって軟
化した粒状体どうしが、発泡する以前に密着してしま
い、均一な加熱および発泡をさせることが難しくなるた
め、2mm〜30mmとすることが好ましく、3mm〜
20mmが特に好ましい。
【0036】発泡性熱可塑性樹脂膜体の厚さについて
は、厚すぎると、加熱時に幅方向、長手方向の膨張が大
きくなり、発泡性熱可塑性樹脂粒状体を移動させ、薄す
ぎると加熱により膜体が軟化した際、発泡性熱可塑性樹
脂粒状体を保持できなくなるため、0.1mm〜3mm
が好ましく、0.2〜2mmが特に好ましい。
【0037】また、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、得ら
れる発泡体の発泡倍率が部分的に不均一にならないよう
に、膜体への分散配置状態は可能な限り均一とすること
が望ましい。この粒状体の配置状況を、例えば格子状や
千鳥配置とすることにより、発泡成形体を断面形状を四
角形や六角形に賦形するのに好都合である。
【0038】また、この発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、
発泡性熱可塑性樹脂膜体の片面および両面のいずれに配
置されてもよい。 (2−3)発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法 本発明で用いられる発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製
造方法は、上記した形態のものが得られる方法であれば
任意の方法を採用することができ、特に限定されるもの
ではないが、例えば図2に示すように、発泡性熱可塑性
樹脂シート状体を構成する熱可塑性樹脂、熱分解型発泡
剤等を押出機31に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度
より低い温度で溶融混練した後、シート形態で押出し、
その片面が発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状に対応した
凹部33aを有する、図3に正面図を示すようなロール
33に、他の面が凹部を有さない平坦な表面を持つロー
ル34に、それぞれ押しつけられるように挟み込むこと
によって賦形しながら、冷却することにより、前記した
図4に模式的横断面端面図に示されるような、所定厚さ
の発泡性熱可塑性樹脂膜体111bの片面に発泡性熱可
塑性樹脂粒状体111aが均一に分散配置されてなる発
泡性熱可塑性樹脂シート状体111を得る方法を挙げる
ことができる。
【0039】また、上記と同様にシート形態で発泡性熱
可塑性樹脂を押出した後、図10に例示するように、そ
れぞれが凹部33aを有する一対のロール33,33間
を通過させることにより、図11に模式的横断面図を例
示するような、所定厚さの発泡性熱可塑性樹脂膜体11
1bの両面にそれぞれ発泡性熱可塑性樹脂粒状体111
aが均一に分散配置されてなる発泡性熱可塑性樹脂シー
ト状体111′を得る方法を採用することもできる。
【0040】なお、以上の各方法において用いられるロ
ール33の凹部33aの配置としては、図3のような千
鳥配置のほか、図12に示すような格子状の配置として
もよい。
【0041】(2−4)発泡性熱可塑性樹脂シート状体
の中空状体内への供給方法 本発明において、発泡性熱可塑性樹脂シート状体を中空
状体内に供給する方法としては、加熱を均一に行える方
法であれば特に限定されず、従来から公知の方法を採用
することができる。例えば、繊維強化熱可塑性樹脂シー
トを円形断面形状に賦形する場合には、発泡性熱可塑性
樹脂シート状体はその内面に沿うように断面円形に賦形
しつつ供給し、また、繊維強化熱可塑性樹脂シートを平
板中空状に賦形する場合には、発泡性熱可塑性樹脂シー
ト状体を1層あるいは複数層の平板状として供給する方
法を採用することができる。 (3)繊維強化熱可塑性樹脂シートを中空状体に賦形す
る方法 本発明において繊維強化熱可塑性樹脂シートを中空状体
に賦形する方法は、特に限定されず、例えば、実施例に
おいて後述するような金型を用いる方法のほかに、合成
樹脂製のシューやロール等で徐々に曲げていく方法を採
用することができる。中空状への賦形に際しては、遠赤
外線ヒータや熱風ブロアで加熱することにより、熱可塑
性樹脂を可塑状態としながら賦形する。
【0042】なお、本発明でいう「中空状体」とは、シ
ートの端部どうしが突き合わされた状態で中空状に賦形
されたもののほか、同じく端部どうしが相互に重なりあ
った状態で中空状に賦形されたものをも含む。
【0043】また、繊維強化熱可塑性樹脂シートを中空
状体に賦形するに当たっては、複数枚のシートを互いに
平行に、かつ、その長手方向の一側縁部どうしが重なり
あった状態として、その全体で1つの中空状体を形成し
てもよい。
【0044】(4)規制部材による中空状体並びにその
内部の発泡樹脂の賦形(断面変化の方法) 本発明においては、繊維強化熱可塑性樹脂シートからな
る中空状体と、その内部に供給された発泡性熱可塑性樹
脂シート状体を加熱し、繊維強化熱可塑性樹脂シートを
可塑化するとともに、発泡性熱可塑性樹脂シート状体を
発泡させる際、その発泡圧により、中空状体の外周面
を、その形状を規制するための規制部材に沿わせること
によって、全体としての断面形状を変化させる。
【0045】ここで言う規制部材とは、後述の実施例に
用いるような引抜金型のほか、成形品の最終形状が例え
ば単純な矩形形状等である場合において使用可能な、一
定間隔で配置されたロールや1対または2対のベルト等
を言う。
【0046】そして、加熱により、発泡性熱可塑性樹脂
シート状体を繊維強化熱可塑性樹脂シートからなる中空
状体内で発泡させて充満させ、これによって生じる圧力
により、中空状体の外周面を規制部材の表面に圧着させ
ることができるように、その発泡圧力を設定する。
【0047】この発泡圧力は、オーバーパック率の調整
によって任意に設定することができる。オーバーパック
率は発泡性熱可塑性樹脂の種類、伸長粘度、溶融粘度等
によって異なるため、一様にその範囲を規定することは
できないが、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチ
レン)、PVC(ポリ塩化ビニル)の場合には1.2〜
5の範囲とすることが好ましく、更に1.2〜2の範囲
がより好ましい。オーバーパック率が1.2未満である
と、発泡性熱可塑性樹脂粒状体どうしが発泡しても密着
せずに間隙が生じ、5を越えると発泡圧力が高くなりす
ぎて、規制部材との界面に発生する剪断応力により繊維
強化熱可塑性樹脂シートが破断してしまうことがある。
【0048】ここで言うオーバーパック率とは、発泡性
樹脂の体積を規制して発泡させたときに得られる発泡体
の体積に対する、その発泡樹脂を大気圧中において自由
に発泡させたときの発泡体の体積の比のことを指す。
【0049】また、中空状体内部に発泡樹脂を充満させ
た段階での規制部材にかかる発泡圧力としては、0.3
〜7kg/cm2 の範囲、更に好適には0.5〜4kg
/cm2 の範囲に調整される。更に、断面変化後の、規
制部材にかかる発泡圧力としては、断面形状およびその
各部位によって異なるが、0.3〜4kg/cm2 に調
整される。
【0050】つまり、中空状体内部に発泡樹脂を0.3
kg/cm2 の低圧で充満させた場合には、その中空状
体の断面積を維持するか、縮小するように断面変化させ
ることによって、その圧力が0.3〜4kg/cm2
なるように調整し、中空状体内部に発泡樹脂を4kg/
cm2 の高圧で充満させた場合には、中空状体の断面積
を維持するか、拡大するように断面変化させることによ
って、その圧力が0.3〜4kg/cm2 となるように
に調整する。更に2〜3kg/cm2 の中間圧力にて発
泡樹脂を中空状体内に充満させた場合には、中空状体の
断面形状を部分的に拡大させたり、縮小させたりして、
断面変化後の圧力が適正な圧力範囲に収まるように調整
する。いずれの場合も、発泡圧力が0.3kg/cm2
未満であると、中空状体外周面を規制部材に充分に圧着
させることができず、良好な表面形状が得られない。ま
た、発泡圧力が7kg/cm2 を越えると、規制部材と
の界面に発生する剪断応力により繊維強化熱可塑性樹脂
シートが破断したり、発泡樹脂が発泡充満した後、中空
状体の後方(成形の上流側)に流動してしまい、均一な
発泡体とはならないことがある。
【0051】上記圧力範囲にて中空状体に発泡樹脂を充
満させた後、中空状体を規制部材に沿わせながら断面変
化させる方法としては、上記の圧力レベルに耐え得る規
制部材の内部形状(中空状体との当接面形状)を徐々に
変化させることができれば、特に限定されるものではな
いが、実施例に示したように、引抜金型の内表面断面形
状を下流側に向かって緩やかに断面変化させる方法や、
連結配置されたロールの断面形状を徐々に変化させる等
の方法を採用することができる。
【0052】断面変化させた後、規制部材にて形状を保
持させつつ成形体を冷却固化させることにより、連続的
に断面異形形状の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体が得られ
る。
【0053】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明の一実施
例を比較例とともに述べる。 (実施例) 繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造 この実施例において使用する繊維強化熱可塑性樹脂シー
トは、図1に模式的に示すように、流動槽11、出入口
部分に加圧ロール12a,12bが配された加熱炉13
を主たる構成要素とする装置によって製造した。
【0054】すなわち、直径23μmのフィラメントよ
り構成されるロービング状のガラス繊維束20(440
0tex)を、24本ずつ上下2段に配するとともに、
粉体状熱可塑性樹脂組成物21が図中矢印で示す方向か
ら圧送されるエアによって流動化されている流動槽11
中を通過させて、ガラス繊維束20の各フィラメントに
粉体状熱可塑性樹脂組成物21を付着させた後、200
°Cに加熱された加熱炉13内を通過させるとともに、
その前後において加圧ロール12a,12bで加圧する
ことによって、樹脂組成物21を溶融させて各フィラメ
ント間に含浸させて、厚み1.5mm、幅250mmの
繊維強化熱可塑性樹脂シート110aを得た。また、同
様な方法により、厚み1.5mm、幅198mmの繊維
強化熱可塑性樹脂シート110bを得た。
【0055】粉体状熱可塑性樹脂組成物21は、ポリプ
ロピレン100重量部からなるものとし、その平均粒径
は100μm、溶融粘度は2.4×105 ポイズのもの
を用いた。
【0056】以上のようにして得られた各繊維強化熱可
塑性樹脂シート110a,110b中のガラス繊維の含
有率は、30容量%であった。 発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造 発泡性熱可塑性樹脂シート状体に使用する熱可塑性樹脂
組成物としては、高密度ポリエチレン(三菱油化社製、
MI=1.5g/10分)100重量部、ポリプロピレ
ン(三菱油化社製、MI=11g/10分)100重量
部、シラン架橋性ポリプロピレン(三菱油化社製、MI
=11g/10分)40重量部、アゾジカルボンアミド
(大塚化学社製、分解温度210°C)5重量部、架橋
触媒(ジブチル錫ラウレート)0.1重量部を含有する
組成物を使用した。
【0057】製造装置は、図2に全体構成を示すよう
に、直径44mmの2軸押出機31、Tダイ32並びに
一対のロール33,34によって構成し、一方のロール
33には、図3にその正面図を模式的に示すように、表
面に多数の凹部33aを千鳥状に、かつ、周方向ならび
に軸方向それぞれに一定のピッチで配置し、他方のロー
ル34の表面は平滑な円柱面とした。なお、ロール33
に設けた各凹部33aは、後述する発泡性熱可塑性樹脂
粒状体111aの寸法よりもやや大きく、0.1mmの
抜き勾配をつけたものとした。また、各ロール33,3
4の直径は250mm、面長300mmとした。そし
て、上記した配合からなる発泡性熱可塑性樹脂組成物
を、押出機31によって180°Cにて溶融混練し、面
長300mm、リップ1.5mmのTダイ32で、図2
に符号22で示されるようにシート形態で押出し、一対
のロール33,34の間を通過させて賦形しながら冷却
し、これを98°Cの水中に2時間浸漬した後、乾燥さ
せることにより、図4に短手方向に沿った模式的断面端
面図を示すような形態、つまり多数の発泡性熱可塑性樹
脂粒状体111aが、均一に分散して千鳥状に配置され
た状態で発泡性熱可塑性樹脂膜体111bによって相互
に一体的に連結された形態の発泡性熱可塑性樹脂シート
状体111を得た。
【0058】繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造 以上の繊維強化熱可塑性樹脂シート110a,110b
と発泡性熱可塑性樹脂シート状体111とを用いて繊維
強化熱可塑性樹脂発泡体を製造する装置としては、図5
に縦断面図を模式的に示すような装置を用いた。
【0059】すなわち、3つの巻戻しロール41a,4
1bおよび42を設けて、巻戻しロール41aおよび4
1bにはそれぞれ各繊維強化熱可塑性樹脂シート110
aおよび110bを巻回するとともに、巻戻しロール4
2には発泡性熱可塑性樹脂シート状体111を巻回し
た。
【0060】巻戻しロール41aの下流側(図中右側)
には、繊維強化熱可塑性樹脂シート110aを平板状か
ら徐々にその両側縁部を折り曲げて、全体として断面が
略長方形でその上辺部分の大部分が中央部において開口
した、図6に例示するような溝形形状に賦形するための
ガイド部材43・・43と、その賦形に際して繊維強化熱
可塑性樹脂シート110aを加熱し、可塑化するための
加熱装置44を配置した。ガイド部材43・・43には、
巻戻しロール42から巻き戻されてくる発泡性熱可塑性
樹脂シート状体111を繊維強化熱可塑性樹脂シート1
10aの上面に沿って供給するためのガイドとしての機
能も持たせた。
【0061】ガイド部材43・・43の上方には、巻戻し
ロール41bから巻き戻されてくる繊維強化熱可塑性樹
脂シート110bを平板状のまま、ガイド部材43・・4
3を経て溝形に賦形された繊維強化熱可塑性樹脂シート
110aの上辺の開口部分を覆うように供給するガイド
部材45を配置した。
【0062】また、ガイド部材43・・43に隣接して温
風供給装置46を設け、この温風供給装置46から吐出
される温風により、繊維強化熱可塑性樹脂シート110
aの上面に沿って供給されて、後述する中空状体Tの内
部に導かれる発泡性熱可塑性樹脂シート状体111を加
熱できるようにした。
【0063】ガイド部材43・・43および5の下流側に
は、第1の引抜金型47と第2の引抜金型48を連続し
て配置した。各引抜金型47,48の周囲は加熱ヒータ
47a,48aによって覆い、全体を加熱できるように
した。
【0064】第1の引抜金型47の金型形状(内面形
状)は上流端から下流端に到るまで一様とし、図7に図
5のA−A断面図を示すように、幅200mm、高さ2
0mmの略長方形状で、かつ、その各コーナー部分にR
5の丸みを付けた形状とした。
【0065】一方、第2の引抜金型48は、上流端から
下流端に向かってその金型形状が徐々に変化するものと
し、その上流端における金型形状は図7に示した第1の
引抜金型47の断面形状と等しく、下流端における金型
形状は、図8に図1のB−B断面図を示すような異形断
面形状とした。
【0066】第2の引抜金型48の下流端には、断熱材
49を介在させて冷却金型50を配置した。この断熱材
49および冷却金型50の断面形状は、図8に示した第
2の引抜金型48の下流端における断面形状と等しくし
た。
【0067】そして、冷却金型50の更に下流側には引
取機51を配置した。さて、以上の装置において、各巻
戻しロール41a,41bおよび42からそれぞれ繊維
強化熱可塑性樹脂シート110a,110bおよび発泡
性熱可塑性樹脂シート状体111を巻き戻し、加熱装置
44により繊維強化熱可塑性樹脂シート110aを約7
0°Cに加熱して可塑化させつつ、ガイド部材43・・4
3により徐々に図6に示される形状に賦形するととも
に、同図に二点鎖線で示すようにその上辺開口部分に繊
維強化熱可塑性樹脂シート110bを誘導して、この2
枚の繊維強化熱可塑性樹脂シート110a,110bに
よって、全体として略長方形状の中空状体Tを連続的に
形成した。この中空状体Tの内部には、巻戻しロール4
2から巻き戻されてガイド部材43により繊維強化熱可
塑性樹脂シート110aの上面に沿って供給された発泡
性熱可塑性樹脂シート状体111が挿入された状態とな
っており、この状態で中空状体Tを第1の引抜金型47
に導入した。
【0068】第1の引抜金型47は加熱ヒータ47aに
よって210°Cに加熱しており、また、温風供給装置
46によって中空状体Tとその内部の発泡性熱可塑性樹
脂シート状体111との間隙に230°Cの温風を供給
した。このような加熱によって、発泡性熱可塑性樹脂シ
ート状体111は引抜金型47のほぼ中間点にて発泡を
開始し、その下流端付近では中空状体T内に充満し、そ
の部分における発泡圧力は1.2kg/cm2 であっ
た。
【0069】更に、このような状態の中空状体Tを、加
熱ヒータ48aによって第1の引抜金型47と同等の温
度に加熱した第2の引抜金型48内に導入して、その断
面形状を図7から図8のように徐々に変化させた。第2
の引抜金型48の下流端付近における発泡圧力、つまり
断面変化後の発泡圧力は、1.5kg/cm2 であっ
た。
【0070】断面変化後の中空状体Tを次いで冷却金型
50に導入して、その金型内部で冷却固化させることに
より、図9に断面図を示すように、熱可塑性樹脂発泡体
からなる芯材層Mcの表面が、繊維強化熱可塑性樹脂か
らなる表皮層Msで覆われ、かつ、図8に示した金型形
状に等しい異形断面形状を持つ繊維強化熱可塑性樹脂発
泡体Mを得て、引取機51に引き取った。この実施例に
おける成形速度は0.8m/分であった。
【0071】以上のようにして連続的に製造した繊維強
化熱可塑性樹脂発泡体Mは、その芯材層Mcが未充満部
等の無い均質な発泡体であることが確かめられた。 (比較例)図5の装置を用いて、発泡性熱可塑性樹脂シ
ート状体111に代えて、単純な平板状の発泡性熱可塑
性樹脂シートを使用した以外は、実施例と同様の条件下
のもとに繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を成形した。
【0072】このような平板状の発泡性熱可塑性樹脂シ
ートは、上記実施例と全く同じ条件で加熱しても、発泡
を開始するまでに時間を要するため、成形速度は0.5
m/分とする必要があった。また、その発泡性熱可塑性
樹脂シートは、加熱により発泡して中空状体内部に充満
する際に、シートが発泡と同時に幅方向にも発泡しなが
ら充満するために、シートが屈曲しながら充満していく
様子が見られ、それが故に得られた繊維強化熱可塑性樹
脂発泡体の芯材層には、部分的に未充満部が観察され
た。
【0073】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、繊維強
化熱可塑性樹脂シートを中空状体に賦形するとともに、
その内部に、多数の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性
熱可塑性樹脂膜体によって略均一に分散配置された状態
で相互に連結されてなる、発泡性熱可塑性樹脂シート状
体を供給し、全体を加熱することにより、繊維強化熱可
塑性樹脂シートを可塑化させるとともに、発泡性熱可塑
性樹脂シート状体を発泡させ、その発泡圧によって中空
状体の外周面を規制部材に沿わせることで、中空状体を
所望形状に賦形するから、規制部材による所望形状への
賦形に際して発生する摩擦抵抗に起因する剪断応力は、
その大部分が繊維強化熱可塑性樹脂シートの強化繊維に
よって担われるため、製造過程において発泡後の樹脂に
特に抗張力を付与する必要がなく、成形品の最終的な断
面形状を複雑な異形形状としても、また、その発泡樹脂
の発泡倍率を高くしても、容易かつ効率的に製造するこ
とが可能となった。その結果、軽量で高強度、かつ、複
雑な異形断面形状の成形品を高い生産性のもとに得られ
るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において用いた繊維強化熱可塑
性樹脂シート110a,110bの製造装置の模式的構
成図
【図2】本発明の実施例において用いた発泡性熱可塑性
樹脂シート状体111の製造装置の全体構成図
【図3】図2のロール33の正面図
【図4】図2の装置で得られた発泡性熱可塑性樹脂シー
ト状体111を短手方向に沿って切断した模式的断面端
面図
【図5】本発明の実施例で使用した発泡性熱可塑性樹脂
発泡体の製造装置の模式的縦断面図
【図6】図5の装置におけるガイド部材43・・43によ
る賦形後の繊維強化熱可塑性樹脂シート110aの縦断
面図
【図7】図5のA−A断面図
【図8】図5のB−B断面図
【図9】本発明の実施例により得られた繊維強化熱可塑
性樹脂発泡体の断面図
【図10】本発明において用いる発泡性熱可塑性樹脂シ
ートの製造装置の他の例の要部説明図
【図11】図10の装置を用いて得られる発泡性熱可塑
性樹脂シートの模式的断面端面図
【図12】本発明において用いる発泡性熱可塑性樹脂シ
ートの製造装置におけるロールの凹部の他の配置方法の
説明図
【符号の説明】
41a,41b,42 巻戻しロール 43・・43,45 ガイド部材 44 加熱装置 46 温風供給装置 47 第1の引抜金型 48 第2の引抜金型 49 断熱材 50 冷却金型 51 引取機 110a,110b 繊維強化熱可塑性樹脂シート 111 発泡性熱可塑性樹脂シート状体 111a 発泡性熱可塑性樹脂粒状体 111b 発泡性熱可塑性樹脂膜体 T 中空状体 M 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体 Mc 芯材層 Ms 表皮層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:04 105:08 B29L 9:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数のモノフィラメントが一方向に引き
    揃えられた状態で樹脂と一体化された層を有してなる、
    単層まはた複層の繊維強化熱可塑性樹脂シートの1枚ま
    たは複数枚を連続的に中空状体に賦形するとともに、そ
    の中空状体の内部に、多数の発泡性熱可塑性樹脂粒状体
    が略均一に分散配置されるようこれらを発泡性熱可塑性
    樹脂膜体を介して相互に一体的に連結してなる発泡性熱
    可塑性樹脂シート状体を供給した後、加熱により、繊維
    強化熱可塑性樹脂シートを可塑化させるとともに発泡性
    熱可塑性樹脂シート状体を発泡させて中空状体内部に発
    泡樹脂を充満させ、その発泡圧により当該中空状体の外
    周面を規制部材に沿わせることによって所望断面形状に
    賦形し、その形状を保持したまま冷却固化させる、繊維
    強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
JP8272330A 1996-10-15 1996-10-15 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の連続製造方法 Withdrawn JPH10113943A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015161123A (ja) * 2014-02-27 2015-09-07 公益財団法人鉄道総合技術研究所 セル集合体、セル集合体の施工方法およびセル集合体の施工構造
JP2020515429A (ja) * 2017-03-03 2020-05-28 キングスパン・ホールディングス・(アイアールエル)・リミテッド 異形断面材を製造する方法及び装置

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