JPH09150463A - 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法

Info

Publication number
JPH09150463A
JPH09150463A JP7312472A JP31247295A JPH09150463A JP H09150463 A JPH09150463 A JP H09150463A JP 7312472 A JP7312472 A JP 7312472A JP 31247295 A JP31247295 A JP 31247295A JP H09150463 A JPH09150463 A JP H09150463A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
fiber
hollow body
reinforced thermoplastic
foam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7312472A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Sugawara
宏 菅原
Koji Fujimoto
浩司 藤本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP7312472A priority Critical patent/JPH09150463A/ja
Publication of JPH09150463A publication Critical patent/JPH09150463A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 サイジング金型のみを変更することにより様
々な形状の発泡成形体が得られ、また、高い発泡倍率の
成形体でも容易に製造可能で、軽量で高い強度を持つ繊
維強化熱可塑性樹脂発泡体を高い生産性のもとに製造す
ることのできる方法を提供する。 【解決手段】 連続繊維が長手方向に配された繊維強化
熱可塑性樹脂シート11を中空状体12に賦形し、その
内部に、発泡性熱可塑性樹脂組成物13を発泡させなが
ら供給して一旦自由に発泡させた後、引抜金型2に導入
して引き取ることにより、中空状体12およびその内部
の発泡体13を所望の断面形状に賦形し、表面に繊維強
化熱可塑性樹脂層14a、内部に熱可塑性樹脂発泡層1
4bを備えた繊維強化熱可塑性樹脂発泡体14を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂発泡体
の表面が繊維強化熱可塑性樹脂層で覆われてなる繊維強
化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に関し、更に詳しく
は、軽量で高い比強度並びに比剛性が要求される建材等
として用いるのに適した長尺の繊維強化熱可塑性樹脂発
泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】横断面が異形形状の発泡成形体は、近
年、内外装用建材その他の分野で広く用いられている。
【0003】このような発泡成形体の製造方法として、
従来、連続押出発泡成形法が知られている。この成形方
法は、所望断面形状の金型ダイスから発泡性の熱可塑性
樹脂を発泡させながら押出し、これを真空サイジング、
プレートサイジング等のサイジング部に導いて賦形する
方法である。
【0004】また、特公昭45−29919号公報に
は、断面が異形形状をした金型ダイスより連続的に発泡
性樹脂を押出し、樹脂が発泡しない状態、または僅かに
発泡した状態にある間に、金型ダイスに連結されるか、
あるいは僅かな間隙を介して配置された所望断面形状を
持つサイジング金型に導入し、押出された樹脂表面を急
冷することにより、製品表面の近傍に実質的に未発泡の
外皮を有する長尺の発泡成形体を製造する方法が開示さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の発泡
成形体の製造方法のうち、連続押出発泡成形法において
は、所望の形状および表面性を付与するためにはサイジ
ング金型に密着させる必要があるが、その際、サイジン
グ金型にて大きな摩擦抵抗が生じ、従って成形体には、
それに見合う抗張力が必要となる。そのため、押出され
た発泡樹脂をサイジング金型にて軟化温度以下に急冷さ
せ、抗張力を付与しなけれはならない。そして、その冷
却過程においてサイジングを完了しなければならないた
め、形成条件、金型断面形状等、総合的にバランスをと
りながら成形する必要があり、サイジング金型のみを変
更して様々な形状の成形体を得ることは極めて困難であ
る。
【0006】また、この連続押出成形法においては、高
倍率の発泡体を得ようとした場合、発泡体事態を冷却固
化したとしても充分な抗張力が得られなくなり、成形体
が長手方向に延伸されたり、あるいは成形途上において
破断してしまうなどの不具合が発生するため、高倍率の
発泡体を得ることも困難である。
【0007】一方、特公昭45−29919号公報に開
示されている技術によれば、製品表面に未発泡の表皮層
が形成されることで、若干強度を高めることができる
が、建材分野で利用するのに十分な強度を付与すること
はできない。また、この製造方法では、最高でも100
cm/minの成形速度しか得られず、極めて生産性に
劣るという欠点がある。
【0008】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、サイジング金型のみを変更することによって様
々な形状の発泡成形体を得ることができ、また、高い発
泡倍率の成形体でも容易に製造することができ、かつ、
高い強度を付与することができ、もって建材分野で十分
に利用可能な、軽量で比強度、比剛性が高く、任意の異
形断面形状を持つ発泡成形体を高い生産性のもとに製造
することのできる方法の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法の
うち、第1の発明は、連続繊維が長手方向に配された繊
維強化熱可塑性樹脂シートを中空状体に賦形するととも
に、その中空状体内部に、熱可塑性樹脂と発泡剤からな
る発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させながら供給し
て、中空状体の外周を規制せずにその内部で一旦自由に
発泡させた後、その全体を引抜金型の入口に導入し、所
定の断面形状を有する出口から引き取ることにより、発
泡圧によって引抜金型内で中空状体およびその内部の熱
可塑性樹脂発泡体を所定の断面形状に圧縮賦形して、表
面に繊維強化熱組成樹脂層、内部に熱可塑性樹脂発泡層
を有する繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を得ることによっ
て特徴づけられる。
【0010】また、同じ目的を達成するため、第2発明
では、第1発明と同様に連続繊維が長手方向に配された
繊維強化熱可塑性樹脂シートを中空状体に賦形した後、
その中空状体の内部に、熱可塑性樹脂と熱分解型発泡剤
からなる発泡性熱可塑性樹脂組成物を供給した後、その
熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱することにより、
中空状体の外周を規制せずにその内部で発泡性熱可塑性
樹脂組成物を一旦自由に発泡させ、次いで、第1発明と
同様にその全体を引抜金型の入口に導入し、所定の断面
形状を有する出口から引き取ることにより、発泡圧によ
って引抜金型内で中空状体およびその内部の熱可塑性樹
脂発泡体を所定の断面形状に圧縮賦形し、表面に繊維強
化熱可塑性樹脂層、内部に熱可塑性樹脂発泡層を有する
繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を得ることによって特徴づ
けられる。
【0011】第1および第2発明において用いられる繊
維強化熱可塑性樹脂シートは、表皮層用として溶融粘度
の高い熱可塑性樹脂を連続繊維に保持させたシートであ
り、これを連続的に矩形、あるいは円形の中空状体に賦
形するのである。この繊維強化熱可塑性樹脂シートに用
いる熱可塑性樹脂は、例えば、高化式フローテスターを
用い、熱融着可能な温度において直径1mm×長さ10
mmのノズルから150kg/cm2 の条件で押出した
ときの見かけの粘度が1×105 〜1×107ポイズ程
度であるような樹脂、または架橋処理、分子量調整、繊
維との複合等によって流動性を抑制できる樹脂であれば
特に限定されず、使用目的によって適宜選択することが
できる。
【0012】以上のような熱可塑性樹脂としては、例え
ばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リスチレン、ナイロン、ポリアミド、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボ
ネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスル
ホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタク
リレート、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。ま
た、このような熱可塑性樹脂を主成分とする共重合体や
グラフト樹脂やブレンド樹脂、例えば塩素化ポリ塩化ビ
ニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エ
チレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ウ
レタン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレ
ン共重合体、シラン変性ポリエチレン、アクリル酸変性
ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレン、なども
使用可能であるが、発泡可能な熱可塑性樹脂の成形温度
を考慮すると、120〜250°Cといった比較的低温
で成形可能な、ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポ
リプロピレン、酸変性ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−
塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、
酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ウレタン−塩化ビニ
ル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体が好ま
しい。
【0013】上記熱可塑性樹脂は、単独で使用されるか
併用、すなわちポリマーアロイとして使用されてもよ
く、必要に応じて熱安定剤、可塑剤、滑剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、顔料、無機充填材、補強短繊維等の
添加剤、充填材、加工助剤、改質剤等を添加してもよ
い。
【0014】第1発明および第2発明の繊維強化熱可塑
性樹脂シートに用いられる繊維としては、例えばガラス
繊維、炭素繊維等の無機繊維、シリコン繊維、ボロン繊
維、ビニロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維等
の有機合成繊維、または鉄、チタン等の微細な金属繊維
や、絹、綿、麻等の天然繊維等を用いることができ、こ
れらのうちの単一種の繊維もしくはこれら異なる種類の
混合繊維であってもよく、熱可塑性樹脂と複合化され、
シート化された状態で、成形温度領域において長手方向
への引張弾性率として10GPa以上得られれば、どの
ような繊維を用いてもよい。成形温度領域における長手
方向への引張弾性率が10GPa以下であるとシートが
破断する場合が生じ、安定して高速成形をすることがで
きない。また、上記の繊維は、発泡体の表面の円滑性を
損なわせないためには、直径1〜50μmとすることが
望ましく、特に3〜25μmとすることが好ましい。
【0015】また、第1発明および第2発明において用
いられる繊維強化熱可塑性樹脂シート内部の繊維形態と
しては、連続繊維がシートの長手方向に配されていれ
ば、その他は特に限定されず、例えば長繊維がランダム
に配向した状態、または長繊維が相互に絡み合ったマッ
ト状、あるいは連続繊維が集束されたロービング状、繊
維を2次元および3次元に織ったクロス状等、任意の状
態のものを使用することができ、更に、使用目的、成形
性に応じてこれらを複層化してもよい。
【0016】また、連続繊維はフィラメント1本1本が
熱可塑性樹脂中に分散し、かつ、シートの長手方向に引
き揃えられた状態のものであることが、発泡体の表面円
滑性を良好なものとする上で好ましい。
【0017】更に、シートの構成として、上記のような
シートに対して、延伸性に富む熱可塑性樹脂のみの層を
あらかじめ積層しておくなど、内部発泡樹脂の膨張に伴
うシートの幅方向への延伸や、引抜金型内部での圧縮賦
形による収縮に際しても、シートの延伸・収縮ムラが発
生しにくい加工をあらかじめ施しておくことが望まし
い。特に熱可塑性エラストマー層を形成しておくこと
が、表面性、延伸性を改善する上で好適である。
【0018】第1発明および第2発明において用いられ
る繊維強化熱可塑性樹脂シートの幅、厚み等は特に限定
されないが、薄すぎるとシート自体に強度がなくなり、
厚すぎると発泡成形体の輪郭にシャープさを欠く結果と
なるため、厚みは0.1〜3mmとすることが好まし
い。繊維強化熱可塑性樹脂中の繊維量は、5〜70容量
%とすることが好ましく、5容量%未満では十分な補強
効果、成形安定性が得られず、70容量%を越えると十
分に熱可塑性樹脂を含浸させることができず、発泡成形
体の表面性が悪くなる。
【0019】また、第1発明および第2発明で使用され
る繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法としては、例
えば次のような方法を採用することができる。その一つ
は、溶融粘度の高い、流動しにくい熱可塑性樹脂を使用
し、熱可塑性樹脂中に連続長繊維が一方向に引き揃えら
れ、かつ、強化繊維フィラメント1本1本が分散したも
のを得ようとするときには、使用する熱可塑性樹脂を直
径300μm以下の粉体とし、その粉体熱可塑性樹脂
を、槽底に設けた多孔板から空気を噴出させることによ
り粉体を流動化状態にできる槽内に収容し、槽中に設置
したガイドロールにより誘導された繊維束を複数本通過
させることによって熱可塑性樹脂付着繊維束とし、これ
を加熱ロールを通過させることにより繊維に熱可塑性樹
脂を含浸させ、冷却ロールを通過させて繊維強化熱可塑
性樹脂シートを得る方法である。
【0020】一方、溶融粘度が低い樹脂を使用する場合
には、熱可塑性樹脂を溶融状態で繊維基材中に直接的に
浸透させて繊維強化熱可塑性樹脂を得ることができる。
この際、複合化された後、熱可塑性樹脂が溶融時に自重
により流動しないものである必要がある。そのため、複
合化の後、架橋処理等により熱可塑性樹脂を高分子化
し、あるいは変性することにより溶融粘度を高くするこ
とが必要である。
【0021】第1発明および第2発明において、繊維強
化熱可塑性樹脂シートを中空状体に賦形する際、シート
は1枚であっても複数枚であってもよく、シートを1枚
用いるときにはそのシートの両側縁部を、複数枚のシー
トを用いるときには各シートの側縁部どうしを、それぞ
れ相互に重ね合わせるか、あるいは突き合わせた状態
で、円形や矩形等の任意の断面形状の中空状体に賦形す
る。いずれの場合にも、発泡性熱可塑性樹脂組成物を内
部に供給する前段階において、シート相互の接続部分は
熱融着により一体化され、発泡樹脂が発泡する際に接続
部分が破断しない状態であることが必要である。
【0022】中空状体への賦形には、複数のガイドロー
ルにてシートを誘導するか、一定間隙を有する金型内を
通過させる方法を採用することができる。第1発明で使
用される発泡性熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂および発
泡剤よりなり、その熱可塑性樹脂としては、従来の押出
発泡成形可能な全ての熱可塑性樹脂が挙げられ、例えば
ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が
挙げられ、更にこれらの樹脂相互の、あるいはこれら以
外の樹脂とのアロイ、共重合体等が挙げられる。
【0023】このような熱可塑性樹脂は、単独または複
数の混合物として用いられてもよく、また、必要に応じ
て熱安定剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、顔料、無機充填材、補強短繊維等の、添加剤、充填
材、加工助剤、改質剤等が加えられてもよい。
【0024】第1発明で用いられる発泡性熱可塑性樹脂
組成物を製造するために熱可塑性樹脂に発泡性を付与す
る方法としては、押出成形温度またはこれを越える温
度で分解し、N2 、CO、CO2 等を主成分とするガス
を発生する熱分解型の発泡剤を熱可塑性樹脂に必要量混
合して押出成形する方法、押出成形温度またはこれを
越える温度において揮発性を有する液体をあらかじめ必
要量含浸せしめてなる発泡性熱可塑性樹脂組成物を押出
形成する方法、押出成形時に、押出機の途中から気体
または揮発性液体を溶融樹脂中に注入しながら押出成形
する方法、等を適宜採用することができるが、上記の
方法が各種熱可塑性樹脂に容易に適用することができる
点で好ましい。
【0025】上記の方法で用いられる熱分解型発泡剤
としては、例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスイソ
ブチロニトリル、N,N′−ジニトロペンタメチレンテ
トラミン、p,p′−オキシビスベンゼンスルホニルヒ
ドラジド、アゾジカルボン酸バリウム、トリヒドラジノ
トリアジン、5−フェニルテトラゾール等の有機発泡
剤、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩な
いしは重炭酸塩、ほう水酸化ナトリウム等の水酸化物、
亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩、水、酸と反応して水
素を発生する軽金属(マグネシウム、アルミニウム)等
の無機発泡剤等が挙げられる。
【0026】一方、上記、の方法で用いられる揮発
性液体としては、例えばイソペンタン、ヘプタン、シク
ロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トリクロロトリフルオ
ロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン等のふっ化脂
肪族炭化水素等を挙げることができる。
【0027】以上のような各発泡剤の配合量は、発泡性
熱可塑性樹脂組成物の所望発泡倍率によって適宜選択す
ることができ、熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜
15重量部の範囲で配合することが好ましい。
【0028】ここで、熱可塑性樹脂に対してより良好な
発泡性を付与するために、架橋処理を行ってもよく、そ
の架橋処理には、例えば可視光線、紫外線、α線、β
線、γ線、X線または電子線等の活性エネルギー線、熱
エネルギー、水等の、従来より公知の方法を採用するこ
とができる。
【0029】第1発明において、中空状体に賦形した繊
維強化熱可塑性シートの内面に発泡性熱可塑性樹脂組成
物を供給するには、押出成形方法を採用することができ
る。発泡性熱可塑性樹脂は中空状体の内側表面に均一に
積層されるように押出形成することが、シートの厚みム
ラを少なくする上で好適である。押出される発泡樹脂の
断面形状は、上記の要件を満足できれば特に制約はな
い。ただし、発泡樹脂を中空状体の内面に沿わせるよう
に中空状に押出すことがより好ましく、繊維強化熱可塑
性シートからなる中空状体の内面に一旦発泡性樹脂を積
層させてから内部に向かって発泡させることにより、中
空状体と発泡性熱可塑性樹脂との界面にボイドが混入す
ることを防止することができ、表面性、界面接着性の良
い発泡成形体が得られる。
【0030】第1発明および第2発明において、中空状
体内部での発泡性熱可塑性樹脂の発泡工程では、表層に
ある中空状体のシートを伴って自由に発泡させるが、そ
の際、その後の引抜金型への挿入をスムーズにするため
に、中空状体の外側に部分的に当接するような規制体を
設けることを拒まない。ただし、発泡樹脂の発泡を著し
く損なうような規制は好ましくない。また、この工程途
上でシート自体が冷却されて硬化してしまわないよう
に、遠赤外線ヒータ、熱風等を用いた加熱装置により温
度調整を行ってもよい。
【0031】第1発明および第2発明において、繊維強
化熱可塑性樹脂シートからなる中空状体内での熱可塑性
樹脂発泡体は、シートとの界面が均一に密着積層されて
おれば、その内部まで充満した形で成形される必要は特
になく、引抜金型での圧縮賦形時に繊維強化熱可塑性樹
脂シートの表面が金型内面に押し当てられるだけの発泡
圧が得られれば、よく、例えば金型コアを金型冷却部位
まで延長して適宜に発泡を規制し、最終成形体の随所に
空隙部分を形成してもよいし、発泡樹脂の押出量または
引取速度を周期的に変化させることにより、成形体の内
部に発泡充満した部位と非充満部位を任意に形成しても
よい。
【0032】ここで、以上のような非充満部位を形成す
るに当たり、十分な発泡圧が得られないまでに非充満部
位を形成する場合、特に発泡樹脂を中空状に押出す場合
には、その非充満部位に金型コア内部を通じて空気配管
を施し、この配管を介して発泡体内部に空気を供給して
内圧を確保し、発泡成形体外面を金型内面に押し当てつ
つ成形できるようにするか、あるいは通常の真空サイジ
ングによって形状を付与してもよい。
【0033】第1発明および第2発明において、中空状
体の内部で発泡性熱可塑性樹脂組成物を自由発泡させた
後、その全体を引抜金型に導入して引き取る工程では、
金型の入口部分の断面形状は例えば矩形、円形等の単純
な形状とし、出口部分の断面形状を所望の異形形状とす
ることにより、引抜金型内部で繊維複合発泡体を変形さ
せるが、この成形は断面積を縮小する方向の成形、つま
り圧縮成形である。この際、断面変化が完了するまでの
間はシートおよび発泡樹脂が可塑状態であることが必要
であり、従って、その間、引抜金型内部にヒータ等を設
置した加熱部を設け、積極的に温度調整を図ることが好
ましい。この加熱部における温度調整の範囲はと、シー
トおよび発泡樹脂が可塑状態を維持する温度範囲であれ
ばよいが、シートの外側表面を構成する熱可塑性樹脂の
溶融温度以上に加熱することは、その樹脂自体が引抜金
型内面に粘着してしまい、製品の表面性が悪化し、ある
いは引き取り抵抗が大きくなるといった不具合が発生す
る場合があるので、適当でない。
【0034】以上のように加熱部で温度調整しつつ、所
望の異形断面形状に繊維複合発泡体を成形した後、これ
に連結し、あるいは一定の間隔を置いて設置された冷却
部、つまり同一断面形状を有する冷却引抜金型に導き、
冷却固化することにより、表面に繊維強化熱可塑性樹脂
層、内部に熱可塑性樹脂発泡層を有する横断面異形形状
の発泡体が効率的に得られる。
【0035】第2発明においては、繊維強化熱可塑性樹
脂シートを賦形して得られた中空状体の内部に、熱可塑
性樹脂と熱分解型発泡剤からなる発泡性熱可塑性樹脂組
成物を供給した後に、加熱することによってその発泡性
熱可塑性樹脂組成物を発泡させるが、これは、第1発明
の方法では製造が困難な、小さい断面や薄い発泡成形体
を得る場合に特に有効である。
【0036】すなわち、第1発明のように発泡性熱可塑
性樹脂組成物を発泡させながら中空状体内に押出す方法
では、押出用の金型ダイスを賦形途上の中空状体内の開
口部分から挿入し、完全に閉じられた部位にまで至らせ
る必要があり、このため小さい断面や厚みの薄い発泡体
を得ようとする場合に、金型ダイスに十分な樹脂流路を
確保することが困難となり、高速成形に際して十分な押
出量が得られない場合がある。第2発明はこのような問
題を解決するために、加熱によって発泡を開始する発泡
性熱可塑性樹脂組成物をあらかじめシート状、ロッド
状、中空状、ペレット状、ビーズ状に形成しておき、こ
れを中空状体内部に供給して、供給後の加熱によって発
泡させのである。
【0037】第2発明を実施するに当たっては、繊維強
化熱可塑性樹脂シートは第1発明と全く同様な材料、製
法を採用することができるが、発泡性熱可塑性樹脂は、
上記の形状にあらかじめ形成するに際しては、未発泡状
態またはできるだけ発泡を抑えた状態で押出成形して、
上記のようなシート状、ロッド状、中空状等に成形する
ことが可能な熱可塑性樹脂と発泡剤の組み合わせが適宜
に選択されるべきである。
【0038】また、発泡性を改善するために通常行われ
ている架橋等の改質が、熱可塑性樹脂に対して施されて
もよい。 <作用>本発明では、連続繊維が長手方向に配された繊
維強化熱可塑性樹脂シートを、矩形あるいは円形等の中
空状体に賦形し、その内部に発泡性熱可塑性樹脂を発泡
させながら供給し(第1発明)、もしくはその内部に発
泡性熱可塑性樹脂組成物を供給した後に加熱することに
よって発泡させ(第2発明)、シートおよび発泡樹脂が
可塑状態にある間に、中空状体の外部を規制しない状態
で発泡可能な限界まで一旦自由に発泡させた後に、その
複合体を、入口の断面形状が例えば矩形や円形等の単純
形状で、出口の断面形状が所望の異形形状を持つ引抜金
型に導入して引き取ることで、発泡圧によって圧縮成形
して、表面に繊維強化熱可塑性樹脂層、内部に熱可塑性
樹脂発泡層を有する繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を得
る。
【0039】このような製造方法によると、引抜金型と
接触する面は連続繊維が長手方向に配されているため、
その引抜金型による圧縮成形の際に生じる金型表面との
摩擦抵抗力は、この連続繊維の抗張力によって担うこと
ができ、成形品が成形途上で破断したり、内部発泡樹脂
の長手方向への延伸する等の歪みを生じさせることがな
い。また、引抜金型内で複合体を圧縮成形して形状賦形
を行い、しかも従来のように発泡樹脂そのものに抗張力
を付与する必要がないことから、引抜金型を交換するこ
とで各種形状の成形品を得ることができる。更に、中空
状体内部で発泡性熱可塑性樹脂組成物を一旦発泡可能な
レベルまで自由発泡させるため、従来の限界を越えた高
い発泡倍率の発泡体を高速に成形することが可能であ
る。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
の好適な実施形態について述べる。図1は第1発明を適
用した繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造装置の一例を
示す模式的断面図で、図2(A)〜(D)はそれぞれ図
1におけるA−A〜D−D断面図である。
【0041】連続繊維が長手方向に配された繊維強化熱
可塑性樹脂シート11は、巻戻しロール21に巻き付け
られ、金型22に供給される。金型22は外金型221
とコア金型222とからなり、繊維強化熱可塑性樹脂シ
ート11を中空状体12に賦形し、かつ、その内部に発
泡性熱可塑性樹脂組成物13を発泡させながら押出すこ
とができるようになっている。
【0042】すなわち、金型22のシート11が供給さ
れる側の端面には、そのシート11を挿入するためのU
字形の隙間が形成されているとともに、その隙間は外金
型221とコア金型222の間で下流側(図中右方向)
へと向かうに従って徐々に真円の円筒形に変化し、ここ
を繊維強化熱可塑性樹脂シート11が通過することによ
り、その断面形状はU字型から真円形の中空状体12へ
と賦形されていくようになっている。
【0043】コア金型222は、繊維強化熱可塑性樹脂
シート11が中空状体12に賦形される途上の開口部分
を通って上流側端部が下向きに屈曲しており、その屈曲
下端において樹脂押出機23に連結されている。また、
このコア金型222には、下流側に向けて開口する円筒
状の樹脂吐出口222aが形成されているとともに、こ
の樹脂吐出口222aはコア金型222内に形成された
円筒状の樹脂流路222bを介して樹脂押出機23に連
通しており、その樹脂押出機23から押出される発泡性
熱可塑性樹脂組成物13は、図2(A)に示すように樹
脂吐出口222aから中空状体12の内面に向けて円筒
状に押出されるようになっている。
【0044】金型22の下流側には所定の間隔を開けて
引抜金型24が配置されており、円筒状の中空状体12
の内部に供給された発泡性熱可塑性樹脂組成物13はそ
の外側の中空状体12を伴って一旦自由に発泡・膨張し
た後に、引抜金型24内に導入されるようになってい
る。
【0045】引抜金型24は、加熱金型241と、冷却
金型242、およびこれらの間に介在する断熱材243
によって構成されている。加熱金型241は、入口部分
の垂直断面が図2(B)に示すように例えば40×40
mmの矩形状であり、その断面形状は緩やかに断面積が
小さくなりつつ変化して、出口部分では図2(C)に示
すように、例えば27×27mmの矩形の一辺が窪んだ
形の凹形形状となっているとともに、その周囲には樹脂
を可塑状態に維持するためのヒータ241aが配置され
ている。従ってこの加熱金型241を通過することによ
り、中空状体12およびその内部の発泡樹脂13′の断
面形状は、一旦単純な矩形状になった後、発泡樹脂1
3′の発泡圧に応じた圧力のもとに圧縮賦形されて凹形
の異形形状へと変化していく。また、冷却金型242の
断面形状は、図2(D)に示すように加熱金型241の
出口部分の断面形状と全く同じであり、その周囲に冷媒
の通路242aが設けられた構造となっている。断熱材
243の断面形状についても加熱金型241の出口部分
の断面形状と同じである。加熱金型241を経て凹形に
賦形された中空状体12およびその内部の発泡樹脂13
は、冷却金型242を経ることによって軟化温度以下に
冷却され、表面に繊維強化熱可塑性樹脂層14a、内部
に熱可塑性樹脂発泡層14bを備えた繊維強化熱可塑性
樹脂発泡体14となる。
【0046】引抜金型24の下流側には引き取り機25
が設けられており、この引き取り機25によって冷却金
型242を経た繊維強化熱可塑性樹脂発泡体14を任意
の速度で引き取ることにより、材料が上流側から下流側
へと移動し、金型22による繊維強化熱可塑性樹脂シー
ト11の中空状体12への賦形、中空状体12とその内
部の発泡樹脂13′の異形形状への賦形がなされるわけ
である。
【0047】以上の実施の形態によれば、中空状体12
内で発泡性熱可塑性樹脂組成物13が一旦自由に発泡す
るため、その発泡が損なわれることがなく、高い発泡倍
率の発泡成形体が得られ、しかも、引抜金型24により
所望の異形形状への賦形時においては、金型に接する面
には連続繊維が長手方向に配されているため、金型表面
との間で生じる摩擦抵抗に起因して材料に作用する長手
方向への力は主としてその連続繊維によって受け止めら
れ、材料が破断したり長手方向に延伸するよう不具合が
生じない。そして、得られる成形品は、高倍率の熱可塑
性樹脂発泡層14bの表面が繊維強化熱可塑性樹脂層1
4aによって覆われたものであるが故に、軽量で比強度
および比剛性が高く、建材等の用途に適したものとな
る。
【0048】次に、第2発明の実施の形態について述べ
る。図3は第2発明を適用した繊維強化熱可塑性樹脂発
泡体の製造装置の模式的断面図であり、図4(A)およ
び(B)はそれぞれ図3のA−AおよびB−B断面図で
ある。
【0049】この例においては、2枚の繊維強化熱可塑
性樹脂シート31a,31bを、それぞれ上部および下
部巻き戻しロール41a,41bに巻き付けるととも
に、発泡性熱可塑性樹脂シート33を、後部巻き戻しロ
ール41cに巻き付け、これらを加熱金型44に導いて
いる。
【0050】加熱金型44の上流側には、2枚の繊維強
化熱可塑性樹脂シート31a,31bの側縁部をそれぞ
れ折り曲げて、これら両シート31a,31bが互いに
向き合う形でそれぞれL字形とした状態で加熱金型44
に導くための賦形板42が設けられているとともに、各
シート31a,31bおよび33を予備加熱するための
遠赤外線ヒータ43が上下に配されている。
【0051】加熱金型44の垂直断面形状は入口から出
口に到るまで一様であり、図4(A)に示すように薄い
矩形状となっている。各巻き戻しロール41a,41b
および41cから巻き戻された繊維強化熱可塑性樹脂シ
ート31a,31bおよび発泡性熱可塑性樹脂シート3
3は、同図に示すように、互いに向き合うL字形の2枚
の繊維強化熱可塑性樹脂シート31a,31bの間に、
発泡性熱可塑性樹脂シート33が挟み込まれた状態で加
熱金型44内に導入される。2枚の繊維強化熱可塑性樹
脂シート31a,31bは、賦形板42による賦形と加
熱金型44内での加熱により、L字形の両側縁部が一定
量だけ重ね合わされた状態で相互に融着し、全体として
断面が薄い矩形状をした中空状体32となり、その内部
に発泡性熱可塑性樹脂シート33が収容された状態とな
る。また、加熱金型44による加熱により、発泡性熱可
塑性樹脂シート33は発泡を開始する。
【0052】加熱金型44の下流側には、所定の間隔を
開けて加熱賦形金型46が配置されているとともに、そ
の間には遠赤外線ヒータ45が設けられており、加熱金
型44内で発泡を開始した発泡性熱可塑性樹脂シート3
3は、遠赤外線ヒータ45によって加熱され、加熱賦形
金型46に挿入されるまでの間に自由に発泡し、中空状
体32内に発泡樹脂33′が充填された状態となる。
【0053】加熱賦形金型46は、その入口部分におけ
る垂直断面形状は単純な薄い矩形状であるが、その形状
は出口側へと向かって徐々に断面積が縮小しつつ変化し
て出口部分では図4(B)に示すような所望の異形形状
となっている。この加熱賦形金型46の下流側には、加
熱金型46の出口部分の断面形状と同じ断面形状が一様
に形成された冷却金型47が配置されている。そして、
更にその下流側には引き取り機48が配置されている。
【0054】中空状体32およびその内部で自由発泡し
た発泡樹脂33′は、加熱賦形金型46における加熱に
よって可塑状態に保たれた状態で図4(B)に示すよう
な断面形状に賦形された後、冷却金型47で軟化温度以
下に冷却され、表面に繊維強化熱可塑性樹脂層、内部に
熱可塑性発泡樹脂層を持つ繊維強化熱可塑性樹脂発泡体
となる。
【0055】この第2発明の実施の形態において特に注
目すべき点は、繊維強化熱可塑性樹脂シート31a,3
1bを賦形して得られる中空状体32の内部に、シート
状の発泡性熱可塑性樹脂組成物(発泡性熱可塑性樹脂シ
ート33)を挿入した後に、加熱によって発泡させる点
であり、この方法によれば、中空状体32の内部に樹脂
押出用の金型を挿入する必要がなく、従って中空状体3
2の断面形状を薄くしたりその面積を小さくすることが
可能となる。その結果、最終的な成形品の断面形状が薄
い場合や面積が小さい場合において、中空状体32の断
面形状や面積もそれに合わせて薄くしたり小さくするこ
とが可能となり、賦形工程の効率化を図ることができ
る。
【0056】次に、以上の各実施の形態において用いら
れる繊維強化熱可塑性樹脂シート11、31aおよび3
1bの製造方法の例について述べる。図5はその製造装
置の説明図である。この例においては、2つの流動槽6
1と、加熱炉62および加圧ロール63を設け、各流動
槽61はその内部に粉体樹脂組成物51を挿入して、底
面からのエアの噴出により粉体樹脂組成物51を流動化
させることができるようになっている。このような粉体
樹脂組成物51を収容して流動化させた流動槽61内
に、ロービング状のガラス繊維束52を通過させること
でその各フィラメントに粉体樹脂組成物51を付着させ
る。その状態で加熱炉62および加圧ロール63を通過
させて加熱・加圧することによって、樹脂組成物52を
溶融させ、ガラス繊維束52に含浸させることで、連続
繊維が長手方向に配された繊維強化熱可塑性樹脂シート
11、31aおよび31bが得られる。
【0057】
【実施例】次に、上記した各実施の形態に係る製造装置
を用いて、実際に繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を製造し
た例について述べる。
【0058】(実施例1)図5に示した装置において、
流動槽51内に収容する粉体樹脂組成物51として、組
成がポリ塩化ビニル樹脂(溶融粘度;5.3×105 po
ise )100重量部、錫系熱安定剤2.0重量部、アク
リル加工助剤3重量部、ポリエチレンWAX1.0重量
部で、粉体の平均粒径80μmのものを用いた。また、
ガラス繊維束52として、直径23μmのフィラメント
より構成されるロービング状のガラス繊維束51(44
00tex)を24本ずつ上下2段に配して、それぞれ
流動槽61内を通過させて粉体樹脂組成物51を付着さ
せた後、加熱炉62および加圧ロール63に導いて約2
00°Cに加熱し、加圧することで、厚み0.5mmの
繊維強化熱可塑性樹脂シート11を得た。このシート1
1中のガラス繊維の含有率は30容量%であった。
【0059】その繊維強化熱可塑性樹脂シート11を幅
91mmに揃え、図1の製造装置の巻き戻しロール21
に巻き付けた。そして、金型22により、その繊維強化
熱可塑性樹脂シート11の両側縁部を重ね合わせずにつ
突き合わせ、外径29.0mm、厚み0.5mmの中空
状体12に連続的に賦形し、その内部に発泡性熱可塑性
樹脂組成物13を発泡させながら供給した。
【0060】発泡性熱可塑性樹脂組成物13としては、
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度=800)100重量部、
錫系熱安定剤2.5重量部、滑剤0.5重量部、アクリ
ル加工助剤8重量部、ジオクチルフタレート2重量部、
重炭酸ナトリウム5重量部からなる樹脂組成物を、あら
かじめ150°C以下の樹脂温度にて、スクリュー径3
0mmの2軸押出機により混練ペレット化したものを用
いた。
【0061】また、図1における押出機23として、ス
クリュー径40mmの単軸押出機(L/D=30、圧縮
比2.5)を用い、上記の発泡性熱可塑性樹脂組成物1
3を樹脂温度190°Cにて中空状体12の内面に押出
・積層して同時に発泡を開始させ、中空状体12内で自
由に発泡させた後、140°Cに温度調整された加熱金
型241内に導入して引き抜くことで、断面円形の状態
から一旦図3(B)の40×40mmの矩形断面の状態
とし、更に同図(C)の27×27mmの凹形の状態に
圧縮賦形した。そして、そのまま断熱材243を介して
冷却金型242内に導入して外層表面温度を60°Cに
まで冷却することにより、連続的に繊維強化熱可塑性樹
脂発泡体14を得ることができた。成形速度は1.5m
/分であった。
【0062】(実施例2)図5の装置を用いて、粉体樹
脂組成物51としてポリエチレン樹脂(溶融粘度1.5
×105 ポイズ)100重量部で、平均粒径が100μ
mのものを用い、これを流動槽61内で流動化させた状
態とし、その内部に実施例1と全く同じガラス繊維束5
2をを通過させることでその粉体樹脂を付着させ、加熱
炉62および加圧ロール63により約210°Cに加
熱、加圧することで、厚み0.5mmの繊維強化熱可塑
性樹脂シート31a,31bを得た。このシート31
a,31b中でのガラス繊維の含有率は30容量%であ
った。
【0063】また、発泡性熱可塑性樹脂シート33とし
て、その組成を高密度ポリエチレン100重量部、ポリ
プロピレン100重量部、シラングラフトポリプロピレ
ン56重量部、アゾジカルボンアミド4重量部とし、こ
れをスクリュー径30mmの2軸押出機に供給し、18
0°Cにて溶融混練するとともに、厚み1.5mmのシ
ート状に押出し、これを幅68mmにカットした後、9
8°Cの熱水に1時間浸漬したものを用いた。
【0064】その発泡性熱可塑性樹脂シート33を、図
3に示す装置における巻き戻しロール41cに巻き付け
るとともに、上記繊維強化熱可塑性樹脂シート31a,
31bを幅72mmに揃え、図3に示した上部および下
部巻き戻しロール41a,41bに巻き付けた。そし
て、賦形板42によりシート31aと31bの縁部を相
互に約6mm重ね合わせつつ、幅60mm、厚み6mm
の薄い矩形状の中空状体32に賦形し、その内部に発泡
性熱可塑性樹脂シート33を挿入した状態で遠赤外線ヒ
ータ43を介して加熱金型44内に導入して発泡を開始
させ、金型44外に解放して遠赤外線ヒータ46による
加熱によって自由発泡させてその発泡を完了させた後、
150°Cに温度調整した加熱賦形金型46内に導入し
て、幅70mm、厚み9mmの矩形状断面から図5
(B)の断面形状に賦形した。続いて冷却金型47によ
って表面温度40°Cにまで冷却することによって、表
面にポリエチレン樹脂とガラス繊維からなる繊維強化熱
可塑性樹脂層を備え、その内部にポリエチレン、ポリプ
ロピレン樹脂からなる発泡層を備えた複合発泡体を得
た。成形速度は1.3m/分であった。その後、表面の
繊維強化熱可塑性樹脂層を剥離して、発泡倍率5倍の異
形発泡体を得た。
【0065】(比較例)図1の装置を用い、繊維強化熱
可塑性樹脂シート11を用いないほかは実施例1と全く
同様にして成形したが、加熱金型241に導入して成形
することはできなかった。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、連続繊
維が長手方向に配された繊維強化熱可塑性樹脂シートを
中空状体に賦形し、その内面に発泡させながら熱可塑性
樹脂を供給し、あるいは供給した後に発泡させ、これら
を外形を規制するための金型等に導いて中空状体の外面
を規制しつつ、発泡圧によって所望形状に賦形するた
め、外形を規制するための金型等と中空状体の界面で生
じる摩擦抵抗に起因して生じる長手方向に作用する力
は、中空状体内の連続繊維によって受け止められ、内部
の発泡樹脂に歪みを生じさせたり破断させることなく、
高速にて断面異形形状の発泡体を連続的に成形すること
が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明を適用した実施の形態の模式的断面図
【図2】図1におけるA−A断面図(A)、B−B断面
図(B)、C−C断面図(C)およびD−D断面図
(D)
【図3】第2発明を適用した実施の形態の模式的断面図
【図4】図3におけるA−A断面図(A)およびB−B
断面図(B)
【図5】第1および第2発明の実施の形態において用い
る繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造装置の例の説明図
【符号の説明】
11,31a,31b 繊維強化熱可塑性樹脂シート 12,32 中空状体 13 発泡性熱可塑性樹脂組成物 14 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体 22 金型 221 外金型 222 コア金型 23 押出機 24 引抜金型 241 加熱金型 242 冷却金型 243 断熱材 25 引き取り機 33 発泡性熱可塑性樹脂シート 42 賦形板 44 加熱金型 46 加熱賦形金型 47 冷却金型 48 引き取り機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:04 105:08 B29L 9:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂発泡体の表面が繊維強化熱
    可塑性樹脂層で覆われてなる繊維強化熱可塑性樹脂発泡
    体を製造する方法であって、連続繊維が長手方向に配さ
    れた繊維強化熱可塑性樹脂シートを中空状体に賦形する
    とともに、その中空状体内部に、熱可塑性樹脂と発泡剤
    からなる発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させながら供
    給して、当該中空状体の外周を規制せずにその内部で一
    旦自由に発泡させた後、その全体を引抜金型の入口に導
    入して所定の断面形状を有する出口から引き取ることに
    より、発泡圧によって引抜金型内で中空状体およびその
    内部の熱可塑性樹脂発泡体を所定の断面形状に圧縮賦形
    することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂発泡体の表面が繊維強化熱
    可塑性樹脂層で覆われてなる繊維強化熱可塑性樹脂発泡
    体を製造する方法であって、連続繊維が長手方向に配さ
    れた繊維強加熱可塑性樹脂シートを中空状体に賦形する
    とともに、その中空状体の内部に、熱可塑性樹脂と熱分
    解型発泡剤からなる発泡性熱可塑性樹脂組成物を供給し
    た後、上記熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱するこ
    とにより、中空状体の外周を規制せずにその内部で発泡
    性熱可塑性樹脂組成物を一旦自由に発泡させ、次いで、
    その全体を引抜金型の入口に導入して所定の断面形状を
    有する出口から引き取ることにより、発泡圧によって引
    抜金型内で中空状体およびその内部の熱可塑性樹脂発泡
    体を所定の断面形状に圧縮賦形することを特徴とする繊
    維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記引抜金型には、入口側から加熱部と
    冷却部が順に設けられ、加熱部は、上記繊維強化熱可塑
    性樹脂シートおよび発泡性熱可塑性樹脂組成物が可塑状
    態を保持できるように温度調整され、冷却部は、上記繊
    維強化熱可塑性樹脂シートおよび発泡性熱可塑性樹脂組
    成物の軟化温度以下に温度調整されることを特徴とす
    る、請求項1または2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂発
    泡体の製造方法。
JP7312472A 1995-11-30 1995-11-30 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 Pending JPH09150463A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7312472A JPH09150463A (ja) 1995-11-30 1995-11-30 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7312472A JPH09150463A (ja) 1995-11-30 1995-11-30 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09150463A true JPH09150463A (ja) 1997-06-10

Family

ID=18029624

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7312472A Pending JPH09150463A (ja) 1995-11-30 1995-11-30 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09150463A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010052270A (ja) * 2008-08-28 2010-03-11 Mitsubishi Electric Corp 構造部材及びレドーム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010052270A (ja) * 2008-08-28 2010-03-11 Mitsubishi Electric Corp 構造部材及びレドーム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0653280B1 (en) Method for producing a fiber reinforced thermoplastic resin foamed product
EP0985511B1 (en) Supermicrocellular foamed materials
WO2000003859A1 (fr) Produit en resine moulee, de faible poids, et son procede de fabrication
JPH09150463A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
US3030623A (en) Method for making blown rubber
JPH04126733A (ja) 架橋発泡体の製造方法
JP2974582B2 (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
JPH09150430A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体とその製造方法
JPH10113943A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の連続製造方法
JPH09150462A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
JPH1067052A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の連続製造方法
JPH08267475A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
JPH08216172A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
JPH09239764A (ja) 熱可塑性樹脂異形発泡体の製造方法
JP3214892B2 (ja) 横断面中空異形成形体の製造方法
JP4278233B2 (ja) 繊維含有熱可塑性樹脂の押出成形方法および押出成形品
JPH08174698A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
JPH1067051A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の連続製造方法
WO2024090280A1 (ja) 積層シート材及びその製造方法
JP3554585B2 (ja) 繊維補強熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
JP2502420B2 (ja) 熱可塑性樹脂細条摺曲集合体の製造方法
JPH08267488A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
JPH08300536A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂中空長尺発泡体およびその製造方法
JPH08174697A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
JPH1016069A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法