JPH1016069A - 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法

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JPH1016069A
JPH1016069A JP8169554A JP16955496A JPH1016069A JP H1016069 A JPH1016069 A JP H1016069A JP 8169554 A JP8169554 A JP 8169554A JP 16955496 A JP16955496 A JP 16955496A JP H1016069 A JPH1016069 A JP H1016069A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
sheet
fiber
reinforced thermoplastic
hollow body
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JP8169554A
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Inventor
Koji Yamaguchi
公二 山口
Hiroshi Sugawara
宏 菅原
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 周方向任意の部分における繊維強化熱可塑性
樹脂槽の肉厚を、効率的かつ確実に厚くしながら、容易
に異形断面形状の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を製造す
る方法を提供する。 【解決手段】 繊維強化熱可塑性樹脂シートの幅方向所
望部分に展延抑制シート状体を積層した部分積層シート
A1を連続的に中空状に賦形し、その中空状体T1の内
部に発泡性熱可塑性樹脂B1を供給し、その発泡圧によ
り中空状体T1の外周を規制部材34に沿わせて、展延
抑制シート状体が積層されていない部分の部分積層シー
トA1を周方向に展延させつつ、全体を異形断面形状に
賦形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂発泡体か
らなる芯材層の表面を、繊維強化熱可塑性樹脂からなる
表皮層で覆った構造を持つ、繊維強化熱可塑性樹脂発泡
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂発泡体からなる芯材層の表面
を、繊維強化合成樹脂からなる表皮層で覆った長尺の合
成樹脂複合発泡体は、例えは建築材料その他の分野にお
いて天然木材と同等にあるいはその代替品として使用さ
れるが、このような複合発泡体を製造する方法として、
従来、断面異形形状をした合成樹脂発泡体を、その長手
方向に連続的に移送しつつ、その外面に熱硬化性樹脂を
含浸させた連続繊維を供給し、加熱して引抜成形する方
法が知られている(特開平4−339635号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の製造方法によれば、芯材層となる合成樹脂発泡体
を、ほぼ製品断面に近い形状にあらかじめ成形して用意
しておく必要があり、実質的に一貫製造ラインを構築す
ることができず、その工程が非常に煩雑となる。また、
連続繊維に含浸させた熱硬化性樹脂は低粘度であるが故
に、表皮層となる繊維強化合成樹脂層の肉厚の制御が困
難であり、製品の周方向所望部分の繊維強化合成樹脂層
を厚肉にしたり、あるいは薄肉にしたりすることは困難
であった。すなわち、上記した従来の製造方法によれ
ば、製品の周方向に部分的に高い強度が要求されるよう
な場合、その強度を確保するために、繊維強化合成樹脂
層全体を厚肉としなければならなかった。
【0004】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、周方向任意の部分に
おける繊維強化合成樹脂層の肉厚を、効率的かつ確実に
厚くもしくは薄くしながら、容易に異形断面形状の繊維
強化熱可塑性樹脂発泡体を製造することのできる方法を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法で
は、繊維強化熱可塑性樹脂シートの幅方向所望部分に、
当該シートよりも展延性の小さい展延抑制シート状体を
積層してなる部分積層シートを、連続的に中空状に賦形
するとともに、得られた中空状体の内部に、発泡性性熱
可塑性樹脂を発泡させながら供給し、その発泡圧によっ
て中空状体の外周を規制部材に沿わせることにより、部
分積層シートの展延抑制シート状体が積層されていない
部分を周方向に展延させつつ、全体を異形断面形状に賦
形する、という方法を採用している(請求項1に記載の
発明)。
【0006】ここで、本発明においては、以上の各工程
のうち、上記の部分積層シートを賦形して得られた中空
状体の内部に発泡性熱可塑性樹脂を発泡させながら供給
する工程を、中空状体の内部に発泡性熱可塑性樹脂を未
発泡状態で供給した後に、その発泡性熱可塑性樹脂を中
空状体内部で発泡させる工程に代えることができる(請
求項2に記載の発明)。
【0007】また、本発明においては、上記した部分積
層シートの片面に、発泡性樹熱可塑性樹脂層が積層され
てなる複合シートを、繊維強化熱可塑性樹脂シートが外
面側となるように連続的に中空状に賦形するとともに、
その中空状体の内面側の発泡性熱可塑性樹脂層を発泡さ
せ、その発泡圧によって中空状体の外周を規制部材に沿
わせることにより、部分積層シートの展延抑制シート状
体が積層されていない部分を周方向に展延させつつ、全
体を異形断面形状に賦形する、という方法を採用しても
よい(請求項3に記載の発明)。
【0008】本発明は、繊維強化熱可塑性樹脂シートの
全幅のうち、製品の周方向において高い強度が要求され
る部分に相当する領域に、展延抑制シート状体を積層し
ておくことにより、その積層領域における繊維強化熱可
塑性樹脂シートの展延を抑制して、得られた製品の表皮
層を形成する繊維強化熱可塑性樹脂層の所要部分の肉厚
を他の部分に比して厚くしようとするものである。
【0009】すなわち、本発明によれば、繊維強化熱可
塑性樹脂シートの幅方向所望部分に展延抑制シート状体
が積層されてなる部分積層シートを中空状体に賦形した
後に、その内部での発泡性熱可塑性樹脂の発泡圧によっ
てこの中空状体の外周を規制部材に沿わせることで、繊
維強化熱可塑性樹脂シートを展延させつつ全体を異形断
面形状に賦形する際、繊維強化熱可塑性樹脂シートは、
展延抑制シート状体が積層された領域においては同シー
ト状体が積層されていない領域に比して展延しにくく、
従って繊維強化熱可塑性樹脂シートは、異形断面形状へ
の賦形時において展延抑制シートが積層されていない領
域において主として展延する。このようにして得られた
繊維強化熱可塑性樹脂発泡体は、展延抑制シート状体の
積層部分に相当する部分での繊維強化熱可塑性樹脂層の
肉厚が他の部分に比して厚くなり、周方向所要部分の強
度が高い繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を効率的に得るこ
とが可能となる。
【0010】以下、本発明において用いられる各素材の
材質や製法、および本発明における各工程について、詳
細に説明する。 (1)繊維強化熱可塑性樹脂シートについて (1−1)繊維強化熱可塑性樹脂シートの熱可塑性樹脂 本発明における繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いられ
る熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフ
ェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポ
リエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
リメチルメタクリレート等が挙げられる。また、上記各
熱可塑性樹脂を主成分とする共重合体、グラフト樹脂、
あるいはブレンド樹脂、例えば塩素化ポリ塩化ビニル、
エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン
共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ウレタン
−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重
合体、シラン変性ポリエチレン、アクリル酸変性ポリプ
ロピレン、マレイン酸変性ポリエチレンなどが使用可能
である。更に、熱可塑性エラストマーや架橋熱可塑性樹
脂も使用可能である。
【0011】以上の各樹脂のうち、成形温度を考慮する
と、120〜250°Cといった比較的低温で成形可能
な、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリスチレン、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化
ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸
ビニル−塩化ビニル共重合体、ウレタン−塩化ビニル共
重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体が好まし
い。
【0012】また、本発明における繊維強化熱可塑性樹
脂シートに使用する熱可塑性樹脂は、単独で使用されて
も併用されてもよい。更に、物性を損なわない範囲で、
ジブチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ビス(モノア
ルキルマレート)などの有機錫マレート系、ジブチル錫
ラウレート、モノブチル錫脂肪酸塩などの有機錫ラウレ
ート系、ジオクチル錫サルファイド、ジブチル錫3メル
カプトプロピオネートなどの有機錫メルカプト系、三塩
基性硫酸鉛、塩基性亜硫酸鉛などの鉛塩、ステアリン酸
カルシウム、ステアリン酸鉛などの金属石鹸といった熱
安定剤、脂肪酸エステルワックス、低分子量ポリエチレ
ンワックス、金属石鹸、多価アルコール、脂肪族アルコ
ール、脂肪酸アミドなどの滑剤、アクリル系樹脂、オレ
フィン系樹脂などの加工助剤、ジブチルフタレート、ジ
オクチルフタレートなどの可塑剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、改質剤、着色剤のような添加剤、及びタルク、
マイカ、炭酸カルシウム、木粉、合成樹脂粉砕粉、繊維
強化合成樹脂粉砕粉などの充填材が配合されてもよい。
【0013】(1−2)繊維強化熱可塑性樹脂シートの
繊維 本発明における繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いられ
る繊維としては、本発明の製造工程にて加えられる熱に
より溶融軟化および炭化しないものが使用可能であり、
具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン・チタン
・炭素繊維、ボロン繊維、微細な金属繊維、アラミド繊
維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊
維、絹、綿、麻などの天然繊維を挙げることができる
が、強度、コストを考慮すると、ガラス繊維、炭素繊維
が好ましい。この繊維は、フィラメントの直径は1〜5
0μm、特に3〜23μmが好ましい。フィラメントの
直径が1μmより小さい場合、繊維による補強効果が小
さい。また、繊維の直径が50μmより大きい場合は、
熱可塑性樹脂と繊維の接触面積が、同種同重量の小径の
繊維と比較して小さくなるため、繊維による補強効果は
小さくなる。
【0014】繊維強化熱可塑性樹脂シート中の繊維(展
延抑制シート状体を除く)は、5〜80重量%の範囲に
なるように含有され、10〜50重量%の範囲が特に好
ましい。含有量が5重量%より少ないと補強効果は小さ
く、80重量%より多いと繊維間を結着する樹脂が少な
くなって繊維強化熱可塑性樹脂シートは却って弱いもの
となる。
【0015】また、繊維強化熱可塑性樹脂シート中の繊
維の長さは、3mm以上とすることが好ましく、連続繊
維であることがより好ましい。強化繊維が長いほど繊維
強化熱可塑性樹脂発泡体の強度は強くなり、繊維長が3
mmより短いと補強効果は小さい。また繊維強化熱可塑
性樹脂を展延させながら賦形するには、強化繊維が製造
品長手方向に配向していることが好ましい。すなわち、
連続繊維が製造品長手方向に配向していることが最も好
ましい。
【0016】(1−3)繊維強化熱可塑性樹脂シートの
厚み 本発明における繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚みは、
展延抑制シート状体が積層されていない状態で、0.1
〜10mmとすることが好ましく、0.3〜2mmの範
囲がより好ましい。好ましい範囲より薄いと繊維強化熱
可塑性樹脂発泡体の強度は弱いものとなり、また、逆に
厚いと芯材層による軽量化の効果がなくなる。
【0017】また、製造工程においても、繊維強化熱可
塑性樹脂シートの厚みが0.1mmより薄いとその強度
が弱くなり、10mmより厚いと中空状体への賦形が困
難となって、いずれも好ましくない。
【0018】(1−4)繊維強化熱可塑性樹脂シートの
製造方法 本発明における繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法
の例として、以下の各方法を挙げることができる。
【0019】その一つは、連続強化繊維束をフィラメン
トに解し、一方向に引き揃えた後、熱可塑性樹脂よりな
るフィルムを重ねて加熱ピンチロール間を通過させ、溶
融した熱可塑性樹脂を強化繊維のフィラメント間に浸入
させて、繊維強化熱可塑性樹脂シートを得る方法であ
る。
【0020】他の一つは、一方向に引き揃えた連続強化
繊維束を、粉体状熱可塑性樹脂が安定的に遊離・流動し
ている槽内に引き込み、強化繊維束をフィラメント状に
開繊しながら、粉体状熱可塑性樹脂を付着させた後、加
熱ピンチロール間を通過させ、熱可塑性樹脂を溶融させ
てフィラメント間に浸入させることで、繊維強化熱可塑
性樹脂シートを得る方法である。
【0021】また、繊維がランダムな状態で配されてい
る繊維強化熱可塑性樹脂シートを得ようとする場合に
は、上記の方法によって得られる粉体熱可塑性樹脂が付
着した強化繊維を、ロータリーカッターで細断して無端
ベルト上に落下させて集積し、その上から別の無端ベル
トを押しつけてその集積物を挟んで加圧しつつ、加熱炉
内を通過させ、細断された強化繊維のフィラメント間に
溶融した熱可塑性樹脂を浸入させ、その後、冷却ガイド
ロールを通過させて所望の繊維強化熱可塑性樹脂シート
を製造するといった方法を採用することができる。
【0022】なお、本発明において用いられる繊維強化
熱可塑性樹脂シートは、単層であっても複数層積層され
たものであってもよい。 (2)展延抑制シート状体について (2−1)展延抑制シート状体の材質 本発明における展延抑制シート状体としては、前記した
繊維強化熱可塑性樹脂シートよりも展延性が小さく、か
つ、シート状体であるものであれば任意とすることがで
きるが、発泡圧による繊維強化熱可塑性樹脂シートの幅
方向の展延によって、繊維強化熱可塑性樹脂シートに対
して剥離したり、破断するものは使用できない。また、
本発明の製造方法における中空状体への賦形や発泡圧に
よる異形断面形状への賦形が実質的に不可能であるもは
使用できない。以下に使用可能なものの例を挙げる。
【0023】繊維強化熱可塑性樹脂シートに使用可能な
前記した各繊維を、ネット、クロス、マット化したも
の、具体的にはガラスネット、ガラスクロス、ロービン
グクロス、フィラメントマット、チョップドフィラメン
トマット等が挙げられる。
【0024】また、繊維強化熱可塑性樹脂シートに用い
る熱可塑性樹脂よりも軟化点が高く、製造工程中での温
度では展延性が小さい熱可塑性樹脂からなるシートやフ
ィルムも使用可能である。ここで、軟化点とは、JIS
−K−7206に準じて測定された、ビカット軟化温度
を指す。
【0025】更に、薄い金属板や金属箔、パルプを原料
とした紙質シートなども使用可能である。 (2−2)展延抑制シート状体の繊維強化熱可塑性樹脂
シートへの積層 本発明では、上記した展延抑制シート状体は、繊維強化
熱可塑性樹脂シートの幅方向に少なくとも1箇所積層さ
れればよく、任意の複数箇所に積層することができる。
【0026】また、展延抑制シート状体は、繊維強化熱
可塑性樹脂シートの厚み方向のどの位置に積層されても
よい。つまり表裏面のほか、繊維強化熱可塑性樹脂シー
トを複数層積層したものとする場合には、その層間等に
積層してもよい。
【0027】(2−3)部分積層シートの製造方法 本発明において、繊維強化熱可塑性樹脂シートと展延抑
制シート状体とが積層されてなる部分積層シートの製造
方法としては、前記した方法で製造された繊維強化熱可
塑性樹脂シートに対し、上記した展延抑制シート状体を
接着剤、粘着剤などで接着する方法、繊維強化熱可塑性
樹脂シートの製造中に、その熱可塑性樹脂が溶融状態に
あるときに展延抑制シート状体を挿入し、熱融着、もし
くは展延抑制シート状体への熱可塑性樹脂のアンカー効
果によって積層する方法などを挙げることができる。
【0028】以上のような積層方法による繊維強化熱可
塑性樹脂シートと展延抑制シート状体との接着力は、発
泡圧による部分積層体の幅方向への展延によって剥離す
るものであってはならない。
【0029】(3)発泡性熱可塑性樹脂および複合シー
ト中の発泡性熱可塑性樹脂層について(以下、単に発泡
性熱可塑性樹脂と称する) (3−1)発泡性熱可塑性樹脂の熱可塑性樹脂 本発明における発泡性熱可塑性樹脂に用いられる熱可塑
性樹脂としては、繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いら
れる熱可塑性樹脂と同様のものを用いることができる
が、繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いられる熱可塑性
樹脂と熱融着可能である熱可塑性樹脂を用いることが好
ましい。具体的には、繊維強化熱可塑性樹脂シートに用
いる樹脂と同じ樹脂(同じモノマーより重合された熱可
塑性樹脂)を用いることが好ましい。
【0030】繊維強化熱可塑性樹脂シートの熱可塑性樹
脂とは異なる種類の熱可塑性樹脂を使用する場合には、
これらの樹脂の組み合わせとしては、例えば、ポリエチ
レンとポリプロピレン、ポリエチレンと酢酸ビニル−エ
チレン共重合体、ポリエチレンと塩素化ポリエチレン、
ポリスチレンとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体、ポリスチレンとアクリロニトリル−スチレ
ン共重合体、ポリ塩化ビニルと塩素化ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニルとエチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ
塩化ビニルと酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩
化ビニルとウレタン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビ
ニルとポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニルとア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ
ブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレー
ト、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
とアクリロニトリル−スチレン共重合体などが挙げられ
る。
【0031】また、熱可塑性樹脂と変性した同じ種類の
熱可塑性樹脂の組み合わせも使用できる。この例として
は、ポリエチレンとシラン変性ポリエチレン、ポリエチ
レンとアクリル酸変性ポリプロピレン、ポリエチレンと
マレイン酸変性ポリエチレンなどが挙げられる。
【0032】(3−2)発泡性熱可塑性樹脂の発泡剤 本発明における発泡性熱可塑性樹脂に用いられる発泡剤
としては、発泡させながら中空状体内に供給する場合
(請求項1)には、熱により化学分解してガスを生成す
る分解型発泡剤と、揮発性液体のガス化を利用する揮発
型発泡剤を使用することができる。また、熱可塑性樹脂
を溶融温度以上で混練しながら二酸化炭素や窒素などの
ガスを圧入して熱可塑性樹脂に分散させ、圧力を開放し
て発泡させてもよい。
【0033】一方、中空状体内に未発泡状態で供給した
後に発泡させる場合(請求項2)、および複合シートと
して中空状体の内側に巻き込む場合(請求項3)には、
分解型発泡剤と、熱可塑性樹脂に揮発型発泡剤や二酸化
炭素や窒素などを溶け込ませて分散させた、いわゆる発
泡ビーズを使用することができる。
【0034】上記した分解型発泡剤としては、アゾジカ
ルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N´
−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、pp´−オキ
シビスベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボン
酸バリウム、トリヒドラジノトリアジン、p−トルエン
スルホニルヒドラジド、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモ
ニウム等が挙げられる。
【0035】揮発型発泡剤としては、プロパン、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水
素、塩化メチル、二塩化メチレンなどの塩素化脂肪族炭
化水素、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、2,
2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン、1,
1,1,2−テトラフルオロエタンなどのフロンガスな
どが挙げられる。
【0036】発泡剤の種類によって発生するガス量は異
なるので、発泡剤の配合量は適宜調整しなければならな
いが、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.5〜15
重量部の範囲で配合するのが好ましい。発泡剤の配合量
が少なすぎると発泡した成形体は得られず、発泡剤の配
合量が多すぎるとセルが破泡して緻密なセルが得られな
い。例えばアゾジカルボンアミドを用いて発泡率10倍
の熱可塑性樹脂発泡体を製造する場合、樹脂100重量
部に対して5〜7.5重量部混合するのが適当である。
【0037】(3−3)発泡層の発泡倍率 本発明における発泡性熱可塑性樹脂の発泡によって得ら
れる、成形品の芯材層を形成する発泡層の発泡倍率とし
ては、製造品に要求される強度や比重、使用する熱可塑
性樹脂の種類などに応じて適宜選択されるが、1.2〜
20倍の範囲が好ましく、2〜10倍の範囲が特に好ま
しい。発泡倍率が1.2以下であると、発泡させること
による軽量化の効果は小さく、発泡倍率が20倍以上で
あると、得られる製造品の強度が非常に小さいものとな
る。
【0038】(4)複合シート(請求項3)について (4−1)複合シートの製造方法 本発明において、繊維強化熱可塑性樹脂シートと展延抑
制シート状体とからなる部分積層シートに発泡性熱可塑
性樹脂層を積層させてなる複合シートを用いる場合、そ
の複合シートの製造方法の例としては、以下の各方法な
どを採用することができる。
【0039】一つは、前記した方法で得られた部分積層
シートの一面に、あらかじめ製造された発泡性熱可塑性
樹脂シートを加熱融着させる方法である。また、他の一
つは、前記した方法で得られた部分積層シートの一面
に、未発泡の熱可塑性樹脂をシート状に押出積層し、複
合シートを得る方法である。
【0040】本発明における複合シートは、当該複合シ
ートを形成する各層がそれぞれ単層であっても、あるい
はそのような各層うちの任意の層が複数層であってもよ
い。ただし、複数層とする場合には、展延抑制シート状
体の位置を考慮する必要がある。
【0041】(5)繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造
について (5−1)中空状体への賦形 本発明でいう「中空状体」とは、シートの端部どうしが
突き合わされ、あるいは重ね合わされて筒状に賦形され
ているもののほか、端部どうしに若干の隙間が形成され
ている場合をも含む。
【0042】部分積層シートまたは複合シートを中空状
体に賦形する方法としては、合成樹脂製のシューやロー
ルなどで徐々に曲げていく方法を挙げることができる。
中空状体に賦形する際には、シートの割れや裂けを防ぐ
ために、遠赤外線ヒーターやブロアーで加熱し、熱可塑
性樹脂を軟化状態としながら賦形を行うことが好まし
い。ここで、軟化状態とは、JIS−K−7206に準
じて測定された、ビカット軟化温度以上に熱可塑性樹脂
が加熱された状態を指す。一般的には、熱可塑性樹脂が
変形を始め、機械的性質が低下する温度まで加熱された
状態を指す。
【0043】部分積層シートまたは複合シートを中空状
体に賦形する他の方法としては、部分積層シートないし
は複合シートが徐々に曲げられ、中空状体に賦形される
ような通路が形成された金型内を通過させる方法を挙げ
ることができる。
【0044】また、部分積層シートまたは複合シートの
中空状体への賦形は、積層シートないしは複合シートを
1枚だけ用いて行ってもよいし、複数枚のシートを用い
て、全体として中空状体を得てもよい。複数枚のシート
を用いて中空状体に賦形する場合には、各シートの端部
どうしを重ね合わせてもよい。ただし、複数枚のシート
を用いる場合は、展延抑制シート状体の位置が成形品の
所要部位に位置するように考慮する必要がある。
【0045】(5−2)発泡性熱可塑性樹脂の供給およ
び発泡方法 中空状体の内部に発泡性熱可塑性樹脂を発泡させながら
供給する方法(請求項1)としては、押出機のノズルを
中空状体の内面側に臨ませ、熱可塑性樹脂を発泡させな
がら押出す方法を挙げることができる。
【0046】この場合、押出機内で、分解型発泡剤また
は揮発型発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂をガス発
生温度以上で混練し、発生したガスを熱可塑性樹脂内に
分散させ、発泡性熱可塑性樹脂の溶融温度以上に温度調
節したノズルより中空状体内部に供給する。もしくは、
熱可塑性樹脂を溶融温度以上で混練しながら二酸化炭素
や窒素などのガスを圧入して、熱可塑性樹脂内に分散さ
せ、熱可塑性樹脂の溶融温度以上に温度調節したノズル
より中空状体内部に供給する。
【0047】一方、中空状体内に発泡性熱可塑性樹脂を
未発泡状態で供給する方法(請求項2)としては、押出
機のノズルを中空状体の内面側に配置し、熱可塑性樹脂
の溶融温度以上、発泡剤の分解温度以下で押出す方法
や、発泡剤を含有するシート状、ペレット状あるいは棒
状の熱可塑性樹脂組成物、もくしは発泡ビーズをあらか
じめ製造ないしは用意しておき、こられを中空状体内に
連続的に供給する方法等を挙げることができる。
【0048】以上のような発泡性熱可塑性樹脂を未発泡
状態で中空状体内に供給した後、その内部で発泡させる
方法(請求項2)、および、部分積層体の片面に発泡性
熱可塑性樹脂層が形成されてなる複合シートを中空状体
に成形してその内部で発泡性熱可塑性樹脂層を発泡させ
る方法(請求項3)としては、高温に加熱した金型内に
中空状体を挿入する方法や、中空状体の内側に熱風を吹
き込む方法などを挙げることができる。内部に熱風を吹
き込む場合には、発泡性熱可塑性樹脂の供給口や異形断
面形状への賦形用の規制体内部を通じて空気配管を施
し、中空状体内部に熱風を供給できる構造とする必要が
ある。
【0049】(5−3)中空状体の発泡圧による賦形 本発明において、中空状体に賦形された部分積層シート
または複合シートは、その内部における発泡性熱可塑性
樹脂の発泡圧により、その外周を規制部材に沿わせるこ
とで所望の断面形状に賦形されるが、このとき、部分積
層シートまたは複合シートは、繊維強化熱可塑性樹脂シ
ートが展延可能なように軟化温度以上に加熱されてお
り、展延抑制シート状体が積層された部分は展延されず
に、展延抑制シート状体が積層されていない部分が周方
向に展延されつつ、全体として異形断面形状に賦形され
る。
【0050】部分積層シートまたは複合シートを軟化状
態にする方法としては、外周を規制するための規制部材
(金型ないしは治具)を、ヒーターで熱可塑性樹脂の軟
化温度以上に加熱する方法を挙げることができる。
【0051】軟化状態の中空状体を賦形する方法として
は、中空状体を金型内に挿入し、発泡性熱可塑性樹脂の
発泡圧で金型内面に押し当てて賦形する方法や、周囲か
ら加熱して発泡性熱可塑性樹脂を発泡させながら、中空
状体の外周をロールやシューで規制して賦形する方法な
どを挙げることができる。金型内で賦形する場合には、
真空引きや圧空により賦形を補助してもよい。
【0052】ここで、本発明においては、発泡性熱可塑
性樹脂の発泡圧のみでは中空状体を規制部材に押しつけ
るだけの圧力が得られない場合には、中空状体内部に別
途補助的に圧力をかけることを妨げず、本発明はこのよ
うな補助的な圧力を付与する場合をも含む。このような
場合には、規制部材の構造は、その内部を通じて空気配
管を施し、中空状体内部に気体を供給できる構造とする
ことが望ましい。
【0053】本発明において得られる成形品の断面形状
は任意とすることができるが、繊維強化熱可塑性樹脂シ
ートの展延倍率はあまり大きくすることは好ましくな
い。ここで言う展延倍率とは、(展延前の繊維強化熱可
塑性樹脂シートの厚み)/(展延後の繊維強化熱可塑性
樹脂シートの厚み)である。繊維強化熱可塑性樹脂シー
トの展延は、その繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚み、
用いられている熱可塑性樹脂の種類、展延時の温度等に
よって異なるが、展延後、つまり製造品の繊維強化熱可
塑性樹脂層の厚みが、0.1mm以上になるようにする
ことが好ましい。この繊維強化熱可塑性樹脂層の厚みが
0.1mm未満であると、製造品の強度は弱くなり、ま
た、成形時に繊維強化熱可塑性樹脂層が破れる場合があ
る。
【0054】
【実施例】次に、本発明の製造方法を用いて、実際に繊
維強化熱可塑性樹脂発泡体を製造した幾つかの実施例
を、比較例とともに述べる。
【0055】<実施例1> 繊維強化熱可塑性樹脂シートと展延抑制シート状体か
らなる部分積層シートの製造 本発明実施例で用いた部分積層シートは、図1に示すよ
うに、ロービング繰り出し機11、樹脂槽12、加熱ピ
ンチロール13、冷却ピンチロール14および引ロール
15からなる製造装置を用いて、以下のようにして製造
した。
【0056】ガラス繊維束1(日東紡績ガラスロービン
グ、4400g/km、繊維径23μm)を4本、ロー
ビング繰り出し機11から繰り出して引き揃えた状態
で、下記の〔表1〕の配合を有する粉体状のポリ塩化ビ
ニル樹脂2が空気により流動している樹脂槽12内に引
き込み、ガラス繊維束1をフィラメント単位に開繊しつ
つポリ塩化ビニル樹脂粉体2を付着させた。このポリ塩
化樹脂が付着したガラス繊維を面状に引き揃えた状態
で、目付け55g/m2 、幅30mmのガラスネット3
を2枚、図2に示す位置に重ねながら、220°Cに加
熱された加熱ピンチロール13で10kg/cm2 に加
圧しながら加熱し、ポリ塩化ビニル樹脂を溶融させてガ
ラス繊維間およびガラスネットに浸入させた後、冷却ピ
ンチロール14間に導入して冷却し、幅100mmにト
リミングして、図2に模式的断面図を示すように、厚み
0.4mmのガラス繊維強化ポリ塩化ビニル樹脂シート
4に、展延抑制シート状体としてのガラスネット3が幅
方向2箇所に部分的に積層されてなる部分積層シートを
得た。以下、このシートを部分積層シートA1と称す
る。
【0057】
【表1】
【0058】発泡性熱可塑性樹脂 本実施例で用いた発泡性熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニ
ルに下記の〔表2〕の配合を行ったものを用いた。配合
は、スーパーミキサーを用いて樹脂温度が100°Cに
なるまで行った。以下、この配合の組成物を樹脂組成物
B1と称する。
【0059】
【表2】
【0060】繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造装置
並びに金型 本実施例において用いた繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の
製造装置の構成を、図3に断面図で示す。
【0061】装置は、シート繰り出し機31、押出機3
2、押出金型33、賦形金型34、冷却金型35、およ
び製品引取機36を主たる構成要素としている。押出金
型33には、上流側(図3において左側、以下同)の端
面部にシート挿入部が形成されており、そのシート挿入
部は押出金型33内を下流側へと向かうシート通路33
aに連通している。また、この押出金型33は、押出機
32から供給された樹脂が通る樹脂流路33d並びにそ
の先端で開口して押出機32からの樹脂を吐出する樹脂
押出口33bを備えたコア金型33cを含んでいる。
【0062】上記したシート通路33aは、シート挿入
部における鉛直断面形状が逆U字形であり、その断面形
状は下流側へと進むに従って徐々に円形に変化してお
り、このシート通路33a内をシートが通過することに
よって、そのシートは端部どうし(両側縁どうし)が互
いに突き合わされて直径31.8mmの断面真円の中空
状体に賦形される。
【0063】また、コア金型33cは、このシート通路
33aの内側に配置されて、その下流側先端部に樹脂押
出口33bが形成されているとともに、上流側において
はシートが完全に中空状体に賦形される前の開口部分を
通って押出機32に連結されており、この押出機32か
ら供給される樹脂を樹脂流路33d〜樹脂押出口33b
を介して、完全に中空状に賦形された後の中空状体内に
押出せるようになっている。
【0064】賦形金型34の鉛直断面形状は、上流側の
入口部分では直径31.8mmの円形であるが、下流側
へと進むに連れて徐々に変化して、最下流の出口部分で
は一辺30mmの正方形となっている。
【0065】繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造 図2に示した部分積層シートA1をシート繰り出し機3
1に装着し、180°Cに温度調整した押出金型33の
シート挿入部からシート通路33a内に挿入し、連続的
に中空状体T1に賦形した。このとき、部分積層シート
A1は、ガラスネット3が中空状体T1の内側にくるよ
うに挿入した。
【0066】一方、押出機32には、前記で得た樹脂
組成物B1を投入し、加熱混練を行った後、樹脂流路3
3dに導入した。ここで、押出機32のバレルおよび樹
脂流路33dは170°Cに、樹脂押出口33bは18
0°Cに温度調整した。そして、樹脂押出口33bか
ら、上記のように加熱混練した樹脂組成物B1を中空状
体T1内に発泡させながら押出した。
【0067】樹脂組成物B1の押出し後、中空状体7を
180°Cに加熱した賦形金型34に導入し、樹脂組成
物B1の発泡圧によって中空状体T1の外周を金型34
の内面に押し当てて賦形した。その後、冷却金型35に
よって冷却し、図5に模式的断面図を示すように、発泡
樹脂からなる芯材層5の外周が繊維強化樹脂からなる表
皮層6で覆われ、かつ、その表皮層6の一部に展延抑制
シート状体7が積層された成形品を得た。発泡芯材層5
の発泡倍率は3.5倍であった。
【0068】<比較例1>上記の実施例1におけるの
工程において、ガラスネット3を積層せずに得られた繊
維強化熱可塑性樹脂シートを用いる以外は、実施例1と
全く同じとした。発泡芯材層の発泡倍率は3.5倍であ
った。
【0069】<実施例2> 繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造 実施例1で用いた図1の製造装置を用いて、ガラス繊維
束(日東紡績ガラスロービング、4400g/km、繊
維形23μm)4本を引き揃えて、ポリプロピレン(メ
ルトフローレート30、平均粒径100μmに粉砕した
もの)がエアにより流動している槽内に引き込み、ガラ
ス繊維束をフィラメント単位に開繊しつつポリプロピレ
ン粉体を付着させた。このポリプロピレンが付着したガ
ラス繊維を面状に引き揃えた状態で、厚み25μm、幅
30mmのポリエチレンテレフタレートフィルム2枚を
前記図2に示したガラスネット3と同等の位置に重ねな
がら、220°Cに加熱した加熱ピンチロールで10k
g/cm2 で加圧しながら加熱し、ポリプロピレンを溶
融させてガラス繊維間に浸入させつつ、ポリエチレンテ
レフタレートフィルムを融着させた。
【0070】次いで冷却ピンチロールで冷却し、幅10
0mmにトリミングして、厚み0.4mmのガラス繊維
強化ポリプロピレンシートに、展延抑制シート状体とし
てのポリエチレンテレフタレートフィルムが幅方向2箇
所に部分的に積層されてなる部分積層シートを得た。以
下、このシートを部分積層シートA2と称する。
【0071】発泡性熱可塑性樹脂 本実施例で用いた発泡性熱可塑性樹脂は、以下のものを
用いた。タンブラーでポリプロピレンに下記の〔表3〕
の配合を行い、押出機にて樹脂温度170°C以下で発
泡させずに加熱混練し、ペレット形状に加工した。この
ペレットを99°Cの湯中に1時間浸漬し、水架橋性ポ
リプロピレンを架橋させた後、乾燥させた。以下、この
組成物を樹脂組成物B2と称する。
【0072】
【表3】
【0073】繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造装置
並びに金型 本実施例で用いた繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造装
置は、図4に断面図で示すように、シート繰り出し機4
1、賦形治具42、樹脂供給装置43、賦形金型34、
冷却金型35および製品引取機36を主たる構成要素と
している。
【0074】賦形治具42は、上流側の賦形治具42a
と下流側の賦形治具42bによって構成され、上流側の
賦形治具42aは鉛直断面形状がU字形であって、上流
側から下流側まで一様な断面形状をしている。一方、下
流側の賦形治具42bは中空であり、上流側から下流側
へと進むに従って断面形状がU字形から円形に徐々に変
化しており、ここをシートが通過することによって、そ
のシートは端部どうし(両側縁どうし)が互いに突き合
わされて直径31.8mmの断面真円の中空状体T2に
賦形されるようになっている。
【0075】また、樹脂供給装置43は、スクリューの
回転によって樹脂組成物を一定量ずつ連続的に供給でき
る装置であり、樹脂供給口は2つの賦形治具42aと4
2bの間に配置され、U字形に賦形されたシートの内側
に樹脂組成物が供給されるようになっている。
【0076】賦形金型34、冷却金型35および製品引
取機36は実施例1と同じものを用いた。 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造 前記で得た部分積層シートA2をシート繰り出し機4
1に装着し、ポリエチレンテレフタレートフィルムが上
面側にくるように上流側賦形治具42aに挿入して連続
的にU字形に賦形し、その内側に樹脂供給装置43から
樹脂組成物B2を供給した後、下流側賦形治具42bに
挿入し、連続的に中空状体T2に賦形した。
【0077】賦形後、200°Cに加熱した賦形金型3
4に導入し、樹脂組成物B2の発泡圧によって中空状体
T2の外周を賦形金型34の内面に押し当てて賦形し
た。その後、冷却金型35によって冷却し、図5に示し
たものと同等の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を得た。得
られた成形品の発泡芯材層の発泡倍率は4.5倍であっ
た。
【0078】<比較例2>実施例2のの工程におい
て、ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層せずに
得られた繊維強化熱可塑性樹脂シートを用いる以外は、
実施例2と全く同じとした。発泡芯材層の発泡倍率は
4.5倍であった。
【0079】<実施例3> 複合シートの製造 前記〔表3〕の配合を行ったポリプロピレンを主体とす
る樹脂組成物B2を、押出機にて樹脂温度170°C以
下で発泡させずに加熱混練し、厚み0.4mmのシート
状に押出した。このシートをあらかじめ成形した実施例
2で用いた部分積層シートA2のポリエチレンテレフタ
レートフィルムが積層されていない側の面に加熱積層
し、複合シートCを得た。
【0080】繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造装置
および金型 本実施例では、実施例2で用いた製造装置と同じものを
用いた。 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造 複合シートCをシート繰り出し機41に装着し、発泡性
熱可塑性樹脂層が上面側を向くように賦形治具42aお
よび42bに挿入し、連続的に中空状体に賦形した後、
200°Cに加熱した賦形金型34に導入し、樹脂組成
物B2の発泡圧によって中空状体を金型内面に押し当て
て賦形した。その後、冷却金型35によって冷却し、図
5に示したものと同等の形状・寸法の成形品を得た。た
だし、この実施例3においては、展延抑制シート状体7
は成形体の外側に位置したものとなる。発泡芯材層の発
泡倍率は5.0倍であった。
【0081】<比較例3>実施例3のの工程におい
て、部分積層シートA2に代えて、実施例2のの工程
でポリエチレンテレフタレートフィルムを積層せずに得
られた繊維強化熱可塑性樹脂シートを用い、その片面に
樹脂組成物B2を積層して複合シートを製造した以外
は、実施例3と全く同じとした。発泡心材層の発泡倍率
は5.0倍であった。
【0082】<各実施例および比較例の評価>以上の各
実施例並びに比較例で得られた各成形品の断面を観察す
ると、各実施例で得られた成形品の繊維強化熱可塑性樹
脂層(表皮層)は、正方形断面の対向する2辺が他の2
辺に比べて厚肉であるのに対し、各比較例で得られた成
形品の繊維強化熱可塑性樹脂層(表皮層)は、4辺がほ
ぼ同じ厚みであり、四隅付近は他の部分よりも薄肉であ
った。
【0083】これらの各成形品についての繊維強化熱可
塑性樹脂層の各部の厚みの測定結果と、各成形品につい
ての曲げ強度の測定結果を〔表4〕にまとめて示す。こ
こで、厚みの測定点aおよびbは、それぞれ図5に示し
た隣接2辺SaおよびSbの各中間点とした。
【0084】また、曲げ強度は図5に矢印Pで示す方向
への3点曲げ試験結果を示すものであり、試験条件は支
点間距離1200mm、試験速度20mm/分とした。
【0085】
【表4】
【0086】以上の結果より、本発明の各実施例方法で
得られる繊維強化熱可塑性樹脂発泡体は、表皮層を形成
する繊維強化熱可塑性樹脂層中の所望領域における厚み
を厚くすることが可能であり、その結果、各比較例方法
で得られる繊維強化熱可塑性樹脂発泡体と同じ発泡倍率
であっても、高い曲げ強度を得ることが可能であること
が確かめられた。
【0087】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、中空状
に賦形された繊維強化熱可塑性樹脂シートの内部での発
泡性熱可塑性樹脂の発泡圧によって、繊維強化熱可塑性
樹脂シートを展延させつつ全体を異形断面形状に賦形す
る際、繊維強化熱可塑性樹脂シートの所望部分に展延抑
制シート状体を積層しておくことによって、その積層部
分における繊維強化熱可塑性樹脂シートの展延が抑制さ
れ、得られた成形品の表皮層を形成する繊維強化熱可塑
性樹脂層の所望部分の厚みを他部に比して容易に厚くす
ることが可能となった。その結果、特定部分ないしは特
定方向に対して高い強度を有する繊維強化熱可塑性樹脂
発泡体を、効率的に製造できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で用いた部分積層シートの製
造装置の構成の説明図
【図2】図1の装置によって得られた部分積層シートの
模式的断面図
【図3】本発明の実施例1で用いた繊維強化熱可塑性樹
脂発泡体の製造装置の構成を示す断面図
【図4】本発明の実施例2で用いた繊維強化熱可塑性樹
脂発泡体の製造装置の構成を示す断面図
【図5】本発明の実施例1ないしは2で得られた繊維強
化熱可塑性樹脂発泡体の模式的断面図
【符号の説明】
1 ガラス繊維束 2 粉体状ポリ塩化ビニル樹脂 3 ガラスネット 4 繊維強化熱可塑性樹脂ポリ塩化ビニルシート 5 芯材層(発泡性熱可塑性樹脂層) 6 表皮層(繊維強化熱可塑性樹脂層) 7 展延抑制シート状体 11 ロービング繰り出し機 12 樹脂槽 13 加熱ピンチロール 14 冷却ピンチロール 15 引取ロール 31,41 シート繰り出し機 32 押出機 33 押出金型 33a シート通路 33b 樹脂押出口 33c コア金型 33d 樹脂流路 34 賦形金型 35 冷却金型 36 製品引取機 42a,42b 賦形治具 43 樹脂供給装置 A1,A2 部分積層シート B1,B2 発泡性熱可塑性樹脂組成物 T1,T2 中空状体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:08 B29L 9:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化熱可塑性樹脂シートの幅方向所
    望部分に、当該シートよりも展延性の小さい展延抑制シ
    ート状体を積層してなる部分積層シートを、連続的に中
    空状に賦形するとともに、得られた中空状体の内部に、
    発泡性熱可塑性樹脂を発泡させながら供給し、その発泡
    圧によって中空状体の外周を規制部材に沿わせることに
    より、上記部分積層シートの展延抑制シート状体が積層
    されていない部分を周方向に展延させつつ、全体を異形
    断面形状に賦形することを特徴とする繊維強化熱可塑性
    樹脂発泡体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の製造方法において、上記中空
    状体の内部に発泡性熱可塑性樹脂を発泡させながら供給
    することに代えて、上記中空状体の内部に発泡性熱可塑
    性樹脂を未発泡状態で供給した後に、その発泡性熱可塑
    性樹脂を上記中空状体内部で発泡させることを特徴とす
    る、繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  3. 【請求項3】 繊維強化熱可塑性樹脂シートの幅方向所
    望部分に当該シートよりも展延性の小さい展延抑制シー
    ト状体を積層してなる部分積層シートの片面に、発泡性
    樹熱可塑性樹脂層が積層されてなる複合シートを、繊維
    強化熱可塑性樹脂シートが外面側となるように連続的に
    中空状に賦形するとともに、その中空状体の内面側の発
    泡性熱可塑性樹脂層を発泡させ、その発泡圧によって中
    空状体の外周を規制部材に沿わせることにより、上記部
    分積層シートの展延抑制シート状体が積層されていない
    部分を周方向に展延させつつ、全体を異形断面形状に賦
    形することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018062119A (ja) * 2016-10-13 2018-04-19 三菱ケミカル株式会社 炭素繊維強化プラスチック積層体およびその製造方法

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