JPH08267488A - 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法

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JPH08267488A
JPH08267488A JP7075997A JP7599795A JPH08267488A JP H08267488 A JPH08267488 A JP H08267488A JP 7075997 A JP7075997 A JP 7075997A JP 7599795 A JP7599795 A JP 7599795A JP H08267488 A JPH08267488 A JP H08267488A
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JP
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thermoplastic resin
fiber
hollow body
reinforced thermoplastic
resin composition
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JP7075997A
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Koji Yamaguchi
公二 山口
Hiroshi Sugawara
宏 菅原
Koichi Hirao
浩一 平尾
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 芯材層となる発泡性熱可塑性樹脂をあらかじ
め成形することなく表皮層の繊維強化熱可塑性樹脂とと
もに一挙に成形することが可能で、かつ、複雑な断面形
状を持つ製品でも表皮層が破れたり肉厚が不均一となる
ことのない、繊維強化熱可塑性発泡体の製造方法を提供
する。 【構成】 繊維強化熱可塑性樹脂シート1を連続的に中
空状体2に賦形しつつ、その内部に発泡性熱可塑性樹脂
組成物3を供給・発泡させるとともに、中空状体2とそ
の外周を規制するための規制部材107との間に潤滑剤
を介在させた状態で、発泡圧により中空状体2を規制部
材107に沿わせることで、所望断面形状に賦形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂発泡体で
構成される芯材層の表面を、繊維強化熱可塑性樹脂で構
成される表皮層で被覆してなる繊維強化熱可塑性樹脂発
泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂発泡体からなる芯材層の表面
を、繊維強化合成樹脂からなる表面層で覆った長尺の繊
維強化合成樹脂複合発泡体は、軽量で強度を要求される
材料、例えば住宅用の構造材をはじめとして、既に多く
の分野で利用されている。
【0003】このような繊維強化合成樹脂発泡複合体の
製造方法としては、従来、あらかじめ所望の断面形状に
賦形した合成樹脂発泡体の表面に、ハンドレイアップ法
により繊維強化合成樹脂を積層する方法が多用されてい
た。しかし、この製造方法によると、繊維強化合成樹脂
層の積層作業に相当の人手を要するとともに、バッチ式
の生産方式であるが故に、成形後の合成樹脂発泡体をス
トックしておく必要がある等、同一品種の製品を大量に
生産するには非能率的である。
【0004】このような問題を解決すべく、あらかじめ
所望の断面形状に賦形した長尺の合成樹脂発泡体を、そ
の長手方向に連続的に移送しつつ、その表面に熱硬化性
樹脂を含浸させた連続繊維を供給し、引抜成形型に導い
て加熱しながら引抜成形する方法が提案されている(特
開平4−339635号)。
【0005】この提案によれば、従来のハンドレイアッ
プ法を用いる場合に比して省力化を達成することができ
るとともに、合成樹脂発泡体の成形ラインと、熱硬化性
合成樹脂を含浸した連続繊維の供給〜引抜成形ラインと
を直結することで、一貫生産が可能となり、大量生産を
行う際には製造コストを大幅に低減できるという利点が
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した提
案方法によると、芯材層となる合成樹脂発泡体を、ほぼ
製品断面に近い断面形状にあらかじめ成形する必要があ
るため、その成形ラインは依然として残り、これを表皮
層の供給〜引抜ラインと直結しても、全体としての製造
ラインは長大となって煩雑である。また、連続繊維に含
浸させた熱硬化性樹脂は低粘度であるため、均一な肉厚
の繊維強化合成樹脂層を得ることが困難であり、得られ
た製品が均一な機械的強度を発現することの妨げとなっ
ていた。
【0007】このような問題を解決するためには、強化
繊維と熱可塑性樹脂からなる繊維強化熱可塑性シートを
連続的に中空状体に賦形し、その中空状体の内部で発泡
性熱可塑性樹脂組成物を発泡させ、その発泡圧により中
空状体の外周面を引抜成形金型等の規制部材に沿わせ、
所望の断面形状に賦形する方法が考えられる。
【0008】ところが、この方法では、中空状体の外形
形状と製品の断面形状とが大きく異なる場合には、引抜
成形時において繊維強化熱可塑性樹脂シートは規制部材
との間で、特に周方向に大きなせん断抵抗を受ける。そ
のため、規制部材によって断面積を大きく変化させた
り、複雑な断面形状へ賦形しようとすると、繊維強化熱
可塑性樹脂シートが破れてしまうという問題が生じる。
この問題を解決する方法として、繊維強化熱可塑性樹脂
シートを製品断面形状に近い断面形状の中空状体に賦形
することが考えられるが、繊維強化熱可塑性樹脂シート
を中空の状態で複雑な形状に賦形することは極めて困難
であるし、その内部に発泡性熱可塑性樹脂組成物を供給
することも困難である。
【0009】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、発泡性熱可塑性樹脂
をあらかじめ成形する必要がなく、しかも、複雑な断面
形状を持つ製品でも表皮層の繊維強化樹脂層が破れたり
肉厚が不均一となることがなく、もって比較的簡単な設
備構成のもとに、均一な機械的強度を持つ繊維強化熱可
塑性樹脂発泡体を高能率かつ高歩留りで製造することの
できる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
は、実施例図面である図1,図2に示すように、繊維強
化熱可塑性樹脂シート1を連続的に中空状体2に賦形し
つつ、その中空状体2内に発泡性熱可塑性樹脂組成物3
を発泡させながら供給するとともに、その全体を外周規
制部材107へと導き、この規制部材107と中空状体
2の外周面との間に潤滑剤を介在させた状態で、発泡性
熱可塑性樹脂組成物3の発泡圧により中空状体2の外周
面を規制部材107に沿わせることで所望断面形状に賦
形することによって特徴づけられる。
【0011】ここで、発泡性熱可塑性樹脂組成物3を、
上記のように中空状体2内に発泡させながら供給するこ
とに代えて、中空状体2内に発泡性熱可塑性樹脂組成物
3を供給した後に、中空状体2の内部で発泡させる方法
を採用することができる。
【0012】また、同様な目的を達成するために、他の
実施例図面である図3に示すように、繊維強化熱可塑性
樹脂層1aと発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aからなる
複合シート10を、繊維強化熱可塑性樹脂層1aが外面
となるように連続的に中空状体20に賦形した後に内面
側の発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させるとともに、
上記各方法と同様の外周規制部材へと導き、この規制部
材と中空状体20の外周面との間に潤滑剤を介在させた
状態で、発泡性熱可塑性樹脂組成物の発泡圧により中空
状体20の外周面を規制部材に沿わせることで所望断面
形状に賦形する方法を採用することができる。
【0013】以上の本発明の各方法において、繊維強化
熱可塑性樹脂シート1および複合シート10はそれぞ
れ、1枚のシートからなる単層のものであってもよい
し、複数のシートを積層したものを用いてもよい。
【0014】本発明でいう中空状体2,20とは、シー
ト1または10の側縁部どうしを相互に突き合わせもし
くは重ね合わせた状態で、内側に空隙が形成されるよう
に賦形された状態のもののほか、側縁部間に若干の隙間
を生じている状態のものをも含む。
【0015】そして、繊維強化熱可塑性樹脂シート1あ
るいは複合シート10を、上記のような中空状体2,2
0に賦形する方法としては、合成樹脂製のシューやロー
ルなどでシート1,10を徐々に曲げていく方法、およ
び、シート1,10が徐々に曲げられて中空状体2,2
0に賦形されるようなシート1,10の通路が設けられ
た金型を用い、その金型内をシート1,10を通過させ
る方法などを採用することができる。中空状体2,20
への賦形に際してシート1,10の割れや裂けを防止す
るため、遠赤外線ヒータや熱風ブロアで加熱し、熱可塑
性樹脂を軟化状態としながら賦形を行うことが好まし
い。
【0016】ここで、軟化状態とは、JIS−K−72
06に準じて測定された、ビカット軟化温度以上に熱可
塑性樹脂が加熱された状態を指す。一般的には、熱可塑
性樹脂が変形を始め、機械的性質が低下する温度まで加
熱された状態を指す。
【0017】中空状体2,20への賦形に用いるシート
1,10は、1枚のシート1または10の両側縁部どう
しを突き合わせ、あるいは重ね合わせ、もしくは若干の
隙間を介して突き合わせるほか、複数枚のシート1,1
0を用いてこれらを互いに平行にした状態で、これらの
側縁部どうしを突き合わせ、あるいは重ね合わせ、もし
くは若干の隙間を介して突き合わせることで、全体とし
て1つの中空状体2,20に賦形してもよい。
【0018】また、本発明において、中空状体2,20
を発泡圧によって賦形する際に用いられる外周規制部材
107とは、賦形金型もくしはロール、シュー等をい
い、金型を用いる場合、中空状体2,20を金型内に挿
入し、その内部の発泡性熱可塑性樹脂組成物の発泡圧で
金型の内面に中空状体2,20を押し当てながら賦形す
ればよく、ロールやシューを用いる場合には、周囲から
加熱して内部の発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させな
がら、中空状体2,20の外周をロールやシューで規制
して賦形すればよい。なお、金型で賦形する場合には、
真空引きや圧空により賦形を補助してもよい。
【0019】ここで、中空状体2,20を、内側の発泡
性熱可塑性樹脂組成物3あるいは発泡性熱可塑性樹脂組
成物層3aの発泡圧によって外周規制部材107に沿わ
せて所望断面形状に賦形するに当たり、発泡性熱可塑性
樹脂組成物の発泡動作によって生じる発泡圧のみでは中
空状体2,20を規制部材107に押しつけるだけの圧
力が得られない場合、中空状体2,20の内側に補助的
に別途圧力を付与してもよく、本発明各方法は、このよ
うな補助的な圧力を用いる場合をも含む。補助的な圧力
を付与する場合、規制部材107の構造は、その内部を
通じて中空状体2,20内部に気体を供給できるような
配管を持つ構造とすることが望ましい。
【0020】次に、本発明において用いられる繊維強化
熱可塑性樹脂シート1および複合シート10の組成、構
造、並びに製法等について述べる。本発明における繊維
強化熱可塑性樹シート1、あるいは複合シート10の繊
維強化熱可塑性樹脂層1aに用いられる熱可塑性樹脂と
しては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネー
ト、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホ
ン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタクリ
レート等を挙げることができる。また、これらの熱可塑
性樹脂を構成するモノマーを主成分とする共重合体やグ
ラフト樹脂あるいはブレンド樹脂、例えば塩素化ポリ塩
化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル
−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合
体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−
スチレン共重合体、シラン変性ポリエチレン、アクリル
酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレンな
ども使用可能である。更に、熱可塑性エラストマーや架
橋熱可塑性樹脂も使用可能である。これらの使用可能な
樹脂のなかでも、成形温度を考慮すると、120〜25
0°Cといった比較的低温で成形可能な、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、
塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合
体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化
ビニル共重合体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、および
アクリロニトリル−スチレン共重合体を採用することが
望ましい。
【0021】また、本発明で使用する熱可塑性樹脂は、
単独で使用しても複数のものを併用してもよく、物性を
損なわない範囲内で、ジブチル錫マレートポリマー、ジ
ブチル錫ビス(モノアルキルマレート)などの有機錫マ
レート系、ジブチル錫ラウレート、モノブチル3メルカ
プトプロピオネートなどの有機錫メルカプト系、三塩基
性硫酸鉛、塩基性亜硫酸鉛などの鉛基、ステアリン酸カ
ルシウム、ステアリン酸鉛などの金属石鹸といった熱安
定剤、脂肪酸エステルワックス、低分子量ポリエチレン
ワックス、金属石鹸、多価アルコール、脂肪族アルコー
ル、脂肪酸アミドなどの滑剤、アクリル系樹脂、オレフ
ィン系樹脂などの加工助剤、ジブチルフタレート、ジオ
クチルフタレートなどの可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、改質剤、着色剤のような添加剤、および、タル
ク、マイカ、炭酸カルシウム、木粉、繊維強化熱硬化性
樹脂粉砕粉などの充填材を配合したものでもよい。
【0022】本発明における繊維強化熱可塑性樹脂シー
ト1あるいは繊維強化熱可塑性樹脂層1aに用いられる
繊維としては、本発明の製造工程にて加えられる熱によ
り溶融軟化および炭化しないものであれば使用可能であ
り、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン・チ
タン・炭素繊維、ボロン繊維、微細な金属繊維、あるい
はアラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維な
どの有機繊維、絹、綿、麻などの天然繊維を挙げること
ができるが、強度、コストを考慮すると、ガラス繊維、
炭素繊維が好ましい。フィラメントの直径は1〜50μ
m、特に3〜23μmが好ましい。フィラメントの直径
が1μmより小さい場合、繊維による補強効果が小さ
く、50μmを越えると、熱可塑性樹脂と繊維との接触
面積が、同種同重量のより小径の繊維を用いる場合に比
して小さくなるため、これも繊維による補強効果が小さ
くなって好ましくない。
【0023】本発明における繊維強化熱可塑性樹脂シー
ト1あるいは繊維強化熱可塑性樹脂層1a中の繊維の含
有率は、5〜80重量%の範囲で、好ましくは10〜5
0重量%である。含有率が5重量%より少ないと補強効
果は小さく、80重量%を越えると繊維間を結着する樹
脂が少なくなるため、機械的強度は弱くなる。
【0024】また、本発明における繊維強化熱可塑性樹
脂シート1あるいは繊維強化熱可塑性樹脂層1aの中の
繊維の長さは、3mm以上が好ましく、連続繊維である
ことがより好ましい。強化繊維が長いほど、得られる製
品である繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の強度は強くな
り、繊維長が3mmより短いと補強効果は小さい。また
繊維強化熱可塑性樹脂シート1もしくは繊維強化熱可塑
性樹脂層1aと発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aからな
る複合シート10を展延させながら賦形するには、強化
繊維が製造品長手方向に配向していることが好ましい。
すなわち、連続繊維が製造品長手方向に配向しているこ
とが最も好ましい。
【0025】本発明における繊維強化熱可塑性樹脂シー
ト1あるいは繊維強化熱可塑性樹層1aの厚みは、0.
1〜10mmが好ましく、0.3〜2mmがより好まし
い。厚みが0.1mmより薄いと繊維強化熱可塑性樹脂
シート1あるいは複合シート10の強度が弱く、中空状
体2ないしは20への賦形に耐えることが困難となり、
10mmより厚いと、中空状体2ないしは20への賦形
が困難となる。
【0026】そして、本発明において用いられる繊維強
化熱可塑性樹脂シート1の製造方法の一例としては、ガ
ラスフィラメント束等の強化繊維束をフィラメントに解
し、一方向に引き揃えた後、熱可塑性樹脂製のフィルム
を重ねて加熱ピンチロール間を通過させることにより、
溶融熱可塑性樹脂を強化繊維のフィラメント間に侵入さ
せる方法を挙げることができる。
【0027】また、本発明において用いられる繊維強化
熱可塑性樹脂シート1の製造方法の他の例として、一方
向に引き揃えた連続強化繊維束を、粉体状熱可塑性樹脂
が流動している槽内に引き込み、強化繊維束をフィラメ
ントに解しながら、粉体状熱可塑性樹脂を付着させた
後、加熱ピンチロール間を通過させ、熱可塑性樹脂を溶
融させてフィラメント間に侵入させる方法を採用するこ
とができる。
【0028】更に、本発明において用いられる繊維強化
熱可塑性樹脂シート1として、強化繊維がランダムに配
されたものとする場合には、上記と同様にして得られた
粉体熱可塑性樹脂が付着した強化繊維束を、ロータリカ
ッタで細断して無端ベルト上へ落下させて集積した後、
その上方から別の無端ベルトを押しつけ、この上下の無
端ベルトで挟みつつ加圧した状態で加熱炉内を通過させ
ることにより、細断された強化繊維に熱可塑性樹脂を含
浸させ、その後冷却ガイドロールを通過させてシート化
する方法を採用することができる。
【0029】一方、本発明において用いられる複合シー
ト10の製造方法の一例としては、上記した各方法のい
ずれかにより得られた繊維強化熱可塑性樹脂シートの一
面に、あらかじめ製造された発泡性樹脂組成物シートを
加熱融着させる方法を挙げることができる。
【0030】また、本発明において用いられる複合シー
ト10の製造方法の他の例として、同じく上記した各方
法のいずれかにより得られた繊維強化熱可塑性樹脂シー
トの一面に、未発泡の発泡性樹脂組成物をシート状に押
し出して積層する方法を採用することもできる。
【0031】次に、本発明において用いられる発泡性熱
可塑性樹脂組成物3、あるいは複合シート10の発泡性
熱可塑性樹脂組成物層3aの組成、構造、および供給な
いしは発泡のさせ方等について述べる。
【0032】本発明における発泡性熱可塑性組成物3も
しくは発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aとして用いられ
る熱可塑性樹脂としては、繊維強化熱可塑性樹脂シート
1あるいは繊維強化熱可塑性樹脂層1aに用いられる熱
可塑性樹脂と同様のものが使用可能であるが、繊維強化
熱可塑性樹脂シート1ないしは繊維強化熱可塑性樹脂層
1aに用いられる熱可塑性樹脂と熱融着可能な熱可塑性
樹脂を用いることが好ましい。具体的には、互いに同じ
種類の熱可塑性樹脂(同じモノマーより重合された熱可
塑性樹脂)どうしを用いることが好ましい。異なる種類
の熱可塑性樹脂を使用する場合の組み合わせとしては、
例えば、ポリエチレンとポリプロピレン、ポリエチレン
と酢酸ビニル−エチレン共重合体、ポリエチレンと塩素
化ポリエチレン、ポリスチレンとアクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体、ポリスチレンとアクリロ
ニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニルと塩素化
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルとエチレン−塩化ビニ
ル共重合体、ポリ塩化ビニルと酢酸ビニル−塩化ビニル
共重合体、ポリ塩化ビニルとウレタン−塩化ビニル共重
合体、ポリ塩化ビニルとポリメチルメタクリレート、ポ
リ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレ
ンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン共重合体とアクリロニトリル−スチレン共重合体
などを挙げることがてきる。また、熱可塑性樹脂と変性
した同じ種類の熱可塑性樹脂の組み合わせも使用でき
る。この例としては、ポリエチレンとシラン変性ポリエ
チレン、ポリエチレンとアクリル酸変性ポリプロピレ
ン、ポリエチレンとマレイン酸変性ポリエチレン等が挙
げられる。
【0033】また、このような発泡性熱可塑性樹脂組成
物3に用いられる発泡剤としては、発泡させながら中空
状体2内に供給する場合においては、熱により化学分解
してガスを生成する分解型発泡剤と、揮発性液体のガス
化を利用する揮発型発泡剤を使用することができる。あ
るいは、熱可塑性樹脂を溶融温度以上で混練しながら二
酸化炭素や窒素などのガスを圧入することで樹脂内に分
散させておき、中空状体2内への供給時に圧を開放して
発泡させてもよい。一方、発泡性熱可塑性樹脂組成物3
を中空状体2内に供給した後に発泡させる場合、およ
び、複合シート10を中空状体20に賦形した後にその
内部で発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aを発泡させる場
合には、分散型発泡剤と、熱可塑性樹脂に揮発型発泡剤
や二酸化炭素や窒素などを溶け込ませて分散させた、い
わゆる発泡ビーズを使用することができる。
【0034】ここで、分散型発泡剤としては、アゾジカ
ルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N′
−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、pp′−オキ
シビスベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボン
酸バリウム、トリヒドラジノトリアジン、p−トルエン
スルホニルヒドラジド、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモ
ニウム等が挙げられる。
【0035】揮発型発泡剤としては、プロパン、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、フプタンなどの脂肪族炭化水
素、塩化メチル、二塩化メチレンなどの塩素化脂肪族炭
化水素、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、2,
2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン、1,
1,1,2−テトラフルオロエタンなどのフロンガス等
が挙げられる。
【0036】発泡剤の種類によって発生するガス量は異
なるので、その配合量は種類に応じて適宜調整しなけれ
ばならないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して、発
泡剤0.5〜15重量部の範囲内で配合するのが好まし
い。発泡剤の配合量が上記範囲より少ないと発泡した成
形体は得られず、逆に発泡剤の配合量が多すぎるとセル
が破泡して緻密なセルが得られない。例えばアゾジカル
ボンアミドを用いて発泡倍率10倍の熱可塑性樹脂発泡
体を製造する場合、熱可塑性樹脂100重量部に対して
5〜7.5重量部混合のが妥当である。
【0037】発泡性熱可塑性樹脂組成物3あるいは発泡
性熱可塑性樹脂組成物層3aの発泡によって得られる成
形品の内部発泡層(芯材層)の発泡倍率としては、製造
品に要求される強度や比重、使用する熱可塑性樹脂の種
類などで適宜選択されるべきであるが、1.2〜20倍
の範囲とすることが好ましく、2〜10倍の範囲が特に
好ましい。発泡倍率が1.2倍より小さいと、発泡させ
ることによる軽量化の効果が小さく、発泡倍率が20倍
より大きい場合には、強度が非常に弱いものとなって、
いずれも好ましくない。
【0038】そして、本発明において発泡性熱可塑性樹
脂組成物3を中空状体2内に発泡させながら供給する方
法として、繊維強化熱可塑性樹脂シート1の中空状体2
への賦形途上の開口部分から、賦形後の中空状体2内に
押出機のノズルを挿入し熱可塑性樹脂を発泡させながら
押出す方法を採用することができる。
【0039】この場合、押出機内で、分解型発泡剤もし
くは揮発型発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹組成物3
をガス発生温度以上で混練し、発生したガスを熱可塑性
樹脂に分散させて、発泡性熱可塑性樹脂組成物の溶融温
度以上に温度調節したノズルから中空状体2内部に供給
する。もしくは、熱可塑性樹脂を溶融温度以上で混練し
ながら二酸化炭素や窒素などのガスを圧入して熱可塑性
樹脂内に分散させ、これを熱可塑性樹脂の溶融温度以上
に温度調節したノズルより中空状体2内に供給する。
【0040】一方、中空状体2内に発泡性熱可塑性樹脂
組成物3を供給した後に、中空状体2内でこれを発泡さ
せる場合、発泡性熱可塑性樹脂組成物3を中空状体2内
に供給する方法としては、上記の方法と同様にして中空
状体2内に押出機のノズルを挿入して、熱可塑性樹脂の
溶融温度以上で、かつ、発泡剤の分解温度以下で押出す
方法や、あらかじめ製造した、発泡剤を含有するシート
状またはペレット状、あるいは棒状の発泡性熱可塑性樹
脂組成物、または発泡ビーズを、連続的に中空状体2内
に供給する方法を採用することがてきる。
【0041】また、上記のような方法で供給された発泡
性熱可塑性樹脂組成物を、中空状体2の内部で発泡させ
る方法、および、複合シート10を中空状体20に賦形
した後に内面側の発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aを発
泡させる方法としては、全体を高温に加熱した金型に挿
入する方法や、中空状体2または20内部に熱風を吹き
込む方法を採用することができる。熱風を吹き込む場合
には、中空状体2,20内への樹脂の供給口部分や規制
部材107内部を通じて空気配管を施し、中空状体2,
20内部に一様に熱風を供給できる構造とする必要があ
る。
【0042】さて、本発明で用いられる潤滑剤は、中空
状体2,20を構成する熱可塑性樹脂および強化繊維と
化学的な反応を起こさないもので、中空状体2,20と
規制部材107との間に介在する際に液体状または微粉
末状のものである。
【0043】具体的には、フッ素オイル、シリコンオイ
ル、流動パラフィンなどの高分子流動体、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアル
キレングリコール類、ポリアルキレングリコールの共重
合体、ポリアルキレングリコールの末端アルキルエステ
ル化重合体などのポリエーテル系潤滑剤、多価アルコー
ル、脂肪酸、多価アルコールと脂肪酸とのエステル、脂
肪酸アルコールアミド、脂肪酸アミド、ポリエステル系
潤滑剤、ステアリン酸塩などの金属石鹸、アルカン、ハ
ロゲン化アルカン、アルキルエーテルなどの有機溶剤、
その他植物油、動物油などの天然オイル/ワックス、二
硫化モリブデン、原油を精製して得られる鉱油などが挙
げられる。また、このような潤滑剤を溶剤で希釈、分散
させたものや、水で分散させたもの、更には水自体も潤
滑剤として使用可能であるが、使用可能な温度範囲は沸
点以下に制限される点に留意すべきである。
【0044】本発明において用いるのに適した潤滑剤
は、熱的に安定で、かつ、成形体や製造装置に対して粘
着性がないものであり、このような観点から、潤滑性に
優れる高分子流動体や鉱油、水溶性で製造後の繊維強化
熱可塑性樹脂発泡体から潤滑剤の除去が簡易なポリアル
キレングリコール等が好ましいといえる。
【0045】また、潤滑剤を中空状体2,20と規制部
材107との間に介在させる方法としては、繊維強化熱
可塑性樹脂シート1あるいは複合シート10の、後で規
制部材107と接する面に前もって滴下もしくは塗布す
る方法、中空状体2,20内部で発泡性熱可塑性樹脂組
成物3または同層3aを発泡させ、繊維強化熱可塑性シ
ート1または複合シート10に発泡圧が加わり、かつ、
未だ所望形状に賦形されていない状態で、規制部材より
一定量ずつ滲みださせる方法などを挙げることができる
が、中空状体2,20の発泡圧により断面の変形が行わ
れる前に潤滑剤を介在させることができれば、潤滑剤の
供給方法は特に制限されない。ただし、製品の表面状態
を長手方向に均一なものとするためには、ポンプなどで
潤滑剤を定量的に供給することが好ましい。
【0046】
【作用】繊維強化熱可塑性樹シート1または複合シート
10を連続的に賦形して得られた中空状体2または20
を、その内部の発泡性熱可塑性樹脂組成物3または3a
の発泡圧によって、潤滑剤を介して外周規制部材107
に沿わせて所望断面形状に賦形することで、芯材層とな
る発泡性熱可塑性樹脂と、表皮層となる繊維強化熱可塑
性樹脂との一体成形が可能となり、しかも、中空状体
2,20と外周規制部材107との間に介在する潤滑剤
により、規制部材107による賦形の際に生じるせん断
抵抗が低減される結果、得ようとする製品の断面形状が
複雑であったり、製品断面形状と中空状体2,20の断
面輪郭形状とが大きく相違したり、また、中空状体2,
20の展延を伴う賦形であっても、表皮層の繊維強化熱
可塑性樹脂層が破れたり肉厚が不均一となることがな
い。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、繊維強化熱可塑性シー
ト、あるいはこれと発泡性熱可塑性樹脂組成物からなる
層とを積層した複合シートを、連続的に中空状体に賦形
し、その中空状体内部に供給した発泡性熱可塑性樹脂組
成物、あるいは複合シートの場合には中空状体の内側と
なっている発泡性熱可塑性樹脂組成物層の発泡圧によっ
て、中空状体の外周を規制部材に沿わせて所望断面に賦
形するとともに、その規制部材による賦形の際には、規
制部材との間に潤滑剤を介在させるので、製品の断面形
状が複雑で、特に中空状体の展延を伴うような賦形が必
要な場合でも、繊維強化熱可塑性樹脂層が破れるたり肉
厚が不均一となるような不具合が生じず、表皮層の繊維
強化熱可塑性樹脂と芯材層の発泡熱可塑性樹脂とを一挙
に、しかも、高い安定性のもとに一体成形することが可
能となった。
【0048】その結果、従来のように発泡体をあらかじ
め成形しておく必要がなくなり、その分、工程を省略す
ることができ、比較的簡単な設備構成のもとに、均一な
機械的強度を持つ高品質の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体
を、良好な生産性のもとに製造することが可能となっ
た。
【0049】また、複合シートを用いる場合には、上記
の効果と併せて、繊維強化熱可塑性樹脂層と発泡性熱可
塑性樹脂組成物層との界面における、発泡性熱可塑性樹
組成物から生じたガスの残存によるボイドの発生を防止
することができ、表皮層である繊維強化熱可塑性樹脂と
芯材層である熱可塑性樹脂発泡体の融着性に優れた繊維
強化熱可塑性樹脂発泡体が得られるという効果を奏する
ことができる。
【0050】
【実施例】以下、本発明の各方法を用いて実際に繊維強
化熱可塑性樹脂発泡体を製造した例について、比較例と
ともに述べる。 <実施例1>繊維強化熱可塑性樹脂シート ガラス繊維束(日東紡績ガラスロービング、4400k
g/km、フィラメント径23μ)4本を引き揃えて、
ポリ塩化ビニル樹脂(下記の〔表1〕の配合を行ったも
の)がエアにより流動している槽内に引き込み、ガラス
繊維束をフィラメント単位に解しつつポリ塩化ビニル樹
脂を付着させた。このポリ塩化ビニル樹脂が付着したガ
ラス繊維を面状に引き揃えた状態で、220°Cに加熱
されたピンチロールにより10kg/cm2 で加圧しな
がら加熱し、ポリ塩化ビニル樹脂を溶融させてガラス繊
維間に侵入させた。次いで冷却ピンチロールで冷却し、
幅100mmにトリミングして、厚み0.4mmのガラ
ス繊維強化ポリ塩化ビニル樹脂シート(以下、このシー
トをもって繊維強化熱可塑性樹脂シート1と称する)を
得た。
【0051】
【表1】
【0052】発泡性熱可塑性樹脂組成物 ポリ塩化ビニル(信越化学TK800)に〔表2〕の配
合を行ったものを用いた。配合には、スーパーミキサー
を用いて樹脂温度が100°Cになるまで行った。
【0053】
【表2】
【0054】製造装置並びに金型 図1はこの実施例で用いた製造装置および金型の構成を
示す模式的断面図で、図2は図1のA〜Fの各部での材
料または製品の断面図を示している。
【0055】繊維強化熱可塑性シート1は、シート繰り
出し機101から順次繰り出され、ロールあるいはシュ
ー(図示せず)によって図2(B)に示すように略逆U
字形に賦形された後、中空状体賦形用金型102に導か
れる。この中空状体賦形用金型102は、外側金型10
3とコア金型104によって構成され、これらの金型1
03,104の間を繊維強化熱可塑性樹脂シート1が通
過することにより、図2(C),(D)に示すように、
徐々にシート1の両側縁部が突き合わされて直径31.
8mmの真円の円筒形状の中空状体2となる構造を有し
ている。
【0056】中空状体賦形用金型102のコア金型10
4は樹脂押出金型を兼ねており、その中心部に直径5m
mの樹脂流路104aが形成されているとともに、中空
状体2に賦形される途上のシート1の下方開口部分を通
して押出機105に連結され、この押出機105から押
出される発泡性熱可塑性樹脂組成物3を、樹脂流路10
4aを介して中空状体2内に押出すことができるように
なっている。
【0057】内部に発泡性熱可塑性樹脂組成物3が押出
され、かつ、発泡することで図2(E)に示す状態とな
った中空状体2は、次いで潤滑剤供給金型106内に導
かれる。この潤滑剤供給金型106は、断面が直径3
1.8mmの真円形の空洞を持つ金型であり、潤滑剤供
給装置106aから毎時定量ずつ供給されてくる潤滑剤
を、空洞内壁に設けられた複数の小孔から中空状体2の
外周面全周にわたって均一に染みださせることのできる
構造を持っている。
【0058】内部に発泡性熱可塑性樹脂組成物3が押出
され、かつ、外周面に潤滑剤が供給された中空状体2
は、賦形金型107内に導入される。この賦形金型10
7は、その金型内面の断面形状が、入口部分が直径3
1.8mmの真円形であり、その真円形状から、徐々に
図2(F)に示す最終製品断面形状の輪郭と同等の形状
に変化しており、この賦形金型107を通過することに
より、中空状体2およびその内部の発泡性熱可塑性樹脂
組成物3は図2(E)から同図(F)のように次第に賦
形されていく。
【0059】賦形金型107の下流側には、その賦形金
型107の最終の内面断面形状と同じ内面断面形状を持
つ冷却金型108が配設されており、この冷却金型10
8によって、表面の繊維強化熱可塑性樹層とその内部の
発泡樹脂とが冷却され、図2(F)に示したような、熱
可塑性樹脂発泡体からなる芯材層Pの周囲を繊維強化熱
可塑性樹脂からなる表皮層Sで覆った構造の繊維強化熱
可塑性樹脂発泡体が得られる。
【0060】冷却金型108の更に下流側には、製品引
き取り装置109が配設されており、この引き取り装置
109によって冷却後の製品を所定の力で矢印方向に引
き取ることによって、前記した中空状体賦形用金型10
2および賦形金型107における賦形力が与えられるよ
うになっている。製造条件等 200°Cに温度調節した中空状体賦形用金型(兼押出
金型)102に、繊維強化熱可塑性樹脂シート1を挿入
して中空状体2とした後、その内部に〔表2〕で示した
ポリ塩化ビニルを主とする配合の発泡性熱可塑性樹脂組
成物3を発泡させながら押し出した。その押し出し後、
潤滑剤供給金型106により中空状体2の表面に、ポリ
アルキレングリコールを、表面積1m3 当たり15cc
の割合で供給し、次いで180°Cに加熱した賦形金型
107内に導入し、発泡圧によって中空状体2を賦形金
型107の内面に押し当てて同金型の最終の断面形状と
同等の断面形状となるように賦形した後、冷却金型10
8で冷却し、図2(F)に示す断面形状・構造を持つ製
品を得た。ポリアルキレングリコールには、エチレング
リコールとプロピレングリコールを等重量ずつ共重合さ
せてなる、平均分子量1000のものを用いた。 <実施例2>繊維強化熱可塑性樹脂シート発泡性熱可塑性樹脂組成
、および製造装置並びに金型 先の実施例1と全く同様とした。製造条件等 繊維強化熱可塑性樹脂シート1を上記実施例1と同様に
略逆U字形に連続的に賦形した後、170°Cに温度調
節した中空状体賦形用金型(兼押出金型)102に挿入
して中空状体2とした後、その内部に前記と同様の発泡
性熱可塑性樹脂組成物3を発泡させないで押出した。そ
の押出し後、潤滑剤供給金型106により中空状体1の
表面に、上記と同様のポリアルキレングリコールを同じ
く表面積1m3 当たり15ccの割合で供給し、220
°Cに加熱した賦形金型107に導入して発泡性熱可塑
性樹脂組成物3を発泡させ、その発泡圧により中空状体
2を賦形金型107および冷却金型108の内面に押し
当てて賦形し、上記例と同等の断面・構造を持つ製品を
得た。 <実施例3>複合シート 〔表2〕の配合の発泡性熱可塑性樹脂組成物を、押出機
から170°Cに温度調節されたシート形状金型を通し
て、発泡させないで押出しながら、実施例1で成形した
繊維強化熱可塑性樹脂シート1に積層することにより、
図3(A)に示すような繊維強化熱可塑性樹脂層1aと
発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aとからなる複合シート
10を得た。製造装置並びに金型 実施例1で用いた製造装置および各金型のうち、押出機
105を除いた構成のものを用いた。製造条件等 複合シート10を、図3(B)に示すように略逆U字形
に賦形した後に、170°Cに温度調節した中空状体賦
形用金型102に挿入して、繊維強化熱可塑性樹脂層1
aが外側となるように中空状体20(図3(C)参照)
とした後、その中空状体20の表面に、先の各例で用い
たものと同様のポリアルキレングリコールを潤滑剤供給
金型106によって表面積1m3 当たり15ccの割合
で供給し、220°Cに加熱した賦形金型107内に導
入して、発泡性熱可塑性組成物層3aを発泡させ、その
発泡圧により繊維強化熱可塑性樹脂層1aの外周を賦形
金型107および冷却金型108の内面に押し当て、図
2(F)に示したものと同等の断面・構造を持つ繊維強
化熱可塑性樹脂発泡体を得た。 <比較例1>繊維強化熱可塑性樹脂シート、発泡性熱可
塑性樹脂組成物、および製造装置並びに金型について
は、実施例1と全く同様とした。また、製造条件等につ
いては、潤滑剤供給金型106から中空状体2の表面に
潤滑剤を供給しないことを除いて、実施例1と同等とし
た。 <比較例2>繊維強化熱可塑性樹脂シート、発泡性熱可
塑性樹脂組成物、および製造装置並びに金型について
は、実施例2と全く同様とした。また、製造条件等につ
いては、潤滑剤供給金型106から中空状体2の表面に
潤滑剤を供給しないことを除いて、実施例2と同等とし
た。 <比較例3>複合シート、製造装置並びに金型について
は、実施例3と全く同様とした。また、製造条件等につ
いては、潤滑剤供給金型106から中空状体20の表面
に潤滑を供給しないことを除いて、実施例3と同等とし
た。
【0061】さて、以上の各実施例および比較例により
得られた各成形品の断面を観察したところ、実施例1〜
3で得られた成形品には、表皮層Sである繊維強化熱可
塑性樹脂の破れは認められなかったが、比較例1〜3で
得られた成形品には、いずれも、繊維強化熱可塑性樹脂
に破れた部分が見いだされた。
【0062】また、以上の各実施例および比較例により
得られた成形品について、繊維強化熱可塑性樹脂からな
る表皮層Sの厚みを、図2(F)に示すa〜cの各点に
ついて測定した結果を下記の〔表3〕に示す。
【0063】
【表3】
【0064】以上の結果から、本発明の各製造方法で得
られる繊維強化熱可塑性樹脂発泡体は、表皮層Sである
繊維強化熱可塑性樹脂の破れがなく、しかもその厚みの
ばらつきが小さいことが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例で用いられる製造装置の構成を示
す模式的断面図
【図2】図1のA〜Fで示す各製造過程における材料も
しくは製品形状を示す断面図
【図3】本発明の他の実施例の製造過程における材料形
状を示す断面図
【符号の説明】
1 繊維強化熱可塑性樹脂シート 2,20 中空状体 3 発泡性熱可塑性樹脂組成物 10 複合シート 1a 繊維強化熱可塑性樹脂層 3a 発泡性熱可塑性樹脂組成物層 101 シート繰り出し機 102 中空状体賦形用金型 103 外側金型 104 コア金型(兼押出金型) 105 押出機 106 潤滑剤供給金型 106a 潤滑剤供給装置 107 賦形金型(外周規制部材) 108 冷却金型 109 引き取り装置 P 芯材層(発泡性熱可塑性樹脂層) S 表皮層(繊維強化熱可塑性樹脂層)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化熱可塑性樹脂シートを連続的に
    中空状体に賦形しつつ、その内部に発泡性熱可塑性樹脂
    組成物を発泡させながら供給するとともに、その全体を
    外周規制部材へと導き、この規制部材と中空状体外周面
    との間に潤滑剤を介在させた状態で、上記発泡性熱可塑
    性樹脂組成物の発泡圧により中空状体外周面を規制部材
    に沿わせることで所望断面形状に賦形する、繊維強化熱
    可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  2. 【請求項2】 繊維強化熱可塑性樹脂シートを連続的に
    中空状体に賦形しつつ、その内部に発泡性熱可塑性樹脂
    組成物を供給した後に当該中空状体内部で発泡性熱可塑
    性樹脂組成物を発泡させるとともに、その全体を外周規
    制部材へと導き、この規制部材と中空状体外周面との間
    に潤滑剤を介在させた状態で、上記発泡性熱可塑性樹脂
    発泡体の発泡圧により中空状体外周面を規制部材に沿わ
    せることで所望断面形状に賦形する、繊維許可熱可塑性
    樹脂発泡体の製造方法。
  3. 【請求項3】 繊維強化熱可塑性樹脂層および発泡性熱
    可塑性樹脂組成物層からなる複合シートを、繊維強化熱
    可塑性樹脂層が外面側となるように連続的に中空状体に
    賦形した後、内面側の発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡
    させるとともに外周規制部材へと導き、この規制部材と
    中空状体外周面との間に潤滑剤を介在させた状態で、上
    記発泡性熱可塑性樹脂組成物の発泡圧により中空状体外
    周面を規制部材に沿わせることで所望断面形状に賦形す
    る、繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
JP7075997A 1995-03-31 1995-03-31 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 Pending JPH08267488A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013202783A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Sekisui Plastics Co Ltd 繊維強化複合体の製造方法
JP2014070080A (ja) * 2012-09-27 2014-04-21 Jx Nippon Oil & Energy Corp 潤滑剤組成物およびそれを用いた成形方法

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