JPH0966566A - 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法

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JPH0966566A
JPH0966566A JP7223541A JP22354195A JPH0966566A JP H0966566 A JPH0966566 A JP H0966566A JP 7223541 A JP7223541 A JP 7223541A JP 22354195 A JP22354195 A JP 22354195A JP H0966566 A JPH0966566 A JP H0966566A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
fiber
reinforced thermoplastic
density
core material
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Application number
JP7223541A
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English (en)
Inventor
Koji Yamaguchi
公二 山口
Hiroshi Sugawara
宏 菅原
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量であると同時に優れた釘保持強度を有
する繊維強化熱可塑性樹脂発泡体およびその製造方法を
提供する。 【解決手段】 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を、断面
の所望の一部分が他の部分よりも密度の高い高密度部分
とされた熱可塑性樹脂発泡体からなる芯材層と、この芯
材層の外周に融着した繊維強化熱可塑性樹脂からなる表
皮層とで構成する。また、このような発泡体を、次のよ
うにして製造する。まず、発泡性熱可塑性樹脂組成物
を、押出機22内では分解させず、部分的に加熱差が生
じるように調整された押出金型23内の樹脂流路23e
を通過させながら発泡させる。そして、これを、中空状
体に賦形した繊維強化熱可塑性樹脂シートaの内部に発
泡させながら供給して、その発泡圧により中空状体を所
望断面形状に賦形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂発泡
体からなる芯材層と繊維強化熱可塑性樹脂からなる表皮
層とを有する繊維強化熱可塑性樹脂発泡体、及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂を発泡させることによって得ら
れる合成樹脂発泡体は、軽量で断熱性などに優れるた
め、従来より建材や構造材等として広範囲に利用されて
いるが、機械的強度が比較的弱いという欠点がある。こ
の欠点は合成樹脂発泡体の表面に高密度表皮層を形成す
ることにより若干改善され、こうして表面の機械的強度
が改善された合成樹脂発泡体は、例えば合成木材として
用いられることがある。
【0003】しかしながら、このような合成樹脂発泡体
においても、合成木材として用いる際に必要な品質であ
る釘保持強度は未だ弱く、そのことが合成樹脂発泡体の
用途を制限する原因となっている。また、合成木材とし
て用いる場合において、合成樹脂発泡体の発泡倍率を高
くするにつれて釘保持強度が著しく低下することから、
軽量化も制限されるという問題があった。
【0004】そこで、このような問題に対処するものと
して、特公昭57−59057号公報では、発泡剤を含
むプラスチック混合物を板状に押出した直後にその上下
面を冷却して表皮層を形成し、その後、膨張してくる板
状体の厚さを抑制することにより、当該板状体の厚さ方
向のほぼ中央部分に高密度層を形成する方法が提案され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に記
載された方法では、高密度層が存在することによって発
泡体の圧縮強度は改善されるものの、その高密度層は厚
さ方向のほぼ中央部分にしか形成されず、しかもその上
下に存在する発泡層に比して小体積であるため、発泡体
の釘保持強度を大きくは改善することができない。
【0006】本発明は、このような問題に対処するもの
で、軽量であると同時に優れた釘保持強度を有する繊維
強化熱可塑性樹脂発泡体を実現するとともに、この種の
発泡体を効率良く製造しうる方法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本
発明の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体は、断面の所望の一
部分が他の部分よりも密度の高い高密度部分とされた熱
可塑性樹脂発泡体からなる芯材層と、この芯材層の外周
に融着した繊維強化熱可塑性樹脂からなる表皮層とを有
することを特徴とする。
【0008】また、このような繊維強化熱可塑性樹脂発
泡体を効率良く製造するため、本発明の製造方法は、下
記工程〜を有することを特徴とする。 発泡剤が配合されてなる芯材層形成用の発泡性熱可
塑性樹脂組成物を、同発泡剤が分解しない状態で、押出
機内で溶融混練する工程、 溶融混練後の発泡性熱可塑性樹脂組成物に対し、所
望の部分に加熱差を生じるように調整された樹脂流路を
通過させながら、その樹脂流路内で当該発泡性熱可塑性
樹脂組成物中の発泡剤を分解させる工程、 表皮層形成用の繊維強化熱可塑性樹脂シートを連続
的に中空状体に賦形しつつ、その内部に上記樹脂流路通
過後の発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させながら供給
する工程、 上記中空状体の外周を規制しつつ、上記発泡性熱可
塑性樹脂組成物の発泡圧により同中空状体を所望断面形
状に賦形する工程。 次に、上述した本発明の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体と
その製造方法について、さらに詳細に説明する。 <熱可塑性樹脂発泡体(芯材層)の発泡倍率、密度等>
芯材層の密度は、製造品に要求される強度や比重、使用
する熱可塑性樹脂の種類などで適宜選択されるが、0.
05〜1.0g/cm3 が好ましい範囲であり、また発
泡倍率で表現すると1.2〜20倍が好ましい範囲であ
る。より好ましい範囲としては、密度で0.1〜0.7
g/cm3 、発泡倍率で1.5〜10倍である。
【0009】芯材層全体が低密度であるほど、高密度部
分とその他の部分との密度比を大きくすることが可能と
なり、本発明の目的とする軽量でかつ高釘保持強度の繊
維強化熱可塑性樹脂発泡体が実現されやすいが、芯材層
全体の密度(平均密度)が上記好ましい範囲の下限値に
満たないと、又は発泡倍率が上記好ましい範囲の上限値
(20倍)を超えると、製品の絶対的な強度は非常に弱
くなる。また、芯材層全体の密度(平均密度)が上記好
ましい範囲の上限値を超えると、もしくは発泡倍率が上
記好ましい範囲の下限値(1.2倍)に満たないと、全
体的に釘保持強度は高くなるものの、発泡による軽量化
の効果が小さくなる。したがって、局所的に釘保持強度
の優れた部分を設けることで軽量性を損なうことなく所
要の釘保持強度を確保するという本発明の趣旨に反する
ことになる。
【0010】本発明において、高密度部分とは、次式
(1)で求められる密度比が、1.3〜4.0の範囲と
なる部分を意味する。 密度比=(高密度部分の密度)/(その他の部分の密度) ・・・(1) 密度比が1.3以下では他の部分に対して釘保持強度の
点で大きな優位差がなく、また4.0以上にすることは
非常に困難である。
【0011】熱可塑性樹脂発泡体における密度と本発明
の目的である釘保持強度の確保との関係について言え
ば、一般に発泡体の密度が大きいほど釘と熱可塑性樹脂
との接触面積が大きくなるので、これに伴って発泡体の
強度も強くなるが、密度が0.2g/cm3 以下、発泡
倍率で8倍以上になると、釘保持強度は著しく低下す
る。したがって、芯材層における高密度部分の密度は、
0.2g/cm3 以上、発泡倍率で8倍以下が好ましい
範囲である。
【0012】ここで、高密度部分の面積は、製品の断面
積や断面形状などによって異なるが、製品に釘を打付け
る際に釘が貫通する範囲を考慮して、芯材層全体の断面
積の1/2 〜1/30の範囲とする。
【0013】また、高密度部分の部位及び分布について
は、釘保持性の点から、要するに打ち込んだ後の釘の頭
部が位置する部分が最も高密度になるようにするのがよ
い。具体的には、例えば釘を高圧で機械打ちする場合は
釘頭が製品の内部に入り込むことが多いので、芯材層断
面の中央部(後述する実施例1の図7におけるB部参
照)を最も高密度とし、釘を手打ちする場合は、一方の
表皮層に隣接した芯材層を最も高密度とし(後述する実
施例2の図7におけるA部参照)、次に中央部の芯材層
を高密度とし(同B部)、他方の表皮層に隣接した芯材
層は最も低密度とする(同C部)か、中央部の芯材層と
同程度の密度とするのが好ましい。 <芯材層(発泡性熱可塑性樹脂組成物)に用いられる熱
可塑性樹脂>熱可塑性樹脂発泡体芯材層(発泡性熱可塑
性樹脂組成物)を構成する熱可塑性樹脂としては、後述
する繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いられる熱可塑性
樹脂と同様のものが使用可能であるが、繊維強化熱可塑
性樹脂シートに用いられる熱可塑性樹脂と熱融着可能で
ある熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0014】具体的には、同じ種類の熱可塑性樹脂(同
じモノマーより合成された熱可塑性樹脂)同士を用いる
ことが好ましい。異なる種類の熱可塑性樹脂を使用する
場合の組合せとしては、例えば、ポリエチレンとポリプ
ロピレン、ポリエチレンと酢酸ビニル−エチレン共重合
体、ポリエチレンと塩素化ポリエチレン、ポリスチレン
とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、
ポリスチレンとアクリロニトリル−スチレン共重合体、
ポリ塩化ビニルと塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
ルとエチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルと
酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルとウ
レタン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルとポリメ
チルメタクリレート、ポリ塩化ビニルとアクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリブチレンテレ
フタレートとポリエチレンテレフタレート、アクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン共重合体とアクリロニト
リル−スチレン共重合体などがあげられる。また、熱可
塑性樹脂と変性した同じ種類の熱可塑性樹脂の組合せも
使用できる。この例としては、ポリエチレンとシラン変
性ポリエチレン、ポリエチレンとアクリル酸変性ポリプ
ロピレン、ポリエチレンとマレイン酸変性ポリエチレン
などがあげられる。 <発泡性熱可塑性樹脂組成物の発泡剤>本発明におい
て、発泡性熱可塑性樹脂組成物に用いられる発泡剤とし
ては、熱により化学分解してガスを生成する分解型発泡
剤があげられる。このような分解型発泡剤としては、例
えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニト
リル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミ
ン、pp’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジ
ド、アゾジカルボン酸バリウム、トリヒドラジノトリア
ジン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、重炭酸ナト
リウム、炭酸アンモニウム等があげられる。
【0015】発泡剤の種類によって発生するガス量は異
なるので、その配合量は適宜調整しなければならない
が、一般的に言うと、熱可塑性樹脂100重量部に対し
て、0.5〜15重量部の範囲で配合するのが好まし
い。発泡剤の配合量が少なすぎると発泡した成形体は得
られず、また発泡剤の配合量が多すぎるとセルが破泡し
て緻密なセルが得られない。例えばアゾジカルボンアミ
ドを用いて発泡倍率が10倍の熱可塑性樹脂発泡体を製
造する場合には、熱可塑性樹脂100重量部に対してア
ゾジカルボンアミドを5〜7.5重量部混合するのが適
当である。 <表皮層(繊維強化熱可塑性樹脂シート)の熱可塑性樹
脂>繊維強化熱可塑性樹脂表皮層(繊維強化熱可塑性樹
脂シート)に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
スチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ
フッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ
フェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリエ
ーテルエーテルケトン、ポリメチルメタクリレート等が
あげられる。また、上記熱可塑性樹脂を主成分とする共
重合体やグラフト樹脂やブレンド樹脂、例えば塩素化ポ
リ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビ
ニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重
合体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル
−スチレン共重合体、シラン変性ポリエチレン、アクリ
ル酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレン
なども使用可能である。また、熱可塑性エラストマーや
架橋熱可塑性樹脂も使用可能である。
【0016】成形温度を考慮すると、120〜250°
Cといった比較的低温度で成形可能な樹脂、例えばポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチ
レン、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共
重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−
塩化ビニル共重合体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ア
クリロニトリル−スチレン共重合体が好ましい。
【0017】本発明で、繊維強化熱可塑性樹脂表皮層お
よび熱可塑性樹脂発泡体芯材層に使用する熱可塑性樹脂
は、単独で使用されても併用されてもよい。また、物性
を損なわない範囲で、ジブチル錫マレートポリマー、ジ
ブチル錫ビス(モノアルキルマレート)などの有機錫マ
レート系、ジブチル錫ラウレート、モノブチル錫脂肪酸
塩などの有機錫ラウレート系、ジオクチル錫サルファイ
ド、ジブチル錫3メルカプトプロピオネートなどの有機
錫メルカプト系、三塩基性硫酸鉛、塩基性亜硫酸塩など
の鉛塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛など
の金属石鹸といった熱安定剤、脂肪酸エステルワック
ス、低分子量ポリエチレンワックス、金属石鹸、多価ア
ルコール、脂肪族アルコール、脂肪酸アミドなどの滑
剤、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などの加工助
剤、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの
可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、改質剤、着色剤の
ような添加剤、及びタルク、マイカ、炭酸カルシウム、
木粉、合成樹脂粉砕粉、繊維強化熱可塑性樹脂粉砕粉な
どの充填材が配合されてもよい。 <表皮層(繊維強化熱可塑性樹脂シート)の繊維>繊維
強化熱可塑性樹脂表皮層に用いられる繊維としては、本
発明の製造工程にて加えられる熱により溶融軟化及び炭
化しないものであれば良い。具体的には、ガラス繊維、
炭素繊維、シリコン・チタン・炭素繊維、ボロン繊維、
微細な金属繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポ
リアミド繊維などの有機繊維、絹、綿、麻などの天然繊
維をあげることができるが、強度、コストを考慮する
と、ガラス繊維、炭素繊維が好ましい。フィラメントの
直径は1〜50μm、特に3〜23μmが好ましい。フ
ィラメントの直径が1μmより小さい場合には、繊維に
よる補強強化が小さくなり、50μmより大きい場合に
は、熱可塑性樹脂と繊維との接触面積が、同種同重量の
小径の繊維と比較して小さくなるため、繊維による補強
効果は小さくなる。
【0018】本発明における繊維強化熱可塑性樹脂表皮
層中の繊維は、表皮層全体に対して5〜80重量%の範
囲になるように含有され、10〜50重量%の範囲が特
に好ましい。含有量が5重量%より少ないと補強効果は
小さく、80重量%より多いと繊維間を結着する樹脂が
少なくなって、同様に補強効果は小さくなる。
【0019】また、この繊維強化熱可塑性樹脂表皮層中
の繊維の長さは3mm以上が好ましく、連続繊維である
ことがより好ましい。強化繊維が長いほど繊維強化熱可
塑性樹脂発泡体の強度(曲げ、引張強度)は強くなり、
繊維長が3mmより短いと補強効果は小さい。また、繊
維強化熱可塑性樹脂シートを展延させながら賦形するに
は、強化繊維が製造品長手方向に配向していることが好
ましい。したがって、上述の点を加味すると、連続繊維
が製造品長手方向に配向していることが最も好ましいと
言える。 <繊維強化熱可塑性樹脂(表皮層)の厚み>繊維強化熱
可塑性樹脂表皮層の厚みは、0.1〜10mmが好まし
く、0.3〜2mmがより好ましい。好ましい範囲より
薄いと繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の強度は弱いものと
なり、また厚いと芯材層による軽量化の効果がなくな
る。また、製造工程においても、表皮層を形成すべき繊
維強化熱可塑性樹脂シートの厚みが0.1mmより薄い
と、その強度が弱いために割れやすくなり、10mmよ
り厚いと、中空状体への賦形が困難になる。
【0020】繊維強化熱可塑性樹脂表皮層は、軽量であ
るが強度の弱い芯材層の実質的な全外周に融着され、合
成木材などに使用する際に繊維強化熱可塑性樹脂のもつ
優れた性能、すなわち高強度や低線膨張率といった性能
を発現させるために設けられる。
【0021】また、上記表皮層は、本発明の繊維強化熱
可塑性樹脂発泡体の製造工程において高発泡倍率の芯材
層の収納体としての役割をも果たしており、本発明の目
的である軽量かつ高釘保持強度は、このような表皮層を
設けることにより達成可能であるといっても過言ではな
い。
【0022】すなわち、請求項2に係る本発明方法にお
いて、表皮層となる繊維強化熱可塑性樹脂シートが、い
わゆるスキン層の替わりとなり、発泡剤から発生したガ
スのガス抜けを防ぐため、高発泡倍率の芯材層を得るこ
とができる。 <本発明方法における工程について>発泡性熱可塑性
樹脂組成物は、主材料となる熱可塑性樹脂に、発泡剤
と、必要に応じて加えられる前述の熱安定剤、滑剤、充
填材などの副材料を、ミキサー、タンブラーなどの攪拌
装置で配合することによって得られる。また、これらの
材料を、発泡剤を発泡させないように混練し、一旦ペレ
ット化したものを用いてもよい。
【0023】また、主材料と発泡剤、その他の副材料
を、別々のホッパーや供給口から押出機へ供給し、押出
機内部で混練させつつ発泡性熱可塑性樹脂組成物として
もよいが、発泡剤の分散を均一にしようとすると予め配
合を行っておく方が好ましい。
【0024】本発明方法においては、通常の押出成形で
使用される押出機が使用可能である。発泡性熱可塑性樹
脂組成物がペレットと粉体材料の配合状態となっていて
混練を充分に行わなければならないような場合には、2
軸押出機を使用することが好ましいが、発泡剤や副材料
が均一に分散された発泡性熱可塑性樹脂組成物や、一旦
ペレット化したものを用いる場合には、1軸押出機で成
形可能である。
【0025】発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させない
で押出機内を通過させる方法として、用いる熱可塑性樹
脂の溶融温度以上、発泡剤の発泡温度以下で混練する方
法、押出機のバレル温度は発泡剤の分解温度以上であっ
ても短時間で通過させる方法、もしくは加熱温度に対
し、発泡を開始するのが遅い発泡剤を用いる方法などが
あげられる。 <本発明方法における工程について>押出機から押出
口までの樹脂流路を通過させながら、発泡性熱可塑性樹
脂組成物を部分的に加熱差を生じさせつつ発泡させ、高
密度部分を有する芯材層を形成するように押出を行う方
法としては、樹脂流路内で発泡性熱可塑性樹脂組成物を
適当時間滞留させ、樹脂流路外側から加熱されている時
間を調整する方法があげられる。
【0026】すなわち、樹脂流路内に供給された発泡性
熱可塑性樹脂組成物のうち、高密度部分となるべき部分
は樹脂流路を短時間で通過し、その他の部分は比較的長
時間、樹脂流路内に留まり、充分に加熱されて発泡して
から押出口より押し出されるように樹脂流路を調整す
る。具体的には、例えば、樹脂流路断面を押出口形状に
絞り込む(断面積を小さくしていく)際に、高密度を得
たい部分は絞り込む割合を小さくし、その他の部分は絞
り込む割合を大きくする。
【0027】通常、熱可塑性樹脂が樹脂流路内を通過す
るときには樹脂流路断面の中心部分ほど流れ易い傾向が
ある。例えば円形断面の樹脂流路を通過するとき、樹脂
流路面に接触している部分は表面抵抗を受けるために最
も流れ難く、中心部分が最も流れ易くなる。したがっ
て、上述の方法により製品断面の高密度部分の位置を制
御しようとすると、製品断面の中央に近いほど高密度部
分を位置させることが容易である。また、断面形状が単
純であり、発泡圧による賦形の断面形状変化が小さいほ
ど、高密度部分の位置制御が容易である。
【0028】本発明方法は、芯材層となる発泡性熱可塑
性樹脂組成物を発泡させながら押出したのち、所望断面
形状に賦形するものであるから、異形断面形状の製品を
得ようとする場合でも押出口を複雑な形状にする必要が
ないため、樹脂流路の調整による高密度部分の位置や密
度の制御は行い易い。
【0029】高密度部分の位置や密度を制御する方法と
しては、上述した樹脂流路の調整による高密度部分の位
置制御のほか、例えば、表面メッキなどで樹脂流路の表
面性を変化させ、高密度部分となる樹脂はスムーズに流
れるように調整する方法や、樹脂流路を外側から加熱す
る際に温度分布を設け、高密度部分となる樹脂への加熱
を少なくする方法があげられる。
【0030】以上のような方法を個々にもしくは組み合
わせて用いることにより、高密度部分の位置と、その密
度を調整することが可能である。 <本発明方法における工程について>本発明方法でい
う中空状体とは、繊維強化熱可塑性樹脂シートの端部同
士が突き合わされ又は重なり合わさって賦形されている
ものの他、端部同士に若干の隙間を生じているものも含
まれる。
【0031】繊維強化熱可塑性樹脂シートを中空状体に
賦形する方法としては、例えば、合成樹脂製のシューや
ロールなどで徐々に曲げていく方法があげられる。ま
た、シートが徐々に曲げられて中空状体に賦形されるよ
うなシート通路が設けられた金型を用いる方法を採用す
ることもできる。中空状体に賦形する際には、シートの
割れや裂けを防ぐため、遠赤外線ヒータや熱風ブロアー
で加熱することにより、熱可塑性樹脂を軟化状態としな
がら賦形することが望ましい。なお、繊維強化熱可塑性
樹脂シートの中空状体への賦形は、シート1枚のみで行
っても良いし、複数枚のシートを用いて、これらを長手
方向に平行にした状態で、これらの側縁部同士を突き合
わせ、あるいは重ね合わせ、もしくは若干の隙間を介し
て突き合わせることで、全体として中空状体に賦形して
も良い。
【0032】賦形した中空状体内部に発泡性熱可塑性樹
脂組成物を発泡させながら供給するには、押出口を中空
状体の内面側に設置し、熱可塑性樹脂を発泡させながら
押出せばよい。その場合、繊維強化熱可塑性樹脂シート
は徐々に中空状体に賦形していくので、未だ中空状とは
なっていない部分に、押出機と押出口との間の樹脂流路
を設置する。
【0033】本発明方法において用いられる繊維強化熱
可塑性樹脂シートは、例えば以下の各方法によって製造
することができる。その一つは、連続強化繊維束をフィ
ラメント状に解繊して一方向に引き揃えた後、熱可塑性
樹脂よりなるフィルムを重ねて加熱ピンチロール間を通
過させ、溶融した熱可塑性樹脂を強化繊維のフィラメン
ト間に浸入させて、繊維強化熱可塑性樹脂シートを得る
方法である。
【0034】他の一つは、一方向に引き揃えた連続強化
繊維束を、粉体状熱可塑性樹脂の流動している槽内に引
き込み、強化繊維束をフィラメント状に解繊しながら、
粉体状熱可塑性樹脂を付着させた後、加熱ピンチロール
間を通過させ、熱可塑性樹脂を溶融させてフィラメント
間に浸入させてシート化するものである。
【0035】さらに、繊維がランダムな状態で配向して
いる繊維強化熱可塑性樹脂シートを得ようとする場合に
は、上記のようにして得られた粉体熱可塑性樹脂の付着
した強化繊維を、ロータリーカッターで細断して無端ベ
ルト上へ落下させて集積し、その上方から別の無端ベル
トを押し付け、これら上下の無端ベルトで挟みつつ加圧
した状態で加熱炉内を通過させることにより、細断され
た強化繊維のフィラメント間に軟化溶融した熱可塑性樹
脂を浸入させ、その後に冷却ガイドロールを通過させて
シート化する方法を採用することができる。
【0036】なお、繊維強化熱可塑性樹脂シートは、単
層であっても、複数積層されたものであっても良い。 <本発明方法における工程について>中空状体を発泡
圧により所望断面形状に賦形する方法としては、中空状
体を金型内へ挿入し、その中空状体を発泡性熱可塑性樹
脂組成物の発泡圧で金型内面に押し当てて、引き抜きな
がら賦形する方法や、周囲から加熱して発泡性熱可塑性
樹脂組成物の発泡圧を維持しながら、中空状体の外径を
ロールやシューで規制して賦形する方法などがあげられ
る。金型内で賦形する場合は、真空引きや圧空により賦
形を補助してもよい。
【0037】作用 本発明の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体は、内部に存在す
る芯材層の断面の所望の一部分(具体的には、例えば合
成木材として使用される際に釘が打たれる部分)が他の
部分よりも密度の高い高密度部分とされているから、芯
材層を構成する熱可塑性樹脂発泡体が高発泡倍率もの
(したがって、軽量のもの)であっても、その高密度部
分によって充分な釘保持強度を確保することができる。
したがって、芯材層は軽量であるにもかかわらず、必要
な(釘が打たれる)部分は高密度であるため、釘保持強
度が強いことになる。しかも、このような芯材層の外周
には繊維強化熱可塑性樹脂からなる表皮層が融着されて
いるから、この表皮層によって当該発泡体の強度が全体
的に高められるとともに、線膨張率の低減等も図られる
こととなる。
【0038】また、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂発泡
体の製造方法によれば、発泡性熱可塑性樹脂組成物を、
押出機内では発泡させず、部分的に加熱差が生じるよう
に調整された樹脂流路を通過させながら発泡させ、さら
に中空状体に賦形した繊維強化熱可塑性樹脂シート内部
に発泡させながら供給して、その発泡圧により中空状体
を所望断面形状に賦形するようにしたので、金型樹脂流
路や加熱条件の調整により、発泡樹脂における高密度部
分の位置や密度についての制御が可能となる。また、異
形断面形状の製品を得ようとする場合でも、押出口を複
雑な形状にする必要がないため、樹脂流路等の調整によ
る高密度部分の位置や密度の制御は比較的容易に行える
こととなる。こうして、断面の所望の一部分に他の部分
よりも密度の高い高密度部分を有する熱可塑性樹脂発泡
体からなる芯材層を効率良く形成することができ、ひい
てはそのような芯材層と、その外周に融着された繊維強
化熱可塑性樹脂からなる表皮層とを有する繊維強化熱可
塑性樹脂発泡体を連続的に効率良く得ることができる。
また、繊維強化熱可塑性樹脂よりなる表皮層が、芯材層
となる発泡性熱可塑性樹脂組成物の発泡時におけるガス
抜けを防ぐので、高発泡倍率の製品を得ることができ
る。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例を、比較例とともに述
べる。 <実施例1>この実施例は、図1に示すように、ほぼ正
方形の断面形状を有する長尺の繊維強化熱可塑性樹脂発
泡体1を製造する場合に関する。この繊維強化熱可塑性
樹脂発泡体1は、熱可塑性樹脂発泡体からなる芯材層2
と、この芯材層2の外周に融着した繊維強化熱可塑性樹
脂からなる表皮層3とで構成されている。そして、後述
するように、芯材層2における断面の所望の一部分が他
の部分よりも密度の高い高密度部分とされている。 (1)繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造 図2に、本実施例で使用する繊維強化熱可塑性樹脂シー
トの製造装置の概略構成を示す。この製造装置は、その
主たる構成要素として、樹脂槽12と、加熱ピンチロー
ル13と、冷却ピンチロール14と、引き取りロール1
5とを有する。そして、この装置を用いて以下のように
して繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0040】まず、ガラス繊維束11(日東紡績社製ガ
ラスロービング:4400g/km、繊維径23μm)
4本を引き揃えて、ポリ塩化ビニル樹脂(下記表1の配
合を行ったもの)がエアにより流動されている樹脂槽1
2内に引き込むことにより、同ガラス繊維束11をフィ
ラメント単位に解繊しつつそれらにポリ塩化ビニル樹脂
を付着させた。次に、こうしてポリ塩化ビニル樹脂を付
着させたガラス繊維を面状に引き揃えた状態で、220
°Cに加熱されたピンチロール13で10kg/cm2
で加圧しながら加熱することにより、ガラス繊維に付着
したポリ塩化ビニル樹脂を溶融させて、それらのガラス
繊維間に浸入させた。次いで、これを冷却ピンチロール
14間に通して冷却し、引き取りロールで15で引き取
りつつ幅100mmにトリミングして、厚み0.4mm
のガラス繊維強化ポリ塩化ビニル樹脂シート(以下、繊
維強化シートaという)を得た。
【0041】
【表1】
【0042】(2)発泡性熱可塑性樹脂 本実施例では、発泡性熱可塑性樹脂として、下記表2に
示すように配合されたポリ塩化ビニルを使用した。この
場合の配合は、スーパーミキサーを用いて樹脂温度が1
00°Cになるまで行った。
【0043】
【表2】
【0044】(3)繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造
装置 本実施例で用いる製造装置は、図3に断面図で示すよう
に、その主たる構成要素として、繊維強化シート繰り出
し機21と、40mm1軸押出機22と、押出金型23
と、賦形金型24と、冷却金型25と、製品引き取り機
26とを有する。
【0045】このうち、押出機22のバレルは、図面上
その押出機22の下部側に位置する樹脂投入口から押出
金型23に向かって順番にC−1、C−2、C−3の3
つの区間を有し、その各区間で温度調節が可能とされて
いる。
【0046】また、押出金型23は、外金型23aと内
金型23bとからなり、外金型23aと内金型23bと
の間にはシート通路が形成されている。このシート通路
は、押出金型23の繰り出し機21側の端面において断
面逆U字形に開口されているとともに、図中右方に進む
につれて徐々に断面が真円状に変化している。繰り出し
機21から繰り出された繊維強化シートaは、この押出
金型23のシート通路を通過することによって、その両
側縁部が相互に突き合わされた直径31.8mmの円形
断面の中空状体に徐々に賦形されていく。また、内金型
23bは、中空状体内に挿入される水平部分と、その水
平部分の一端部において下方に屈曲する鉛直部を備え、
その鉛直部の下端部(繊維強化シートが完全な中空状に
ならない部分)において押出機22に連結されていると
ともに、水平部分は繊維強化シートaの賦形途上の断面
逆U字形の開口部分からその内部に挿入され、その先端
は繊維強化シートaが完全な中空状体になる位置まで到
っている。そして、この内金型23bには、押出機22
から水平部分の先端部(押出口23c)にまで連通する
樹脂流路23e、つまり押出機22と押出金型23との
連結部から繊維強化シートaが完全に中空状体となる位
置にまで到る樹脂流路23eが形成されており、中空状
体となった繊維強化シートa内に押出機22から吐出さ
れる上記発泡性熱可塑性樹脂組成物を押出せるようにな
っている。
【0047】ここで、この押出機22から押出口23c
に到る樹脂流路23eの形状および各部の寸法を図4に
示す。同図に示した寸法の単位はmmである。また、賦
形金型24および冷却金型25は、それぞれ、断面が3
0mm×30mmの正方形の空洞を有する金型である。 (4)繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造 180°Cに温度調節した押出金型23のシート通路に
繊維強化シートaを挿入して、押出金型23内で中空状
体に賦形した。一方、これと並行して、上記表2に示し
た配合の発泡性ポリ塩化ビニル組成物を押出機22に投
入し、加熱混練を行った後、樹脂流路23eへ導入し
た。この時の押出機22のバレルの温度条件、樹脂流路
23eの温度条件を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】樹脂流路23eの断面は、図4に示したよ
うに、直径が20mmから15mmさらには8mmと下
流側の押出口に向かって順に絞り込んであるので、樹脂
流路内面付近を通過する発泡性ポリ塩化ビニル組成物
は、樹脂流路断面の中心付近を通過する発泡性ポリ塩化
ビニル組成物よりも滞留時間が長いために長時間加熱さ
れ、その結果、分解する発泡剤の量が比較的多くなる。
【0050】こうして加熱された発泡性ポリ塩化ビニル
組成物を、中空状体に賦形された繊維強化シートaの内
部に発泡させながら押し出した後、その全体を180°
Cに加熱した賦形金型24内に導入し、その発泡圧によ
り繊維強化シートaからなる中空状体を賦形金型24の
内面に押し当てて同金型24の断面形状に沿うように賦
形し、その後、冷却金型25で冷却することにより成形
品たる繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を得た。 <実施例2>上記(1)繊維強化熱可塑性樹脂シートの
製造、(2)発泡性熱可塑性樹脂および(4)繊維強化
熱可塑性樹脂発泡体の製造の項目については、実施例1
の場合と同様とし、(3)繊維強化熱可塑性樹脂発泡体
の製造装置の項目については、図4に示した樹脂流路2
3eに代えて、図5に示すような樹脂流路33eとした
こと以外は実施例1の場合と同様とした。両樹脂流路2
3e、33eは押出口の形状が互いに異なる。但し、外
金型23aと内金型23bとの間に形成されているシー
ト通路の位置は実施例1と同様である。 <比較例>上記(1)および(2)の項目については、
実施例1の場合と同様とし、上記(3)の項目について
は、図4に示した樹脂流路23eに代えて図6に示すよ
うな樹脂流路43eとしたこと以外は実施例1の場合と
同様とし、さらに上記(4)の項目については、押出機
のバレルの温度条件および樹脂流路の温度条件を表4に
示すように設定したこと以外は実施例1の場合と同様と
した。
【0051】この比較例における樹脂流路43eは、図
中下端に位置する上流端から図中右端に位置する下流端
(押出口)まで流路断面の形状が変化せず、したがって
押出口も絞られていない点が実施例1および2の場合と
異なる。
【0052】
【表4】
【0053】次に、以上の実施例1、2および比較例で
それぞれ得られた各成形品の性能を調べるために行った
芯材層密度および釘保持強度の試験について説明する。
まず、上記各成形品における芯材層の密度を部分的に測
定した。この場合の測定は、図7に示すように、30m
m×30mmの正方形断面を有する成形品1’におい
て、図中垂直方向の中心軸に沿って芯材層2’の上部側
に位置するA部、中央部に位置するB部、および下部側
に位置するB部の3か所から5mm×5mm×5mmの
立方体状のサンプルを切り出し、その各サンプルの密度
を測定することにより行った。その測定結果を表5に示
す。
【0054】
【表5】
【0055】一方、上記各成形品について釘保持強度試
験を行った。この場合の試験条件は、使用釘:N45
(長さ45mm、胴部径2.45mm)、試験(釘抜)
速度:2分とし、試験方法はJIS−Z2121(木材
の釘引抜抵抗試験)に準ずるものとした。表6に、その
試験結果を示す。
【0056】
【表6】
【0057】これらの表5および表6から以下のことが
わかる。まず、表5を見ると、実施例1、2および比較
例の各成形品は、芯材層全体の密度はほぼ同じであり、
それらの重量も同程度に軽いことが確認できる。ところ
が、比較例のものでは、芯材層の密度が全体的に均一で
あるのに対し、実施例1のものでは、芯材層の断面中央
部のB部に、A部およびC部に比べて密度の高い高密度
部分が形成されており、また実施例2のものでは、樹脂
流路33eの押出口の形状、及びその位置とシート通路
の位置関係から、A部に密度が最も高い高密度部分が形
成され、次いでB部、C部の順に密度が低くなってい
る。このことから、本発明の実施例1および2のいずれ
によっても、断面の一部に高密度部分を有する芯材層が
形成されるが、比較例ではそのような高密度部分を有す
る芯材層は形成されないことがわかる。
【0058】次に、表6を見ると、実施例1および2で
得られた各成形品は、比較例で得られた成形品に比べて
釘引抜抵抗がほぼ2倍となっていることから、それだけ
大きな釘保持強度を有するものであることがわかる。
【0059】以上の結果より、本発明方法によれば、軽
量で、しかも釘保持強度に優れた繊維強化熱可塑性樹脂
発泡体を得られることは明らかである。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明の繊維強化熱可塑
性樹脂発泡体によれば、芯材層において、例えば合成木
材として使用される際に釘が打たれるような所望部分
に、他の部分よりも密度の高い高密度部分が存在するか
ら、芯材層を高発泡倍率の、つまり軽量の熱可塑性樹脂
発泡体で形成しても、その高密度部分によって充分な釘
保持強度を確保することができる。しかも、芯材層の外
周には繊維強化熱可塑性樹脂からなる表皮層が融着され
ているから、この表皮層によって当該発泡体の強度が全
体的に高められるとともに、線膨張率の低減等も図られ
ることとなる。これにより、軽量で且つ釘保持強度等に
優れた繊維強化熱可塑性樹脂発泡体が実現できる。
【0061】また、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂発泡
体の製造方法によれば、上述のような断面の所望の一部
分に他の部分よりも密度の高い高密度部分を有する熱可
塑性樹脂発泡体からなる芯材層と、その芯材層の外周に
融着した繊維強化熱可塑性樹脂からなる表皮層とを有す
る繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を連続的に効率良く製造
することができる。その場合、繊維強化熱可塑性樹脂よ
りなる表皮層が、芯材層となる発泡性熱可塑性樹脂組成
物の発泡時におけるガス抜けを防ぐので、高発泡倍率の
製品を得ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で製造される繊維強化熱可塑
性樹脂発泡体の構造を示す模式的断面図
【図2】実施例1で用いた繊維強化熱可塑性樹脂シート
の製造装置の説明図
【図3】実施例1で用いた繊維強化熱可塑性樹脂発泡体
の製造装置の構成を示す断面図
【図4】実施例1で用いた樹脂流路の断面図
【図5】実施例2で用いた樹脂流路の断面図
【図6】比較例で用いた樹脂流路の断面図
【図7】実施例1、2および比較例で得られた繊維強化
熱可塑性樹脂発泡体の密度測定箇所を示す説明図
【符号の説明】
1・・・繊維強化熱可塑性樹脂発泡体 2・・・芯材層 3・・・表皮層 11・・・ガラス繊維束 12・・・樹脂層 13・・・加熱ピンチロール 14・・・冷却ピンチロール 15・・・引き取りロール 21・・・繊維強化シート繰り出し機 22・・・押出機 23・・・押出金型 23e、33e、43e・・・樹脂流路 24・・・賦形金型 25・・・冷却金型 26・・・製品引き取り機

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面の所望の一部分が他の部分よりも密
    度の高い高密度部分とされた熱可塑性樹脂発泡体からな
    る芯材層と、この芯材層の外周に融着した繊維強化熱可
    塑性樹脂からなる表皮層とを有することを特徴とする繊
    維強化熱可塑性樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】 下記〜の工程を有することを特徴と
    する、請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の
    製造方法。 発泡剤が配合されてなる芯材層形成用の発泡性熱可
    塑性樹脂組成物を、同発泡剤が分解しない状態で、押出
    機内で溶融混練する工程、 溶融混練後の発泡性熱可塑性樹脂組成物に対し、所
    望の部分に加熱差を生じるように調整された樹脂流路を
    通過させながら、その樹脂流路内で当該発泡性熱可塑性
    樹脂組成物中の発泡剤を分解させる工程、 表皮層形成用の繊維強化熱可塑性樹脂シートを連続
    的に中空状体に賦形しつつ、その内部に上記樹脂流路通
    過後の発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させながら供給
    する工程、 上記中空状体の外周を規制しつつ、上記発泡性熱可
    塑性樹脂組成物の発泡圧により同中空状体を所望断面形
    状に賦形する工程。
JP7223541A 1995-08-31 1995-08-31 繊維強化熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法 Pending JPH0966566A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011025490A (ja) * 2009-07-24 2011-02-10 Inoac Corp 軽量ハニカムパネル
JP2018500485A (ja) * 2014-12-01 2018-01-11 ジニアテック リミテッド ルーフィング、クラッディング又はサイディング製品

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