JPH10110653A - 回転絞り弁式気化器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジン運転中に姿勢が変化したときの燃料
供給量の変動を少なくし、運転安定性を計るとともに、
全体のコンパクト化を計る。 【解決手段】 絞り通孔５および計量針７を有する円柱
形の絞り弁４の端面前方に定燃料室１９をそれよりも前
方に設けたとき大気室２０とダイヤフラム１７で区画し
て配置し、燃料ノズル１５と定燃料室１９との高さの差
を小さくするとともに、大気室２０の前方に燃料ポンプ
２１を配置し全体をコンパクトなものとした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は主に汎用２サイクル
エンジンに燃料を供給するための回転絞り弁式気化器、
特に姿勢変化に伴う燃料供給量の変動が少ない、という
特性をもったコンパクトな構造の回転絞り弁式気化器に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】農業用、林業用の携帯作業機械、小形車
両などの駆動源に用いられている汎用２サイクルエンジ
ンの多くは、燃料ポンプから送られてくる燃料を一定圧
力に調整して吸気通路へ送出する定燃料室がダイヤフラ
ムによって大気と区画した構造とされている気化器によ
り燃料を供給している。

【０００３】また、この種の気化器の一つに、気化器本
体の吸気通路に直交させて絞り通孔および計量針を有す
る円柱形の絞り弁を配置し、この絞り弁をアクセル操作
に応じて回転させながらその中心軸線方向へ移動させる
ことにより、絞り通孔の吸気路との重なりの度合いを変
えて空気流量を制御するとともに、計量針の燃料ノズル
への挿入深さを変えて燃料流量を制御する構造とされて
いる回転絞り弁式気化器がある。

【０００４】回転絞り弁式気化器は一般に、例えば特開
昭５５−６９７４７号公報に記載されているように、燃
料ポンプおよびこれと燃料導入通路によって接続された
定燃料室を吸気通路を挟んで絞り弁の中心軸線と平行な
面上に配置した構造としているが、この配置によると、
絞り弁の周面外側方に位置している定燃料室から絞り弁
の端面に位置して絞り通孔に突出している燃料ノズルに
至る燃料通路がかなり長大な構成となっている。そのた
めに、アクセル操作に対する燃料流量の応答に遅れを生
じたり、或いは燃料蒸気が燃料通路内に停滞して燃料流
量を狂わせたりする、という心配があった。

【０００５】その対策として、特開昭５８−１０１２５
３号公報に記載されているように、定燃料室を絞り弁の
端面前方に位置させるとともにこれより燃料ノズルに至
る燃料通路をほぼ直線とすることが提案されており、こ
の構成によると燃料通路が前記のものに比べて短縮され
且つ簡単化されるので、燃料流量の応答遅れや狂いの心
配が解消される、とされている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記特開昭５８−１０
１２５３号公報に記載されている回転絞り弁式気化器
は、定燃料室を絞り弁の端面前方に配置したことに加え
て、全体のコンパクト化を計るため燃料ポンプも絞り弁
の端面前方に配置した構成としている。即ち、絞り弁の
弁軸と反対側の燃料ノズルが配置されている方の端面の
前方に燃料ポンプを設置し、更にその前方に定燃料室を
設置したものとしている。

【０００７】このような回転絞り弁式気化器を搭載した
携帯作業機械である刈払い機やチェーンソウなどはさま
ざまな姿勢で使用されるものであり、従って気化器もさ
まざまな姿勢の下でエンジンが要求する燃料を供給しな
ければならない。

【０００８】定燃料室がダイヤフラムによって大気と区
画されており、ダイヤフラムの変化に応じて動作する燃
料弁が燃料導入通路を開閉することによって一定の燃料
を定燃料室に保有させる前記構造の気化器においては、
姿勢が変化したとき定燃料室と燃料ノズルとの高さの差
が変化する。加えて、ダイヤフラムが定燃料室の上方に
位置したときは定燃料室の燃料にダイヤフラムの重量が
作用するので、燃料ノズルの絞り通孔へ開口したノズル
口における燃料圧力が変化して燃料供給量が変動するの
を避けられない。

【０００９】ところが、前記特開昭５８−１０１２５３
号公報に記載されている回転絞り弁式気化器では、定燃
料室と燃料ノズルとの間に燃料ポンプが設置されている
ためにこれらの高さの差が必然的に大きく、姿勢が変化
したときのノズル口における燃料圧力の変化が大きくな
って燃料供給量が大きく変動し、エンジンの運転安定性
を損う原因となる。

【００１０】本発明は絞り弁の端面前方に燃料ポンプと
定燃料室とを配置した前記回転絞り弁式気化器がもって
いる、姿勢が変化したときに燃料供給量の変動が大きい
ためエンジンの運転安定性を損う原因となる、という課
題の解決を計るものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】即ち、そのために本発明
は絞り弁の端面前方に定燃料室をそれよりも前方に設け
た大気室とダイヤフラムで区画して配置し、大気室より
も前方に燃料ポンプを配置する、という構成とした。

【００１２】このことにより、定燃料室が吸気通路に接
近して配置され、燃料ノズルとの高さの差が小さくなっ
て姿勢が変化したときの燃料供給量の変動が少なく、従
ってエンジンを安定よく運転するという目的を達成する
ことができる。

【００１３】また、燃料ノズルの中心軸線上にダイヤフ
ラムの中心を位置させることにより、この中心軸線を中
心として気化器が回動し姿勢を変えたとき燃料供給量の
変動がなく、エンジンの運転安定性が向上する。

【００１４】

【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形
態を説明すると、気化器本体１は前後に貫通した吸気通
路２およびこれと直交し一端が閉止された弁孔３を有し
ており、円柱形の絞り弁４が弁孔３に回転可能且つ中心
軸線方向へ可動に嵌込まれている。

【００１５】絞り弁４はその中心軸線に直交して吸気通
路２とほぼ同一径の絞り通孔５を有しており、また中心
軸線上にノズル挿通孔６，計量針７，弁軸８を有してい
る。ノズル挿通孔６は弁孔３の閉止端側に位置する端部
に設けられ、弁軸８は絞り弁４と一体であって弁孔３の
開放端側に位置する端面から弁孔３のカバー体９を貫通
し外方へ突出して延びている。計量針７は基端のねじ頭
部７ａをねじ孔１０にねじ込むことにより、絞り通孔５
に突出して絞り弁４に突出長可調節に固定されている。

【００１６】弁軸８の端部にはアクセルレバー１１が固
着されている。また、カバー体９と絞り弁４の端面との
間に圧縮コイルばねからなる押しばね１２が装入されて
いるとともに、絞り弁４の外側周面にほぼ四分の一円周
長に亘って溝カム１３が設けられており、気化器本体１
にねじ込んだピン１４が溝カム１３に挿入係合してい
る。

【００１７】運転者のアクセル操作によってアクセルレ
バー１１を旋回させると、絞り弁４が一体に回転して絞
り通孔５と吸気通路２との重なり度合いが変わることに
よってエンジンの吸入空気流量が制御され、これと同時
に溝カム１３に従って絞り弁４が中心軸線方向へ移動し
計量針７の燃料ノズル１５への挿入深さが変わることに
よって燃料流量が制御されることは従来の回転絞り弁式
気化器と同じである。

【００１８】気化器本体１のカバー体９と反対側の端面
にはダイヤフラム１７，内カバー体１８，ポンプダイヤ
フラム２２，外カバー体２３がこの順に重ねられ、図示
しないねじによって互いに一体に固結されている。弁孔
３の閉止端側における絞り弁４の端面前方に位置する気
化器本体１の端面に形成したくぼみとダイヤフラム１７
とに囲まれた空間は定燃料室１９を形成しており、内カ
バー体１８の内側の端面に形成したくぼみとダイヤフラ
ム１７とに囲まれた空間は大気に連通して大気室２０を
形成している。また、ポンプダイヤフラム２２およびこ
れを挟んで内カバー体１８，外カバー体２３に形成した
くぼみに囲まれた空間は脈圧室２４，ポンプ室２５をそ
れぞれ形成しており、これらは燃料ポンプ２１を構成し
ている。

【００１９】エンジンのクランクケースに発生する脈圧
は脈圧通路２６によって脈圧室２４に導入され、ポンプ
ダイヤフラム２２を動作させて図示しない燃料タンクの
燃料を燃料送入通路２７，入口逆止弁２８，ポンプ室２
５，出口逆止弁２９，燃料導入通路３０を経て定燃料室
１９に供給する。ダイヤフラム１７の中心に弁レバー３
１の基端がばね３２のばね力により接触係合しており、
弁レバー３１の先端に係合した燃料弁３３がダイヤフラ
ム１７の変位に応じて燃料導入通路３０を開閉すること
により一定量の燃料を定燃料室１９に保有させることも
従来のこの種気化器と同じである。

【００２０】定燃料室１９の燃料は吸気通路２から定燃
料室１９への空気吸込みを防止する逆止弁３４を有する
燃料通路３５を通って燃料ノズル１５から絞り通孔５へ
吸出され、エンジンに供給される。

【００２１】ダイヤフラム１７は絞り弁４の中心軸線に
直角の平面上に配置されており、且つその中心は絞り弁
４の中心軸線、即ち燃料ノズル１５の中心軸線上に位置
している。従って、このような形態の気化器を搭載した
携帯作業機械を運転しながら姿勢を変えたとき、燃料ノ
ズル１５の中心軸線を中心として回動することにより姿
勢を変えた場合は、燃料ノズル１５およびダイヤフラム
１７が回動の中心に位置しているため燃料供給量に変動
を生じることがない。

【００２２】また、図示実施の形態では、気化器本体１
の燃料ノズル１５を設けた側の端面にくぼみを形成し、
吸気通路２に最大限接近させた個所に定燃料室１７を設
けた構成としているので、燃料ノズル１５と定燃料室１
９との高さの差がきわめて小さい。このため、傾斜また
は倒立することにより姿勢を変えた場合、燃料ノズル１
５と定燃料室１９との高さの差の変化による、或いはこ
れらが上下反転することによる燃料圧力のヘッド差の変
化が小さく、燃料供給量の変動がきわめて少なくなる。

【００２３】更に、絞り弁４から見てその端面前方の定
燃料室１９の更に前方に燃料ポンプ２１を配置したので
全体がコンパクト化され、特に図示実施の形態のように
気化器本体１に内カバー体１８，外カバー体２３を重ね
てそれらの端面に形成したくぼみにより定燃料室１９，
大気室２０，脈圧室２４，ポンプ室２５を形成したとき
は、更なるコンパクト化が実現される。

【００２４】

【発明の効果】以上のように、本発明によると使用時の
姿勢変化に伴う燃料供給量の変動が少なく、エンジンを
常に安定よく運転することができるものであり、またコ
ンパクト化を計ることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す縦断面図。

【符号の説明】

１気化器本体，２吸気通路，４絞り弁，５絞り通孔，７
計量針，１５燃料ノズル，１７ダイヤフラム，１９定燃
料室，２０大気室，２１燃料ポンプ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 気化器本体の吸気通路に直交させて配置
   され絞り通孔および計量針を有する円柱形の絞り弁と、
   前記絞り弁の端面前方に配置された燃料ポンプおよび大
   気とダイヤフラムで区画された定燃料室と、前記絞り弁
   の中心軸線上に配置され前記絞り通孔に開口して前記計
   量針が挿入された燃料ノズルを具え、前記絞り弁がアク
   セル操作に応じて回転しながらその中心軸線方向へ移動
   して空気流量と燃料流量とを制御する回転絞り弁式気化
   器において；前記絞り弁の端面前方に前記定燃料室がそ
   れよりも前方に設けられた大気室とダイヤフラムで区画
   されて配置され、前記大気室よりも前方に前記燃料ポン
   プが配置されている；ことを特徴とする回転絞り弁式気
   化器。
2. 【請求項２】 前記燃料ノズルの中心軸線上に前記ダイ
   ヤフラムの中心が位置している、請求項１に記載した回
   転絞り弁式気化器。