JPH0412160B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、模型用エンジンの燃料供給装置に
関するものである。

〔従来の技術〕

一般に、２サイクルの模型用エンジンは、第３
図に示すように、シリンダブロツク１の内部に形
成したシリンダ２にピストン３を摺動自在に組込
み、そのピストン３の下方に形成されたクランク
室４にクランクシヤフト５の端部を配置し、この
クランクシヤフト５の端部に取付けた円板６の外
周部と上記ピストン３とをコンロツド７で接続し
てピストン３の往復動によつてクランクシヤフト
５を回転させるようにしてある。

また、クランクシヤフト５にクランク室４と連
通する軸方向の盲孔８と、外周一部からこの盲孔
８に連通する混合気入口９とを形成し、そのクラ
ンクシヤフト５を回転可能に支持する支持筒１０
には上記の混合気入口９と対向する位置に接続孔
１１を形成し、その接続孔１１にキヤブレタ１２
の混合気供給筒１３を接続してある。

ここで、キヤブレタ１２は、第４図およびひ第
５図に示すように、外気取入口１４を備え、その
外気取入口１４と混合気供給筒１３との間にバル
ブ収納孔１５を形成し、そのバルブ収納孔１５に
組込んだ回転可能なスロツトバルブ１６に連通路
１７と、この連通路１７に連通する軸方向の燃料
ノズル孔１８とを設けてあり、上記スロツトバル
ブ１６の回転によつて燃料ノズル孔１８の開度を
調整し得るようになつている。

上記のような構成によつて、前記ピストン３が
上昇すると、クランク室４の容積が増し、圧力が
低下するため、外気取入口１４から内部に外気が
流入する。その外気の流入によりスロツトバルブ
１６の連通路１７の圧力が下がるため、燃料ノズ
ル孔１８に燃料が供給されている場合は、上記ノ
ズル孔１８から燃料が噴射し、その燃料と気体の
混合気が混合気入口９および盲孔８からクランク
室４に流入する。

上記のような２サイクル模型用エンジンの燃料
供給装置の従来技術として、第６図に示したもの
がある。この装置は、キヤブレタ１２の燃料ノズ
ル孔１８に連通する燃料供給口１９と燃料タンク
Ｔとを燃料供給路２０で接続し、その燃料供給路
２０の中途に前記クランク室４の圧力変動によつ
て作動するダイヤフラムポンプ２１を接続し、上
記ポンプ２１の吸込口２２と吐出口２３とに相互
に逆方向に作動するチエツクバルブ２４，２５を
設けてある。

この燃料供給装置においては、第３図に示すピ
ストン３が往復動すると、クランク室４の圧力が
変動するため、その圧力変動によつてダイヤフラ
ムポンプ２１のダイヤフラム２１′が振動し、燃
料タンクＴの燃料が燃料供給路２０からキヤブレ
タ１２の燃料供給口１９に供給される。

通常、キヤブレタ１２のスロツトバルブ１６
は、エンジンの回転数に対応して回動し、エンジ
ンの回転数が低下すると外気取入口１４および燃
料ノズル孔１８を絞り、空気の流入量を小さく
し、同時に燃料の供給量を少なくして燃料と空気
の混合比を一定に保つようにしている。ところ
で、外気取入口１４および燃料ノズル孔１８の絞
り量は、キヤブレタ１２の加工精度に影響を受け
るため、上記キヤブレタ１２の加工には、高い精
度が要求される。しかし、これには限度があるた
め、理想の混合比を得るには、燃料の供給量をコ
ントロールする必要がある。

〔発明が解決しようとする問題点〕 ところで、従来の燃料供給装置においては、エ
ンジンの回転数が低下すると、ダイヤフラムポン
プ２１の稼働率が低くなるが、上記ポンプ２１
は、定吐出タイプであるため、燃料のコントロー
ルが困難であり、エンジンのアイドリング時にお
いて、燃料の供給量が多くなり、適正な量の燃料
を供給することができないという不都合がある。

そこで、この発明は上記の不都合を解消し、エ
ンジンの低速回転時、とくにアイドリング時にお
いて、キヤブレタに適量の燃料が供給されるよう
にすることを技術的課題としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の課題を解決するために、この発明は、キ
ヤブレタの燃料供給口と燃料タンクとを接続する
燃料供給路にエンジンのクランク室の圧力変動に
よつて作動するダイヤフラムポンプを接続し、そ
のダイヤフラムポンプの燃料吐出路と上記燃料タ
ンクとをリターン路で連通し、そのリターン路に
前記キヤブレタの混合気供給路の圧力変動によつ
て開閉するリターンバルブを組込んだ構成とした
のである。

〔作用〕

エンジンを駆動すると、クランク室の圧力が変
動するため、ダイヤフラムポンプが作動し、燃料
タンクの燃料が燃料供給路からキヤブレタの燃料
供給口に供給される。

上記のようなエンジンの駆動時において、キヤ
ブレタのスロツトバルブを回動し、外気取入口の
開度を絞ると、エンジンのピストンの上昇時にお
いて、クランク室およびそのクランク室と連通す
るキヤブレタの混合気供給口の圧力が低下するた
め、リターンバルブが開放する。このため、ダイ
ヤフラムポンプによつて吐出された燃料の一部
は、リターン路から燃料タンクに戻り、残りの燃
料がキヤブレタに供給される。

したがつて、キヤブレタに対する燃料の供給量
が少なくなり、外気取入口の開度に応じた適量の
燃料を供給することができる。

〔実施例〕

以下、この発明の実施例を第１図に基づいて説
明する。

なお、図中、先に述べた第３図乃至第６図の従
来例と同一部分には同一の符号を付し、説明を省
略する。

図示のように、ダイヤフラムポンプ２１の吐出
口２３とキヤブレタ１２の燃料供給口１９間の燃
料供給路２０には、その供給路２０に流れる燃料
の圧力を調圧するレギユレータ２６が組込まれて
いる。このレギユレータ２６は、調整ねじ２７を
備え、その調整ねじ２７を回動すると調圧室２８
に設けたスプリング２９の弾力が変化し、調圧力
を調整することができる。

上記レギユレータ２６の吐出側における燃料供
給路２０にはリターン路３０が分岐され、そのリ
ターン路３０は燃料タンクＴに接続されている。
このリターン路３０の途中には弁室３１が設けら
れ、その弁室３１に弁孔３２の開閉用リターンバ
ルブ３３を組込んである。このリターンバルブ３
３は膜状をなし、そのリターンバルブ３３の組込
みによつてバルブ３３の背部に圧力調整室３４が
形成され、その圧力調整室３４に上記リターンバ
ルブ３３を弁孔３２に向けて押圧するスプリング
３５を組込んである。このスプリング３５の弾力
は、その背部に設けた調整ねじ３６を回動するこ
とによつて調節することができる。

上記圧力調整室３４には通路３７が接続され、
その通路３７の端は、第４図および第５図に示す
キヤブレタ１２の外周面から混合気供給筒１３の
内部に達する連通路３８に連通し、上記混合気供
給筒１３の内部圧力が低下すると、リターンバル
ブ３３が圧力調整室３４に向けて変形して弁孔３
２が開放する。

いま、エンジンを駆動すると、ピストン３の上
下動によつてクランク室４の圧力が変動するた
め、ダイヤフラムポンプ２１が作動し、燃料タン
クＴの燃料が燃料供給路２０からキヤブレタ１２
の燃料供給口１９に送り込まれる。また、クラン
ク室４の圧力低下によつてキヤブレタ１２の外気
取入口１４から内部に外気が吸入されるため、ス
ロツトバルブ１６の連通路１７の圧力が低下す
る。このため、燃料ノズル孔１８から連通路１７
に燃料が噴霧され、その燃料は連通路１７におい
て流入エアと混合し、その混合気が混合気供給筒
１３から混合気入口９に流れ、盲孔８からクラン
ク室４に流入する。

また、エンジンをアイドリング運転すると、ス
ロツトバルブ１６が回動し、外気取入口１４およ
び燃料ノズル孔１８の開度を絞る。このとき、ダ
イヤフラムポンプ２１は、前記と同様に作動して
燃料タンクＴの燃料をキヤブレタ１２に供給す
る。このようなアイドリング運転時において、ピ
ストン３が上昇した場合、クランク室４およびそ
のクランク室４に連通する混合気供給筒１３の内
部の圧力が低下するため、通路３７の内部圧力も
低下する。その圧力低下によつて、リターンバル
ブ３３が圧力調整室３４に向けて変形し、弁孔３
２が開放する。このため、ダイヤフラムポンプ２
１から吐出された燃料の一部は燃料供給路２０か
らリターン路３０に流れて燃料タンクＴに戻ると
共に、残りの燃料はキヤブレタ１２に供給され
る。したがつて、アイドリング運転時には燃料の
供給量が少なくなり、燃料ノズル孔１８の開度に
応じた燃料を供給することができる。

第２図は、この発明に係る燃料供給装置の他の
実施例を示し、燃料供給路２０の途中に組込んだ
レギユレータ２６の調圧室２８は密閉され、その
調圧室２８とリターンバルブ３３の背部の圧力調
整室３４とを通路３９で連通してある。

上記のような構成とすると、エンジンのアイド
リング運転時における通路３７の圧力低下時、圧
力調整室３４および調圧室２８の圧力が低下し
て、レギユレータ２６は燃料の供給量を絞り、こ
のレギユレータ２６から吐出された燃料の一部は
リターン路３０から燃料タンクＴに戻されるた
め、キヤブレタ１２に供給される燃料を第１図の
装置に比較してより少なくすることができ、燃料
の供給量をコントロールし易くすることができ
る。

なお、燃料タンクＴの内部に図示省略したマフ
ラーからのマフラープレツシヤを付与する場合、
そのタンクＴの内部圧力の上昇によつてリターン
バルブ３３が開放するおそれがあるため、第２図
に示すように、リターン路３０にチエツクバルブ
４０を組込むのが好ましい。

なお、実施例の場合は、シリンダブロツク１の
外部にダイヤフラムポンプ２１、レギユレータ２
６およびリターンバルブ３３を備えるユニツトを
設けたものを示したが、上記ユニツトをシリンダ
ブロツクの内部に組込むようにしてもよい。

また、実施例の場合は、この発明に係る燃料供
給装置を２サイクル模型用エンジンに適用した例
を示したが、シリンダの燃焼室に混合気供給路を
接続し、その混合気供給路にキヤブレタを組込ん
だ４サイクル模型用エンジンの場合も、シリンダ
ブロツクのクランク室はエンジンの駆動によつて
圧力変動するため、４サイクル模型用エンジンに
も適用することができる。

〔効果〕

以上のように、この発明においては、ダイヤフ
ラムポンプの吐出側における燃料供給路からリタ
ーン路を分岐して燃料タンクに接続し、そのリタ
ーン路にキヤブレタの混合気供給筒の内部圧力の
変動によつて開閉するリターンバルブを組込んだ
ので、エンジンのアイドリング運転時においてキ
ヤブレタに対する燃料の供給量をコントロールし
易くなり、適量の燃料を供給することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明に係る燃料供給装置の一実
施例を示す概略図、第２図は同上の他の実施例を
示す概略図、第３図は同上のエンジンを示す一部
切欠正面図、第４図は同上のキヤブレタを示す一
部切欠側面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線に沿つ
た断面図、第６図は従来の燃料供給装置を示す概
略図である。 １……シリンダブロツク、４……クランク室、
１２……キヤブレタ、１３……混合気供給筒、２
０……燃料供給路、２１……ダイヤフラムポン
プ、２２……吸込口、２３……吐出口、２４，２
５……チエツクバルブ、２６……レギユレータ、
２８……調圧室、３０……リターン路、３３……
リターンバルブ、３４……圧力調整室、３９……
通路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ キヤブレタと燃料タンクとを接続する燃料供
   給路にシリンダブロツクのクランク室の圧力変動
   によつて作動するダイヤフラムポンプを接続し、
   そのダイヤフラムポンプの吸込口と吐出口とに相
   互に逆方向に作動するチエツクバルブを組込んだ
   模型用エンジンの燃料供給装置において、前記ダ
   イヤフラムポンプの吐出側における燃料供給路と
   前記燃料タンクとをリターン路で連通し、そのリ
   ターン部に前記キヤブレタの混合気供給路の内部
   圧力の変動によつてリターン路を開閉するリター
   ンバルブを組込んだことを特徴とする模型用エン
   ジンの燃料供給装置。 ２ キヤブレタと燃料タンクとを接続する燃料供
   給路にシリンダブロツクのクランク室の圧力変動
   によつて作動するダイヤフラムポンプを接続し、
   そのダイヤフラムポンプの吸込口と吐出口とに相
   互に逆方向に作動するチエツクバルブを組込んだ
   模型用エンジンの燃料供給装置において、前記ダ
   イヤフラムポンプの吐出側における燃料供給路に
   密閉された調圧室を有するレギユレータを組込
   み、そのレギユレータの吐出側と前記燃料タンク
   とをリターン路で連通し、そのリターン路には前
   記キヤブレタの混合気供給路の内部圧力の変動に
   よつてリターン路を開閉するリターンバルブを組
   込み、そのリターンバルブの背部の圧力調整室と
   前記レギユレータの調圧室とを通路で連通したこ
   とを特徴とする模型用エンジンの燃料供給装置。