JPH10101717A - 有機・無機高分子複合体およびその製造方法 - Google Patents

有機・無機高分子複合体およびその製造方法

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JPH10101717A
JPH10101717A JP8280357A JP28035796A JPH10101717A JP H10101717 A JPH10101717 A JP H10101717A JP 8280357 A JP8280357 A JP 8280357A JP 28035796 A JP28035796 A JP 28035796A JP H10101717 A JPH10101717 A JP H10101717A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子光導波路や他の光集積回路用の材料に
要求される項目(低光損失であること、精密な屈折率制
御が可能なこと、耐熱性および耐湿性に優れること、希
望する所定の膜厚に成膜可能であること、材料の合成が
簡易であること、材料コストが低いこと)を満足する有
機・無機高分子複合体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 シロキサン結合を有する無機マトリック
ス中にポリスチレンが分散された構造とする。この構造
は、加水分解性有機基を有する有機ケイ素化合物の加水
分解反応溶液中にスチレンモノマーを共存させて、前記
スチレンモノマーを重合させることにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光集積回路・光通信
等に用いられる光導波路や、プラスチック光ファイバ等
の光部品として使用可能な有機・無機高分子複合体およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光信号の伝送媒体である光導波路として
最も一般的に知られている光学部品に、光ファイバを挙
げることができる。光ファイバには低光損失、広帯域特
性が求められ、この点から石英、多成分ガラス、無機単
結晶等の無機系材料が広く使用されている。近年、B−
ISDNなどの大容量情報処理が必要な情報通信分野に
おいて、電気配線が有する伝送帯域の限界に対処するも
のとして光配線方法が提案されており、その一つに平面
基板上に形成される高分子光導波路が考えられている。
【0003】高分子光導波路の基本材料となる有機系高
分子は、無機系材料に比べて多くの機能性化合物、官能
基の導入が可能であることや、材料コストが低く、加工
性がよい等の特徴を持つので、光学用材料として現在ま
でに数多くの開発がなされている。例えば黒川隆志らの
アプライド オプティクス(Appl.Opt. )第17巻、4
号、646頁〜647頁、1978年や、特公昭61−
13201号公報には、選択的光重合法により、ポリカ
ーボネート中に含ませたドーパント(アクリル系モノマ
ーの一つであるアクリル酸メチル)を光照射により選択
的に重合、あるいはポリマーと反応させることで、屈折
率を変化させ、パターン状の光導波路を作製する手法が
開示されている。しかし、これらの選択的光重合法で
は、紫外線の照射条件を厳密に定める必要性があり、ま
た、溶媒の揮発条件によりモノマー含量が変化して屈折
率が微妙に変化するといった欠点がある。
【0004】また、ポリメチルメタクリレートの分子中
の水素について重水素化やフッ素化処理を行い、光導波
路を試作して光伝搬損失を測定したところ、0.1dB/c
m 以下という低損失化が達成できた旨の報告が吉村了行
らのエレクトロニクス レターズ(Electron.Lett.)、
第28巻、2135頁〜2136頁、1992年に掲載
されており、また、この内容が特公平6−43464号
公報に開示されている。しかし、ポリメチルメタクリレ
ート系のガラス転移温度は一般に100℃前後である。
このため、実際の光部品としての信頼性を考慮したと
き、耐熱温度の上限は70℃程度であると考えられてい
る。したがって、実用的には不安が残る。また、ポリメ
チルメタクリレートは吸湿性が比較的高く、飽和吸湿率
が2%程度にも達する。したがって、高湿度環境下では
水のOH基の伸縮振動吸収が光損失に影響を与えること
が報告されている(例えば、戒能俊邦、ポリマー プリ
プリンツ ジャパン(Polymer Preprints Japan)、第3
2巻、第4号、1983年、第2525頁に掲載)。す
なわち、ポリメチルメタクリレートを用いた場合には、
使用環境条件の湿度変化により光伝搬損失が変動すると
いった問題が指摘されている。
【0005】有機系高分子の耐熱性の向上に加え、さら
なる低損失化、耐湿性の改善をも目的に、水素原子を重
水素原子に置換したポリシロキサンを用いた光導波路が
特開平3−188402号公報に、また、分子中の水素
原子の一部または全部をフッ素化したポリイミドを用い
た高分子光導波路が特開平4−328504号公報にそ
れぞれ開示されている。これらの高分子を用いた場合、
200℃以上の耐熱性や近赤外波長領域での低損失化を
達成できる光導波路を提供できる。しかし、高分子光導
波路に適用する材料の低コスト化を図る上では、重水素
化処理等を施した高分子のみを用いるのが妥当であると
するのは疑問である。
【0006】このように光導波路に関する従来の技術で
は、前記のような有機高分子化合物のみ、あるいはガラ
ス導波路に代表されるように無機高分子材料のみを用い
たものが主である。
【0007】ところで、有機材料と無機材料とを組み合
わせたいわゆる複合材料が、数多く知られている。例え
ば、有機高分子に無機物を添加するフィラーの考え方
や、金属表面を有機高分子で修飾するコーティング手法
は、工業的に幅広く利用されている。これらの複合材料
には、それぞれの素材の特性を維持しつつ、さらに新し
い機能を付加させようとするところに特徴がある。これ
に対し、異なった材料を分子レベルで組み合わせて複合
化させると、前述の基本的な素材とは全く異なった新し
い材料が期待できる。すなわち、複合材料では、材料と
しての特性、例えば機械的特性、熱的特性などが一般に
その集合体の性質として発現することから、注目を集め
ている。
【0008】このような複合材料を光部品に適用した報
告がある。例えば、インテグレーテッド オプティクス
アンド オプティカル コミュニケーション 国際会
議(Integrated Optics and Optical Communication )
1995講演予稿集、TuD1−5、71頁には、シロ
キサンのネットワーク骨格中にメタクリレート基を置換
基として導入した化合物(登録商標名ORMOCER)
で光導波路を試作した報告が記載されている。
【0009】また、金属酸化物ゲルの3次元微細骨格中
に、特定の有機高分子を均一に分散させた複合体が知ら
れている。例えば、特開平3−212451号公報に
は、アミド結合を有する非反応性ポリマーの存在下、加
水分解重合性を有する有機金属化合物をゲル化させるこ
とにより、生成した金属酸化物ゲルの微細骨格をマトリ
ックスとしてその中にアミド結合を有する高分子が均一
に分散された構造の有機・無機複合体が得られることが
記載されており、また、この複合体が透明であって膜状
等に成形できる旨が記載されている。また、特開平5−
85860号公報には、加水分解性無機化合物を加水分
解重合して得られた無機酸化物のマトリックス中に、ウ
レタン結合を有する非反応性ポリマーが均一に分散した
有機・無機複合透明均質体が開示されている。一般に、
単純に有機物と無機物を混合させても、有機成分と無機
成分との相溶性が劣るためにこれらの複合体は不均質と
なり、有機高分子と無機物質が相分離してしまうことに
なる。このため、有機高分子と無機物質との特性が有効
に発現しない場合が多い。そのため、上記各公報に記載
された複合体では、マトリックス中に分散される高分子
がアミド結合やウレタン結合などを有するもの、特に、
水溶性ポリマーに限定されている。これらの水溶性ポリ
マーは水分に対する親和性が強いため、吸湿性がポリメ
チルメタクリレートよりも高いと判断される。このた
め、上記各公報に記載された複合体は、用途が限定され
てしまう。
【0010】特開平6−322278号公報には、上記
特開平3−212451号公報や特開平5−85860
号公報に開示された内容をさらに発展させ、汎用の有機
ポリマーを無機高分子と複合化可能とし、透明性、均質
性に優れた無機・有機複合ポリマー組成物を得ることが
開示されている。しかし、この複合ポリマー組成物を製
造する際には、汎用の有機ポリマーに加え、アミド結合
を有するポリマー(オキサゾリンのポリマーまたはポリ
ビニルピロリドン)を添加する必要がある。具体的に
は、有機金属化合物の加水分解重合反応溶液中にアミド
結合を有するポリマーおよび汎用の有機ポリマーを共存
させ、前記有機金属化合物を加水分解重合する。このよ
うにして得られる複合ポリマー組成物も、水溶性ポリマ
ーが含有されることになるため、上記特開平3−212
451号公報や特開平5−85860号公報に記載され
た複合体と同様に、吸湿性の点で問題がある。
【0011】一方、ポリメチルメタクリレートと同様に
光学材料への適用が検討されてきた高分子材料として、
ポリスチレンがある。ポリスチレンは非水溶性ポリマー
であり、透明性に優れ、吸湿性が低いことが知られてい
る。しかし、ポリスチレンのガラス転移温度は80℃程
度であり、ポリメチルメタクリレート同様に耐熱性が劣
るといった問題がある。ポリスチレンと無機材料とを複
合化することにより耐熱性の向上が期待されるが、従
来、ポリスチレンとシリカゲルとの有機・無機高分子複
合体を得ることはできなかった。これは、ポリスチレン
が水素結合受容基を持たないため、シリカゲルとの相互
作用が弱く、相分離を起こしてしまうからであった。
【0012】なお、ポリスチレンではなくポリスチレン
共重合体を用い、かつシランカップリング剤を介在させ
てシリカゲルとの有機・無機高分子複合体を合成した例
が、ジャーナル オブ マテリアル リサーチ(J.Mate
r.Res.)、第8巻、第5号、1993年、第1143頁
に報告されている。この報告では、SiO2 の三次元ネ
ットワーク構造中にポリスチレン構造を共有結合的に導
入することによって、有機・無機高分子複合体を合成し
ている。そして、共有結合的に結合させるために、スチ
レン単独の重合体ではなく、スチレンと3−(トリメト
キシシリル)プロピルメタクリレートとを共重合させた
中間体を合成し、これをシリカゲルと反応させている。
この方法では中間体の合成プロセスを追加する必要が生
じる。そして、メタクリレート構造も構造単位に加わる
ことから、ポリスチレン−シリカゲル系に比較して、吸
湿率の劣化が予想される。さらに、上記報告では、ポリ
スチレン系材料とシリカゲルとで構成される有機・無機
高分子複合体が光学材料として適しているか、また、こ
れらを適用した光導波路や他の光集積回路を作製するこ
とが可能であるのかといった検討はなされていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】高分子光導波路や他の
光集積回路用材料に要求される項目は、低光損失(いわ
ゆる、透明であること)であり、精密な屈折率制御が可
能であり、環境特性の一つである耐熱性、耐湿性が優れ
ていること等である。また、高分子光導波路を作製する
場合は、材料が希望する所定の膜厚に成膜可能であるこ
とや、材料の合成が簡易であることや、材料コストが低
いことも重要な項目である。したがって、本発明の目的
は、高分子光導波路や他の光集積回路用材料としての前
記要求項目を満たす有機・無機高分子複合体およびその
製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(4)のいずれかの構成によって達成される。 (1)シロキサン結合を有する無機マトリックス中にポ
リスチレンが分散された構造を有する有機・無機高分子
複合体。 (2)スチレンモノマーの重合により前記ポリスチレン
を合成すると共に、加水分解性有機基を有する有機ケイ
素化合物から前記無機マトリックスを合成する工程を経
て得られたものである上記(1)の有機・無機高分子複
合体。 (3)光導波路に用いられる上記(1)または(2)の
有機・無機高分子複合体。 (4)上記(1)〜(3)のいずれかの有機・無機高分
子複合体を製造する方法であって、加水分解性有機基を
有する有機ケイ素化合物の加水分解反応溶液中にスチレ
ンモノマーを共存させて、前記スチレンモノマーを重合
させる工程を有する有機・無機高分子複合体の製造方
法。
【0015】
【作用および効果】本発明の有機・無機高分子複合体で
は、含有される有機高分子の特徴、すなわちポリスチレ
ンの吸湿性の低さが消失することなく反映されるため、
耐湿性が良好である。このため、本発明の有機・無機高
分子複合体を光学材料として使用して作製された光集積
回路部品を用いることにより、耐環境性の優れた光信号
伝送回路を構築することが可能となる。本発明では、こ
のような有機・無機高分子複合体を、有機ケイ素化合物
の加水分解反応溶液中にスチレンモノマーを共存させ
て、前記スチレンモノマーを重合させる方法により実現
した。
【0016】これに対し、有機成分の原料としてスチレ
ンモノマーではなくポリスチレンを用いた場合、前述し
たように相分離が生じてしまう。また、前述したよう
に、メタクリレート構造単位をもつポリスチレン共重合
体を有機成分の原料として用いれば、シリカゲルと有機
成分とが共有結合した複合体の製造は可能であるが、こ
の場合にはメタクリレート構造単位による耐湿性の低下
が問題となってしまう。
【0017】本発明に用いる有機・無機高分子複合体で
は、物理的特性の一つである熱的特性、例えばガラス転
移温度が、その複合体の性質として発現するため、有機
高分子自体が有する熱的特性を大きく改善できる。この
ため、高温条件下にさらされても有機・無機高分子複合
体の劣化・変質がない。したがって、本発明における有
機・無機高分子複合体を用いた導波路は、有機高分子だ
けで作製した導波路に比較して、耐熱性が著しく良好と
なる。
【0018】また、本発明の有機・無機高分子複合体
は、マトリックスであるシロキサン骨格中にポリスチレ
ンが均一に分散した構造を有するため、透明性が良好で
ある。このため、光導波路に適用した場合、損失を著し
く小さくできる。
【0019】また、本発明の有機・無機高分子複合体に
おいて、有機成分と無機成分との比率を適宜設定するこ
とにより、屈折率を広範囲にわたって精密かつ容易に制
御することができる。したがって、本発明の有機・無機
高分子複合体を適用して光導波路を作製するにあたり、
光導波路構造中のコア部分およびクラッド部分の屈折率
制御を精密かつ容易に行うことができる。この際、最終
組成はほぼ仕込比どおりとなるので、屈折率制御が容易
であり、屈折率のばらつきも小さい。
【0020】さらに、本発明に用いるそれぞれの高分子
構造中の一部または全部の水素原子を、重水素原子やハ
ロゲン原子等で置換すれば、可視光領域から近赤外波長
領域に至るまで、損失の極めて低い特性を得ることが可
能となる。この場合、全構成成分を置換する必要は必ず
しもないので、製造法も簡易となる。
【0021】なお、各高分子単位構造中にアルキル基、
アリール基、ハロゲン原子等の置換基を適宜導入した場
合でも、屈折率の制御が可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の有機・無機高分子複合体
は、シロキサン結合を有する無機マトリックス中にポリ
スチレンが分散された構造を有する。
【0023】前記ポリスチレンは、スチレンモノマーを
重合することにより合成されたものである。本発明にお
けるスチレンモノマーは、非置換のものとする。ただ
し、置換基を有するスチレンモノマーを用いて合成する
こともできる。以下、スチレンモノマーについて、特に
断りがない限り単にスチレンと称する。また、本発明に
おけるポリスチレンは非置換のものであり、ホモポリマ
ーとする。ただし、原料モノマーとして置換基を有する
スチレンモノマーを用いて重合させた場合には、置換基
を有するホモポリマーであることも可能である。また、
コポリマーであってもよい。以下、スチレン系ポリマー
を単にポリスチレンと称することがある。
【0024】スチレンの置換体としては、フェニル基の
水素原子の少なくとも1個が重水素原子、フッ素原子、
塩素原子、低級アルキル基またはアリール基で置換され
たものなどが考えられる。この場合の低級アルキル基と
しては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、ブチル基といった炭素数1〜4程度のア
ルキル基が好ましい。この低級アルキル基は置換基を有
していてもよい。アルキル基の好ましい置換基として
は、例えば、重水素原子や、フッ素原子、塩素原子等が
挙げられる。置換アルキル基の具体例としては、その重
水素置換したアルキル基を含め、例えば、ジクロロメチ
ル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基等
が特に好ましい。前記アリール基としては、フェニル
基、ナフチル基等が好ましい。このアリール基は置換基
を有していてもよい。アリール基の置換基としては、例
えば、前記重水素原子や、フッ素原子、塩素原子等が好
ましい。置換アリール基の具体例としては、4−メチル
フェニル基や、4−フルオロフェニル基が好ましい。ま
た、これら置換基中の水素原子を重水素化したものも含
むことができる。このようなスチレンは、1種または2
種以上を使用することができる。
【0025】シロキサン結合を有する無機マトリックス
は、加水分解性有機基を有する有機ケイ素化合物から合
成されたシリカゲルである。
【0026】有機ケイ素化合物としては、少なくとも2
つの加水分解性有機基を有するものが好ましい。特に好
ましい有機ケイ素化合物は、下記式Iで表されるもので
ある。
【0027】式I (R1 m Si(OR2 4-m
【0028】上記式Iにおいて、R1 は低級アルキル基
またはアリール基を表し、R2 は低級アルキル基を表
し、mは0〜2の整数を表す。R1 はmの値に従い複数
存在するときは互いに異なっていてもよい。すなわち、
1 が複数存在する場合、R1は1種からなっていても
よく、2種からなっていてもよい。また、R2 も、1種
からなっていてもよく、2種以上からなっていてもよ
い。
【0029】R1 で表される低級アルキル基およびア
リール基は、置換基を有してもよい。R1 で表される低
級アルキル基は、炭素数1〜4程度のものが好ましい。
2で表される低級アルキル基も、炭素数1〜4程度の
ものが好ましい。R2 に用いるアルキル基、アリール基
としては、上記スチレンの説明において挙げたものが好
ましい。
【0030】このような有機ケイ素化合物としては、例
えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ
プロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエト
キシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメト
キシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルト
リエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメ
チルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメト
キシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が挙げられ
る。
【0031】これらのうち好ましい有機ケイ素化合物
は、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシ
シラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフ
ェニルジエトキシシラン等であり、特に、フェニルトリ
メトキシシランやフェニルトリエトキシシランなどフェ
ニル基を持つものは、スチレンのフェニル基との相互作
用により、より均一な複合体が得られることが期待でき
る点で好ましい。
【0032】なお、これらの有機ケイ素化合物には、屈
折率制御のためや組成物の硬度の調整のために、m=3
のモノアルコキシシランを必要に応じて添加してもよ
い。これらの有機ケイ素化合物は部分的に重合していて
もよい。使用する化合物の重合度は1〜30程度が好ま
しい。有機ケイ素化合物は異種のものを2種類以上使用
できる。
【0033】スチレンおよび有機ケイ素化合物は有機溶
媒に溶解され、反応溶液とされる。好ましくは両者を溶
解可能な共通有機溶媒が使用される。有機溶媒としては
例えば、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シク
ロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素;塩化メチル、塩化メチレ
ン、クロロホルム、トリクロロエチレン等のハロゲン化
炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエ
ーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロ
フラン等のエーテル類;非プロトン性極性溶媒(例え
ば、N−メチルピロリドン、アセトニトリル等のニトリ
ル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等
のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類
等);あるいはこれらの混合溶媒等があげられる。これ
らのうちでは、均一で透明性の良好な複合体が得られや
すいことから、特にアセトニトリルが好ましい。
【0034】本発明の有機・無機高分子複合体は有機成
分としてポリスチレンを含むので、複合体中のシリカゲ
ル含有率の高低にそれほど依存せず均質な複合体が得ら
れるという特色がある。本発明の有機・無機高分子複合
体における有機成分(ポリスチレン)と無機成分(シリ
カゲル)との割合は、両成分の特性を損なわない範囲内
であれば特に制限はないが、例えば、ポリスチレン10
0重量部に対しシリカゲルが好ましくは20〜1000
重量部、より好ましくは50〜500重量部程度であ
る。ポリスチレンに対するシリカゲルの割合が前記範囲
を外れると、複合化の意義が少なくなる。有機・無機高
分子複合体の物理的特性の中で、ガラス転移温度は、そ
の複合体の性質として発現するため、複合体に使用する
有機高分子自体が有していた熱的特性を大きく改善でき
る。したがって、シリカゲルが少なすぎると、有機・無
機高分子複合体のガラス転移温度がポリスチレン自体の
ガラス転移温度とほぼ同一となり、変化が生じていると
は判断できなくなってきて、複合化する意義がなくなっ
てくる。逆にシリカゲルが多すぎても、有機成分添加の
意義がなくなってくる。
【0035】本発明の有機・無機高分子複合体の製造方
法は、有機モノマーのラジカル重合と有機金属化合物の
ゾル・ゲル法による加水分解重合とを同時に進行させる
ことに特徴がある。本発明の有機・無機高分子複合体の
製造に、従来の有機・無機高分子複合体の製造方法を用
いた場合、すなわち、有機ケイ素化合物の加水分解重合
反応溶液中にポリスチレンを共存させて有機ケイ素化合
物を加水分解重合する方法を用いた場合には、均質、透
明な有機・無機高分子複合体は製造することができな
い。これは前述の通り、本発明で用いるスチレンが水素
結合受容基を持たないため、シリカゲルとの相互作用が
弱く、相分離を起こしてしまうからである。
【0036】スチレンモノマーの重合には、一般的なビ
ニルモノマーのラジカル重合法、例えば、溶液重合、懸
濁重合、塊状重合等を用いることができるが、本発明で
は溶液重合を用いることが好ましい。重合開始剤として
は通常のものを使用することができ、例えば、ジ−te
rt−ブチルペルオキシドやメチルエチルケトンペルオ
キシド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物や、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル、2−カルバモイル
−アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物を挙げること
ができる。
【0037】有機ケイ素化合物は、スチレンモノマーの
存在下、反応溶液中で公知の方法に従い、ゾル・ゲル法
により加水分解重合され、シリカゲルが生成する。この
重合は、酸触媒の存在下で行うことが望ましい。酸触媒
としては無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸
等);有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、
トリフルオロ酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メ
タンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスル
ホン酸等のスルホン酸等)が使用できる。
【0038】スチレンモノマーの重合および有機ケイ素
化合物の加水分解重合は、攪拌下、室温〜60℃程度ま
での温度範囲内で行うことができる。不活性ガスの存在
下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。また、加水
分解重合に伴って生成するアルコールを除去しながら重
合してもよい。これらの重合により、シリカゲルの三次
元微細構造中のナノメートルオーダーの領域にポリスチ
レンが均一に分散した構造が得られる。この構造は、原
子間力顕微鏡によって確認することができる。また、有
機・無機高分子複合体から焼成などにより有機成分を除
去した後、窒素吸着法を用いて測定することにより、シ
リカゲル中においてポリスチレンが存在していた細孔の
寸法を求めることができる。この細孔の径は、通常、数
十ナノメートル程度以下である。
【0039】薄膜状の有機・無機高分子複合体を作製す
る場合には、まず、前記反応溶液が一定の組成系、反応
条件下で、所望の粘度に到達した後、ガラス・石英・シ
リコンなどの平面基板上に前記反応溶液を滴下し、スピ
ンコートする。この際、あらかじめ溶液粘度、基板の回
転数、その回転時間と、膜厚との関係を把握しておくこ
とにより、所望の膜厚の有機・無機高分子複合体薄膜が
得られるようにスピンコート条件を設定する。スピンコ
ート後、窒素雰囲気下で加熱することにより溶媒を除去
して硬化させる。この加熱は、70〜150℃程度の範
囲内において、まず、低温域に温度を保持し、次いで高
温域に温度を保持する構成で行うことが好ましい。この
ような方法により、均質でかつ所望の厚さの薄膜が作製
できる。
【0040】本発明では、ポリスチレンとシリカゲルと
の比率や置換基効果などにより有機・無機高分子複合体
の屈折率を制御できるため、屈折率の選択の幅が広くな
る。したがって、使用可能な有機成分と無機成分とか
ら、安定な屈折率が得られる組み合わせを選択し、導波
路構造中のコア部分用とクラッド部分用とに適用すれば
よい。
【0041】本発明の有機・無機高分子複合体を適用し
た光導波路の構造は、一般の光導波路構造と同一でよ
い。一般の光導波路構造としては、例えば、ファイバ
型、スラブ型、リッジ型、埋め込み型等がある。光導波
路のコア部分とクラッド部分との寸法および両部分の屈
折率の関係は、光の波長や使用するモードに応じて適宜
決定すればよいが、コア部分とクラッド部分との比屈折
率差は、一般に0.2〜1.0%程度であることが好ま
しい。
【0042】埋め込み型光導波路の製造方法について、
図1を参照しながら説明する。図1は、本発明による埋
め込み型光導波路の作製方法の一例を示すものである。
1は平面基板、2は下部クラッド層、3はコア層、4は
アルミニウム薄膜、5はレジスト層、6は上部クラッド
層を示す。
【0043】(a)まず、有機・無機高分子複合体の前
駆体反応溶液を、ガラス、石英、シリコン等からなる平
面基板1上にスピンコートにより薄層状に塗布する。次
いで、窒素雰囲気下で上記したように70〜150℃程
度で加熱して溶媒を除去し、所望の膜厚となるように硬
化させる。これにより、下部クラッド層2が形成され
る。
【0044】(b)この下部クラッド層2の上に、コア
層3を形成する。コア層3の形成方法は、下部クラッド
層2の形成方法と同一とすればよいが、コア層3は下部
クラッド層2とは屈折率が異なるため、この場合の前記
前駆体反応溶液にはコア層3用のものを用いる。なお、
コア層3の屈折率は、下部クラッド層2のそれより、通
常、0.2〜1.0%程度大きくする。
【0045】(c)コア層3の上に、蒸着法によりアル
ミニウム薄膜4を形成する。
【0046】(d)アルミニウム薄膜4上にフォトレジ
ストを塗布し、プリベーク、露光、現像、ポストベーク
を行って、所定パターンのレジスト層5を得る。
【0047】(e)次いで、アルミニウム剥離専用のエ
ッチャントで、レジスト層5に被覆されていない部分の
アルミニウム薄膜を除去する。
【0048】(f)さらに、レジスト層5およびアルミ
ニウム薄膜4で保護されていないコア層3の有機・無機
高分子複合体をドライエッチング方法で除去する。次
に、コア層3の上部に存在するアルミニウム薄膜を、ア
ルミニウム剥離専用のエッチャントで剥離・除去する。
このとき、アルミニウム薄膜上に残存しているレジスト
層5も同時に除去され、コア層3のパターニングが完了
する。
【0049】(g)最後に、下部クラッド層2およびパ
ターニングされたコア層3の上に、上部クラッド層6を
形成する。上部クラッド層6の形成方法は、下部クラッ
ド層2のそれと同一とすればよく、また、上部クラッド
層6の屈折率は下部クラッド層2のそれと同一とするこ
とが好ましい。このようにして、クラッド層およびコア
層が有機・無機高分子複合体で形成された埋め込み型光
導波路が得られる。
【0050】図2は、本発明の有機・無機高分子複合体
をコア層3に適用したリッジ型光導波路の一例の断面図
である。この例では、下部クラッド層2として、コア層
3よりも屈折率が小さいシリコン酸化膜をスパッタリン
グまたは蒸着法で形成してある。下部クラッド層2形成
後は、図1と同様な工程により製造するが、上部クラッ
ド層6は設けない。この場合、空気が上部クラッド層と
して働くことになる。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0052】有機・無機高分子複合体の製造例1 スチレンモノマー1.0g、テトラメトキシシラン2.
0gおよび重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブ
チロニトリル(AIBN)を表1に示す溶媒(20ml)
に溶解した。AIBN/スチレンは、モル比で1/10
とした。得られた溶液を攪拌しながら、酸触媒として
0.1N−HClを表1に示す量添加し、窒素雰囲気
下、室温で5時間攪拌して反応溶液を調製した。次い
で、窒素雰囲気下、反応溶液を60℃に1時間保って重
合反応を行い、さらに室温で24時間以上放置して、ゲ
ル化およびゲルの熟成を行った。次いで、100℃に4
8時間維持して溶媒を除去し、表1に示す有機・無機高
分子複合体サンプルを得た。
【0053】各サンプルのスチレンの重合度を、熱重量
分析(TGA)により確認した。また、各サンプルの全
重量の10%が分解する温度(T10)をTGAの結果か
ら算出した。また、TGAの際の各サンプルの重量損失
を求めた。また、各サンプルから溶媒抽出によりポリス
チレンを分離し、ポリスチレンの重量平均分子量Mwお
よび数平均分子量MnをGPCにより測定した。これら
の結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】表1から、本発明により透明でかつ耐熱性
に優れた有機・無機高分子複合体が得られることがわか
る。表1に示す重量損失は、TGAの際の加熱に伴う重
量減少が落ち着いたところでの値であり、これらから各
サンプル中の有機成分の比率がわかる。これらの重量損
失から、最終組成がほぼ仕込比どおりとなっていること
がわかる。
【0056】なお、表1に示す各サンプルでは、可視光
領域においてポリメチルメタクリレートやポリスチレン
と同等の光透過率が得られることが確認された。
【0057】表1のサンプルNo.101のガラス転移温
度をTMAおよびDSC熱分析装置(セイコー電子工業
製、TMA−300型および、DSC−220C型)で
測定したところ、100℃以上であった。
【0058】有機・無機高分子複合体の製造例2 有機・無機高分子複合体の製造例1で使用したテトラメ
トキシシランの替わりに、フェニルトリメトキシシラン
2.0gを用い、これ以外は上記製造例1のサンプルN
o. 104と同様にして有機・無機高分子複合体サンプ
ルNo. 201を作製した。このサンプルは、上記製造例
1のサンプルと同様に、透明でかつ耐熱性に優れたもの
であった。このサンプルのガラス転移温度は、100℃
以上であった。
【0059】有機・無機高分子複合体の製造例3 有機・無機高分子複合体の製造例1で使用したテトラメ
トキシシラン2.0gの替わりに、テトラメトキシシラ
ンとフェニルトリメトキシシランとを総量で2.0g用
い、これ以外は上記製造例1のサンプルNo. 104と同
様にして有機・無機高分子複合体サンプルNo. 301を
作製した。このサンプルは、上記製造例1のサンプルと
同様に、透明でかつ耐熱性に優れたものであった。この
サンプルのガラス転移温度は、100℃以上であった。
【0060】なお、上記製造例で得られた有機・無機高
分子複合体を600℃で焼成し、得られた多孔質シリカ
の細孔分布を窒素吸着法で測定した結果、1.8nmに鋭
い細孔分布を有することが確認された。このことは、ポ
リスチレンがナノメートルオーダーのスケールで均一に
シリカゲル中に分散していることを示している。このよ
うにゾル・ゲル反応系中での重合法を用いることで、シ
リカゲルとの相互作用の弱い系でも均一な高分子複合体
が得られることがわかる。
【0061】光導波路の製造例 以下の手順で光導波路を作製した。
【0062】まず、3インチのシリコン基板上に、上記
製造例1のサンプルNo. 104で使用した反応溶液を滴
下し、加熱乾燥後の膜厚が20μm になるようにスピン
コートした。その後、100℃に50時間、続いて15
0℃に50時間保持することにより溶媒を除去し、下部
クラッド層とした。
【0063】次に、下部クラッド層上に、上記製造例3
で使用した反応溶液を用いた以外は上記した下部クラッ
ド層形成の際と同様にして、コア層を形成した。このコ
ア層は、クラックの発生がなく、無色透明で均質なもの
であった。
【0064】次に、EB蒸着機でアルミニウム薄膜を2
000A の厚さとなるように蒸着した後、レジスト処理
を行った。まず、一般のポジ型レジストをスピンコート
で塗布した後、110℃に2分間保持することによりプ
リベークを行った。次に、線幅が8μm で全長50mmの
フォトマスクを通じて紫外線露光を行い、専用のレジス
ト現像液で未露光部分を除去した。次に、135℃に3
0分間保持することによりポストベークを行った後、レ
ジストコートされていない部分のアルミニウム薄膜を専
用のエッチャントで除去した。洗浄乾燥後、酸素ガスを
用いたRIEドライエッチング処理を行い、コア層部分
を断面矩形のリッジ型(長さ50mm、幅8μm 、高さ8
μm )となるようにエッチングした。
【0065】エッチング後、コア層上部にあるアルミニ
ウム薄膜のマスクを専用のエッチャントで溶解した。次
に、上記した下部クラッド層形成の際と同様にして上部
クラッド層を形成した。このようにして埋め込み型の光
導波路を得た。
【0066】この光導波路の光伝搬損失を、波長130
0nmの光を用いてカットバック法で測定した。測定の結
果、この導波路の光伝搬損失は0.5dB/cm 以下であっ
た。なお、各クラッド層とコア層とについて、屈折率を
プリズムカプラー(米国メトリコン社製型式2010)
で測定した。この結果、コア層とクラッド層との間の比
屈折率差は、0.3〜1%の範囲にあった。
【0067】この光導波路を85℃の環境下に100時
間静置してから取り出し、光損失変化を測定した結果、
吸熱による樹脂の劣化・変質に基づく損失増は全くな
く、耐熱性の高いことが確認された。
【0068】また、60℃、90%R.H.の環境下に
100時間静置してから同様の測定を行った結果、吸湿
による樹脂の劣化・変質に基づく損失増は全くなく、耐
湿性の高いことが確認された。
【0069】薄膜の評価 次に、有機・無機高分子複合体薄膜について、下記
(a)〜(c)の評価を行った。
【0070】(a)成膜性および有機・無機高分子複合
体の評価結果(その1) 上記製造例1のサンプルNo. 104で使用した反応溶液
を用い、スピンコート法で形成した薄膜は、加熱乾燥
後、クラックの発生がなく、無色透明で均質であり、エ
タノールに対して不溶化していた。また、この薄膜で
は、TGA、1H−NMR分析の結果より、90%以上
の反応率でスチレンモノマーが重合していることが判明
した。さらに、この薄膜から溶媒抽出によりポリスチレ
ンを分離し、ポリスチレンの分子量をGPCにより測定
したところ、重量平均で約1000であった。
【0071】(b)成膜性および有機・無機高分子複合
体の評価結果(その2) 上記製造例3で使用した反応溶液を用い、上記(a)と
同様にして形成した薄膜は、加熱乾燥後、クラックの発
生がなく、無色透明で均質であり、エタノールに対して
不溶化していた。また、この薄膜では、TGA、1H−
NMR分析の結果より、90%以上の反応率でスチレン
モノマーが重合していることが判明した。さらに、上記
(a)と同様にして重量平均分子量を測定した結果、テ
トラメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとの
混合比率によって異なっていたが、約1000〜約15
00の間であった。
【0072】(c)成膜性および有機・無機高分子複合
体の評価結果(その3) 上記製造例1のサンプルNo. 103で使用した反応溶液
を用い、上記(a)と同様にして形成した薄膜は、加熱
乾燥後、クラックの発生がなく、無色透明で均質であ
り、エタノールに対して不溶化していた。この薄膜で
は、TGA、1H−NMR分析の結果より、90%以上
の反応率でスチレンモノマーが重合していることが判明
した。さらに、上記(a)と同様にして分子量を測定し
た結果、重量平均で約1000であった。
【0073】なお、上記(a)、(b)および(c)で
それぞれ作製した薄膜の屈折率を測定したところ、1.
50±0.1の範囲にあった。
【0074】上記した各例の他にも様々な条件で有機・
無機高分子複合体の合成を試みた結果、複合体中のポリ
スチレンの重量平均分子量は、約1000〜4000の
範囲内であった。
【0075】比較例1 精製した市販のポリスチレン2.0g、フェニルトリメ
トキシシラン2.0gおよび酸触媒である0.1N−塩
酸0.5mlを、テトラヒドロフランに溶解・添加した。
得られた溶液を30℃に維持しながら1時間攪拌した。
その後、室温で24時間以上放置してゲル化およびゲル
の熟成を行ったところ、ポリスチレンが析出して相分離
した不均一な生成物のみ得られ、透明な有機・無機高分
子複合体は得ることができなかった。また、溶媒として
テトラヒドロフランに替えてアセトニトリルを用いた場
合でも同様な結果であった。
【0076】比較例2 重量平均分子量約10,000のポリスチレンのガラス
転移温度を測定した結果、75℃であり、本発明の有機
・無機高分子複合体に比べ、耐熱性が著しく低いことが
確認された。
【0077】以上の実施例の結果から、本発明の効果が
明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機・無機高分子複合体を使用した埋
め込み型光導波路の作製方法の一例を示す工程図であ
る。
【図2】本発明の有機・無機高分子複合体を使用したリ
ッジ型光導波路の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 平面基板 2 下部クラッド層 3 コア層 4 アルミニウム薄膜 5 レジスト層 6 上部クラッド層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 6/12 G02B 6/12 N

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シロキサン結合を有する無機マトリック
    ス中にポリスチレンが分散された構造を有する有機・無
    機高分子複合体。
  2. 【請求項2】 スチレンモノマーの重合により前記ポリ
    スチレンを合成すると共に、加水分解性有機基を有する
    有機ケイ素化合物から前記無機マトリックスを合成する
    工程を経て得られたものである請求項1の有機・無機高
    分子複合体。
  3. 【請求項3】 光導波路に用いられる請求項1または2
    の有機・無機高分子複合体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの有機・無機高
    分子複合体を製造する方法であって、加水分解性有機基
    を有する有機ケイ素化合物の加水分解反応溶液中にスチ
    レンモノマーを共存させて、前記スチレンモノマーを重
    合させる工程を有する有機・無機高分子複合体の製造方
    法。
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