JPH09311234A - 有機・無機高分子複合体光導波路 - Google Patents

有機・無機高分子複合体光導波路

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JPH09311234A
JPH09311234A JP14865596A JP14865596A JPH09311234A JP H09311234 A JPH09311234 A JP H09311234A JP 14865596 A JP14865596 A JP 14865596A JP 14865596 A JP14865596 A JP 14865596A JP H09311234 A JPH09311234 A JP H09311234A
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organic
polymer composite
optical waveguide
polymer
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JP14865596A
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Yoshiki Nakajo
善樹 中條
Masaaki Kobayashi
正明 小林
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性に優れた有機・無機高分子複合体をコ
アおよびクラッドとして、屈折率制御が容易で、低損失
で、耐熱性の高い高分子複合体光導波路を提供する。 【解決手段】 コア部分と、クラッド部分がともに、
A.有機金属化合物を好ましくは加水分解して得られた
金属高分子物質と、B.アミド結合を有する高分子物質
としてポリオキサゾリンあるいはポリジメチルアクリル
アミドと、必要に応じC.極性基を有する高分子物質と
を含有し、有機成分と無機成分が複合化した有機・無機
高分子複合体から構成されている光導波路。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光集積回路・光通信
等に用いられる高分子光導波路、特に有機・無機高分子
複合体光導波路に関する。
【0002】
【従来の技術】光信号の伝送媒体である光導波路とし
て、最も一般的に知られている光学部品に光ファイバを
あげることができる。これらの光学部品では低光損失、
広帯域特性が求められ、この点から石英および多成分ガ
ラスや、無機単結晶等の無機系材料が広く使用されてい
る。近年、B−ISDNなどの大容量情報処理が必要な
情報通信分野において、電気配線が有する伝送帯域の限
界に対処するものとして光配線方法が提案されており、
その一つに平面基板上に形成される高分子光導波路の適
用が考えられている。
【0003】この光導波路の基本材料となる有機系高分
子は、無機系材料に比べて多くの機能性化合物、官能基
の導入が可能であることや、材料コストが低く、加工性
がよい等の特徴を持つので、光学用材料として現在まで
に数多くの開発がなされている。例えば黒川隆志らのア
プライド オプティクス(Appl.Opt.)第17
巻、4号、646頁〜647頁、1978年や、特公昭
61−13201号公報には、選択的光重合法により、
ポリカーボネート中に含ませたドーパント(アクリル系
モノマーの一つであるアクリル酸メチル)を光照射によ
り選択的に重合、あるいはポリマーと反応させること
で、屈折率を変化させ、パターン状の光導波路を作製す
る手法が開示されている。しかしこれらの選択的光重合
法では紫外線の照射条件を厳密に定める必要性があり、
また、溶媒の揮発条件により、モノマー含量が変化して
屈折率が微妙に変化するといった欠点がある。
【0004】また、ポリメチルメタクリレートの分子中
の水素を重水素化やフッ素化処理を行い、光導波路を試
作して光伝搬損失を測定したところ、0.1dB/cm
以下といった低損失化を達成した報告が吉村了行らのエ
レクトロニクス レターズ(Electron.Let
t.),第28巻、2135頁〜2136頁、1992
年に掲載されており、この内容が特公平6−43464
号公報に開示されている。しかし、ポリメチルメタクリ
レート系のガラス転移温度は一般に100℃前後であ
る。このため実際の光部品としての信頼性を考慮したと
き、耐熱温度の上限は70℃程度であると考えられてい
る。従って、実用的には不安が残る。
【0005】さらに、耐熱性の向上のみならず、さらな
る低損失化、耐湿性の改善をも目的に、水素原子を重水
素原子に置換したポリシロキサンを用いた光導波路が、
特開平3−188402号公報に、また、分子中の水素
原子の一部または全部をフッ素化したポリイミドを用い
た高分子光導波路が、特開平4−328504号公報に
それぞれ開示されている。これら高分子では200℃以
上の耐熱性や近赤外波長領域での低損失化を達成できる
光導波路を提供できる。しかし、高分子光導波路として
適用する材料の低コスト化を図る上では、重水素化処理
等を施した高分子のみを用いるのが妥当であるとするの
は疑問である。
【0006】このように従来の技術では前記のような有
機高分子化合物のみ、あるいはガラス導波路に代表され
るように、無機高分子材料のみを用いたものが主であ
る。ところで、有機材料と無機材料を組み合わせた材料
も、いわゆる複合材料として数多く知られている。例え
ば、有機高分子に無機物を添加するフィラーの考え方
や、金属表面を有機高分子で修飾するコーティング手法
は、工業的に幅広く利用されている。これらの複合材料
ではそれぞれの素材の特性を維持しつつ、さらに新しい
機能を付加させようとするところに特徴がある。これに
対して異なった材料を分子レベルで組み合わせて複合化
させると、前述の基本的な素材とは全く異なった新しい
材料が期待できる。すなわち、一般的に材料としての特
性、例えば機械的特性、熱的特性などは、その集合体の
性質として発現することから注目を集めている。
【0007】このような複合化材料を光部品に適用した
報告がある。例えば、インテグレーテッド オプティク
ス アンド オプティカル コミュニケーション 国際
会議(Integrated Optics and
Optical Communication) 19
95講演予稿集、TuD1−5、71頁には、シロキサ
ンのネットワーク骨格中にメタクリレート基を置換基と
して導入した化合物(登録商標名 ORMOCER)で
光導波路を試作した報告が行われている。
【0008】また、金属酸化物ゲルの3次元微細骨格中
に、特定の有機高分子を均一に分散させた複合体が知ら
れている。例えば、特開平3−212451号公報に
は、加水分解重合性を有する有機金属化合物をゲル化さ
せ、生成した金属酸化物ゲルの微細骨格中にアミド結合
を有する高分子が均一に分散した有機・無機複合体が得
られると記載されており、さらにこの複合体は透明で、
膜状等に成形できることが開示されている。しかし、単
純に有機物と無機物を混合させても、有機成分と無機成
分との相溶性が劣るためにこれらの複合体は不均質とな
り、有機高分子と無機物質が相分離してしまうことにな
る。このため、有機高分子と無機物質との特性が有効に
発現しない場合が多い。また、この複合体は、有機ケイ
素化合物と組み合わされる高分子がアミド結合やウレタ
ン結合などを有する高分子、特に、水溶性ポリマーに限
定される。そのため、汎用の有機高分子と無機高分子と
を複合化することが困難であり、用途が限定されてしま
う。
【0009】特開平6−322278号公報では、特開
平3−212451号公報に開示された内容をさらに発
展させ、汎用の有機高分子であっても無機高分子と複合
化し、透明性、均質性に優れた無機・有機複合高分子が
得られることが開示されている。しかしながら、このよ
うな複合体高分子が光学材料として適しているか、また
これらを適用した光導波路や他の光集積回路を作製する
ことが可能であるのかといった検討はなされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】高分子光導波路用材料
に要求される項目は、低光損失(いわゆる、透明である
こと)であり、精密な屈折率制御が可能であり、環境特
性の一つである耐熱性が優れていること等である。また
高分子光導波路を作製する上で、光導波路用材料が希望
する所定の膜厚に成膜可能であることや、材料の合成が
簡易であることや、材料コストが低いことも重要な項目
である。従って、本発明の目的は、前記の高分子光導波
路用材料としての要求項目を満たす有機・無機高分子複
合体を用いた高分子光導波路を提供することである。
【0011】このような目的は、下記の構成によって達
成される。 (1)高分子物質のコア部分と、このコア部分を囲み、
コア部分より低い屈折率を有する高分子物質のクラッド
部分とを有し、前記コア部分およびクラッド部分の高分
子物質がともに、置換基を有することがある炭化水素基
と、少なくとも2つの加水分解性有機基とを有する有機
金属化合物から誘導された金属高分子物質と、オキサゾ
リン系ポリマーおよびジメチルアクリルアミド系ポリマ
ーから選ばれたアミド結合を有する高分子物質とを含有
する有機・無機高分子複合体を含む有機・無機高分子複
合体光導波路。 (2)前記金属高分子物質が下記式Iで表わされる化合
物の加水分解重合による高分子である物質上記(1)の
有機・無機高分子複合体光導波路。 式I (R1m Si(OR24-m (式中、R1 はアルキル基またはアリール基を表わす。
2 は低級アルキル基を表わし、R1 およびR2 は、そ
れぞれそれが複数存在する場合、互いに異なっていても
よい。mは1または2の整数を示す。) (3)前記アミド結合を有する高分子物質100重量部
に対して、前記金属高分子物質となる有機金属化合物を
10〜5000重量部用いる上記(1)または(2)の
有機・無機高分子複合体光導波路。 (4)前記コア部分およびクラッド部分がともに、前記
有機金属化合物から誘導された金属高分子物質と、前記
アミド結合を有する高分子物質と、さらに極性基を有す
る高分子物質とを含有する有機・無機高分子複合体を含
む上記(1)〜(3)のいずれかの有機・無機高分子複
合体光導波路。 (5)前記極性基を有する高分子物質が、下記式IIで表
わされるくり返し単位を有するメタクリレート系ポリマ
ーである上記(1)〜(4)のいずれかの有機・無機高
分子複合体光導波路。
【0012】
【化2】
【0013】(式中、R3 、R5 は、それぞれ水素原
子、重水素原子またはハロゲン原子である。R4 は水素
原子、重水素原子、重水素化メチル基またはハロゲン原
子である。R6 はアルキル基、重水素化アルキル基また
はパーハロゲン化アルキル基を表わす。) (6)前記アミド結合を有する高分子物質100重量部
に対して、前記極性基を有する高分子物質を3000重
量部以下、前記金属高分子物質となる有機金属化合物を
10〜5000重量部用いる上記(4)または(5)の
有機・無機高分子複合体光導波路。
【0014】なお、本発明の有機・無機高分子複合体の
一部は、特開平6−322136号公報、同6−322
278号公報、熱硬化性樹脂 vol. 16 No.2 (1995)31
〜36頁、Advances in Polymer Science vol. 100 (19
92) 11〜29頁等に開示されているが、これらには導
波路に用いる旨の示唆はない。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、高分子のコア
部分と、このコア部分を囲み、コア部分より低い屈折率
を有する高分子のクラッド部分とを有し、前記コア部分
とクラッド部分とがともに、 A.置換基を有することが可能な炭化水素基と、少なく
とも2つの加水分解性有機基とを有する有機金属化合物
から誘導された金属高分子物質と、 B.アミド結合を有する高分子物質のうち、オキサゾリ
ン系あるいはジメチルアクリルアミド系のポリマーと、
必要に応じC.極性基を有する高分子物質とを含む有機
・無機高分子複合体から形成される。
【0016】
【発明の実施の形態】Aの有機金属高分子物質を形成す
るための置換基を有することがある炭化水素基と、少な
くとも2つの加水分解性有機基とを有する有機金属化合
物としては、有機ケイ素化合物であることが好ましい。
特に好ましい有機ケイ素化合物は、下記式化Iで表わさ
れる。
【0017】式I (R1m Si(OR24-m
【0018】式I中、R1 は置換基を有してもよい炭素
数1〜4程度の低級アルキル基を示し、あるいは置換基
を有してもよいアリール基を表わす。R2 は炭素数1〜
4程度の低級アルキル基を表わし、R1 およびR2 はそ
れぞれmの値に従い複数存在するときは互いに異なって
いてもよい。mは0〜2の整数を示す。
【0019】このような有機ケイ素化合物としては、例
えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ
プロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエト
キシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメト
キシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルト
リエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメ
チルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメト
キシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等があげられ
る。
【0020】特に好ましい有機ケイ素化合物は、例え
ば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メ
チルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラ
ン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエト
キシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル
ジエトキシシラン等である。
【0021】なお、これらの有機ケイ素化合物には屈折
率制御のためや、組成物の硬度の調整のため、必要に応
じてm=3のモノアルコキシシランを添加してもよい。
これらの有機ケイ素化合物は部分的に重合していてもよ
い。使用する化合物の重合度は1〜30程度が好まし
い。また有機ケイ素化合物は異種のものを2種類以上使
用できる。有機・無機高分子複合体の組成物として、特
に好ましくは下記のポリオキサゾリンやジメチルアクリ
ルアミドを含むので各成分の割合を広い範囲で使用して
も均質であるという特色がある。
【0022】Bのアミド結合を有する高分子物質は、オ
キサゾリン系ポリマーあるいはジメチルアクリルアミド
系ポリマーである。オキサゾリン系ポリマーとしては、
置換基を有してもよいオキサゾリンの高分子化合物であ
り、この高分子化合物と等価なポリエチレンイミンのN
−アシル化化合物をも含む。なお、特に断りがない限
り、置換基を有してもよいオキサゾリンを単にオキサゾ
リンと称し、置換基を有してもよいオキサゾリン系ポリ
マーを単にポリオキサゾリンと称すことがある。また、
ジメチルアクリルアミド系ポリマーは、置換基を有して
もよいジメチルアクリルアミドの高分子化合物である。
このポリマーも単にポリジメチルアクリルアミドと称す
ことがある。そして、これら高分子化合物は、ホモポリ
マーであってもコポリマーであってもよい。
【0023】アミド結合を有するポリマーとしてのオキ
サゾリン系ポリマーは下記式III のくり返し単位をもつ
ものが好ましい。
【0024】
【化3】
【0025】(式中、R8 は水素原子、重水素原子また
は置換基を有してもよいアルキル基もしくはアリール基
を表わす。)
【0026】前記R8 で示されるアルキル基としては、
例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t
ert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が好まし
い。特に好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4の
低級アルキル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基をあげることができる。
【0027】アルキル基の好ましい置換基としては、例
えば、重水素原子や、フッ素原子、炭素数1〜4程度の
アルコキシ基、カルボキシル基、アルキル部分の炭素数
が1〜4程度のアルコキシカルボニル基等が挙げられ
る。
【0028】アリール基としては、フェニル基、ナフチ
ル基等が好ましく、アリール基の置換基としては、例え
ば、前記重水素原子や、フッ素原子、炭素数1〜4程度
のアルキル基、炭素数1〜4程度のアルコキシ基、アル
キル部分の炭素数が1〜4程度のアルコキシカルボニル
基等が好ましい。
【0029】R8 の置換アルキル基の具体例としては、
その重水素置換したアルキル基を含め、例えば、ジクロ
ロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチ
ル基、メトキシカルボニルエチル基等が特に好ましい。
アリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル
基や、4−フルオロフェニル基が特に好ましい。またこ
れら置換基中の水素原子を重水素化したものも含むこと
ができる。特に好ましいオキサゾリンは2−オキサゾリ
ンの他、R8 が炭素数1〜2の低級アルキル基のものを
挙げることができる。
【0030】すなわち、式III のくり返し単位として
は、オキサゾリンまたは2−R8 −2−オキサゾリン
(R8 は前記と同義)の開環重合体であることが好まし
い。
【0031】このようなオキサゾリンの高分子は1種ま
たは2種以上で使用することができる。なお、ポリオキ
サゾリンはホモポリマーであってもコポリマーであって
もよい。コポリマーとしては、ポリジメチルアクリルア
ミド、ポリビニルピロリドンやポリスチレン等とブロッ
ク共重合体を挙げることができる。また、ポリオキサゾ
リンは他のポリマーにポリオキサゾリンがグラフトした
共重合体であってもよい。骨格ポリマー鎖としてはポリ
シロキサン、ポリスチレン等が使用できる。ポリオキサ
ゾリンは重合度10〜100程度であり、ポリマー中に
オキサゾリン単位が10〜100wt% 程度含有されてい
ることが好ましい。
【0032】なお、ポリオキサゾリンは置換基を有して
もよいオキサゾリンを、触媒の存在下で開環重合するこ
とにより得られる。触媒としては、例えば、硫酸ジメチ
ル、p−トルエンスルホン酸アルキルエステル等の硫酸
エステルやスルホン酸エステル;ヨウ化アルキル(例え
ば、ヨウ化メチル)等のハロゲン化アルキル;フリーデ
ルクラフツ触媒の内、金属フッ化物;硫酸、ヨウ化水
素、p−トルエンスルホン酸等の酸や、これらの酸とオ
キサゾリンの塩である、オキサゾリニウム塩等が使用で
きる。
【0033】ポリジメチルアクリルアミドは、ホモポリ
マーであってもコポリマーであってもよく、その重量平
均分子量は、400〜200,000、特に500〜2
0,000程度、ジメチルアクリルアミド単位は10〜
100wt% 含有されていることが好ましい。コモノマー
としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレー
ト、アクリロニトリル、スチレン等が使用できる。
【0034】ポリオキサゾリンとポリジメチルアクリル
アミドは単独でも、併用しても使用することができる。
ポリオキサゾリンとポリジメチルアクリルアミドは種々
の有機高分子に対して高い相溶性を示す。特にポリオキ
サゾリンは広範囲の有機高分子に対する相溶性が高く、
ポリジメチルアクリルアミドは例えばエステル結合を有
する高分子との相溶性が高い。ポリオキサゾリンとポリ
ジメチルアクリルアミドは単独でも、併用しても使用す
ることができるが、併用する場合の量比は任意である。
【0035】なお、ポリオキサゾリンおよび/またはポ
リジメチルアクリルアミドに加え、さらにBとしてポリ
ビニルピロリドンを併用することもできる。
【0036】ポリビニルピロリドンは、ピロリドン基に
例えば炭素数1〜5のアルキル基やアリール基等の置換
基が結合したものであってもよく、ホモポリマーであっ
てもコポリマーであってもよく、その重量平均分子量
は、20,000〜1,500,000程度、ビニルピ
ロリドン単位は10〜100wt% 含有されていることが
好ましい。コモノマーとしてはスチレン、メチル(メ
タ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド等が使用で
きる。ポリビニルピロリドンはポリオキサゾリンやポリ
ジメチルアクリルアミドとの総計の50wt% 以下使用で
きる。
【0037】必要に応じ使用されるCの極性基を有する
高分子物質としては、骨格中または側鎖にカルボニル基
をもつものが好ましく、下記式IIのくり返し単位をもつ
メタクリレート系ポリマーであることが好ましい。
【0038】
【化4】
【0039】式II中、R3 、R5 は、同一でも異なって
いてもよく、それぞれ水素原子、重水素原子、あるいは
ハロゲン原子を表わす。R4 は水素原子、重水素原子、
メチル基、重水素化メチル基、あるいはハロゲン原子を
表わす。R4 は、特にそれぞれ炭素数1〜5程度のアル
キル基、重水素化アルキル基あるいは、パーハロアルキ
ル基、特にCn・X2n+1で示されるハロゲン化アル
キル基であり、Xはハロゲン原子、nは1〜5の整数で
ある。
【0040】このポリメタクリレートの重量平均分子量
は10,000〜200,000程度が好ましい。ま
た、ポリメタクリレートはホモポリマーであっても、コ
ポリマーであってもよく、(メタ)アクリレート単位が
10〜100wt% 存在することが好ましい。コモノマー
としては、炭素数1〜5程度のアルキル基を有するアル
キル(メタ)アクリレート、パーフルオロアルキル(メ
タ)アクリレート、スチレン等が使用できる。このよう
なポリメタクリレートは1種または2種以上で使用する
ことができる。
【0041】有機高分子物質として、前記有機金属化合
物との反応に不活性なさらに他の非反応性高分子物質を
併用してもよい。
【0042】A、B、Cは有機溶媒に溶解され、反応液
とされる。好ましくはA、B、Cが溶解可能な共通有機
溶媒を使用される。有機溶媒としては例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール等のアルコール類;ヘキサン、オクタン等の脂
肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;塩化
メチル、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチ
レン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル
等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエ
タン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;非プロトン
性極性溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、アセトニ
トリル等のニトリル類、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等
のスルホキシド類等);あるいはこれらの混合溶媒等が
あげられる。
【0043】有機・無機高分子複合体の組成物における
各成分の使用割合は、Bのアミド結合を有する高分子物
質を必須とするポリオキサゾリンやポリジメチルアクリ
ルアミド100重量部に対して、Aにおける有機金属高
分子化合物が10〜5000重量部、特に10〜200
0重量部、さらには50〜1500重量部、より好まし
くは、100〜1000重量部であることが好ましい。
この範囲外では、複合化の意義が少なくなってくる。
【0044】すなわち、Aの化合物が少なすぎると、金
属高分子物質が含有されている効果が認められなくなっ
てくる。有機・無機高分子複合体の物理的特性特性の中
で、例えばガラス転移温度は、その複合体の性質として
発現し、構成されている高分子自体が有していた熱的特
性を大きく改善できる。しかしながら、これが少ない
と、Bの有機高分子物質自体のガラス転移温度とほぼ同
一となり、変化が生じているとは判断できなくなってき
て、複合体化する意義がなくなってくる。
【0045】一方、Aにおける有機金属高分子化合物が
多すぎると、Bの有機高分子物質とAの金属高分子物質
との相溶性が悪くなり、相分離することによる透明性の
劣化が生じ、均質なフィルムが得られなくなってくる。
【0046】なお、Bの使用量が増加するにつれて有機
・無機高分子複合体の透明性が向上する傾向を示す。有
機・無機高分子複合体の透明化に必要なBの量は、Aに
おける有機金属化合物の種類と量や、有機金属化合物と
の相溶性等の要因により変化するので前記範囲内におい
て適当に選択できる。
【0047】Cの高分子物質を用いる場合は、例えば、
Bの高分子物質100重量部に対して、Aにおける有機
金属化合物は10〜5000重量部、特に25〜500
0重量部、より好ましくは、50〜2500重量部、さ
らには100〜1000重量部、Cの高分子物質は0〜
3000重量部、特に1〜3000重量部、さらには1
0〜3000重量部、より好ましくは、50〜2000
重量部であることが好ましい。
【0048】Cの使用により、AとBとの複合効果をよ
り改善することができる。具体的にはFT−IRスペク
トル(フーリエ変換赤外線吸収スペクトル)では、通
常、Cに固有の吸収ピークが観測できず、有機・無機高
分子複合体としての物理的特性にも影響は及ぼさない。
一方、Cが多すぎると有機高分子物質B、Cと有機金属
高分子Aの相溶性が悪くなり、有機高分子の析出や相分
離、透明性の劣化等が生じ均質なフィルムが得られにく
くなる。
【0049】有機金属化合物は、BあるいはBおよびC
の有機高分子物質の存在下、反応液中で公知の方法に従
い、加水分解重合される。この重合は、酸触媒の存在下
で行ってもよい。酸触媒としては無機酸(例えば、塩
酸、硫酸、硝酸、リン酸等);有機酸(例えば、ギ酸、
酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン
酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸)が使用
できる。なお、重合反応は不活性ガスの存在下で行って
もよく、減圧下で行ってもよい。また、加水分解重合に
伴って生成するアルコールを除去しながら重合してもよ
い。これにより有機成分と無機成分が複合化する。
【0050】有機・無機高分子複合体のフィルムの作製
においては、前記反応溶液が一定の組成系、反応条件下
で、所望の粘度に到達したら、ガラス・石英・シリコン
などの平面基板上に、前記反応溶液を滴下し、スピンコ
ートする。ここでスピンコート条件は予め、溶液粘度、
回転数や回転時間と、膜厚との関係を把握しておくこと
により、所望の膜厚の有機・無機高分子複合体を得る。
スピンコート後、窒素雰囲気下で70℃から150℃ま
で段階的に加熱し、溶媒を除去して硬化させる。これに
よって均質性、かつ所望の膜厚のあるフィルムが作製で
きる。
【0051】有機・無機高分子複合体のフィルムの屈折
率の制御には、AおよびB、あるいはA、BおよびCの
置換基効果のすべてが利用できるので非常に屈折率制御
の選択の幅が広くなる。従って、それぞれの有機・無機
高分子複合体において、A〜Cの2または3の成分のう
ち、安定な屈折率が得られる組み合わせを用い、導波路
構造中のコア部分用とクラッド部分用に適用すればよ
い。
【0052】本発明の光導波路の構造は一般に製造され
ている光導波路構造と同一でよい。例えば、ファイバ
型、スラブ型、リッジ型、埋め込み型等があり、光導波
路のコアとクラッドの寸法および、屈折率nの関係は、
光の波長や使用するモードで適したものにすればよい。
コア部分とクラッド部分の比屈折率(n)差を0.3〜
1.0%にすればよい。
【0053】埋め込み型光導波路の製造方法について図
1を参照しながら説明する。図1は、本発明による埋め
込み型光導波路の作製方法の一例を示すものである。1
は平面基板、2は下部クラッド層、3はコア層、4はア
ルミニウム蒸着膜、5はレジスト層を示す。
【0054】まず、有機・無機高分子複合体の前駆体反
応溶液をガラス・石英・シリコン等の基板1の上に滴下
後、スピンコートして有機・無機高分子複合体の前駆体
を薄膜化する。塗布後、窒素雰囲気下で70℃から15
0℃まで段階的に加熱し、溶媒を除去して所望の膜厚に
硬化させる。これによって下部クラッド層2を得る。下
部クラッド層2の屈折率は1.4〜1.6程度とする。
【0055】この下部クラッド層2の上層に、コア層3
を形成する。形成する方法は下部クラッド層2を形成し
た方法と同一であるが、コア層3で使用する有機・無機
高分子複合体の屈折率が下部クラッド層2で使用したも
のとは異なり、コア層3の屈折率は、下部クラッド層2
のそれより通常0.3〜1.0%程度大きくなってい
る。
【0056】次に、コア層3の上層に蒸着法によりアル
ミニウム薄膜4を形成し、さらにフォトレジストを塗
布、プリベーク、露光、現像、ポストベークを行い、所
定のパターンが描かれたレジスト層5を得る。アルミニ
ウム剥離専用のエッチャントでレジスト層5に被覆され
ていない部分のアルミニウムを除去し、レジスト層5お
よび、アルミニウム蒸着膜4で保護されていないコア層
3の有機・無機高分子複合体をドライエッチング方法で
除去する。次に、コア層3の上部につけたアルミニウム
蒸着膜をアルミニウム剥離専用のエッチャントで剥離・
除去する。最後に、この下部クラッド層2およびコア層
3の上層に、上部クラッド層6を形成する。形成する方
法は下部クラッド層2を形成した方法と同一である。上
部クラッド層6で使用する有機・無機高分子複合体の屈
折率は下部クラッド層2で使用したものと同一のもので
ある。このようにしてクラッド層およびコア層が有機・
無機高分子複合体で形成された埋め込み型光導波路が得
られる。図2は本発明による埋め込み型光導波路の断面
図の一例である。図2中に示した符号は、図1のものと
同一である。
【0057】また、図3は本発明によるリッジ型光導波
路の断面図の一例である。図3に示されるように、図1
の有機・無機高分子複合体の下部クラッド層2を形成す
る代わりに、コア層3の屈折率より小さい、シリコン酸
化膜をスパッタリングまたは蒸着法で形成しておく。以
下、前述の図1と同一の工程を経るが、途中、上部クラ
ッド層6を有機・無機高分子複合体で形成する代わり
に、空気にすることで、下部クラッド層2がシリコン酸
化膜、コア層3が本発明の構成要素である有機・無機高
分子複合体、上部クラッド層6が空気であるリッジ型の
光導波路が得られる。
【0058】
【作用】本発明に用いる当該有機・無機高分子複合体
は、A、BあるいはA、B、Cの各高分子単位構造中に
含むことが可能なアルキル基、アリール基、ハロゲン基
等の置換基の効果によって、広範囲の屈折率を精密にか
つ容易に制御することができる。従って、本発明におけ
る有機・無機高分子複合体光導波路構造中のコア部分お
よびクラッド部分の屈折率制御を容易に行うことができ
る。この際、最終組成比はほぼ仕込量程度であり、屈折
率制御はより容易となる。
【0059】また、本発明に用いる有機・無機高分子複
合体は、熱的特性、例えばガラス転移温度が、その複合
体の性質として発現し、構成されている高分子自体が有
していた熱的特性を大きく改善できる。従って、本発明
における有機・無機高分子複合体光導波路は、有機高分
子だけで作製した導波路に比較して、耐熱性を向上する
ことができる。
【0060】さらに、本発明に用いるそれぞれの高分子
構造中の一部または全部の水素原子を、重水素原子やハ
ロゲン原子等で置換すれば、本発明における有機・無機
高分子複合体光導波路において、可視光領域から近赤外
波長領域に至るまで、極めて低損失な特性を得ることが
可能となる。この場合、全構成成分を置換する必要は必
ずしもないので、製造法も簡易となる。
【0061】
【実施例】以下実施例により、本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0062】実施例1 (1)下部クラッド層成膜方法 市販の2−メチル−2−オキサゾリン14〜15ml、
p−トルエンスルホン酸メチルエステル6ml程度およ
び、アセトニトリル40〜50mlの混合液を還流温度
で20時間反応させた。その結果、重合度20±5のポ
リオキサゾリンを得た。
【0063】得られたポリオキサゾリンをエタノールに
溶解した。得られた溶液に窒素ガス雰囲気中で蒸留によ
り精製したメチルトリエトキシシランを酸触媒都ともに
添加し、均一なゾル−ゲル反応溶液とした。このとき、
ポリオキサゾリン100重量部に対する各成分の使用割
合は、メチルトリエトキシシランは200重量部とし
た。その後、恒温槽中、50℃で72時間反応させてゾ
ルを生成させた。さらに得られた溶液を70℃で100
時間反応させ、ゲル化を促進させた有機・無機高分子複
合体のエタノール溶液を得た。
【0064】次に、3インチのシリコン基板上に、得ら
れた有機・無機高分子複合体のエタノール溶液を滴下
し、加熱乾燥後の膜厚が20μm になるようにスピンコ
ートした。その後、100℃で50時間、150℃で5
0時間、加熱乾燥して、溶媒であるエタノールを除去し
た。
【0065】加熱乾燥後の膜の状態はクラックの発生が
なく、無色透明で、均質な有機・無機高分子複合体Iが
得られた。なお、このフィルムはエタノールに対して不
溶化していた。また、この有機・無機高分子複合体のガ
ラス転移温度をTMAおよびDSC熱分析装置(セイコ
ー電子工業製、TMA−300型および、DSC−22
0C型)で測定したところ、100℃以上であった。さ
らに、この有機・無機高分子複合体の有機高分子Bの含
量(重量%)を測定した結果、約40±20%であっ
た。
【0066】(2)コア層成膜方法 複合体Iにおけるメチルトリエトキシシランの代わり
に、メチルトリエトキシシランと、これに加えてフェニ
ルトリエトキシシランを総量で200重量部用いる以
外、前記複合体Iと同一条件にて反応させたところ、加
熱乾燥後の膜の状態はクラックの発生がなく、無色透明
で、均質な有機・無機高分子複合体IIが得られた。ま
た、この有機・無機高分子複合体のガラス転移温度を測
定したところ、100℃以上であった。
【0067】(3)光導波路作製方法 このようにして得られた複合体Iのフィルムで構成され
た下部クラッド層上に、複合体IIにおけるエタノール溶
液を滴下し、加熱乾燥後の膜厚が8μm になるようにス
ピンコートした。その後、100℃で50時間、150
℃で50時間加熱乾燥して、溶媒であるエタノールを除
去し、硬化させることでコア層を形成した。次に、EB
蒸着機でアルミニウム薄膜を、2000オングストロー
ムの膜厚で蒸着した後、レジスト処理を行った。まず一
般のポジ型レジストをスピンコートで塗布した後、11
0℃で2分間、プリベークを行った。次に、線幅が8μ
mで、全長50mmのフォトマスクを通じて紫外線露光
を行い、専用のレジスト現像液で未露光部分を除去し
た。次に135℃で30分間、ポストベークを行った
後、レジストコートされていない部分のアルミニウムを
専用のエッチャントで除去した。洗浄乾燥後、酸素ガス
を用いたRIEドライエッチング処理を行い、コア層部
分をリッジ型に長さ50mm、幅8μm 、高さ8μm の
直線矩形パターンにエッチングした。
【0068】エッチング後、コア層上部のアルミニウム
マスクを専用のエッチャントで溶解した。最後に複合体
Iにおけるエタノール溶液を滴下し、加熱乾燥後の膜厚
が20μm になるようにスピンコートした。その後、1
00℃で50時間、150℃で50時間加熱乾燥して、
溶媒であるエタノールを除去し、硬化させることで上部
クラッド層を形成した。このようにして埋め込み型有機
・無機高分子複合体光導波路が得られた。
【0069】この有機・無機高分子複合体光導波路に波
長1300(nm)の光を用いて、カットバック法で光
伝搬損失を測定した。測定の結果、この導波路の伝搬損
失は0.5(dB/cm)以下であった。また波長65
0(nm)の光を用いた測定の結果、この導波路の伝搬
損失は0.3(dB/cm)以下であった。なお、上、
下部クラッド層とコア層の屈折率をプリズムカプラー
(米国メトリコン社製型式2010)で測定した。この
結果、コアとクラッド間の比屈折率差は1%以下であっ
た。
【0070】実施例2 (1)下部クラッド層成膜方法 市販のジメチルアクリルアミド30.0ml、アゾイソブ
チロニトリルの添加量をジメチルアクリルアミドのモル
数の1%程度とし、テトラヒドロフラン150.0mlの
混合液を還流温度で10〜20時間程度反応させた。そ
の結果、重合度20のポリジメチルアクリルアミドを得
た。実施例1のポリオキサゾリンに換えて、前記ポリジ
メチルアクリルアミド(重量平均分子量1,000)を
用いる以外、前記複合体Iと同一にして反応させたとこ
ろ加熱乾燥後の膜の状態はクラックの発生がなく、無色
透明で、均質な有機・無機高分子複合体III が得られ
た。
【0071】この有機・無機高分子複合体のガラス転移
温度を測定したところ、100℃以上であった。さら
に、この有機・無機高分子複合体の有機高分子含量(重
量%)を測定した結果、約40±20%であった。
【0072】(2)コア層成膜方法 複合体III におけるメチルトリエトキシシランの代わり
に、メチルトリエトキシシランと、これに加えてフェニ
ルトリエトキシシランを総量で200重量部用いる以
外、前記複合体III と同一条件にて反応させたところ、
加熱乾燥後の膜の状態はクラックの発生がなく、無色透
明で、均質な有機・無機高分子複合体IVが得られた。ま
た、この有機・無機高分子複合体のガラス転移温度を測
定したところ、100℃以上であった。
【0073】(3)光導波路作製方法 このようにして得られた複合体III のフィルムで構成さ
れた下部クラッド層上に、複合体IVにおけるエタノール
溶液を滴下し、加熱乾燥後の膜厚が8μm になるように
スピンコートした。その後、100℃で50時間、15
0℃で50時間加熱乾燥して、溶媒であるエタノールを
除去し、硬化させることでコア層を形成した。次に、E
B蒸着機でアルミニウム薄膜を、2000オングストロ
ームの膜厚で蒸着した後、レジスト処理を行った。まず
一般のポジ型レジストをスピンコートで塗布した後、1
10℃で2分間、プリベークを行った。次に、線幅が8
μm で、全長50mmのフォトマスクを通じて紫外線露
光を行い、専用のレジスト現像液で未露光部分を除去し
た。次に135℃で30分間、ポストベークを行った
後、レジストコートされていない部分のアルミニウムを
専用のエッチャントで除去した。洗浄乾燥後、酸素ガス
を用いたRIEドライエッチング処理を行い、コア層部
分をリッジ型に長さ50mm、幅8μm 、高さ8μm の
直線矩形パターンにエッチングした。
【0074】エッチング後、コア層上部のアルミニウム
マスクを専用のエッチャントで溶解した。最後に複合体
Iにおけるエタノール溶液を滴下し、加熱乾燥後の膜厚
が20μm になるようにスピンコートした。その後、1
00℃で50時間、150℃で50時間加熱乾燥して、
溶媒であるエタノールを除去し、硬化させることで上部
クラッド層を形成した。このようにして埋め込み型有機
・無機高分子複合体光導波路が得られた。
【0075】この有機・無機高分子複合体光導波路に波
長1300(nm)の光を用いて、カットバック法で光
伝搬損失を測定した。測定の結果、この導波路の伝搬損
失は0.5(dB/cm)以下であった。また波長65
0(nm)の光を用いた測定の結果、この導波路の伝搬
損失は0.3(dB/cm)以下であった。なお、上、
下部クラッド層とコア層の屈折率をプリズムカプラー
(米国メトリコン社製型式2010)で測定した。この
結果、コアとクラッド間の比屈折率差は1%以下であっ
た。
【0076】なお、実施例1、2の各光導波路を85℃
一定の条件下で100時間静置してから取り出し、光損
失変化を測定した。吸熱による樹脂の劣化・変質に基づ
く損失増は全くなく、耐熱性の高いことが確認された。
【0077】実施例3 (1)下部クラッド層成膜方法 複合体IIにおけるメチルトリエトキシシランと、これに
加えてフェニルトリエトキシシランを総量で200重量
部用いる代わりに、メチルトリエトキシシランとフェニ
ルトリエトキシシランを総量で1000重量部用いる以
外、前記と同一条件にて反応させたところ、加熱乾燥後
の膜の状態はクラックの発生がなく、無色透明で、均質
な有機・無機高分子複合体Vが得られた。
【0078】(2)コア層成膜方法 複合体IVにおけるメチルトリエトキシシランと、これに
加えてフェニルトリエトキシシランを総量で200重量
部用いる代わりに、メチルトリエトキシシランとフェニ
ルトリエトキシシランを総量で1000重量部用いる以
外、前記複合体Iと同一条件にて反応させたところ、加
熱乾燥後の膜の状態はクラックの発生がなく、無色透明
で、均質な有機・無機高分子複合体VIが得られた。
【0079】(3)光導波路作製方法 このようにして得られた複合体Vのフィルムで構成され
た下部クラッド層上に、複合体VIにおけるエタノール溶
液を滴下し、加熱乾燥後の膜厚が8μm になるようにス
ピンコートした。その後、100℃で50時間、150
℃で50時間加熱乾燥して、溶媒であるエタノールを除
去し、硬化させることでコア層を形成した。次に、EB
蒸着機でアルミニウム薄膜を、2000オングストロー
ムの膜厚で蒸着した後、レジスト処理を行った。まず一
般のポジ型レジストをスピンコートで塗布した後、11
0℃で2分間、プリベークを行った。次に、線幅が8μ
mで、全長50mmのフォトマスクを通じて紫外線露光
を行い、専用のレジスト現像液で未露光部分を除去し
た。次に135℃で30分間、ポストベークを行った
後、レジストコートされていない部分のアルミニウムを
専用のエッチャントで除去した。洗浄乾燥後、酸素ガス
を用いたRIEドライエッチング処理を行い、コア層部
分をリッジ型に長さ50mm、幅8μm 、高さ8μm の
直線矩形パターンにエッチングした。
【0080】エッチング後、コア層上部のアルミニウム
マスクを専用のエッチャントで溶解した。最後に複合体
Iにおけるエタノール溶液を滴下し、加熱乾燥後の膜厚
が20μm になるようにスピンコートした。その後、1
00℃で50時間、150℃で50時間加熱乾燥して、
溶媒であるエタノールを除去し、硬化させることで上部
クラッド層を形成した。このようにして埋め込み型有機
・無機高分子複合体光導波路が得られた。
【0081】この有機・無機高分子複合体光導波路に波
長1300(nm)の光を用いて、カットバック法で光
伝搬損失を測定した。測定の結果、この導波路の伝搬損
失は0.5(dB/cm)以下であった。また波長65
0(nm)の光を用いた測定の結果、この導波路の伝搬
損失は0.3(dB/cm)以下であった。なお、上、
下部クラッド層とコア層の屈折率をプリズムカプラー
(米国メトリコン社製型式2010)で測定した。この
結果、コアとクラッド間の比屈折率差は1%以下であっ
た。
【0082】実施例4 (1)下部クラッド層成膜方法 市販の2−メチル−2−オキサゾリン14〜15ml、
p−トルエンスルホン酸メチルエステル6ml程度およ
びアセトニトリル40〜50mlの混合液を還流温度で
20時間反応させた。その結果、重合度20±5のポリ
オキサゾリンを得た。この得られたポリオキサゾリンと
市販のポリメタクリル酸メチル(重量平均分子量12,
000)を塩酸を含むジメチルホルムアミド溶液に溶解
した。なお、ジメチルホルムアミドは10mlに対して
1N塩酸1滴を含む。得られた溶液に窒素ガス雰囲気中
で蒸留により精製したメチルトリエトキシシラン(アル
ドリッチ社製)を添加し、均一なゾル−ゲル反応溶液と
した。このとき、ポリオキサゾリン100重量部に対す
る各成分の使用割合は、ポリメタクリル酸メチルが50
0重量部、メチルトリエトキシシランは1000重量部
とした。その後、恒温槽中、50℃で72時間反応させ
てゾルを生成させた。さらに得られた溶液を70℃で1
00時間反応させ、ゲル化を促進させた有機・無機高分
子複合体のジメチルホルムアミド溶液を得た。次に、3
インチのシリコン基板上に、得られた有機・無機高分子
複合体のジメチルホルムアミド溶液を滴下し、加熱乾燥
後の膜厚が20μm になるようにスピンコートした。そ
の後、100℃で50時間、150℃で50時間、加熱
乾燥して、溶媒であるジメチルホルムアミドを除去し
た。加熱乾燥後の膜の状態はクラックの発生がなく、淡
黄色透明で、均質な有機・無機高分子複合体Xが得られ
た。また、この有機・無機高分子複合体のガラス転移温
度をTMAまたはDSC熱分析装置(セイコー電子工業
製、TMA−300型および、DSC−220C型)で
測定したところ、100℃以上であった。
【0083】(2)コア層成膜方法 (1)の下部クラッド層成膜方法における有機・無機高
分子複合体Xの組成を、ポリオキサゾリン(100)重
量部に対する各成分の使用割合が、ポリメタクリル酸メ
チルが500重量部であり、メチルトリエトキシシラン
(1000重量部)の代わりに、メチルトリエトキシシ
ランと、フェニルトリエトキシシランを総量で1000
重量部とした以外、(1)下部クラッド層成膜方法と同
一に行った。その結果、クラックの発生がなく、無色透
明で、均質な有機・無機高分子複合体XIが得られた。ま
たガラス転移温度を測定したところ、100℃以上であ
った。
【0084】(3)光導波路作製方法 (1)の下部クラッド層成膜方法で得られた有機・無機
高分子複合体Xのフィルムで構成された下部クラッド層
上に、(2)のコア層成膜方法で得られた有機・無機高
分子複合体XIのジメチルホルムアミド溶液を滴下し、加
熱乾燥後の膜厚が8μm になるようにスピンコートし
た。その後、100℃で50時間、150℃で50時間
加熱乾燥して、溶媒であるジメチルホルムアミドを除去
し、硬化させることでコア層を形成した。次に、EB蒸
着機でアルミニウム薄膜を、2000オングストローム
の膜厚で蒸着した後、レジスト処理を行った。まず一般
のポジ型レジストをスピンコートで塗布した後、110
℃で2分間、プリベークを行った。次に、線幅が8μm
で、全長50mmのフォトマスクを通じて紫外線露光を
行い、専用のレジスト現像液で未露光部分を除去した。
次に135℃で30分間、ポストベークを行った後、レ
ジストコートされていない部分のアルミニウムを専用の
エッチャントで除去した。洗浄乾燥後、酸素ガスを用い
たRIEドライエッチング処理を行い、コア層部分をリ
ッジ型に長さ50mm、幅8μm 、高さ8μm の直線矩
形パターンにエッチングした。エッチング後、コア層上
部のアルミニウムマスクを専用のエッチャントで溶解し
た。最後に(1)の有機・無機高分子複合体のジメチル
ホルムアミド溶液を滴下し、加熱乾燥後の膜厚が20μ
mになるようにスピンコートした。その後、100℃で
50時間、150℃で50時間加熱乾燥して、溶媒であ
るジメチルホルムアミドを除去し、硬化させることで上
部クラッド層を形成した。このようにして埋め込み型有
機・無機高分子複合体光導波路が得られた。
【0085】この有機・無機高分子複合体光導波路に波
長1300(nm)の光を用いて、カットバック法で光
伝搬損失を測定した。測定の結果、この導波路の伝搬損
失は0.5(dB/cm)以下であった。また波長65
0(nm)の光を用いた測定の結果、この導波路の伝搬
損失は0.3(dB/cm)以下であった。なお、上、
下部クラッド層とコア層の屈折率をプリズムカプラー
(米国メトリコン社製型式2010)で測定した。この
結果、コアとクラッド間の比屈折率差は1%以下であっ
て、そのバラツキも小さかった。
【0086】実施例5 (1)下部クラッド層成膜 市販の2,2,2−トリフルオロエチルメタクリル酸メ
チルを出発原料としてポリ(2,2,2−トリフルオロ
エチル)メタクリル酸メチル(重量平均分子量30,0
00)を合成した。
【0087】次に、実施例4の(1)下部クラッド層成
膜方法におけるポリメタクリル酸メチルに変えて、前記
ポリ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプ
ロピル)メタクリル酸メチル(100重量部)を用いる
以外、前記実施例4の(1)の下部クラッド層成膜方法
と同一にして反応させたところ、加熱乾燥後の膜の状態
はクラックの発生がなく、無色透明で、均質な有機・無
機高分子複合体XII が得られた。
【0088】(2)コア層成膜 2,2,2−トリフルオロエチルメタクリル酸メチル
(アルドリッチ社製、37,376−1)を出発物質と
してポリ(2,2,2−トリフルオロエチル)メタクリ
ル酸メチル(重量平均分子量25,000)を合成し
た。
【0089】実施例4の(2)コア層成膜方法における
ポリメタクリル酸メチルに代えて、前記ポリ(2,2,
2−トリフルオロエチル)メタクリル酸メチルとポリメ
タクリル酸メチルを総量で(500重量部)と、メチル
トリエトキシシラン(1000重量部)を用いる以外、
前記実施例1の(2)コア層成膜方法と同一にして反応
させたところ、加熱乾燥後の膜の状態はクラックの発生
がなく、無色透明で、均質な有機・無機高分子複合体XI
IIが得られた。
【0090】(3)光導波路作製方法 (1)の下部クラッド層成膜方法で得られた有機・無機
高分子複合体XII のフィルムで構成された下部クラッド
層上に、(2)のコア層成膜方法で得られた有機・無機
高分子複合体XIIIのジメチルホルムアミド溶液を滴下
し、加熱乾燥後の膜厚が8μm になるようにスピンコー
トした。その後、100℃で50時間、150℃で50
時間加熱乾燥して、溶媒であるジメチルホルムアミドを
除去し、硬化させることでコア層を形成した。次に、E
B蒸着機でアルミニウム薄膜を、2000オングストロ
ームの膜厚で蒸着した後、レジスト処理を行った。まず
一般のポジ型レジストをスピンコートで塗布した後、1
10℃で2分間、プリベークを行った。次に、線幅が8
μm で、全長50mmのフォトマスクを通じて紫外線露
光を行い、専用のレジスト現像液で未露光部分を除去し
た。次に135℃で30分間、ポストベークを行った
後、レジストコートされていない部分のアルミニウムを
専用のエッチャントで除去した。洗浄乾燥後、酸素ガス
を用いたRIEドライエッチング処理を行い、コア層部
分をリッジ型に長さ50mm、幅8μm 、高さ8μm の
直線矩形パターンにエッチングした。エッチング後、コ
ア層上部のアルミニウムマスクを専用のエッチャントで
溶解した。最後に(1)の有機・無機高分子複合体のジ
メチルホルムアミド溶液を滴下し、加熱乾燥後の膜厚が
20μm になるようにスピンコートした。その後、10
0℃で50時間、150℃で50時間加熱乾燥して、溶
媒であるジメチルホルムアミドを除去し、硬化させるこ
とで上部クラッド層を形成した。このようにして埋め込
み型有機・無機高分子複合体光導波路が得られた。
【0091】この有機・無機高分子複合体光導波路に波
長1300(nm)の光を用いて、カットバック法で光
伝搬損失を測定した。測定の結果、この導波路の伝搬損
失は0.5(dB/cm)以下であった。また波長65
0(nm)の光を用いた測定の結果、この導波路の伝搬
損失は0.3(dB/cm)以下であった。なお、上、
下部クラッド層とコア層の屈折率をプリズムカプラー
(米国メトリコン社製型式2010)で測定した。この
結果、コアとクラッド間の比屈折率差は1%以下であっ
て、そのバラツキも小さかった。
【0092】実施例6 (1)下部クラッド層成膜 実施例4で使用したポリオキサゾリンに換えて、ポリジ
メチルアクリルアミド(重量平均分子量1,000)を
用いる以外、前記実施例4と同一にして反応させたとこ
ろ、加熱乾燥後の膜の状態はクラックの発生がなく、無
色透明で、均質な有機・無機高分子複合体XIV が得られ
た。また、この有機・無機高分子複合体のガラス転移温
度を測定したところ、100℃以上であった。
【0093】(2)コア層成膜 (1)の下部クラッド層成膜方法における有機・無機高
分子複合体XIV の組成を、ポリジメチルアクリルアミド
(100)重量部に対する各成分の使用割合が、ポリメ
タクリル酸メチルが500重量部であり、メチルトリエ
トキシシラン(1000重量部)の代わりに、メチルト
リエトキシシランと、フェニルトリエトキシシランを総
量で1000重量部とした以外、(1)下部クラッド層
成膜方法と同一に行った。その結果、クラックの発生が
なく、無色透明で、均質な有機・無機高分子複合体XVが
得られた。またガラス転移温度を測定したところ、10
0℃以上であった。
【0094】(3)光導波路作製方法 (1)の下部クラッド層成膜方法で得られた有機・無機
高分子複合体XIV のフィルムで構成された下部クラッド
層上に、(2)のコア層成膜方法で得られた有機・無機
高分子複合体XVのジメチルホルムアミド溶液を滴下し、
加熱乾燥後の膜厚が8μm になるようにスピンコートし
た。その後、100℃で50時間、150℃で50時間
加熱乾燥して、溶媒であるジメチルホルムアミドを除去
し、硬化させることでコア層を形成した。次に、EB蒸
着機でアルミニウム薄膜を、2000オングストローム
の膜厚で蒸着した後、レジスト処理を行った。まず一般
のポジ型レジストをスピンコートで塗布した後、110
℃で2分間、プリベークを行った。次に、線幅が8μm
で、全長50mmのフォトマスクを通じて紫外線露光を
行い、専用のレジスト現像液で未露光部分を除去した。
次に135℃で30分間、ポストベークを行った後、レ
ジストコートされていない部分のアルミニウムを専用の
エッチャントで除去した。洗浄乾燥後、酸素ガスを用い
たRIEドライエッチング処理を行い、コア層部分をリ
ッジ型に長さ50mm、幅8μm 、高さ8μm の直線矩
形パターンにエッチングした。エッチング後、コア層上
部のアルミニウムマスクを専用のエッチャントで溶解し
た。最後に(1)の有機・無機高分子複合体のジメチル
ホルムアミド溶液を滴下し、加熱乾燥後の膜厚が20μ
m になるようにスピンコートした。その後、100℃で
50時間、150℃で50時間加熱乾燥して、溶媒であ
るジメチルホルムアミドを除去し、硬化させることで上
部クラッド層を形成した。このようにして埋め込み型有
機・無機高分子複合体光導波路が得られた。
【0095】この有機・無機高分子複合体光導波路に波
長1300(nm)の光を用いて、カットバック法で光
伝搬損失を測定した。測定の結果、この導波路の伝搬損
失は0.5(dB/cm)以下であった。また波長65
0(nm)の光を用いた測定の結果、この導波路の伝搬
損失は0.3(dB/cm)以下であった。なお、上、
下部クラッド層とコア層の屈折率をプリズムカプラー
(米国メトリコン社製型式2010)で測定した。この
結果、コアとクラッド間の比屈折率差は1%以下であっ
て、そのバラツキも小さかった。
【0096】なお、実施例4〜6の各光導波路作製方法
に従って作製された光導波路を、85℃一定の条件下で
100時間静置してから取り出し、光損失変化を測定し
た。吸熱による樹脂の劣化・変質に基づく損失増は全く
なく、耐熱性の高いことが確認された。
【0097】また、さらに下記(a)〜(e)を評価し
た。 (a)組成重量範囲内での成膜性評価結果その1 実施例4の(1)下部クラッド層成膜方法における有機
・無機高分子複合体の組成を、ポリオキサゾリン(10
0重量部)に対する各成分の使用割合が、ポリメタクリ
ル酸メチルが10重量部、メチルトリエトキシシランは
5000重量部とした以外、実施例4の(1)下部クラ
ッド層成膜方法と同一に行った。その結果、クラックの
発生がなく、淡黄色透明で、均質な有機・無機高分子複
合体XXが得られた。またガラス転移温度を測定したとこ
ろ、100℃以上であった。
【0098】(b)組成重量範囲内での成膜性評価結果
その2 実施例4の(1)下部クラッド層成膜方法における有機
・無機高分子複合体の組成を、ポリオキサゾリン(10
0)重量部に対する各成分の使用割合が、ポリメタクリ
ル酸メチルが10重量部、メチルトリエトキシシランは
30重量部とした以外、実施例1の(1)下部クラッド
層成膜方法と同一に行った。その結果、クラックの発生
がなく、無色透明で、均質な有機・無機高分子複合体XX
I が得られた。このフィルムのガラス転移温度を測定し
たところ、100℃以上であった。
【0099】(c)組成重量範囲内での成膜性評価結果
その3 実施例4の(1)下部クラッド層成膜方法における有機
・無機高分子複合体の組成を、ポリオキサゾリン(10
0重量部)に対する各成分の使用割合が、ポリメタクリ
ル酸メチルが3000重量部、メチルトリエトキシシラ
ンは5000重量部とした以外、実施例1の(1)下部
クラッド層成膜方法と同一に行った。その結果、クラッ
クの発生がなく、無色透明で、均質な有機・無機高分子
複合体XXIIが得られた。このフィルムのガラス転移温度
を測定したところ、100℃以上であった。
【0100】(d)組成重量範囲内での屈折率評価結果
その1 実施例4の(1)下部クラッド層成膜方法における有機
・無機高分子複合体の組成を、ポリオキサゾリン(10
0重量部)に対する各成分の使用割合が、メチルトリエ
トキシシラン(1000重量部)の代わりに、フェニル
トリエトキシシラン(1000重量部)を用いる以外、
前記実施例4の(1)下部クラッド層成膜方法と同一に
行った。その結果、加熱乾燥後の膜の状態はクラックの
発生がなく、無色透明で、均質な有機・無機高分子複合
体XXIIが得られた。このフィルムの屈折率を測定したと
ころ、1.50±0.1であった。
【0101】(e)組成重量範囲内での屈折率評価結果
その2 実施例4の(1)下部クラッド層成膜方法における有機
・無機高分子複合体の組成を、ポリオキサゾリン(10
0重量部)の代わりにポリジメチルアクリルアミド(1
00重量部)を用いた。これに対する各成分の使用割合
が、メチルトリエトキシシラン(1000重量部)の代
わりに、フェニルトリエトキシシラン(3000重量
部)を用いる以外、前記実施例4の(1)下部クラッド
層成膜方法と同一に行った。その結果、加熱乾燥後の膜
の状態はクラックの発生がなく、無色透明で、均質な有
機・無機高分子複合体XXIVが得られた。このフィルムの
屈折率を測定したところ、1.50±0.1であった。
【0102】比較例1 ポリオキサゾリンを用いないで、ポリメタクリル酸メチ
ル100重量部に対して、メチルトリエトキシシラン1
000重量部(比較例1)、2000重量部(比較例
2)および4000重量部(比較例3)を用いる以外、
実施例2の方法と同一にして反応させたところ、ポリメ
タクリル酸メチルが析出して相分離し、不均一な生成物
のみ得られ、有機・無機高分子複合体は得ることができ
なかった。
【0103】
【発明の効果】本発明における有機・無機高分子複合体
を用いた光導波路は、従来のものに比較して、A.有機
金属高分子と、B.アミド結合を有する高分子と、必要
に応じ、C.極性基を有する高分子のいずれか、また
は、全部の各高分子単位構造中に含むことが可能なアル
キル基、アリール基、ハロゲン基等の置換基の効果によ
って、広範囲の屈折率を精密にかつ、容易に制御するこ
とができるので、屈折率制御性が良好である。この際、
最終組成はほぼ仕込比どおりとなるので屈折率制御はよ
り一層少なくなり、そのバラツキも少ない。
【0104】また、本発明に用いる有機・無機高分子複
合体は、物理的特性の一つである熱的特性、例えばガラ
ス転移温度は、その複合体の性質として発現するので、
構成されている高分子自体が有する熱的特性が大きく改
善されており、従って、高温条件下にさらされても損失
増が著しく小さい。単純に有機高分子のみを適用した光
導波路に比較して、耐熱性を向上する。また、可視光領
域から近赤外領域において優れた光伝搬特性を有するこ
とから、低損失な光導波路を提供することができる。
【0105】以上説明したように、可視光領域から近赤
外波長領域における光集積回路用材料として有機・無機
高分子複合体は適しており、この有機・無機高分子複合
体光導波路を用いて作製した光部品により、光特性、信
頼性に優れた光伝送システムを構成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の埋め込み型有機・無機高分子複合体光
導波路の作製方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明における埋め込み型光導波路の1例を示
す断面図である。
【図3】本発明におけるリッジ型光導波路の1例を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 平面基板 2 下部クラッド層 3 コア層 4 アルミニウム薄膜 5 レジスト層 6 上部クラッド層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子物質のコア部分と、 このコア部分を囲み、コア部分より低い屈折率を有する
    高分子物質のクラッド部分とを有し、 前記コア部分およびクラッド部分の高分子物質がとも
    に、 置換基を有することがある炭化水素基と、少なくとも2
    つの加水分解性有機基とを有する有機金属化合物から誘
    導された金属高分子物質と、 オキサゾリン系ポリマーおよびジメチルアクリルアミド
    系ポリマーから選ばれたアミド結合を有する高分子物質
    とを含有する有機・無機高分子複合体を含む有機・無機
    高分子複合体光導波路。
  2. 【請求項2】 前記金属高分子物質が下記式Iで表わさ
    れる化合物の加水分解重合による高分子である物質請求
    項1の有機・無機高分子複合体光導波路。 式I (R1m Si(OR24-m (式中、R1 はアルキル基またはアリール基を表わす。
    2 は低級アルキル基を表わし、R1 およびR2 は、そ
    れぞれそれが複数存在する場合、互いに異なっていても
    よい。mは1または2の整数を示す。)
  3. 【請求項3】 前記アミド結合を有する高分子物質10
    0重量部に対して、前記金属高分子物質となる有機金属
    化合物を10〜5000重量部用いる請求項1または2
    の有機・無機高分子複合体光導波路。
  4. 【請求項4】 前記コア部分およびクラッド部分がとも
    に、 前記有機金属化合物から誘導された金属高分子物質と、 前記アミド結合を有する高分子物質と、さらに極性基を
    有する高分子物質とを含有する有機・無機高分子複合体
    を含む請求項1〜3のいずれかの有機・無機高分子複合
    体光導波路。
  5. 【請求項5】 前記極性基を有する高分子物質が、下記
    式IIで表わされるくり返し単位を有するメタクリレート
    系ポリマーである請求項1〜4のいずれかの有機・無機
    高分子複合体光導波路。 【化1】 (式中、R3 、R5 は、それぞれ水素原子、重水素原子
    またはハロゲン原子である。R4 は水素原子、重水素原
    子、重水素化メチル基またはハロゲン原子である。R6
    はアルキル基、重水素化アルキル基またはパーハロゲン
    化アルキル基を表わす。)
  6. 【請求項6】 前記アミド結合を有する高分子物質10
    0重量部に対して、前記極性基を有する高分子物質を3
    000重量部以下、前記金属高分子物質となる有機金属
    化合物を10〜5000重量部用いる請求項4または5
    の有機・無機高分子複合体光導波路。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004184999A (ja) * 2002-12-02 2004-07-02 Rohm & Haas Electronic Materials Llc フォトイメージャブル導波路組成物及びそれから形成される導波路
US7166661B2 (en) 2002-01-18 2007-01-23 Sanyo Electric Co., Ltd. Organic-inorganic composite material and laminate, optical waveguide and light transmission structure comprising the same
US7561774B2 (en) 2003-03-12 2009-07-14 Sanyo Electric Co., Ltd. Optical waveguide
WO2016035823A1 (ja) * 2014-09-02 2016-03-10 国立大学法人九州大学 低抵抗クラッド材料及び電気光学ポリマー光導波路

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