JP3827376B2 - 有機・無機高分子複合体およびその製造方法 - Google Patents
有機・無機高分子複合体およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光集積回路・光通信等に用いられる光導波路や、プラスチック光ファイバ等の光部品として使用可能な有機・無機高分子複合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光信号の伝送媒体である光導波路として最も一般的に知られている光学部品に、光ファイバを挙げることができる。光ファイバには低光損失、広帯域特性が求められ、この点から石英、多成分ガラス、無機単結晶等の無機系材料が広く使用されている。近年、B−ISDNなどの大容量情報処理が必要な情報通信分野において、電気配線が有する伝送帯域の限界に対処するものとして光配線方法が提案されており、その一つに平面基板上に形成される高分子光導波路が考えられている。
【0003】
高分子光導波路の基本材料となる有機系高分子は、無機系材料に比べて多くの機能性化合物、官能基の導入が可能であることや、材料コストが低く、加工性がよい等の特徴を持つので、光学用材料として現在までに数多くの開発がなされている。例えば黒川隆志らのアプライド オプティクス(Appl.Opt. )第17巻、4号、646頁〜647頁、1978年や、特公昭61−13201号公報には、選択的光重合法により、ポリカーボネート中に含ませたドーパント(アクリル系モノマーの一つであるアクリル酸メチル)を光照射により選択的に重合、あるいはポリマーと反応させることで、屈折率を変化させ、パターン状の光導波路を作製する手法が開示されている。しかし、これらの選択的光重合法では、紫外線の照射条件を厳密に定める必要性があり、また、溶媒の揮発条件によりモノマー含量が変化して屈折率が微妙に変化するといった欠点がある。
【0004】
また、ポリメチルメタクリレートの分子中の水素について重水素化やフッ素化処理を行い、光導波路を試作して光伝搬損失を測定したところ、0.1dB/cm 以下という低損失化が達成できた旨の報告が吉村了行らのエレクトロニクス レターズ(Electron.Lett.)、第28巻、2135頁〜2136頁、1992年に掲載されており、また、この内容が特公平6−43464号公報に開示されている。しかし、ポリメチルメタクリレート系のガラス転移温度は一般に100℃前後である。このため、実際の光部品としての信頼性を考慮したとき、耐熱温度の上限は70℃程度であると考えられている。したがって、実用的には不安が残る。また、ポリメチルメタクリレートは吸湿性が比較的高く、飽和吸湿率が2%程度にも達する。したがって、高湿度環境下では水のOH基の伸縮振動吸収が光損失に影響を与えることが報告されている(例えば、戒能俊邦、ポリマー プリプリンツ ジャパン(Polymer Preprints Japan)、第32巻、第4号、1983年、第2525頁に掲載)。すなわち、ポリメチルメタクリレートを用いた場合には、使用環境条件の湿度変化により光伝搬損失が変動するといった問題が指摘されている。
【0005】
有機系高分子の耐熱性の向上に加え、さらなる低損失化、耐湿性の改善をも目的に、水素原子を重水素原子に置換したポリシロキサンを用いた光導波路が特開平3−188402号公報に、また、分子中の水素原子の一部または全部をフッ素化したポリイミドを用いた高分子光導波路が特開平4−328504号公報にそれぞれ開示されている。これらの高分子を用いた場合、200℃以上の耐熱性や近赤外波長領域での低損失化を達成できる光導波路を提供できる。しかし、高分子光導波路に適用する材料の低コスト化を図る上では、重水素化処理等を施した高分子のみを用いるのが妥当であるとするのは疑問である。
【0006】
このように光導波路に関する従来の技術では、前記のような有機高分子化合物のみ、あるいはガラス導波路に代表されるように無機高分子材料のみを用いたものが主である。
【0007】
ところで、有機材料と無機材料とを組み合わせたいわゆる複合材料が、数多く知られている。例えば、有機高分子に無機物を添加するフィラーの考え方や、金属表面を有機高分子で修飾するコーティング手法は、工業的に幅広く利用されている。これらの複合材料には、それぞれの素材の特性を維持しつつ、さらに新しい機能を付加させようとするところに特徴がある。これに対し、異なった材料を分子レベルで組み合わせて複合化させると、前述の基本的な素材とは全く異なった新しい材料が期待できる。すなわち、複合材料では、材料としての特性、例えば機械的特性、熱的特性などが一般にその集合体の性質として発現することから、注目を集めている。
【0008】
このような複合材料を光部品に適用した報告がある。例えば、インテグレーテッド オプティクス アンド オプティカル コミュニケーション 国際会議(Integrated Optics and Optical Communication )1995講演予稿集、TuD1−5、71頁には、シロキサンのネットワーク骨格中にメタクリレート基を置換基として導入した化合物(登録商標名ORMOCER)で光導波路を試作した報告が記載されている。
【0009】
また、金属酸化物ゲルの3次元微細骨格中に、特定の有機高分子を均一に分散させた複合体が知られている。例えば、特開平3−212451号公報には、アミド結合を有する非反応性ポリマーの存在下、加水分解重合性を有する有機金属化合物をゲル化させることにより、生成した金属酸化物ゲルの微細骨格をマトリックスとしてその中にアミド結合を有する高分子が均一に分散された構造の有機・無機複合体が得られることが記載されており、また、この複合体が透明であって膜状等に成形できる旨が記載されている。また、特開平5−85860号公報には、加水分解性無機化合物を加水分解重合して得られた無機酸化物のマトリックス中に、ウレタン結合を有する非反応性ポリマーが均一に分散した有機・無機複合透明均質体が開示されている。一般に、単純に有機物と無機物を混合させても、有機成分と無機成分との相溶性が劣るためにこれらの複合体は不均質となり、有機高分子と無機物質が相分離してしまうことになる。このため、有機高分子と無機物質との特性が有効に発現しない場合が多い。そのため、上記各公報に記載された複合体では、マトリックス中に分散される高分子がアミド結合やウレタン結合などを有するもの、特に、水溶性ポリマーに限定されている。これらの水溶性ポリマーは水分に対する親和性が強いため、吸湿性がポリメチルメタクリレートよりも高いと判断される。このため、上記各公報に記載された複合体は、用途が限定されてしまう。
【0010】
特開平6−322278号公報には、上記特開平3−212451号公報や特開平5−85860号公報に開示された内容をさらに発展させ、汎用の有機ポリマーを無機高分子と複合化可能とし、透明性、均質性に優れた無機・有機複合ポリマー組成物を得ることが開示されている。しかし、この複合ポリマー組成物を製造する際には、汎用の有機ポリマーに加え、アミド結合を有するポリマー(オキサゾリンのポリマーまたはポリビニルピロリドン)を添加する必要がある。具体的には、有機金属化合物の加水分解重合反応溶液中にアミド結合を有するポリマーおよび汎用の有機ポリマーを共存させ、前記有機金属化合物を加水分解重合する。このようにして得られる複合ポリマー組成物も、水溶性ポリマーが含有されることになるため、上記特開平3−212451号公報や特開平5−85860号公報に記載された複合体と同様に、吸湿性の点で問題がある。
【0011】
一方、ポリメチルメタクリレートと同様に光学材料への適用が検討されてきた高分子材料として、ポリスチレンがある。ポリスチレンは非水溶性ポリマーであり、透明性に優れ、吸湿性が低いことが知られている。しかし、ポリスチレンのガラス転移温度は80℃程度であり、ポリメチルメタクリレート同様に耐熱性が劣るといった問題がある。ポリスチレンと無機材料とを複合化することにより耐熱性の向上が期待されるが、従来、ポリスチレンとシリカゲルとの有機・無機高分子複合体を得ることはできなかった。これは、ポリスチレンが水素結合受容基を持たないため、シリカゲルとの相互作用が弱く、相分離を起こしてしまうからであった。
【0012】
なお、ポリスチレンではなくポリスチレン共重合体を用い、かつシランカップリング剤を介在させてシリカゲルとの有機・無機高分子複合体を合成した例が、ジャーナル オブ マテリアル リサーチ(J.Mater.Res.)、第8巻、第5号、1993年、第1143頁に報告されている。この報告では、SiO2 の三次元ネットワーク構造中にポリスチレン構造を共有結合的に導入することによって、有機・無機高分子複合体を合成している。そして、共有結合的に結合させるために、スチレン単独の重合体ではなく、スチレンと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートとを共重合させた中間体を合成し、これをシリカゲルと反応させている。この方法では中間体の合成プロセスを追加する必要が生じる。そして、メタクリレート構造も構造単位に加わることから、ポリスチレン−シリカゲル系に比較して、吸湿率の劣化が予想される。さらに、上記報告では、ポリスチレン系材料とシリカゲルとで構成される有機・無機高分子複合体が光学材料として適しているか、また、これらを適用した光導波路や他の光集積回路を作製することが可能であるのかといった検討はなされていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
高分子光導波路や他の光集積回路用材料に要求される項目は、低光損失(いわゆる、透明であること)であり、精密な屈折率制御が可能であり、環境特性の一つである耐熱性、耐湿性が優れていること等である。また、高分子光導波路を作製する場合は、材料が希望する所定の膜厚に成膜可能であることや、材料の合成が簡易であることや、材料コストが低いことも重要な項目である。したがって、本発明の目的は、高分子光導波路や他の光集積回路用材料としての前記要求項目を満たす有機・無機高分子複合体およびその製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(3)のいずれかの構成によって達成される。
(1)シロキサン結合を有する無機マトリックス中にポリスチレンが分散された構造を有する有機・無機高分子複合体であって、スチレンモノマーの重合と、次式、
(R1 )m Si(OR2 )4-m
(式中、R1 は、置換基を有してもよい低級アルキル基またはアリール基、R2 は低級アルキル基、mは0〜2の整数を表し、R1はmの値に従い複数存在するときは互いに異なっていてもよく、R2 も1種でも2種以上からなっていてもよい)で表される、加水分解性有機基を有する有機ケイ素化合物のゾル・ゲル法による加水分解重合と、を同時に進行させることにより得られたものであることを特徴とする有機・無機高分子複合体。
(2)光導波路に用いられる上記(1)の有機・無機高分子複合体。
(3)上記(1)または(2)の有機・無機高分子複合体を製造する方法であって、次式、
(R1 )m Si(OR2 )4-m
(式中、R1 は、置換基を有してもよい低級アルキル基またはアリール基、R2 は低級アルキル基、mは0〜2の整数を表し、R1はmの値に従い複数存在するときは互いに異なっていてもよく、R2 も1種でも2種以上からなっていてもよい)で表される、加水分解性有機基を有する有機ケイ素化合物の加水分解反応溶液中にスチレンモノマーを共存させて、前記スチレンモノマーを重合させる工程を有する有機・無機高分子複合体の製造方法。
【0015】
【作用および効果】
本発明の有機・無機高分子複合体では、含有される有機高分子の特徴、すなわちポリスチレンの吸湿性の低さが消失することなく反映されるため、耐湿性が良好である。このため、本発明の有機・無機高分子複合体を光学材料として使用して作製された光集積回路部品を用いることにより、耐環境性の優れた光信号伝送回路を構築することが可能となる。本発明では、このような有機・無機高分子複合体を、有機ケイ素化合物の加水分解反応溶液中にスチレンモノマーを共存させて、前記スチレンモノマーを重合させる方法により実現した。
【0016】
これに対し、有機成分の原料としてスチレンモノマーではなくポリスチレンを用いた場合、前述したように相分離が生じてしまう。また、前述したように、メタクリレート構造単位をもつポリスチレン共重合体を有機成分の原料として用いれば、シリカゲルと有機成分とが共有結合した複合体の製造は可能であるが、この場合にはメタクリレート構造単位による耐湿性の低下が問題となってしまう。
【0017】
本発明に用いる有機・無機高分子複合体では、物理的特性の一つである熱的特性、例えばガラス転移温度が、その複合体の性質として発現するため、有機高分子自体が有する熱的特性を大きく改善できる。このため、高温条件下にさらされても有機・無機高分子複合体の劣化・変質がない。したがって、本発明における有機・無機高分子複合体を用いた導波路は、有機高分子だけで作製した導波路に比較して、耐熱性が著しく良好となる。
【0018】
また、本発明の有機・無機高分子複合体は、マトリックスであるシロキサン骨格中にポリスチレンが均一に分散した構造を有するため、透明性が良好である。このため、光導波路に適用した場合、損失を著しく小さくできる。
【0019】
また、本発明の有機・無機高分子複合体において、有機成分と無機成分との比率を適宜設定することにより、屈折率を広範囲にわたって精密かつ容易に制御することができる。したがって、本発明の有機・無機高分子複合体を適用して光導波路を作製するにあたり、光導波路構造中のコア部分およびクラッド部分の屈折率制御を精密かつ容易に行うことができる。この際、最終組成はほぼ仕込比どおりとなるので、屈折率制御が容易であり、屈折率のばらつきも小さい。
【0020】
さらに、本発明に用いるそれぞれの高分子構造中の一部または全部の水素原子を、重水素原子やハロゲン原子等で置換すれば、可視光領域から近赤外波長領域に至るまで、損失の極めて低い特性を得ることが可能となる。この場合、全構成成分を置換する必要は必ずしもないので、製造法も簡易となる。
【0021】
なお、各高分子単位構造中にアルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を適宜導入した場合でも、屈折率の制御が可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の有機・無機高分子複合体は、シロキサン結合を有する無機マトリックス中にポリスチレンが分散された構造を有する。
【0023】
前記ポリスチレンは、スチレンモノマーを重合することにより合成されたものである。本発明におけるスチレンモノマーは、非置換のものとする。ただし、置換基を有するスチレンモノマーを用いて合成することもできる。以下、スチレンモノマーについて、特に断りがない限り単にスチレンと称する。また、本発明におけるポリスチレンは非置換のものであり、ホモポリマーとする。ただし、原料モノマーとして置換基を有するスチレンモノマーを用いて重合させた場合には、置換基を有するホモポリマーであることも可能である。また、コポリマーであってもよい。以下、スチレン系ポリマーを単にポリスチレンと称することがある。
【0024】
スチレンの置換体としては、フェニル基の水素原子の少なくとも1個が重水素原子、フッ素原子、塩素原子、低級アルキル基またはアリール基で置換されたものなどが考えられる。この場合の低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基といった炭素数1〜4程度のアルキル基が好ましい。この低級アルキル基は置換基を有していてもよい。アルキル基の好ましい置換基としては、例えば、重水素原子や、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。置換アルキル基の具体例としては、その重水素置換したアルキル基を含め、例えば、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が特に好ましい。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましい。このアリール基は置換基を有していてもよい。アリール基の置換基としては、例えば、前記重水素原子や、フッ素原子、塩素原子等が好ましい。置換アリール基の具体例としては、4−メチルフェニル基や、4−フルオロフェニル基が好ましい。また、これら置換基中の水素原子を重水素化したものも含むことができる。このようなスチレンは、1種または2種以上を使用することができる。
【0025】
シロキサン結合を有する無機マトリックスは、加水分解性有機基を有する有機ケイ素化合物から合成されたシリカゲルである。
【0026】
有機ケイ素化合物としては、少なくとも2つの加水分解性有機基を有するものが好ましい。特に好ましい有機ケイ素化合物は、下記式Iで表されるものである。
【0027】
式I (R1 )m Si(OR2 )4-m
【0028】
上記式Iにおいて、R1 は低級アルキル基またはアリール基を表し、R2 は低級アルキル基を表し、mは0〜2の整数を表す。R1 はmの値に従い複数存在するときは互いに異なっていてもよい。すなわち、R1 が複数存在する場合、R1 は1種からなっていてもよく、2種からなっていてもよい。また、R2 も、1種からなっていてもよく、2種以上からなっていてもよい。
【0029】
R1 で表される低級アルキル基およびアリール基は、置換基を有してもよい。R1 で表される低級アルキル基は、炭素数1〜4程度のものが好ましい。R2 で表される低級アルキル基も、炭素数1〜4程度のものが好ましい。R2 に用いるアルキル基、アリール基としては、上記スチレンの説明において挙げたものが好ましい。
【0030】
このような有機ケイ素化合物としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0031】
これらのうち好ましい有機ケイ素化合物は、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等であり、特に、フェニルトリメトキシシランやフェニルトリエトキシシランなどフェニル基を持つものは、スチレンのフェニル基との相互作用により、より均一な複合体が得られることが期待できる点で好ましい。
【0032】
なお、これらの有機ケイ素化合物には、屈折率制御のためや組成物の硬度の調整のために、m=3のモノアルコキシシランを必要に応じて添加してもよい。これらの有機ケイ素化合物は部分的に重合していてもよい。使用する化合物の重合度は1〜30程度が好ましい。有機ケイ素化合物は異種のものを2種類以上使用できる。
【0033】
スチレンおよび有機ケイ素化合物は有機溶媒に溶解され、反応溶液とされる。好ましくは両者を溶解可能な共通有機溶媒が使用される。有機溶媒としては例えば、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;非プロトン性極性溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等);あるいはこれらの混合溶媒等があげられる。これらのうちでは、均一で透明性の良好な複合体が得られやすいことから、特にアセトニトリルが好ましい。
【0034】
本発明の有機・無機高分子複合体は有機成分としてポリスチレンを含むので、複合体中のシリカゲル含有率の高低にそれほど依存せず均質な複合体が得られるという特色がある。本発明の有機・無機高分子複合体における有機成分(ポリスチレン)と無機成分(シリカゲル)との割合は、両成分の特性を損なわない範囲内であれば特に制限はないが、例えば、ポリスチレン100重量部に対しシリカゲルが好ましくは20〜1000重量部、より好ましくは50〜500重量部程度である。ポリスチレンに対するシリカゲルの割合が前記範囲を外れると、複合化の意義が少なくなる。有機・無機高分子複合体の物理的特性の中で、ガラス転移温度は、その複合体の性質として発現するため、複合体に使用する有機高分子自体が有していた熱的特性を大きく改善できる。したがって、シリカゲルが少なすぎると、有機・無機高分子複合体のガラス転移温度がポリスチレン自体のガラス転移温度とほぼ同一となり、変化が生じているとは判断できなくなってきて、複合化する意義がなくなってくる。逆にシリカゲルが多すぎても、有機成分添加の意義がなくなってくる。
【0035】
本発明の有機・無機高分子複合体の製造方法は、有機モノマーのラジカル重合と有機金属化合物のゾル・ゲル法による加水分解重合とを同時に進行させることに特徴がある。本発明の有機・無機高分子複合体の製造に、従来の有機・無機高分子複合体の製造方法を用いた場合、すなわち、有機ケイ素化合物の加水分解重合反応溶液中にポリスチレンを共存させて有機ケイ素化合物を加水分解重合する方法を用いた場合には、均質、透明な有機・無機高分子複合体は製造することができない。これは前述の通り、本発明で用いるスチレンが水素結合受容基を持たないため、シリカゲルとの相互作用が弱く、相分離を起こしてしまうからである。
【0036】
スチレンモノマーの重合には、一般的なビニルモノマーのラジカル重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等を用いることができるが、本発明では溶液重合を用いることが好ましい。重合開始剤としては通常のものを使用することができ、例えば、ジ−tert−ブチルペルオキシドやメチルエチルケトンペルオキシド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2−カルバモイル−アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物を挙げることができる。
【0037】
有機ケイ素化合物は、スチレンモノマーの存在下、反応溶液中で公知の方法に従い、ゾル・ゲル法により加水分解重合され、シリカゲルが生成する。この重合は、酸触媒の存在下で行うことが望ましい。酸触媒としては無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等);有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸等)が使用できる。
【0038】
スチレンモノマーの重合および有機ケイ素化合物の加水分解重合は、攪拌下、室温〜60℃程度までの温度範囲内で行うことができる。不活性ガスの存在下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。また、加水分解重合に伴って生成するアルコールを除去しながら重合してもよい。これらの重合により、シリカゲルの三次元微細構造中のナノメートルオーダーの領域にポリスチレンが均一に分散した構造が得られる。この構造は、原子間力顕微鏡によって確認することができる。また、有機・無機高分子複合体から焼成などにより有機成分を除去した後、窒素吸着法を用いて測定することにより、シリカゲル中においてポリスチレンが存在していた細孔の寸法を求めることができる。この細孔の径は、通常、数十ナノメートル程度以下である。
【0039】
薄膜状の有機・無機高分子複合体を作製する場合には、まず、前記反応溶液が一定の組成系、反応条件下で、所望の粘度に到達した後、ガラス・石英・シリコンなどの平面基板上に前記反応溶液を滴下し、スピンコートする。この際、あらかじめ溶液粘度、基板の回転数、その回転時間と、膜厚との関係を把握しておくことにより、所望の膜厚の有機・無機高分子複合体薄膜が得られるようにスピンコート条件を設定する。スピンコート後、窒素雰囲気下で加熱することにより溶媒を除去して硬化させる。この加熱は、70〜150℃程度の範囲内において、まず、低温域に温度を保持し、次いで高温域に温度を保持する構成で行うことが好ましい。このような方法により、均質でかつ所望の厚さの薄膜が作製できる。
【0040】
本発明では、ポリスチレンとシリカゲルとの比率や置換基効果などにより有機・無機高分子複合体の屈折率を制御できるため、屈折率の選択の幅が広くなる。したがって、使用可能な有機成分と無機成分とから、安定な屈折率が得られる組み合わせを選択し、導波路構造中のコア部分用とクラッド部分用とに適用すればよい。
【0041】
本発明の有機・無機高分子複合体を適用した光導波路の構造は、一般の光導波路構造と同一でよい。一般の光導波路構造としては、例えば、ファイバ型、スラブ型、リッジ型、埋め込み型等がある。光導波路のコア部分とクラッド部分との寸法および両部分の屈折率の関係は、光の波長や使用するモードに応じて適宜決定すればよいが、コア部分とクラッド部分との比屈折率差は、一般に0.2〜1.0%程度であることが好ましい。
【0042】
埋め込み型光導波路の製造方法について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明による埋め込み型光導波路の作製方法の一例を示すものである。1は平面基板、2は下部クラッド層、3はコア層、4はアルミニウム薄膜、5はレジスト層、6は上部クラッド層を示す。
【0043】
(a)まず、有機・無機高分子複合体の前駆体反応溶液を、ガラス、石英、シリコン等からなる平面基板1上にスピンコートにより薄層状に塗布する。次いで、窒素雰囲気下で上記したように70〜150℃程度で加熱して溶媒を除去し、所望の膜厚となるように硬化させる。これにより、下部クラッド層2が形成される。
【0044】
(b)この下部クラッド層2の上に、コア層3を形成する。コア層3の形成方法は、下部クラッド層2の形成方法と同一とすればよいが、コア層3は下部クラッド層2とは屈折率が異なるため、この場合の前記前駆体反応溶液にはコア層3用のものを用いる。なお、コア層3の屈折率は、下部クラッド層2のそれより、通常、0.2〜1.0%程度大きくする。
【0045】
(c)コア層3の上に、蒸着法によりアルミニウム薄膜4を形成する。
【0046】
(d)アルミニウム薄膜4上にフォトレジストを塗布し、プリベーク、露光、現像、ポストベークを行って、所定パターンのレジスト層5を得る。
【0047】
(e)次いで、アルミニウム剥離専用のエッチャントで、レジスト層5に被覆されていない部分のアルミニウム薄膜を除去する。
【0048】
(f)さらに、レジスト層5およびアルミニウム薄膜4で保護されていないコア層3の有機・無機高分子複合体をドライエッチング方法で除去する。次に、コア層3の上部に存在するアルミニウム薄膜を、アルミニウム剥離専用のエッチャントで剥離・除去する。このとき、アルミニウム薄膜上に残存しているレジスト層5も同時に除去され、コア層3のパターニングが完了する。
【0049】
(g)最後に、下部クラッド層2およびパターニングされたコア層3の上に、上部クラッド層6を形成する。上部クラッド層6の形成方法は、下部クラッド層2のそれと同一とすればよく、また、上部クラッド層6の屈折率は下部クラッド層2のそれと同一とすることが好ましい。このようにして、クラッド層およびコア層が有機・無機高分子複合体で形成された埋め込み型光導波路が得られる。
【0050】
図2は、本発明の有機・無機高分子複合体をコア層3に適用したリッジ型光導波路の一例の断面図である。この例では、下部クラッド層2として、コア層3よりも屈折率が小さいシリコン酸化膜をスパッタリングまたは蒸着法で形成してある。下部クラッド層2形成後は、図1と同様な工程により製造するが、上部クラッド層6は設けない。この場合、空気が上部クラッド層として働くことになる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
有機・無機高分子複合体の製造例1
スチレンモノマー1.0g、テトラメトキシシラン2.0gおよび重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を表1に示す溶媒(20ml)に溶解した。AIBN/スチレンは、モル比で1/10とした。得られた溶液を攪拌しながら、酸触媒として0.1N−HClを表1に示す量添加し、窒素雰囲気下、室温で5時間攪拌して反応溶液を調製した。次いで、窒素雰囲気下、反応溶液を60℃に1時間保って重合反応を行い、さらに室温で24時間以上放置して、ゲル化およびゲルの熟成を行った。次いで、100℃に48時間維持して溶媒を除去し、表1に示す有機・無機高分子複合体サンプルを得た。
【0053】
各サンプルのスチレンの重合度を、熱重量分析(TGA)により確認した。また、各サンプルの全重量の10%が分解する温度(T10)をTGAの結果から算出した。また、TGAの際の各サンプルの重量損失を求めた。また、各サンプルから溶媒抽出によりポリスチレンを分離し、ポリスチレンの重量平均分子量Mwおよび数平均分子量MnをGPCにより測定した。これらの結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1から、本発明により透明でかつ耐熱性に優れた有機・無機高分子複合体が得られることがわかる。表1に示す重量損失は、TGAの際の加熱に伴う重量減少が落ち着いたところでの値であり、これらから各サンプル中の有機成分の比率がわかる。これらの重量損失から、最終組成がほぼ仕込比どおりとなっていることがわかる。
【0056】
なお、表1に示す各サンプルでは、可視光領域においてポリメチルメタクリレートやポリスチレンと同等の光透過率が得られることが確認された。
【0057】
表1のサンプルNo.101のガラス転移温度をTMAおよびDSC熱分析装置(セイコー電子工業製、TMA−300型および、DSC−220C型)で測定したところ、100℃以上であった。
【0058】
有機・無機高分子複合体の製造例2
有機・無機高分子複合体の製造例1で使用したテトラメトキシシランの替わりに、フェニルトリメトキシシラン2.0gを用い、これ以外は上記製造例1のサンプルNo. 104と同様にして有機・無機高分子複合体サンプルNo. 201を作製した。このサンプルは、上記製造例1のサンプルと同様に、透明でかつ耐熱性に優れたものであった。このサンプルのガラス転移温度は、100℃以上であった。
【0059】
有機・無機高分子複合体の製造例3
有機・無機高分子複合体の製造例1で使用したテトラメトキシシラン2.0gの替わりに、テトラメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとを総量で2.0g用い、これ以外は上記製造例1のサンプルNo. 104と同様にして有機・無機高分子複合体サンプルNo. 301を作製した。このサンプルは、上記製造例1のサンプルと同様に、透明でかつ耐熱性に優れたものであった。このサンプルのガラス転移温度は、100℃以上であった。
【0060】
なお、上記製造例で得られた有機・無機高分子複合体を600℃で焼成し、得られた多孔質シリカの細孔分布を窒素吸着法で測定した結果、1.8nmに鋭い細孔分布を有することが確認された。このことは、ポリスチレンがナノメートルオーダーのスケールで均一にシリカゲル中に分散していることを示している。このようにゾル・ゲル反応系中での重合法を用いることで、シリカゲルとの相互作用の弱い系でも均一な高分子複合体が得られることがわかる。
【0061】
光導波路の製造例
以下の手順で光導波路を作製した。
【0062】
まず、3インチのシリコン基板上に、上記製造例1のサンプルNo. 104で使用した反応溶液を滴下し、加熱乾燥後の膜厚が20μm になるようにスピンコートした。その後、100℃に50時間、続いて150℃に50時間保持することにより溶媒を除去し、下部クラッド層とした。
【0063】
次に、下部クラッド層上に、上記製造例3で使用した反応溶液を用いた以外は上記した下部クラッド層形成の際と同様にして、コア層を形成した。このコア層は、クラックの発生がなく、無色透明で均質なものであった。
【0064】
次に、EB蒸着機でアルミニウム薄膜を2000A の厚さとなるように蒸着した後、レジスト処理を行った。まず、一般のポジ型レジストをスピンコートで塗布した後、110℃に2分間保持することによりプリベークを行った。次に、線幅が8μm で全長50mmのフォトマスクを通じて紫外線露光を行い、専用のレジスト現像液で未露光部分を除去した。次に、135℃に30分間保持することによりポストベークを行った後、レジストコートされていない部分のアルミニウム薄膜を専用のエッチャントで除去した。洗浄乾燥後、酸素ガスを用いたRIEドライエッチング処理を行い、コア層部分を断面矩形のリッジ型(長さ50mm、幅8μm 、高さ8μm )となるようにエッチングした。
【0065】
エッチング後、コア層上部にあるアルミニウム薄膜のマスクを専用のエッチャントで溶解した。次に、上記した下部クラッド層形成の際と同様にして上部クラッド層を形成した。このようにして埋め込み型の光導波路を得た。
【0066】
この光導波路の光伝搬損失を、波長1300nmの光を用いてカットバック法で測定した。測定の結果、この導波路の光伝搬損失は0.5dB/cm 以下であった。なお、各クラッド層とコア層とについて、屈折率をプリズムカプラー(米国メトリコン社製型式2010)で測定した。この結果、コア層とクラッド層との間の比屈折率差は、0.3〜1%の範囲にあった。
【0067】
この光導波路を85℃の環境下に100時間静置してから取り出し、光損失変化を測定した結果、吸熱による樹脂の劣化・変質に基づく損失増は全くなく、耐熱性の高いことが確認された。
【0068】
また、60℃、90%R.H.の環境下に100時間静置してから同様の測定を行った結果、吸湿による樹脂の劣化・変質に基づく損失増は全くなく、耐湿性の高いことが確認された。
【0069】
薄膜の評価
次に、有機・無機高分子複合体薄膜について、下記(a)〜(c)の評価を行った。
【0070】
(a)成膜性および有機・無機高分子複合体の評価結果(その1)
上記製造例1のサンプルNo. 104で使用した反応溶液を用い、スピンコート法で形成した薄膜は、加熱乾燥後、クラックの発生がなく、無色透明で均質であり、エタノールに対して不溶化していた。また、この薄膜では、TGA、1H−NMR分析の結果より、90%以上の反応率でスチレンモノマーが重合していることが判明した。さらに、この薄膜から溶媒抽出によりポリスチレンを分離し、ポリスチレンの分子量をGPCにより測定したところ、重量平均で約1000であった。
【0071】
(b)成膜性および有機・無機高分子複合体の評価結果(その2)
上記製造例3で使用した反応溶液を用い、上記(a)と同様にして形成した薄膜は、加熱乾燥後、クラックの発生がなく、無色透明で均質であり、エタノールに対して不溶化していた。また、この薄膜では、TGA、1H−NMR分析の結果より、90%以上の反応率でスチレンモノマーが重合していることが判明した。さらに、上記(a)と同様にして重量平均分子量を測定した結果、テトラメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとの混合比率によって異なっていたが、約1000〜約1500の間であった。
【0072】
(c)成膜性および有機・無機高分子複合体の評価結果(その3)
上記製造例1のサンプルNo. 103で使用した反応溶液を用い、上記(a)と同様にして形成した薄膜は、加熱乾燥後、クラックの発生がなく、無色透明で均質であり、エタノールに対して不溶化していた。この薄膜では、TGA、1H−NMR分析の結果より、90%以上の反応率でスチレンモノマーが重合していることが判明した。さらに、上記(a)と同様にして分子量を測定した結果、重量平均で約1000であった。
【0073】
なお、上記(a)、(b)および(c)でそれぞれ作製した薄膜の屈折率を測定したところ、1.50±0.1の範囲にあった。
【0074】
上記した各例の他にも様々な条件で有機・無機高分子複合体の合成を試みた結果、複合体中のポリスチレンの重量平均分子量は、約1000〜4000の範囲内であった。
【0075】
比較例1
精製した市販のポリスチレン2.0g、フェニルトリメトキシシラン2.0gおよび酸触媒である0.1N−塩酸0.5mlを、テトラヒドロフランに溶解・添加した。得られた溶液を30℃に維持しながら1時間攪拌した。その後、室温で24時間以上放置してゲル化およびゲルの熟成を行ったところ、ポリスチレンが析出して相分離した不均一な生成物のみ得られ、透明な有機・無機高分子複合体は得ることができなかった。また、溶媒としてテトラヒドロフランに替えてアセトニトリルを用いた場合でも同様な結果であった。
【0076】
比較例2
重量平均分子量約10,000のポリスチレンのガラス転移温度を測定した結果、75℃であり、本発明の有機・無機高分子複合体に比べ、耐熱性が著しく低いことが確認された。
【0077】
以上の実施例の結果から、本発明の効果が明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機・無機高分子複合体を使用した埋め込み型光導波路の作製方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の有機・無機高分子複合体を使用したリッジ型光導波路の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 平面基板
2 下部クラッド層
3 コア層
4 アルミニウム薄膜
5 レジスト層
6 上部クラッド層
Claims (3)
- シロキサン結合を有する無機マトリックス中にポリスチレンが分散された構造を有する有機・無機高分子複合体であって、スチレンモノマーの重合と、次式、
(R 1 ) m Si(OR 2 ) 4-m
(式中、R 1 は、置換基を有してもよい低級アルキル基またはアリール基、R 2 は低級アルキル基、mは0〜2の整数を表し、R 1 はmの値に従い複数存在するときは互いに異なっていてもよく、R 2 も1種でも2種以上からなっていてもよい)で表される、加水分解性有機基を有する有機ケイ素化合物のゾル・ゲル法による加水分解重合と、を同時に進行させることにより得られたものであることを特徴とする有機・無機高分子複合体。 - 光導波路に用いられる請求項1の有機・無機高分子複合体。
- 請求項1または2の有機・無機高分子複合体を製造する方法であって、次式、
(R 1 ) m Si(OR 2 ) 4-m
(式中、R 1 は、置換基を有してもよい低級アルキル基またはアリール基、R 2 は低級アルキル基、mは0〜2の整数を表し、R 1 はmの値に従い複数存在するときは互いに異なっていてもよく、R 2 も1種でも2種以上からなっていてもよい)で表される、加水分解性有機基を有する有機ケイ素化合物の加水分解反応溶液中にスチレンモノマーを共存させて、前記スチレンモノマーを重合させる工程を有する有機・無機高分子複合体の製造方法。
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