JPH0999192A - ミシンの糸把持装置 - Google Patents

ミシンの糸把持装置

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JPH0999192A
JPH0999192A JP25612095A JP25612095A JPH0999192A JP H0999192 A JPH0999192 A JP H0999192A JP 25612095 A JP25612095 A JP 25612095A JP 25612095 A JP25612095 A JP 25612095A JP H0999192 A JPH0999192 A JP H0999192A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 縫い針の目孔に糸を通す等のために、糸を所
定の位置で確実に把持でき、かつ操作性を向上させるこ
とができるミシンの糸把持装置を提供すること。 【解決手段】 糸把持部7が準備位置に配置されたとき
に、押さえ皿83とミシンカバー下部4とが係合するこ
とによって押さえ皿83と皿支持片49との間に隙間を
形成させ、パルスモータによって、糸把持部7を前記準
備位置から他の位置へ移動させたときに、前記押さえ皿
83と前記ミシンカバー下部4との係合が解除されて、
前記隙間が解消され、前記隙間に挿入された前記糸を前
記押さえ皿83と皿支持片49とによって把持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、縫い針の目孔に糸
を通す等のために、糸を所定の位置で把持するためのミ
シンの糸把持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、縫い針の目孔に糸を通す糸通し装
置を備えたミシンが知られている。この糸通し装置は、
縫い針に対して移動可能な支持体上に、縫い針の目孔に
対して貫入及び脱出可能な糸通しフックを設け、目孔付
近に供給される縫い糸を、フック先端に設けられた開口
部の内側に掛止させた後、糸通しフックを目孔から脱出
させることによって、目孔への糸通しを行うものが知ら
れている。
【0003】そして、縫い出し前に糸供給源から引き出
した糸を糸通しフックに掛止させるために、縫い針の目
孔前において糸を張る必要が生じ、そのために糸端を把
持する糸把持部材を糸通し装置に設けていた。この糸把
持部材の構成を図8に示し、糸把持部材への糸案内方法
を図7に示す。
【0004】縫い出し前に図示しない糸駒から引き出し
た糸wの端を作業者が指等でもって糸案内溝111、糸
案内溝112に沿って導くと、まず、糸wは糸張り部材
167に係止され、続いて糸把持部材170に導かれ
る。その糸把持部材170では、内装するバネ191に
より糸案内溝112に略垂直方向に付勢された押さえ皿
182と受け板180との間で糸wを把持させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、糸把持
部材170は、糸案内溝112に対して略垂直方向に付
勢される押さえ皿182が糸wを押圧する構成になって
いるため、糸把持部材170へ糸wが侵入し確実に把持
することができるようにするためには、押さえ皿182
の押圧力よりも大きい張力を糸wに与える必要があっ
た。そのため、作業者は、糸wを糸案内溝112に沿っ
て矢印YA方向に、意識的に張力を与えながら導かなけ
ればならなかった。
【0006】また、押さえ皿182と受け板180との
間に糸wが把持されたか否かを目視することができない
ため操作の確実性が損なわれていた。
【0007】更に、糸案内溝112に沿って糸wを案内
している際、糸wに弛みが生じ、押さえ皿182の下側
に糸wが入り込み、糸把持部材170への糸案内ミスを
起こしていた。
【0008】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、縫い針の目孔に糸を通す等のた
めに、糸を所定の位置で確実に把持でき、かつ操作性を
向上させることができるミシンの糸把持装置を提供する
ことを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に請求項1記載のミシンの糸把持装置は、糸供給源から
縫い針の近傍に亙って糸を掛ける糸掛け準備経路と、前
記糸掛け準備経路上において前記糸を把持する把持部を
有し、かつその把持部に前記糸を挿入させるための準備
位置と、その準備位置から離間した他の位置との間に移
動可能な糸把持手段と、前記糸把持手段を前記両位置の
間に移動させる移動手段とを備えたものを対象とし、特
に、前記糸把持手段が前記準備位置に配置されたとき
に、前記把持部と係合することによってその把持部間を
開き隙間を形成させる隙間形成手段を備え、前記移動手
段によって、前記糸把持手段を前記準備位置から前記他
の位置へ移動させたときに、前記把持部と前記隙間形成
手段との係合が解除されて、前記隙間が解消され、前記
隙間に挿入された前記糸を前記把持部によって把持する
ようにしている。従って、前記準備位置に前記糸把持手
段が配置されたときに、前記隙間形成手段によって、前
記把持部間を開くことで形成される隙間に前記糸を挿入
し、その後、前記移動手段によって前記準備位置から前
記他の位置へ移動させて、前記把持部と前記隙間発生手
段との係合を解除し、前記隙間が解消されて、前記隙間
に挿入された前記糸を前記把持部によって把持する。
【0010】また、請求項2記載のミシンの糸把持装置
の前記隙間形成手段は、前記糸掛け準備経路を形成する
固定のミシンカバーで構成され、前記把持部は、前記移
動手段によって一方向に移動される受け板と、前記受け
板に対して移動可能に支持され、前記準備位置において
前記ミシンカバーと係合して前記受け板との間に前記隙
間を形成し、常には前記受け板側に付勢される受け皿と
で構成されている。従って、前記受け板を前記準備位置
から他の位置へ移動させることにより、前記ミシンカバ
ーと前記受け皿との係合が解除される。
【0011】更に、請求項3記載のミシンの糸把持装置
は、前記受け皿の前記ミシンカバーと係合する係合面を
傾斜させている。従って、前記ミシンカバーと前記受け
皿とが係合したときに発生する隙間に前記糸を挿入する
際、前記傾斜に沿って円滑に、かつ確実に挿入すること
ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明のミシンの糸把持装
置を糸通し装置に具体化した実施の形態について図面を
参照して説明する。
【0013】図1は、本実施の形態の糸把持装置である
把持部6の作用を示す図であり、図2は、ミシンヘッド
1を面板17方向から見た斜視図であり、図3は、糸通
し装置の構成を示す図である。
【0014】本実施の形態の糸通し装置100は、縫製
に先立ち糸wを掛ける糸掛け準備経路として、ミシンヘ
ッド1に形成された2つの糸案内溝11、12と、その
糸案内溝11、12の間で糸掛け準備経路上に設けられ
た糸係止部5(図3に示す)と、糸案内溝12の内側に
設けられた糸把持手段としての糸把持部7と、糸案内溝
12の終点位置に設けられた糸保持部8及び糸切断部9
とを備えている。
【0015】前記糸案内溝11は、図2に示すように、
ミシンヘッド1の上部に設けられた上部糸掛け2から下
方へ上下方向に延びて形成され、針棒台27に固定され
た糸案内部材71の近傍まで延びている。一方、糸案内
溝12は、ミシンの頭部を覆う面板17の操作者側下方
から奥側まで水平方向に形成されている。
【0016】前記糸把持部7は、図3に示すように、ミ
シン機枠に固定される針棒台27に上下移動可能に挿通
支持される針棒13に平行で、前記針棒台27に上下動
可能に挿通支持される糸通し棒29を備えている。その
糸通し棒29の下端部にはフック保持部31が固着され
ており、このフック保持部31には水平に延出して略直
角方向に折曲するフック部33が取り付けられている。
また、前記糸通し棒29の下端部には、糸を把持する把
持部6を備えている。
【0017】前記フック部33は、図4(a)に示すよ
うに、先端に鈎の手状の鈎部35が形成されたフック3
7と、フックの両側に位置し先端に「V」字状に糸導入
溝39が形成された2枚のフックガード41、43とか
らなる。
【0018】また、図3に示すように、フック保持部3
1にはフック部33と反対方向に延出する突出片45が
一体に形成されている。この突出片45の先端には、糸
ガイド片47及び皿支持片49が突出して形成されてい
る。
【0019】糸通し棒29の下端には、更に、フック保
持部31を「コ」字状に上下に挟み、糸通し棒29に対
して回転可能に形成されたリンクレバー51が取り付け
られており、このリンクレバー51の水平方向に延出さ
れた端部にピン53(図6に示す)が垂直に突設されて
いる。また、リンクレバー51の「コ」字状背面には、
糸係止部5が固着されている。
【0020】前記把持部6は、図1(a)に示すよう
に、この突出片45の先端に設けられた受け板としての
皿支持片49と、支持ピン90に摺動可能に軸支される
受け皿としての押さえ皿83とで構成されている。前記
押さえ皿83の内側には、コイルバネ91が装着され、
押さえ皿83を皿支持片49方向に付勢している。尚、
皿支持片49には、押さえ皿83に面して支持ピン90
から所定距離離れた位置に糸抜き溝93が糸道に沿って
凹設されている。また、前記押さえ皿83は、断面形状
が略台形に形成されている。更に、前記把持部6は、図
3に示す準備位置において、前記糸案内溝12を形成す
るミシンカバー下部4と前記押さえ皿83の傾斜した面
とが係合し、前記皿支持片49と前記押さえ皿83との
間に隙間が形成される。尚、前記ミシンカバー下部4が
隙間形成手段として機能する。
【0021】前記糸係止部5は、図5に示すように、リ
ンクレバー51の背部に固定される固定板55と、固定
板55の上、下端から水平方向に突出し中央部が湾曲し
たアーム57、59と、アーム57の突出方向先端から
下方向に延出した押え爪61と、アーム59の突出方向
先端から上方向に延出した糸掛け爪63とからなり、こ
れらは一体に形成されている。前記押え爪61は、その
先端が固定板55から離れる方向に湾曲されると共に、
その湾曲開始位置に糸掛け溝65が形成されている。
【0022】前記糸通し棒29には、図3に示すよう
に、フック保持部31の上部において、摺動ガイド67
が針棒13の反対方向に突出して遊挿されており、Eリ
ング69により上下位置が規制されている。更に、摺動
ガイド67には、糸通し棒29に平行で軸方向に溝72
が形成された支持枠73が一体に形成されており、この
溝72内に針棒台27に突設されたピン75が遊嵌して
いる。従って、糸通し棒29は上下に移動するが、糸通
し棒29の軸回転に対しては追従しない。
【0023】前記摺動ガイド67には、所要長のガイド
溝77が穿設され、このガイド溝77内にリンク機構を
構成するリンクピン79が摺動自在に遊嵌される。この
リンクピン79は、第1リンク板81及び第2リンク板
85を軸支する。第1リンク板81は、図6(a)に示
すように、両端に、リンクピン79とリンクレバー51
に突設されたピン53とが各々回転可能に挿通されてい
る。
【0024】また、一端がリンクピン79に軸支された
第2リンク板85の他端は、フック保持部31の突出片
45の先端と共通にピン89が回転可能に挿通される。
【0025】このように、リンクピン79により共通に
軸支される第1リンク板81及び第2リンク板85と、
この第1リンク板81にピン53を介して連結するリン
クレバー51と、第2リンク板85にピン89を介して
連結する突出片45とによってリンク機構が構成され
る。
【0026】前記糸案内部材71は、略舌片状に形成さ
れ、その固定端は針棒台27の側面に固定されている。
一方、自由端である先端部は、図2において、前記糸案
内溝11側に突出している。
【0027】次に、糸保持部8及び糸切断部9について
説明する。図2に示すように、糸保持部8と糸切断部9
とは糸案内溝12の終端部上方の面板17側面に設けら
れている。前記糸保持部8は、基本的には上記糸把持部
7と同様の構成であり、前記把持部6における押さえ皿
83と同様のものが面板17方向に付勢されている。そ
して、糸切断部9は、図2において、糸保持部8よりも
手前側(ミシン前面側)に配置されている。そして、糸
切断部9は、上方に刃面が向いたカッターを備えてい
る。
【0028】次に、糸の流れを簡単に説明すると、糸案
内溝12の終端部まで導いた糸wを糸保持部8を半周程
度巻くようにして糸切断部9まで持って来るため、糸w
は糸保持部8にしっかりと保持される。その状態で糸w
の端をもって引っ張りながら糸切断部9のカッターによ
って簡単に糸wを切断することができる。
【0029】次に、縫製に先立ち、準備作業としての糸
掛けの操作について説明する。
【0030】ミシンの使用者は、図2に示すように、糸
駒95から供給される糸wを以下の順に準備する。ま
ず、糸wを上部糸掛け2に掛け、糸案内溝11に導入
し、糸案内部材71に掛ける。そして、糸端を左方向に
引きながら糸wを糸案内溝12に誘導すると、この過程
において、糸wは、糸掛け爪63の外側から押え爪61
の内側に導入され、糸掛け爪63に係止される(図3参
照)。
【0031】図1(a)に示すように、準備位置に配置
された把持部6は、押さえ皿83がミシンカバー下部4
に係合し、前記押さえ皿83と皿支持片49との間に隙
間が発生する。従って、図2に示す矢印YA方向に糸端
を誘導すると、前記隙間から糸wが把持部6に挿入され
る。更に、図2の矢印YA方向に糸端を誘導すると、糸
wは、中心方向、つまり支持ピン90方向、糸抜き溝9
3に対向する位置へ引き寄せられる(図1(b)に示
す)。
【0032】そして、準備操作の終了として、糸wは糸
案内溝12の終点部に導かれ、上述したように糸保持部
8に保持された状態で、その下流側にある糸切断部9で
切断される。即ち、この糸掛け準備操作は、糸wを糸案
内溝11、12に沿って誘導するという一連の動作だけ
で終了するわけである。尚、この状態では糸切断部9と
把持部6とが所定位置にあるため、切断された糸端から
把持部6までの糸長は、常に一定となる。
【0033】次に、糸把持装置を備えた糸通しの動作に
ついて説明する。尚、この動作は、糸通し棒29の昇降
・回転動作に基づいてなされ、本実施の形態では、移動
手段としての図示しないパルスモータによって糸通し棒
29を移動させている。以下は、糸通し装置の各部の動
きを中心に説明する。
【0034】上述したように糸wが準備されると、操作
者は、操作レバー(図示略)を操作することによって前
記パルスモータが駆動し、糸通し棒29が下降すると、
図1(c)に示すように、把持部6が下方に移動し、前
記ミシンカバー下部4と前記押さえ皿83との係合が解
除され、前記皿支持片49と前記押さえ皿83との間の
隙間が解消され、糸wが確実に把持される。これと同時
に、前記糸通し棒29を、図6(a)の矢印g方向に回
転させる。このとき、糸通し棒29に固着されたフック
部33及び突出片45は、糸通し棒29の回転と共に、
それぞれ同図(b)の矢印h、i方向に回転し、フック
部33のフック37は、縫針97の目孔99に貫入す
る。突出片45の回転により、摺動ガイド67のガイド
溝77内に遊嵌されたリンクピン79は、第2リンク板
85を介して矢印j方向に移動し、更に、第1リンク板
81を介してピン53を矢印k方向に移動させる。その
ため、リンクレバー51も矢印k方向に回転し、リンク
レバー51の背部に固定された糸係止部5が矢印m方向
に回転し縫針97に接近する。
【0035】このような動作により、一端を把持部6に
把持された糸wは、その把持部6と糸係止部5との離隔
が大きくなることから、その間の糸wは緊張される。こ
のとき、糸係止部5の回転により、糸掛け爪63は、把
持部6との間の糸wの緊張を保持しつつ、糸供給源側に
摺動し、糸供給源側の糸wのたるみを吸収する。更に、
回転して糸掛け爪63が縫針97に近づくと、糸wは、
糸掛け爪63から外れて押え爪61の糸掛け溝65に導
入され、この糸掛け溝65と把持部6との間で糸wが緊
張されて、縫針97の目孔99前に誘導される(図6
(b)の状態)。この状態においては、フック37は図
4(a)に示すように、縫針97の目孔99に貫入して
おり、緊張された糸wが鈎部35の鈎の手内側に導入さ
れる。
【0036】一方、把持部6に把持された糸wは、リン
クピン79と共に押さえ皿83が糸通し棒29から遠ざ
かるため、糸wは緊張すると共に、中へ中へと、つまり
支持ピン90方向にくい込んでいき、一層強固に挟持さ
れ、糸wの緊張に対して糸係止部5の方向に摺動しな
い。従って、この把持部6と糸係止部5との間にて、糸
wが充分に緊張されるため、糸wはフックガード41、
43の糸導入溝39に導入されてフック37の鈎部35
に確実に捕捉される。また、糸wが把持部6に把持され
摺動しないことから、糸端から糸係止部5までの糸の長
さは、常に一定となる。
【0037】次に、糸通し棒29を図6(c)の矢印n
方向に逆回転させると、フック部33は、縫針97から
矢印o方向に遠ざかると共に、突出片45が矢印p方向
に回転する。従って、リンク機構を構成する各部材は、
上述した動作に対して戻るように動作し、把持部6が矢
印q方向に移動すると共に、糸係止部5が矢印r方向に
回転して縫針97から遠ざかる。このとき、糸係止部5
の糸掛け溝65に係止されていた糸wは、この移動によ
りそこから外れて緊張が解かれ、図4(b)に示すよう
に、フック37に捕捉されて縫針97の目孔99から引
き出される。このフック37の引き抜き動作により、糸
wはフック37の鈎部35で折れ曲がり、この鈎部35
と糸把持部7との間の糸wのたるみが吸収されて、再び
糸wが緊張する。
【0038】更に、フック37に図6(c)の矢印o方
向の力が働き続けると、把持部6に把持された糸wは、
その把持力がフック37の引き抜く力に負けて、図6
(c)の矢印s方向に摺動する。この摺動が始まると、
糸wは、糸抜き溝93内を抵抗少なく摺動するため、糸
把持部7とフック37の鈎部35との間の糸wの緊張が
ゆるみ、フック37の引き抜き動作に伴い、糸wが容易
に縫針97の目孔99から引き抜かれる。
【0039】糸通し棒29は、所定角度の逆回転が終了
すると、上昇動作に入る。この上昇動作により、フック
部33、糸係止部5、糸把持部7は、リンク機構を構成
する各部材と共に一体に上昇する。このときフック37
の鈎部35に捕捉された糸wは引き上げられて、更に、
目孔99から引き抜かれるが、その上昇過程において、
糸wの目孔99における摩擦力や糸wの自重等により、
フック37が糸wを保持しきれなくなり、糸wは鈎部3
5から外れる。
【0040】以上説明したことから明らかなように、本
実施の形態のミシンの糸把持装置は、糸把持部7が準備
位置に配置されたときに、押さえ皿83がミシンカバー
下部4と係合することによって押さえ皿83と皿支持片
49との間に隙間を形成させ、パルスモータによって、
糸把持部7を前記準備位置から他の位置へ移動させたと
きに、前記押さえ皿83と前記ミシンカバー下部4との
係合が解除されて、前記隙間が解消され、前記隙間に挿
入された前記糸を前記押さえ皿83と皿支持片49とに
よって把持するようにしているため、容易に前記押さえ
皿83と前記皿支持片49との間に糸を挿入することが
できる。
【0041】尚、本発明は、上述した実施の形態に限定
されるものではなく、種々の態様で実施し得る。
【0042】例えば、本実施の形態では、把持部6に糸
を挿入するときに、ミシンカバー下部4を押さえ皿83
に係合させて、皿支持片49と押さえ皿83との隙間を
形成させているが、皿支持片49と押さえ皿83との間
に、前記皿支持片49に対して平行に移動可能な隙間形
成部材を挿入するように構成してもよい。この場合、把
持部6に糸を把持させるときには、前記隙間形成部材を
前記皿支持片49に対して平行に移動させ、前記皿支持
片49と前記押さえ皿83との間に、前記隙間形成部材
が介在しないようにする。
【0043】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
請求項1記載のミシンの糸把持装置は、糸把持部が準備
位置に配置されたときに、糸把持部が隙間形成手段と係
合することによってその把持部間を開き隙間を形成さ
せ、移動手段によって、糸把持手段を前記準備位置から
他の位置へ移動させたときに、前記把持部と前記隙間形
成手段との係合が解除されて、前記隙間が解消され、前
記隙間に挿入された前記糸を前記把持部によって把持す
るようにしているため、容易に把持部に糸を挿入するこ
とができる。
【0044】また、本発明の請求項2記載のミシンの糸
把持装置は、前記受け板を前記準備位置から他の位置へ
移動させることにより、前記ミシンカバーと前記受け皿
との係合が解除されるため、簡単な構成で、確実に糸を
把持部に把持することができる。
【0045】更に、本発明の請求項3記載のミシンの糸
把持装置は、前記受け皿の前記ミシンカバーと係合する
係合面を傾斜させたため、前記ミシンカバーと前記受け
皿とが係合したときに発生する隙間に前記糸を挿入する
際、前記傾斜に沿って円滑に、かつ確実に挿入すること
ができる等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】把持部の動作を示す説明図であり、(a)は、
把持部が準備位置に配置されたときの図であり、(b)
は、糸を把持部に挿入したときの図であり、(c)は、
把持部を準備位置とは離隔した他の位置へ移動するとき
の図である。
【図2】ミシンヘッドを面板方向から見た斜視図であ
る。
【図3】糸通し装置の構成を示す拡大図面である。
【図4】フック部の動作を示す説明図であり、(a)
は、糸を縫針の目孔に通す前の状態を示し、(b)は、
糸を縫針の目孔に通したときの状態を示している。
【図5】糸系止部の斜視図である。
【図6】把持部を備えた糸通し装置の動作を示す説明図
であり、(a)は、糸通し装置が作動する前の状態を示
し、(b)は、フックが縫針の目孔を貫通したときの状
態を示し、(c)は、糸が縫針の目孔を貫通したときの
状態を示す。
【図7】従来の糸把持部を備えたミシンの正面図であ
る。
【図8】従来の把持部の構成を示す正面断面図である。
【符号の説明】
4 ミシンカバー下部 5 糸係止部 6 把持部 7 糸把持部 11 糸案内溝 12 糸案内溝 49 皿支持片 83 押さえ皿 91 コイルバネ w 糸

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糸供給源から縫い針の近傍に亙って糸を
    掛ける糸掛け準備経路と、前記糸掛け準備経路上におい
    て前記糸を把持する把持部を有し、かつその把持部に前
    記糸を挿入させるための準備位置と、その準備位置から
    離間した他の位置との間に移動可能な糸把持手段と、前
    記糸把持手段を前記両位置の間に移動させる移動手段と
    を備えたミシンの糸把持装置において、 前記糸把持手段が前記準備位置に配置されたときに、前
    記把持部と係合することによってその把持部間を開き隙
    間を形成させる隙間形成手段を備え、 前記移動手段によって、前記糸把持手段を前記準備位置
    から前記他の位置へ移動させたときに、前記把持部と前
    記隙間形成手段との係合が解除されて、前記隙間が解消
    され、前記隙間に挿入された前記糸を前記把持部によっ
    て把持するようにしたことを特徴とするミシンの糸把持
    装置。
  2. 【請求項2】 前記隙間形成手段を、前記糸掛け準備経
    路を形成する固定のミシンカバーで構成し、 前記把持部を、前記移動手段によって一方向に移動され
    る受け板と、前記受け板に対して移動可能に支持され、
    前記準備位置において前記ミシンカバーと係合して前記
    受け板との間に前記隙間を形成し、常には前記受け板側
    に付勢される受け皿とで構成し、 前記受け板を前記準備位置から他の位置へ移動させるこ
    とにより、前記ミシンカバーと前記受け皿との係合が解
    除されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の
    ミシンの糸把持装置。
  3. 【請求項3】 前記受け皿の前記ミシンカバーと係合す
    る係合面を傾斜させたことを特徴とする請求項2に記載
    のミシンの糸把持装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020018601A (ja) * 2018-07-31 2020-02-06 蛇の目ミシン工業株式会社 糸通し装置を備えたミシン

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