JPH099651A - 超音波アクチュエータ - Google Patents

超音波アクチュエータ

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JPH099651A
JPH099651A JP7148607A JP14860795A JPH099651A JP H099651 A JPH099651 A JP H099651A JP 7148607 A JP7148607 A JP 7148607A JP 14860795 A JP14860795 A JP 14860795A JP H099651 A JPH099651 A JP H099651A
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JP
Japan
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elastic body
ultrasonic actuator
vibration
vibration mode
relative motion
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JP7148607A
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Isao Sugaya
功 菅谷
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N2/00Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction
    • H02N2/0005Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction producing non-specific motion; Details common to machines covered by H02N2/02 - H02N2/16
    • H02N2/001Driving devices, e.g. vibrators
    • H02N2/003Driving devices, e.g. vibrators using longitudinal or radial modes combined with bending modes
    • H02N2/0035Cylindrical vibrators
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N2/00Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction
    • H02N2/0005Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction producing non-specific motion; Details common to machines covered by H02N2/02 - H02N2/16
    • H02N2/001Driving devices, e.g. vibrators
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N2/00Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction
    • H02N2/02Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction producing linear motion, e.g. actuators; Linear positioners ; Linear motors
    • H02N2/026Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction producing linear motion, e.g. actuators; Linear positioners ; Linear motors by pressing one or more vibrators against the driven body
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    • H02N2/02Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction producing linear motion, e.g. actuators; Linear positioners ; Linear motors
    • H02N2/028Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction producing linear motion, e.g. actuators; Linear positioners ; Linear motors along multiple or arbitrary translation directions, e.g. XYZ stages

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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 弾性体を支持することによる振動阻害をでき
るだけ解消し、効率の優れた超音波アクチュエータを提
供する。 【構成】 圧電素子を一方の平面に備える円環状の弾性
体11と,他方の平面に加圧接触される相対運動部材
と,一方の平面側に設けられて弾性体11を支持する支
持部材とを備え、弾性体11に、駆動源となる第1振動
モードとクラッチ機構をなす屈曲振動である第2振動モ
ードとを生じる超音波アクチュエータにおいて、支持部
材は、弾性体に生じる第2振動モードの節円11a上及
び節直径11b上に配置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波アクチュエータ
に関し、特に、伸縮振動と屈曲振動との縮退,又は非軸
対称振動と屈曲振動との縮退を利用した円環型の超音波
アクチュエータに関するものであり、この超音波アクチ
ュエータの支持位置を改良したものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の超音波アクチュエータ
は、電気−機械エネルギー変換素子の励振により、円環
状の弾性体に進行性波動波を発生し、その弾性体に加圧
接触している移動子(ロータ)を駆動するようにしてい
た。
【0003】一方、リニア型の超音波アクチュエータ
は、棒状弾性体の一方の端部に加振用の電気−機械エネ
ルギー変換素子を配置するとともに、他方の端部には進
行波の反射を吸収する吸振用の電気−機械エネルギー変
換素子を配置し、弾性体の一方から他方に向かう進行波
を発生させ、その弾性体に加圧接触している移動体を駆
動するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前者の超音波アクチュ
エータは、レンズ鏡筒に組み込まれ、移動体の回転によ
り、AFレンズを駆動する用途に用いられる。
【0005】一方、撮影光学系の一部を光軸と略直交す
る面内で移動して、像振れを補正する像振れ補正装置が
提案されているが、前者の超音波アクチュエータでは、
駆動方向が異なるために適用できない。後者の超音波ア
クチュエータでは、円筒形のレンズ鏡筒には組み込み難
いうえ、光軸に垂直な面のX方向,Y方向の2方向に駆
動する場合には、装置が大型化するという問題があっ
た。
【0006】また、従来の高速・低トルクを特徴とする
電磁モータを利用する場合には、出力トルクを稼ぐため
に通常はギア列が必要となり、さらに、駆動対象物を平
面内で2方向に移動させるときには、各々の方向に駆動
対象物を移動させるために、独立したもう1組の電磁モ
ータとギア列とが必要となる。このために、装置が大型
化し、重量が増すうえ、ギア列により応答性が低下した
り、騒音が発生する等の問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本出願人は、
以下に列記するように、平面内を1次元又は2次元に移
動可能であって、円筒形状の部分にも組み込み易い円環
型の超音波アクチュエータを提案した。
【0008】(1)特願平6−318150号 弾性材料からなる円環状の弾性体と,この弾性体の一方
の平面に接合されるとともに駆動信号により励振され
て、前記弾性体に、拡径方向及び縮径方向への伸縮運動
と面直方向への屈曲振動とを発生し、その縮退により前
記弾性体の所定部分に楕円運動を発生する電気−機械エ
ネルギー変換素子とを備える超音波アクチュエータであ
る。
【0009】(2)特願平7−134895号 弾性材料からなる円環状の弾性体と,この弾性体の一方
の平面に接合されるとともに駆動信号により励振され
て、前記弾性体に、進行方向への非軸対称振動と面直方
向への屈曲振動とを発生し、その縮退により前記弾性体
の所定部分に楕円運動を発生する電気−機械エネルギー
変換素子とを備える超音波アクチュエータである。
【0010】これらは、いずれも、円環状の弾性体の一
方の平面に適宜配置された電気−機械エネルギー変換素
子に駆動電圧を印加して励振し、弾性体に、特願平6−
318150号の場合には拡径方向及び縮径方向への伸
縮振動と面直方向への屈曲振動とを発生し、一方、特願
平7−134895号の場合には非軸対称振動と面直方
向への屈曲振動とを発生する。
【0011】弾性体は、他方の平面において、相対運動
部材が適当な支持部材により接触されており、この相対
運動部材と弾性体との間で相対運動が発生する。相対運
動部材が固定物のときには弾性体が、相対運動部材が移
動するときには相対運動部材がそれぞれ駆動され、駆動
力として取り出される。
【0012】ところで、これらの超音波アクチュエータ
は進行波を利用するため、弾性体の全ての部分が機械的
に常時振動している。つまり、この振動の節は経時的に
常に移動する。
【0013】そのため、弾性体を相対運動部材に接触さ
せるための支持部材の弾性体への接触位置について、振
動減衰を最小にすることができる特定の支持位置は存在
しない。そのため、実際には、弾性体の支持部材との接
触面側に振動緩衝材を配置して、この振動緩衝材を介し
て支持部材により弾性体を相対運動部材へ向けて加圧し
ていた。
【0014】しかし、振動緩衝材を介して弾性体を支持
しても、弾性体が自由状態で振動する場合と比較すると
振動が阻害されることは否めず、また振動エネルギーも
振動緩衝材を通じて外部へ消散してしまう。そのため、
弾性体が自由状態で振動する場合と比較すると超音波ア
クチュエータの駆動効率を低下させてしまうという問題
があった。
【0015】本発明の目的は、弾性体を支持することに
よる振動阻害をできるだけ低減でき、駆動効率の低下を
できるだけ少なくできる超音波アクチュエータを提供す
ることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下のような
全く新規な知見に基づいてなされたものである。すなわ
ち、弾性体に存在する2種類の振動のうち、弾性体と相
対運動部材との間で動力の断続機構として作用する屈曲
振動は、節円数m個,節直径数n個の2次元屈曲振動で
あって定在波であるため、必ず特定の定在位置に振動の
節を有する。したがって、前述の特定の定在位置である
節円上及び節直径上の片方又は両方において、弾性体を
支持部材により支持することにより、弾性体の振動阻害
をできるだけ低減できる。
【0017】請求項1の発明は、駆動電圧の印加により
励振される電気−機械エネルギー変換素子を一方の平面
に接合される円環状の弾性体と,前記弾性体の他方の平
面に加圧接触される相対運動部材と,前記弾性体の前記
一方の平面に設けられ、前記弾性体を支持する支持部材
とを備え、前記電気−機械エネルギー変換素子の励振に
より前記弾性体に、前記相対運動部材との接触面を含む
方向への第1振動モードと前記接触面に交差する方向へ
振幅する節円数m個,節直径数n個の屈曲振動である第
2振動モードとを発生させて、前記弾性体の前記接触面
に、前記弾性体と前記相対運動部材との間に相対運動を
行わせる振動を生じる超音波アクチュエータであって、
前記支持部材は、前記弾性体における前記第2振動モー
ドの節円上及び/又は節直径上に設置されることを特徴
とする。
【0018】請求項2の発明は、駆動電圧の印加により
励振される電気−機械エネルギー変換素子を一方の平面
に接合される円環状の弾性体と,前記弾性体の他方の平
面に加圧接触される相対運動部材と,前記弾性体の前記
一方の平面に設けられ、前記弾性体を支持する支持部材
とを備え、前記電気−機械エネルギー変換素子の励振に
より前記弾性体に、前記相対運動部材との接触面を含む
方向への第1振動モードと前記接触面に交差する方向へ
振幅する節円数m個,節直径数n個の屈曲振動である第
2振動モードとを発生させて、前記弾性体の前記接触面
に、前記弾性体と前記相対運動部材との間に相対運動を
行わせる振動を生じる超音波アクチュエータであって、
前記支持部材は、前記弾性体の平面における前記第2振
動モードの節円及び節直径それぞれの交点上に設置され
ることを特徴とする。
【0019】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
の発明において、前記電気−機械エネルギー変換素子
は、それぞれ独立して制御される4つの扇形の電気−機
械エネルギー変換素子からなることを特徴とする。
【0020】請求項4の発明は、請求項1ないし請求項
3のいずれかの発明において、扇形の前記電気−機械エ
ネルギー変換素子それぞれは、前記支持部材の設置位置
を除く位置に配置されることを特徴とする。
【0021】請求項5の発明は、請求項1ないし請求項
4のいずれかの発明において、前記支持部材は、前記弾
性体を前記相対運動部材に向けて加圧することを特徴と
するものである。
【0022】請求項6の発明は、請求項1ないし請求項
5のいずれかの発明において、前記第1振動モードは、
前記弾性体を拡径方向及び縮径方向へ変位させる振動モ
ードであることを特徴とする。
【0023】請求項7の発明は、請求項1ないし請求項
5のいずれかの発明において、前記第1振動モードは、
前記弾性体を非軸対称方向へ変位させる振動モードであ
ることを特徴とする。
【0024】
【作用】請求項1の発明によれば、弾性体の支持部材
が、弾性体における第2振動モードの節円上及び節直径
上の片方又は両方に設置されるため、弾性体の振動阻害
ができるだけ低減されるようになる。
【0025】請求項2の発明によれば、弾性体の支持部
材が、弾性体における第2振動モードの節円及び節直径
それぞれの交点上に設置されるため、弾性体の振動阻害
ができるだけ低減されるようになる。
【0026】請求項3の発明によれば、請求項1又は請
求項2の発明において、それぞれ独立して制御される4
つの扇形の電気−機械エネルギー変換素子を有するた
め、弾性体と相対運動部材との間で2次元に相対運動を
生じるようになる。
【0027】請求項4の発明によれば、請求項1ないし
請求項3のいずれかの発明において、扇形の電気−機械
エネルギー変換素子それぞれは、支持部材の設置位置を
除く位置に配置されるために、弾性体が導電性を有する
場合における短絡が防止されるようになる。
【0028】請求項5の発明によれば、請求項1ないし
請求項4のいずれかの発明において、支持部材は、弾性
体を相対運動部材に向けて加圧するため、支持部材が加
圧も兼用して行うようになる。
【0029】請求項6の発明によれば、請求項1ないし
請求項5のいずれかの発明において、第1振動モードは
弾性体を拡径方向及び縮径方向へ変位させる振動モード
であるため、弾性体は、この第1振動モード(S次拡が
り振動)と第2振動モード(節円数m個,節直径数n個
の2次元屈曲振動)との縮退により、相対運動部材との
間で相対運動を生じるようになる。
【0030】請求項7の発明によれば、請求項1ないし
請求項5のいずれかの発明において、第1振動モードは
弾性体を非軸対称方向へ変位させる振動モードであるた
め、弾性体は、この第1振動モード{((N,M))−
((N,M))’次非軸対称振動}と第2振動モード
(節円数m個,節直径数n個の2次元屈曲振動)との縮
退により、相対運動部材との間で相対運動を生じるよう
になる。
【0031】
【実施例】
(第1実施例)以下、図面等を参照して、本実施例につ
いて、さらに詳しく説明する。
【0032】図1ないし図5は、第1実施例で用いる超
音波アクチュエータ本体を示した図であって、図1は超
音波アクチュエータ本体の構成を示す模式図、図2は弾
性体と圧電素子とを示す斜視図、図3は弾性体を説明す
る線図、図4は駆動力取出部材を説明する図、図5は動
作を説明する線図である。
【0033】本実施例では、相対運動部材との接触面を
含む方向への第1振動モードとこの接触面に交差する方
向へ振幅する節円数m個,節直径数n個の屈曲振動であ
る第2振動モードとの合成振動を生じる弾性体として、
R1−B21モードを生じる弾性体を用いた。
【0034】すなわち、この超音波アクチュエータ10
は、弾性体11と,弾性体11の上面に例えば接着によ
り接合された、電気−機械エネルギー変換素子である4
枚の圧電素子21a,21b,22a,22bと,弾性
体11の下面に突起状に形成された4個の駆動力取出部
材31〜34等から構成される。
【0035】弾性体11は、図2に示すように、円環状
の弾性部材であって、金属又はプラスチック等によって
作製される。この弾性体11は、図3に説明するよう
に、円環の寸法を設定することにより、第1振動モード
である伸縮運動(R1モード:面方向への拡径及び縮径
振動)と、第2振動モードである2次の屈曲振動(B21
モード)とを一致させることができる。本実施例では、
弾性体11の内側の孔の径bを調整することにより実現
する。
【0036】図3の横軸は、図2に示す弾性体11の外
径2aと内径2bとの比y=b/aを示しており、0の
位置では孔が開いておらず、1に近づくにしたがって孔
が大きくなっていく。
【0037】また、縦軸は、B21モードの共振周波数ω
21に対するR1モードの共振周波数ω00の比、すなわち
ω21/ω00={α21/[2.05・(3)1/3 ]}・
(h/2a)を示す。
【0038】ここで、図3の曲線(A)はR1モードを
示し、曲線(B),曲線(C)及び曲線(D)はB21
ードを示し、h(円板の板厚)/2a(円環の外径)の
値を、3/40,2.5/40,及び2/40と異なら
せたものである。
【0039】図3から明らかなように、板厚h=2.5
mm,外径2a=40mmの場合に、y=0.6付近で
縮退が可能である。本実施例では、R1モード(第1振
動モード)とB21モード(第2振動モード)とを縮退さ
せる例で説明し、R1−B21モードのときの節円11a
及び節直径11bが図1(A)又は図4(A)に示され
ている。
【0040】圧電素子21a,21b,22a,22b
それぞれは、図2に示すように、四半円環状をしてお
り、PZT等により作製される。圧電素子21a,21
b,22a,22bは、図1(B)に示すように分極さ
れており、2相の入力電圧A,Bが印加される。
【0041】弾性体11のもう一方の平面に突起状に形
成された駆動力取出部材31〜34は、弾性体11の屈
曲振動と伸縮振動との合成振動により発生する楕円運動
を取り出す部分であり、相対運動部材である固定部材と
接触しながら、弾性体11を相対移動させる。
【0042】駆動力取出部材31〜34は、図1(A)
に示すように、弾性体11の下面であってその外縁部の
4箇所に90度毎に設けられる。駆動力取出部材31〜
34は、耐磨耗性を向上させるために、先端部に窒化珪
素等からなる球体を取り付けている。
【0043】これらの駆動力取出部材31〜34は、駆
動力を効率よく取り出すために、縦振動の節となる位置
を避けて設けることがよく、図4(B),図4(C)及
び図4(D)に示す駆動力取出部材31,31−1又は
31−2のように、移動平面に対して略垂直方向の屈曲
振動モードの腹の位置にあることが最も好ましい。
【0044】この超音波アクチュエータ10は、図1
(B)に示すように、4つの圧電素子21a,21b,
22a,22bに高周波電圧A,Bを印加することによ
って、屈曲振動と伸縮運動との複合振動を起こし、これ
により駆動力取出部材31,32の先端に楕円運動を発
生させ、駆動力を発生させる。ここで、符号Gはグラン
ドである。また、4枚の圧電素子21a,21b,22
a,22bは、互いに極性が同一方向になるように分極
され、高周波電圧A,Bは、π/2の時間的位相差を有
する。なお、4つの圧電素子21a,21b,22a,
22bの分極は互いに逆方向であってもよい。
【0045】図1(A)において、発振器41は高周波
信号を発振するためのものであり、発振器41からの高
周波信号が分岐して、一方は、X方向用移相器42X,
Y方向用移相器42Yによって時間的にπ/2だけ移相
された後に、X方向用の増幅器43X,Y方向用の増幅
器43Yにそれぞれ接続され、他方は、X方向用の増幅
器44X,Y方向用の増幅器44Yにそれぞれ直接接続
される。
【0046】各増幅器43X,43Y,44X,44Y
は、切換スイッチ45を介して、圧電素子の各電極板2
1a,21b,22a,22bにそれぞれ接続される。
切換スイッチ45は、接点が全てX側(図1の破線の状
態)に切り換わっているときに、増幅器43Xの出力は
電極板21a,21bに接続され、増幅器44Xの出力
は電極板22a,22bに接続される。したがって、左
側の電極板21a,21bがグループ化されるととも
に、右側の電極板22a,22bがグループ化されるた
め、弾性体11はX方向への移動が可能となる。
【0047】同様にして、切換スイッチ45は、接点が
全てY側(図1の実線で示す状態)に切り換わっている
ときに、増幅器43Yの出力は電極板21a,22aに
接続されるとともに、増幅器44Yの出力は電極板21
b,22bに接続される。したがって、上側の電極板2
1a,22aがグループ化されるとともに、下側の電極
板21b,22bがグループ化されるため、弾性体11
はY方向への移動が可能となる。
【0048】図5(A)は、この超音波アクチュエータ
に入力される2相の高周波電圧A,Bの時間的変化を時
間t1 〜時間t9 で示す。図5(A)の横軸は、高周波
電圧の実効値を示す。図5(B)は、超音波アクチュエ
ータの断面の変形の様子を示し、超音波アクチュエータ
に発生する屈曲振動の時間的変化(時間t1 〜時間
9 )を示す。図5(C)は、超音波アクチュエータの
断面の変形の様子を示し、超音波アクチュエータに発生
する伸縮振動の時間的変化(時間t1 〜時間t9 )を示
す。図5(D)は、超音波アクチュエータの駆動力取出
部材31,32に発生する楕円運動の時間的変化(時間
1 〜時間t9 )を示す。
【0049】次に、本実施例の超音波アクチュエータ1
0の動作を、時間t1 ないし時間t9 について説明す
る。なお、説明の便宜上、図5ではX方向への移動の際
の状況を例にとって説明するが、Y方向についても全く
同様である。
【0050】時間t1 において、図5(A)に示すよう
に、高周波電圧Aは正の電圧を発生し、同様に高周波電
圧Bは同一の正の電圧を発生する。図5(B)に示すよ
うに、高周波電圧A,Bによる屈曲振動は互いに打ち消
し合い、質点Y1と質点Z1とがともに振幅零となる。
また、図5(C)に示すように、高周波電圧A,Bによ
る伸縮振動は伸張する方向に発生する。質点Y2と質点
Z2とは矢印で示されるように、節Xを中心にして最大
の伸張を示す。その結果、図5(D)に示すように、上
記両振幅が複合され、質点Y1と質点Y2との運動の合
成が質点Yの運動となり、また、質点Z1と質点Z2と
の運動の合成が質点Zの運動となる。
【0051】時間t2 において、図5(A)に示すよう
に、高周波電圧Bは零となり、高周波電圧Aは正の電圧
を発生する。図5(B)に示すように、高周波電圧Aに
よる屈曲振動が発生し、質点Y1が負方向に振幅し、質
点Z1が正方向に振幅する。また、図5(C)に示すよ
うに、高周波電圧Aによる伸縮運動が発生し、質点Y2
と質点Z2とが時間t1 のときよりも縮む。その結果、
図5(D)に示すように、上記両振動が複合され、質点
Yと質点Zとが時間t1 のときよりも左回りに移動す
る。
【0052】時間t3 において、図5(A)に示すよう
に、高周波電圧Aは正の電圧を発生し、同様に高周波電
圧Bは同一の負の電圧を発生する。図5(B)に示すよ
うに、高周波電圧A及びBによる屈曲運動が合成されて
増幅され、質点Y1が時間t2 のときよりも負方向に増
幅され、最大の負の振幅値を示す。質点Z1が時間t2
のときよりも正方向に振幅され、最大の正の振幅値を示
す。また、図5(C)に示すように、高周波電圧A及び
Bによる伸縮運動が互いに打ち消しあい、質点Y2と質
点Z2とが元の位置に戻る。その結果、図5(D)に示
すように、上記両振動が複合されることにより、質点Y
と質点Zとが時間t2 のときよりも左回りに移動する。
【0053】時間t4 において、図5(A)に示すよう
に、高周波電圧Aは零となり、高周波電圧Bは負の電圧
を発生する。図5(B)に示すように、高周波電圧Bに
よる屈曲運動が発生し、質点Y1は時間t3 のときより
も振幅が低下し、質点Z1が時間t3 のときよりも振幅
が低下する。また、図5(C)に示すように、高周波電
圧Bによる伸縮運動が発生し、質点Y2と質点Z2とが
収縮する。その結果、図5(D)に示すように、上記両
振動が複合され、質点Yと質点Zとが時間t3のときよ
りも左回りに移動する。
【0054】時間t5 において、図5(A)に示すよう
に、高周波電圧Aは負の電圧を発生し、同様に高周波電
圧Bは同一の負の電圧を発生する。図5(B)に示すよ
うに、高周波電圧A,Bによる屈曲運動は互いに打ち消
し合い、質点Y1と質点Z1とが振幅零となる。また、
図5(C)に示すように、高周波電圧A,Bによる伸縮
運動は収縮する方向に発生する。質点Y2と質点Z2と
は矢印で示されるように、節Xを中心にして最大の収縮
を示す。その結果、図5(D)に示すように、上記両振
動が複合され、質点Yと質点Zとが時間t4 のときより
も左回りに移動する。
【0055】時間t6 〜時間t9 に変化するにしたがっ
て、上述の原理と同様に屈曲振動及び伸縮振動が発生
し、その結果、図5(D)に示すように、質点Y及び質
点Zが左回りに移動し、楕円運動をする。
【0056】以上の原理により、この超音波アクチュエ
ータ10は、駆動力取出部材31,32との先端に楕円
運動を発生させ、駆動力を発生させる。したがって、駆
動力取出部材31,32の先端を、相対運動部材である
固定部に加圧すると、弾性体11は、固定部に対して自
走する。
【0057】次に、本実施例において支持部材の弾性体
への接触位置について説明する。図6は、この超音波ア
クチュエータ10をX方向に駆動する場合において、弾
性体11に生じる、節円数2個,節直径数1個の屈曲振
動モード(B21モード)の節円11a及び直径11b,
及び両節の交点51,53,55及び57の位置を示す
平面図である。
【0058】一方、図7は、この超音波アクチュエータ
10をY方向に駆動する場合において、弾性体11に生
じる、節円数2個,節直径数1個の屈曲振動モード(B
21モード)の節円11a及び節直径11b,及び両節の
交点52,54,56及び58の位置を示す平面図であ
る。
【0059】さらに、図8は、これらの節円11a,節
直径11b,及び両節の交点51〜58を全て重ね合わ
せて表示した平面図である。なお、交点51〜88は同
時に存在するものではなく、X方向駆動時には交点5
1,53,55及び57が、Y方向駆動時には交点5
2,54,56及び58がそれぞれ現れる。
【0060】これらの節円11a,節直径11b,及び
両節の交点51〜58は、屈曲振動モードの振動の節と
なるため、これらの位置で支持を行うことにより、弾性
体11に生じる振動阻害をできるだけ抑制できる。
【0061】なお、図8においては、X方向及びY方向
それぞれに対しての支持を均等にすることにより駆動方
向による違いを解消する観点から、図中の丸印の位置、
つまりX方向駆動時の節円11a及び節直径11bの交
点51,53,55及び57上と、Y方向駆動時の節円
11a及び節直径11bの交点52,54,56及び5
8上とから均等に支持位置を選択することが望ましい。
【0062】例えば、交点51,52,53及び54,
もしくは節点51,52,53,54,55,56,5
7及び58を支持位置として選択することが望ましい。
図9は、本実施例において、弾性体を支持する支持棒の
設置状況を示す縦断面図であり、図10は、図9におけ
るI−I断面図である。
【0063】図9及び図10に示すように、弾性体11
に接合された4枚の圧電素子21a,21b,22a及
び22bの接合面側には、支持棒61ないし64が垂設
される。支持棒61ないし64は、図10に示すよう
に、四半円状の圧電素子21aないし22dそれぞれの
間に配置される。支持棒61ないし64が導電性を有す
る場合の短絡防止の観点から圧電素子21aないし22
dには接触しないように配置される。支持棒61ないし
64それぞれの他端は、固定面65に対して垂設され
る。
【0064】さらに、支持棒61ないし64に支持され
た弾性体11の他方の平面に設けられた駆動力取出部3
1ないし34の先端が相対運動部材である平板状の駆動
対象60に接触する。
【0065】そして、図示しない駆動源から圧電素子2
1aないし22dに駆動電圧を印加されることにより、
弾性体11に第1振動モードである伸縮運動(R1モー
ド:面方向への拡径及び縮径振動)と、第2振動モード
である2次の屈曲振動(B21モード)とが発生して縮退
を生じ、駆動力取出部31ないし34に楕円運動を生
じ、駆動対象60との間で相対運動を生じる。
【0066】この相対運動の際に、弾性体11はB21
ードの節位置で支持棒61ないし64により支持されて
おり、振動阻害を生じることができるだけ抑制され、高
い駆動効率が得られる。
【0067】なお、本実施例では、節円数2個,節直径
数1個の2次元屈曲振動を利用したRS −Bmn型超音波
アクチュエータを用いたが、本発明は節円数2個,節直
径数1個の場合に限定されるものではなく、第1振動モ
ードとしての拡がり振動と第2振動モードとしての2次
元屈曲振動とを利用したRS −Bmn型超音波アクチュエ
ータを、2次元屈曲振動の節位置において支持する超音
波アクチュエータについて等しく適用できる。
【0068】(第2実施例)図11は、図9及び図10
に示す超音波アクチュエータの支持部材の改良例であ
る。なお、図9及び図10に示す超音波アクチュエータ
と同一部分については同一の符号を付すことにより適宜
説明を省略する。
【0069】図11に示す超音波アクチュエータ10−
1においては、支持部材61〜64は固定面65に直接
取り付けられるのではなく、対向して設置された一対の
加圧ばね保持枠67により保持される加圧ばね68を介
して取り付けられており、支持部材61〜64は弾性体
11の駆動対象60への加圧力調整も兼ねる。
【0070】また、駆動対象60の駆動方向をガイドす
るとともに駆動時の摺動抵抗をできるだけ低減するた
め、固定面66に先端が球形に加工された加圧対象支持
台69を設けておき、この加圧対象支持台69が駆動対
象60を案内する。
【0071】このように構成することにより、支持部材
61〜64以外に加圧機構を設ける必要がなくなって構
造が簡素化できるとともに、駆動対象60を確実に搬送
することができる。
【0072】(第3実施例)図12ないし図15は、い
ずれも本発明にかかる超音波アクチュエータの第3実施
例を示した図であって、図12(A)は全体の構成を示
す正面図,図12(B)及び図12(C)はともに全体
の構成を示す側面図であり、図13は弾性体と圧電素子
とを示す斜視図、図14は制御回路をあわせて示す正面
図,図15は動作を説明する線図である。
【0073】本実施例の第1実施例に対する相違点は、
主に、用いる超音波アクチュエータが、RS −Bmn型で
はなく((N,M))−((N,M))’−Bmn型であ
る点である。そこで、本実施例に用いる超音波アクチュ
エータについて詳しく説明し、共通する点については適
宜説明を省略する。
【0074】本実施例の超音波アクチュエータ10−2
は、弾性体11−2と,弾性体11−2の上面に例えば
貼付されて接合される4枚の電気−機械エネルギー変換
素子である圧電素子21−1a,21−1b,22−1
a,22−1bと,弾性体11−2の下面に突起状に形
成された4個の駆動力取出部材31〜34等から構成さ
れる。
【0075】なお、本実施例では圧電素子21−1a,
21−1b,22−1a,22−1bを全て同一面に貼
付したが、圧電素子21−1a,21−1bと圧電素子
22−1a,22−1bとを弾性体の両面に貼付するよ
うにしてもよい。
【0076】弾性体11−2は、図13に示すように、
円環状の弾性部材であって、例えば金属又はプラスチッ
ク等の弾性材料により製作される。弾性体11−2は、
図13に示すように、円環の寸法(外径:2a,内径:
2b,板厚:t)を、例えば後述するような範囲に設定
することにより、第1振動モードである非軸対称振動
〔((1,1))−((1,1))' モード:面内振
動〕と,第2振動モードである2次の屈曲振動(B12
ード)とを一致させることができる。
【0077】すなわち、本発明者らの確認結果によれ
ば、例えば、駆動周波数f=40〜60kHzの場合に
は、外径2a=40〜50mm,板厚t=1.5〜2.
0mm,内径2b/外径2a=0.4〜0.6の範囲
で、非軸対称振動〔((1,1))−((1,1))'
モード:面内振動〕と,2次の屈曲振動(B12モード)
とを一致させて、縮退が可能となる。
【0078】本実施例では、((1,1))−((1,
1))' モードとB12モードとを縮退させる例で説明
し、このときのB12モードの屈曲振動の節円11a及び
節直径11bを図12(A)に破線で示す。
【0079】圧電素子21−1a,21−1b,22−
1a,22−1bは、図13に示すように、本実施例で
は四半円環状をしており、PZT等により製作される。
圧電素子21−1a,21−1b,22−1a,22−
1bは分極されており、それぞれに2相の入力電圧A,
Bが印加される。
【0080】駆動力取出部材31〜34は、弾性体11
−2の非軸対称振動と屈曲振動との合成振動により発生
する楕円運動を取り出して、固定部材65(相対運動部
材)と接触しながら相対運動する。駆動力取出部材31
〜34は、図1(A)に示すように、弾性体11−2の
下面であって、その外縁部近傍の4箇所に90°毎に等
間隔で設けられる。駆動力取出部材31〜34は、耐磨
耗性を向上させるために、窒化珪素等の球体を先端部に
取り付けている。
【0081】特に、本実施例では、駆動力取出部材31
〜34は、X方向及びY方向の2方向に対して均等な駆
動力が得られるように、その接触部形状が球体や楕円体
等の曲面体の一部であることが望ましい。
【0082】なお、圧電素子21−1a,21−1b,
22−1a,22−1bは、駆動力取出部材31〜34
と同一平面側に設けてもよいが、この場合には、駆動力
取出部材31〜34が導電性を有するときにも短絡を防
止するため、圧電素子21−1a,21−1b,22−
1a,22−1bの表面に絶縁部材を介して接合してお
くことが望ましい。
【0083】これらの駆動力取出部材31〜34は、駆
動力を効率よく取り出すために、屈曲振動の節となる位
置を避けて設けることがよく、図12(A)に示す駆動
力取出部材31〜34のように、屈曲振動モードにより
生じる、移動平面に対して略垂直方向の上下振動の腹の
位置とすることが好ましい。
【0084】この超音波アクチュエータ10−2は、4
つの圧電素子21−1a,21−1b,22−1a,2
2−1bに高周波電圧A,Bを印加することによって、
非軸対称振動と屈曲振動との複合振動を起こし、これに
より駆動力取出部材31〜34の先端に楕円運動を発生
させ、駆動力を発生させる。また、4つの圧電素子21
−1a,21−1b,22−1a,22−1bは、互い
に極性が同一方向になるように分極され、高周波電圧A
及びBはπ/2の時間的位相差を有する。なお、4つの
圧電素子21−1a,21−1b,22−1a,22−
1bの分極は互いに逆方向であってもよい。
【0085】図14において、発振器41−2は高周波
信号を発振するためのものであり、また、駆動回路は、
発振器41−2からの高周波信号が分岐して、一方は、
X方向用移相器42−2X,Y方向用移相器42−2Y
によって時間的にπ/2だけ移相された後に、X方向用
増幅器43−2X,Y方向用増幅器43−2Yに接続さ
れ、他方は、X方向用増幅器44−2X,Y方向用増幅
器44−2Yに直接接続される。
【0086】各増幅器43−2X,Y方向用増幅器43
−2Y,X方向用増幅器44−2X,Y方向用増幅器4
4−2Yは、切換スイッチ45−2を介して、それぞれ
圧電素子21−1a,21−1b,22−1a,22−
1bに接続される。
【0087】切換スイッチ45−2は、接点が全てX側
に切り換わっているときに、増幅器43−2Xの出力は
圧電素子21−1aに接続されるとともに増幅器44−
2Xの出力は圧電素子22−1aに接続される。したが
って、X方向について対向する圧電素子21−1a及び
22−1aがグループ化されるため、超音波アクチュエ
ータ10−2は±X方向への一次元の移動が可能とな
る。
【0088】同様にして、切換スイッチ45−2は、接
点が全てY側に切り換わっているときに、増幅器43−
2Yの出力は圧電素子21−1bに接続されるとともに
増幅器44−2Yの出力は圧電素子22−1bに接続さ
れる。したがって、Y方向について対向する圧電素子2
1−1b及び22−1bがグループ化されるため、±Y
方向への一次元の移動が可能となる。
【0089】図15(A)は、この超音波アクチュエー
タ10−2に入力される2相の高周波電圧A,Bの時間
的変化を時間t1 ないし時間t9 について示す。図15
(A)の横軸は、高周波電圧の実効値を示す。図15
(B)は、超音波アクチュエータの側面の変形の様子を
示し、超音波アクチュエータに発生する屈曲振動の時間
的変化を時間t1 ないし時間t9 について示す。図15
(C)は、超音波アクチュエータの側面の変形の様子を
示し、超音波アクチュエータに発生する非軸対称振動の
時間的変化を時間t1 ないし時間t9 について示す。さ
らに、図15(D)は、超音波アクチュエータの質点
X,質点Y及び質点Zにおける楕円運動の時間的変化を
時間t1 ないし時間t9 について示す。
【0090】次に、本実施例の超音波アクチュエータ1
0−2の動作を、図15を参照しながら時間的変化(t
1 〜t9 )毎に説明する。時間t1 において、図15
(A)に示すように、高周波電圧Aは正の電圧を発生
し、同様に高周波電圧Bは同一の正の電圧を発生する。
図15(B)に示すように、高周波電圧A,Bによる屈
曲振動は互いに増幅し合い、質点X1及び質点Z1は最
大の負の振幅を示し、質点Y1は最大の正の振幅を示
す。図4(C)に示すように、高周波電圧A,Bによる
非軸対称振動の振幅は零であり、質点X2,質点Y2及
び質点Z2それぞれの振幅は零である。その結果、図1
5(D)に示すように、上記両振幅が複合され、質点X
1及び質点X2の運動の合成が質点Xの運動となり、質
点Y1及び質点Y2の運動の合成が質点Yの運動とな
り、さらに、質点Z1及び質点Z2の運動の合成が質点
Zの運動となる。
【0091】時間t2 において、図15(A)に示すよ
うに、高周波電圧Bは零となり、高周波電圧Aは正の最
大電圧を発生する。図15(B)に示すように、高周波
電圧Aによる屈曲振動の振幅は減少するとともに高周波
電圧Bによる屈曲振動の振幅は零となり、質点X1,質
点Y1及び質点Z1それぞれの変位は減少する。図15
(C)に示すように、高周波電圧Aによる非軸対称運動
の振幅が発生し、質点X2及び質点Z2が図面上右方に
変位するとともに質点Y2が図面上左方に変位する。そ
の結果、図15(D)に示すように、上記両振動が複合
され、質点X,質点Y及び質点Zはともに時間t1 より
も左回りに楕円運動する。
【0092】時間t3 において、図15(A)に示すよ
うに、高周波電圧Aは正の電圧を発生し、同様に高周波
電圧Bは同一の負の電圧を発生する。図15(B)に示
すように、高周波電圧A及びBによる屈曲運動は互いに
打ち消し合って振幅零となり、質点X1,質点Y1及び
質点Z1それぞれの変位は零となる。図15(C)に示
すように、高周波電圧A及びBによる非軸対称運動によ
り、質点X2及び質点Z2が図面上さらに右方に最大に
変位するとともに質点Y2が図面上さらに左方に最大に
変位する。その結果、図15(D)に示すように、上記
両振動が複合されることにより、質点X,質点Y及び質
点Zはともに時間t2 よりもさらに左回りに移動する。
【0093】時間t4 において、図15(A)に示すよ
うに、高周波電圧Aは零となるとともに高周波電圧Bは
負の最大値となる。図15(B)に示すように、高周波
電圧Bによる屈曲振動の振幅は増加し、質点X1,質点
Y1及び質点Z1それぞれの変位は増加する。図15
(C)に示すように、高周波電圧A及びBによる非軸対
称運動により質点X2及び質点Z2の図面上右方への変
位量が減少するとともに質点Y2の図面上左方への変位
量も減少する。その結果、図15(D)に示すように、
上記両振動が複合され、質点X,質点Y及び質点Zはと
もに時間t3 よりもさらに左回りに移動する。
【0094】時間t5 において、図15(A)に示すよ
うに、高周波電圧Aは負の電圧を発生し、同様に高周波
電圧Bは同一の負の電圧を発生する。図15(B)に示
すように、高周波電圧A,Bによる屈曲運動は互いに増
幅し合い、質点X1,質点Y1及び質点Z1それぞれが
最大振幅となる。図15(C)に示すように、高周波電
圧A及びBによる非軸対称運動の振幅はさらに減少し、
質点X1,質点X2及び質点Z2の変位量がいずれも零
となる。その結果、図15(D)に示すように、上記両
振動が複合され、質点X,質点Y及び質点Zが時間t4
のときよりも左回りに移動する。
【0095】以下、時間t6 〜時間t9 に変化するにし
たがって、上述の原理と同様に屈曲振動及び非軸対称振
動が発生し、その結果、図15(D)に示すように、質
点X,質点Y及び質点Zが左回りに移動し、楕円運動を
する。
【0096】以上の原理により、この超音波アクチュエ
ータ10−2は、駆動力取出部材31〜34それぞれの
先端に図15(D)に示すような楕円運動を発生させ、
駆動力を発生させる。したがって、駆動力取出部材31
〜34それぞれの先端を相対運動部材である固定部材6
5に加圧すると、弾性体11−2は、固定部材65に対
して自走する。
【0097】すなわち、図15(D)に示すように、時
間t1 ないし時間t3 においては、質点32及び質点3
4が左回りに楕円運動を生じながら接触するため、弾性
体11−2は図面上左方向に移動する。
【0098】時間t3 ないし時間t7 においては、質点
32及び質点34が左回りに楕円運動を生じながら接触
するため、弾性体11−2は図面上左方向に移動する。
さらに、時間t7 ないし時間t9 においては、質点32
及び質点34が左回りに楕円運動を生じながら接触する
ため、弾性体11−2は図面上左方向に移動する。
【0099】以降、このような動作を繰り返すことによ
り、弾性体11−2は図面上左方向に移動する。一方、
図16は、この超音波アクチュエータ10−2を駆動す
るときに励振される弾性体11−2に発生する、節円数
1個,節直径2個の2次元屈曲振動の節円11a及び節
直径11b、及び両節の交点61−1,62−1,63
−1,64−1の位置を示す平面図である。
【0100】これらの節円11a及び節直径11b,及
び両節の交点61−1,62−1,63−1,64−1
は、屈曲振動モードの振動の節となるため、これらの位
置で後述する支持棒61〜64を弾性体11−2に接触
させて支持を行うことにより、弾性体11−2に生じる
振動阻害をできるだけ少なくすることができる。
【0101】図17は、本実施例における支持棒の設置
状況を示す縦断面図である。同図に示すように、弾性体
11−2に接合された4枚の四半円状の圧電素子21−
1a,21−1b,22−1a,22−1bの接合面側
には、支持棒61〜64が設けられる。支持棒61〜6
4は、4枚の四半円状の圧電素子21−1a,21−1
b,22−1a,22−1bの間にそれぞれ配置されて
おり、圧電素子21−1a,21−1b,22−1a,
22−1bには接触しないように配置される。支持棒6
1〜64それぞれの他端は、固定面65に固設される。
【0102】さらに、支持棒61〜64に支持された弾
性体11−2の駆動力取出部31ないし34が相対運動
部材である平板状の駆動対象60に接触する。そして、
図示しない駆動源から圧電素子21−1a,21−1
b,22−1a,22−1bに駆動電圧を印加されるこ
とにより、弾性体11−2に非軸対称振動((1,
1))−((1,1))' モードと、2次の屈曲振動
(B21モード)とが発生して縮退を生じ、駆動力取出部
31〜34に楕円運動を生じ、駆動対象60との間で相
対運動を生じる。
【0103】この相対運動の際に、弾性体11はB21
ードの節位置で支持棒61〜64により支持されてお
り、振動阻害を生じることができるだけ抑制され、高い
駆動効率が得られる。
【0104】このようにして、平面内を1次元に移動可
能であって、例えばレンズ鏡筒といった円筒形状の部分
にも容易に組み込むことができる超音波アクチュエータ
10−2を提供することができる。
【0105】なお、本実施例では、節円数1個,節直径
数2個の2次元屈曲振動を利用した((N,M))-(( N,
M))’−Bmn型超音波アクチュエータを用いたが、本発
明は節円数1個,節直径数2個の場合に限定されるもの
ではなく、非軸対称振動と2次元屈曲振動を利用した
((N,M))-(( N,M))’−Bmn型超音波アクチュエー
タを、2次元屈曲振動の節位置において支持することに
等しく適用できる。
【0106】(変形例)以上説明した実施例に限定され
ることなく、種々の変形や変更が可能であって、それら
も本発明の範囲内である。
【0107】例えば、電気−機械エネルギー変換素子と
して圧電素子を用いたが、電歪素子,磁歪素子等であっ
てもよい。本発明にかかる超音波アクチュエータに用い
る弾性体は、円環状であるため、例えばカメラのレンズ
鏡筒等へ適用して、振れ防止装置の駆動源として用いる
ことも可能である。その他に、顕微鏡用XYステージ,
プロッター用紙の送り装置等に好適に利用できる。
【0108】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、弾性体の支持
部材が、弾性体における第2振動モードの節円上及び節
直径上の片方又は両方に設置されるため、弾性体を支持
することによる振動阻害をできるだけ低減でき、駆動効
率の低下をできるだけ少なくできる。
【0109】請求項2の発明によれば、弾性体の支持部
材が、弾性体における第2振動モードの節円及び節直径
それぞれの交点上に設置されるため、弾性体を支持する
ことによる振動阻害をできるだけ低減でき、駆動効率の
低下をできるだけ少なくできる。
【0110】請求項3の発明によれば、請求項1又は請
求項2の発明において、それぞれ独立して制御される4
つの扇形の電気−機械エネルギー変換素子を有するた
め、弾性体と相対運動部材との間で2次元に相対運動を
生じることができる。
【0111】請求項4の発明によれば、請求項1ないし
請求項3のいずれかの発明において、扇形の電気−機械
エネルギー変換素子それぞれは、支持部材の設置位置を
除く位置に配置されるため、弾性体が導電性を有する場
合の短絡を防止できる。
【0112】請求項5の発明によれば、請求項1ないし
請求項4のいずれかの発明において、支持部材は、弾性
体を相対運動部材に向けて加圧するため、支持部材を設
置することにより加圧部材を別個に設置する必要がなく
なる。
【0113】請求項6の発明によれば、請求項1ないし
請求項5のいずれかの発明において、第1振動モードは
弾性体を拡径方向及び縮径方向へ変位させる振動モード
であるため、弾性体は、相対運動部材との間で相対運動
を生じることができる。
【0114】請求項7の発明によれば、請求項1ないし
請求項5のいずれかの発明において、第1振動モードは
弾性体を非軸対称方向へ変位させる振動モードであるた
め、弾性体は、相対運動部材との間で相対運動を生じる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例における超音波アクチュエータ本体
の構成を示す模式図である。
【図2】第1実施例における弾性体と圧電素子とを示す
斜視図である。
【図3】第1実施例における弾性体を説明する線図であ
る。
【図4】第1実施例における駆動力取出部材を説明する
図である。
【図5】第1実施例の動作を説明する線図である。
【図6】第1実施例の超音波アクチュエータをX方向に
駆動する場合において、弾性体に生じる節円及び節直
径,及び両節の交点の位置を示す平面図である。
【図7】第1実施例の超音波アクチュエータをY方向に
駆動する場合において、弾性体に生じる節円及び節直
径,及び両節の交点の位置を示す平面図である。
【図8】第1実施例の節円,節直径,及び両節の交点を
全て重ね合わせて表示した平面図である。
【図9】第1実施例において、弾性体を支持する支持棒
の設置状況を示す縦断面図である。
【図10】図9におけるI−I断面図である。
【図11】第2実施例の超音波アクチュエータを示す断
面図である。
【図12】図12(A)は第3実施例の全体の構成を示
す正面図,図12(B)及び図12(C)はともに全体
の構成を示す側面図である。
【図13】第3実施例における弾性体と圧電素子とを示
す斜視図である。
【図14】第3実施例における制御回路をあわせて示す
正面図である。
【図15】第3実施例における動作を説明する線図であ
る。
【図16】第3実施例の超音波アクチュエータを駆動す
るときに励振される弾性体に発生する2次元屈曲振動の
節円及び節直径、及び両節の交点の位置を示す平面図で
ある。
【図17】第3実施例の超音波アクチュエータを示す断
面図である。
【符号の説明】
10,10−2 超音波アクチュエータ 11,11−2 弾性体 11a 節円 11b 節直径 21a,21b,22a,22b,21−1a,21−
1b,22−1a,22−1b, 圧電素子 31〜34,31−1,31−2 駆動力取出部 41,41−2 発振器 42X,42−2X X方向用移相器 42Y,42−2Y Y方向用移相器 43X,44X,43Y,44Y,43−2X,44−
2X,43−2Y,44−2Y 増幅器 45,45−2 切換スイッチ 51〜58,61−1,62−1,63−1,64−1
交点 60 駆動対象 61〜64 支持部材 65 固定面 66 固定面 67 加圧ばね保持枠 68 加圧ばね 69 加圧対象支持台

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動電圧の印加により励振される電気−
    機械エネルギー変換素子を一方の平面に接合される円環
    状の弾性体と,前記弾性体の他方の平面に加圧接触され
    る相対運動部材と,前記弾性体の前記一方の平面に設け
    られ、前記弾性体を支持する支持部材とを備え、前記電
    気−機械エネルギー変換素子の励振により前記弾性体
    に、前記相対運動部材との接触面を含む方向への第1振
    動モードと前記接触面に交差する方向へ振幅する節円数
    m個,節直径数n個の屈曲振動である第2振動モードと
    を発生させて前記弾性体の前記接触面に、前記弾性体と
    前記相対運動部材との間に相対運動を行わせる振動を生
    じる超音波アクチュエータであって、 前記支持部材は、前記弾性体における前記第2振動モー
    ドの節円上及び/又は節直径上に設置されることを特徴
    とする超音波アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 駆動電圧の印加により励振される電気−
    機械エネルギー変換素子を一方の平面に接合される円環
    状の弾性体と,前記弾性体の他方の平面に加圧接触され
    る相対運動部材と,前記弾性体の前記一方の平面に設け
    られ、前記弾性体を支持する支持部材とを備え、前記電
    気−機械エネルギー変換素子の励振により前記弾性体
    に、前記相対運動部材との接触面を含む方向への第1振
    動モードと前記接触面に交差する方向へ振幅する節円数
    m個,節直径数n個の屈曲振動である第2振動モードと
    を発生させて前記弾性体の前記接触面に、前記弾性体と
    前記相対運動部材との間に相対運動を行わせる振動を生
    じる超音波アクチュエータであって、 前記支持部材は、前記弾性体の平面における前記第2振
    動モードの節円及び節直径それぞれの交点上に設置され
    ることを特徴とする超音波アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載された超音
    波アクチュエータにおいて、 前記電気−機械エネルギー変換素子は、それぞれ独立し
    て制御される4つの扇形の電気−機械エネルギー変換素
    子からなることを特徴とする超音波アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか1項
    に記載された超音波アクチュエータにおいて、 扇形の前記電気−機械エネルギー変換素子それぞれは、
    前記支持部材の設置位置を除く位置に配置されることを
    特徴とする超音波アクチュエータ。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか1項
    に記載された超音波アクチュエータにおいて、 前記支持部材は、前記弾性体を前記相対運動部材に向け
    て加圧することを特徴とする超音波アクチュエータ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    に記載された超音波アクチュエータにおいて、 前記第1振動モードは、前記弾性体を拡径方向及び縮径
    方向へ変位させる振動モードであることを特徴とする超
    音波アクチュエータ。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    に記載された超音波アクチュエータにおいて、 前記第1振動モードは、前記弾性体を非軸対称方向へ変
    位させる振動モードであることを特徴とする超音波アク
    チュエータ。
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