JP4054092B2 - アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクチュエータ、より詳しくは、電気−機械エネルギー変換素子を用いたアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気−機械エネルギー変換素子として例えば圧電素子を1つ用いて、2方向の駆動を行うアクチュエータは、従来より種々のものが提案されていて、例えば本出願人による特願平9−11424号に記載のものが挙げられる。
【0003】
この特願平9−11424号に記載の圧電アクチュエータは、1つの圧電素子にパルス電圧を印加することで振動部材を振動させて、この振動部材に圧接している可動部材を移動駆動可能な圧電アクチュエータにおいて、上記振動部材に第1の共振周波数の振動を発生させるように、上記圧電素子に第1のパルス電圧を印加し、また、上記振動部材に第2の共振周波数の振動を発生させるように、上記圧電素子に第2のパルス電圧を印加することが選択的に可能なパルス制御回路と、上記第1の共振周波数の場合には、上記可動部材を第1の方向へ駆動し、第2の共振周波数の場合には、上記可動部材を第1の方向と異なる第2の方向へ駆動するように、上記発生する振動を可動部材に伝達する駆動伝達手段とを備えたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特願平9−11424号に記載のものでは、振動体と被駆動体とを保持する手段や加圧する手段が記載されていない実施形態もあり、具体的な設計が困難であった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、振動体と被駆動体を保持することができる簡単な構成のアクチュエータを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の発明によるアクチュエータは、電気−機械エネルギー変換素子と、この電気−機械エネルギー変換素子が固着され、該電気−機械エネルギー変換素子に駆動電圧が印加されることにより、第1の振動モードによる第1の振動と第2の振動モードによる第2の振動とが選択的に励起される振動体と、この振動体上の、上記第1の振動が励起されている際には該振動の節となり、上記第2の振動が励起されている際には該振動の節以外となる部分に設けられた、第1の突起と、この振動体上の、上記第2の振動が励起されている際には該振動の節となり、上記第1の振動が励起されている際には該振動の節以外となる部分に設けられた、第2の突起と、上記振動体の第1および第2の突起に圧接され、該振動体に励起される振動により該振動体に対して移動される被駆動体と、上記振動体と被駆動体とを保持するとともに、上記被駆動体の上記振動体に対する移動方向を規制する固定部材と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明によるアクチュエータは、上記第1の発明によるアクチュエータにおいて、上記固定部材が単一の部材からなるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態のアクチュエータの基本的な第1の構成例を示すブロック図である。
【0013】
このアクチュエータは、パルス電圧を出力するパルス発生手段であるパルス制御回路1と、このパルス制御回路1からの出力を印加することにより伸縮動作を行う電気−機械エネルギー変換素子たる圧電素子2と、この圧電素子2の伸縮により振動を発生する振動体たる振動部材3と、この振動部材3に圧接している移動可能な被駆動体たる可動部材4と、この可動部材4の可動方向以外の動きを規制するものであって、上記振動部材3と可動部材4を加圧することにより摩擦力を発生させて可動方向に滑動することのないように固定する固定部材5とを有して構成されている。
【0014】
図2は、本発明の実施形態のアクチュエータの基本的な第2の構成例を示すブロック図である。
【0015】
このアクチュエータは、パルス電圧を出力するパルス発生手段であるパルス制御回路1と、このパルス制御回路1からの出力を印加することにより伸縮動作を行う圧電素子2と、この圧電素子2の伸縮により振動を発生する振動部材3と、この振動部材3に対して固定されることにより筒状の形状7を構成する固定部材6と、この筒状の形状7の内部を貫通されることにより、貫通方向以外の動きが規制されて該貫通方向にのみ移動可能となっていて、上記振動部材3および固定部材6との摩擦により貫通方向に滑動することのないように固定されている可動部材4とを有して構成されている。
【0016】
これら図1または図2に示したような構成の主な作用は、次のようになる。
【0017】
振動部材3は、少なくとも2つ以上の共振周波数を有している。これらの内の第1の共振周波数を発生させるパルス電圧をパルス制御回路1から圧電素子2に印加すると、振動部材3には該第1の共振周波数の振動が発生する。この振動により、振動部材3と可動部材4が圧接する個所には、第1の方向の力が発生して、可動部材4は第1の方向に移動する。
【0018】
一方、振動部材3に第2の共振周波数の振動を発生させた場合には、振動部材3と可動部材4が圧接する個所には、第2の方向の力が発生して、可動部材4は第2の方向に移動する。
【0019】
こうして、パルス制御回路1から圧電素子2に印加するパルス電圧の共振周波数を変化させることにより、異なる振動を振動部材3に発生させて、可動部材4を2方向に駆動することが可能となる。
【0020】
続いて、より具体的に構成した実施形態について説明する。
【0021】
図3は本発明の第1の実施形態を示したものであり、アクチュエータの構成を示す(A)正面図,(B)右側面図,(C)底面図である。
【0022】
このアクチュエータは、電気−機械エネルギー変換素子たる圧電素子11を接着した振動体たる振動部材12を、固定部材14を用いて被駆動体たる回転部材13に圧接して構成されている。
【0023】
より詳しくは、略直方体形状をなす振動部材12の一面に、複数の位置決め突起12eが突設されていて、これらの位置決め突起12eにより挟み込むようにして分極処理を施した略板状をなす圧電素子11が接着されている。
【0024】
また、振動部材12の圧電素子11が接着されたのと反対側の面には、図3(A)に示すように、上から下に向かって順に4つの突起12a,12b,12c,12dが突設されていて、これらの内の突起12a,12dは手前側に、突起12b,12cは向こう側に配列されている。
【0025】
このような振動部材12は、略コの字形状をなす固定部材14により挟み込まれるように保持されていて、この固定部材14にはさらに、一対のすり鉢状をなす凹部14a,14bが形成されて、これらの凹部14a,14bにより回転部材13の両端に設けられた先鋭端13a,13bを点受けして挟み込むことにより、該回転部材13を回動自在に保持している。
【0026】
この回転部材13の一端側には例えばはすば歯車13cが回動一体に取り付けられていて、発生した駆動力を他の部材に伝達することができるようになっている。
【0027】
上記固定部材14には一対のねじ15が貫通して螺合されていて、貫通された先端は圧電素子11に当接している。このねじ15の螺合量を調節することにより、振動部材12の4つの突起12a,12b,12c,12dが回転部材13の周面に当接するときの押圧力を適切なものに調整することができるようになっている。このときの押圧力としては、振動部材12に振動が発生していない場合には摩擦力により回転部材13の不用意な滑動を規制することができ、振動を発生させた場合には回転部材13を最も効率良く回転させることができるような押圧力に調整される。
【0028】
次にこのような第1の実施形態のアクチュエータの作用について説明する。
【0029】
上記パルス制御回路1(図1,図2参照)からのパルス電圧を圧電素子11に印加することにより、該圧電素子11が伸縮を行って、振動部材12に振動が発生する。このとき、パルス電圧の周波数を適切に選ぶことにより、振動部材12に発生する振動が定常波となる。
【0030】
上記突起12a,12dは、図3(A)に示すように、振動部材12に発生する定常波が3次の定常波であるときに節になり、5次の定常波であるときに腹となる位置に配設され、上記突起12b,12cは、振動部材12に発生する定常波が3次の定常波であるときに腹(節以外となる部分)になり、5次の定常波であるときに節となる位置に配設されている。
【0031】
そこで、3次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、突起12b,12cは回転部材13を押圧するが、突起12a,12dは節になるために押圧力を発生しない。これにより、図3(C)のような底面側から見た場合に、回転部材13は時計周りに回転する。
【0032】
同様に、5次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、突起12a,12dは回転部材13を押圧するが、突起12b,12cは節になるために押圧力を発生しない。これにより、図3(C)のような底面側から見た場合に、回転部材13は反時計周りに回転する。
【0033】
こうしてこのような第1の実施形態によれば、圧電素子を1つしか用いていないにも関わらず、定常波を発生させる周波数を変えることにより、回転部材を正逆の何れの方向にも回転させることが可能となる。また、回転部材の回転軸を固定する部材と、振動部材を位置決めして保持し加圧する部材とを兼用しているために、アクチュエータの小型化を図ることができる。
【0034】
なお、上述したような振動部材を、3次や5次の定常波で振動させるべく、圧電素子に高電圧の駆動パルスを印加するための回路は、例えば上記従来例において述べたような、本出願人による特願平9−11424号等に記載された技術を適用することができる。
【0035】
また、上述では電気−機械エネルギー変換素子として圧電素子を用いていたが、この圧電素子としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)やチタン酸バリウム等を適宜用いることが可能である。
【0036】
さらに、電気−機械エネルギー変換素子は圧電素子に限るものではなく、例えば電歪素子や磁歪素子を用いることも可能である。例えば、磁歪素子(特に超磁歪素子)を用いて磁力をパルス的に印加して、振動部材を3次や5次に定常振動させても良い。
【0037】
そして、上述した実施形態においては、分極処理を施した板状の圧電素子を用いたが、これを積層型の圧電素子や、積層型の電歪素子、積層型の磁歪素子を用いても良いことは勿論であり、バイモルフやモノモルフであっても構わない。
【0038】
加えて、上述では、圧電素子に印加する駆動信号の周波数を選択的に変更することによって、振動部材に励起する振動のモードを(3次と5次との間で)変更していたが、例えば分極方向が異なる複数枚の圧電素子を振動部材に固着して、これら複数枚の圧電素子の内の何れに駆動信号を印加するかを選択することにより、振動部材に励起する振動モードを変更するようにしても良い。
【0039】
また、上述では、3次と5次との間で振動モードを変更する場合について説明したが、例えば3次と7次との間、5次と7次との間等で振動モードを変更しても良く、変更する振動モードは限定されるものではない。ある周波数で節になり他の周波数で節以外になる位置に突起を配設するとともに、上記ある周波数で節以外になり上記他の周波数で節になる位置に突起を配設して、この突起に移動部材を加圧して固定することができればよい。
【0040】
突起12a,12b,12c,12dにおける回転部材13との接触部の形状は、回転軸と並行に構成しても良く、また、傾斜した形状やほぼ点接触する形状に構成しても良い。
【0041】
一方、振動部材や可動部材の材質は、表面を酸化膜処理したアルミニウムや各種の金属、または各種の複合樹脂等のさまざまな材質を、必要な強度や摩擦力を考慮して選択すると良い。
【0042】
図4は上述した第1の実施形態の変形例を示したものであり、アクチュエータの構成を示す(A)正面図,(B)右側面図,(C)底面図である。この変形例において、上述の第1の実施形態と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0043】
この変形例は、電気−機械エネルギー変換素子として積層型の圧電素子を用いたものである。
【0044】
振動部材12Aには矩形の切欠12fが形成されていて、この切欠12fに積層型の圧電素子11Aが嵌入されて、接着剤17によって固定されている。
【0045】
なお、この接着剤17としては、エポキシ樹脂系の接着剤や2液反応型アクリル接着剤等の、接着強度や耐久性が高く、そしてより重要な点として、硬度が高いものを用いている。これは、圧電素子11Aで発生した振動が吸収されることなく、つまりエネルギーのロスを可能な限り生じさせることなく、ほぼそのまま振動部材に伝播されることが望ましいためである。
【0046】
その他の部分については、上記図3に示した構成とほぼ同様である。
【0047】
次に、このような変形例の作用について説明する。
【0048】
積層型圧電素子11Aに駆動信号を印加することにより、上述した第1の実施形態と同様に、振動部材12Aに3次(もしくは5次)の振動モードによる定常波の振動が励起され、これが突起12a,12b,12c,12dを介して伝達されて、回転部材13が回転する。そして、振動モードを変更することにより、回転方向を選択することができる。
【0049】
このような変形例によれば、積層型の圧電素子を用いて、上述した第1の実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0050】
図5は本発明の第2の実施形態を示したものであり、アクチュエータの構成を示す(A)平面図,(B)回転部材を取り外した状態の左側面図,(C)正面図,(D)右側面図,(E)底面図である。
【0051】
この第2の実施形態において、上述の第1の実施形態等と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0052】
このアクチュエータは、圧電素子11を接着した振動部材22を、固定部材14を用いて回転部材13に圧接して構成されている。
【0053】
振動部材22の圧電素子11が接着されたのと反対側の面には、図5(B),図5(C)に示すように、上から下に向かって順に4つの略三角柱形状をなす突起22a,22b,22c,22dが、回転部材13の回転軸に対して略45度の角度をなすように突設されている。
【0054】
さらに、これらの内の突起22a,22dは互いに略直行する角度をなすような「ハ」の字型、突起22b,22cも互いに略直行する角度をなすような「ハ」の字型をそれぞれなし、突起22aと突起22cの傾斜方向は略並行であって、突起22bと突起22dの傾斜方向も略並行となるように配列されている。
【0055】
また、上記振動部材22は、回転部材13の一端側に固着されたはすば歯車13dに対する逃げ部22fが形成されている。
【0056】
次にこのような第2の実施形態のアクチュエータの作用について説明する。
【0057】
上記パルス制御回路1(図1,図2参照)からのパルス電圧を圧電素子11に印加することにより、該圧電素子11が伸縮を行って、振動部材22に振動が発生する。このとき、パルス電圧の周波数を適切に選ぶことにより、振動部材22に発生する振動が定常波となる。
【0058】
上記突起22a,22bは、図5(C)に示すように、振動部材22に発生する定常波が3次の定常波であるときと5次の定常波であるときとで振幅の膨らみ方の異なる位置に互いに逆側に傾いて配設され、上記突起22c,22dも同様に、振動部材22に発生する定常波が3次の定常波であるときと5次の定常波であるときとで振幅の膨らみ方の異なる位置に互いに逆側に傾いて配設されている。
【0059】
そこで、3次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、突起22aと突起22bが「ハ」の字を狭める方向の力を回転部材13に加え、同様に、突起22cと突起22dも「ハ」の字を狭める方向の力を回転部材13に加える。これにより、回転部材13は、図5(A)に示すような上側から見た場合に、時計周りに回転する。
【0060】
同様に、5次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、突起22aと突起22bが「ハ」の字を広げる方向の力を回転部材13に加え、同様に、突起22cと突起22dも「ハ」の字を広げる方向の力を回転部材13に加える。これにより、回転部材13は、図5(A)に示すような上側から見た場合に、反時計周りに回転する。
【0061】
このような第2の実施形態によれば、「ハ」の字型に配置した突起を用いて、上述した第1の実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0062】
なお、3次と5次との間で振動モードを変更するに限るものではなく、ある周波数と他の周波数で振幅の仕方が異なる個所に振幅に対して傾くように突起を配設して、この突起に移動部材を加圧して固定することができればよいこと等も、上述の実施形態と同様である。
【0063】
図6,図7は本発明の第3の実施形態を示したものであり、図6はアクチュエータの構成を示す正面図、図7はアクチュエータの構成を示す左側面図である。この第3の実施形態において、上述の第1,第2の実施形態と同様である部分については説明を省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0064】
このアクチュエータは、圧電素子31を接着した振動部材32を、固定部材34を用いて回転部材33に圧接して構成されている。
【0065】
より詳しくは、略直方体形状をなす振動部材32の一面に分極処理を施した略板状をなす圧電素子31が接着されている。
【0066】
このような振動部材32は、略コの字形状をなす固定部材34に対して図7に示すように略45度傾斜して保持されている。すなわち、上記固定部材34には傾斜凹部34cと波状突起34dが設けられていて、傾斜凹部34cにより振動部材32の傾斜角度を規定するとともに、波状突起34dは圧電素子31に当接している。
【0067】
上記固定部材34にはさらに、一対のすり鉢状をなす凹部34a,34bが形成されて、これらの凹部34a,34bにより回転部材33の両端に設けられた先鋭端33a,33bを点受けして挟み込むことにより、該回転部材33を回動自在に保持している。
【0068】
この回転部材33には大径部33cが回動一体に設けられていて、上記振動部材32の圧電素子31が接着されたのと反対側の面に押圧力をもって当接するようになっている。このときの押圧力は、振動部材32に振動が発生していない場合には摩擦力により回転部材33の不用意な滑動を規制することができ、振動を発生させた場合には回転部材33を最も効率良く回転させることができるような押圧力である。
【0069】
次にこのような第3の実施形態のアクチュエータの作用について説明する。
【0070】
上記パルス制御回路1(図1,図2参照)からのパルス電圧を圧電素子31に印加することにより、該圧電素子31が伸縮を行って、振動部材32に振動が発生する。このとき、パルス電圧の周波数を適切に選ぶことにより、振動部材32に発生する振動が定常波となる。
【0071】
上記回転部材33の大径部33cは、図7に示すように、3次の定常波であるときと5次の定常波であるときとで振幅の膨らみ具合の異なる振動部材32の場所に接している。
【0072】
そこで、3次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、振動部材32が回転部材33の大径部33cを押圧して、回転部材33を上側から見て時計周りに回転させる。
【0073】
同様に、5次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、振動部材32が回転部材33の大径部33cを押圧して、回転部材33を上側から見て反時計周りに回転させる。
【0074】
このような第3の実施形態によれば、振動部材を回転部材の回転軸に対して傾斜して配置することにより、上述の各実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0075】
なお、3次と5次との間で振動モードを変更するに限るものではなく、ある周波数と他の周波数で振幅の仕方が異なる個所に振幅に対して傾けて回転部材を配設し、この回転部材の大径部に振動部材を加圧して固定することができればよいこと等も、上述の実施形態と同様である。
【0076】
図8,図9は本発明の第4の実施形態を示したものであり、図8はアクチュエータを構成する振動部材および圧電素子を示す斜視図、図9はアクチュエータの構成を示す斜視図である。この第4の実施形態において、上述の第1から第3の実施形態と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0077】
この第4の実施形態は、上述した第2の実施形態の構成を応用したものであるが、可動部材を直線方向に駆動するようにした点が異なっている。
【0078】
アクチュエータを構成する振動部材22および圧電素子11は、図8に示すように、上述した第2の実施形態とほぼ同様である。
【0079】
このような振動部材22と略コの字形状をなす固定部材44を組み合わせて接着することにより、略矩形筒の形状を構成している。
【0080】
このような矩形筒の内部に、細長の板状をなす可動部材43が挿通されていて、これにより可動部材43は、一平面方向の移動を規制されて、図中の上下方向にのみ可動可能となっている。
【0081】
この可動部材43は、一側面が、振動部材22に設けられた4つの突起22a,22b,22c,22dに押圧力をもって接触するように構成されている。このときの押圧力は、振動部材22に振動が発生していない場合には摩擦力により可動部材43の不用意な滑動を規制することができ、振動を発生させた場合には可動部材43を最も効率良く移動させることができるような押圧力である。
【0082】
次にこのような第4の実施形態のアクチュエータの作用について説明する。
【0083】
上記パルス制御回路1(図1,図2参照)からのパルス電圧を圧電素子11に印加することにより、該圧電素子11が伸縮を行って、振動部材22に振動が発生する。このとき、パルス電圧の周波数を適切に選ぶことにより、振動部材22に発生する振動が定常波となる。
【0084】
上記突起22a,22bは、図8に示すように、振動部材22に発生する定常波が3次の定常波であるときと5次の定常波であるときとで振幅の膨らみ方の異なる位置に互いに逆側に傾いて配設され、上記突起22c,22dも同様に、振動部材22に発生する定常波が3次の定常波であるときと5次の定常波であるときとで振幅の膨らみ方の異なる位置に互いに逆側に傾いて配設されている。
【0085】
そこで、3次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、突起22aと突起22bが「ハ」の字を狭める方向の力を可動部材43に加え、同様に、突起22cと突起22dも「ハ」の字を狭める方向の力を可動部材43に加える。これにより、可動部材43は、図9において、下方向に駆動される。
【0086】
同様に、5次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、突起22aと突起22bが「ハ」の字を広げる方向の力を可動部材43に加え、同様に、突起22cと突起22dも「ハ」の字を広げる方向の力を可動部材43に加える。これにより、可動部材43は、図9において、上方向に駆動される。
【0087】
このような第4の実施形態によれば、上述の各実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、可動部材を直線方向に移動することが可能となる。
【0088】
図10から図37は本発明の第5の実施形態を示したものであり、この第5の実施形態において、上述の第1から第4の実施形態と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0089】
この第5の実施形態は、上述の各実施形態において述べたようなアクチュエータをカメラに適用した実施形態であり、ここでは、TTL方式(撮影レンズを通った光で測距をする方式)のオートフォーカス(AF)機構と、ポップアップ式のストロボとが設けられたズーム式のレンズシャッタカメラを例にとって説明する。
【0090】
図10はカメラの主として電気的な構成を示すブロック図である。
【0091】
このカメラには、被写体までの距離を測定する測距回路51と、被写体の輝度を測定する測光回路52と、撮影を指示入力するための2段スイッチでなる第1レリーズスイッチ53および第2レリーズスイッチ54と、撮影時にバリアの開閉を行うことによりオン/オフされるメインスイッチを兼ねたバリアスイッチ55と、フィルムを強制的に巻き戻すための強制リワインドスイッチ56と、セルフタイマ撮影を行うためのセルフスイッチ57と、通常の撮影フォーマットとパノラマ撮影フォーマットとを切り換えるためのパノラマスイッチ58とを有しており、これらの出力はCPU59に入力されるようになっている。
【0092】
さらに、このカメラの可動ユニットを駆動する駆動系は、USM制御回路60を介してCPU59により制御される7つの超音波モータ(USM)、つまり、フィルムマスクモータ62、AFミラーモータ65、レンズ駆動(LD)モータ68、ポップアップモータ71、ファインダモータ74、シャッタモータ77、ファインダマスクモータ80と、DCモータ制御回路61を介してCPU59により制御される2つのDCモータ、つまり、給送モータ83、ズームモータ86とを有している。
【0093】
上記フィルムマスクモータ62は、フィルムへの露光範囲を規制することにより撮影フォーマットを変更するためのフィルムマスク63を駆動するものであり、このフィルムマスク63の状態は、フィルムマスクフォトインタラプタ(フィルムマスクPI)64により透光状態と遮光状態の2値で検出されるようになっている。
【0094】
上記AFミラーモータ65は、撮影レンズからの光を上記測距回路51のAFセンサ部51a(図16参照)に導くためのAFミラー66を駆動するものであり、このAFミラー66の位置はAFミラーフォトリフレクタ(AFミラーPR)67により検出されるようになっている。
【0095】
上記LDモータ68は、撮影レンズのピント合わせ用のレンズ部であるLDユニット69を駆動するものであり、このLDユニット69の状態はLDフォトリフレクタ(LDPR)70により検出されるようになっている。
【0096】
上記ポップアップモータ71は、ストロボの発光部を内蔵するポップアップユニット72をカメラに収納される位置とカメラから突出する位置とに、例えば上下方向に駆動するものであり、このポップアップユニット72の位置はポップアップフォトリフレクタ(ポップアップPR)73により検出されるようになっている。
【0097】
上記ファインダモータ74は、撮影レンズのズームに合わせてファインダユニット75内のファインダレンズを駆動するものであり、このファインダユニット75の状態はファインダフォトインタラプタ(ファインダPI)76により検出されるようになっている。
【0098】
上記シャッタモータ77は、撮影レンズからの光をフィルム側へ通過させる時間とその口径を規定するシャッタユニット78を駆動するものであり、このシャッタユニット78の位置はシャッタフォトインタラプタ(シャッタPI)79により検出されるようになっている。
【0099】
上記ファインダマスクモータ80は、上記パノラマスイッチ58の状態に合わせて、ファインダ内をノーマル状態とパノラマ状態になるように、ファインダマスクユニット81を駆動するものであり、このファインダマスクユニット81の位置はファインダマスクフォトインタラプタ(ファインダマスクPI)82により検出されるようになっている。
【0100】
上記給送モータ83は、フィルムを給送するための給送ユニット84を駆動するものであり、この給送ユニット84によるフィルムの給送状態は、フィルムフォトリフレクタ(フィルムPR)85によりフィルムのパーフォレーションを検出することで行われるようになっている。
【0101】
上記ズームモータ86は、撮影レンズのズーム用のレンズ部であるズームユニット87を駆動するものであり、このズームユニット87の位置はズームフォトインタラプタ(ズームPI)88により検出されるようになっている。
【0102】
上述したような各フォトインタラプタやフォトリフレクタの出力は、波形整形回路89により波形整形された後に、上記CPU59に入力されて、上記各モータを制御するのに用いられるようになっている。
【0103】
次に、図11はこのカメラのメイン動作を示すフローチャートである。
【0104】
バリアの開閉に伴って変化する上記バリアスイッチ55による割込みによってこのメイン動作が始まると、バリアの開閉状態を判断して(ステップS1)、バリアが開いているときは、シャッタユニット78を閉じるとともに(ステップS2)、フィルムマスク63も閉じる(ステップS3)。なお、シャッタユニット78やフィルムマスク63がすでに閉じているときは、何も行わない。
【0105】
パノラマスイッチ58の入力を確認して(ステップS4)、ファインダユニット75をワイド位置に駆動し(ステップS5)、パノラマスイッチ58の状態に応じてファインダマスクユニット81を駆動した後に(ステップS6)、ズームユニット87をワイドに繰出す(ステップS7)。
【0106】
続いて、AFミラー66を下げて、測距回路51によるAFを可能な状態にし(ステップS8)、ストロボの発光部を含むポップアップユニット72をポップアップした後に(ステップS9)、ピント合わせ用のLDユニット69を繰込み方向に当て付ける(ステップS10)。
【0107】
続くステップS11からステップS23までがループ処理になる。
【0108】
まず、LCD等の外部表示装置、およびファインダ内の表示装置に必要な表示を行い(ステップS11)、ストロボ用のコンデンサを充電する(ステップS12)。
【0109】
そして、強制リワインドスイッチ56が押された(オンになった)か否かを検出し(ステップS13)、オンになったことを検出した場合には、フィルムの巻戻し(リワインド)を行ってから(ステップS14)、上記ステップS11に戻る。
【0110】
次に、強制リワインドスイッチ56が押されていない場合には、図示しない後蓋スイッチが開→閉になったか否かを検出し(ステップS15)、開→閉への変化を検出した場合には、フィルムのオートロードを行ってから(ステップS16)、上記ステップS11に戻る。
【0111】
さらに、後蓋スイッチが開→閉に変化したことが検出されない場合には、図示しないズームスイッチが操作されたか否かを検出し(ステップS17)、ズームスイッチの操作を検出した場合には、撮影レンズのズームユニット87を制御して駆動するとともに(ステップS18)、このズームユニット87のズーム位置に合わせてファインダユニット75をズーム制御し(ステップS19)、その後、上記ステップS11に戻る。
【0112】
続いて、ズームスイッチが操作されていない場合には、セルフスイッチ57がオンになったか否かを検出し(ステップS20)、オンになったことを検出する度に、セルフモードのオン/オフを変更して(ステップS21)、上記ステップS11に戻る。
【0113】
さらに、セルフスイッチ57がオンになっていない場合には、第1レリーズスイッチ53がオンになったか否かを検出し(ステップS22)、第1レリーズスイッチ53がオンになったことを検出した場合には、シャッタユニット78を駆動するレリーズ処理を行ってから(ステップS23)、また、第1レリーズスイッチ53がオフである場合にはそのまま、上記ステップS11に戻る。
【0114】
また、上記ステップS1においてバリアが閉じている状態にあることを検出した場合には、シャッタユニット78を閉じるとともに(ステップS24)、フィルムマスク63を閉じる(ステップS25)。なお、これらがすでに閉じているときは、何も行わない。
【0115】
パノラマスイッチ58の入力を確認して(ステップS26)、ファインダユニット75をワイド位置に駆動し(ステップS27)、ストロボの発光部を含むポップアップユニット72をポップダウンした後に(ステップS28)、AFミラー66を上げて(ステップS29)、ズームユニット87を駆動することにより撮影レンズを沈胴状態となるまで繰込んで(ステップS30)、その後、CPU59をストップ状態にする。
【0116】
次に、図12は、上記図11のステップS23におけるレリーズ処理の詳細を示すフローチャートである。
【0117】
このレリーズ処理が始まると、まず、シャッタユニット78を閉じる(ステップS31)。なお、シャッタユニット78がすでに閉じているときは、何も行わない。
【0118】
フィルムマスク63の位置検出を行い(ステップS32)、開いた位置にあることを検出した場合には、フィルムマスク63を閉じ(ステップS33)、閉じた位置にあることを検出した場合にはそのまま次のステップに進む。
【0119】
次に、ズームユニット87の位置検出を行い(ステップS34)、ズーム位置が非撮影域にあるのを検出した場合には、ズームユニット87をワイド位置に移動し(ステップS35)、撮影域にあるのを検出した場合にはそのまま次のステップに進む。
【0120】
AFミラー66の位置検出を行い(ステップS36)、これがAF可能なダウン位置にないのを検出した場合には、AFミラー66をダウンする(ステップS37)。
【0121】
これにより、撮影レンズから入射した光は、シャッタユニット78を通過した後に、フィルムマスク63によりフィルムへの到達を禁止されるとともに、AFミラー66により反射されて、AFセンサ部51a(図16参照)に到達するようになる。
【0122】
また、上記ステップS36において上記AFミラー36がダウン位置にあることを検出した場合には、そのまま次のステップに進んで、測距回路51により測距を行うとともに(ステップS38)、測光回路52により測光を行う(ステップS39)。
【0123】
続いて、シャッタユニット78を閉じるとともに(ステップS40)、上記フィルムマスク63を開けて(ステップS41)、シャッタユニット78を開閉することにより露光を行うことができる状態にする。
【0124】
そして、第1レリーズスイッチ53の状態をチェックして(ステップS42)、これがオフであるときにはこのレリーズ処理を終了し、オンであるときには次に第2レリーズスイッチ54の状態をチェックする(ステップS43)。
【0125】
この第2レリーズスイッチ54がオフであるときには上記ステップS42に戻り、オンとなったことを検出した場合には、続くステップS44以降の撮影処理を行う。
【0126】
すなわち、セルフスイッチ57の状態によりセルフモードに設定されているか否かを検出し(ステップS44)、セルフモードとなっているときにはセルフLEDを例えば10秒間点灯させる(ステップS45)。
【0127】
次に、ピント合わせ用のレンズであるLDユニット69を測距回路51から出力された測距データに基づいて繰出すとともに(ステップS46)、測光回路52から出力された測光値やその他のフィルム感度等のデータに基づいてシャッタユニット78の開閉を行う(ステップS47)。
【0128】
また、被写体の輝度が低いなどにより補助光が必要であると判断されるときには、このシャッタユニット78を開いている期間中にポップアップユニット72内のフラッシュを発光させる。
【0129】
上記露光動作が終了したら、ピント合わせ用のレンズであるLDユニット69を繰込み側に当て付くまで駆動して(ステップS48)、フィルムを1コマ巻上げる(ステップS49)。その後、フィルムエンドであるか否かを検出して(ステップS50)、フィルムエンドである場合にはリワインドを行ってから(ステップS51)、フィルムエンドでない場合にはそのまま、このレリーズ処理を抜ける。
【0130】
図13はカメラのフィルムマスクの構成を示す図、図14はフィルマスクモータの構成を示す(A)正面図,(B)右側面図,(C)平面図である。
【0131】
上記フィルムマスク63は、カメラ101に装填されたパトローネ102から引き出されるフィルム102aの移動経路上に位置するアパーチャ103を一部覆う位置と退避する位置とに移動可能に設けられたものであり、図13に示すように、上のフィルムマスク63aと下のフィルムマスク63bとの2つの部材を有してなる。
【0132】
これら上下のフィルムマスク63a,63bは、その一端部にそれぞれ設けられた円筒部63c,63dにより案内軸63gに挿通されていて、上下方向に移動可能となっている。
【0133】
また、これら上下のフィルムマスク63a,63bの一端部には、さらに腕部63e,63fが突出されていて、両端部に互いに逆方向のねじが刻設されたねじ軸62aに螺合している。これらの内の一方の腕部63eは、カメラ本体に構成されたストッパ58aに係合可能となっていて、フィルムマスク63a,63bがそれ以上退避するのを規制するようになっている。
【0134】
上記ねじ軸62aの上端部には放射状にスリットが穿設された円板状の部材が固着されていて、フィルムマスクPI64により回転位置を検出されるようになっている。
【0135】
そして、このねじ軸62aのほぼ中央部には、超音波モータにより構成されたフィルムマスクモータ62が取り付けられている。このフィルムマスクモータ62は、図14に示すように、圧電素子62eを接着した振動部材62dを、固定部材62cを用いて上記ねじ軸62aに圧接して構成されていて、上記第1の実施形態の図3に示したものと類似した構成となっている。
【0136】
すなわち、略直方体形状をなす振動部材62dの一面に圧電素子62eが接着され、この圧電素子62eが接着されたのと反対側の面には、図14(A)に示すように、4つの突起62gが突設されていて、これらの内の内側の2つの突起62gは手前側に、外側の2つの突起62gは向こう側に配列されている。
【0137】
このような振動部材62dは、略コの字形状をなす固定部材62cにより挟み込まれるように保持されていて、この固定部材62cの端部は上記ねじ軸62aの係合部62bの周面に嵌入することにより、該ねじ軸62aを回動自在に保持している。なお、この係合部62bは、固定部材62cが嵌入する部分の上下が太径に形成されており、ねじ軸62aの回転を許容するとともに、上下方向の移動を規制するようになっている。
【0138】
上記固定部材62cには一対のねじ62fが貫通して螺合されていて、貫通された先端は圧電素子62eに当接している。このねじ62fの螺合量を調節することにより、振動部材62dの4つの突起62gがねじ軸62aの周面に当接するときの押圧力を適切なものに調整することができるようになっている。
【0139】
次に、これら図13,図14に示したような構成の主な動作は次のようになる。
【0140】
ねじ軸62aを上から見て時計周りに回転させると、上のフィルムマスク63aは下に移動し、下のフィルムマスク63bは上に移動する。これにより、AF中やバリアが閉じたときのフィルムを遮光した状態にする。
【0141】
こうして上下のフィルムマスク63a,63bが互いに近接すると、所定位置まで移動したところで、これらの腕部63e,63fが固定部材62cに当接してストッパとして機能するような位置関係に構成されている。
【0142】
これにより、フィルムマスク63a,63bは、当接した位置以上には移動することができないために、ねじ軸62aも回転することができなくなって停止する。
【0143】
一方、ねじ軸62aを上から見て反時計周りに回転させると、フィルムマスク63a,63b同士の間隔を広げることができる。
【0144】
こうしてねじ軸62aを回転させることにより、フィルムマスク63a,63bを、アパーチャ103の開口の上下を一部遮光するパノラマ状態の位置に移動したり、アパーチャ103の開口を妨げることのないノーマル状態に移動したりすることができる。
【0145】
フィルムマスク63a,63bが互いに離間して所定の位置に達すると、フィルムマスク63aの腕部63eが上記ストッパ58aにより係止されてそれ以上の移動を規制され、ねじ軸62aも回転することができなくなって停止するために、フィルムマスク63bも同位置で停止する。
【0146】
続いて、図15は、上述したようなフィルムマスクの開閉動作を示すフローチャートである。
【0147】
フィルムマスク63を閉じる動作が開始されると(ステップS61)、振動部材62dに3次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始する(ステップS62)。
【0148】
フィルムマスクPI64のパルス数をカウントするカウンタFLMMCTを0にリセットして(ステップS63)、20msタイマをスタートする(ステップS64)。そして、20msが経過したか否かを判断し(ステップS65)、経過していない場合には、さらにフィルムマスクPI64の出力が反転したかを判断して(ステップS66)、反転していない場合には上記ステップS65に戻る。
【0149】
一方、ステップS66においてフィルムマスクPI64の出力が反転した場合には、反転の度にカウンタFLMMCTをカウントアップして(ステップS67)、カウンタFLMMCTが所定値に達したか否かを判断し(ステップS68)、達していない場合には上記ステップS64に戻る。
【0150】
カウンタFLMMCTが所定値に達した場合、またはフィルムマスクPI64の出力が反転するまでに20ms以上の時間を経過した場合には、フィルムマスクモータ62に供給する駆動パルスを停止して(ステップS69)、メインルーチンに復帰する(ステップS70)。
【0151】
つまり、回転が停止したときには、フィルムマスクPI64の出力が反転するまでに20ms以上が経過しているか、またはフィルムマスクPI64からパルスが発生し続けてカウンタFLMMCTが所定値以上になっているために、腕部63e,63fが固定部材62cに確実に当て付いたのを検出することができる。
【0152】
一方、フィルムマスク63を開ける動作が開始されると(ステップS71)、振動部材62dに5次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始する(ステップS72)。
【0153】
そして、カメラがパノラマモードに設定されているか否かを判断し(ステップS73)、パノラマモードに設定されていない場合には、上記ステップS63に飛ぶ。
【0154】
また、パノラマモードに設定されている場合には、まず、カウンタFLMMCTを0にリセットし(ステップS74)、フィルムマスクPI64の出力が反転するまで待機して(ステップS75)、反転の度にカウンタFLMMCTをカウントアップし(ステップS76)、カウンタFLMMCTが所定値に達したか否かを判断して(ステップS77)、達していない場合には上記ステップS75に戻る。
【0155】
こうして、カウンタFLMMCTが所定値に達した場合には、フィルムマスクモータ62に供給する駆動パルスを停止する(ステップS78)。このときには、腕部63eがストッパ58aに係止された状態となっている。その後、メインルーチンに復帰する(ステップS79)。
【0156】
図16はカメラのAFミラーの構成を示す(A)正面図,(B)平面図、図17はAFミラーフォトリフレクタの構成を示す斜視図である。
【0157】
このカメラ101は、図16に示すように、右手でカメラを保持する保持部の内側に電池等の部材106が収納され、その近傍にパトローネ102が装填されるようになっていて、このパトローネ102から引きされたフィルムは、撮影レンズ鏡筒105を挟んで反対側に設けられたスプール室104に収納されるようになっている。
【0158】
上記撮影レンズ鏡筒105内に保持されている撮影レンズの光軸後方には、上記AFミラー66が配設されている。
【0159】
このAFミラー66は、支持ピン66cにより回動自在に構成されたアーム66bの端部に、カメラ正面に対して下向きに略45度傾けられた略矩形の鏡面部66aを取り付けて構成されている。これにより撮影レンズから入射した光は、AFミラー66aにより反射されて、カメラ101の内底部に取り付けられたAFセンサ部51aに入射されるようになっている。
【0160】
また、上記アーム66bの上記支持ピン66cを挟んだ他端側やや斜め方向には、細径の係合アーム66dが突設されていて、その先端部が送りねじ軸65dの溝に係合しており、該送りねじ軸65dが回転することにより、アーム66bが支持ピン66cを支点にして回転し、上記鏡面部66aが略上下方向に移動するようになっている。
【0161】
さらに、上記係合アーム66dの移動経路上にはストッパピン66e,66fが設けられていて、AFミラー66aが狙いの位置で停止するように構成されている。
【0162】
具体的には、送りねじ軸65dを右側から見て時計周りに回転させると、鏡面部66aはねじ軸65dとの係合により略右斜め上方向に移動されて、係合アーム66dとストッパピン66eとが当接したところで停止する。このときには鏡面部66aは、撮影レンズから入射した光束が通過する範囲からは退避した状態となっている。
【0163】
一方、送りねじ軸65dを右側から見て反時計周りに回転させると、鏡面部66aはねじ軸65dとの係合により略左斜め下方向に移動されて、係合アーム66dとストッパピン66fとが当接したところで停止する。このときには鏡面部66aは、上記AFセンサ部51aへ光を反射する所定の位置となっている。
【0164】
上述したような送りねじ軸65dは、超音波モータで構成されるAFミラーモータ65により駆動されるようになっている。
【0165】
すなわち、このAFミラーモータ65は、圧電素子を接着した振動部材65aを、略コの字形状の固定部材を用いて回転部材65bに圧接してパルス電圧を印加することにより回転駆動するようになっていて、回転部材65bの両端部には駆動力伝達用のギア65cがそれぞれ固着されている。
【0166】
上記送りねじ軸65dは、AFミラーモータ65の固定部材に回動自在に支持されていて、その両端部には上記回転部材65bのギア65cに噛合するためのギア65eが各固着されている。さらに、この送りねじ軸65dの一方の端部には、図17に示すような、周方向に白黒のパターンが交互に形成された円柱形状の被検出部65fが設けられていて、上記AFミラーPR67によりその回転状態を検出されるようになっている。
【0167】
なお、上記AFミラーモータ65に用いる超音波モータとしては、上記第1から第4の実施形態の何れに示した形態のものを用いても構わない。
【0168】
次に図18は、上述したようなAFミラーをアップ/ダウンさせる動作を示すフローチャートである。
【0169】
AFミラー66をアップする動作が開始されると(ステップS81)、振動部材65aに3次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始する(ステップS82)。
【0170】
AFミラーPR67のパルス数をカウントするカウンタAFMCTを0にリセットして(ステップS85)、20msタイマをスタートする(ステップS86)。そして、20msが経過したか否かを判断し(ステップS87)、経過していない場合には、さらにAFミラーPR67の出力が反転したかを判断して(ステップS88)、反転していない場合には上記ステップS87に戻る。
【0171】
一方、ステップS88においてAFミラーPR67の出力が反転した場合には、反転の度にカウンタAFMCTをカウントアップして(ステップS89)、カウンタAFMCTが所定値に達したか否かを判断し(ステップS90)、達していない場合には上記ステップS86に戻る。
【0172】
カウンタAFMCTが所定値に達した場合、またはAFミラーPR67の出力が反転するまでに20ms以上の時間を経過した場合には、AFミラーモータ65に供給する駆動パルスを停止する(ステップS91)。
【0173】
つまり、回転が停止したときには、AFミラーPR67の出力が反転するまでに20ms以上が経過しているか、またはAFミラーPR67からパルスが発生し続けてカウンタAFMCTが所定値以上になっているために、係合アーム66dがストッパピン66eに確実に当て付いてAFミラー66が停止したのを検出することができる。
【0174】
一方、AFミラー66をダウンする動作が開始されると(ステップS83)、振動部材65aに5次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始する(ステップS84)。その後、上記ステップS85に行って、係合アーム66dがストッパピン66fに当て付いてAFミラー66が停止するまで駆動を行う。
【0175】
図19はカメラのLDユニットの構成を示す側面図、図20はLDモータの構成を示す側面図である。
【0176】
このLDユニット69は、ピント合わせ用のレンズ69aと、このレンズ69aを保持する保持部材69bと、この保持部材69bの一端側に摺動可能に挿通されている吊り軸69cと、上記保持部材の69bの他端側に螺合されている送りねじ軸69eとを有して構成されている。また、上記保持部材69bの送りねじ軸69eが螺合されている部分の両側面には複数の突起69dが突設されていて、送りねじ軸69eを回転することにより保持部材69bの繰出しや繰込みを行うと、送りねじ軸69eの後述するギア69fの側面に当て付くようになっている。
【0177】
そして、上記送りねじ軸69eの両端部にはギア69fが固着されるとともに、さらにその両側は先鋭端69gとなっている。
【0178】
このような送りねじ軸69eは、超音波モータでなるLDモータ68に3次、5次の定常波を発生させて後述する回転部材68fを正転、逆転させることにより、回転駆動されて、保持部材69bを移動させるようになっている。
【0179】
このLDモータ68は、図20に示すように、圧電素子68aを接着した振動部材68bを、固定部材68dを用いて回転部材68fに圧接して構成されている。
【0180】
すなわち、略直方体形状をなす振動部材68bの一面に圧電素子68aが接着され、この圧電素子68aが接着されたのと反対側の面には、4つの突起68cが突設されていて、これらの突起68cは上記図5に示したものとほぼ同様に配置されている。なお、ここでは突起68cを上記図5に示したような形状としたが、図3等に示したような形状のものとしてもかまわない。
【0181】
このような振動部材68bは、略コの字形状をなす固定部材68dにより挟み込まれるように保持されていて、この固定部材68dの端部は上記回転部材68fの両端に設けられた先鋭端68hを点受けして回動自在に保持している。
【0182】
上記固定部材68dには一対のねじ68eが貫通して螺合されていて、貫通された先端は圧電素子68aに当接している。このねじ68eの螺合量を調節することにより、振動部材68bの4つの突起68cが回転部材68fの周面に当接するときの押圧力を適切なものに調整することができるようになっている。
【0183】
上記回転部材68fは、両端部に駆動力伝達用のギア68gが形成されていて、同様に固定部材68dに先鋭端69gを点受けされて回動自在に保持されている送りねじ軸69eの上記ギア69fに噛合している。
【0184】
このように、超音波モータを構成する固定部材68dにより、送りねじ軸69eの保持を兼用しているために、駆動ユニットの構成を簡単なものとすることができる。
【0185】
さらに、回転部材68fの突起68cに接しない部分、例えばほぼ中央部には、周方向に白黒のパターンが交互に塗布された被検出部68iが設けられていて、上記LDPR70(図10参照)によりその回転状態を検出されるようになっている。
【0186】
次に、図21は上述したようなLDユニットを繰り込んで当て付ける動作を示すフローチャート、図22はLDユニットを繰り出す動作を示すフローチャートである。
【0187】
図21に示すように、LDユニット69を繰込んで当て付ける動作が開始されると、振動部材68bに3次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始する(ステップS101)。
【0188】
LDPR70のパルス数をカウントするカウンタLDCTを0にリセットして(ステップS102)、20msタイマをスタートする(ステップS103)。そして、20msが経過したか否かを判断し(ステップS104)、経過していない場合には、さらにLDPR70の出力が反転したかを判断して(ステップS105)、反転していない場合には上記ステップS104に戻る。
【0189】
一方、ステップS105においてLDPR70の出力が反転した場合には、反転の度にカウンタLDCTをカウントアップして(ステップS106)、カウンタLDCTが所定値に達したか否かを判断し(ステップS107)、達していない場合には上記ステップS103に戻る。
【0190】
カウンタLDCTが所定値に達した場合、またはLDPR70の出力が反転するまでに20ms以上の時間を経過した場合には、LDモータ68に供給する駆動パルスを停止する(ステップS108)。
【0191】
つまり、回転が停止したときには、LDPR70の出力が反転するまでに20ms以上が経過しているか、またはLDPR70からパルスが発生し続けてカウンタLDCTが所定値以上になっているために、突起69dがギア69fの側面に確実に当て付いてレンズ69aが停止したのを検出することができる。
【0192】
一方、図22に示すように、LDユニット69を繰出す動作が開始されると、振動部材68bに5次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始する(ステップS111)。
【0193】
その後、測距値から計算した繰出しパルスをLDPLSにセットして(ステップS112)、LDPR70のパルス数をカウントするカウンタLDCTを0にリセットし(ステップS113)、LDPR70の出力が反転するのを待機する(ステップS114)。
【0194】
LDPR70の出力が反転したところで、反転の度にカウンタLDCTをカウントアップして(ステップS115)、カウンタLDCTが上記LDPLSに達したか否かを判断し(ステップS116)、達していない場合には上記ステップS114に戻る。
【0195】
カウンタLDCTがLDPLSに達した場合は、LDモータ68に供給する駆動パルスを停止して(ステップS117)、終了する。
【0196】
図23はカメラのポップアップユニットの収納状態における構成を示す正面図、図24はカメラのポップアップユニットの発光可能状態における構成を示す正面図、図25はカメラのポップアップユニットの収納状態における構成を示す右側面図である。
【0197】
このポップアップユニット72は、電圧を印加することにより発光を行うキセノン管72aと、このキセノン管72aにより発光された光を所定の方向に向けて照射するためのストロボ傘72bと、セルフタイマ撮影時に点滅するセルフLED72cとを有して構成されている。
【0198】
上記ポップアップユニット72は、ピン72dを中心にしてカメラ本体に対して回転可能に構成されており、一端をカメラ本体から突設されたピン72fに、他端を該ポップアップユニット72から突設されたピン72gに係止されたばね72eの付勢力により、通常は下向きに、つまり収納状態となる方向に付勢されている。
【0199】
さらに、上記ピン72gには糸71dの一端が固定されていて、この糸71dは、カメラ本体から突設されたピン71eに掛けられた後に、ポップアップモータ71の回転部材71bに固着された糸巻き71cに巻回されている。
【0200】
このポップアップモータ71は、振動部材71aに3次の定常波を発生させることにより糸71dを糸巻き71cから解く方向に回転部材71bを回転させ、5次の定常波を発生させることにより糸71dを糸巻き71cに巻き付ける方向に回転部材71bを回転させるようになっている。
【0201】
こうしてポップアップユニット72は、回転部材71bを回転させて、糸71dを巻き付けあるいは解くことにより、発光可能状態にポップアップし、あるいは収納状態にポップダウンするようになっている。
【0202】
なお、このポップアップモータ71に用いる超音波モータとしては、上述した第1の実施形態から第4の実施形態の何れのものでも構わない。
【0203】
さらに、上記回転部材71bの一端部には、周方向に白黒のパターンが交互に塗布された被検出部71fが設けられていて、上記ポップアップPR73によりその回転状態を検出されるようになっている。
【0204】
図26は、ポップアップユニット72をポップアップまたはポップダウンするときの動作を示すフローチャートである。
【0205】
ポップアップユニット72をポップアップする動作が開始されると(ステップS121)、振動部材71aに5次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始して(ステップS122)、糸71dを糸巻き71cに巻き付けてポップアップユニット72のポップアップを始める。
【0206】
ポップアップPR73のパルス数をカウントするカウンタPOPCTを0にリセットして(ステップS125)、20msタイマをスタートする(ステップS126)。そして、20msが経過したか否かを判断し(ステップS127)、経過していない場合には、さらにポップアップPR73の出力が反転したかを判断して(ステップS128)、反転していない場合には上記ステップS127に戻る。
【0207】
一方、ステップS128においてポップアップPR73の出力が反転した場合には、反転の度にカウンタPOPCTをカウントアップして(ステップS129)、カウンタPOPCTが所定値に達したか否かを判断し(ステップS130)、達していない場合には上記ステップS126に戻る。
【0208】
カウンタPOPCTが所定値に達した場合、またはポップアップPR73の出力が反転するまでに20ms以上の時間を経過した場合には、ポップアップモータ71に供給する駆動パルスを停止する(ステップS131)。
【0209】
つまり、回転が停止したときには、ポップアップPR73の出力が反転するまでに20ms以上が経過しているか、またはポップアップPR73からパルスが発生し続けてカウンタPOPCTが所定値以上になっているために、ポップアップユニット72が確実にポップアップしたのを検出することができる。
【0210】
一方、ポップアップユニット72をポップダウンする動作が開始されると(ステップS123)、振動部材71aに3次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始する(ステップS124)。その後、上記ステップS125に行って、ポップアップユニット72が収納状態となるまで駆動を行う。
【0211】
図27はカメラのファインダユニットの構成を一方向から示す側面図、図28はカメラのファインダユニットの構成を他方向から示す側面図である。
【0212】
このファインダユニット75は、ファインダのズームを行うためのファインダレンズ75aと、このファインダレンズ75aの一端側を光軸方向に摺動自在に保持する吊り軸75bとを有しており、ファインダレンズ75aの他端側はファインダモータ74のねじが螺刻された部材である回転部材74eに螺合されている。
【0213】
このファインダモータ74は、圧電素子74aを接着した振動部材74bを、ねじ74dを螺合した固定部材74cを用いて、回転部材74eの大径部74fに圧接して構成されている。
【0214】
より詳しくは、略直方体形状をなす振動部材74bの一面に分極処理を施した略板状をなす圧電素子74aが接着されている。
【0215】
このような振動部材74bは、略コの字形状をなす固定部材74cに対して図28に示すように略45度傾斜して保持され、弾性のある接着剤を用いて接着されている。これにより、振動は可能であるが、振動部材74bと固定部材74cの相対位置が大きくずれることはないように構成されている。
【0216】
上記固定部材74cは、さらに、両端に設けられた先鋭端により、回転部材74eの両端に設けられたすり鉢状をなす凹部を保持することにより、該回転部材74eを回動自在に支持している。
【0217】
この回転部材74eには大径部74fが回動一体に設けられていて、上記振動部材74bの圧電素子74aが接着されたのと反対側の面に押圧力をもって当接するようになっている。
【0218】
このときの押圧力は、上記固定部材74cに貫通して螺合され、貫通された先端が上記圧電素子74aに当接しているねじ74dの螺合量を調節することにより、適切なものに調整されるようになっている。
【0219】
こうして、振動部材74bに振動が発生していない場合には摩擦力により回転部材74eの不用意な滑動を規制することができ、振動を発生させた場合には回転部材74eを最も効率良く回転させることができるように調整されている。
【0220】
上記回転部材74eの一端側には、放射状にスリットが穿設された円板状の部材74gが固着されていて、ファインダPI76により回転位置を検出されるようになっている。
【0221】
次にこのような構成のファインダモータ74の作用について説明する。
【0222】
上記USM制御回路60(図10参照)からのパルス電圧を圧電素子74aに印加することにより、該圧電素子74aが伸縮を行って、振動部材74bに振動が発生する。このとき、パルス電圧の周波数を適切に選ぶことにより、振動部材74bに発生する振動が定常波となる。
【0223】
上記回転部材74eの大径部74fは、図28に示すように、3次の定常波であるときと5次の定常波であるときとで振幅の膨らみ具合の異なる振動部材74bの場所に接している。
【0224】
そこで、3次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、振動部材74bが回転部材74eの大径部74fを押圧して、回転部材74eを上側から見て時計周りに回転させる。
【0225】
同様に、5次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、振動部材74bが回転部材74eの大径部74fを押圧して、回転部材74eを上側から見て反時計周りに回転させる。
【0226】
次に、図29は上述したようなファインダユニットをワイド側へ移動する動作を示すフローチャート、図30はファインダユニットのズーム制御の動作を示すフローチャートである。
【0227】
図29に示すように、ファインダユニット75をワイド側へ移動する動作が開始されると、振動部材74bに3次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始する(ステップS141)。
【0228】
ファインダPI76のパルス数をカウントするカウンタFNDCTを0にリセットして(ステップS142)、20msタイマをスタートする(ステップS143)。そして、20msが経過したか否かを判断し(ステップS144)、経過していない場合には、さらにファインダPI76の出力が反転したかを判断して(ステップS145)、反転していない場合には上記ステップS144に戻る。
【0229】
一方、ステップS145においてファインダPI76の出力が反転した場合には、反転の度にカウンタFNDCTをカウントアップして(ステップS146)、カウンタFNDCTが所定値に達したか否かを判断し(ステップS147)、達していない場合には上記ステップS143に戻る。
【0230】
カウンタFNDCTが所定値に達した場合、またはファインダPI76の出力が反転するまでに20ms以上の時間を経過した場合には、ファインダモータ74に供給する駆動パルスを停止する(ステップS148)。
【0231】
また、図30に示すように、ファインダユニット75のズーム制御の動作が開始されると、撮影レンズのズーム位置から計算したカウンタFNDCTの狙い値をFNDPLSにセットする(ステップS151)。
【0232】
そして、現在のカウンタFNDCTと狙い値FNDPLSとを比較して(ステップS152)、これらが等しければ、ファインダが狙いのズーム位置にあるために、リターンしてメインルーチンに復帰する(ステップS165)。
【0233】
また、現在のカウンタFNDCTが狙い値FNDPLSよりも大きいときは、3次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始し(ステップS153)、ファインダPI76の出力が反転するのを待機して(ステップS154)、反転したところでカウンタFNDCTをカウントダウンして(ステップS155)、カウンタFNDCTが狙い値FNDPLSに達したか否かを判断し(ステップS156)、達していない場合には上記ステップS154に戻る。
【0234】
そして、カウンタFNDCTが狙い値FNDPLSに達したところで、ファインダモータ74に供給する駆動パルスを停止して(ステップS157)、メインルーチンに復帰する(ステップS158)。
【0235】
一方、現在のカウンタFNDCTが狙い値FNDPLSよりも小さいときは、5次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始し(ステップS159)、ファインダPI76の出力が反転するのを待機して(ステップS160)、反転したところでカウンタFNDCTをカウントアップして(ステップS161)、カウンタFNDCTが狙い値FNDPLSに達したか否かを判断し(ステップS162)、達していない場合には上記ステップS160に戻る。
【0236】
そして、カウンタFNDCTが狙い値FNDPLSに達したところで、ファインダモータ74に供給する駆動パルスを停止して(ステップS163)、メインルーチンに復帰する(ステップS164)。
【0237】
図31はカメラのシャッタユニットの構成を示す正面図、図32はカメラのシャッタユニットの構成を示す(A)分解側面図および(B)A−A断面図である。
【0238】
このシャッタユニット78は、円形の開口78kを有する保持部材78jと、この保持部材78jから突出された支持ピン78d,78e,78fに回動可能に軸支された3枚のシャッタ羽根78a,78b,78cとを有して構成されている。
【0239】
これら3枚のシャッタ羽根78a,78b,78cには、略くの字形状をなす孔78g,78h,78iがそれぞれ穿設されており、リング状をなす可動部材77eの突出部77f,77g,77hが係合している。
【0240】
これにより、可動部材77eが回動すると、上記3枚のシャッタ羽根78a,78b,78cが連動して開閉するようになっている。
【0241】
上記3枚の内の1枚のシャッタ羽根78bには、周縁部の一部に沿って複数の孔78lが穿設されており、上記シャッタPI79によりシャッタ羽根78bの位置、つまり3枚のシャッタ羽根78a,78b,78cにより構成される開口量を検出することができるようになっている。
【0242】
上記可動部材77eは、超音波モータでなるシャッタモータ77の一部として構成されている。
【0243】
すなわち、このシャッタモータ77は、図32(B)に示すように、圧電素子77aを接着した振動部材77bと、断面略コの字形状の固定部材77dとの間に可動部材77eを挟み込むことにより、振動部材77bから突設された4つの突起77cを可動部材77eに圧接して構成されている。なお、これら4つの突起77cは、例えば上述した第4の実施形態と同様の形状のものである。
【0244】
そして、パルス電圧を圧電素子77aに印加して、振動部材77bに3次の定常波または5次の定常波を発生させることにより、可動部材77eを撮影レンズの光軸回りに回動させて、シャッタ羽根78a,78b,78cの開閉を行うようになっている。
【0245】
このように、可動部材77eを振動部材77bと固定部材77dにより挟持して加圧固定しているために、駆動パルスを停止するだけで、容易に絞り制御を行うことができるようになっている。
【0246】
次に、図33はカメラのシャッタユニットの開口波形を示す線図、図34はカメラのシャッタユニットを閉じる動作および全開にする動作を示すフローチャート、図35はカメラのシャッタユニットの開閉動作を示すフローチャートである。
【0247】
図34に示すように、シャッタユニット78を閉じる動作が開始されると(ステップS170)、振動部材77bに3次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始する(ステップS171)。
【0248】
シャッタPI79のパルス数をカウントするカウンタSHTCTを0にリセットして(ステップS174)、20msタイマをスタートする(ステップS175)。そして、20msが経過したか否かを判断し(ステップS176)、経過していない場合には、さらにシャッタPI79の出力が反転したかを判断して(ステップS177)、反転していない場合には上記ステップS176に戻る。
【0249】
一方、ステップS177においてシャッタPI79の出力が反転した場合には、反転の度にカウンタSHTCTをカウントアップして(ステップS178)、カウンタSHTCTが所定値に達したか否かを判断し(ステップS179)、達していない場合には上記ステップS175に戻る。
【0250】
カウンタSHTCTが所定値に達した場合、またはシャッタPI79の出力が反転するまでに20ms以上の時間を経過した場合には、シャッタモータ77に供給する駆動パルスを停止する(ステップS180)。
【0251】
一方、シャッタユニット78を全開にする動作が開始されると(ステップS172)、振動部材77bに5次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始する(ステップS173)。その後、上記ステップS174に行って、シャッタ羽根78a,78b,78cが全開となるまで駆動を行う。
【0252】
また、図35に示すように、シャッタユニット78を開閉して露光を行う動作が開始されると、図示しない絞り設定手段により設定されたAV値に対応したシャッタPI79のパルス数をAVPLSにセットする(ステップS181)。
【0253】
上記測光回路52から出力される測光値やフィルム感度(ISO値)等の情報から算出されるEv値とAv値に基づいて、制御時間を計算し、その結果をSHTTIMにセットする(ステップS182)。
【0254】
そして、上記測距回路51から出力される被写体距離と上記ISO値から計算した絞りに対応したシャッタPI79のパルス数をFMPLSにセットする(ステップS183)。なお、このとき、計算した値が上記AVPLSよりも大きい場合には、該AVPLSを上限とする。
【0255】
その後、5次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を開始し、シャッタ羽根78a,78b,78cを開き始める(ステップS184)。
【0256】
シャッタPI79のパルス数をカウントするカウンタSHTCTを0にリセットして(ステップS185)、シャッタPI79の出力が反転するまで待機し(ステップS186)、シャッタPI79の出力が反転する度にカウンタSHTCTをカウントアップする(ステップS187)。
【0257】
続いて、カウント値SHTCTが上記FMPLSに達したか否かを判断し(ステップS188)、達した場合には、シャッタモータ77に供給する駆動パルスを停止して(ステップS189)、上記ポップアップユニット72内のストロボを発光する(ステップS190)。なおこのとき、ストロボ発光が不要な場合には、もちろん発光は行わない。
【0258】
こうしてストロボの発光が終了したところで、再度、シャッタモータ77に供給する駆動パルスを出力してシャッタ羽根78a,78b,78cを開く(ステップS191)。
【0259】
このステップS191が終了するか、あるいは上記ステップS188においてカウント値SHTCTが上記FMPLSに達していない場合には、さらに該カウント値SHTCTがSHTPLSに達したか否かを判断し(ステップS192)、達していない場合には上記ステップS186に戻る。
【0260】
一方、カウント値SHTCTがSHTPLSに達した場合には、シャッタモータ77に供給する駆動パルスを停止して(ステップS193)、SHTTIM時間待機して(ステップS194)、シャッタ羽根78a,78b,78cを閉じる処理を行って露光を終了し(ステップS195)、メインルーチンに復帰する。
【0261】
また、シャッタ羽根78a,78b,78cの開閉動作を行うときの開口波形は図33に示すようになっている。
【0262】
すなわちまず、5次の定常波に対応した周波数の駆動パルスによりシャッタ羽根78a,78b,78cを開き、シャッタPI79のパルス数がFMPLSに達したところで駆動パルスを停止してシャッタモータ77を止め、ストロボの発光を行う。その後、駆動パルスを再起動し、シャッタPI79のパルス数がSHTPLSに達したところで、駆動パルスを停止してシャッタモータ77を止める。
【0263】
そして、制御時間SHTTIMの経過を待って、経過したところで3次の定常波に対応した周波数の駆動パルスによりシャッタ羽根78a,78b,78cを閉じる。
【0264】
超音波モータは時定数が短いために、シャッタ羽根78a,78b,78cを開閉する動作の途中で停止させることも容易である。そこで上述のような動作を行わせることにより、ストロボを発光させている期間中は、シャッタ羽根78a,78b,78cによる開口径が変化することのないようにしている。
【0265】
図36はカメラのファインダマスクユニットの構成を示す正面図である。
【0266】
このファインダマスクユニット81は、略L字形状をなす上下一対のファインダマスク部材81a,81bを有して構成されており、これらには上下方向の長孔81c,81dが各穿設されて、カメラ本体等から突設されたピン81e,81fがそれぞれ係合することにより、上下方向に移動可能となっている。
【0267】
また、これら一対のファインダマスク部材81a,81b同士の間には規制部材81kが配設されていて、上下方向のみの移動を許容し、その他の方向への移動を規制している。
【0268】
さらに、上側のファインダマスク部材81aの一端部には、完全遮光部81iと半透過部81jとでなる被検出部が形成されていて、この被検出部をファインダマスクPI82の間を通過させることにより、位置検出を行うことができるようになっている。この場合には、ファインダマスクPI82の光が完全に透過して検出されるとノーマル状態であり、完全遮光部81iが検出されるとパノラマ状態であり、半透過部81jが検出されるとこれらの中間の状態であることを示すように構成されている。
【0269】
このようなファインダマスク部材81a,81bの延出部81g,81hの側面には、ファインダマスクモータ80が圧接されている。
【0270】
このファインダマスクモータ80は、上述した第4の実施形態とほぼ同様に構成された超音波モータでなり、「ハ」の字の形状を構成する一対の突起と、「ハ」の字を上下逆にした形状を構成する一対の突起とを有している。
【0271】
そして、3次の定常波で駆動したときに、ファインダマスク部材81a,81b同士の間隔を広げ、5次の定常波で駆動したときに、これらの間隔を狭めるように制御するようになっている。
【0272】
図37は、カメラのファインダマスクユニットを(A)パノラマにするとき,(B)ノーマルにするときの制御信号を示す波形図である。
【0273】
ファインダマスクユニット81をパノラマ状態にするときは、3次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を行い、ファインダマスクPI82が遮光状態になったところでファインダマスクモータ80に供給するパルス電圧を停止する。
【0274】
また、ファインダマスクユニット81をノーマル状態にするときは、5次の定常波が発生する周波数のパルス電圧により駆動を行い、ファインダマスクPI82が透光状態になったところファインダマスクモータ80に供給するパルス電圧を停止する。
【0275】
一方、上記給送ユニット84やズームユニット87は、DCモータにより構成された給送モータ83やズームモータ86によって制御されているが、これらは通常の構成であって特段の説明は要しないので省略する。
【0276】
このような第5の実施形態によれば、1つの圧電素子を用いて複数の方向に駆動することができる簡単な構成の圧電アクチュエータを、カメラを構成する各種の駆動部に適用することにより、小型かつ軽量なカメラを提供することが可能となる。
【0277】
図38は本発明の第6の実施形態を示したものであり、アクチュエータの構成を示す(A)正面図,(B)右側面図,(C)底面図である。
【0278】
この実施形態は、上記図3に示したアクチュエータに対して、振動部材と回転部材を保持する構成を変化させたものである。
【0279】
このアクチュエータは、電気−機械エネルギー変換素子たる積層型の圧電素子91を接着した振動体たる振動部材92を、固定部材94を用いて被駆動体たる回転部材93に圧接して構成されている。
【0280】
より詳しくは、略直方体形状をなす振動部材92の一面に、位置決め突起92gが突設されていて、この位置決め突起92gの面92hに接着剤を用いて上記圧電素子91が接着されている。さらに、この圧電素子91の他端側から挟み込むようにして固定用部材95が配置され、この固定用部材95の2面95a,95bに接着剤を塗布して所定の圧力を加えることにより、振動部材92に固定されるとともに該圧電素子91を加圧固定している。
【0281】
なお、上記圧電素子91に対向する振動部材92の面92iには、特に接着剤を塗布する必要はないために、これらは接着されていない。
【0282】
また、振動部材92の圧電素子91が接着されたのと反対側の面には、図38(A)に示すように、上から下に向かって順に4つの突起92a,92b,92c,92dが突設されていて、これらの内の突起92a,92dは手前側に、突起92b,92cは向こう側に配列されている。
【0283】
さらに上記振動部材92には、図38(A)の正面および背面に4つの突起96a,96b,96c,96dが突設されていて、これらの突起96a,96b,96c,96dは、3次の定常波および5次の定常波の何れにおいても、腹にも節にもならない部分に配設されている。
【0284】
より詳しくは、上記突起96a,96b,96c,96dは、図38(A)に示すように、突起92aと突起92bの間、および突起92cと突起92dの間となる位置に設けられているが、これに限るものではなく、例えば符号92e,92fに示すような位置に配設することも可能である。
【0285】
さらに上記突起96a,96b,96c,96dは、その先端部が図38(C)に示すように傾斜して設けられていて、固定部材94に嵌め込み易く、嵌めた後では抜け難いように構成されている。
【0286】
このような振動部材92は、上記突起96a,96b,96c,96dを、略矩形枠状をなす固定部材94に穿設された孔に挿通して、かしめまたは接着固定することにより保持されていて、その他の部分は、静止時は勿論のこと振動時においても、固定部材94と接触することがないように構成されている。このような構成により振動部材92は、上記図3に示したアクチュエータのように振動の腹となる上下の端部が接することはなく、エネルギーのロスが少なくなるように構成されている。
【0287】
上記固定部材94は、上面部94a、底面部94b、両側面部94c,94dにより上記略矩形枠状に構成されており、上面部94aおよび底面部94bには、切込94eが設けられている。
【0288】
これら一対の切込94eに対して、回転部材93の両端に設けられた支持軸93a,93bが嵌入されており、これによって、該回転部材93が回動自在に保持されている。
【0289】
この回転部材93の中央部には例えばはすば歯車93cが回動一体に取り付けられていて、発生した駆動力を他の部材に伝達することができるようになっている。この回転部材93の周面には、上記突起92a,92b,92c,92dが押圧力をもって当接している。
【0290】
また、このようなアクチュエータを組み立てる際には、次のように行う。
【0291】
固定部材94の切込94eに、まず回転部材93の支持軸93a,93bを挿入する。その後、振動部材92を、上記突起92a,92b,92c,92dの先端部に設けられた傾斜部を利用しながら圧入する。そして、これらの突起92a,92b,92c,92dが固定部材94の孔に嵌入された後には、上記傾斜部により抜けることがないようになっており、さらに上述したように、かしめまたは接着により固定する。
【0292】
次にこのような第6の実施形態のアクチュエータの作用について説明する。
【0293】
上記パルス制御回路1(図1,図2参照)からのパルス電圧を圧電素子91に印加することにより、該圧電素子91が伸縮を行って、振動部材92に振動が発生する。このとき、パルス電圧の周波数を適切に選ぶことにより、振動部材92に発生する振動が定常波となる。
【0294】
上記突起92a,92dは、図38(A)に示すように、振動部材92に発生する定常波が3次の定常波であるときに節になり、5次の定常波であるときに腹となる位置に配設され、上記突起92b,92cは、振動部材92に発生する定常波が3次の定常波であるときに腹(節以外となる部分)になり、5次の定常波であるときに節となる位置に配設されている。
【0295】
そこで、3次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、突起92b,92cは回転部材93を押圧するが、突起92a,92dは節になるために押圧力を発生しない。これにより、図38(C)のような底面側から見た場合に、回転部材93は時計周りに回転する。
【0296】
同様に、5次の定常波になる周波数によりパルス駆動を行うと、突起92a,92dは回転部材93を押圧するが、突起92b,92cは節になるために押圧力を発生しない。これにより、図38(C)のような底面側から見た場合に、回転部材93は反時計周りに回転する。
【0297】
なお、個々の部材の個々の形状は、製造のし易さ等に応じて、容易に応用することが可能である。
【0298】
このような第6の実施形態によれば、上述の各実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、振動部材の上下の端部が固定部材から完全に離れていて、振動時にも接触しないために、接触によるエネルギーのロスが少ないという利点を有している。
【0299】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【0300】
[付記]
以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下のような構成を有する発明を得ることができる。
【0301】
(1) 電気−機械エネルギー変換素子と、
この電気−機械エネルギー変換素子が固着され、該電気−機械エネルギー変換素子に駆動電圧が印加されることにより振動が励起される振動体と、
この振動体に圧接され、該振動体に励起される振動により該振動体に対して移動される被駆動体と、
上記振動体と被駆動体とを保持するとともに、上記被駆動体の上記振動体に対する移動方向を規制する固定部材と、
を具備することを特徴とするアクチュエータ。
【0302】
(2) 上記(1)において、
上記振動体は少なくとも2つの共振周波数を有し、一方の共振周波数による振動が励起されている際には該振動体と被駆動体との圧接部分に第1方向の駆動力が発生し、他方の共振周波数による振動が励起されている際には該振動体と被駆動体との圧接部分に第2方向の駆動力が発生する。
【0303】
(3) 電気−機械エネルギー変換素子と、
この電気−機械エネルギー変換素子が固着され、該電気−機械エネルギー変換素子に駆動電圧が印加されることにより、第1の振動モードによる第1の振動と第2の振動モードによる第2の振動とが選択的に励起される振動体と、
この振動体上の、上記第1の振動が励起されている際には該振動の節となり、上記第2の振動が励起されている際には該振動の節以外となる部分に設けられた、第1の突起と、
この振動体上の、上記第2の振動が励起されている際には該振動の節となり、上記第1の振動が励起されている際には該振動の節以外となる部分に設けられた、第2の突起と、
上記振動体の第1および第2の突起に圧接され、該振動体に励起される振動により該振動体に対して移動される被駆動体と、
上記振動体と被駆動体とを保持するとともに、上記被駆動体の上記振動体に対する移動方向を規制する固定部材と、
を具備することを特徴とするアクチュエータ。
【0304】
(4) 上記(3)において、
上記被駆動体は、上記第1の振動が励起されている際には上記振動体に対して第1の方向に移動され、上記第2の信号が励起されている際には上記振動体に対して第2の方向に移動される。
【0305】
(5) 上記(1),(3)において、上記電気−機械エネルギー変換素子は単一の圧電素子からなる。
【0306】
(6) 上記(1),(3)において、上記電気−機械エネルギー変換素子は積層型の圧電素子からなる。
【0307】
(7) 上記(1),(3)において、上記電気−機械エネルギー変換素子は単一の電歪素子からなる。
【0308】
(8) 上記(1),(3)において、上記電気−機械エネルギー変換素子は積層型の電歪素子からなる。
【0309】
(9) 上記(1),(3)において、上記電気−機械エネルギー変換素子は磁歪素子からなる。
【0310】
(10) 上記(1),(3)において、上記電気−機械エネルギー変換素子は積層型の磁歪素子からなる。
【0311】
(11) 上記(1),(3)において、上記固定部材は単一の部材からなる。
【0312】
(12) 上記(1),(3)において、上記被駆動体はカメラの構成部材を駆動する。
【0313】
(13) 上記(12)において、上記カメラの構成部材はフィルムマスク部材である。
【0314】
(14) 上記(12)において、上記カメラの構成部材は測距光学系のミラー部材である。
【0315】
(15) 上記(12)において、上記カメラの構成部材は撮影光学系ユニットの内の少なくとも一部の構成部材である。
【0316】
(16) 上記(15)において、上記撮影光学系ユニットの内の少なくとも一部の構成部材は、レンズを保持している鏡枠である。
【0317】
(17) 上記(12)において、上記カメラの構成部材はストロボのポップアップユニットの内の少なくとも一部の構成部材である。
【0318】
(18) 上記(12)において、上記カメラの構成部材はファインダ光学系ユニットの内の少なくとも一部の構成部材である。
【0319】
(19) 上記(18)において、上記ファインダ光学系ユニット内の少なくとも一部の構成部材は、レンズを保持している鏡枠である。
【0320】
(20) 上記(18)において、上記ファインダ光学系ユニット内の少なくとも一部の構成部材は、ファインダ視野を規定するマスク部材である。
【0321】
(21) 上記(12)において、上記カメラの構成部材はシャッタユニットの内の少なくとも一部の構成部材である。
【0322】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、振動体と被駆動体を保持することができる簡単な構成のアクチュエータとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のアクチュエータの基本的な第1の構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態のアクチュエータの基本的な第2の構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の第1の実施形態のアクチュエータの構成を示す(A)正面図,(B)右側面図,(C)底面図。
【図4】上記第1の実施形態の変形例のアクチュエータの構成を示す(A)正面図,(B)右側面図,(C)底面図。
【図5】本発明の第2の実施形態のアクチュエータの構成を示す(A)平面図,(B)回転部材を取り外した状態の左側面図,(C)正面図,(D)右側面図,(E)底面図。
【図6】本発明の第3の実施形態のアクチュエータの構成を示す正面図。
【図7】上記第3の実施形態のアクチュエータの構成を示す左側面図。
【図8】本発明の第4の実施形態のアクチュエータを構成する振動部材および圧電素子を示す斜視図。
【図9】上記第4の実施形態のアクチュエータの構成を示す斜視図。
【図10】本発明の第5の実施形態に係るカメラの主として電気的な構成を示すブロック図。
【図11】上記第5の実施形態のカメラのメイン動作を示すフローチャート。
【図12】上記図11におけるレリーズ処理の詳細を示すフローチャート。
【図13】上記第5の実施形態のカメラのフィルムマスクの構成を示す図。
【図14】上記第5の実施形態のフィルマスクモータの構成を示す(A)正面図,(B)右側面図,(C)平面図。
【図15】上記第5の実施形態のフィルムマスクの開閉動作を示すフローチャート。
【図16】上記第5の実施形態のカメラのAFミラーの構成を示す(A)正面図,(B)平面図。
【図17】上記第5の実施形態のカメラのAFミラーフォトリフレクタの構成を示す斜視図。
【図18】上記第5の実施形態のカメラのAFミラーをアップ/ダウンさせる動作を示すフローチャート。
【図19】上記第5の実施形態のカメラのLDユニットの構成を示す側面図。
【図20】上記第5の実施形態のカメラのLDモータの構成を示す側面図。
【図21】上記第5の実施形態のカメラにおいて、LDユニットを繰り込んで当て付ける動作を示すフローチャート。
【図22】上記第5の実施形態のカメラにおいて、LDユニットを繰り出す動作を示すフローチャート。
【図23】上記第5の実施形態のカメラのポップアップユニットの収納状態における構成を示す正面図。
【図24】上記第5の実施形態のカメラのポップアップユニットの発光可能状態における構成を示す正面図。
【図25】上記第5の実施形態のカメラのポップアップユニットの収納状態における構成を示す右側面図。
【図26】上記第5の実施形態のカメラにおいて、ポップアップユニットをポップアップまたはポップダウンするときの動作を示すフローチャート。
【図27】上記第5の実施形態のカメラのファインダユニットの構成を一方向から示す側面図。
【図28】上記第5の実施形態のカメラのファインダユニットの構成を他方向から示す側面図。
【図29】上記第5の実施形態のカメラのファインダユニットをワイド側へ移動する動作を示すフローチャート。
【図30】上記第5の実施形態のカメラにおける、ファインダユニットのズーム制御の動作を示すフローチャート。
【図31】上記第5の実施形態のカメラのシャッタユニットの構成を示す正面図。
【図32】上記第5の実施形態のカメラのシャッタユニットの構成を示す(A)分解側面図および(B)A−A断面図。
【図33】上記第5の実施形態のカメラのシャッタユニットの開口波形を示す線図。
【図34】上記第5の実施形態のカメラのシャッタユニットを閉じる動作および全開にする動作を示すフローチャート。
【図35】上記第5の実施形態のカメラのシャッタユニットの開閉動作を示すフローチャート。
【図36】上記第5の実施形態のカメラのファインダマスクユニットの構成を示す正面図。
【図37】上記第5の実施形態のカメラにおいて、ファインダマスクユニットを(A)パノラマにするとき,(B)ノーマルにするときの制御信号を示す波形図。
【図38】本発明の第6の実施形態のアクチュエータの構成を示す(A)正面図,(B)右側面図,(C)底面図。
【符号の説明】
2,11,11A,31,62e,68a,74a,77a,91…圧電素子(電気−機械エネルギー変換素子)
3,12,12A,22,32,62d,65a,68b,71a,74b,77b,92…振動部材(振動体)
4,43,77e…可動部材(被駆動体)
5…非接着の加圧固定部材
6,14,34,44,62c,68d,74c,77d,94…固定部材
12a,12b,12c,12d,22a,22b,22c,22d,62g,68c,77c,92a,92b,92c,92d…突起
13,33,65b,68f,71b,74e,93…回転部材(被駆動体)
62…フィルムマスクモータ
62a…ねじ軸(被駆動体)
63…フィルムマスク
65…AFミラーモータ
66…AFミラー
68…LDモータ
69…LDユニット
71…ポップアップモータ
72…ポップアップユニット
74…ファインダモータ
75…ファインダユニット
77…シャッタモータ
78…シャッタユニット
80…ファインダマスクモータ
81…ファインダマスクユニット
101…カメラ
Claims (2)
- 電気−機械エネルギー変換素子と、
この電気−機械エネルギー変換素子が固着され、該電気−機械エネルギー変換素子に駆動電圧が印加されることにより、第1の振動モードによる第1の振動と第2の振動モードによる第2の振動とが選択的に励起される振動体と、
この振動体上の、上記第1の振動が励起されている際には該振動の節となり、上記第2の振動が励起されている際には該振動の節以外となる部分に設けられた、第1の突起と、
この振動体上の、上記第2の振動が励起されている際には該振動の節となり、上記第1の振動が励起されている際には該振動の節以外となる部分に設けられた、第2の突起と、
上記振動体の第1および第2の突起に圧接され、該振動体に励起される振動により該振動体に対して移動される被駆動体と、
上記振動体と被駆動体とを保持するとともに、上記被駆動体の上記振動体に対する移動方向を規制する固定部材と、
を具備することを特徴とするアクチュエータ。 - 上記固定部材は単一の部材からなることを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ。
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