JPH099185A - リアプロジェクタのキャビネット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スクリーンとミラーとの位置出しが容易で、
光学的精度を確立することができるリアプロジェクタ用
のキャビネットを提供すること。 【構成】 リアプロジェクタのキャビネットを構成する
スクリーン取付部とミラー取付部とを、奥行寸法とミラ
ーの傾斜角度が夫々設定した値になるようにプラスチッ
クで形成したことにより、これらを合体させて組み付け
るだけで焦点の合った適正な画面が得られると共に、ス
クリーン取付部における画面のサイズが異なる場合で
も、ミラー取付部の成型時に適宜の入子を用いること
で、それに対応させることができるようにしたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ボトムキャビネットの
内部に映像機器が装備され、その上部にスクリーン取付
部とミラー取付部とが取り付けられる構造のリアプロジ
ェクタのキャビネットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種のリアプロジェクタとしては、例
えば図７及び図８に示した構成のものが従来例として周
知である。図７に示したリアプロジェクタ１は、木製
の板材が使用され、該板材を箱形状に形成して本体部２
を構成させ、該本体部の前面側にスクリーン３を取り付
けたスクリーン取付部４が取り付けられると共に、背面
側にミラー５を装備したミラー取付部６が取り付けら
れ、更に、本体部２の下方には映像を投射するための映
像機器、電子部品等が装備されるボトムキャビネット７
が設けられた構成を有している。

【０００３】また、図８に示したリアプロジェクタ１
は、ボトムキャビネット７に所定形状の金属製のフレー
ム８を起立状態に形成し、該フレーム８を前後から包み
込むようにして、スクリーン３を有するスクリーン取付
部４とミラー５を有するミラー取付部６とが取り付けら
れた構成を有している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記の従来例におい
ては、木製の本体部２に対して、その前後からスクリー
ン取付部４とミラー取付部６とが夫々別々に取り付けら
れる構成であり、光学的精度の維持を図るためには、製
造時における板材を削っての本体部２の寸法精度が厳し
く要求され、製造効率が悪くなるばかりでなく、木製キ
ャビネットの本体部２において所定の強度を確保しなけ
ればならないことから、板厚が必然的に厚くなって、全
体の重量が重くなるという問題点を有している。

【０００５】前記の従来例においては、金属製のフレ
ーム８を用いることにより、キャビネットの強度および
光学的精度を維持することはできるが、金属製のフレー
ム８を用いている分、全体の重量が嵩むばかりでなく、
部品点数が多くなり、部品の管理業務も厄介になるばか
りでなく、組み立ての作業性も悪くなるという問題点を
有している。

【０００６】従って、従来例においては、構成を簡略化
した上での光学的精度の向上に解決しなければならない
課題を有している。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記従来例の課題を解決
する具体的構成として本発明は、少なくとも映像機器が
設置される所定形状及び大きさのボトムキャビネット
と、前面側にスクリーンが取り付けられるスクリーン取
付部と、背面内側に傾斜させてミラーが取り付けられる
ミラー取付部とからなり、スクリーン取付部の背面側と
ミラー取付部の前面側とを合体させて前記ボトムキャビ
ネット上に組み付けるようにし、この合体時の奥行寸法
が設定された寸法になると共に、ミラー取付部における
ミラーの傾斜が設定された角度になるように、スクリー
ン取付部とミラー取付部とを射出成型手段によりプラス
チックで形成したことを特徴とするリアプロジェクタの
キャビネットを提供するものである。

【０００８】そして、前記構成に加えて、ミラー取付部
は、下部を除く周囲にフレーム部が設けられると共に、
背面側にミラーを取り付けるために所定角度に設定され
た傾斜壁を設け、成型時に、傾斜壁の傾斜角度を維持さ
せて前記フレーム部の大きさを変更できるようにしたこ
と、及びフレーム部の大きさの変更は、少なくとも両側
のフレーム部であって、該フレーム部の幅を射出成型手
段における入子の交換によって任意に行えるようにした
ことも含むものである。

【０００９】

【作用】リアプロジェクタのキャビネットを構成するス
クリーン取付部とミラー取付部とを、奥行寸法とミラー
の傾斜角度が夫々設定した値になるようにプラスチック
で形成したことにより、これらを合体させて組み付ける
だけで焦点の合った適正な画面が得られると共に、スク
リーン取付部における画面のサイズが異なる場合でも、
ミラー取付部の成型時に適宜の入子を用いることで、そ
れに対応させることができるようにしたものである。

【００１０】

【実施例】次に、本発明を図示の実施例に基づいて詳し
く説明する。図１において、リアプロジェクタの筐体
は、ボトムキャビネット１１と、スクリーン取付部１２
と、ミラー取付部１３とから構成されている。

【００１１】ボトムキャビネット１１は、前面側に操作
パネル等の取付部１４を有し、背面側を略台形状に突出
させて形成したものであり、全体として箱形状（図示の
実施例の場合は平面から見て変形の六角形）を呈する形
状に形成され、その内部に映像機器及び駆動に必要な種
々の電子部品が収納されており、その上部の大半が開口
状態にある。

【００１２】スクリーン取付部１２は、射出成型手段に
よりプラスチックで形成されるものであり、全体として
奥行のある長方形または四角形の枠体形状に形成され
る。そして、その背面側開口部の下縁で、且つ両側のコ
ーナー寄りに突出させて夫々連結用舌片１５が一体に形
成されると共に、前面側にはスクリーン１６が取り付け
られている。

【００１３】ミラー取付部１３も同様に、射出成型手段
によりプラスチックで形成され、前面側は、前記スクリ
ーン取付部１２の背面側に略対応する大きさのフレーム
部１７として形成し、該フレーム部１７の下端縁は開放
してある。

【００１４】フレーム部１７の上縁側から背面側に向け
て所定の角度傾斜させた傾斜壁１８と、両側縁から背面
側に延びた両側壁１９と、これら傾斜壁１８及び両側壁
１９と一連に形成された背面壁２０とで、フレーム部１
７の背面側に略台形状の突出部２１が形成される。そし
て、フレーム部１７の下端の開放部に沿って、突出部２
１の下部が全面的に開放されている。

【００１５】また、両側に位置するフレーム部１７の下
端部に、前記スクリーン取付部１２に設けた連結用舌片
１５に対応して、連結部２２が形成される。そして、こ
のように形成されたミラー取付部１３において、傾斜壁
１８の内側に所定の手段を介して所定大きさのミラー２
３が取り付けられている。

【００１６】このように形成されたミラー取付部１３
は、図２に示したように、前記スクリーン取付部１２の
背面側に合体させた後に、スクリーン取付部１２と一緒
に、前記ボトムキャビネット１１の上部に適宜の手段に
より取り付けられる。この場合に、スクリーン取付部１
２及びミラー取付部１３は、ボトムキャビネット１１内
に収納または配設されている映像機器との関係におい
て、光学的経路を構成する上で寸法精度良く形成されて
いる。

【００１７】即ち、スクリーン取付部１２とミラー取付
部１３とが合体した状態で、ミラー２３で反射した映像
が、スクリーン１６上でピントが合った状態で結像し、
且つ画面が曲がったり歪んだりしないように、映像機器
との距離及びミラー２３の傾斜角度等を計算して、スク
リーン取付部１２の奥行寸法及びミラー取付部１３にお
ける傾斜壁１８の傾斜角度等を正確に設定して形成され
る。

【００１８】そして、スクリーン取付部１２及びミラー
取付部１３は、筐体としての強度を考慮して、強度が必
要な部分については、例えば、部分的な肉厚部を設けた
り、リブ、段差あるいは溝を形成したり、また破断し易
い位置に曲面（Ｒ）を付けたりして部分的もしくは全体
的な強度アップを図ることができ、プラスチック筐体構
造としての利点を生かすことができるのである。

【００１９】更に、プラスチック筐体構造としてのもう
一つの利点は、画面サイズの違うリアプロジェクタに主
要構成部分の金型が共通して使用できることである。つ
まり、図３に示したように、スクリーン取付部１２とミ
ラー取付部１３との関係において、奥行寸法を変えない
でワイドスクリーンを用いた場合に、当然のこととして
スクリーン取付部１２ａがワイドになり、横方向におい
てミラー取付部１３と一致しないことになる。

【００２０】このような場合に、ミラー取付部１３の両
側において、斜線で示した部分２４が開放されてしまう
ことから、この部分に別部材を取り付けてカバーしなけ
ればならないので、その分だけ余分な部品を必要とし、
組み付けの手数が掛かるばかりでなく、商品形態として
の体裁も悪いものとなる。

【００２１】ところで、ミラー取付部１３は、ボトムキ
ャビネット１１ａ内に配設されている映像機器との関係
で、光学的に寸法精度良く形成されているので、その寸
法精度を維持しながらワイドスクリーンにも適用させた
い。この場合に、スクリーン取付部１２ａがワイドにな
っているので、それに対応してボトムキャビネット１１
ａもそれなりに横に広く形成されている。

【００２２】前記実施例のミラー取付部１３は、射出成
型手段により金型を用いて成型されるものであって、図
４に示した通りである。このミラー取付部１３におい
て、図３の斜線で示した部分２４を補うように両側のフ
レーム部１７を拡げる必要がある。そのためには、金型
を細工しなければならないが、先ずスクリーン取付部１
２ａとの整合性を考慮しなければならない。

【００２３】そこで、ミラー取付部１３において、両側
フレーム部１７の共通する部分を除いて、仮想線ａで示
した部分から外側を形成するためのキャビティを入子部
分に形成し、その入子を金型に対して交換可能にする。

【００２４】従って、図５に示したミラー取付部１３ａ
は、ワイドスクリーンに合わせたものであり、このミラ
ー取付部１３ａにおいても、両側フレーム部１７の共通
する部分を除いて、仮想線ｂで示した部分から外側を形
成するキャビティを入子部分に形成し、前記同様に金型
に対して交換可能にする。

【００２５】例えば，図６に略示的に示した金型２５に
おいて、ミラー取付部１３の両側におけるフレーム部１
７を形成するキャビティ部分の一部に、所定大きさ及び
寸法の入子収納部２６を形成し、該入子収納部２６に対
応する所定の入子を選択してセットできるようにし交換
可能にすることで、主要部の構成が同じで且つフレーム
部１７の大きさのみが違う複数のミラー取付部が形成で
きるようになり、複数のスクリーン取付部１２，１２ａ
に対し寸法精度良く対応させることができるのである。
尚、この金型２５は、一応雌型である。

【００２６】ここで使用される入子としては、例えば、
図７及び図８に示した二種類を挙げることができる。図
７に示した入子２７は、フレーム部１７の一部を構成す
るためのキャビティ１７ａを有し、この入子２７を金型
２５の入子収納部２６にセットして射出成型手段により
製品を成型すると、図４に示したミラー取付部１３が得
られる。

【００２７】また、図８に示した入子２８は、フレーム
部１７の一部を構成するための比較的広いキャビティ１
７ｂを有し、前記同様に金型２５の入子収納部２６にセ
ットして射出成型手段により製品を成型すると、図５に
示したミラー取付部１３ａが得られる。

【００２８】前記したいづれの入子２７，２８も片側し
か示してないが、金型２５の両側にセットできる対象的
な形状の入子が準備されていることは言うまでもなく、
またこれら入子２７，２８に対応する雄型側にも夫々対
応した入子が交換可能にセットされることは言うまでも
ない。尚、前記二種類の他にキャビティの大きさ形状が
異なる複数の入子を準備しておけば、更に多種類のリア
プロジェクタに対応したプラスチック筐体が成型でき
る。

【００２９】このように、プラスチック筐体を構成する
ミラー取付部の成型において、その金型は、主要構成部
分、即ちミラーが取り付けられる設定された角度をもつ
傾斜壁１８の部分を除き、入子を適宜交換することで、
実質的に複数種類のミラー取付部を成型する金型として
共用することができるのである。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係るリアプ
ロジェクタのキャビティは、少なくとも映像機器が設置
される所定形状及び大きさのボトムキャビネットと、前
面側にスクリーンが取り付けられるスクリーン取付部
と、背面内側に傾斜させてミラーが取り付けられるミラ
ー取付部とからなり、スクリーン取付部の背面側とミラ
ー取付部の前面側とを合体させて前記ボトムキャビネッ
ト上に組み付けるようにし、この合体時の奥行寸法が設
定された寸法になると共に、ミラー取付部におけるミラ
ーの傾斜が設定された角度になるように、スクリーン取
付部とミラー取付部とを射出成型手段によりプラスチッ
クで形成したことにより、光学経路の寸法精度が著しく
向上すると共に、従来例のような金属フレームを必要と
しないので、キャビネット全体が軽量化できるばかりで
なく、部品点数が少なくなって、部品の管理業務が容易
になり、且つ組み立て作業も容易になるという種々の優
れた効果を奏する。

【００３１】また、ミラー取付部は、下部を除く周囲に
フレーム部が設けられると共に、背面側にミラーを取り
付けるために所定角度に設定された傾斜壁を設け、成型
時に、傾斜壁の傾斜角度を維持させて前記フレーム部の
大きさを変更できるようにしたこと、及びフレーム部の
大きさの変更は、少なくとも両側のフレーム部であっ
て、該フレーム部の幅を射出成型手段における入子の交
換によって任意に行えるようにしたことによって、リア
プロジェクタの画面サイズに対応してミラー取付部のサ
イズの変更が直ちに行え、ミラー取付部を成型する金型
を複数のモデルに共用化できるという優れた効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施例のリアプロジェクタを分
解して示した要部の斜視図である。

【図２】同実施例に係るリアプロジェクタの背面側斜視
図である。

【図３】同実施例において、画面サイズが異なる場合を
説明するための背面側斜視図である。

【図４】同実施例に使用されるミラー取付部の筐体を示
す正面図である。

【図５】同実施例において、画面サイズが異なる場合の
ミラー取付部の筐体を示す正面図である。

【図６】同実施例に使用されるミラー取付部を成型する
ための金型の一部を略示的に示した正面図である。

【図７】同金型に使用される一例の入子の正面図であ
る。

【図８】同金型に使用される他の例の入子の正面図であ
る。

【図９】従来例におけるリアプロジェクタの一例を分解
して示した斜視図である。

【図１０】従来例におけるリアプロジェクタの他の例を
分解して示した斜視図である。

【符号の説明】

１１ ボトムキャビネット １２，１２ａ スクリーン取付部 １３，１３ａ ミラー取付部 １４ 操作パネル取付部 １５ 連結用舌片 １６ スクリーン １７ フレーム部 １７ａ，１７ｂ キャビティ １８ 傾斜壁 １９ 側壁 ２０ 背面壁 ２１ 台形状の突出部 ２２ 連結部 ２３ ミラー ２４ 斜線で示した部分 ２５ 金型 ２６ 入子収納部 ２７，２８ 入子

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 隆康 東京都品川区北品川６丁目７番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも映像機器が設置される所定形
   状及び大きさのボトムキャビネットと、 前面側にスクリーンが取り付けられるスクリーン取付部
   と、 背面内側に傾斜させてミラーが取り付けられるミラー取
   付部とからなり、 スクリーン取付部の背面側とミラー取付部の前面側とを
   合体させて前記ボトムキャビネット上に組み付けるよう
   にし、 この合体時の奥行寸法が設定された寸法になると共に、
   ミラー取付部におけるミラーの傾斜が設定した角度にな
   るように、スクリーン取付部とミラー取付部とを射出成
   型手段によりプラスチックで形成したことを特徴とする
   リアプロジェクタのキャビネット。
2. 【請求項２】 ミラー取付部は、下部を除く周囲にフレ
   ーム部が設けられると共に、 背面側にミラーを取り付けるために所定角度に設定され
   た傾斜壁を設け、 成型時に、傾斜壁の傾斜角度を維持させて前記フレーム
   部の大きさを変更できるようにしたことを特徴とする請
   求項１に記載のキャビネット。
3. 【請求項３】 フレーム部の大きさの変更は、少なくと
   も両側のフレーム部であって、該フレーム部の幅を射出
   成型手段における入子の交換によって任意に行えるよう
   にしたことを特徴とする請求項２に記載のキャビネッ
   ト。