JPH0988965A - 耐熱性滑り軸受 - Google Patents

耐熱性滑り軸受

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JPH0988965A
JPH0988965A JP7247635A JP24763595A JPH0988965A JP H0988965 A JPH0988965 A JP H0988965A JP 7247635 A JP7247635 A JP 7247635A JP 24763595 A JP24763595 A JP 24763595A JP H0988965 A JPH0988965 A JP H0988965A
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JP
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resin
heat
molding
sliding
polyimide resin
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JP7247635A
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Akinari Ohira
晃也 大平
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温下で用いられる軸受けが、軟質材料を相
手材として摺動させても良好な摺動特性を有するように
する。 【解決手段】 加熱定着装置用滑り軸受の材料として、
ポリイミド樹脂100重量部に鱗片状の黒鉛5〜25重
量部を添加してなる耐摩耗性の良好な耐熱性樹脂組成物
を用いたのである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐熱性滑り軸受
に関し、特に電子写真装置の加熱定着装置等の高温部分
に適用される加熱定着装置用耐熱性滑り軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成樹脂の滑り軸受の用途分野が
拡大するにつれて、使用条件の厳しい中での軸受の使用
が多くなってきた。特に、高温雰囲気下において、良好
な摩擦磨耗特性を発揮し得る耐熱性のある合成樹脂製軸
受が要求されるようになってきた。
【0003】また、摺動材の相手としてアルミニウム合
金が使用された場合、軸受には使用時において、比較的
軟質である上記摺動相手材を傷つけないことが要求され
る。このような要求のなされる耐熱性滑り軸受として
は、複写機やレーザービームプリンター等の加熱定着用
の滑り軸受があげられる。
【0004】上記複写機やレーザービームプリンター等
は、帯電画像を用いて原画像の情報を記録物質たる転写
体に伝達する機構を有しており、総称して電子写真装置
と呼ばれるが、装置内の加熱定着部には、図3に示すよ
うに、転写材上にそのトナー像を加熱定着させる加熱ロ
ーラ10と、転写材を加熱ローラ10に押圧して回転駆
動する加圧ローラ11が装着されている。
【0005】上記加熱ローラ10は、マグネシウム含有
のアルミニウム合金で形成されたものが多く、ヒータ1
2で約150〜230℃に加熱される。また、上記加圧
ローラ11は、シリコーンゴム等で被覆された鉄材から
なり、加熱ローラ10からの伝熱によって約70〜15
0℃に加熱される。
【0006】また、図3に示す加熱定着装置と異なる機
構を有する装置として、図4に示すように、金属製の加
熱ローラ10にかえて耐熱性合成フィルムに離型材をコ
ーティングした無端環状の定着フィルム15を用い、こ
の定着フィルム15を介してセラミックヒータ16を加
圧ローラ11に圧接して熱伝導効率を高めたものがあ
る。この場合、加圧ローラ11は、図3における加圧ロ
ーラ11に比べてよりいっそう高温となる。
【0007】このような高温状態で使用される各ローラ
は、その端部において合成樹脂製の滑り軸受で支持され
ている。図3の装置においては、軸受13、14であ
り、図4においては図に示されていないが、加圧ローラ
11を支持する軸受である。これらの軸受に用いられて
いる材質としては、耐熱性のある機械的強度の優れた熱
可塑性合成樹脂であるポリフェニレンサルファイド(以
下、PPSと略する。)樹脂が用いられる。この場合、
PPS樹脂自体は自己潤滑性が乏しいため、黒鉛、四フ
ッ化エチレン樹脂、潤滑油、金属酸化物、芳香族ポリア
ミド樹脂等の潤滑剤を添加した組成物を用いることが多
い。
【0008】しかし、近年、複写又は印刷速度をより高
める要望に応えるため、トナーを急速に溶融定着する必
要が生じ、前記の加熱ローラ10を250〜270℃の
温度にまで高めようとする傾向がある。これに対し、上
記軸受13、14に用いられてきた材質のPPS樹脂は
融点が280℃程度であり、250〜270℃にまで高
められた場合、使用できないという問題点がある。
【0009】この問題点を解決するため、ポリイミド樹
脂を用いることも検討されている。即ち、ポリイミド樹
脂は優れた耐熱性を有しているので、これに加えて高温
下で高加重、高速摺動等の過酷な条件で摺動材として使
用されるべく、各種の検討がなされている。例えば、ポ
リイミド樹脂の摺動特性を改良する技術として、特開昭
63−8455号公報には、ポリイミド樹脂に四フッ化
エチレン樹脂を添加することが開示されており、また、
特開昭63−314274号公報には、ポリイミド樹脂
に四フッ化エチレン樹脂と共にフェノール樹脂硬化物を
添加して、耐摩耗性を改善することが開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報等に記載されている材質は、室温下や硬質材料を相手
材として摺動する場合には良好な摺動特性を示すもの
の、高温でアルミニウムのような軟質材を相手材として
摺動させると、相手材を損傷するおそれがある。さら
に、このような材質に炭素繊維を配合すると、摺動材で
あるアルミニウム等の軟質材を損傷させ、その損傷に伴
って、摩擦特性や摩耗特性をより悪化させるおそれがあ
る。
【0011】そこで、この発明の課題は、高温下で用い
られる滑り軸受が、軟質材料を相手材として摺動させて
も良好な摺動特性を有するようにすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、ポリイミド樹脂100重量部
に鱗片状の黒鉛5〜25重量部を添加した耐熱・潤滑性
樹脂組成物を成形したのである。
【0013】この耐熱性滑り軸受は、ポリイミドを主成
分として、鱗片状黒鉛を添加しているので、耐熱性に優
れ、また、良好な耐摩擦性、耐摩耗性を有しているの
で、軟質材料を相手材として摺動させても良好な摺動特
性を有しているのである。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明に用いられるポリイミド
(以下、PIと略する。)樹脂は、芳香族カルボン酸と
芳香族アミンを縮合重合させて得られるものであり、優
れた耐熱性、耐薬品性、機械的性質及び電気絶縁性を有
する合成樹脂である。なお、この発明に用いられるPI
樹脂は、主鎖にイミド結合を有するもので、主鎖にイミ
ド結合及びアミド結合を有するものは含まれない。
【0015】PI樹脂としては、公知の樹脂を用いるこ
とができる。例として、P84−HT(オーストリア国
レンジング社製)、TI−3000(東レ社製)、UI
P−S,R(宇部興産社製)等があげられる。
【0016】この発明に用いられる鱗片状黒鉛は、天
然、人造のいずれであってもよい。また、平均粒径は特
に限定されないが、1〜50μmのものがよく、5〜2
0μmのものが好ましく、10μm前後のものがより好
ましい。
【0017】このような鱗片状黒鉛としては、ACP
(日本黒鉛社製:固定炭素99.5%)、KS−6(L
ONZA社製:炭素固定99.5%)、KS−10(L
ONZA社製:炭素固定99.5%)等があげられる。
【0018】この鱗片状黒鉛は、PI樹脂100重量部
に対して5〜25重量部配合されれば、耐摩擦、耐摩耗
性が改善され、かつこの組成物から成形される成形品の
寸法変化を小さくすることができる。よって、摺動相手
材がアルミニウム合金等の軟質材であっても、摺動相手
材を損傷させることはない。これに対し、鱗片状黒鉛が
5重量部未満では耐摩耗性の改善が見られず、また、2
5重量部を越える場合は成型品が脆くなり好ましくな
い。
【0019】また、この発明における組成物には、上記
PI樹脂及び鱗片状黒鉛の他に、各種の添加剤を配合す
ることもできる。例えば組成物の潤滑性をより改善する
ために、各種固体潤滑剤を配合してもよい。具体例とし
ては、カーボン、マイカ、タルク、ウォラストナイト、
金属酸化物の粉末、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、リ
ン酸塩、ステアリン酸塩、炭酸塩等、或いは、チタン酸
カリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホウ酸アルミニウ
ム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等のウィスカ、又
は、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビ
ニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、
テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETF
E)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン−パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)三元共
重合体(EPE)等の溶融フッ素樹脂等をあげることが
できる。
【0020】これらの各種添加物を上記組成物に添加す
る方法は、特に限定されるのもではなく、通常用いられ
ている方法、例えば、PI樹脂にその他の原料を一緒に
ヘンシェルミキサー、ボールミル、タンブラーミキサー
等の混合機に投入して混合してもよい。また、成形する
方法も特に限定されるものではなく、通常用いられてい
る方法、例えば、加熱圧縮成形、ラム押し出し成形や、
室温での加圧成形後不活性ガス又は加圧雰囲気下で焼成
する方法、CIP成形後焼成する方法等があげられる。
【0021】上記の組成物を成形してなる滑り軸受は、
その形状を限定するものではなく、加熱ローラ、加圧ロ
ーラの形状や周辺装置、ハウジングに合わせた形態をと
ればよい。例えば、図1に示すように、軸受は単独材料
形成されるもののみだけでなく、二色成形の手法を採用
し、軸受部1と固定用金属部2とからなる複合材として
もよい。また、図2に示すように、軸受部3とPPS、
ポリアミドイミド(PAI)、PI等の耐熱性及び断熱
性のある樹脂、または、これに無機充填剤もしくは有機
充填材等を添加した樹脂部4とからなる二色成形された
軸受であってもよい。
【0022】
【実施例】
[実施例1]下記の化1で示される構造式を有するPI
樹脂粉末(LENZAING社製:P84−HT、平均
粒径25μm)100重量部と黒鉛(LONZA社製:
KS−6、平均粒径6μm)7重量部をヘンシェルミキ
サーで充分に混合し、120℃で10時間以上乾燥後、
φ30の金型に混合樹脂粉末約50gを投入し、成形温
度400℃、面圧1000kgf/cm2 、成形保持時
間60分の条件下で外形30mm、高さ50mmの円柱
を成形した。この円柱を外形28mm、内径20mm、
幅5mmのリング上試験片に加工し、以下に示す高温ラ
ジアル摩擦摩耗試験を行った。その結果を表1に示す。
【0023】
【化1】
【0024】[実施例2]下記の化2で示される構造式
を有するPI樹脂粉末(宇部興産社製:UIP−S、平
均粒径10μm)100重量部と黒鉛(LONZA社
製:KS−10、平均粒径10μm)20重量部をヘン
シェルミキサーで充分に混合し、120℃で10時間以
上乾燥後、φ30の金型に混合樹脂粉末約52gを投入
し、成形温度400℃、面圧1000kgf/cm2
成形保持時間60分の条件下で外形30mm、高さ50
mmの円柱を成形した。この円柱を外形28mm、内径
20mm、幅5mmのリング上試験片に加工し、以下に
示す高温ラジアル摩擦摩耗試験を行った。その結果を表
1に示す。
【0025】
【化2】
【0026】[実施例3]下記の化3で示される構造式
を有するPI樹脂粉末(東レ社製:TI−3000、平
均粒径5μm)100重量部と黒鉛(LONZA社製:
KS−6、平均粒径6μm)20重量部とPTFE(三
井・デュポン社製:テフロン7J、平均粒径20μm)
7重量部をヘンシェルミキサーで充分に混合し、120
℃で10時間以上乾燥後、φ30の金型に混合樹脂粉末
約53gを投入し、成形温度400℃、面圧1000k
gf/cm2 、成形保持時間60分の条件下で外形30
mm、高さ50mmの円柱を成形した。この円柱を外形
28mm、内径20mm、幅5mmのリング上試験片に
加工し、以下に示す高温ラジアル摩擦摩耗試験を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0027】
【化3】
【0028】[実施例4]前記の化3で示される構造式
を有するPI樹脂粉末(東レ社製:TI−3000、平
均粒径5μm)100重量部と黒鉛(LONZA社製:
KS−6、平均粒径6μm)20重量部とPTFE(三
井・デュポン社製:テフロン7J、平均粒径20μm)
20重量部をヘンシェルミキサーで充分に混合し、12
0℃で10時間以上乾燥後、φ30の金型に混合樹脂粉
末約56gを投入し、成形温度400℃、面圧1000
kgf/cm2 、成形保持時間60分の条件下で外形3
0mm、高さ50mmの円柱を成形した。この円柱を外
形28mm、内径20mm、幅5mmのリング上試験片
に加工し、以下に示す高温ラジアル摩擦摩耗試験を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0029】[高温ラジアル摩擦摩耗試験]アルミニウ
ム合金A5052(表面粗さ3.2S)製の回転軸を相
手材とし、この相手材の外周にリング状試験片をはめ込
み、これを相手材周囲に対して3.5Kgfの荷重で押
圧し、前記回転軸は表面温度を250℃に制御すると共
に、これにトルクメータを取り付けて、周速9.0m/
minで50時間連続運転させた。この後、試験片の摩
耗量としての摩耗係数(×10-10 cm3 /(kgf・
m))と回転軸のトルク(kgf・m)を測定すると共
に、相手材の損傷度を観察した。損傷度については、損
傷しない(○印)、やや損傷する(△印)、または損傷
する(×印)の3段階評価し、表1に示す。
【0030】[比較例1〜3]表1に示した割合で原材
料を配合したこと以外は、実施例1と全く同様にして試
験片を作製し、前記高温ラジアル摩擦摩耗試験を行い、
摩耗係数、回転軸のトルク、損傷度を求めて結果を表1
に示す。なお、比較例3は、成形体の強度が低く、試験
片形状に加工することができなかった。
【0031】表1に示す結果から明らかなように、比較
例1、2は摩耗量、回転トルクが大きくしかも相手材の
損傷も大きいため、好ましい物性を得ることができなか
った。
【0032】一方、実施例1〜4では、摩耗量、回転ト
ルクが共に低く、しかも相手材のアルミニウム合金(A
5052)を損傷しなかった。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】この発明の耐熱性滑り軸受は、PI樹脂
に鱗片状黒鉛と必要に応じて四フッ化エチレン樹脂を所
定量添加したので、耐熱性、低摩擦特性、耐摩耗性、潤
滑性を有し、しかもアルミニウム合金等の軟質合金を摺
動相手材とした場合に非攻撃性を有する利点があり、ま
た、電子写真装置の加熱定着部用滑り軸受に適用できる
利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の耐熱性滑り軸受の斜視
【図2】この発明の実施の形態の他の耐熱性滑り軸受の
斜視図
【図3】加熱定着装置における滑り軸受の使用例を示す
断面図
【図4】他の加熱定着装置における滑り軸受の使用例を
示す断面図
【符号の説明】
1 軸受部 2 固定用金属部 3 軸受部 4 樹脂部 10 加熱ローラ 11 加圧ローラ 12 ヒータ 13 軸受 14 軸受 15 定着フィルム 16 セラミックヒータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミド樹脂100重量部に鱗片状の
    黒鉛5〜25重量部を添加した耐熱・潤滑性樹脂組成物
    を成形してなる耐熱性滑り軸受。
  2. 【請求項2】 ポリイミド樹脂100重量部に鱗片状の
    黒鉛5〜25重量部及び四フッ化エチレン樹脂5〜25
    重量部を添加した耐熱・潤滑性樹脂組成物を成形してな
    る耐熱性滑り軸受。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の滑り軸受からな
    る加熱定着装置用耐熱性滑り軸受。
JP7247635A 1995-09-26 1995-09-26 耐熱性滑り軸受 Pending JPH0988965A (ja)

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