JP2007051569A - 斜板式コンプレッサの斜板および斜板式コンプレッサ - Google Patents

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Takumi Hayashi
工 林
Naonari Tanigawa
直成 谷川
Kozo Kakehi
幸三 筧
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Abstract

【課題】斜板式コンプレッサの斜板とシューとの摺動部での焼付きを、安価に耐久性と耐熱性を確保して防止できるようにするとともに、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも使用可能な斜板を提供することである。
【解決手段】斜板3を、基材3aにTPIを射出成形で一体化した複合成形品とし、シュー4が摺動する摺動面3cを、TPIの射出成形部3bで形成することにより、斜板3とシューとの摺動部での焼付きを、安価に耐久性と耐熱性を確保して防止できるようにするとともに、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも使用可能なものとした。
【選択図】図2

Description

本発明は、エアコンディショナ等に用いられる斜板式コンプレッサの斜板および斜板式コンプレッサに関する。
冷媒が存在するハウジング内で、回転軸に直接固定するように、または連結部材を介して間接的に、斜めに取り付けた斜板にシューを摺動させ、このシューを介して斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コンプレッサには、両頭形のピストンを用いて冷媒を両側で圧縮、膨張させる両斜板タイプのものと、片頭形のピストンを用いて冷媒を片側のみで圧縮、膨張させる片斜板タイプのものとがある。また、シューは斜板の片側面のみで摺動するものと、斜板の両側面で摺動するものとがある。
これらの斜板式コンプレッサでは、運転初期において、冷媒が存在するハウジング内へ潤滑油が到達する前に斜板とシューが摺動するので、これらの摺動部が潤滑油のないドライ潤滑状態となり、焼付きが発生しやすい。この焼付きを防止する手段としては、これまでに、シューが摺動する金属製斜板の摺動面に、銅系またはアルミニウム系材料を溶射し、この溶射層に鉛系めっき、錫系めっき、鉛−錫系めっき、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系被覆、モリブデン化合物被覆またはモリブデン化合物・黒鉛混合被覆を施したもの(例えば、特許文献1参照)、金属製斜板の摺動面に、静電粉体塗装法でポリエーテルエーテルケトン(PEEK)皮膜を形成したもの(例えば、特許文献2参照)、金属製斜板の摺動面に、静電粉体塗装法で熱可塑性ポリイミド皮膜(TPI)を形成したもの(例えば、特許文献3参照)、斜板の摺動面に、PTFEを含有する固体潤滑剤を熱硬化樹脂であるポリアミドイミド樹脂(PAI)で固めた摺動層を設けたもの(例えば、特許文献4参照)等が提案されている。
特開平8−199327号公報 特開2002−180964号公報 特開2003−49766号公報 特開2003−138287号公報
特許文献1に記載されたものは、金属製斜板の摺動面に銅系やアルミニウム系材料の溶射層を形成し、さらにこの溶射層にめっきまたは被覆処理を施す必要があるので、斜板の製造工程が大幅に増加し、その製造コストが高価になる問題がある。また、特許文献2および3に記載されたものは、静電粉体塗装をする際に、斜板の金属製基材を400℃以上に加熱するとともに、皮膜が不要な部分をマスキングする必要があるので、さらに製造コストが高価になり、400℃以上の加熱による金属製基材の変形や硬度低下等も懸念される。
一方、特許文献4に記載されたものは、斜板の製造コストはそれほど増加しないが、摺動層を形成するPAIのアミド基は吸水性があるので、摺動層の強度が吸水によって低下し、十分に満足できる耐久性を確保できない問題がある。また、PAIのガラス転移温度は280〜290℃程度であるので、ドライ潤滑状態における摺動部での発熱に対して、十分な耐熱性を確保できない問題もある。
また、近年開発が行なわれている炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにおいては、コンプレッサ内の圧力が10MPaにも達するため、斜板とシューとの摺動圧力がこれまでより高くなり、斜板の摺動面はより過酷な条件に曝されることになる。
そこで、本発明の課題は、斜板式コンプレッサの斜板とシューとの摺動部での焼付きを、安価に耐久性と耐熱性を確保して防止できるようにするとともに、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも使用可能な斜板を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は、冷媒が存在するハウジング内で、回転軸に直接固定するように、または連結部材を介して間接的に、斜めに取り付けた斜板にシューを摺動させ、このシューを介して前記斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コンプレッサの斜板において、前記斜板を、基材に熱可塑性ポリイミド樹脂(TPI)を射出成形で一体化した複合成形品とし、前記シューが摺動する摺動面を、前記熱可塑性ポリイミド樹脂の射出成形部で形成した構成を採用した。
すなわち、斜板を、基材にTPIを射出成形で一体化した複合成形品とし、シューが摺動する摺動面を、TPIの射出成形部で形成することにより、斜板とシューとの摺動部での焼付きを、安価に耐久性と耐熱性を確保して防止できるようにした。また、この斜板は一部が樹脂の射出成形部で形成されるので、従来の金属製斜板の表面に溶射やめっき等の皮膜を形成したものよりも軽量化することができる。なお、基材と射出成形部を一体化した複合成形品は、基材を射出成形用金型の中にセットして射出成形することにより、容易で安価に製造することができる。
前記TPIとしては、(化1)式で一般表現される1種以上のエーテルジアミンと、(化2)式で一般表現される1種以上のテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリアミド酸を脱水環化して得られるものを用いることができ、このTPIは、優れた耐熱性に加えて、優れた溶融流動性を有するので、射出成形によって容易に基材と一体化することができ、摺動面での優れた摺動特性も確保することができる。
Figure 2007051569
(化1)式中のXは、直結炭素数1乃至10の2価の炭化水素基、六フッ素化されたイソプロビリデン基、カルボニル基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基、オキシドから成る群から選ばれた基を表し、R〜Rは、水素原子または1価の炭化水素基を表す。
Figure 2007051569
(化2)式中のYは、炭素数2以上の脂肪族基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基から成る群から選ばれた4価の基を表す。
前記(化1)式で表されるエーテルジアミンの具体例としては、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2-〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-2-〔4-(3-アミノフェノキシ)-3-メチルフェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)-3-メチルフェニル〕プロパン、2-〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-2-〔4-(3-アミノフェノキシ)-3,5-ジメチルフェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)-3,5-ジメチルフェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)-3-メチルビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,3’-ジメチルビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,5-ジメチルビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル等が挙げられ、これらは単独または2種以上混合して用いることができる。
また、前記TPIの溶融流動性を損なわない範囲で、他のジアミンを混合して用いることもできる。これらのジアミンとしては、例えば、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ケトン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン等が挙げられ、これらのジアミンは30モル%以下、好ましくは5モル%以下混合して用いることができる。
前記(化2)式で表されるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’-(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物等が挙げられ、これらは単独または2種以上混合して用いることができる。また、前記TPIを製造するに際して、無水フタル等の芳香族ジカルボン酸やアニリン等の芳香族モノアミン類の共存下に反応させて、分子末端を封止したTPIとすることもできる。
前記基材は金属で形成するとよい。この基材とする金属としては、炭素鋼、ステンレス鋼、鋳鉄等も用いることができるが、軽量化の観点からアルミニウム合金が好ましく、そのダイキャストが強度面から好ましい。なお、基材はセラミックや剛性の高い熱硬化性樹脂等で形成することもできる。
前記射出成形するTPIに、充填材として、固体潤滑剤、炭素繊維およびウィスカの少なくとも1種以上を配合することにより、固体潤滑剤を配合する場合は、斜板の摺動面の摩擦係数を低減して、摺動特性をより向上させることができ、炭素繊維やウィスカを配合する場合は、斜板の強度や耐摩耗性等の耐久性をより向上させることができる。
前記固体潤滑剤の配合量と、炭素繊維やウィスカの配合量は、上述したこれらの効果を十分に発揮するために、いずれも5質量%以上とするのが好ましく、射出成形されるTPIの流動性を確保するために、いずれも30質量%以下とするのが好ましい。なお、固体潤滑剤、炭素繊維およびウィスカの2種以上を充填材として配合する場合は、これらの充填材をタンブラーミキサ、ヘンシェルミキサ等の混合機で乾式混合したのち、射出成形されるTPIに撹拌しながら配合するとよい。
前記炭素繊維の平均繊維長は、前記射出成形部を十分に繊維強化するために0.01mm以上とするのがよく、射出成形部へ均一に分散するために1.0mm以下、好ましくは0.3mm以下とするのがよい。炭素繊維の平均繊維径は、射出成形部へ均一に分散でき、かつ、相手材の摩耗を防止するために、1〜25μm、好ましくは5〜25μm、さらに好ましくは10〜20μmとするのがよい。また、ウィスカは、射出成形部に均一に分散させて十分に繊維強化できるように、平均繊維長を1〜10μm、平均繊維径を0.1〜1μmとするのが好ましい。なお、これらの炭素繊維やウィスカは、射出成形部の樹脂との密着性を高めるために、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリアセタール系樹脂等を含有する処理剤や、エポキシシラン系、アミノシラン系等のシラン系カップリング剤等により表面処理を施してもよい。
前記固体潤滑剤は、フッ素樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、黒鉛、モリブデン化合物、タングステン化合物、タルクおよびマイカから選ばれる少なくとも1種以上のものからなるものとすることができる。
前記フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル(プロピル)ビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリプロピレン−パーフルオロオレフィン共重合体等を用いることができる。また、芳香族ポリエステル樹脂としてはエコノール等を用いることができる。
特に、前記PTFE、PFA、FEP等のパーフルオロ系のフッ素樹脂は、炭素原子の周囲が直接、または酸素原子を介して全てフッ素原子で囲まれているので分子構造が安定しており、熱分解温度および微分熱分解開始温度が高く、非常に耐熱性が優れている。例えば、PTFEの熱分解温度は約490℃、微分熱分解開始温度は約555℃である。したがって、PTFEの熱分解温度は、射出成形部のTPIよりも100〜200℃高く、ドライ潤滑状態における摺動部での発熱に対して十分な耐熱性を確保し、斜板の摺動面の摩擦係数を低く維持することができる。なお、これらのフッ素樹脂は、射出成形するTPIに粉末状にして配合する場合は、特に問題なく均一に分散させることができるが、粒状にして配合する場合は、平均粒径を70μm以下、好ましくは30μm以下とするのがよい。
前記黒鉛は、鱗片状、球状等のいかなる形状のものでもよく、天然のものでも人造のものでもよいが、天然の鱗片状のものが摺動特性および価格の面でより優れている。また、黒鉛の固定炭素量は、十分な摺動特性を得るために90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上とするのがよい。黒鉛はTPIの射出成形時における金型内での結晶化を促進する働きもし、TPIの結晶化度が向上することにより、摺動面の耐摩耗性がさらに向上する。また、金型内での結晶化の促進による耐摩耗性のさらなる向上のために、ポリエーテルエーテルケトン樹脂を配合してもよい。
前記モリブデン化合物としては、二硫化モリブデン、セレン化モリブデン、酸化モリブデン、窒化二モリブデン、モリブデン酸カルシウム、モリブデンブロンズ等を用いることができる。また、タングステン化合物としては、二硫化タングステン、セレン化タングステン、酸化タングステン、窒化二タングステン、タングステン酸カルシウム、タングステンブロンズ等を用いることができる。
また、本発明の斜板式コンプレッサは、上述したいずれかの斜板を備えたものとしたので、コンプレッサ内の圧力が10MPaにも達する炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサに使用しても、斜板の摺動面に焼付き等が発生する恐れがない。
本発明の斜板式コンプレッサの斜板は、斜板を、基材にTPIを射出成形で一体化した複合成形品とし、シューが摺動する摺動面を、TPIの射出成形部で形成したので、斜板とシューとの摺動部での焼付きを、安価に耐久性と耐熱性を確保して防止することができる。また、この斜板は一部が樹脂の射出成形部で形成されるので、従来の金属製斜板の表面に溶射やめっき等の皮膜を形成したものよりも軽量化することもできる。
前記射出成形するTPIに、充填材として、固体潤滑剤、炭素繊維およびウィスカの少なくとも1種以上を配合することにより、固体潤滑剤を配合する場合は、斜板の摺動面の摩擦係数を低減して、摺動特性をより向上させることができ、炭素繊維やウィスカを配合する場合は、斜板の強度や耐摩耗性等の耐久性をより向上させることができる。
また、本発明の斜板式コンプレッサは、上述した斜板を備えたものとしたので、コンプレッサ内の圧力が10MPaにも達する炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサに使用しても、斜板の摺動面に焼付き等が発生する恐れがない。
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。この斜板式コンプレッサは、図1に示すように、冷媒が存在するハウジング1内で、回転軸2に直接固定するように斜めに取り付けた斜板3の回転運動を、斜板3の両側面で摺動するシュー4を介して両頭形ピストン5の往復運動に変換し、ハウジング1の周方向に等間隔で形成されたシリンダボア6内の各ピストン5の両側で、冷媒を圧縮、膨張させる両斜板タイプのものであり、高速で回転駆動される回転軸2は、ラジアル方向を針状ころ軸受7で支持され、スラスト方向をスラスト針状ころ軸受8で支持されている。
前記各ピストン5には斜板3の外周部を跨ぐように凹部5aが形成され、この凹部5aの軸方向対向面に形成された球面座9に、半球状のシュー4が着座されている。このシュー4は球状のものもあり、ピストン5を斜板3の回転に対して相対移動自在に支持する。これによって、斜板3の回転運動からピストン5の往復運動への変換が円滑に行われる。
前記斜板3は、図2(a)、(b)に示すように、アルミニウム合金ダイキャストの基材3aに、各種充填材を配合したTPIを射出成形で一体化した複合成形品とされ、シュー4が摺動する斜板3の両側の摺動面3cは射出成形部3bで形成されている。また、各摺動面3cには、90°の位相で放射状に延びる油溝10も射出成形で同時に形成されている。なお、油溝10の形態は、放射状のものに限定されることはなく、環状、渦巻状、格子状等の任意の形態とすることができる。また、基材3aの表面に凹部を設ければ、射出成形されるTPIを基材3aにより強固に固定することができる。
表1に示すように、図2に示した斜板の実施例として、前記射出成形部のベース樹脂をTPIとし、充填材としてPTFEと炭素繊維(CF)を配合したもの(実施例1、2)、充填材としてPTFEと黒鉛を配合したもの(実施例3)、充填材としてPTFEとチタン酸カリウムのウィスカを配合したもの(実施例4)、充填材としてPTFE、CFおよび二硫化モリブデン(MoS)を配合したもの(実施例5)、充填材としてCFと二硫化タングステン(WS)を配合したもの(実施例6)、充填材としてPTFE、CFおよびタルクを配合したもの(実施例7)、ベース樹脂のTPIにPEEKを配合し、充填材としてPTFEとCFを配合したもの(実施例8)を用意した。
また、斜板の比較例として、特許文献1に記載されたもののように、摺動面に銅系の金属溶射層を形成し、さらにこの金属溶射層にPTFEの被覆処理を施したもの(比較例1)、特許文献2、3に記載されたもののように、摺動面に静電粉体塗装法でそれぞれPEEK皮膜またはTPI皮膜を形成したもの(比較例2、3)、特許文献4に記載されたもののように、摺動面にPTFEと黒鉛の固体潤滑剤をPAIで固めた摺動層を設けたもの(比較例4)も用意した。
Figure 2007051569
これらの各実施例と比較例の斜板について、斜板式コンプレッサの実機での運転初期の状態を想定して、高速回転する斜板の摺動面に、高炭素クロム軸受鋼SUJ2製のシューをドライ潤滑状態で連続10分間摺動させる耐久試験を行い、10分経過後の摺動面の異常摩耗(深さ0.5mm以上の摩耗または溶融)の有無を観察するとともに、摺動面での摩擦係数も測定した。試験条件は以下の通りである。
・回転速度:2000rpm(実機の通常回転数)
・シューの摺動圧力:3MPa
上記耐久試験の結果と各実施例と比較例の斜板の製造コストを表1に併せて示す。製造コストは、従来多用されている比較例1のものを基準100とする相対コストで表示した。各実施例のものは、いずれもドライ潤滑状態における摺動面の摩擦係数が0.2前後と小さくて異常摩耗の発生もなく、耐久性に優れている。また、製造コストも従来の比較例1のものの7割程度である。これに対して、比較例1乃至3のものも異常摩耗は発生していないが、比較例1のものは製造コストが各実施例のものより高く、比較例2、3のものは製造コストが非常に高く、摩擦係数も0.3を超えてやや高い。また、比較例4のものは、製造コストは比較的安いが、摩擦係数が非常に高く異常摩耗が発生している。
上述した実施形態では、両斜板タイプの斜板式コンプレッサで、斜板の両側面でシューが摺動するものとしたが、本発明に係る斜板式コンプレッサの斜板は、片斜板タイプのものや、斜板の片面側にのみシューが摺動するもの、斜板が連結部材を介して回転軸に取り付けられたもの等、全てのタイプの斜板式コンプレッサに採用することができる。
斜板式コンプレッサの実施形態を示す縦断面図 aは図1の斜板を示す縦断面図、bはaの平面図
符号の説明
1 ハウジング
2 回転軸
3 斜板
3a 基材
3b 射出成形部
3c 摺動面
4 シュー
5 ピストン
5a 凹部
6 シリンダボア
7 針状ころ軸受
8 スラスト針状ころ軸受
9 球面座
10 油溝

Claims (5)

  1. 冷媒が存在するハウジング内で、回転軸に直接固定するように、または連結部材を介して間接的に、斜めに取り付けた斜板にシューを摺動させ、このシューを介して前記斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コンプレッサの斜板において、前記斜板を、基材に熱可塑性ポリイミド樹脂を射出成形で一体化した複合成形品とし、前記シューが摺動する摺動面を、前記熱可塑性ポリイミド樹脂の射出成形部で形成したことを特徴とする斜板式コンプレッサの斜板。
  2. 前記基材を金属で形成した請求項1に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
  3. 前記射出成形する熱可塑性ポリイミド樹脂に、充填材として、固体潤滑剤、炭素繊維およびウィスカの少なくとも1種以上を配合した請求項1または2に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
  4. 前記固体潤滑剤が、フッ素樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、黒鉛、モリブデン化合物、タングステン化合物、タルクおよびマイカから選ばれる少なくとも1種以上のものからなる請求項3に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の斜板を備えた斜板式コンプレッサ。
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