JP2007064090A - 斜板式コンプレッサの斜板および斜板式コンプレッサ - Google Patents
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Abstract
【課題】斜板式コンプレッサの金属基材で形成された斜板を、耐焼付き性はもとより、密着性と耐摩耗性の優れた被覆層で被覆し、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも耐用可能なものとすることである。
【解決手段】斜板3を形成する金属基材3aの表面に、フッ素樹脂、耐熱性樹脂および金属酸化物粉末から成る皮膜11を形成することにより、フッ素樹脂で耐焼付き性を確保した上で、耐熱性樹脂で金属基材3aとの十分な密着性を確保するとともに、金属酸化物粉末で優れた耐摩耗性を確保し、斜板3の金属基材3aを、耐焼付き性はもとより、密着性と耐摩耗性の優れた被覆層で被覆し、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも耐用可能なものとした。
【選択図】図2
【解決手段】斜板3を形成する金属基材3aの表面に、フッ素樹脂、耐熱性樹脂および金属酸化物粉末から成る皮膜11を形成することにより、フッ素樹脂で耐焼付き性を確保した上で、耐熱性樹脂で金属基材3aとの十分な密着性を確保するとともに、金属酸化物粉末で優れた耐摩耗性を確保し、斜板3の金属基材3aを、耐焼付き性はもとより、密着性と耐摩耗性の優れた被覆層で被覆し、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも耐用可能なものとした。
【選択図】図2
Description
本発明は、エアコンディショナ等に用いられる斜板式コンプレッサの斜板および斜板式コンプレッサに関する。
冷媒が存在するハウジング内で、回転軸に直接固定するように、または連結部材を介して間接的に、斜めに取り付けた斜板にシューを摺動させ、このシューを介して斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コンプレッサには、両頭形のピストンを用いて冷媒を両側で圧縮、膨張させる両斜板タイプのものと、片頭形のピストンを用いて冷媒を片側のみで圧縮、膨張させる片斜板タイプのものとがある。また、シューは斜板の片側面のみで摺動するものと、斜板の両側面で摺動するものとがある。
これらの斜板式コンプレッサでは、運転初期において、冷媒が存在するハウジング内へ潤滑油が到達する前に金属製の斜板とシューが摺動するので、これらの摺動部が潤滑油のないドライ潤滑状態となり、焼付きが発生しやすい。この焼付きを防止する手段としては、これまでに、シューが摺動する金属製斜板の摺動面に、銅系またはアルミニウム系の金属材料を溶射し、この金属溶射層に鉛系めっき、錫系めっき、鉛−錫系めっき、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系被覆、二硫化モリブデン被覆または二硫化モリブデン・黒鉛混合被覆を施したもの(例えば、特許文献1参照)や、PTFEを含有する固体潤滑剤を熱硬化樹脂であるポリアミドイミド樹脂(PAI)で固めた摺動層を設けたもの(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
近年開発が行なわれている炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにおいては、コンプレッサ内の圧力が10MPaにも達するため、斜板とシューとの摺動圧力がこれまでより高くなり、金属基材で形成された斜板の被覆には、より密着性と耐摩耗性の優れたものが要求されている。
特許文献1に記載されたものは、金属基材の表面に銅系やアルミニウム系材料の溶射層を形成し、さらにこの溶射層にめっきまたは被覆処理を施す必要があるので、斜板の製造工程が大幅に増加し、その製造コストが高価になる問題がある。また、金属溶射層にPTFE系被覆のような樹脂被覆を施したものは、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサに耐用できるような密着性と耐摩耗性を確保できない。
一方、特許文献2に記載されたものは、斜板の製造工程はそれほど増加しないが、摺動層を形成するPAIは、PTFEを含有する固体潤滑剤を添加するのみでは、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサに耐用できるような耐摩耗性を確保できない。
そこで、本発明の課題は、斜板式コンプレッサの金属基材で形成された斜板を、耐焼付き性はもとより、密着性と耐摩耗性の優れた被覆層で被覆し、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも耐用可能なものとすることである。
上記の課題を解決するために、本発明は、冷媒が存在するハウジング内で、回転軸に直接固定するように、または連結部材を介して間接的に、斜めに取り付けた斜板にシューを摺動させ、このシューを介して前記斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コンプレッサの斜板において、前記斜板を金属基材で形成し、前記シューが摺動する摺動面に、フッ素樹脂、耐熱性樹脂および金属酸化物粉末から成る皮膜を形成した構成を採用した。
前記フッ素樹脂は低摩擦特性を有し、皮膜に耐焼付き性を付与する役割をする。このフッ素樹脂は、シューとの摺動部での温度上昇に耐えられる耐熱性を有するものであれはよく、具体的には、PTFE(融点θM:327℃、連続使用温度θA:260℃)、PTFE−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(θM:270℃、θA:200℃)、PTFE−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(θM:310℃、θA:260℃)、エチレン−PTFE共重合体(θM:270℃、θA:150℃)、ポリクロロトリフルオロエチレン(θM:210℃、θA:120℃)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(θM:240℃、θA:150℃)等が挙げられる。これらは、それぞれ単独または2種以上の共重合体や3共重合体等であってもよい。
このうちPTFEは、−CF2CF2−の繰り返し単位より構成され、340〜380℃でも溶融粘度が約1010〜1011Pa・sと高く、融点を越えても流動し難いので、フッ素樹脂の中では最も耐熱性が優れており、また、常温でも優れた摺動性や非粘着性(対水接触角:104°)を示すので好適である。さらに、PTFEの中でも、滑剤級の粉末PTFEを用いることが好ましく、滑剤級の粉末PTFEの市販品としては、フルオンL169、同170、同171(以上英国アイ・シー・アイ社製商品名)、ポリフロンM15、ルブロンL−2、同L−5、同LD−1(以上ダイキン工業社製商品名)、テフロン7J、同TLP−10、同TLP−10F−1(以上デュポン社製商品名)、フルオンG163(旭硝子社製商品名)等を挙げることができる。なお、滑剤級の粉末PTFEとは、一度焼成したPTFEを粉砕した再生PTFEや、PTFEにガンマ線照射処理をして低分子量化したPTFE粉末を言い、ガンマ線照射処理をした市販品の例としては、KT400H(喜多村社製商品名)がある。
前記PTFEの形態は、成形用の粉末であっても、いわゆる固体潤滑剤用の微粉末であってもよく、その平均粒径は0.1〜20μm、好ましくは0.2〜10μmの範囲にあるのがよい。平均粒径がこの範囲内にあると、コーティング剤中で凝集し難く、皮膜中に満遍なく均一に分散される。
前記耐熱性樹脂は、皮膜を熱劣化させることなく金属基材に強固に密着するとともに、粉末としたフッ素樹脂や金属酸化物粉末を結着する役割をする。耐熱性樹脂としては、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂等を挙げることができ、中でもポリイミド系樹脂が耐熱性と密着性に最も優れている。
前記ポリイミド系樹脂の具体例としては、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、ポリエステルイミド樹脂、ポリエステルアミドイミド樹脂等を挙げることができ、中でもPIとPAIが好適であり、さらに、イミド結合またはアミド結合が芳香族基を介して結合している芳香族系ポリイミド樹脂や芳香族系ポリアミドイミド樹脂が特に好ましい。
前記PIは、酸二無水物とジアミンとをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)やジメチルアセトアミド(DMAC)等の非プロトン系極性溶媒中で開環重付加反応により得られるポリイミド前駆体であるポリアミドカルボン酸を加熱脱水閉環すること等により得られる。PIにポリアミドカルボン酸が混在する状態でも使用することができる。
前記PAIはイミド結合とアミド結合とを有する樹脂である。また、芳香族系ポリアミドイミド樹脂のイミド結合は、ポリアミド酸等の前駆体であっても、閉環したイミド環であってもよく、これらが混在する状態でもよい。このような芳香族系ポリアミドイミド樹脂には、芳香族第一級ジアミン(例えば、ジフェニルメタンジアミン)と芳香族三塩基酸無水物(例えば、トリメット酸無水物のモノまたはジアシルハライド誘導体)とから製造されるもの、芳香族ジイソシアネート化合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート)と芳香族三塩基酸無水物とから製造されるもの等がある。さらに、アミド結合に比べてイミド結合の割合を多くしたPAIとして、芳香族、脂肪族または脂環族ジイソシアネート化合物と芳香族四塩基酸二無水物および芳香族三塩基酸無水物とから製造されるもの等があり、いずれのPAIも使用することができる。
前記金属酸化物粉末は、皮膜の耐摩耗性を向上させる役割をし、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の粉末を使用することができる。
上述した皮膜を金属基材の表面に形成する方法としては、ディッピング法、スプレーコート法、刷毛塗り法、粉体塗装法等によって、上述した構成のコーティング剤を金属基材の表面に塗布し、これを焼成する方法を採用することができる。スプレーコート法でコーティング剤を塗布する場合は、コーティング剤が微小な粒子となって金属基材の表面に付着するので、皮膜の厚みを精度よく管理することができる。
前記コーティング剤は、粉体塗装法を採用する場合を除いて、フッ素樹脂、耐熱性樹脂および金属酸化物粉末を溶剤類に分散または溶解することにより得られる。溶剤類としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルクロロホルム、トリクロロエチレン、トリクロロトリフルオロエタン等の有機ハロゲン化化合物類、NMP、DMAC、メチルイソピロリドン(MIP)、ジメチルホルムアミド(DMF)等の非プロトン系極性溶剤類等を使用することができる。なお、粉体塗装法は無溶剤塗装である。
これらの方法で金属基材に塗布されるコーティング剤の被覆層は、焼成後の厚みで5〜40μm、好ましくは10〜30μmの層厚とするのが好ましい。層厚が5μm未満では、シューの片当たり等が生じたときに局部的な摩耗が生じる恐れがあり、層厚が40μmを越えると、皮膜の剥離が生じやすくなるからである。
前記被覆層の焼成温度は、コーティング剤を構成する耐熱性樹脂の種類によって異なるが、耐熱性樹脂がPIの場合は200〜350℃が適当である。焼成温度が200℃未満では、前駆体であるポリアミド酸のイミド反応が十分でなく、金属基材との密着性を十分に確保できない恐れがあり、350℃を越えると、フッ素樹脂が融点以上になって分解し始めるからである。なお、金属基材がアルミニウム合金等の軽量鋳物金属系合金である場合は、焼成温度が250℃を越えると熱ひずみによって金属基材に反り等が発生する恐れがあるので、250℃以下で焼成することが好ましい。
前記耐熱性樹脂がPAIの場合は、被覆層の焼成温度は180〜280℃が適当である。焼成温度が180℃未満では、PAIの硬化反応があまり進行しないので、金属基材との密着性を十分に確保できず、280℃を越えると、フッ素樹脂が融点以上になって分解し始めるからである。また、PAIの金属基材との密着性は280℃付近で平衡状態に達するので、昇温エネルギを考慮すると280℃以下で焼成することが好ましい。
前記皮膜を、前記フッ素樹脂100重量部に対して、前記耐熱性樹脂が100〜150重量部、前記金属酸化物粉末が5〜20重量部であるものとすることにより、金属基材との密着性と耐摩耗性をより良好に発揮することができる。フッ素樹脂100重量部に対して、耐熱性樹脂が100重量部未満であると密着性が低下し、150重量部を越えると摺動特性と非粘着性が低下する。また、フッ素樹脂100重量部に対して、金属酸化物粉末が5重量部未満であると耐摩耗性が不足し、20重量部を越えると密着性が低下する。
前記金属酸化物粉末を酸化鉄粉末とすることにより、耐摩耗性をより優れたものとすることができ、入手性およびコストの面からも有利である。
前記酸化鉄粉末としては、酸化鉄(II)、三酸化二鉄、四酸化三鉄等を使用することができ、これらの酸化鉄の粉末形状は、球状、鱗片状、針状等のいずれの形状であってもよい。また、酸化鉄粉末の平均粒径は、例えば0.1〜10μm程度といかなる粒径であってもよいが、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.2〜0.5μmである。平均粒径が0.1μm未満では、凝集しやすくなって分散性が悪くなり、1μmを越えると皮膜の耐摩耗性がやや不均一になる。なお、酸化鉄粉末の平均粒径はBET法により測定することができるが、とくにこの測定法に限られるものではない。
前記金属製基材と前記皮膜との間に、銅合金の多孔質焼結層を形成することにより、皮膜の密着性をさらに高めることができる。
また、本発明は、斜板式コンプレッサを上述したいずれかの斜板を備えたものとした構成も採用した。
前記斜板式コンプレッサを、コンプレッサ内の圧力が10MPaにも達する炭酸ガスを冷媒に用いるものとしても、その斜板の金属基材の皮膜を密着性と耐摩耗性の優れたものとし、十分に耐用可能なものとすることができる。
本発明の斜板式コンプレッサの斜板は、斜板を金属基材で形成し、シューが摺動する摺動面に、フッ素樹脂、耐熱性樹脂および金属酸化物粉末から成る皮膜を形成したので、フッ素樹脂で耐焼付き性を確保した上で、耐熱性樹脂で金属基材との十分な密着性を確保するとともに、金属酸化物粉末で優れた耐摩耗性を確保し、斜板の金属基材を、耐焼付き性はもとより、密着性と耐摩耗性の優れた被覆層で被覆することができる。
前記皮膜を、フッ素樹脂100重量部に対して、耐熱性樹脂が100〜150重量部、金属酸化物粉末が5〜20重量部であるものとすることにより、金属基材との密着性と耐摩耗性をより良好に発揮することができる。
前記金属酸化物粉末を酸化鉄粉末とすることにより、耐摩耗性をより優れたものとすることができ、入手性およびコストの面からも有利である。
また、本発明の斜板式コンプレッサは、上述した斜板を備えたものとしたので、コンプレッサ内の圧力が10MPaにも達する炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサに使用しても、十分に耐用可能なものとすることができる。
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。この斜板式コンプレッサは炭酸ガスを冷媒に用いるものであり、図1に示すように、冷媒が存在するハウジング1内で、回転軸2に直接固定するように斜めに取り付けた斜板3の回転運動を、斜板3の両側面で摺動するシュー4を介して両頭形ピストン5の往復運動に変換し、ハウジング1の周方向に等間隔で形成されたシリンダボア6内の各ピストン5の両側で、冷媒を圧縮、膨張させる両斜板タイプのものであり、高速で回転駆動される回転軸2は、ラジアル方向を針状ころ軸受7で支持され、スラスト方向をスラスト針状ころ軸受8で支持されている。
前記各ピストン5には斜板3の外周部を跨ぐように凹部5aが形成され、この凹部5aの軸方向対向面に形成された球面座9に、半球状のシュー4が着座されている。このシュー4は球状のものもあり、ピストン5を斜板3の回転に対して相対移動自在に支持する。これによって、斜板3の回転運動からピストン5の往復運動への変換が円滑に行われる。
前記斜板3の基材3aはアルミニウム合金AC8Cで形成されており、図2に示すように、シュー4が摺動する基材3aの両側面には、銅合金の多孔質焼結層10が形成され、その上に、フッ素樹脂としてのPTFE、耐熱性樹脂としてのPAI、および金属酸化物粉末としての酸化鉄または酸化チタンから成る皮膜11が形成されている。
前記銅合金の多孔質焼結層10は、基材3aの表面を脱脂したのち銅めっきを行い、銅めっきされた表面に青銅粉末(♯100メッシュを通過し、♯200メッシュを通過しないもの)を一様に散布して、この表面に青銅粉末が散布された基材3aを加熱、加圧することにより、形成したものである。
前記皮膜11は、PAIをNMP溶媒に溶解させ、この溶解させた樹脂溶液にPTFEと酸化鉄または酸化チタンの粉末を配合して均一な組成物とし、固形分濃度が約23質量%となるように、NMP、DMF、キシレンおよび酢酸エチルの混合溶媒で希釈してコーティング剤としたものを、前記銅合金の多孔質焼結層10の上からスプレーコート法で塗布し、乾燥後に最高温度240℃で焼成したものであり、その厚みは約20μmとされている。
実施例として、表1に示すように、アルミニウム合金AC8C製のディスクの片面側に、上述した方法で、PTFE、PAIおよび酸化鉄の粉末から成り、これらの配合割合が異なる皮膜を形成した試験片(実施例1〜3)と、PTFE、PAIおよび酸化チタンの粉末から成る皮膜を形成した試験片(実施例4)とを用意した。また、比較例として、上記酸化鉄や酸化チタンの金属酸化物粉末の替りに、それぞれ二硫化モリブデン(MoS2)、ブロンズ粉末または黒鉛粉末を配合したコーティング剤を用いて、各実施例と同様の方法で皮膜を形成した試験片(比較例1〜3)も用意した。なお、表1中の数値は、PTFE100重量部に対する各組成物の重量部の値である。
上記実施例と比較例の各ディスク試験片について、3ボールオン試験機を用いた耐摩耗性試験を行い、それぞれの摩耗量を測定した。試験条件は以下の通りである。
・荷重 :5kgf
・回転数 :2000rpm
・潤滑条件:ドライ
・試験時間:120sec
・荷重 :5kgf
・回転数 :2000rpm
・潤滑条件:ドライ
・試験時間:120sec
上記耐摩耗性試験の結果を表1に併せて示す。金属酸化物粉末を皮膜の組成とした実施例1〜4のものは、いずれも摩耗量が少なく、優れた耐摩耗性を有することが確認された。特に、PTFE100重量部、PAI150重量部、酸化鉄15重量部とした実施例3のものは、最も摩耗量が少なかった。なお、金属酸化物粉末として酸化鉄を用いた実施例1、2のものは、酸化チタンを用いた実施例4のものと同一評価になっているが、わずかに実施例4のものより摩耗量が少なかった。これに対して、金属酸化物粉末を皮膜の組成としない比較例1〜3のものは、いずれも摩耗量が多く、十分な耐摩耗性が得られなかった。
上述した実施形態では、両斜板タイプの斜板式コンプレッサで、斜板の両側面でシューが摺動するものとしたが、本発明に係る斜板式コンプレッサの斜板は、片斜板タイプのものや、斜板の片面側にのみシューが摺動するもの、斜板が連結部材を介して回転軸に取り付けられたもの等、全てのタイプの斜板式コンプレッサに採用することができる。
1 ハウジング
2 回転軸
3 斜板
4 シュー
5 ピストン
5a 凹部
6 シリンダボア
7 針状ころ軸受
8 スラスト針状ころ軸受
9 球面座
10 多孔質焼結層
11 皮膜
2 回転軸
3 斜板
4 シュー
5 ピストン
5a 凹部
6 シリンダボア
7 針状ころ軸受
8 スラスト針状ころ軸受
9 球面座
10 多孔質焼結層
11 皮膜
Claims (6)
- 冷媒が存在するハウジング内で、回転軸に直接固定するように、または連結部材を介して間接的に、斜めに取り付けた斜板にシューを摺動させ、このシューを介して前記斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コンプレッサの斜板において、前記斜板を金属基材で形成し、前記シューが摺動する摺動面に、フッ素樹脂、耐熱性樹脂および金属酸化物粉末から成る皮膜を形成したことを特徴とする斜板式コンプレッサの斜板。
- 前記皮膜が、前記フッ素樹脂100重量部に対して、前記耐熱性樹脂が100〜150重量部、前記金属酸化物粉末が5〜20重量部である請求項1に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
- 前記金属酸化物粉末が酸化鉄粉末である請求項1または2に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
- 前記金属製基材と前記皮膜との間に、銅合金の多孔質焼結層を形成した請求項1乃至3のいずれかに記載の斜板式コンプレッサの斜板。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の斜板を備えた斜板式コンプレッサ。
- 前記斜板式コンプレッサが炭酸ガスを冷媒に用いたものである請求項5に記載の斜板式コンプレッサ。
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