JPH0986827A - エレベータ調速機張り車装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 接触による調速機ロープの磨耗や異常音を発
生させず、調速機張り車を垂直方向にのみ可動とし、構
造簡単、ピット内の設置作業を容易にする。 【解決手段】 エレベータ調速機張り車装置は、調速機
ロープ張り車８と、この張り車８を鉛直下方に引っ張る
おもり１１と、おもり１１を両側部で鉛直方向に案内し
て下端だけでピット床１にバッファ台２、片持式の支持
腕１３および衝撃吸収用の弾性体を介して支持されたガ
イドレール１４とを備えている。 【効果】 調速機ロープが振動等により主レールに接触
して調速機ロープの磨耗を早めたり、異常音を発生させ
たりすることもなく、調速機張り車の移動方向を垂直方
向に限定することができ、しかもガイドレールの支持構
造が簡単であり、ピット内での設置作業が容易である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明はエレベータ調速機
張り車装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】エレベータには、かごの速さが所定値以
上になったときにこれを検知して非常ブレーキを作動さ
せるためのエレベータ調速機が設けられている。調速機
は、かごに結合され、例えばピット床に設けた張り車に
掛け回されて昇降路に沿って張られた調速機ロープによ
り作動されるものであり、調速機ロープの張力が常に適
正に維持されるようにエレベータ調速機張り車装置が設
けられている。

【０００３】図３に示す従来のエレベータ調速機張り車
装置は、下端でピット床１上に配置されたバッファ台２
上に固着されて支持され、エレベータ昇降路に沿って延
びたエレベータ主レール３に取付けられている。主レー
ル３にはクリップボルト４により固定板５が固着されて
おり、固定板５には支持腕６の一端が水平軸回りに回動
可能に取付けられている。支持腕６はこの一端から他端
に向って角度αだけ僅かに下向きに傾斜しているがほぼ
水平に延びており、回動中心回りに上下動できる他端に
は、軸７により張り車８が回転可能に設けられている。
張り車８にはエレベータ調速機の調速機ロープ９のルー
プの下端が掛け回されている。支持腕６の他端には、張
り車８を支持する軸７に接続された連結板１０を介して
おもり１１が設けられている。

【０００４】このような従来のエレベータ調速機張り車
装置に於いて、張り車８には常におもり１１による下向
きの力が加えられているので調速機ロープ９には常に一
定の張力が掛かっており、エレベータの稼働中に調速機
ロープ９に伸びが生じたとしても、この伸びは張り車８
がおもり１１により下方に移動することにより吸収さ
れ、また、張力も一定に維持される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなエレベータ調速機張り車装置に於いては、張り車８
が主レール３上の回動中心回りに回動する支持腕６に取
付けられているために、調速機ロープ９の伸びが大きく
なると、支持腕６の水平に対する角度αが大きくなり、
主レール３と調速機ロープ９あるいは張り車８との間の
距離Ｇが小さくなリ、調速機ロープ９が振動等により主
レール３に接触して調速機ロープ９の磨耗を早めたり、
異常音を発生させたりするという課題があった。

【０００６】このような問題の対策として、おもりを回
動する支持腕により支持するのではなく、垂直方向に延
びたガイドレールをおもりの両側に配置して、調速機張
り車が調速機ロープの張力調整のためには垂直方向にだ
け移動可能で水平方向には移動しないようにすることも
提案されている。この提案によれば、ガイドレールは、
それぞれ主レールに取付けられてそこから延びた支持ブ
ラケット等により、上端および下端で支持されている。

【０００７】しかしながら、このような上下で支持され
たガイドレールを備えた従来のエレベータ調速機張り車
装置に於いては、調速機張り車の移動方向を垂直方向に
限定することはできるが、２本のガイドレールのそれぞ
れを上下２ヶ所で支持ブラケットにより主レールにしっ
かりと剛体的に取付けて支持するものであるので、ガイ
ドレールの支持構造が複雑であり、ピット内での設置作
業が容易ではなかったという課題があった。

【０００８】従って、この発明の目的は、調速機ロープ
が振動等により主レールに接触して調速機ロープの磨耗
を早めたり、異常音を発生させたりすることもなく、調
速機張り車の移動方向を垂直方向に限定することがで
き、しかもガイドレールの支持構造が簡単であり、ピッ
ト内での設置作業が容易なエレベータ調速機張り車装置
を得ることである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明のエレベータ調速機張り車装置は、調速機ロ
ープ張り車と、下端だけでピット床に支持されて張り車
を鉛直下方に引っ張るおもりと、おもりを鉛直方向に案
内するガイドレールとを備えている。

【００１０】ガイドレールは、ピット床面に設けたバッ
ファ台に固定されている。

【００１１】ガイドレールは、ピット床面に設けたバッ
ファ台に一端だけで固定され、ほぼ水平に延びた片持式
の支持腕により支持されている。

【００１２】ガイドレールは支持腕との間の接続部分に
衝撃吸収用の弾性体を備えている。

【００１３】ガイドレールはおもりの両側部に設けられ
ている。

【００１４】ガイドレールの下端は支持腕を貫通して延
びており、ガイドレールと支持腕との間にはガイドレー
ルを支持腕に対して弾性的に支持するスプリングが設け
てある。

【００１５】

【発明の実施の形態】図１、図２にこの発明の実施形態
であるエレベータ調速機張り車装置を示す。図に於い
て、エレベータ調速機張り車装置は、ピット床１上に配
置されて、主レール３を支持するバッファ台２上にボル
ト１２で固着され、ほぼ水平に渡された片持ち式の支持
腕１３を備えている。支持腕１３には、２本のロッド状
の垂直なガイドレール１４の下端が貫通しており、この
下端は、衝撃吸収用の弾性体であるスプリング１５とワ
ッシャー１６と緩み防止のためのピン付のナット１７に
より支持腕１３に対して弾性的に支持されていて、ガイ
ドレール１４の軸方向および下端を中心とする揺動等の
衝撃を吸収できるようにしてある。このように、ガイド
レール１４は下端だけが支持腕１３およびバッファ台２
を介してピット床１に支持されている。ガイドレール１
４の上端にはピン付のナット１７がストッパとして取り
付けられている。

【００１６】これら２本のガイドレール１４の間には、
連結板１０を介して調速機ロープ９の下端が掛け回され
ている張り車８を鉛直下方に引っ張るためのおもり１１
が設けられている。おもり１１の両側部（図で左右）の
上下にはガイドシュー１８が取り付けられていて、おも
り１１が主レール３と平行なガイドレール１４に沿って
上下方向に摺動可能とされている。ガイドシュー１８の
代わりに、おもりに貫通する開口部を設けてガイドレー
ル１４を通しても良いし、両側部にガイドレール１４を
受け入れるガイド溝を設けても良い。

【００１７】このようなエレベータ調速機張り車装置に
於いて、調速機ロープ９の伸び調整と張力保持について
は従来と同様の効果が得られる。即ち、張り車８には常
におもり１１による下向きの力が加えられているので調
速機ロープ９には常に一定の張力が掛かっており、エレ
ベータの稼働中に調速機ロープ９に伸びが生じたとして
も、この伸びは張り車８がガイドレール１４に沿って鉛
直方向に移動するおもり１１により下方に移動すること
により吸収され、また、張力も一定に維持される。この
とき、この発明の実施例ではおもり１１の両側にガイド
レール１４を設けているため、おもり１１および張り車
８は主レール３に対して回転せずに平行状態を保ったま
ま水平方向成分の移動無しで上下移動するので、調速機
ロープ９が伸びた場合でも、従来のように調速機ロープ
９が主レール３に接触することはない。

【００１８】エレベータ運転中の振動により、調速機ロ
ープ９の揺れがおもり１１に伝わり、おもり１１が振動
した場合にも、ガイドレール１４の衝撃が弾性体である
スプリング１５により吸収される。万一何らかの原因で
おもり１１が落下した場合にも、スプリング１５により
その衝撃が吸収できる。

【００１９】この発明のエレベータ調速機張り車装置
は、調速機ロープ張り車と、張り車を鉛直下方に引っ張
るおもりと、おもりを鉛直方向に案内して下端だけでピ
ット床に支持されたガイドレールとを備えているので、
調速機ロープが振動等により主レールに接触して調速機
ロープの磨耗を早めたり、異常音を発生させたりするこ
ともなく、調速機張り車の移動方向を垂直方向に限定す
ることができ、しかもガイドレールの支持構造が簡単で
あり、ピット内での設置作業が容易である。

【００２０】また、ピット床面に設けたバッファ台に一
端だけで固定され、ほぼ水平に延びてガイドレールを支
持する片持式の支持腕を備えているので、構造が簡単で
据え付けが容易である。

【００２１】ガイドレールは支持腕との間の接続部分に
衝撃吸収用の弾性体を備えているので、おもりの衝撃を
吸収できる。

【００２２】更に、ガイドレールは、おもりの両側部に
設けられているので、おもりは平行移動しかしない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のエレベータ調速機張り車装置の正面
図である。

【図２】図１のエレベータ調速機張り車装置の上面図で
ある。

【図３】従来のエレベータ張り車装置の正面図である。

【符号の説明】

１ ピット床、２ バッファ台、８ 張り車、１１ お
もり、１３ 支持腕、１４ ガイドレール、１５ スプ
リング。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 調速機ロープ張り車と、上記調速機ロー
   プ張り車に連結されて上記張り車を鉛直下方に引っ張る
   おもりと、下端だけでピット床に支持されて垂直に延
   び、上記おもりを鉛直方向に案内するガイドレールとを
   備えたエレベータ調速機張り車装置。
2. 【請求項２】 上記ガイドレールがピット床面に設けた
   バッファ台に支持された請求項１記載のエレベータ調速
   機張り車装置。
3. 【請求項３】 ピット床面に設けた上記バッファ台に一
   端だけで固定され、ほぼ水平に延びて上記ガイドレール
   を支持する片持式の支持腕を備えた請求項２記載のエレ
   ベータ調速機張り車装置。
4. 【請求項４】 上記ガイドレールは上記支持腕との間の
   接続部分に衝撃吸収用の弾性体を備えた請求項３記載の
   エレベータ調速機張り車装置。
5. 【請求項５】 上記ガイドレールは上記おもりの両側部
   に設けられた請求項１乃至４のいずれか記載のエレベー
   タ調速機張り車装置。
6. 【請求項６】 上記ガイドレールの下端は上記支持腕を
   貫通して延びており、上記ガイドレールと上記支持腕と
   の間には上記ガイドレールを上記支持腕に対して弾性的
   に支持するスプリングが設けられた請求項３乃至５のい
   ずれか記載のエレベータ調速機張り車装置。